JP3353952B2 - 落込み浴槽の支持構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、落込みタイプの浴槽
を有するユニットバス等を２階以上の部分に据え付ける
落込み浴槽の支持構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、工業化住宅等では、浴槽や洗い場
が一体化されたユニットバスが一般に使用されている。
ユニットバスとして、１階用のものは、洗い場よりも浴
槽の底面を低くした落込みタイプのものが一般に使用さ
れている。１階部分では、浴室部の基礎を低くするなど
して、下方に突出した浴槽の設置が可能となる。落込み
浴槽は、洗い場から浴槽へ入るときの跨ぎ込み高さが低
くて使い勝手が良いため、２階以上の階に設置する場合
にもこのタイプのものが好ましい。しかし、２階以上の
部分にユニットバスを設置する場合は、２階の床面上に
ユニットバスを置く支持構造が取られるため、落込み浴
槽を使用すると、洗い場の底面が２階の床面よりも高く
なりすぎ、浴室への出入りが不便となる。そのため、通
常は図７に示すように、洗い場３２と浴槽３３の底面３
２ａ，３３ａのレベルを同じとしたユニットバス３１が
使用されている。ユニットバス３１は、アジャスタボル
ト３０を介して２階床面３４上に設置している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この同レベル
タイプのユニットバス３１では、浴槽３３へ入る跨ぎ高
さｈが高いため、使い勝手が悪く、やはり落込み浴槽の
使用が望まれる。また、同レベルタイプのユニットバス
３１を使用する場合でも、浴室に隣接する洗面所３５の
床３５ａを床上げしなくてはならず、他の部分の床面３
４との間に段差が生じる。しかも、その床上げ分だけ洗
面所３５の天井高が低くなる。さらに、１，２階に共通
のユニットバスを使用できないので、ユニットバスの品
種が増大してコストアップを招くことにもなり、デザイ
ンの統一も難しい。

【０００４】この発明の目的は、２階以上の階にも落込
み浴槽型のユニットバスを据え付けることのできる落込
み浴槽の支持構造を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明の落込み浴槽の
支持構造は、２階以上の階に設置される落込み浴槽の支
持構造であって、浴室の対向する一対の床梁間に複数本
の吊金具を掛け渡し、これら吊金具上に洗い場床および
浴槽を有する床パンを設置したものである。前記床梁は
Ｈ形鋼からなる。前記吊金具は、横架材の両端に梁接合
材を立ち上がり形成してこの梁接合材で前記梁上に載せ
るものである。この吊金具は、横架材の両端に梁接合材
が立ち上がり形成され概形逆ハット形の金具であり、上
記各梁接合材はそれぞれ上下一対の係架プレートを有し
ていて、これら上下一対の係架プレートを、対応する床
梁の上下フランジ上に重ねてボルトで締付けることによ
って上記床梁に接合されたものとする。

【０００６】

【作用】この支持構造によると、両端に立ち上がり形成
された梁接合材で床梁に支持される吊金具に床パンを設
置するので、床パンの底面を床梁の上面レベルよりも下
方に位置させても支持することができる。そのため、浴
槽の底を洗い場床よりも低くした落込み浴槽型の床パン
の設置が可能となり、２階以上の階においても、簡単に
落込み浴槽の設置が可能となる。

【０００７】

【実施例】この発明の一実施例を図１ないし図６に基づ
いて説明する。この実施例は、浴槽３の底３ａを洗い場
４の床レベルよりも低く落とし込んだ落込み浴槽型のユ
ニットバス１を２階に据え付ける場合に適用したもので
ある。ユニットバス１は、床パン２が壁部材５や天井部
材６等と分離して施工される形式のものを使用してい
る。床パン２は浴槽３と洗い場４とを一体に形成したも
のである。

【０００８】２階のユニットバス据付場所には、その床
基準レベルＦＬ（図５，図６）よりも若干低い位置にＨ
形鋼からなるユニットバス用床梁７が設置されている。
その対向する一対の床梁７，７間に、図１（Ａ）のよう
に前記床パン２を支持する複数の吊金具８Ａ，８Ｂが掛
け渡される。吊金具８Ａ，８Ｂは、図２のように横架材
９の両端に梁接合材１０を立ち上がり形成した概形逆ハ
ット形の金具であり、梁接合材１０に設けられた上下一
対の係架プレート１０ａ，１０ａを対応する床梁７の上
下フランジ７ａ，７ａ上に重ね、ボルト１１で締付ける
ことによって床梁７に接合される。各吊金具８Ａ，８Ｂ
の横架材９の高さは、床パン２の浴槽底３ａや洗い場床
４ａの高さに合わせて別個に設定される。吊金具８Ａ，
８Ｂの横架材９には、図３のように断面Ｌ字形の複数の
取付金具１２が設けられる。この取付金具１２は、床パ
ン２の下面に固定した複数の取付桟材１３に吊金具８
Ａ，８Ｂの横架材９をビス止めするための金具である。

【０００９】ユニットバス１を据え付ける際には、ま
ず、２階のユニットバス据付場所の一対の床梁７，７間
に上記各吊金具８Ａ，８Ｂを掛け渡し、ボルト１１で締
付け固定する。つぎに、上記吊金具８Ａ，８Ｂの横架材
９上にユニットバス１の床パン２をその浴槽３が横架材
９を低く設定した吊金具８Ａに、洗い場４が横架材９を
やや高く設定した吊金具８Ｂにそれぞれ対応するように
載置する。このとき、床パン２の下面に固定された取付
桟材１３が吊金具８Ａ，８Ｂの横架材９と直角に交差す
るように配置される。この取付桟材１３に吊金具８Ａ，
８Ｂ側の取付金具１２を図３のように木ねじ１４で締め
付けることにより、床パン２を吊金具８Ａ，８Ｂの横架
材９上に固定する。

【００１０】この後、ユニットバス１の上部材である壁
部材５や天井部材６を組み付ける。壁部材５の一部には
開口を形成し、窓１５や浴室ドア１６を設ける。さら
に、天井部には換気用配管１７を、床パン２側には排水
用配管１８を配設する。床パン２を支持する吊金具８
Ａ，８Ｂの下方には１階の天井パネル１９を設置し、天
井パネル１９と吊金具８Ａ，８Ｂとの間の空間には吸音
用ロックウール２０を充填する。

【００１１】この浴槽支持構造によると、このように両
端に立ち上がり形成された梁接合材１０で床梁７に支持
される吊金具８Ａ，８Ｂに床パン２を設置するので、浴
槽底３ａを２階の基準床レベルＦＬよりも低い位置に、
また洗い場床４ａも基準床レベルＦＬとほぼ同レベルに
各々設定できる。そのため、落込み浴槽型の床パン２を
設置することができ、１，２階に同じ型のユニットバス
を使用することもできる。これにより、使い勝手が向上
し、またデザインの統一、品種の削減が可能となり、コ
スト低下にもつながる。

【００１２】また、浴室の洗い場とこれに隣接する洗面
所間での段差をなくすことができ、洗面所の床レベルを
基準床レベルＦＬから高く設定することが不要となる。
そのため、廊下等から洗面所への出入りが容易となり、
また洗面所の天井高も高くできて、圧迫感がなくせる。
さらに、洗面所のドアに２階床上げ用ドアを設けること
が不要となって、ドアの品種統合も可能となる。

【００１３】なお、上記実施例ではユニットバス１の床
パン２が、壁部材５や天井部材６等と分離されている場
合について示したが、これらが一体の落込み浴槽型ユニ
ットバスの場合でも同様にして２階以上の階に据え付け
ることができる。

【００１４】

【発明の効果】この発明の落込み浴槽の支持構造は、浴
室の対向する一対の床梁間に複数本の吊金具を掛け渡
し、これら吊金具上に床パンを設置したため、浴槽の底
を洗い場床よりも低くした落込み浴槽型のユニットバス
を、２階以上の階に容易に据え付けることができる。ま
た、そのため各階に共通のユニットバスを適用できて、
品種の統一が可能となりコストダウンを図ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）はこの発明の一実施例である落込み浴槽
の支持構造の吊金具設置状態を示す斜視図、（Ｂ）は同
落込み浴槽の床パン設置状態を示す斜視図である。

【図２】同吊金具の取付構造を示す縦断面図である。

【図３】同床パンの吊金具への接合構造を示す斜視図で
ある。

【図４】同落込み浴槽の据付状態を示す水平断面図であ
る。

【図５】同落込み浴槽の据付状態を示す側面断面図であ
る。

【図６】同落込み浴槽の据付状態を示す正面断面図であ
る。

【図７】従来のユニットバス据付構造を示す縦断面図で
ある。

【符号の説明】

２…床パン、３…浴槽、４ａ…洗い場床、７…床梁、８
Ａ，８Ｂ…吊金具、９…横架材、１０…梁接合材

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２階以上の階に設置される落込み浴槽の
   支持構造であって、浴室の対向する一対の、Ｈ形鋼から
   なる床梁間に複数本の吊金具を掛け渡し、これら吊金具
   は、横架材の両端に梁接合材が立ち上がり形成され概形
   逆ハット形の金具であり、上記各梁接合材はそれぞれ上
   下一対の係架プレートを有していて、これら上下一対の
   係架プレートを対応する床梁の上下フランジ上に重ねて
   ボルトで締付けることによって上記床梁に接合されたも
   のとし、洗い場床および浴槽を有する床パンを前記複数
   の吊金具上に設置した落込み浴槽の支持構造。