JP3353494B2 - 塗装品質解析装置 - Google Patents

塗装品質解析装置

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JP3353494B2
JP3353494B2 JP25807394A JP25807394A JP3353494B2 JP 3353494 B2 JP3353494 B2 JP 3353494B2 JP 25807394 A JP25807394 A JP 25807394A JP 25807394 A JP25807394 A JP 25807394A JP 3353494 B2 JP3353494 B2 JP 3353494B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗装品質、すなわち塗
着直後や塗着の所定時間後(例えば数分後)における塗
膜中の非揮発性成分を求める塗装品質解析装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】塗装品質の評価、例えば自動車の車体塗
装における塗装品質の評価としては、塗装後に長時間か
けて乾燥させ、乾燥後に塗装の鮮映性、すなわち平滑感
と肉持ち感と光沢感とを検査して評価することが行なわ
れている。上記のごとき塗装品質評価の際に、鮮映性の
評価値にバラツキが発生した場合、その要因としては、
吹き付け時の塗料の種類、膜厚、塗着後の非揮発性成分
(以下、塗着N.Vと略記する)、塗着粘度、塗装ガン
吹き付け圧等が考えられる。これらの要因のうち、代表
的要因としては、塗着N.Vと膜厚とが挙げられるが、
これらの要因は、出来るだけ塗布直後に定量的に把握
し、以後の塗装条件改善に役立てる必要がある。従来、
塗装直後の塗膜面の塗着N.Vを測定するには、車体等
の被塗装体にアルミ箔を貼り付け、塗装ガンで塗料を塗
布した後にアルミ箔を剥ぎ取り、塗布直後のアルミ箔の
重量と乾燥後のアルミ箔の重量とを計測するアルミ重量
法が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】自動車の車体塗装のよ
うに、塗装自動化ラインで次々に塗装を行なう場合に
は、塗装状態の良否を出来るだけ速やかにフィードバッ
クして次の塗装条件を改善し、常に最良の塗装状態に保
つ必要がある。しかし、従来のアルミ重量法では、上記
のように、アルミ箔の添付と剥離工程および乾燥工程や
重量測定工程が必要なため、測定に多くの工程と時間と
が必要であり、かつ、乾燥後のアルミ箔の重量を計測し
た後に初めて塗布直後の塗着N.Vが判明するので、塗
布直後や塗布後の任意の時点(例えば数分後)の塗着
N.Vをリアルタイムで求めることは出来なかった。そ
のため、上記のごとき塗装自動化ラインの要求に応える
ことが出来ない、という問題があった。
【0004】本発明は、上記のごとき従来技術の問題を
解決するためになされたものであり、塗着直後や塗布時
点から所定時間後における塗膜中の非揮発性成分を、非
接触で、かつ短時間で計測することの出来る塗装品質解
析装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明においては、特許請求の範囲に記載するよう
に構成している。すなわち、請求項1に記載の発明は、
図1(a)に示すごとく、少なくとも塗装前の塗料の非
揮発性成分情報を含む塗装条件を入力する塗装条件入力
手段100と、塗膜面における塗料の微粒化度を入力す
る微粒化度入力手段101と、塗料のシンナー蒸発量情
報を入力するシンナー蒸発量入力手段102と、上記塗
料の非揮発性成分と微粒化度とシンナー蒸発量とに基づ
いて塗布直後の塗膜面の塗着非揮発性成分を演算する第
1の塗着非揮発性成分演算手段103と、を備えてい
る。次に、請求項2に記載の発明は、図1(b)に示す
ごとく、上記請求項1の構成に下記の構成要素を追加し
たものである。すなわち、第1の塗着非揮発性成分演算
手段103で算出した塗布直後の塗着非揮発性成分と塗
装条件入力手段100から入力した塗料の種類情報とに
基づいて、塗布直後の塗膜面の塗料密度を算出する塗料
密度演算手段104と、塗料塗布時点から任意の計測時
点までの時間を入力する計測時間入力手段105と、塗
膜面の膜厚を入力する膜厚入力手段106と、上記塗料
密度と上記計測時間と上記膜厚と上記シンナー蒸発量と
に基づいて、上記の設定した計測時点における塗膜面の
塗着非揮発性成分を演算する第2の塗着非揮発性成分演
算手段107と、を備えている。
【0006】また、請求項3に記載のように、上記第1
の塗着非揮発性成分演算手段103は、上記の入力した
塗料の非揮発性成分およびシンナー蒸発量と上記の入力
した微粒化度から求めた塗料粒子の表面積との関係に基
づいて塗布直後の塗膜面の塗着非揮発性成分を演算する
ものである。また、請求項4に記載のように、上記シン
ナー蒸発量入力手段102は、予め実験によって測定し
た塗装前の塗料の非揮発性成分含有率とシンナー混合比
と温度との関係に応じた単位面積当たりのシンナー蒸発
量を入力するものである。また、請求項5に記載のよう
に、上記微粒化度入力手段101は、塗料を塗布した直
後の未乾燥塗装表面を撮像する撮像手段と、上記撮像手
段からの画像情報を画像処理する画像処理手段と、上記
画像処理手段で処理された画像処理データに基づいて、
塗装表面の凹凸波形の波長分布を算出する波長演算手段
と、上記波長演算手段で求めた波長分布に基づいて微粒
化度を演算する微粒化演算手段と、を備え、上記の演算
した微粒化度を入力するものである。また、請求項6に
記載のように、上記波長演算手段は、塗装表面の凹凸波
形のパワースペクトルにおける長波長領域のピーク波長
を求めるものであり、上記微粒化演算手段は、上記長波
長領域のピーク波長の値と予め実験で求めた塗料粒子径
との関係から、塗料粒子径を算出し、それを微粒化度と
するものである。また、請求項7に記載のように、上記
撮像手段では、塗装表面の複数個所を撮像し、後続の各
手段ではそれぞれの個所について処理を行ない、上記波
長演算手段ではそれぞれの個所における波長値を順次算
出し、かつ、上記複数個の波長値を平均処理する波長平
均処理手段を備え、上記微粒化演算手段では、上記波長
平均処理手段の演算結果に基づいて微粒化度を算出する
ものである。また、請求項8に記載の発明は、請求項7
の発明において、塗料を塗布した直後の未乾燥塗装表面
を、塗装面の異なった個所についてそれぞれ撮像する複
数の撮像手段を備え、それらの撮像手段で撮像した複数
個所の画像情報を順次処理するように構成したものであ
る。
【0007】次に、請求項9に記載の発明は、図2
(a)に示すごとく、上記第1の塗着非揮発性成分演算
手段103または第2の塗着非揮発性成分演算手段10
7で求めた塗膜面の塗着非揮発性成分と、上記塗装条件
入力手段100から入力した塗料の温度とに基づいて塗
膜粘度を演算する塗膜粘度演算手段108を設けたもの
である。なお、図2(a)においては、前記図1(a)
の構成に塗膜粘度演算手段108を追加した例を示して
いるが、図1(b)と組み合わせることも勿論できる。
次に、請求項10に記載の発明は、図2(b)に示すご
とく、上記微粒化度の演算または膜厚の演算に用いる波
長分布を演算する波長演算手段111と、塗膜の膜厚を
演算する膜厚演算手段112と、上記波長演算手段と膜
厚演算手段の演算結果から当該塗装における基準膜厚に
相当する波長を演算する波長補正演算手段113と、を
備え、上記補正後の波長を上記微粒化度の演算に用いる
ように構成したものである。なお、上記微粒化演算手段
114で求めた微粒化度は、上記の各請求項における微
粒化入力手段101からの入力として用いられる。次
に、請求項11に記載の発明は、図2(c)に示すごと
く、上記微粒化度の演算または膜厚の演算に用いる波長
分布を演算する波長演算手段111と、塗装面の曲面情
報を求める曲面演算手段115と、上記波長演算手段で
算出された波長分布に対して、上記曲面演算手段で求め
た結果に応じた曲面補正処理を行なう曲面補正演算手段
116と、を備え、上記曲面補正を行なった後の波長を
微粒化度の演算あるいは膜厚の演算に用いるように構成
したものである。なお、上記微粒化演算手段114で求
めた微粒化度は、上記の各請求項における微粒化入力手
段101からの入力として用いられ、膜厚演算手段11
2で求めた膜厚は、膜厚入力手段106からの入力とし
て用いられる。
【0008】
【作用】請求項1に記載の発明は、塗料の非揮発性成分
と微粒化度とシンナー蒸発量とに基づいて塗布直後の塗
膜面の塗着非揮発性成分を演算するものである。また、
請求項2に記載の発明は、上記塗布直後の塗着非揮発性
成分と塗料の種類とに基づいて、塗布直後の塗膜面の塗
料密度を算出し、塗料密度と計測時間と膜厚とシンナー
蒸発量とに基づいて、任意に設定した計測時点における
塗膜面の塗着非揮発性成分を演算するものである。ま
た、上記の微粒化度や膜厚は、請求項3〜請求項8にそ
れぞれ記載のように、塗装面を撮像した画像を画像処理
することによって演算で求めることが出来る。したがっ
て非接触で極めて短時間に塗布直後や塗布時点から所定
時間後の塗着N.Vを容易に計測することが出来る。な
お、塗着N.Vは、例えば非揮発性成分の含有率で表示
されるが、含有量を用いてもよい。
【0009】また、請求項9の発明においては、求めた
塗着N.Vと入力した塗料の温度とに基づいて塗膜粘度
を演算するものである。塗装品質の評価には、塗着N.
Vの他に塗膜粘度を用いる場合もあるが、本発明におい
ては、求めた塗着N.Vから容易に塗膜粘度を算出する
ことが出来る。また、請求項10の発明は、微粒化度の
演算または膜厚の演算に用いる波長分布を演算する際
に、塗装条件の差によって生じる膜厚差によって誤差が
生じることがあるので、それを補正するように構成した
ものである。このように構成したことにより、塗装部位
ごとの塗装条件の差に応じて膜厚差が生じても、微粒化
度や膜厚を正確に計測することが出来るので、常に正確
な塗着N.V計測を行なうことが出来る。また、請求項
11の発明は、被塗装面が曲面であった場合における曲
面補正機能を設けたものである。これにより、曲面の場
合でも微粒化度や膜厚を正確に計測することが出来るの
で、常に正確な塗着N.V計測を行なうことが出来る。
【0010】
【実施例】図3は本発明の第1の実施例図であり、本発
明を自動塗装ラインに適用した場合のブロック図を示
す。まず、図3に基づいて全体の構成の概略を説明す
る。1は被塗装体(例えば自動車のボディ)であり、塗
装ライン上を所定の速度で移動しながら塗装されるもの
である。2は塗装直後におけるウエット状態の塗装表面
を撮像する撮像部である。撮像する時点は、塗料を吹き
付けたのち所定時間(例えば1〜2分)後に行なう。そ
のため、撮像部2は塗装ラインの移動速度に合わせて、
例えば1〜2分後に車体が到達する位置に設置されてい
る。上記の撮像部2で撮像した塗装表面の画像(詳細後
述)は、画像処理部3で2値化等の画像処理される。な
お、この画像処理部は画像情報を記憶する画像メモリと
コンピュータ等の演算装置で構成される。上記の画像処
理部3で処理された画像処理データは波長演算部4へ送
られる。上記波長演算部4では、パワースペクトル周波
数分析(例えば高速フーリエ変換処理:FFT)を行な
い、入力した画像処理データから塗装表面の凹凸波形の
パワースペクトルPS(特にその長波長領域のピーク波
長λp:詳細後述)を算出する。なお、測定精度を向上
させるため、上記撮像部2では、被塗装体1の複数個所
を撮像し、画像処理部3および波長演算部4では、それ
ぞれの個所について処理を行ない、パワースペクトルP
Sを演算する。
【0011】次に、上記の波長演算部4で算出された複
数個のパワースペクトルPSの値は波長平均処理部7へ
送られる。波長平均処理部7では、上記複数個のパワー
スペクトルPSの値の平均処理を行ない、その結果を微
粒化演算部6へ送る。また、塗装条件入力部5は、例え
ばキーボード等の入力手段であり、中塗り、上塗りベー
ス、上塗りクリア等の塗料の種類についての情報を入力
する。また、微粒化演算手段6は、上記塗装条件入力部
5からの塗装条件と、波長平均処理部7で求めた平均波
長値とに基づいて塗料の微粒化度を演算する(詳細後
述)。また、塗装条件入力部11は、塗布前の塗料の非
揮発性成分(含有率または含有量)を入力する。なお、
この塗装条件入力部11と前記塗装条件入力部5とは別
々に記載しているが、共通のものでよい。また、シンナ
ー蒸発量入力部12は、予め実験で測定した塗料のシン
ナー蒸発量(単位面積当たりの量:詳細後述)を入力す
る。なお、予め実験によって測定した塗装前の塗料の非
揮発性成分含有率と塗装直後の塗着非揮発性成分と塗料
の微粒化度との関係に基づいて単位面積当たりのシンナ
ー蒸発量を算出することも出来る。
【0012】次に、塗着N.V演算部10は、上記微粒
化演算部6から入力した塗料の微粒化度と、上記塗装条
件入力部11から入力した塗布前の塗料の非揮発性成分
と、上記シンナー蒸発量入力部12からのシンナー蒸発
量と、に基づいて塗布直後の塗膜面の塗着N.Vを演算
する(詳細後述)。なお、塗着N.Vの単位は、例えば
単位面積当たりの重量または%である。上記のようにし
て求められた塗着N.Vは、液晶表示装置やCRT表示
装置等の表示器8で表示して作業員に提示すると共に、
塗装条件制御システム9へ送られ、塗装ガン18の動作
条件(塗料の吐出量、ベル回転数、エア圧等)を所望の
微粒化度を達成するための最適条件に保つように制御す
る。なお、上記の各演算部は、コンピュータ等の演算装
置で構成される。
【0013】次に、各部の詳細構造および作用を説明す
る。最初に、撮像部2について説明する。図4は、撮像
部2の一例を示す断面図である。図4に示すように、撮
像部の基本的構成は、光源31、明暗パタン板32、反
射鏡33、レンズ34、CCDカメラ35から成る。上
記の明暗パタン板32は、所定間隔(例えば1mm間
隔)で直線状のスリットが設けられた不透明板(または
透明板に所定間隔で不透明なストライプパタンを印刷し
たもの)である。そして光源31からの平行光線を上記
明暗パタン板32と反射鏡33とレンズ34とを介して
塗装面の斜め方向から照射することにより、被塗装体上
にスリットに対応した縞模様をつくる。この縞模様は、
被塗装体上の凹凸に応じて歪んだ波形(例えば後記図1
9のごとき波形)となる。その反射光をCCDカメラ3
5で撮像し、上記の歪んだ縞模様、すなわち表面粗さの
情報を入力するようになっている。上記のごとき縞模様
の画像情報を画像処理し、パワースペクトル周波数分析
(例えば高速フーリエ変換処理:FFT)を行なってパ
ワースペクトルPSを求める。
【0014】図5は、上記パワースペクトルPSの周波
数特性図であり、縦軸はパワースペクトルPS、横軸は
周波数f(波長λの逆数、f=1/λ)である。図5に
おいて、第1のピーク波形は、前記スリットに対応し
た基本縞による基本波形のパワースペクトル、第2のピ
ーク波形は、塗装表面の凹凸波形の長波長領域(10
〜1mm程度)に対応したパワースペクトル、第3のピ
ーク波形は、凹凸波形の中波長領域(1〜0.1mm
程度)に対応したパワースペクトル、第4のピーク波形
は、凹凸波形の短波長領域(0.1mm以下)に対応
したパワースペクトルを示す。上記のパワースペクトル
波形において、凹凸波形の長波長領域のピーク波長、す
なわち第2のピーク波形のピーク値に対応した波長λ
pは、後記のごとく微粒化度と相関性があり、それによ
って微粒化度を測定することが出来る。図3の実施例に
おいては、画像処理部3と波長演算部4とで上記のごと
き画像処理とパワースペクトルの演算を行なっている。
【0015】次に、波長平均処理部7では、次のごとき
処理を行なう。一般に、自動車の車体塗装のような塗装
自動化ラインでは、上塗り、中塗り、或いは塗装色の違
い等のように、色々な塗料を用いるため、その塗料の種
類に応じた条件を入力する必要がある。また、車体のよ
うな大型の被塗装体の場合には、吹き付け面積が大きい
ため、塗装部位によっては塗装条件が必ずしも均一にな
らない場合がある。したがって精度のよい計測を行なう
ためには、塗装表面の複数個所を撮像し、それらの各部
位におけるピーク波長λpの平均値を用いて微粒化演算
や膜厚演算を行なうことが望ましい。図3の実施例は、
上記の理由により、撮像部2では塗装面の複数個所の撮
像を行なってその画像情報を順次演算処理し、求められ
た複数のピーク波長λpを波長平均処理部7で平均化し
た値を微粒化演算部6へ送る。また、塗装条件入力部5
を設けて塗装の種類等に応じた情報を入力し、微粒化演
算部6では、上記の平均化したピーク波長λpの値と塗
装条件とに応じて微粒化度を演算するように構成してい
る。
【0016】次に、微粒化演算部6における微粒化度計
測の原理について説明する。まず、図6に基づいて、塗
装時における塗装面への塗料粒子の付着と塗装膜面の形
成過程について説明する。図6(a)に示すように、塗
装ガンから塗装面へ向けて微粒化した塗料粒子を吹き付
ける。この際、塗料粒子の平均粒子径は、基本的には、
塗装条件である塗料速度(下記、、)と空気速度
(下記)と塗料物性(下記)によって決まる。ただ
し、上記の〜は次の通りである。 塗装ガンの吐出量 塗装ガンのベル回転数 印加電圧 エア圧 塗料物性(粘度、表面張力、密度) なお、ベル回転数とは塗料を微粒化する回転体の回転数
であり、印加電圧とは塗料粒子に静電気を付加するため
に印加する静電圧(50kV程度)であり、エア圧と
は、塗料粒子が周辺に飛散しないように周囲に気流の壁
を作るための気圧である。上記のようにして吹き付けら
れた塗料粒子は、塗装面に衝突し、つぶれた形で付着す
る。
【0017】次に、図6(b)に示すように、塗膜形成
の初期には、付着した小さな塗料粒子が大きな塗料粒子
に結合され、より大きな粒子を形成する。そして、さら
に粒子の結合が進み、表面張力と境界張力とによって初
期の塗膜面が形成される。上記のように粒子の付着と結
合によって塗膜が形成されていくため、初期の塗膜表面
状況は大きな塗装粒子の粒子径r、粒子衝突速度vx、
塗料物性(表面張力γ、粘度η)等に依存する。例え
ば、上塗り塗料の場合、初期塗膜表面の凹凸の高さは数
〜数十μm程度であり、また、凹凸の波長分布は3〜6
mm程度の長波長領域が支配的であることが確認され
た。そして上記の長波長領域のピーク波長λと大きな塗
料粒子の粒子径rとには相関性があることが実験によっ
て確認された。次に、図6(c)に示すように、上記の
初期塗膜形成後の塗膜表面は、レベリング力(表面張力
γと重力gとの合成力)によって次第に平坦化して行
く。この平坦化速度は上記のレベリング力と塗料物性
(表面張力γ、粘度η)および膜厚hによって決定され
る。例えば、上塗り塗料の場合、平坦化速度は時定数で
数十秒〜数百秒であることが確認されている。
【0018】次に、塗料粒子径と塗膜面の凹凸との関係
について図7〜図10に基づいて詳細に説明する。図7
に示すように、塗装ガンから吹き付けられた塗料粒子の
粒子径をrとし、それが付着した付着粒子の幅をλ/
2、厚さ(ピーク値)をhとすれば、波長λの凹凸を持
つ塗膜面が形成される。なお、上記付着粒子の幅λ/2
と波長λとの関係は、実験的に求められたものであり、
ほぼこの程度の値になることが確認されている。上記の
場合における塗料粒子径rは、下記(数1)式で示され
る。
【0019】
【数1】
【0020】上記の理論式をグラフに示すと、図8の破
線で示すごとき曲線となる。しかし、実際には、付着粒
子の結合があるため、図8の実線で示すような特性とな
る。この実験で求めた特性を数式で示すと、下記(数
2)式のようになる。
【0021】
【数2】
【0022】ただし ks:補正係数 λp:塗膜面の凹凸のピーク波長(前記長波長領域のピ
ーク波長に相当) a、β:定数 上記のごとき実験で求めた凹凸のピーク波長λpと塗料
粒子径rとの関係を、付着粒子の結合を考慮して解析す
る。まず、図9に示すように、付着粒子径Rは、塗布時
間が大きくなるに従って順次大きくなる。この関係を数
式で示すと下記(数3)式のようになる。
【0023】
【数3】
【0024】なお、図9において、塗布時間とは1ヶ所
に塗布する持続時間であり、初期粒子径とは付着前の塗
料粒子径であり、付着粒子径とは最初に付着したときの
粒子径である。この付着粒子径Rは塗布時間が長くなる
に従って順次塗布される粒子が結合するので次第に大き
くなる。
【0025】また、図10は、塗布時間と塗膜面の凹凸
波長との関係を、実測値(破線)と周波数解析によるパ
ワースペクトルから求めた結果とについて比較した特性
図である。図10から判るように、パワースペクトルか
ら求めた値は実測値によく一致している。したがってパ
ワースペクトルから求めた凹凸波長(前記長波長のピー
ク波長λp)を用いて付着粒子径Rを求めることが出来
る。さらに、自動塗装機においては、塗布時間は一定で
あるから、下記(数4)式によって塗料粒子径rも求め
ることが出来る。 2r(t)=λp(t) …(数4) 上記のごとき考察により、基本的には前記(数2)式に
より、パワースペクトルから求めた凹凸の長波長領域の
ピーク波長λpを用いて、塗料粒子径rを求めることが
出来る。具体的には、実験で前記図8の特性を求め、そ
れから(数2)式の各係数ks、a、βを予め求めてお
けば、撮像画像から求めたピーク波長λpを用いて塗料
粒子径rを求めることが出来る。なお、塗料粒子の粒子
径rは塗料の微粒化の程度に対応しているから、塗料粒
子の粒子径rをそのまま用いて微粒化度を表してもよい
し、或いはrの逆数、もしくは基準値との百分率などを
用いて微粒化度を表すことも出来る。
【0026】次に、塗着N.V演算部10における塗膜
面の塗着N.Vの算出原理とシンナー蒸発量入力部12
におけるシンナー蒸発量演算とについて説明する。図1
1は、塗装ガンから噴射された塗料粒子が被塗装面に付
着するまでの状況を示す図である。図11に示すよう
に、塗料粒子からは飛行中および付着後に溶剤(揮発性
成分)が蒸発し、塗膜が完全に乾燥した状態では非揮発
性成分のみが残ることになる。なお、塗料が塗装ガンか
ら噴射された時点から被塗装体に付着するまでの時間
は、塗装ガンと被塗装体との距離によって変わるが、一
般に、0.1秒〜0.5秒程度である。
【0027】上記のごとき状況において、付着直後の塗
着N.VをX1とすれば、X1は下記(数5)式で与えら
れる。 X1=M1×X0/(M1−V×S1×t) …(数5) ただし、M1:飛行中の塗料粒子の質量 X0:塗布前の塗料のN.V(塗料濃度) V:シンナー蒸発速度(単位面積当たりの値) S1:飛行中の塗料粒子表面積 t:塗料噴射時点からの経過時間(塗料粒子の飛行時
間) また、上記のシンナー蒸発速度Vは、下記(数6)式で
与えられる。 V=V(C,T,X0) …(数6) ただし、C:シンナー混合比 T:温度(塗料温度または雰囲気温度) また、塗料粒子の質量M1は下記(数7)式で与えられ
る。 M1=(1/6)×πR3×ρ0 …(数7) ただし、R:塗装粒子径 ρ0:塗料密度 また、塗料粒子表面積S1は下記(数8)式で与えられ
る。 S1=πR2 …(数8) したがって、上記の(数7)式、(数8)式を(数5)
式に代入することにより、塗着N.V=X1(%)を表す
数式として下記(数9)式が得られる。
【0028】
【数9】
【0029】単位面積当たりのシンナー蒸発量は、蒸発
速度V×時間tで示される。このシンナー蒸発量Vtを
上記(数5)式と(数9)式から求めると、下記(数1
0)式に示すようになる。 Vt=(1/6)×R×ρ0(X1−X0)/X1 …(数10) なお、シンナー蒸発量Vtは上記(数6)式に示すよう
に、塗布前の塗料のN.V(塗料濃度)X0とシンナー混
合比Cと温度Tとの関数であるから、それらの諸量との
関係を予め実験で求めて記憶しておき、それを読み出し
て用いればよいが、上記(数10)式から求めてもよ
い。上記(数9)式に示すように、塗装条件が一定であ
れば、付着後の塗着N.Vは、シンナー蒸発量Vtと塗
料粒子径Rと塗料密度ρ0から演算で求めることが出来
る。前記図3の実施例においては、シンナー蒸発量Vt
はシンナー蒸発量入力部12から入力した値を用い、塗
料粒子径Rは微粒化演算部6で求めた値を用い、塗料密
度ρ0は塗装条件入力部11から入力した値を用いる。
【0030】次に、図12は、本発明の第2の実施例の
ブロック図である。この実施例は、塗着粘度演算部17
を追加したものであり、その他の部分は前記図3と同様
である。塗着粘度演算部17は、塗着N.V演算部10
で求めた塗着N.Vの値Yと塗装条件入力部11から入
力した塗料温度Tとに応じて、下記(数11)式によっ
て塗着粘度ηを演算する。 η=(k5−k6T)Y+k7 …(数11) ただし、k5、k6、k7:定数 図13は、上記(数11)式に示した塗着N.Vと塗着
粘度ηとの関係を示す特性図である。図13に示すよう
に、塗着粘度ηは塗着N.Vの値Yと塗料温度Tとによ
って定まる値である。したがって、予め実験によって
(数11)式の定数k5、k6、k7の値を定めておけ
ば、塗着N.V演算部10で求めた塗着N.Vの値Yと塗
装条件入力部11から与えた塗料温度Tとによって塗着
粘度ηの値を容易に算出することが出来る。この塗着粘
度ηを塗装条件制御システム9に与え、塗着N.Vの代
わりに用いて塗装条件を最適値に保つように制御する。
なお、塗着粘度ηの値は、塗着後の塗装面の平滑速度等
に大きな影響を及ぼすので、塗装品質を評価する場合、
塗着N.Vを用いてもよいが、塗着粘度を用いて評価す
ることも出来、必要に応じて適宜選択すればよい。
【0031】次に、図14は、本発明の第3の実施例の
ブロック図である。この実施例は、膜厚の差異による波
長分布演算に生じる誤差と、被塗装面が曲面であった場
合に波長分布演算に生じる誤差とを補正する機能を付加
したものである。上記の補正演算を説明する前に、表面
粗さ演算部14と膜厚演算部15における膜厚演算につ
いて説明する。図15は、塗装後の塗膜の断面図であ
る。塗装直後には、(a)に示すように、塗装表面は初
期の付着粒子の結合によって凹凸状態になっている。そ
して時間の経過と共に、(b)に示すように、レベリン
グ力によって次第に平滑化され、最終的には、(c)に
示すように、平滑化状態となる。本実施例においては、
このような平滑化現象に着目し、ウエット状態における
塗装表面の凹凸状態を測定し、それによって平滑化後、
或いは乾燥後の塗装膜厚を算出するものである。上記の
ごときウエット状態における凹凸状態を測定するには、
光干渉式表面粗さ計など種々の方法(例えば「機械工学
便欄 日本機械学会1989年9月30日 新版3刷発
行 B2編 207頁〜208頁」に記載)があるが、
ここでは撮像手段(例えばCCDカメラ)で塗装表面を
撮像し、その情報を画像処理する方法について説明す
る。
【0032】まず、パワースペクトル積分値Pによる平
滑化特性を説明すると、表面の凹凸(ピーク・ツウ・ピ
ーク値)の面積平均値に相当する表面粗さRaとパワー
スペクトル積分値Pとは、図16に示すような関係にあ
り、下記(数12)式、(数13)式に示す関係があ
る。 P=Q+k×√Ra …(数12) Ra={(P−Q)/k}2 …(数13) ただし、上式において、Qは粗さ補正値、kは粗さ変換
係数である。パワースペクトル解析値による平滑化理論
式の導出では、まず、ウエット塗膜平滑化理論式(近似
式)として、表面粗さ度Raは下記(数14)式で表さ
れる 。 Ra=Ra0・exp(−t/τ) …(数14) ただし、Ra0はRaの初期値(時点0すなわち塗装直後
の値)、tは塗装後の経過時間である。また、τは粘性
流体の基本式から導出された時定数であり、後記(数1
9)式に示すごときものである。
【0033】上記(数13)式を(数14)式に代入す
ると、下記(数15)式が得られる。 {(P−Q)/k}2={(P0−Q0)/k}2 exp(−t/τ) …(数15) ただし、P0はPの初期値(時点0における値)であ
り、Q0はQの初期値である。上記(数15)式におい
て、P、P0をそれぞれの補正値Q、Q0を含んだ値とし
て、(P0−Q0)→P0、(P−Q)→Pと示せば、
(数15)式は下記(数16)式のように表せる。 P=P0・exp(−t/2τ) …(数16) また、時定数τは下記(数17)式で示される。 τ=3ηλ4/16π4γh3 …(数17) ただし、ηは塗料の粘度、λは前記の長波長領域のピー
ク波長、γは塗膜の表面張力、hはウエット状態におけ
る膜厚(撮像部分の平均値)である。以上から、パワー
スペクトル解析値による塗装膜厚hは、下記(数18)
式で示すようになる。
【0034】
【数18】
【0035】ただし、P1は時点t1におけるパワースペ
クトル積分値Pの値、P2は時点t2(ただし−1<t2
におけるPの値である。なお、τ'iは下記(数19)式
で示される。 τ'i=3η(ti)・λ4/16π4γ …(数19) ただし、i=1,2であり、η(ti)は塗料の粘度が塗
装後の経過時間の関数であることを示す。すなわち、塗
装条件入力部5から入力するのは、塗装前における塗料
の粘度ηであるが、塗装後の塗着粘度は、塗装後の経過
時間に応じて変化する値η(ti)となる。この値は、塗
料組成(塗料内の揮発成分の割合等)や風速などによっ
て定まる値である。上記(数18)式から判るように、
塗料の粘度η、塗膜の表面張力γ、凹凸波形の長波長領
域のピーク波長λ、塗装後の2つの時点t1、t2におけ
るパワースペクトル積分値Pの値から、ウエット状態に
おける膜厚hを求めることが出来る。 上記の各数値の
うち、塗料の粘度ηと塗膜の表面張力γは、塗料の特性
によって定まる値であるから、予め判っている値を入力
し、長波長領域のピーク波長λとパワースペクトル積分
値Pの値は、前記の画像情報を処理した値を用いる。
【0036】図17は、上記(数18)式を用いた平滑
化理論値と測定値を比較したウエット平滑化動特性(パ
ワースペクトル積分値P)を示す特性図である。図17
において、横軸は塗装後の経過時間、縦軸はパワースペ
クトル積分値Pである。上記の測定は、塗布直後の画像
を撮像部2で撮影し、パワースペクトル解析を行なった
ものである。図17から、測定値は理論値とほぼ一致し
た平滑化特性となっていることがわかる。また、表1
は、膜厚60μmと54μmの2つのサンプルに対し
て、上記(数18)式の推定式を用いて膜厚hを計測し
た結果を示す表である。表1に示すように、数μmの精
度で計測可能であることが判る。
【0037】
【表1】
【0038】図14の実施例においては、撮像部2、画
像処理部3、波長演算部4、表面粗さ演算部14、膜厚
演算部15において、上記のごとき処理を行ない、撮像
個所の膜厚hを求める。また、前記(数18)式におい
ては、塗装後の2つの時点t1とt2における2つの値P
1、P2を用い、粗さ情報の時間変化量を用いて演算して
いる。そのため、塗装後に2つの時点で同一個所を撮像
する必要がある。このためには、塗装ライン上の車体の
移動に合わせて撮像部2を移動させる必要があるので、
装置が複雑になる。それを避けるためには、次のような
方法がある。すなわち、被塗装体である車体の他に、テ
ストピースを用意して被塗装体と同じ条件で塗装を行な
い、時点t1(例えばt1=10秒、t1<t2)における
値P1は、テストピースの画像情報を処理して求めた値
を用いるようにする。このようにすれば、撮像部2は時
点t2(例えば塗装1〜2分後)において1回のみの撮
像を行なえばよい。
【0039】なお、本実施例においては、基本的な測定
を塗装面の撮像と画像処理によって行ない、塗装表面の
粗さの情報としてパワースペクトル積分値Pと長波長領
域のピーク波長λとを用いて演算を行なう場合を例示し
た。しかし、塗装表面の粗さ情報としては、例えば、本
出願人の先行出願(特願平4−306966号)に記載
のように、光干渉式表面粗さ計を用い、凹凸のピーク・
ツウ・ピークと凹凸の波長λに基づいて演算する方法、
或いは上記光干渉式表面粗さ計の測定結果から表面の平
均粗さ度Raと凹凸の平均波長λaとを用いて演算する方
法などがあり、いずれを用いてもよい。また、後記の膜
厚による波長補正演算において説明するように、塗膜面
の凹凸波長(長波長領域のピーク波長λp)と膜厚hと
には、後記(数20)式または(数21)式の関係があ
り、図18に示すようになる。上記の数式および図18
の特性から判るように、付着粒子径(すなわち塗装面の
凹凸の波長)は、膜厚が厚いほど粒子の結合数が多くな
るため、大きくなる。すなわち、塗膜面の成長は塗装条
件である膜厚値に依存することを示しており、膜厚値の
推定を行なう場合には、上記(数20)式または(数2
1)式を用いて、塗膜面の凹凸の波長λpから膜厚値の
算出を行なうことが可能である。したがって図14の実
施例において、表面粗さ演算部14を省略し、波長演算
部4で求めた波長分布(長波長領域のピーク波長λp)
のみから膜厚演算部15で膜厚値を演算することも出来
る。
【0040】次に、膜厚による波長補正演算について説
明する。一般に、自動車の車体のような大型の被塗装体
の場合には、吹き付け面積が大きいため、塗装部位によ
っては塗装条件が必ずしも均一にならない場合がある。
したがって精度のよい計測を行なうためには、塗装表面
の複数個所を撮像し、それらの各部位におけるピーク波
長λpの平均値を用いて微粒化度演算を行なうことが望
ましい。図14の実施例においては、上記の理由によ
り、撮像部2では塗装面の複数個所の撮像を行なってそ
の画像情報を順次演算処理し、波長補正演算部13で求
められた複数の補正後のピーク波長λp'を波長平均処理
部7で平均化する。そして微粒化演算部6では、上記の
平均化したピーク波長λp'の値に応じて微粒化度を演算
するように構成している。
【0041】以下、波長補正演算部13における補正演
算について説明する。上記のごとく被塗装体の部位ごと
に塗装条件の差による膜厚の差が生じるので、それによ
る微粒化計測の誤差が発生する。波長補正演算部13は
その誤差を解消するものである。前記図7で説明したご
とく、被塗装面への付着粒子は、粒子結合によって粒子
径が図7に示すように成長する。さらに本発明者の実験
結果によると、塗装膜厚hと塗装面の凹凸の波長λ(=
λp)との関係は、下記(数20)式または(数21)
式の関係があり、図18に示すようになることが確認さ
れた。
【0042】
【数20】
【0043】h=k'×λ−k" …(数21) ただし、k、k'、k"、α:塗料に応じて定まる定数 上記の数式および図18の特性から判るように、付着粒
子径(すなわち塗装面の凹凸の波長)は、膜厚が厚いほ
ど粒子の結合数が多くなるため、大きくなる。すなわ
ち、塗膜面の成長は塗装条件である膜厚値に依存するこ
とを示しており、微粒化度の演算を行なう場合には、波
長演算部4で算出した塗膜面の波長に対して膜厚に応じ
た補正を施す必要がある。波長演算部4で算出した実測
波長をλ(実際には前記λpに相当)、当該部位の膜厚
をhとした場合に、予め定めた基準膜厚h0に相当する
補正波長値λ'は下記(数22)式で与えられる。 λ'=λ+k'"(h−h0) …(数22) ただし、k'":係数 上記のように、塗装条件が部位によって異なる場合で
も、計測した波長を基準となる塗装条件に対応した基準
膜厚における波長に換算し、その値を用いて前記(数
2)式の微粒化演算を行なうことにより、常に正確な微
粒化度を計測することが出来る。図14の実施例におい
ては、波長演算部4で、入力した画像処理データから塗
装表面の凹凸波形のパワースペクトルPSを求め、前記
の長波長領域のピーク波長λpを算出する。そして波長
補正演算部13では、上記のλpと膜厚演算部15で求
めた膜厚値hから上記(数22)式の演算を行なって補
正波長値λ'を求め、微粒化演算部6で、上記の補正波
長値λ'を用いて前記(数2)式によって塗料粒子の粒
子径rを求め、その値から微粒化度を演算する。なお、
上記の演算において、図9の特性は、塗料の種類に応じ
て異なるので、塗装条件入力部5から入力した中塗り、
上塗りベース、上塗りクリア等の塗料の種類に応じて
(数2)式の係数値を変更する。
【0044】上記のように、塗装後の未乾燥塗装表面の
画像から、塗装面の凹凸の波長分布を求め、それに基づ
いて塗装ガンから吹き付けられる塗料の粒子径を計測
し、かつ実測波長を基準膜厚に対応した値に換算するこ
とにより、塗装膜厚による誤差を補正することが出来
る。このように構成したことにより、塗装条件の異なる
部位における塗料の微粒化度を塗装中に非接触で容易か
つ正確に計測することが出来る。そのため塗装条件を直
ちにフィードバック制御することが出来るので、塗装品
質を維持、向上させることができると共に、微粒化計測
の工数を大幅に低減することが出来る。
【0045】次に、被塗装面が曲面であった場合におけ
る曲面補正演算について説明する。これまでの説明にお
いては、塗装表面の画像情報から凹凸波長のピーク値を
求め、それによって微粒化度や膜厚値を演算している。
しかし、自動車の車体のように、塗装面に曲面が存在す
る場合には、撮像した画像が曲率に応じて湾曲するの
で、表面の凹凸波長を正確に測定することが困難にな
り、そのため計測結果に誤差を生じることがある。曲面
補正はこのような誤差を解消するものである。以下、本
実施例における曲面補正について詳細に説明する。図1
9は、撮像部2で撮像した画像の一例図であり、(a)
は塗装面が平面の場合、(b)は塗装面が曲面の場合
(x軸方向で湾曲)の画像を示す。塗装面が平坦な場合
は、(a)に示すように、画像の外形は前記図4の撮像
部2から投射した画像と同じ円形になり、明暗パタン板
32の縞模様が塗装表面の凹凸に応じて歪んだ形で現わ
れる。これに対して曲面の場合は、(b)に示すよう
に、曲面方向が縮んだ楕円形状になる。なお、図19に
おいては、縞模様の断続方向をx軸、それと直角方向を
y軸としている。
【0046】曲率演算部19では、上記のごとき画像デ
ータを用い下記の手順で塗装表面の曲率rを導出する。
まず、図19(b)に示すように楕円形状をした画像エ
リアのx軸、y軸方向の最大長(明部エリア)x、yを
画像上で導出する。導出方法は2値化された各軸上の初
期明点位置を左右から検索することによって最大長を算
出する。次に、凸曲率をもつ塗膜面は一般に凹レンズ相
当の作用をするため、図4の撮像部2と凸曲面の塗膜面
の光学系は図20に示すようになる。このような光学系
の距離定数より、塗膜表面のx方向の曲率rは下記(数
23)式で与えられる。なお、y方向も同様に算出でき
る。
【0047】
【数23】
【0048】ただし、 x:計測されたx軸最大長 x0:塗装面が平面の場合のx軸最大長(既知の値) L1:CCDカメラ35と塗膜面との距離 L2:光源31と塗膜面との距離 次に、図21に示される曲率rと補正係数Kの関係よ
り、波長λについての曲率rによる補正係数Kを求め
る。なお、図21は実験よって求めた関係式であり、縦
軸は補正係数K、横軸は曲率rの逆数(1/r=R:曲
面)を示す。上記のようにして求めた補正係数Kによっ
て、前記の膜厚演算における長波長領域のピーク波長λ
pの値を補正する。すなわち、曲面部における実測波長
がλpであった場合、それを補正した平面相当の実波長
λp'は、下記(数24)式で示される。
【0049】
【数24】
【0050】ただし、 a:定数 R=1/r 上記のようにして算出した実波長λp'を用いて前記のよ
うにして微粒化演算等を行なえば、曲面においても正確
な計測を行なうことが出来る。図14の実施例において
は、曲面演算部19で上記の補正係数Kを求める演算を
行ない、曲面補正演算部16で上記の実波長λp'を求め
る演算を行なう。また、上記の説明においては、x軸方
向についてのみ曲率rを求めて補正を行なっている。こ
れは図19に示すように縞模様の断続方向をx軸として
いるためであるが、y軸方向についても同様に曲率を求
め、曲率の大きい方の値を用いて補正係数Kを求めるよ
うに構成してもよい。
【0051】次に、曲面補正の他の方法について説明す
る。前記図5に示したように、パワースペクトルPSの
周波数特性において、第1のピーク波形は、撮像部2
のスリットに対応した基本縞による基本波形のパワース
ペクトル、ピーク波形は、塗装表面の凹凸波形の長波
長領域(10〜1mm程度)に対応したパワースペクト
ルである。これらのパワースペクトルのピーク値は、塗
装面の曲率の応じて変化するが、本発明者らの実験によ
ると、基本縞のピーク周波数fと長波長領域のピーク周
波数f'(=1/λp)には、塗装面の曲率に関わりなく
一定の関係があることが判明した。図22は、パワース
ペクトルPSの周波数特性の曲面依存性を示す特性図で
ある。図22において、縦軸はパワースペクトルPS、
横軸は周波数f(1/λ)を示し、実線(A)は塗装面
が平面の特性、点線(B)は塗装面が曲率r1の場合の
特性、破線(C)は塗装面が曲率r2(r1<r2)の場
合の特性を示す。
【0052】図22から判るように、曲率が大きくなる
に従ってピーク周波数は大きく(ピーク波長λpは小さ
く)なるが、曲率に関わりなく、下記(数25)式の関
係が成立することが判明した。
【0053】
【数25】
【0054】ただし f0 :平面時の基本縞ピーク周波
数 f0':平面時の長波長ピーク周波数 fr :曲率r時の基本縞ピーク周波数 fr':曲率r時の長波長ピーク周波数 上記(数25)式から、平面時の長波長ピーク周波数f
0'は下記(数26)式で求められる。
【0055】
【数26】
【0056】(数26)式において、平面時の基本縞ピ
ーク周波数f0の値は、予め測定可能な既知の値であ
る。また、曲率rのときの基本縞ピーク周波数frと長
波長ピーク周波数fr'とは前記の画像処理によって実測
値として求められる。したがって曲率rのときの長波長
ピーク周波数fr'を平面時の値f0'に換算するには、f
r'にf0/frを乗算してやればよい。なお、前記の膜厚
演算で説明したように波長λで表現する場合には、下記
(数27)式のように補正すればよい。
【0057】
【数27】
【0058】ただし λ0 :平面時の基本縞ピーク波長 λ0':平面時の長波長ピーク波長 λr :曲率r時の基本縞ピーク波長 λr':曲率r時の長波長ピーク波長 この方法によれば、基本縞ピーク波長λrと長波長ピー
ク波長λr'とを求めるだけで簡単に曲面補正を行なうこ
とが出来る。上記の方法を前記図14の実施例に適用す
る場合には、画像処理部3の画像処理データから曲面演
算部19でλrとλr'を求める演算を行ない、曲面補正
演算部16では、それらの値と予め記憶しておいたλ0
の値からλ0'を求める演算を行なうように構成すればよ
い。
【0059】次に、図23は本発明の第3の実施例のブ
ロック図である。前記図14の実施例においては、1個
の撮像部2を用いて複数個所の撮像を順次行なうので、
計測時間が長くなると共に計測手順が複雑になるという
問題がある。そのため、本実施例においては、複数の撮
像部2−1、2−2を設け、同時に複数個所の画像情報
を入力するように構成したものである。これにより、計
測時間を短縮できると共に計測手順を簡略化することが
出来る。なお、図23では撮像部を2個設けた場合を例
示したが、被塗装面の大きさ等の応じて適当な個数を設
ければよい。また、図14および図23の実施例におい
て、波長平均処理部7の代わりに、微粒化演算部6の後
に微粒化平均演算部(図示せず)を設け、複数の部位に
ついて計測した複数の微粒化度を平均化した値を求める
ように構成してもよい。
【0060】次に、本発明の第4の実施例のブロック図
である。この実施例は、塗料を塗布してから任意の所定
時間後(例えば数分後)における塗着N.Vを演算する
装置を示す。図24において、塗着N.V演算部10は
前記図3等に示したものと同じものである。また、塗料
密度演算部20は、塗着N.V演算部10で求めた塗着
N.Vから塗料密度を演算する(詳細後述)。また、計
測時間入力部21は、塗料を塗布した時点から任意の計
測時点(塗装後所望の時間が経過した時点、例えば2分
〜9分後)までの時間(以下、計測時間と記す)を入力
する。そして塗着N.V演算部22は、膜厚演算部15
で求めた膜厚と塗料密度演算部20で求めた塗料密度と
計測時間入力部21から入力した計測時間とに基づい
て、上記の計測時間入力部21で設定した塗装時点から
任意の時間後の塗着N.Vを演算する。
【0061】以下、塗料密度演算部20で行なう塗料密
度演算と、塗着N.V演算部22で行なう塗装時点から
任意の時間後の塗着N.V演算とについて説明する。付
着直後(塗料噴射時点から塗料粒子飛行時間t1経過
後)の塗着N.VをX1、付着後、時間t2が経過した時
点の塗着N.VをX2とすれば、X1は下記(数28)
式、X2は下記(数29)式または(数30)式で与え
られる。 X1=M1×X0/(M1−S1×V×t1) …(数28) X2=M1×X0/(M1−S1×V×t1−S2×V×t2)…(数29) or X2=M2×X1/(M2−S2×V×t2) …(数30) ただし、M1:飛行中の塗料粒子の質量 M2:付着後の塗料粒子の質量 X0:塗布前の塗料のN.V(塗料濃度) S1:飛行中の塗料粒子表面積 S2:付着後の塗料粒子表面積 V :単位面積当たりのシンナー蒸発速度 なお、(数28)式における「S1×V×t1」は塗装粒
子飛行中のシンナー蒸発量に相当し、(数29)式の
「S2×V×t2」は、付着後のシンナー蒸発量に相当す
る。
【0062】また、付着後の塗料粒子の質量M2は下記
(数31)式で与えられる。 M2=S2×h×ρ2 …(数31) ただし、h:塗膜の膜厚 ρ2:付着後の塗料密度 また、上記の付着後の塗料粒子表面積S2は下記(数3
2)式で与えられる。 S2=k1×S1 …(数32) ただし、k1=f(h)であり、k1は膜厚hの関数であ
る。上記の(数31)式および(数32)式を、(数2
9)式、(数30)式に代入すると、付着後、時間t2
が経過した時点の塗着N.Vを示すX2(含有率)の数式
として下記(数33)式と(数34)式が得られる。
【0063】
【数33】
【0064】なお、上記(数34)式を用いる場合に
は、付着直後の塗着N.Vを示すX1と、付着後の塗料密
度ρ2と、塗膜の膜厚hと、塗装時点から計測時点まで
の計測時間t2とが必要があるが、X1は上記(数28)
式で、膜厚hは前記のごとき膜厚演算部15で、測定す
ることが出来るし、計測時間t2は計測時間入力部21
から入力すればよい。また、付着後の塗料密度ρ2(な
お、ρ2=ρ1)は、図25に示すような付着直後の塗着
N.Vと塗料密度との関係から算出することが出来る。
なお、図25の関係は塗料によって異なる。上記のよう
にして、塗装後所定時間経過後の塗着N.Vを算出する
ことが出来、これを用いて塗装品質を判定することが出
来る。
【0065】
【発明の効果】以上説明したごとく、本願の請求項1に
記載の発明においては、塗料の非揮発性成分と微粒化度
とシンナー蒸発量とに基づいて塗布直後の塗膜面の塗着
非揮発性成分を演算するように構成し、請求項2に記載
の発明においては、上記塗布直後の塗着非揮発性成分と
塗料の種類とに基づいて、塗布直後の塗膜面の塗料密度
を算出し、塗料密度と計測時間と膜厚とシンナー蒸発量
とに基づいて、任意に設定した計測時点における塗膜面
の塗着非揮発性成分を演算するように構成したことによ
り、非接触で極めて短時間に塗布直後や塗布時点から所
定時間後の塗着N.Vを容易に計測することが出来る。
そのため塗装条件を直ちにフィードバック制御すること
が出来るので、塗装品質を維持、向上させることができ
ると共に、塗着N.V計測の工数を大幅に低減すること
が出来る。
【0066】また、請求項9の発明においては、求めた
塗着N.Vと入力した塗料の温度とに基づいて塗膜粘度
を演算するように構成したことにより、塗着N.Vの他
に塗膜粘度を容易に算出することが出来、塗装品質評価
に役立てることが出来る。また、請求項10の発明にお
いては、塗装条件の差による誤差を補正するように構成
したことにより、塗装部位ごとの塗装条件の差に応じて
膜厚差が生じても、微粒化度や膜厚を正確に計測するこ
とが出来、それによって正確な塗着N.V計測を行なう
ことが出来る。また、請求項11の発明においては、被
塗装面が曲面であった場合における曲面補正機能を設け
たことにより、曲面の場合でも正確な塗着N.V計測を
行なうことが出来る、等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機能ブロックの一部を示す図。
【図2】本発明の機能ブロックの他の一部を示す図。
【図3】本発明の第1の実施例のブロック図。
【図4】撮像部2の一例を示す断面図。
【図5】パワースペクトルPSの周波数特性図。
【図6】塗装時における塗装面への塗料粒子の付着と塗
装膜面の形成過程を示す図。
【図7】飛行中の塗料粒子と付着粒子との関係を示す
図。
【図8】塗料粒子の平均径と波長との関係を示す特性
図。
【図9】塗料の粒子径と塗布時間との関係を示す特性
図。
【図10】波長λと塗布時間との関係を示す特性図。
【図11】塗装時における塗料粒子からの溶剤蒸発状況
を示す図。
【図12】本発明の第2の実施例のブロック図。
【図13】塗着粘度と塗着N.Vとの関係を示す特性
図。
【図14】本発明の第3の実施例のブロック図。
【図15】塗装後の塗膜の状態を示す断面図。
【図16】表面の凹凸の面積平均値に相当する表面粗さ
aとパワースペクトル積分値Pと関係の関係を示す特
性図。
【図17】平滑化理論値と測定値を比較したウエット平
滑化動特性を示す特性図。
【図18】波長とウエット膜厚との関係を示す特性図。
【図19】撮像部2で撮像した画像の一例図であり、
(a)は塗装面が平面の場合、(b)は塗装面が曲面の
場合(x軸方向で湾曲)の画像を示す図。
【図20】撮像部2と凸曲面の塗膜面の光学系を示す
図。
【図21】曲率rと補正係数Kの関係を示す特性図。
【図22】パワースペクトルPSの周波数特性の曲面依
存性を示す特性図。
【図23】本発明の第4の実施例のブロック図。
【図24】本発明の第5の実施例のブロック図。
【図25】塗料密度と塗着N.Vとの関係を示す特性
図。
【符号の説明】
1…被塗装体(ボディ) 12…シンナー蒸
発量入力部 2、2−1、2−2…撮像部 13…波長補正演
算部 3…画像処理部 14…表面粗さ演
算部 4…波長演算部 15…膜厚演算部 5…塗装条件入力部 16…波長補正演
算部 6…微粒化演算部 17…塗着粘度演
算部 7…波長平均処理部 18…塗装ガン 8…表示器 19…曲面演算部 9…塗装条件制御システム 20…塗料密度演
算部 10…塗着N.V演算部 21…計測時間
入力部 11…塗装条件入力部 22…塗着N.
V演算部 100…塗装条件入力手段 108…塗膜粘
度演算手段 101…微粒化度入力手段 109…撮像手
段 102…シンナー蒸発量入力手段 110…画像処
理手段 103…第1の塗着N.V演算手段 111…波長演
算手段 104…塗料密度演算手段 112…膜厚演
算手段 105…計測時間入力手段 113…波長補
正演算手段 106…膜厚入力手段 114…微粒化
演算手段 107…第2の塗着N.V演算手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−142565(JP,A) 特開 平6−277574(JP,A) 特開 昭62−294946(JP,A) 特開 平7−96228(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05B 12/00 - 13/06 G01B 11/00 - 11/30 G01N 21/88

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも塗装前の塗料の非揮発性成分情
    報を含む塗装条件を入力する塗装条件入力手段と、 塗膜面における塗料の微粒化度を入力する微粒化度入力
    手段と、 塗料のシンナー蒸発量情報を入力するシンナー蒸発量入
    力手段と、 上記塗料の非揮発性成分と微粒化度とシンナー蒸発量と
    に基づいて塗布直後の塗膜面の塗着非揮発性成分を演算
    する第1の塗着非揮発性成分演算手段と、 を備えたことを特徴とする塗装品質解析装置。
  2. 【請求項2】少なくとも塗装前の塗料の非揮発性成分情
    報と塗料の種類情報とを含む塗装条件を入力する塗装条
    件入力手段と、 塗膜面における塗料の微粒化度を入力する微粒化度入力
    手段と、 塗料のシンナー蒸発量情報を入力するシンナー蒸発量入
    力手段と、 上記塗料の非揮発性成分と微粒化度とシンナー蒸発量と
    に基づいて塗布直後の塗膜面の塗着非揮発性成分を演算
    する第1の塗着非揮発性成分演算手段と、 上記第1の塗着非揮発性成分演算手段で算出した塗布直
    後の塗着非揮発性成分と上記塗装条件入力手段から入力
    した塗料の種類情報とに基づいて、塗布直後の塗膜面の
    塗料密度を算出する塗料密度演算手段と、 塗料塗布時点から任意の計測時点までの時間を入力する
    計測時間入力手段と、 塗膜面の膜厚を入力する膜厚入力手段と、 上記塗料密度と上記計測時間と上記膜厚と上記シンナー
    蒸発量とに基づいて、上記の設定した計測時点における
    塗膜面の塗着非揮発性成分を演算する第2の塗着非揮発
    性成分演算手段と、 を備えたことを特徴とする塗装品質解析装置。
  3. 【請求項3】上記第1の塗着非揮発性成分演算手段は、
    上記の入力した塗料の非揮発性成分およびシンナー蒸発
    量と上記の入力した微粒化度から求めた塗料粒子の表面
    積との関係に基づいて塗布直後の塗膜面の塗着非揮発性
    成分を演算するものである、ことを特徴とする請求項1
    または請求項2に記載の塗装品質解析装置。
  4. 【請求項4】上記シンナー蒸発量入力手段は、予め実験
    によって測定した塗装前の塗料の非揮発性成分含有率と
    シンナー混合比と温度との関係に応じた単位面積当たり
    のシンナー蒸発量を入力するものである、ことを特徴と
    する請求項1乃至請求項3の何れかに記載の塗装品質解
    析装置。
  5. 【請求項5】上記微粒化度入力手段は、 塗料を塗布した直後の未乾燥塗装表面を撮像する撮像手
    段と、 上記撮像手段からの画像情報を画像処理する画像処理手
    段と、 上記画像処理手段で処理された画像処理データに基づい
    て、塗装表面の凹凸波形の波長分布を算出する波長演算
    手段と、 上記波長演算手段で求めた波長分布に基づいて微粒化度
    を演算する微粒化演算手段と、 を備え、上記の演算した微粒化度を入力するものであ
    る、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに
    記載の塗装品質解析装置。
  6. 【請求項6】上記波長演算手段は、塗装表面の凹凸波形
    のパワースペクトルにおける長波長領域のピーク波長を
    求めるものであり、 上記微粒化演算手段は、上記長波長領域のピーク波長の
    値と予め実験で求めた塗料粒子径との関係から、塗料粒
    子径を算出し、それを微粒化度とするものである、こと
    を特徴とする請求項5に記載の塗装品質解析装置。
  7. 【請求項7】上記撮像手段では、塗装表面の複数個所を
    撮像し、後続の各手段ではそれぞれの個所について処理
    を行ない、上記波長演算手段ではそれぞれの個所におけ
    る波長値を順次算出し、 かつ、上記複数個の波長値を平均処理する波長平均処理
    手段を備え、 上記微粒化演算手段では、上記波長平均処理手段の演算
    結果に基づいて微粒化度を算出するものである、ことを
    特徴とする請求項5または請求項6に記載の塗装品質解
    析装置。
  8. 【請求項8】塗料を塗布した直後の未乾燥塗装表面を、
    塗装面の異なった個所についてそれぞれ撮像する複数の
    撮像手段を備え、それらの撮像手段で撮像した複数個所
    の画像情報を順次処理することを特徴とする請求項7に
    記載の塗装品質解析装置。
  9. 【請求項9】上記第1または第2の塗着非揮発性成分演
    算手段で求めた塗膜面の塗着非揮発性成分と、上記塗装
    条件入力手段から入力した塗料の温度とに基づいて塗膜
    粘度を演算する塗膜粘度演算手段を設けたことを特徴と
    する請求項1乃至請求項8の何れかに記載の塗装品質解
    析装置。
  10. 【請求項10】上記微粒化度の演算または膜厚の演算に
    用いる波長分布を演算する波長演算手段と、 塗膜の膜厚を演算する膜厚演算手段と、 上記波長演算手段と膜厚演算手段の演算結果から当該塗
    装における基準膜厚に相当する波長を演算する波長補正
    演算手段と、 を備え、上記補正後の波長を上記微粒化度の演算に用い
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項9に記載の塗装
    品質解析装置。
  11. 【請求項11】上記微粒化度の演算または膜厚の演算に
    用いる波長分布を演算する波長演算手段と、 塗装面の曲面情報を求める曲面演算手段と、 上記波長演算手段で算出された波長分布に対して、上記
    曲面演算手段で求めた結果に応じた曲面補正処理を行な
    う曲面補正演算手段と、 を備え、上記曲面補正を行なった後の波長を微粒化度の
    演算あるいは膜厚の演算に用いることを特徴とする請求
    項1乃至請求項10の何れかに記載の塗装品質解析装
    置。
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