JP3352171B2 - 溶液の中和制御方法 - Google Patents

溶液の中和制御方法

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JP3352171B2 JP22887193A JP22887193A JP3352171B2 JP 3352171 B2 JP3352171 B2 JP 3352171B2 JP 22887193 A JP22887193 A JP 22887193A JP 22887193 A JP22887193 A JP 22887193A JP 3352171 B2 JP3352171 B2 JP 3352171B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は廃液処理、水処理または
排水処理設備における溶液の中和制御方法に係り、特に
制御のオーバーシュートを防止し、また中和までの時間
を最小にする中和剤注入ポンプの運転制御方法を改良し
た溶液中和制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】pHの調整は廃液処理、水処理あるいは
排水処理設備など多くの化学プロセスにおいて重要であ
る。原子力発電プラントにおいて、床ドレンや化学廃液
などの溶液は低レベル放射能を持つ電導度が高く、pH
値が中和からずれている溶液に関しては、蒸発濃縮器で
濃縮し脱塩塔を通して浄化されプラスチック固化され保
存される。
【0003】このとき廃棄物の保存性の観点から濃縮さ
れた溶液は中性でかつできるだけ容量が少ないことが望
ましい。このため、これらの化学廃液などの溶液をでき
るだけ小量の中和剤で中和し、またプラント運転性の向
上のためできるだけ短い時間で中和を達成することが望
ましい。
【0004】従来から、この種の中和プロセスとしては
図6に示すようなものが多く用いられている。すなわ
ち、タンク1内に蓄えられた化学廃液などの溶液2は撹
拌用ループ3内を通流させる撹拌用ポンプ4により循環
して撹拌される。この撹拌用ループ3には前記タンク1
に接続する配管ループ5が分岐し、この配管ループ5に
pH計6が設けられている。
【0005】この配管ループ5内を流れる溶液2をpH
計6によりpHを測定し、また、配管ループ5に接続さ
れた中和剤注入ポンプ7により配管ループ5内に中和剤
8が注入される。中和剤注入ポンプ7はpH計6で測定
された溶液2のpH測定値9が目標とするpH目標値10
となるよう中和剤制御装置11により制御される。
【0006】溶液2を中和する場合には以下に述べる3
つの問題があるものと考えられる。すなわち、第1は溶
液が化学廃液の場合、化学廃液は種々の酸を含むことで
ある。化学廃液には強電解質の酸のほかに種々の弱電解
質の酸および緩衝塩を含んでいる。中和制御をするため
には溶液2のpHを計り、これをpH7とするように中
和剤を投入する。
【0007】しかし、弱電解質の酸は酸性度が非常に高
い環境ではほとんど電離せずその存在を知ることができ
ない。また、中和剤の投入により酸性度が下がると徐々
に電離する酸が増える。この電離した酸が中和剤と反応
するので中和剤を投入してもなかなか酸性度が下がらな
いという現象が起こる。
【0008】第2は中和点付近でpH値が中和剤投入量
に対して敏感であることである。pH値を見て中和制御
を行なう場合、中和剤の投入量に対してpH値は非線形
でありpH7に近いpHでは小量の酸でpHは大きく変
化するか、pHが酸性又は塩基性で有るならば比較的多
量の酸を加えてもpHは少ししか変化しない。
【0009】第3は図6に示したようなタンク1を用い
て中和制御を行う場合、中和剤の投入に対してこの中和
剤が完全に均一に混ざりあい中和反応を行うまでに中和
剤の撹拌のための時間遅れが生じることである。また、
pH値の測定に関してその測定装置の特性から測定にお
いてもむだ時間が存在することである。
【0010】すなわち、ある一定量の中和剤を投入して
もその中和剤が撹拌され反応を行うまでは一定時間かか
り、また中和反応がpH値の変化として検出されるまで
には一定の時間がかかる。従って、pH値が変化しない
からと言って中和剤を投入し続けると撹拌の時間の遅れ
と測定のむだ時間のためpH値はオーバーシュートして
しまうとになる。
【0011】このような問題に対してpHの調整方法と
してまず、予めタンク1内の溶液2を小量採取しこれを
滴定して滴定曲線を求め、この滴定曲線を用いて中和剤
の量を決定し中和を達成する方法が考えられる。しかし
ながらこの方法では滴定曲線を得るため自動滴定システ
ムを用いる必要があり経済的に高価となる。また、手順
が煩雑となり、さらに分析のための時間がかかり効率的
でない。
【0012】たとえば特開平 4-23515号公報にはある流
量で流入する流れに試薬を加えpH値を適応調整する適
応性調整用にpH滴定曲線を見積る方法が記載されてい
る。すなわち、収集した試薬量と流量比に対するpH値
データを保存しておき、このデータによって滴定曲線の
モデルを作り、古いデータ点を新しいデータ点に置き換
え、モデルを連続的に新しいものにする。
【0013】そして、モデルを用いてゲインスケジュー
ルを作り、それによりプロセスに試薬を添加するための
PI制御器を操作する。この方法は中和制御する詳細な
データを用いているため、適当な滴定曲線が適応操作中
に見つかれば適切な中和制御ができる。
【0014】しかしながら、適応の初期段階では制御性
能が低下し、オーバーシュートなどが発生する可能性が
ある。また、システムとして複雑となり多くのデータを
必要とする。
【0015】また、たとえば特開平4-205602号公報には
「試薬注入ポンプの運転制御装置」が記載されている。
すなわち、この公報は溶液のpH値とその目標値の偏差
に対してPID演算を行い、プロセスの非線形性を関数
f(X) で補正し、この値に応じて薬剤注入ポンプの運転
周期及び運転時間を決定する方法が記載されている。こ
の方法では対象とする溶液の特性がわかっていればいわ
ゆるゲインの調整関数f(X) は容易に決定できるが、特
性の未知な場合にf(X) をどのように決めるかが問題で
ある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】以上のように溶液の中
和制御においては(a)制御対象の時定数むだ時間が大
きい、(b)pHを直接フィードバックしPI制御を行
っているとき、pH7に近づいた場合、プロセスゲイン
の非線形特性が大きい、(c)緩衝溶剤すなわち弱電解
質の酸があるとき、その非線形性は大きい、という特性
がある。これらの原因により制御にオーバーシュートが
生ずるか、または中和までの時間がかかり過ぎるという
ような課題があった。
【0017】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、pH値のオーバーシュートを防止することが
でき短時間で中和状態を達成することができる溶液中和
制御方法を提供することにある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上記の目的を達成する
ため、請求項1に係る溶液の中和制御方法の発明は、
ンク内に蓄えられた溶液に中和剤注入ポンプにより中和
剤を加えて該中和剤の反応を行い、中和剤注入制御して
pH調整する溶液の中和制御方法において、前記溶液の
最初のイオン濃度から当該溶液を全て強酸と見做して中
和剤投入量を求め投入する第1の中和剤注入制御方法
と、前記中和剤注入量のデ―タと中和剤注入により変化
した前記タンク内の前記水素イオン濃度のデータを1次
関数によりフィッテイングし中和剤投入量に対する水素
イオン濃度の変化率を求め、前記目標水素イオン濃度を
達成する中和剤量を前記変化率と前記水素イオン濃度か
ら外挿計算により推定し第2の中和剤注入量を求める第
2の中和制御方法とからなり、前記第1の中和制御方法
により求められた中和剤投入量と前記第2の中和制御方
法により求められた中和剤投入量の最大値である第3の
中和剤投入量を中和剤投入量とし、この中和剤投入量を
達成するよう中和剤投入ポンプ回転数を可変作動させる
か、または、前記第3の中和剤投入量が設定値以下の場
合に中和剤投入ポンプを一定速度で作動し、前記第3の
中和剤注入量が前記設定値より大きい場合に中和剤注入
ポンプを停止させることを特徴とする。
【0019】また、請求項2に係る溶液の中和制御方法
の発明は、前記第2の中和制御方法において、前記pH
測定値と前記pH目標値との偏差が第2の設定値より小
さくなったとき前記変化率を一定とするか前記変化率を
定数倍し中和剤投入量を外挿することを特徴とする
【0020】また、請求項3に係る溶液の中和制御方法
の発明は、前記第2の中和制御方法において、フィッテ
イングに用いる中和剤投入量データは中和タンクの中和
剤の撹拌の時定数を用い前記時定数による一次遅れによ
り推定した中和剤反応量を用いpH測定におけるむだ時
間分だけ過去のデータを用いることを特徴とする。ま
た、請求項4に係る溶液の中和制御方法の発明は、前記
第2の中和制御方法において、フィッテイングに用いる
中和剤投入量データは中和タンクの中和剤の撹拌の時定
数を用い前記時定数による一次遅れにより推定した中和
剤反応量を用いpH測定におけるむだ時間分だけ過去の
データを用いることを特徴とする。さらに、請求項5に
係る溶液の中和制御方法の発明は、前記中和剤注入制御
において、アルカリ性の中和溶液を用いる第1の溶液中
和制御方法と、酸性の中和溶液を用いる第2の溶液中和
制御方法とからなり、前記測定されたpH値が目標pH
値よりも小さいとき前記第1の溶液中和制御方法を用
い、前記測定されたpH値が目標pH値よりも大きいと
き前記第2の溶液中和制御方法を用いることを特徴とす
る。さらにまた、請求項6に係る溶液の中和制御方法の
発明は、請求項1において、前記第2の中和制御方法を
随時更新することを特徴とする。
【0021】
【作用】本発明においては、最初のイオン濃度から溶液
を全て強酸と見做して第1の中和剤注入量を求め、中和
剤注入量のデータと中和剤注入により変化したタンク内
の水素イオン濃度のデータを1次関数によりフィッテイ
ングし中和剤投入量に対する水素イオン濃度の変化率を
求め目標水素イオン濃度を達成する中和剤量を変化率と
水素イオン濃度から外挿計算により推定し第2の中和剤
注入量を求め、第1の中和剤制御方法により求められた
中和剤投入量と第2の方法により求められた中和剤投入
量の最大値である第3の中和剤投入量を達成するよう中
和剤投入ポンプ回転数を可変作動させることによって、
弱電解質の緩衝溶液を含む廃液においてもオーバーシュ
ートの発生を防止し短時間での中和制御を達成する。
【0022】また、プロセスが撹拌の時定数とpH測定
のむだ時間があるとき第2の中和制御方法においてフィ
ッテイングに用いる中和剤投入量データは中和タンクの
中和剤の撹拌の時定数を用い時定数による一次遅れによ
り推定した中和剤反応量を用いpH測定におけるむだ時
間分だけ過去のデータを用いることによりプロセスの撹
拌の時定数とpH測定値のむだ時間があってもオーバー
シュートのない中和制御が行える。
【0023】
【実施例】図1から図5を参照しながら本発明に係る溶
液中和制御方法の第1の実施例を説明する。本実施例で
は酸のアルカリによる中和を例として説明するがアルカ
リ性溶液の酸による中和も同様に行うことができる。
【0024】図1は酸性溶液の中和滴定曲線を示したも
のであり、図1(a)の実線および点線はそれぞれ強電
解質の酸のみ(すなわち、弱電解質の酸を含まない場
合)の溶液および強電解質の酸と弱電解質の酸を含む
溶液をアルカリ溶液で滴定したときの中和剤の投入量
とpHの関係を示したものである。なお、溶液が強電解
質の酸のみの場合というのは現実には存在しないが、こ
こでは強電解質の酸および弱電解質の酸を含む溶液との
比較例として掲げたものである。
【0025】初期のpH値が同一であっても滴定曲線は
酸の種類によってその特性は大きく異なる。即ち、弱電
解質の酸は酸性度が非常に高い(pHが小さい)環境で
はほとんど電離せず、中和剤の投入により酸性度が下が
ると徐々に電離する酸が増えるため、この電離した酸が
中和剤と反応するので中和剤を投入してもなかなか酸性
度が下がらないという現象が起こる。
【0026】一般に溶液中で電離してH+ とA- となる
酸を考えると
【数1】 と言う状態で平衡となる。ここで、 [H+ ]:水素イオン濃度 [A- ]:酸の負イオン濃度 Ka :酸の解離定数 [HA]:電離していない酸の濃度 である。
【0027】酸HAはpH値がpKa =-log10(Ka )
付近になったとき解離し始めることが知られている。p
H値は次式のように水素イオン濃度の対数値で表され、 pH=-log10([H- ]) (2) 水素イオン濃度は [H+ ]=10 -pH (3) となり、滴定曲線を水素イオン濃度で表すと図1(b)
のようになる。
【0028】もし溶液が、全ての酸が解離している強電
解質の酸のみからなる場合は、中和剤の投入にしたがっ
て水素イオン濃度は直線的に低下する(図1(b)実
線)。しかし、このように全ての酸が解離している強電
解質の酸のみの溶液は存在せず、現実には、強電解質の
酸および弱電解質の酸を含んだ状態の溶液として存在す
る。この弱電解質の酸を含む溶液の場合には中和剤が解
離した弱電解質の酸と反応するため酸性度の低下は緩や
かとなり滴定曲線は下に凸となり単調減少する(図1
(b)破線)
【0029】本実施例では以上に示した弱電解質の特性
を利用して以下の第1および第2の中和剤注入制御方法
により中和剤投入量を求める。
【0030】第1の中和剤注入制御方法は、はじめに最
初の水素イオン濃度からこれを全て強酸と見做したとき
の中和剤投入量を求め投入する。
【0031】第2の中和剤注入制御方法は、図1(b)
に示すように中和剤投入量に対する水素イオン濃度の変
化の関係を一次関数でフィッテイングし、目標水素イオ
ン濃度となるような中和剤投入量を水素イオン濃度の変
化率と水素イオン濃度から外挿し予測する。この予測投
入量を達成するよう中和剤の投入を続ける。
【0032】ここで、実際には中和剤の投入量はプロセ
スの時定数とむだ時間を考慮し測定されたpH値、すな
わち水素イオン濃度の変化およびタンク内で直接反応し
た量で評価する。これは、タンク内では撹拌の時定数が
ありpHの測定にはむだ時間があるからである。ここで
の時定数とむだ時間は予めプロセスの特定から同定する
ことができる。
【0033】本実施例のブロック図を図2に示す。本実
施例では目標pH値10から目標水素イオン濃度を算出
し、pH値の測定値から水素イオン濃度を求める。一
方、制御器つまり、中和制御装置11からの出力であるポ
ンプ駆動指令12から中和剤の投入量およびこの中和剤が
タンクの中で撹拌されて実際に中和反応する時のOH-
イオンの量を推定する。
【0034】この推定OH- イオン量と水素イオンの量
との関係を一次式でフィッテイングし推定OH- イオン
量に対する水素イオンの量の関係を求め、目標水素イオ
ン濃度となるようなOH- イオン量を外挿により求め
る。すなわち、目標OH- イオン量OHTGは以下の式
で求められる。
【0035】
【数2】 ここで、 dH/dOH:フィッテイングにより求めた中和剤の水
素イオン濃度効果 [H+]0 :フィッテイングにより求めた初期水素イオ
ン濃度 である。
【0036】ここではOHイオン量の推定値およびpH
測定値から求めた水素イオン濃度は測定のむだ時間を考
慮したものではないが、測定にむだ時間がある場合はそ
のむだ時間を考慮し、現在のデータがむだ時間Td秒前
の測定値であるとして用いればよい。
【0037】すなわち、OHイオン量の推定値において
もTd秒前の値を用いてフィッテイングおよび外挿によ
る予測計算をする。計算された目標OHイオン量はTd
秒前の反応に対応するものであるが、図1(b)に示す
ように緩衝溶液のあるときの水素イオン濃度の曲線は下
に凸である。
【0038】そのため、過去のdH/dOHは現在のd
H/dOHより必ず大きい(負で小さい)。むだ時間が
ある場合、dH/dOHは必ず現在の値より小さい。し
たがって、OHイオンを投入して中和制御を行う場合に
は中和時間は長くなるが、pH値がオーバーシュートす
ることはない。
【0039】ポンプ駆動指令12はこのOHイオン量の目
標値が達成されるよう中和剤を投入して行われる。した
がって、OHイオン量の目標値を実際に用いられる中和
剤濃度で割り目標とする中和剤投入量が求められる。こ
の中和剤投入量が達成されるようポンプの回転数が制御
され中和剤が投入される。ポンプの回転数が可変でない
場合は要求ポンプ回転数に対してリミッターを設けポン
プを駆動するON/OFF指令を出す。
【0040】本実施例による中和の結果を従来方法であ
るPI制御と比較して以下に説明する。PI制御は図7
に示すようなブロック図で表され、pH測定値9と目標
pH値10の偏差に対してPI演算13を行いポンプの回転
数を求めるものである。
【0041】図3から図5は本発明による中和の結果を
従来方法であるPI制御と比較したものである。本発明
による結果を図3(b)に、PI制御による結果を図3
(a)に示す。ここで、PI制御の定数は強電解質の酸
と弱電解質の酸が存在する溶液に対して中和状態(すな
わちここではpH=7.0)を達成する様に調整したも
のであるため、図3においては本発明の方が短時間での
中和制御ができているが中和時間の差は余り大きくな
い。
【0042】一方、図4は弱電解質の酸の量が多い場合
である。図4(a)は従来のPI制御例を、図4(b)
は本発明例を示している。弱電解質の酸が多くとも本発
明例ではほぼ同じ時間で中和が達成されているが、PI
制御では図3の場合と同様の制御ゲインを用いているた
め中和時間が長くなっていることがわかる。
【0043】また、図5は弱電解質の酸の量が極端に少
ない場合である。図5(a)は従来のPI制御例を、図
5(b)は本発明例を示している。弱電解質の酸が少な
いときでも本発明では短時間で中和が達成されている
が、PI制御では図3の場合と同様の制御ゲインを用い
ているためpH値のオーバーシュートが大きくなってい
ることがわかる。
【0044】本発明においてフィッテイングにより求め
るdH/dOHの値を中和点の近傍では一定とするか更
新割合を小さくすることも有効である。中和点近傍では
フィッテイングにより求めたdH/dOHの値はその絶
対値が小さくなりその精度が落ちるためである。これに
よりpH値のオーバーシュートは小さく押さえることが
できる。
【0045】また、上記実施例では酸性溶液をアルカリ
性の中和剤で中和する例を示したが、アルカリ性溶液を
酸性の中和剤で中和する方法も同様に行うことができ
る。さらに、両者を併用しどちらか一方の中和制御によ
り中和した結果、pH値が目標pH値に対してオーバー
シュートした場合これを再調整することができる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、第1の中和制御方法に
より最初のイオン濃度から溶液を全て強酸と見做して
1の中和剤注入量を求め、第2の中和制御方法により中
和剤注入量のデータと中和剤注入により変化したタンク
内の水素イオン濃度のデータを1次関数によりフィッテ
イングする。
【0047】中和剤投入量に対する水素イオン濃度の変
化率を求め目標水素イオン濃度を達成する中和剤量を変
化率と水素イオン濃度から外挿計算により推定し第2の
中和剤注入量を求める。
【0048】第1の中和制御方法により求められた中和
剤投入量と第2の中和制御方法により求められた中和剤
投入量の最大値である第3の中和剤投入量を達成するよ
う中和剤投入ポンプ回転数を可変作動させる。これによ
って、弱電解質の緩衝溶液を含む溶液においてもオーバ
ーシュートの発生を防止し、短時間での中和制御を達成
することができる。
【0049】また、プロセスが撹拌の時定数とpH測定
のむだ時間があるとき第2の中和制御方法においてフィ
ッテイングに用いる中和剤投入量データは中和タンクの
中和剤の撹拌の時定数を用い、この時定数による一次遅
れにより推定した中和剤反応量を用いpH測定における
むだ時間分だけ過去のデータを用いる。
【0050】これによりプロセスの撹拌の時定数とpH
測定値のむだ時間があってもオーバーシュートのない中
和制御が行うことができる。よって、経済的でかつ信頼
性の高い中和制御が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る溶液の中和制御方法を説
明するための中和滴定曲線図、(b)は(a)の滴定曲
線を水素イオン濃度で示す特性図。
【図2】本発明に係る溶液の中和制御方法の一実施例を
説明するためのブロック図。
【図3】(a)は従来のPI制御による強電解質と弱電
解質の酸が等量存在したときの中和制御結果を示す特性
図、(b)は本発明例の中和制御結果を示す特性図。
【図4】(a)は従来のPI制御による弱電解質の酸が
多いときの中和制御結果を示す特性図、(b)は本発明
例の中和制御結果を示す特性図。
【図5】(a)は従来のPI制御による弱電解質の酸が
少ないときの中和制御結果を示す特性図、(b)は本発
明例の中和制御結果を示す特性図。
【図6】従来の溶液の中和制御方法を説明するためのブ
ロック図。
【図7】図6におけるPI制御方法を説明するための系
統図。
【符号の説明】
1…タンク、2…溶液、3…撹拌用ループ、4…撹拌用
ポンプ、5…配管ループ、6…pH計、7…中和剤注入
ポンプ、8…中和剤、9…pH測定値、10…pH目標
値、11…中和制御装置、12…ポンプ駆動指令、13…PI
演算。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関 秀司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 研究開発センター内 (72)発明者 真野 潔 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝 府中工場内 (56)参考文献 特開 昭57−45388(JP,A) 特開 昭57−45619(JP,A) 特開 昭61−146390(JP,A) 特開 昭62−125895(JP,A) 特開 昭52−18057(JP,A) 特開 昭52−95292(JP,A) 特開 平6−175736(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/66 G05D 21/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンク内に蓄えられた溶液に中和剤注入
    ポンプにより中和剤を加えて該中和剤の反応を行い、中
    和剤注入制御してpH調整する溶液の中和制御方法にお
    いて、前記溶液の最初のイオン濃度から当該溶液を全て
    強酸と見做して中和剤投入量を求め投入する第1の中和
    剤注入制御方法と、前記中和剤注入量のデ―タと中和剤
    注入により変化した前記タンク内の前記水素イオン濃度
    のデータを1次関数によりフィッテイングし中和剤投入
    量に対する水素イオン濃度の変化率を求め、前記目標水
    素イオン濃度を達成する中和剤量を前記変化率と前記水
    素イオン濃度から外挿計算により推定し第2の中和剤注
    入量を求める第2の中和制御方法とからなり、前記第1
    の中和制御方法により求められた中和剤投入量と前記第
    2の中和制御方法により求められた中和剤投入量の最大
    値である第3の中和剤投入量を中和剤投入量とし、この
    中和剤投入量を達成するよう中和剤投入ポンプ回転数を
    可変作動させるか、または、前記第3の中和剤投入量が
    設定値以下の場合に中和剤投入ポンプを一定速度で作動
    し、前記第3の中和剤注入量が前記設定値より大きい場
    合に中和剤注入ポンプを停止させることを特徴とする溶
    液の中和制御方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の中和制御方法において、前記
    pH測定値と前記pH目標値との偏差が第2の設定値よ
    り小さくなったとき前記変化率を一定とするか前記変化
    率を定数倍し中和剤投入量を外挿することを特徴とする
    請求項1記載の溶液の中和制御方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の中和制御方法において、フィ
    ッテイングに用いる中和剤投入量データは中和タンクの
    中和剤の撹拌の時定数を用い前記時定数による一次遅れ
    により推定した中和剤反応量を用いpH測定におけるむ
    だ時間分だけ過去のデータを用いることを特徴とする請
    求項1記載の溶液の中和制御方法。
  4. 【請求項4】 前記第2の中和制御方法において、フィ
    ッテイングに用いる中和剤投入量データは中和タンクの
    中和剤の撹拌の時定数を用い前記時定数による一次遅れ
    により推定した中和剤反応量を用いpH測定におけるむ
    だ時間分だけ過去のデータを用いることを特徴とする請
    求項2記載の溶液の中和制御方法。
  5. 【請求項5】 前記中和剤注入制御において、アルカリ
    性の中和溶液を用いる第1の溶液中和制御方法と、酸性
    の中和溶液を用いる第2の溶液中和制御方法とからな
    り、前記測定されたpH値が目標pH値よりも小さいと
    き前記第1の溶液中和制御方法を用い、前記測定された
    pH値が目標pH値よりも大きいとき前記第2の溶液中
    和制御方法を用いることを特徴とする請求項2記載の溶
    液の中和制御方法。
  6. 【請求項6】 前記第2の中和制御方法を随時更新する
    ことを特徴とする請求項1記載の溶液の中和制御方法。
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