JP3350795B2 - 凝固残湯取出し装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は重力鋳造過程において湯
口から溢れて凝固した凝固残湯を取り出すための凝固残
湯取出し装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】重力の作用によって溶湯を注入する方式
の重力鋳造法では、湯回りをよくして均質な製品を得る
ため、及び歩留りをよくして製造コストを低減するため
に湯口を上型の中央部に形成する場合が多い。この場合
には、湯口から溢れて凝固した残湯を除去しなければ製
品を上型から取り外すことができないので、注湯前に湯
口部に除去リングを配置して溢れた溶湯をこの除去リン
グ内に留め、その後除去リングを移動させて凝固残湯を
除去している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、除去リング
の配置及び移動、そして移動させた除去リング内の凝固
残湯の取除きはすべて手作業によって行われているため
に作業効率がよくない。特に凝固残湯の取除きは高温の
ために直ちに行うことができず、ある程度冷却するのを
待たなければならない。そして、冷却すると残湯と除去
リングとの接着力が大きくなるので取除き作業はきわめ
て非能率的なものとなっている。

【０００４】そこで、本発明は除去リングの配置及び移
動、そして除去リング内の凝固残湯の取除きを自動的に
かつ速やかに行うことが可能な凝固残湯取出し装置の提
供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明の凝固残湯取出し装置は、湯口から溢れて凝
固した残湯を除去するための、湯口部に配置される除去
リングと、この除去リングを支える支持バーと、この除
去リングの配置及び退避のために支持バーを駆動する駆
動装置と、退避時に除去リング内の凝固残湯を押して落
とす押し棒装置とを備えたものである。

【０００６】除去リングに、こぼれた溶湯を受けてこの
除去リング内に導く湯受け部を構成することは効果的で
ある。

【０００７】

【作用】駆動装置によって除去リングは自動的に配置さ
れ、そして凝固残湯をともなって退避する。退避した除
去リング内の凝固残湯は押し棒装置によって自動的にか
つ速やかに押されて落下する。

【０００８】除去リングに構成された湯受け部は、注湯
開始及び注湯終了時にラドルからこぼれた溶湯を除去リ
ング内に導いて溶湯が上型上に落下するのを防止する。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。

【００１０】図１は本発明に係る凝固残湯取出し装置の
正面図である。

【００１１】上型１の上面中央部には湯口部３が構成さ
れ、この湯口部３の受け板５上には除去リング７が配置
されている。溶湯はラドル９（図２参照）から湯口部３
の湯口１１に直接流し込まれるが、注湯開始時にラドル
９からこぼれた溶湯は除去リング７に固定された湯受け
部材１２（湯受け部）上に落下して湯口１１に導かれ
る。

【００１２】除去リング７は支持バー１３の先端に取り
付けられ、この支持バー１３は上下方向へ揺動できるよ
うに駆動装置１５の支持部材１７に取り付けられてい
る。支持バー１３の後端部には、支持部材１９に上下方
向へ揺動できるように取り付けられた駆動シリンダ２１
のロッド２３がユニバーサルジョイント２５を介して接
続されている。注湯工程が終了して除去リング７を退避
させる場合には、駆動シリンダ２１のロッド２３が伸び
てまず支持バー１３を揺動させ、仮想線で示すように除
去リング７を上昇させる。

【００１３】なお、注湯終了時にラドル９からこぼれた
溶湯は湯受け部材１２上に落下して除去リング７内に流
れ込む。

【００１４】図２は凝固残湯取出し装置の平面図であ
る。

【００１５】支持部材１７，１９はそれぞれ支持プレー
ト２７，２９に回転可能に支えられていて、支持バー１
３は所定角度まで揺動すると、その後は駆動シリンダ２
１の伸長するロッド２３に押されて水平方向へ回転し、
その結果除去リング７は仮想線で示すように退避する。
そして、駆動シリンダ２１のロッド２３がさらに伸長す
ると、支持バー１３は再び揺動し、除去リング７は内部
の凝固残湯が押し棒３１（押し棒装置）によって押され
て落下するまで上昇する。

【００１６】この状態から、駆動シリンダ２１のロッド
２３を収縮させると、支持バー１３は除去リング７が下
降するように揺動してから水平方向に回転し（矢印参
照）、その後、除去リング７が受け板５上に下降するま
で揺動する。

【００１７】なお、図中３３は支持バー１３の後端に取
り付けられたローラ、３５はこのローラ３３の案内部材
である。

【００１８】図３は凝固残湯取出し装置の側面図であ
る。

【００１９】案内部材３５には第１縦溝３７と、この第
１縦溝３７に連続する横溝３９と、この横溝３９に連続
する第２縦溝４０（図１参照）とが形成されていて、支
持バー１３のローラ３３はこの第１縦溝３７に嵌り込ん
でいる（除去リング７が受け板５上に配置されている状
態）。したがって、駆動シリンダ２１の伸長作動により
支持バー１３はこの第１縦溝３７に沿って揺動してから
横溝３９に沿って回転し、その後第２縦溝４０に沿って
揺動することとなる（図１も参照）。

【００２０】なお、湯受け部材１２は先端側が湯口１１
に向かって下降傾斜するように除去リング７に固定され
ている。また、駆動シリンダ２１と支持部材１９の支持
ピン４１との間には遊びが設けられている。さらに、横
溝３９のローラ３３との接触面４３，４５は外側に向っ
て下降傾斜している。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の凝固残湯
取出し装置を用いれば、除去リングの配置から移動、そ
して除去リング内の凝固残湯の取除きまでをすべて自動
的にかつ速やかに行うことができるので、作業効率をき
わめて高めることができる。

【００２２】除去リングに湯受け部を構成すれば、上型
上面に溶湯が落下するのを防止して上型の保守作業を軽
減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る凝固残湯取出し装置の正面図であ
る。

【図２】凝固残湯取出し装置の平面図である。

【図３】凝固残湯取出し装置の側面図である。

【符号の説明】

３ 湯口部 ７ 除去リング １１ 湯口 １２ 湯受け部材（湯受け部） １３ 支持バー １５ 駆動装置 ３１ 押し棒（押し棒装置）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B22C 23/00 B22C 9/08 B22D 43/00

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 湯口から溢れて凝固した残湯を除去する
   ための、湯口部に配置される除去リングと、この除去リ
   ングを支える支持バーと、この除去リングの配置及び退
   避のために前記支持バーを駆動する駆動装置と、退避時
   に前記除去リング内の凝固残湯を押して落とす押し棒装
   置と、を備えたことを特徴とする凝固残湯取出し装置。
2. 【請求項２】 前記除去リングに、こぼれた溶湯を受け
   てこの除去リング内に導く湯受け部を構成したことを特
   徴とする請求項１記載の凝固残湯取出し装置。