JP3353872B2 - 二成分現像剤におけるトナーの帯電特性の算出方法 - Google Patents

二成分現像剤におけるトナーの帯電特性の算出方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二成分現像剤における
トナー帯電特性の算出方法に関するものであり、より詳
細には、トナーとキャリアとの接触電位差を利用して、
トナーの最大帯電量及びトナーの帯電立ち上がり特性を
算出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年における世界的規模での急速な情報
化の進展を背景に、複写機、ファクシミリ、プリンタ等
は、情報ネットワーク社会における必要不可欠な出力機
器として成長を遂げている。これらの情報機器の多く
は、粒子の摩擦に伴う帯電を利用する電子写真プロセス
を応用している。一方、情報機器に搭載され、その性能
を左右するキーデバイスである半導体や液晶ディスプレ
ーの製造、および医薬品製造等の先端装置産業では、帯
電した粒子がデバイス上や管壁内に付着することによ
り、最終製品の品質に様々な悪影響を及ぼしている。い
ずれにしても現在、産業上の各分野において、粒子の帯
電特性を制御するための基礎研究の充実が求められてい
る。
【0003】電子写真プロセスは、静電潜像の現像に使
用する粉末インクであるトナーを帯電させるシステムの
違いによって、1成分現像方式と2成分現像方式に大別
される。1成分現像方式では、トナーを金属製やゴム製
のブレードに圧接することによって、また2成分現像方
式では、トナーと鉄製やフェライト製のキャリア粒子を
撹拌混合することによって電荷を発生させる。いずれの
システムにしても、鮮明なコピー画像を得るためにはト
ナーの帯電量をある一定の範囲に制御することが最も重
要な課題である。
【0004】しかし、トナーの帯電特性を定量的に評価
する方法は、未だ確立されておらず、現在のところトナ
ーとキャリア粒子との摩擦帯電を行った際に生じる比電
荷を測定する方法(ブローオフ法)が主に用いられてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来法では、特定のトナーとキャリアとの組み合わせに
ついて、帯電量が実験的に求められるだけであり、広範
囲のトナーとキャリアとの組合せに関して、帯電量を精
度よく予測することはできなかった。
【0006】そこで、トナーの帯電を定量化できる物性
として、物質固有の接触電位差に幅広い関心が寄せら
れ、盛んに研究が行われている。
【0007】ここで接触電位差について説明すると、一
般に、物質と物質とが接触すると、その境界面に電位差
が発生し、この電位差は物質の種類及び表面の状態によ
って相違し、その界面電位差の接触電位差と呼ばれてい
る。この接触電位差Vo は、物質Aの表面の仕事関数を
φA、物質Bの表面の仕事関数をφBとすると、式(6) Vo = −(φA−φB)/e ‥(6) 式中、eは電気素量(1.6×10−19C)である、
で表される。
【0008】ところが、これまでに報告されている研究
では、対象となる試料トナーをプレート状に成形した
り、文献値を引用することにより帯電量(比電荷)との
相関を検討している場合が多い。このような方法では、
帯電傾向は得られるものの、正確に帯電量を予測するこ
とは困難であり、況やトナーとキャリアとの所要帯電量
に関しての組み合わせを選択することは到底困難であっ
た。
【0009】本発明者等は、二成分系現像剤において、
トナーとキャリアとの摩擦による最大帯電量は、両者の
接触電位差VT/C と密接な関係にあり、更にトナーの緩
和時定数(τr)及び帯電時定数(τg)にも関係する
ことを見いだした。また、トナーの帯電立ち上がり特性
は、トナーの緩和時定数(τr)とトナーの圧縮度
(C)或いはトナーの帯電時定数(τg)にも関係する
ことを見いだした。
【0010】即ち、本発明の目的は、二成分現像剤にお
いて、トナーのキャリアに対する接触電位差 (VT/C
)に基づいて、所定の最大帯電量を算出する方法を提
供するにある。
【0011】本発明の他の目的は、トナーの緩和時定数
(τr)とトナーの圧縮度とに基づいて、所望のトナー
の帯電立ち上がり特性を算出する方法を提供するにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、トナー
とキャリアとの摩擦により帯電された二成分現像剤にお
いて、下記式(1): Qmax =(k*VT/C)/[1+(τg/τr)] …(1) またはτg/τr <<1の場合には、下記式(2): Qmax =k*VT/C …(2) 式中、Qmax はトナーの最大帯電量(μC/g)であ
り、VT/C は前記トナーの前記キャリアに対する接触電
位差(V)であり、τrは前記トナーの緩和時定数(se
c)であり、τgは前記トナーの帯電時定数(sec)であ
り、kはトナー及びキャリアの種類により定まる係数
(F)である、に基づいて、トナーの最大帯電量を算出
することを特徴とする方法が提供される。
【0013】本発明によればまた、トナーとキャリアと
の摩擦により帯電された二成分現像剤において、下記式
(1): Qmax =(k*VT/C)/[1+(τg/τr)] …(1)またはτg/τr <<1の場合には、下記式(2): Qmax =k*VT/C …(2)式中、 Qmax はトナーの最大帯電量(μC/g)であ
り、 VT/C は前記トナーの前記キャリアに対する接触電
位差(V)であり、 τrは前記トナーの緩和時定数(s
ec)であり、 τgは前記トナーの帯電時定数(se
c)であり、 kはトナー及びキャリアの種類により定ま
る係数(F)である、に基づいて、トナーの最大帯電量
を算出し、算出されたトナーの最大帯電量に基づいて、
下記式(3)または下記式(4): ΔQ=Qmax*[(1/τr)+(1/(aC+b)] …(3) ΔQ=Qmax*[(1/τr)+(1/τg)] …(4) 式中、ΔQはトナーの帯電立ち上がり特性(μC*g
−1*sec−1)であり、Qmax は前記式(1)また
は(2)で算出されたトナーの最大帯電量 (μC/g)
であり、 τr及びτgは前記の通りであり、Cは前記ト
ナーについてパウダーテスターによって測定した圧縮度
(%)であり、a及びbはトナー及びキャリアの種類に
よって定まる定数である、により、トナーの帯電立ち上
がり特性を算出することを特徴とする方法が提供され
る。
【0014】
【発明の実施形態】本発明は、既に指摘したとおり、二
成分系現像剤において、トナーとキャリアとを摩擦帯電
させたときの最大帯電量Qmax は、トナーのキャリアに
対する接触電位差VT/C 、更にはトナーの緩和の時定数
τr 及び帯電の時定数τg に依存して、前記式(1)或
いは(2)により定まるという新規知見に基づくもので
ある。前記式(1)において、トナーの緩和の時定数τ
rが帯電の時定数τgに比して小さいとき(これは一般
に当てはまる)には、1+(τg/τr)=1とみなせ
るので、前記式(2)が成り立つ。
【0015】ここで、二成分系現像剤において、トナー
の接触電位差とキャリア接触電位差とには加成性がある
ので、トナーのキャリアに対する接触電位差VT/Cは、
(5) VT/C = VT/Au − VC/Au (5) 式中、VT/AuはAu電極と前記トナーとの接触電位差
(V)であり、VC/AuはAu電極と前記キャリアとの接
触電位差(V)である、で表される。
【0016】一方、前記式(1)または(2)における
kは、理論的に下記式(6) k=πεDp/2Z(6) ここで、Dp[m]はトナーの粒子径であり、Zo[m] は接触
時のトナー粒子とキャリア粒子の分離距離であって、通
常0.4nm程度である、により得ることができるし、
一定のキャリアと一定の電荷制御表面層を含むトナーと
の間には、kが一定であるという関係があるので、接触
電位差と最大帯電量との関係から、kを実験的に求める
ことができる。これは、一定のトナーと一定の樹脂コー
ト層を含むキャリアとの関係においても同様である。
【0017】図1は、一定のキャリアと表面コート層が
同一の樹脂から成るコートトナー(ただしコート量が異
なる)とについて、接触電位差VT/C と最大帯電量Qma
x との関係をプロットしたものであるが、原点を通る勾
配kの直線にのっていることが了解される。
【0018】かくして、二成分系現像剤において、使用
するキャリア及びトナーについて、キャリアの接触電位
差VC/Auとトナーの接触電位差VT/Auとを測定し、その
結果から、トナーのキャリアに対する接触電位差VT/C
が算出され、算出された接触電位差VT/Cと前記係数k
とから、二成分現像剤の最大帯電量Qmaxを算出するこ
とができ、これにより、二成分現像剤の設計を容易に行
うことができる。
【0019】通常のトナーにおいては、緩和時定数τr
が帯電時定数τgに比べてかなり大きい(τg/τr<
<1)ので、上記式(2)を用いれば十分であるが、τ
g/τrの値が1に比して無視し得ない場合には、トナ
ーの緩和時定数τr及び帯電時定数τgをも考慮して、
前記式(1)から、最大帯電量Qmaxを求めればよい。
【0020】トナー帯電の緩和時定数τrは、トナーの
見掛けの誘電率εa(Fm−1)及び比抵抗ρa(Ω
m)を測定することにより、式(7) τr=εa×ρa ‥‥(7) から容易に算出することができる。
【0021】一方、トナーの帯電時定数τgは、理論的
に下記式(8)、 τg=πDpτg/2SfΔt ‥(8) ここで、Dp[m]はトナーの粒子径であり、S[m2 ] は接触
面積であり、f[s−1]はトナー粒子とキャリア粒子の
接触頻度であり、Δt[s]は接触時間であり、τg
[s]は1回の接触における電荷移動の速さを表わす帯
電時定数である。から求めることもできるし、また実験
的にトナーの帯電曲線から求めることができる。即ち、
トナーの帯電時の立ち上がりの勾配から求めることもで
きる。
【0022】図2は、後述する実施例のトナーについ
て、摩擦時間tに対するトナーの比電荷Q[μC/g]の経
時変化を示している。この結果から、トナーは、一定時
間経過後に最大値Qmax [μC/g]に達し、その後、減少
する傾向を示している。なお、図中の実線は後に述べる
計算値をプロットした線である。
【0023】いま、トナーとキャリア粒子は互いに接触
・分離を繰り返すことにより帯電し、これらの粒子の比
表面積に対する容器内壁の総面積は極めて小さいことよ
り、粒子の容器との接触分離は無視できると仮定する。
このとき、キャリア粒子の接触しているトナー粒子1個
の帯電を、以前に報告した管内固気二相流の場合と同様
に考えると、次式(9)が得られる。 dQ/dt=[(k*VT/C)/τg]−Q/τg ‥(9)
【0024】一方、帯電電荷の緩和も同時に起こるとす
ると、トナー粒子の電荷は次式(10) dQ/dt=−Q/τr ‥(10) に従って減衰する(指数則)。
【0025】帯電過程と緩和過程が同時に進行するとす
ると、トナーの帯電速度は、下記式(11) dQ/dt=[(k*VT/C)/τg]−Q[(1/τg)+(1/τr)] ‥(11) で表される。上式(11)を積分すると、次式(12)
が得られる。 Q=[(k*VT/C)/(1+τg/τr)]・[1−exp(−A)t] ‥(12) 但し、A=(1/τg)+(1/τr)
【0026】前記式(12)は、時間の経過とともに帯
電量が飽和に達する式であるのに対し、図2に示した実
験結果は一定時間経過後に最大値に到達した後に、徐々
に減少する傾向がある。これは、前記式(12)では、
キャリア粒子とトナーが無限に接触・分離を繰り返しな
がら帯電する場合を想定しており、接触頻度f[s−1]
の変化を考慮していないためである。実際には帯電した
トナーはキャリア粒子の周りに徐々に付着していくの
で、有効な接触が行われなくなる。
【0027】そこで、2成分現像剤の帯電過程を、Q
[μC/g] が最大値に達するまで(領域I) と、それ以
降(領域 II)の時間領域に分ける。領域Iはトナーと
キャリア粒子が接触頻度f[s−1]で接触・分離を繰り
返す時間帯であり、領域IIはキャリア粒子の周りにトナ
ーが完全に付着した状態であり、そこでの接触頻度f
[s−1]は零とする。なお、領域Iにおけるf[s−1]
は実際には徐々に変化するはずであるが、ここでは平均
的な定数として取り扱った。このとき、領域Iにおける
帯電曲線は次式(13) Q=Qmax[1−exp(−A)t] ‥(13) 但し、A=(1/τg)+(1/τr) で表され、領域IIではf=0によって式(13)のτg
[s]が無限大になり、電荷の発生はなくなるので、帯
電曲線を表す式は式(14) Q≦Qmax * exp(−t/τr) ‥(14) になる。
【0028】図2に、式(13)及び(14)の計算結
果を実線で示す。この結果より、トナーとキャリア粒子
との接触頻度を考慮に入れた帯電モデル式は、実験結果
と良く一致することがわかった。
【0029】図2及び式(13)の結果から、トナーの
帯電立ち上がり特性は、前記式(4)によって定まるこ
とが分かる。即ち、トナーの帯電時定数τgが小さくな
るほど、トナーの立ち上がりが急になることが分かる。
【0030】かくして、τg/τr<<1の場合、トナ
ーの緩和時定数τr及び帯電時定数τgが分かれば、ト
ナーの最大帯電量及び帯電立ち上がり特性を算出するこ
とができる。
【0031】更に、トナーの帯電の立ち上がり特性は、
前記式(3)に従うことも分かった。帯電時定数τg
[s]は、前記式(8)に示す通り、接触頻度に関係する
定数なので、トナーの流動性との関係を調べた。
【0032】図3に、トナーの帯電時定数τg[s] とパ
ウダーテスター(ホソカワミクロン社製, PT-E ) によ
って測定した粉体の流動性の指標となる圧縮度C[%]の
関係を示す。なお、圧縮度が大きいほど流動性が悪いこ
とを表す。τg[s]とC[%]には良い相関があり、下記式
(15) τg= aC + b ‥(15) の直線関係が近似的に成立する。かくして、式(15)
と式(4)から、式(3)が求められ、所望の帯電立ち
上がり特性を与える圧縮度Cを決定し、トナー圧縮度C
から帯電立ち上がり特性を予測することもできる。
【0033】また、式(14)から、トナーの緩和時定
数τrを大きくすることが、トナーの帯電安定性を向上
させる上で有効なことが分かる。
【0034】本発明では、式(14)に基づいて、所望
の帯電安定性が得られるようにトナーの緩和時定数τr
を選択し、或いはトナーの緩和時定数τrに基づいてト
ナーの帯電安定性を決定することができる。
【0035】[接触電位差の測定] 接触電位差の測定は、トナー或いはキャリアを試料とし
て振動電極間に挿入してトナーの接触電位差を求めるこ
とにより行う。
【0036】接触電位差の測定に当たっては、除電され
た試料を支持する下部電極(金電極)に対して、これに
対向する上部電極を電極間距離が変化するように振動さ
せ、両極間に電圧を印加して電流を測定し、検出電流値
がゼロのときの電圧を試料の接触電位差として求める。
【0037】接触電位差の測定原理を示す図4(電気回
路図)において、この装置は、試料1を支持する下部電
極2、下部電極に対向する上部電極3、上部電極を電極
間距離が変化するように振動させる振動機構4、両極間
に電圧を印加するための可変圧電源5、両極間に流れる
電流を検出するためのデジタル電流計(エレクトロメー
ター)6から成っている。
【0038】図4において、試料1を下部電極2の面上
に支持させると、両者の界面で電位差が生じる。即ち、
仕事関数の小さい方から仕事関数の大きい方に電子が移
動し、仕事関数の小さい物質は正に、大きい物質は負に
帯電する。こうして生じた電位差V0 は前記式(5)
表わされる。
【0039】図4の測定回路において、上部電極3の振
動によって発生する電流は、下記式(16) i=εSαω(X)sin(ωt)/[a(t)+(ε/εa)a 但し、X=V−Vsample/Au−(ρa/2εa)a (16) で与えられる。ここで a :トナー層厚さ εa :トナー層の見掛けの誘電率 S :上部電極の面積 a :平均電極間距離 ρa:体積電荷密度 Vsample/Au:Auに対する試料の接触電位差 V :印加電圧 α :上部電極の振幅 ε:空気の誘電率 ω :上部電極の振動数 である。
【0040】発生電流iは上部電極の振動に合わせて変
動するが、印加電圧Vを変えて発生電流の振幅をゼロに
すると、i=0が成立する印加電圧が存在する。即ち、
この時の印加電圧Vを見掛けの接触電位差V´とする
と、前記式(16)より、下記式(17)´=Vsample/Au + (ρa/2εa)a (17) が得られる。
【0041】ここでトナー層の体積電荷が緩和すると、
次式(18)のように、印加電圧が直接Auに対する試
料の電位差として測定される。 V0 = Vsample/Au (18) が得られる。
【0041】図4の測定回路には、測定制御用コンピュ
ータ7、及びコンピュータと可変圧デジタル電源及びデ
ジタル電流計とを接続するインターフェース(GP−I
Bインターフェース)8が付加されている。
【0042】測定制御用コンピュータ7は、(i)測定
印加電圧及びそのステップと測定点数とを設定し、(i
i)印加電圧及び検出電流値を保存し、(iii) これらか
ら絶対値としての電力を積分により算出し、(iv)印加電
圧と電力とに関して一次回帰を求め、電力ゼロの印加電
圧をトナーの接触電位差として算出するものである。こ
の装置では、コンピュータ7に、測定印加電圧及びその
ステップと、測定点数とを設定することにより、インタ
ーフェース8を通して、可変圧電源5による電極2,3
への印加電圧が自動的に切換えられ、上部電極3の振動
により変化する電流が、設定された測定点数だけ、電流
計6からインターフェース8を介してコンピュータ7に
取り込まれる。このため、多数の測定値を、ロスタイム
なしに、精度よくコンピュータに取り込むことができ
る。また、インターフェース8をとおして取込まれる印
加電圧及び検出電流値は、ファイルの形でコンピュータ
内に保存されるので、これは後で述べるデーテ解析に利
用されるばかりではなく、必要なときにはこれを取り出
して、チェックや比較参照の目的にいつでも利用でき
る。
【0043】ところで、両電極間に流れる電流は、上部
電極の振動に合わせて変動する交流となるので、正から
負へ変動する値となる。また印加電圧も正と負との間で
変動する値となる。このため、サンプリングされた電圧
値及び電流値について絶対値をとり、これらを積分して
電力値を算出する。この算出は、演算プログラムにより
迅速に行われる。
【0044】次いで、印加電圧と電力とに関して一次回
帰を求め、電力ゼロの印加電圧をトナー或いはキャリア
の接触電位差として算出する。これらの演算やデータ解
析の結果も全てファイルに保存できる。測定に際して、
印加電圧Vを変えたときの発生電流でi(t)を、GP
−IB(general port interface
bus)インターフェースを介して一定微小時間、例
えば8msec毎に、一定印加電圧について多数点、例
えば400点、コンピュータに入力することにより解析
的に振幅がゼロになる印加電圧を求める。
【0045】図5は、測定開始印加電圧−10V,測定
終了印加電圧+10V,ステップ1Vで、試料としてア
クリル樹脂微粉末を用いたときのコンピュータによる印
加電圧−電流値の出力結果であり、図中のワンドットが
一つの測定点に対応する。
【0046】図6は、図5の測定値から絶対値としての
電力を積分により算出し、印加電圧と電力とに関して一
次回帰を行った結果についてのコンピュータによる出力
を示す。この結果によると、電圧の上昇に伴って電力が
減少する負の勾配の直線部分と、電圧の上昇に伴って電
力が増大する正の勾配の直線部分とがあるが、正の勾配
の直線部分を電力がゼロの線を基準として折り返すと、
これら両直線部分は完全な一直線となり、別の言い方を
すると、負の勾配の直線部分と正の勾配の直線部分との
折り返し点は電力がゼロの座標軸上に必ず位置する。こ
の一次回帰の相関係数は、例えば1.00と非常に高い
ものである。かくして、電力ゼロの印加電圧として、接
触電位差V0 、図において1.124Vが自動的に求め
られることになる。
【0047】接触電位差V0 は図6における負の勾配の
直線部分からも、また正の勾配の直線部分からも求める
ことができるが、両方の直線部分から、特に一方の勾配
部分を電力ゼロの軸に対して対称に折り曲げて、電力ゼ
ロの印加電圧を求めるようにすると極めて精度の高い接
触電位差V0 を求めることができる。この測定におい
て、試料1個について必要な測定時間(設定時間やデー
タ解析に要する時間を除く)は、印加電圧のステップ数
や測定点数によっても相違するが、一般に180乃至3
00秒程度であり、極めて短時間の内に接触電位差V0
´の測定を行い得る。
【0048】図4の測定装置において、測定セル10内
に下部電極2及び上部電極3が収納されており、この測
定セル10は外部ノイズから測定セル10を遮断するた
めのシールド11内に収納されている。更に、このシー
ルド11は、測定を一定条件、即ち恒温恒湿条件下で行
うための恒温恒湿槽12内に収納されている。
【0049】下部電極2は、電極支持部材13上に着脱
自在且つ位置決めされた状態で電気的に接続されるよう
に設けられており、電極支持部材13は、測定セル10
に絶縁部材14を介して固定されている。セルともなる
下部電極2は、図7に示すように、一定の深さだけ上面
から凹んだトナー層充填セル15を有し、この中に一定
充填率の試料トナー層1が充填されている。電極の測定
面の径は、一般に30乃至50mmの範囲にあるのがよ
い。尚、本実施例では、径39mmで、深さが3mmの
充填セルを備えたニッケルメッキのものを使用した。
【0050】測定セル10及びシールド11は共に接地
されており、電極支持部材13はケーブル16を介して
デジタル電流計(エレクトロメーター)6に接続されて
いる。接続ケーブル16は通常の2軸ケーブルでもよい
が二重シールドを設けた3線の同軸ケーブルを用いる
と、外部ノイズが入ることなく、精度の高い測定が可能
となる。
【0051】支持軸18を通って、接続ケーブル19が
延びており、上部電極3と可変圧電源5とを電気的に接
続している。上部電極3は、好適には金メッキ板等で構
成されている。上部電極3の振動数及び振幅は、適宜設
定できるが、振動数は一般に60乃至120rpm(回
/分)の範囲に、また振幅は2.0乃至3.0mmの範
囲にあるのがよい。本実施例では振動数を72rpm、
振幅を2.5mmとした。この装置において、可変圧電
源5の制御及びデジタル電流計6からの電流値の取り込
みは、GP−IBインターフェース8を経て、測定制御
用コンピュータにより行う。
【0052】先ず、測定項目として、接触電位、誘電率
或いは電気抵抗の何れかを選択する。接触電位測定の場
合、測定条件を設定する。先ず、測定点数、即ち一定電
圧についての測定点数を設定する。測定点数は一般に5
0乃至500点が適当であり、本実施例では印加電圧の
範囲等を定める予備試験の場合50点、本試験の場合4
00点を設定した。次いで、電圧計測定レンジ及び電流
計測定レンジを、試料の種類に応じて設定した後、測定
開始印加電圧、測定終了印加電圧及びステップ電圧(電
圧のキザミ幅)を設定し、最後に測定データを保存する
ファイル名を入力する。
【0053】これにより測定がスタートし、前述したと
おり、電極の振動、電圧の印加及び電流の検出が、微小
時間毎に設定され点数だけコンピュータに取り込まれ、
この操作がステップの電圧ごとに測定終了電圧迄行われ
る。これらの測定データは、オープンされたファイルに
保存され、測定結果は、印加電圧と電流値との関係のプ
ロットとして、コンピュータのCRTに表示される。
【0054】コンピュータ7は、プログラムに従い、デ
ータ解析を行い、各印加電圧について絶対値としての電
力を積分により算出し、次いで印加電圧と電力とに関し
て一次回帰を求め、電力がゼロの印加電圧をトナーの接
触電位差として算出し、測定結果を表示する。
【0055】[トナー] 本発明が対象とするトナーとしては、表面の少なくとも
一部が樹脂乃至樹脂組成物で形成されている任意のトナ
ーが挙げられる。これらのトナーの粒径は、一般に3乃
至17μm、特に5乃至15μmの範囲にあるものが適
当である。また、その粒子形状は、球状、顆粒状、ダイ
ス状、楕円体状、円柱状、不定形状等の任意の形状であ
ることができる。これら何れのトナーについても、接触
電位差は、前述した方法で求めることができる。
【0056】二成分現像剤用トナーとしては、顕電性と
定着性とを有する着色トナーが使用され、このものは一
般的に言って結着剤樹脂中に、着色顔料、導電剤、荷電
制御剤等を分散させた粒状組成物から成る。
【0057】これらのトナー成分である結着剤樹脂とし
ては、熱可塑性樹脂や、未硬化乃至は初期縮合物の熱硬
化性樹脂が使用される。その適当な例は、ポリスチレン
等のビニル芳香族樹脂、スチレン−アクリル共重合樹
脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリ
エステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、石油樹
脂、オレフィン樹脂等である。
【0058】着色顔料としては、例えばカーボンブラッ
ク、カドミウムイエロー、モリブデンオレンジ、ピラゾ
ロンレッド、ファストバイオレットB、フタロシアニン
ブルー等の1種又は2種以上が使用される。導電剤とし
ては、黒色トナーの場合カーボンブラックが使用され、
一方カラートナーの場合スズ系導電剤等が使用される。
【0059】荷電制御剤としては、例えばニグロシンベ
ース(CI 50415)、オイルブラック(CI 26150)、スピロン
ブラック等の油溶性染料等の正電荷制御剤や、金属錯塩
染料、ナフテン酸金属塩、脂肪酸金属石鹸、樹脂酸石鹸
等の負電荷制御剤が必要により使用される。
【0060】上記の低分子量の電荷制御剤を使用する代
わりに、トナー用樹脂の少なくとも一部として、カチオ
ン性極性基或いはアニオン性極性基を有する共重合樹脂
乃至樹脂組成物を用いることができる。カチオン性極性
基としては、第1級、第2級或いは第3級アミノ基、第
4級アンモニウム基、アミド基、イミノ基、イミド基、
ヒドラジノ基、グアニジノ基、アミジノ基等の塩基性窒
素含有基が挙げられる。これらの内でも、アミノ基或い
は第4級アンモニウム基を有するものが好適である。一
方、アニオン性極性基としては、カルボン酸基、スルホ
ン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸
基、或いはこれらの塩の基、更にはハロゲン原子等の電
気陰性度の大きい基等が挙げられる。
【0061】上記電荷制御性樹脂として、カチオン性或
いはアニオン性の極性基含有単量体を、他の単量体乃至
樹脂とランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重
合等の手段で重合させた樹脂が使用される。
【0062】トナー粒子中に磁性粉を含有させることも
でき、含有させる磁性粉としては、四三酸化鉄(マグネ
タイト)、各種フェライト、磁性金属等のそれ自体公知
の磁性粉の何れも用いることができる。この磁性粉の平
均粒径は、一般に0.1乃至10μm 、特に0.1乃至
1μm の範囲にあるのがよい。
【0063】本発明で対象とするトナーは、複合粒子構
造を有するものであってもよい。例えば、この複合トナ
ーは、質量中位径が5乃至15μmの範囲にある球状粒
子から成るホスト粒子と、ホスト粒子の表面に濃密に沈
着した、質量中位径がホスト粒子径の0.1倍以下であ
る微細樹脂粒子から成るゲスト粒子の沈着層とから成
り、且つホスト粒子の接触電位差とゲスト粒子の接触電
位差との絶対値での差が0.01V以上、特に0.05
V以上であるものであってよい。
【0064】上記ホスト粒子は、エチレン系不飽和単量
体の懸濁重合で得られた熱可塑性樹脂粒子であるのがよ
く、一般に単量体と着色剤との組成物を懸濁重合させる
ことにより得られる。ホスト粒子を構成する熱可塑性樹
脂は、前述した樹脂の内から、定着性の見地から選ばれ
る。
【0065】一方、ゲスト粒子は、エチレン系不飽和単
量体の乳化重合で得られた熱可塑性樹脂微粒子であるの
がよく、ゲスト粒子を構成する熱可塑性樹脂は、前述し
た樹脂の内から、電荷制御性を考慮して選択される。例
えば、トナーが正帯電性トナーである場合、ゲスト粒子
が正帯電正樹脂粒子から成るのがよく、また、トナーが
負帯電性トナーである場合、ゲスト粒子が負帯電正樹脂
粒子から成るのがよい。
【0066】ホスト粒子(A)とゲスト粒子(B)と
は、R=B/Aの重量基準混合比が1/10000乃至
1/10となるように存在するのがよく、濃密な沈着層
の形成は、両者をブレンドした後、このブレンド物を衝
撃気流粉砕等の機械的処理に付すことにより行われる。
【0067】本発明に用いるトナーには、疎水性の非晶
質シリカ、アルミナ、チタニア等の微粉末を、流動性向
上剤として、トナー当たり0.01乃至1重量%程度外
添することができる。
【0068】[キャリア] 一方、前記トナーと組合せで使用される磁性キャリヤと
しては、四三酸化鉄(マグネタイト)、各種フェライ
ト、鉄粉等のそれ自体公知のものを何れも用いることが
できる。これらの磁性キャリアーは、磁性体粒子そのも
のでも、磁性体粒子の表面を樹脂で被覆したものでも、
また、磁性体微粒子を結着剤樹脂で結合して造粒したバ
インダーキャリアーであってもよい。
【0069】この磁性キャリヤの平均粒径は、一般に2
0乃至200μm 、特に40乃至130μm の範囲に設
定することが望ましく、また50KOe で測定した飽和磁
化が30乃至70emu/g 、特に40乃至50emu/g の範
囲にあるものが好適である。
【0070】上記磁性キャリヤは、その表面が樹脂で被
覆されていることが好ましい。樹脂を被覆することによ
り、最適な現像状態を長期間維持することができ、耐刷
枚数を飛躍的に向上させることができる。
【0071】磁性キャリアーを被覆するための樹脂とし
ては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、アク
リル変性シリコーン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹
脂、ロジン変性フェノール樹脂、ホルマリン樹脂、セル
ロース樹脂、ポリエーテル樹脂、スチレン−ブタジエン
樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、
メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、4フッ化エチレ
ン等のフッ素樹脂等の樹脂を単独或いは2種以上を混合
して使用することができる。これらの被覆樹脂は、帯電
電荷を制御するため、前述したカチオン性極性基或いは
アニオン性極性基を有していることが好ましい。キャリ
ヤ芯材100重量部に対して樹脂成分が0.1 乃至10重
量部、特に0.2 乃至5重量部の範囲で使用するのが好ま
しい。
【0072】バインダー型キャリアにおいては、前述し
た磁性粉を前述した結着樹脂中に分散させたものであ
り、磁性粉は、結着樹脂100重量部当たり100乃至
800重量部、特に300乃至400重量部の量で用い
るのがよい。この結着剤中に荷電制御剤を含有せしめう
ることも同様である。
【0073】[現像剤における帯電制御] 二成分現像剤の帯電は、現像容器内に上記トナーとキャ
リアとから成る二成分現像剤を充填し、これを攪拌して
摩擦帯電させることにより行われるが、最大帯電量Qma
x の制御は、前記式(1)または(2)に従い、キャリ
アに対するトナーの接触電位差VT/C を制御すること、
即ち、式(7)の接触電位差の加成性に基づいて、所定
の接触電位差を与えるトナーとキャリアとを選択し、組
み合わせることにより行われる。この場合、一定の種類
の樹脂或いは更に電荷制御剤を含むトナーでは、また一
定の磁性コアと一定の種類のコート樹脂を有するキャリ
アでは、係数kが一定となるという事実があるので、ト
ナーの選択及び組み合わせは容易である。
【0074】また、前記式(3)に従い、トナーの緩和
時定数τr及び帯電時定数τgを制御することにより、
トナーの帯電立ち上がり特性ΔQを制御できる。特に、
トナー流動性の指標である圧縮度と帯電時定数τgとの
間にはよい相関があるので、この圧縮度を制御すること
により、式(4)に従い帯電の立ち上がり特性を制御す
ることができる。
【0075】更に、前記式(14)に従い、トナーの緩
和時定数τrを制御することにより、帯電の安定性を制
御することができる。
【0076】二成分現像剤におけるトナー濃度(T/
D)は、一般に1乃至5重量%の範囲から、所定の最大
帯電量Qmax が得られるように決定するのがよい。
【0077】
【実施例】本発明を、次の例により、更に詳しく説明す
る。実施例における各種物性の測定は次の通り行った。
【0078】[摩擦帯電特性の評価] 摩擦帯電特性の評価は、トナーとキャリア粒子から構成
される2成分現像剤の複写機内での挙動を考慮して行っ
た。すなわち、トナーはホッパーから補給されると、現
像器内でキャリア粒子と攪拌混合されることによって電
荷を帯びる。このシステムを模擬的に実現させるため
に、次の方法でトナーとキャリア粒子の摩擦帯電を行っ
た。まず、正確に秤量したトナー0.018gとキャリア粒子
0.582gをポリプロピレン製円筒容器(容量:3ml )内に
入れ、そのまま24時間以上放置した。次に、2本ロール
上で容器を回転 (100r.p.m.) させることによって両粒
子の摩擦帯電を行った。その結果、キャリア粒子の周り
にトナーが静電的に付着し、2成分現像剤が作製され
る。容器を一定時間回転させた後、直ちに2成分現像剤
を図8に示すファラデーケージ内に移し替え、ブローオ
フ法(試作機)によって帯電量を求めた。このようにし
て容器の回転時間を変えて同様の実験を繰り返し、トナ
ーの帯電立ち上がり特性を評価した。なお、測定は温度
18〜20℃、相対湿度40〜50%の環境で行った。
【0079】[試料粉体の接触電位差の測定] 接触電位差の測定は、図4に示す装置を用いて行った。
尚、検出部を、ノイズ対策のための電磁シールドを介し
て、シリカゲルを入れたデシケータの中に設置すること
によって、温度を18〜20℃、相対湿度を9〜13%に維持し
た。本装置の測定精度は、データ処理の自動化および微
少電流測定におけるノイズ対策により、±0.005V 以内
にすることができた。試料粉体の接触電位差の測定は、
下部電極セル内に電磁振動を1分間与えながら充填し、
SUS304製の金属刃を用いて表面を水平にカットし、粉体
層の初期電荷を除電した後に検出部に設置して行った。
粉体層の初期電荷の除電には、軟X線照射除電装置(高
砂熱学工業社製, IRISYS-SX)を用いた。接触電位差
は、式(17)を用いて、既に述べた方法により求め
た。
【0080】[トナーの調製] トナーは、以下に述べるホスト粒子とゲスト粒子とのブ
レンド物を機械的に処理することにより調製した。ホス
ト粒子としては、球形のポリメチルメタクリレート(PM
MA)粒子(綜研化学社製;MX-1500) の微粉部分を、遠
心式空気分級機(日清エンジニアリング社製,TC15)に
よってカットしたもの(質量中位径15.2μm)を用い
た。また、ゲスト粒子としては、ほぼ単分散のスチレン
アクリル粒子(綜研化学社製;MP-5000;質量中位径0.4
μm)を用いた。トナー作製の前処理として、撹拌混合
機(奈良機械社製, OMD-3)によって、上記ホスト粒子
とゲスト粒子の予備混合を行った。なお、攪拌条件とし
てはホスト粒子の周りにゲスト粒子が均一に付着するよ
うな条件を種々検討し、回転数を1800r.p.m., 処理時間
を1分間とした。予備混合後の試料粉体の機械的処理に
は、高速気流中衝撃システム(奈良機械社製, HYB-1)
を用いた。なお、予備混合されたゲスト粒子とホスト粒
子が完全に固定化されること、および両粒子の表面が処
理によって化学的に変化しないことを考慮して、回転数
を8000r.p.m., 処理時間を30分間とした。
【0081】表1に、作製したトナーのゲスト粒子添加
率R(ホスト粒子に対するゲスト粒子の重量比)と見掛
けの誘電率εa [Fm−1]および見掛けの比抵抗ρ[Ωm]
の測定結果を示す。なお、R = 0のトナーとは、ホスト
粒子のことを表す。表1に示したεa [Fm−1]は、電極
間距離を一定にした平行平板セルに同一条件で粉体を充
填し、静電容量計(Kuwano製, MC-118)を用いて求め
た。また、ρ[Ωm]はJIS規格(JIS B9915)に基づいて
求めた。
【0082】
【表1】
【0083】図9の(a),(b),(c),(d) に、R = 0.05, 0.
15における機械的処理前後の走査型電子顕微鏡写真の一
例を示す。これらの観察結果より、予備混合によってホ
スト粒子の周りにほぼ均一に付着したゲスト粒子が、機
械的処理を施すことによって表面上にほぼ一様に且つ濃
密にコーティングされていることがわかる。
【0084】[キャリアーの調製] 一方、キャリア粒子は以下の手順で作製した。すなわ
ち、流動層コーティング装置(フロイント産業社製, SP
IR-A-FLOW )を用いて、フェライト製コア粒子(同和鉄
粉社製, 質量中径88.1μm,比重4.8 )の周りに電子吸
引性のフッ化ビニリデン(ダイキン工業社製, CA-16 )
をコーティングし、これを一定温度のオーブン内で硬化
させた。なお、作製したキャリア粒子の樹脂コーティン
グ率(キャリアコア粒子に対する樹脂の重量比)をカー
ボンアナライザー(堀場製作所製,EMIA-110)によって
定量した結果、0.32wt% であった。また、見掛けの誘電
率εa[Fm−1]および抵抗率ρ[Ωm]の測定結果は、
れぞれ、 εa =6.89×8.85×10−12[Fm−1] ρ=8.78×10Ωm であった。
【0085】[摩擦帯電特性の評価] 摩擦帯電特性の評価は、トナーとキャリア粒子から構成
される2成分現像剤の複写機内での挙動を考慮して行っ
た。すなわち、トナーはホッパーから補給されると、現
像器内でキャリア粒子と攪拌混合されることによって電
荷を帯びる。このシステムを模擬的に実現させるため
に、次の方法でトナーとキャリア粒子の摩擦帯電を行っ
た。まず、正確に秤量したトナー0.018gとキャリア粒子
0.582gをポリプロピレン製円筒容器(容量:3ml )内に
入れ、そのまま24時間以上放置した。 次に、2本ロー
ル上で容器を回転 (100r.p.m. ) させることによって両
粒子の摩擦帯電を行った。その結果、キャリア粒子の周
りにトナーが静電的に付着し、2成分現像剤が作製され
る。容器を一定時間回転させた後、直ちに2成分現像剤
を図8に示すファラデーケージ内に移し替え、ブローオ
フ法(試作機)によって帯電量を求めた。このようにし
て容器の回転時間を変えて同様の実験を繰り返し、トナ
ーの帯電立ち上がり特性を評価した。なお、測定は温度
18〜20℃、相対湿度40〜50% の環境で行った。
【0086】[帯電立ち上がり特性の測定結果と帯電曲
線の解析] 表1のトナーについて、摩擦時間[s]に対するトナーの
比電荷Q[μC/g] の経時変化を図2に示す。すべてのト
ナーは、一定時間経過後に最大値Qmax[μC/g]に達し、
その後、減少する傾向を示した。また、Qmax[μC/g]に
到達するまでの時間は、ゲスト粒子添加率Rが大きい方
が長いことがわかる。なお、図2中の実線は式(13)
及び(14)のプロットであり、計算値と実測値とはよ
く一致した。
【0087】次に、緩和時定数τr[s]と帯電時定数τ
g[s]に関する検討を行った。帯電時定数τgは、図2
に示した帯電の立ち上がりの傾きが、式(4)であるこ
とより逆算して求めた。図10に、緩和時定数τrおよ
び帯電時定数τgとRの関係を示す。Rの変化に対し
て、緩和時定数τrはほとんど変化していないが、帯電
時定数τgはRの増加とともに大きくなる傾向がある。
【0088】帯電時定数τgのこの傾向を明らかにする
ために、帯電の立ち上がり特性の検討を行った。帯電時
定数τgは、式(8)に示す通り、接触頻度に関係する
定数なので、トナーの流動性との関係を調べた。図3
に、トナーの帯電時定数τgとパウダーテスター(ホソ
カワミクロン社製, PT-E ) によって測定した粉体の流
動性の指標となる圧縮度C[%] の関係を示す。帯電時定
数τgとC [%]には良い相関があり、図2に示した6種
類のトナーの最大値に到達するまでの時間は、トナーの
流動性に依存することがわかった。これは、トナーの流
動性が良いとキャリア粒子との接触頻度が大きくなるた
めと考えられる。
【0089】[接触電位差の測定結果と最大帯電量の解
析] 図11に、図4に示した装置によって測定したトナーの
Auに対する接触電位差VT/Au [V]とRとの関係を示す。
ホスト粒子の接触電位差は、Rが増加するに従って連続
的に変化し、ゲスト粒子の接触電位差に近ずくことがわ
かる。これは、図9に示したトナーのSEM 写真からもわ
かるように、Rの増加に従い、ホスト粒子の表面がゲス
ト粒子でコーティングされるためであると言える。
【0090】また、キャリア粒子のAuに対する接触電位
差VC/Au [V]を別途測定した結果、−0.167Vであ
った。
【0091】図1に、トナーをキャリア粒子と摩擦帯電
させたときの最大帯電量Qmax[μC/g]と、トナーのキャ
リア粒子に対する接触電位差VT/C の関係を示す。これ
より、すべての試料粉体に対し、最大帯電量Qmax と接
触電位差との関係は原点を通る1本の直線で表されるこ
とがわかる。
【0092】トナーとキャリア粒子との間における摩擦
帯電特性に関する検討を行った結果、以下の結論が得ら
れた。 (1) トナーの比電荷は、キャリア粒子と一定時間摩擦後
に最大値に達し、その後は減少する傾向がある。また、
最大値に到達するまでの時間は、ゲスト粒子の添加率の
大きいほうが長い。 (2) トナーとキャリア粒子の帯電立ち上がり特性の実験
結果は、両者の接触頻度を考慮に入れた帯電モデル式に
よって説明できる。また、帯電の安定性は緩和時定数に
依存する。 (3) 帯電時定数とトナーの流動性には、良い相関があ
る。よって、トナーの帯電立ち上がり特性は、緩和時定
数と流動性の評価を行うことによって制御することがで
きる。 (4) トナーの最大比電荷とキャリア粒子に対する接触電
位差の関係は、原点を通る1本の直線で表される。した
がって、トナーの最大帯電量はキャリア粒子に対する接
触電位差を何らかの方法によって変えれば制御すること
ができる。
【0093】
【発明の効果】本発明によれば、トナーのキャリアに対
する接触電位差 (VT/C )に基づいて、最大帯電量を
算出することができ、また、算出された最大帯電量とト
ナーの緩和時定数(τr)とトナーの圧縮度とに基づい
て、トナーの帯電立ち上がり特性を算出することができ
る。従って、これらを利用して、所望の帯電特性を有す
る二成分現像剤の設計を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トナーの最大帯電量Qmaxとキャリア粒子に対
する接触電位差との関係を示すグラフである。
【図2】トナーの比電荷の経時変化を、式(13)及び
(14)の計算値のプロットと共に示すグラフである。
【図3】トナーの帯電時定数τgとトナーの圧縮度との
関係を示すグラフである。
【図4】接触電位差の測定装置の電気回路図である。
【図5】接触電位差測定において、印加電圧と電流値と
の関係についての出力を示すグラフである。
【図6】印加電圧と電力との関係についての出力を示す
グラフである。
【図7】下部電極の上面図及び側面図である。
【図8】トナーの帯電量(比電荷)の測定装置の断面図
である。
【図9】実施例のトナーの機械的処理前及び処理後にお
ける粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】トナーの緩和時定数τr及び帯電時定数τg
とゲスト粒子の被覆量比Rとの関係を示すグラフであ
る。
【図11】トナーの接触電位差VT/Auとトナーにおける
ゲスト粒子の被覆量比Rとの関係を示すグラフである。
【記号の説明】
1 トナー層試料 2 下部電極 3 上部電極 4 振動機構 5 可変圧電源 6 デジタル電流計(エレクトロメーター) 7 測定制御用コンピュータ 8 インターフェース(GP−IBインターフェース) 10 測定セル 11 シールド 12 恒温恒湿槽 13 電極支持部材 14 絶縁部材 15 トナー層充填セル 16 ケーブル 18 支持軸 19 接続ケーブル

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トナーとキャリアとの摩擦により帯電さ
    れた二成分現像剤において、下記式(1): Qmax =(k*VT/C)/[1+(τg/τr)] …(1) またはτg/τr <<1の場合には、下記式(2): Qmax =k*VT/C …(2) 式中、Qmax はトナーの最大帯電量(μC/g)であ
    り、 VT/C は前記トナーの前記キャリアに対する接触電位差
    (V)であり、 τrは前記トナーの緩和時定数(sec)であり、 τgは前記トナーの帯電時定数(sec)であり、 kはトナー及びキャリアの種類により定まる係数(F)
    である、に基づいて、トナーの最大帯電量を算出することを特徴
    とする方法。
  2. 【請求項2】 トナーとキャリアとの摩擦により帯電さ
    れた二成分現像剤において、下記式(1): Qmax =(k*VT/C)/[1+(τg/τr)] …(1)またはτg/τr <<1の場合には、下記式(2): Qmax =k*VT/C …(2)式中、 Qmax はトナーの最大帯電量(μC/g)であり、 VT/C は前記トナーの前記キャリアに対する接触電位差
    (V)であり、 τrは前記トナーの緩和時定数(sec)であり、 τgは前記トナーの帯電時定数(sec)であり、 kはトナー及びキャリアの種類により定まる係数(F)
    である、 に基づいて、トナーの最大帯電量を算出し、算出された
    トナーの最大帯電量に基づいて、下記式(3)または下
    記式(4): ΔQ=Qmax*[(1/τr)+(1/(aC+b)] …(3) ΔQ=Qmax*[(1/τr)+(1/τg)] …(4) 式中、 ΔQはトナーの帯電立ち上がり特性(μC*g−1*se
    −1)であり、Qmax は前記式(1)または(2)で算出されたトナー
    の最大帯電量 (μC/g)であり、 τr及びτgは前記の通りであり、 Cは前記トナーについてパウダーテスターによって測定
    した圧縮度(%)であり、 a及びbはトナー及びキャリアの種類によって定まる定
    数である、により、トナーの帯電立ち上がり特性を算出することを
    特徴とする方法。
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