JP3351685B2 - 陽圧缶ヘッドスペースガス分析方法 - Google Patents

陽圧缶ヘッドスペースガス分析方法

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JP3351685B2 JP17850696A JP17850696A JP3351685B2 JP 3351685 B2 JP3351685 B2 JP 3351685B2 JP 17850696 A JP17850696 A JP 17850696A JP 17850696 A JP17850696 A JP 17850696A JP 3351685 B2 JP3351685 B2 JP 3351685B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、通常状態での缶
内圧が大気圧以上の陽圧缶のガス分析方法に関し、特
に、炭酸飲料缶詰のガス分析に好適なガス分析方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように炭酸飲料は、内容液に炭酸
ガスを溶解させて清涼感やフレーバーを与えており、そ
の溶解量によって風味などの品質が変化するので、炭酸
ガス量を管理することは、炭酸飲料の製造工程での重要
な要素である。その炭酸ガスの溶解量を示す指標として
ガスボリュームが採用されている。清涼飲料業界では慣
用的に、炭酸ガスが、1気圧下で、約15.6℃の水に
1:1すなわち水と同容量溶けるが、これを1ガスボリ
ュームと称し、ガスボリュームの基準としている。
【0003】また、近年、炭酸ガスの溶解量の少ない微
炭酸飲料が開発されたが、この種の飲料は、容器内の圧
力が低くくなって容器全体としての強度が不足すること
があるので、窒素ガスを封入して炭酸ガス量の不足によ
る強度不足を補っている。
【0004】また、飲料缶詰には、内容液の充填工程で
不可避的に酸素が混入することがあるが、飲料中に溶存
する酸素は、酸化作用によって内容物を変質させたり、
金属缶の場合には、缶自体の腐食を促進させてしまう。
そのため酸素量は、極力少なくすることが好ましく、し
たがって容器中の酸素量を管理することは、充填工程で
の重要な管理項目となっている。
【0005】従来、飲料缶詰におけるこれら酸素ガスお
よび炭酸ガスの量を測定する方法として、以下の方法が
知られている。先ず、第1の方法は測定作業を自動化し
た方法であって、ヘッドスペースガス量を測定した後
に、そのヘッドスペースガス中の酸素濃度を測定し、そ
の測定結果から炭酸ガス量およびガスボリュームを測定
する方法である。この方法では、既知の比較的小容積の
箇所に陽圧缶のヘッドスペースを連通させて圧力を測定
し、ついで他の既知の容積の箇所にヘッドスペース連通
させて再度圧力を測定し、これらの各容積および圧力か
ら P1 ・V1 =P2 ・V2 の関係に基づいてヘッドスペースガス量を求める。また
酸素濃度は、適宜の酸素センサーによって測定し、その
濃度に基づいてヘッドスペースガス中の酸素ガス量およ
び窒素ガス量を求め、これらの量をヘッドスペースガス
量から減算することにより炭酸ガス量を算出している。
【0006】また第2の方法は、先ず、炭酸ガスをヘッ
ドスペースガスから除去し、その除去された量を、残っ
たガス量から求め、ガスボリュームを算出する方法であ
る。すなわち圧力の測定などによって上記の方法と同様
にしてヘッドスペースガス量を測定する。ついでそのヘ
ッドスペースガスを水酸化ナトリウムあるいは水酸化カ
リウムなどに通して炭酸ガスを吸収・除去する。こうし
て得られたガスは、実質的に酸素および窒素であるか
ら、その量をヘッドスペースガス量から減算し、炭酸ガ
ス量を求める。そしてその値に基づいて炭酸飲料のガス
ボリュームを算出する。なお、この方法は、炭酸ガスの
吸収・除去作業を必要とするために、手作業によらざる
を得ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した第1の方法
は、圧力測定および酸素センサーによる酸素ガス濃度の
測定を行うことにより炭酸飲料のガスボリュームを求め
ることができ、したがって自動化の可能な方法である。
しかしながらこの方法では、酸素ガス濃度に基づいて窒
素ガス量を推定しており、これは空気中の窒素濃度が酸
素濃度の約4倍であることに基づいており、そのため前
述したように内圧を高めるために窒素ガスを充填してあ
る陽圧缶については、窒素ガス量を知ることができず、
結局、窒素ガスを封入した炭酸飲料缶詰についてのガス
ボリュームを測定することができない。
【0008】また上述した第2の方法は、炭酸ガスを吸
収・除去した後のガスの成分を問わないから、窒素ガス
を封入した炭酸飲料缶詰についても適用することができ
る。しかしながら炭酸ガスの吸収・除去を手作業によっ
て行わざるを得ないので、自動化することができず、も
しくは困難であり、また測定精度にばらつきが生じ、精
度の高い工程管理が困難になるおそれがあった。
【0009】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、炭酸飲料缶詰などの陽圧缶における酸
素量あるいは炭酸ガス量を正確に求めることができ、ま
た自動化の容易な方法を提供することを目的とするもの
である。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、この発明は、缶内圧が大気圧以上
であって内容液に炭酸ガスを溶解させた陽圧缶のヘッド
スペースからガスをサンプリングするとともに分析する
陽圧缶ガス分析方法において、前記陽圧缶のヘッドスペ
ースガスの容量を計測するとともに、そのヘッドスペー
スガス中の酸素ガスもしくは炭酸ガスの濃度を測定し、
その濃度に基づいてそれぞれのガスのヘッドスペースガ
ス中の量を求め、さらに炭酸ガス濃度を測定した場合に
は、炭酸ガス分圧および溶解度から前記内容液中の炭酸
ガス量を求めることを特徴とする方法である。
【0011】したがってこの発明の方法によれば、ヘッ
ドスペースガスの量と酸素濃度から陽圧缶の内部の酸素
量を求めることができる。また炭酸ガス濃度およびヘッ
ドスペースガスの量から炭酸ガスの量を求めることがで
きるうえに、炭酸ガス溶解度およびその分圧から炭酸ガ
スボリュームすなわち内容液に溶存している炭酸ガス量
を求めることができる。そして特にこの発明の方法によ
れば、機械的に測定したデータに基づいて各値を演算し
て求めることができるので、手作業による場合のような
個人差による精度のばらつきなどを防止して正確な測定
値を得ることができ、また自動化が容易になる。
【0012】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明の方法を図面を参
照して具体的に説明する。先ずこの発明の方法を実施す
るための装置について説明すると、図1に示す陽圧缶ガ
ス分析装置25は、通常状態で缶内圧が大気圧以上の缶
詰1を保持する缶詰保持台33と、缶詰1の内容液と接
触する部分の洗浄を行う洗浄槽34と、陽圧缶のヘッド
スペースガスをサンプリングするピアシング装置24と
を備えている。
【0013】缶詰保持台33は、一例として、缶底を上
側にして約50°の傾斜角度で缶詰1を保持するもので
あって、缶詰外形形状すなわち缶胴の形状に合わせてU
字型もしくはV字型の溝35が形成されるとともに、こ
の溝35を水平面に対して約50°の傾斜角度に設定し
て缶胴部分で缶詰1を保持する傾斜保持板36と、傾斜
保持板36の下端部に垂直に取り付けられるとともに缶
詰1の蓋部分の縁部全周と接触して缶蓋部分を当接させ
る端板37とからなり、側面視で、90°のV字形に形
成されている。すなわち、陽圧缶の場合、缶詰1を垂直
に立てた状態では、缶底が缶詰1の中心に向けて緩やか
に湾曲した凹形状(ドーム形状)となっているため、缶
底の中央では液面が接触しており、缶詰1の中央でヘッ
ドスペースガスを採取しようとすると、ヘッドスペース
ガスと共に内容液を採取してしまうから、陽圧缶のヘッ
ドスペースガスを採取する際には、ヘッドスペースガス
と共に内容液を採取しないように、缶詰1を傾斜させて
ヘッドスペースガスを缶底周縁部38に集めた状態で、
缶底周縁部38にピアシング(穿孔)し、ヘッドスペー
スガスを採取するようにしている(図2参照)。
【0014】なお、傾斜保持板36の傾斜角度は、各種
缶詰を傾斜させてヘッドスペースガスのサンプリングテ
ストを予め行い、その結果から、最も有効にヘッドスペ
ースガスの採取ができる角度とすればよい。
【0015】さらに、前記傾斜保持板36には、ハンド
リングロボットの把持爪(それぞれ図示せず)との干渉
を回避するための溝39が形成されている。また、缶高
によってハンドリングロボットが缶詰1を把持する位置
が異なるので、缶詰1のハンドリング位置に合わせて、
前記溝39が、二本形成されている。
【0016】洗浄槽34は、円筒形状の容器であって、
例えば、イオン交換水すなわち純水などの洗浄液を溜め
て、その中にサンプリング時に内容液と接触した部分を
挿入して洗浄するようになっている。なお、洗浄の都
度、缶詰1の内容液が洗浄液に、混入してしまうので、
検査毎に洗浄液を入れ替えるようになっている。なお、
この洗浄槽34の上端部には、後述する針部などの被洗
浄部材から洗浄液を吹き飛ばして除去するためのエアー
ノズル(図示せず)が設けられている。
【0017】陽圧缶ヘッドスペースガスの分析を行うた
めの陽圧缶ヘッドスペースガス採取用ピアシング装置2
4は、設置台40上の二本のリニアーガイド41の上に
矩形キャビネット42を移動自在に設置した構成であ
り、そのキャビネット42の先端部分が前記缶詰保持台
33の上方と前記洗浄槽34の上方とに位置するように
往復移動できるようになっている。このピアシング装置
24は、図2に示すヘッドスペースガスを分析するため
のヘッドスペースアナライザー52を有し、またそのキ
ャビネット42の前面にピアシング機構43が取り付け
られている。
【0018】ここで、ピアシング機構43について説明
すると、このピアシング機構43は、缶詰保持台33上
に斜めに設置した缶詰1から、ヘッドスペースガスを採
取するためのものであって、上下方向に向けて配置した
昇降機構45の下端部に、ヘッドスペース内のガスを吸
引するためのピアシングヘッド44が備えられており、
このピアシングヘッド44を昇降機構45によって、缶
詰1に対して上下動させるように構成されている。
【0019】そしてこの昇降機構45は、一本のエアー
シリンダー46を中心としてその左右両側にガイドとな
るガイドポスト47をエアーシリンダー46と平行に配
置し、ガイドスリーブ48をこのガイドポスト47に摺
動自在に嵌合させて構成されている。
【0020】なお、前記ピアシングヘッド44に接続さ
れた電線ケーブルや配線などは、キャタピラあるいはこ
れに類似する鎖条体50によってまとめられ、湾曲自在
に保持されている。また、ピアシング装置24を缶詰1
の種類に合わせてサンプリング位置に移動させるサーボ
機構(図示せず)が備えられている。
【0021】他方、ピアシングヘッド44の内部には、
図2に示すように、缶底周縁部38に向けて突入・退出
する中空の針部114と、缶底周縁部38とピアシング
ヘッド44との間で前記針部114の周囲の所定範囲を
気密状態に保持するシール部115とが備えられてい
る。また、針部114の中空部には温度計(図示せず)
が備えられ、内容液の温度を測定するようになってい
る。
【0022】さらに、前記針部114の中空部を介して
ヘッドスペースガスをヘッドスペースアナライザー52
内に送るために、針部114の中空部から、ヘッドスペ
ースアナライザー52の各装置に連通し、ヘッドスペー
スガス流路となる配管51が備えられている。
【0023】図2に示すように、ヘッドスペースアナラ
イザー52は、ガスクロマトグラフ55を主体とするも
のであって、このガスクロマトグラフ55の吸気通路側
には、水分除去装置56と水分検知装置57とが、それ
ぞれ直列に接続されている。また、ガスクロマトグラフ
55の排出通路側には、パージ用のHeガスを充填した
ガスボンベ58が接続されている。そして、前記針部1
14は、制御バルブ591および制御バルブ592を介
してガスボンベ58に接続されている一方、制御バルブ
591と他の制御バルブ593とを介して、前記水分検
知装置57の流入側に接続されている。
【0024】そして、内容積を変えることのできるシリ
ンジ54が各制御バルブ591,592,593を介し
て、針部114およびガスボンベ58ならびに水分検知
装置57にそれぞれ接続されている。なお、針部114
には、圧力測定装置53と減圧バルブ60とがそれぞれ
接続されるとともに、これら圧力測定装置53および減
圧バルブ60の接続箇所よりも先端側にフィルター11
6が介在されている。そして、その針部114を前記缶
詰保持台33上の缶詰1に突き刺して、ヘッドスペース
ガスをサンプリングするようになっている。
【0025】なお、ガスクロマトグラフ55による分析
結果に基づいた酸素量や炭酸ガス量の演算、それに先立
つキャリブレーションあるいは洗浄は、図示しない制御
装置によるシーケンス制御によって自動的に行うように
なっている。
【0026】つぎに上記の装置の作用すなわちこの発明
の方法を説明する。まず、図示しないハンドリングロボ
ットによって缶詰1が缶詰保持台33にセットされる。
その場合、該缶詰保持台33には前記溝39が形成され
ているので、ハンドリングロボットの把持爪が缶詰保持
台33に引っ掛かったりせずに静かに缶詰1を缶詰保持
台33にセットすることができる。
【0027】また、缶詰保持台33に載せられた缶詰1
は、缶詰保持台33を構成する傾斜保持台36と端板3
7とにより、缶詰1の底を上にした状態でかつ約50°
に傾斜した状態で保持されることになるので、缶詰1内
部のヘッドスペースガスは、缶詰保持台33に載せられ
た状態で最上部となる缶詰1の缶底周縁部38に集めら
れる。
【0028】缶詰1が前記缶詰保持台33に置かれる
と、前記設置台40のリニアーガイド41上の陽圧缶ヘ
ッドスペースガス測定装置におけるピアシング装置24
が、リニアーガイド41に沿って前進し、前記缶詰保持
台33の上部にヘッドスペースアナライザー52のピア
シング機構43が缶詰1の缶底周縁部38に対するピア
シング位置にセットされる。
【0029】そして、昇降機構45が作動してピアシン
グヘッド44が缶詰1に向かって下降し、ピアシングヘ
ッド44が缶詰1の缶底周縁部38に接触すると、ピア
シングヘッド44内に備えられたシール部115が缶詰
1の缶底周縁部38に密着する。この状態で、中空の針
部114が前記シール部115の内部を通って缶詰1の
缶底周縁部38に突き刺さる。
【0030】ヘッドスペースアナライザー52の内部で
は、ピアシング前にアナライザー52内の配管51の途
中に取り付けてある全バルブが閉鎖されるとともに、シ
リンジ54を図3でのS2 の位置すなわちシリンジ54
の容量Vsが0となる位置にセットされ、配管51内の
ガス流動を制御する制御バルブ591と、制御バルブ5
92とを開放し、ガスボンベ58によりHeガスが配管
51内に放出されアナライザー52内がパージされる。
すなわち、配管51を含む全体がHeガスで満される。
【0031】Heガスが充満されると制御バルブ591
が閉鎖され、シリンジ54をS1 の位置として、シリン
ジ54内にHeガスを流入させる。その後、制御バルブ
592を閉鎖する。この状態で、前記のようにヘッドス
ペースアナライザー52を動作させて、缶詰1の缶底周
縁部38に針部114を突き刺すと、ヘッドスペースガ
スが針部114の中空部を通って、ヘッドスペースアナ
ライザー52内部に入り込む。
【0032】そして、ヘッドスペースガスに含まれる内
容液など分析に不都合なものがフィルター116によっ
て排除される。また同時に、圧力測定器53により、缶
詰1内のヘッドスペースの圧力(Phs)を測定する。
ついで、制御バルブ591を開放し、その状態で再度圧
力(Ps)を測定する。この場合、ヘッドスペース内に
封入されていたガスが、シリンジ54を含む広い領域に
拡散するから、圧力測定器53に表れる圧力は、シリン
ジ54と缶詰1とのヘッドスペースガスおよびその間を
連結する配管中の圧力のトータルの平衡圧となる。
【0033】なお、ガス分析を行うガスクロマトグラフ
55は圧力が高いと分析精度が低下するので、シリンジ
54を含む系の圧力(Ps)が1kg/cm2 以上の場
合には、減圧バルブ60を開放し、ガス圧(Ps)を1
kg/cm2 未満とした後、減圧バルブ60を閉鎖す
る。
【0034】そして、制御バルブ593を開放し、ガス
クロマトグラフ55でヘッドスペースガスの分析、すな
わちヘッドスペースの酸素濃度および炭酸ガス濃度の測
定が行われる。その場合、ガスクロマトグラフ55に入
るヘッドスペースガスは水分を多く含んでいるので、4
0℃以下の飽和水蒸気の場合には、水分除去装置56に
より、ガスクロマトグラフ55の検知に差支えのない水
分含量0.1%以下まで、水分を除去する。また、内容
液を吸い込んだ場合には水分除去装置56が働かないの
で、水分検知装置57が内容液を検知した場合、および
40℃以上の飽和水蒸気を検知した場合には、ガスクロ
マトグラフ55に内容液が入らないように配管51を閉
鎖する。
【0035】そして、ヘッドスペースガス分析終了後、
制御バルブ591、制御バルブ593を閉鎖した後、針
部114を内容液中に挿入し、針部114の中空部に備
えた温度計により内容液の温度を測定する。そして、針
部114を抜き測定を終了する。
【0036】また、ヘッドスペースガスのサンプリング
検査終了後、ピアシング装置24がリニアーガイド41
に沿って洗浄槽34の上方に移動し、缶詰1の内容液に
接触したピアシング部が、洗浄槽34内に充填した洗浄
液の中に挿入されて洗浄される。
【0037】以上のようにしてサンプリングされ、かつ
計測されたデータに基づいてガスボリュームが、以下の
ようにして演算され、算出される。先ず、炭酸ガスの液
中濃度Cは下記の式で表される。
【0038】C=H・P C:CO2 の液中濃度、 H:溶解度係数、 P:炭酸
ガスの分圧 なお、炭酸ガスの内容液に対する溶解度は、糖度に影響
される。そこで炭酸ガスの溶解度およびそれに対する糖
度の影響を示す係数は以下のとおりである。
【0039】 Cw:ガス(CO2 )の水に対する溶解度。(kg・m
ol/m3 ) C :ガス(CO2 )の溶液に対する溶解度係数(m3
/kg・mol) Hw:ガスの水に対するヘンリー定数(atm・m3
kg・mol) H :ガスの溶液に対するヘンリー定数(atm・m3
/kg・mol) Cs:非電解質(糖)のモル濃度(kg・mol/
3 ) Ks:塩類効果係数(糖による溶解度係数)(m3 /k
g・mol) ところで糖度は、内容液(清涼飲料)に添加された糖の
量によって決まり、ブリックス(糖度)%で示され、一
般に清涼飲料に用いられる糖は、シュークロースであっ
てこれは非電解質として扱うことができ、その糖濃度は
10%前後である。これを前提に上記の塩類効果係数K
sは、分子量342として、実験的に“0.15”とさ
れる。それに基づいて上記係数の間には、下記関係が成
立する。
【0040】 log(C/Cw)−log(Hw/H)=Cs×(−Ks) …式 ここで、糖濃度(シュークロース)を10.5%とした
場合を示すと、 Cs=非電解質濃度(モル分率) =(ブリックス%×1/100)×1000/シュークロス分子量…式 =(10.5%×1/100)×1/(342/1000) =0.307 式より、 Cs×(−Ks)=0.307×(−0.15)=−
0.046 C/Cw=Hw/H=Exp(Cs×(−Ks)) =Exp(−0.046) =0.899 したがって、C=0.899×Cw H=1.112×Hw このことは、溶液に対する炭酸ガスの溶解度Cが水に対
するガスの溶解度に比べて、約10%低下することを示
す。また、溶液に対するヘンリー定数(溶解度)Hも同
様な意味を示している。この関係がガスボリューム計算
式に導入される。
【0041】つぎに、炭酸ガスの水に対する溶解度の温
度換算式を示す。水に対する炭酸ガスの溶解度は下記式
によって求められている。なお、本発明では標準温度を
20℃に設定しているため、20℃でのガスボリューム
を算出している。
【0042】 Exp{測定温度×(−0.034662)}×0.070021 …式 この式に炭酸ガスの溶液に対するヘンリー定数Hを掛
けると、内容液に対する炭酸ガスの溶解分が求められ、
これを´式とする。 ( 式×H=内容液に対する炭酸ガスの溶解分 …´式) 缶内圧力は、相対圧力として測定されるので、絶対圧力
に換算する。また、ガスボリュームは、内容液中に溶解
した炭酸ガスの容積比であるが、ヘッドスペースのガス
分析値と溶解度とから算出するので、気液平衡であるこ
とを前提としており、必要な場合には、飲料缶を振るな
どした後に測定する。
【0043】炭酸ガスの分圧(炭酸ガス濃度は、ガスク
ロで全気体中の比率で出す。)は、絶対圧として用いら
れるので、測定したヘッドスペースの圧力から、水蒸気
圧を引いて大気圧を加える。すなわち、 炭酸ガスの分圧={缶詰の内圧−水蒸気圧+大気圧}×CO2 % ×1/100 ={内圧(ゲージ圧)−水蒸気圧+1.033}×CO2 % ×1/100 …式 気体の体積の20℃への換算を示すと、気体の体積Vは
以下のようになる。
【0044】V=RT R:気体定数=0.08205 T:絶対温度=273+20℃ 注)0℃のとき 0.08205×273=22.4
(l) ゆえに、20℃における気体の体積は、(ml単位) (273+20)×0.08205 =293×0.08205×(1/1000) …式 なお、この算出式は、容量単位に換算するために用い
る。
【0045】水蒸気圧は、下記の関係式により求められ
る。
【0046】 LogP(mmHg)={D−E/(F+測定温度(℃))} =P(H2 OmmHg)−17.536 この圧力をkg/cm2 へ換算すると P(H2 Okg/cm2 )=P(H2 OmmHg)×0.00136 …式 つぎにガスボリューム(G.V)の算出方法について説
明する。ガスボリュームは、炭酸ガスの内容液に対する
溶解度と炭酸ガスの分圧との積により求められる。炭酸
ガスの内容液に対する溶解度は、式(式のHw)よ
り Exp{測定温度×(−0.034662)×0.07
0021} となり、式より炭酸ガスの内容液に対する溶解度は下
記のように求められる。
【0047】 溶解度=Hw/10{Cs×(−Ks)} (式を代入して) =Hw/10{ブリックス(%)×(−Ks)/分子量} =Exp{測定温度(℃)×(−0.034662)}×0.070021 /10{ブリックス(%)×(−1.5)/342} 炭酸ガスの分圧は、式および式より下記の計算式が
導かれ、求められる。
【0048】分圧={内圧−[10D-E/(F+測定温度)
−17.536]×0.00136 }+1.033 ×CO2 (%)×(1/
100 ) 気体の体積の20℃への換算は、式で行うことができ
る。
【0049】そして、上記の式を用いて、ガスボリュー
ムを求めると下記のようになる。
【0050】 ガスボリューム(G.V)=溶解度×分圧×気体体積20℃換算 =Exp[測定温度(℃)×(−0.034662)]×0.070021 /10{ブリックス(%)×(-1.5)/342} ×[内圧−〔{10 {D-E/(F+測定温度)}-17.536 }×0.00136 〕] +1.033 ×CO2 (%)×0.08205 ×(273 +測定温度)×0.01 なお、ヘッドスペースアナライザー52内でのヘッドス
ペース容量の算出方法は下記の式により求められてい
る。
【0051】ヘッドスペースおよび配管系の容量と圧力
との関係は、 Phs(Vhs+Vp)+Pso×Vs=Ps(Vhs+Vp+Vs+Sv) この式を開くと Phs×Vhs+Phs×Vp+Pso×Vs =Ps×Vhs+Ps×Vp+Ps×Vs+Ps×Sv Vhs(Phs−Ps) =Vp(Ps−Phs)+Vs(Ps−Pso)+Ps×Sv Vhs={Vs(Ps−Phs)+Vs(Ps−Pso)+Ps×Sv} /(Phs−Ps)・・・・・式(A) 記号の現す意味は Vhs:ヘッドスペース容量(求めようとする容量)。
【0052】Vp :缶蓋から制御バルブ591までの
配管内の容量。
【0053】Vs :制御バルブ591から制御バルブ
592および制御バルブ593までの配管内の容量(シ
リンジ54はS2 の位置で閉鎖されている)。
【0054】Sv :シリンジ54の容量(S2 からS
1 にした時の容量)。
【0055】Phs:ヘッドスペースの圧力測定値(制
御バルブ591を閉鎖している時の圧力)。
【0056】Pso:シリンジ54を閉鎖している時
(S2 の位置)の配管内の圧力測定値(Heガスの圧力
を示す)。
【0057】Ps :シリンジ54を開放した時(S1
の位置)のヘッドスペースの圧力測定値(制御バルブ5
91は開放されている)。
【0058】ここで、分析システムに固有の既知の数値
(実際の数値)を示すと、 Vp :システムに固有 0.5(ml) Vs :システムに固有 2.0(ml) Sv :設定した固有の値 20.0(ml) Pso:Heガスの設定圧力 1.0(kg/cm2 ) この数値を、式(A)に代入すると、 Vhs={0.5(Ps−Phs)+2.0(Ps−1.0)+Ps×20} /(Phs−Ps) Vhs={22.5×Ps−0.5×Phs−2.0)/(Phs−Ps) ・・・・・式(B) したがって、式(B)からPhsとPs、すなわちヘッ
ドスペースの圧力と、シリンジ54を開放した時のヘッ
ドスペースの圧力とを測定することによって、飲料缶詰
の未知のヘッドスペース容量を算出することができる。
【0059】なお、ヘッドスペース容量の測定法として
は、単純に制御バルブ間のパイプだけで容量を変えるの
ではなく、シリンジ54で容量変化を大きくし、測定圧
力に差を付けることによって、より正確にヘッドスペー
ス容量が測定できる。
【0060】この方法を用いることによって、飲料缶個
々に固有のヘッドスペース容量の測定が可能となり、よ
り正確なガスボリュームや、酸素濃度の測定を可能とし
た。
【0061】上記計算式において、シリンジ54にリジ
ッドな容器を用いた場合、ヘッドスペース容量に対する
測定温度の影響は、主として、内容液の膨張および収縮
率であるが、測定温度が約5〜30℃の場合には、内容
液の膨張および収縮は、ほとんど生じないので、測定温
度への影響は無視してもよいと考えられる。
【0062】また、ヘッドスペース酸素量の算出につい
ては、下記式で求められている。
【0063】酸素量(ml)=ヘッドスペース容量×
{20℃換算圧力(ゲージ圧−水蒸気圧)+大気圧}×
酸素濃度 ここで、ヘッドスペースの内圧について、20℃換算し
たものを示すと、 1.非炭酸飲料の陽圧缶の場合 (1)20℃の場合の換算圧力 P=P20´+P・H2 O P :20℃の換算圧力(kg/cm2 ) P20´ :水蒸気圧を除く20℃換算圧力 P・H2 O:水蒸気圧 (2)P20´の計算 P20´=測定内圧×(273+20)/(測定温度+2
73) (3)P・H2 Oの計算 水蒸気圧について Log(P/mmHg)=D−E/(F+測定温度) =P(mmHg) P(mmHg)−17.536(mmHg)=P・H2
(mmHg) 単位の換算 P・H2 O(kg/cm2 )=P・H2 O(mmHg)×
0.00136 2.炭酸飲料の陽圧缶の場合 ガスボリュームを求める式を20℃の水の溶解度を代入
し変型することによって求められる。
【0064】{ガスボリューム値×[0.84159/10
{ブリックス(%)×(-1.5)/342}-1−[1.033 ×C
2 (%)/100 ]}×[1/(CO2 (%)/100
)]=20℃換算圧力 なお、上記の具体例では、酸素ガスおよび炭酸ガスの濃
度をガスクロマトグラフで計測するようにしたが、この
発明では、窒素ガス濃度を併せて検出してもよく、その
ようにすれば、微炭酸飲料缶詰のように窒素ガスを充填
した飲料缶詰についてのガスボリュームを計測すること
ができる。
【0065】また、内容液の温度測定は、上述した方法
に限らず、必要に応じて適宜の測温方法を採用すること
ができる。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の方法に
よれば、ヘッドスペースガスの量と酸素濃度とから陽圧
缶の内部の酸素量を求めることができる。また炭酸ガス
濃度およびヘッドスペースガスの量から炭酸ガスの量を
求めることができるうえに、炭酸ガス溶解度およびその
分圧から炭酸ガスボリュームすなわち内容液に溶存して
いる炭酸ガス量を求めることができる。そして特にこの
発明の方法によれば、機械的に測定したデータに基づい
て各値を演算して求めることができるので、手作業によ
る場合のような個人差による精度のばらつきなどを防止
して正確な測定値を得ることができ、また自動化が容易
になる。したがってこの発明によれば、通常状態での内
圧が大気圧以上の陽圧缶の品質を正確かつ迅速に把握で
きるので、充填工程での管理が容易かつ正確になるなど
の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法を実施するための陽圧缶ガス分
析装置の全体的な構成を示す概略図である。
【図2】その内部構造を示す概要図である。
【符号の説明】
1…缶詰、 24…ピアシング装置、 33…缶詰保持
台、 43…ピアシング機構、 52…ヘッドスペース
ガスアナライザー、 55…ガスクロマトグラフ、 5
3…圧力測定装置、 114…針部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/14 B65B 57/10 G01N 1/22 G01N 30/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 缶内圧が大気圧以上であって内容液に炭
    酸ガスを溶解させた陽圧缶のヘッドスペースからガスを
    サンプリングするとともに分析する陽圧缶ガス分析方法
    において、 前記陽圧缶のヘッドスペースガスの容量を計測するとと
    もに、そのヘッドスペースガス中の酸素ガスもしくは炭
    酸ガスの濃度を測定し、その濃度に基づいてそれぞれの
    ガスのヘッドスペースガス中の量を求め、さらに炭酸ガ
    ス濃度を測定した場合には、炭酸ガス分圧および溶解度
    から前記内容液中の炭酸ガス量を求めることを特徴とす
    る陽圧缶ガス分析方法。
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