JP3350077B2 - フロッピーディスク - Google Patents

フロッピーディスク

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JP3350077B2
JP3350077B2 JP00844492A JP844492A JP3350077B2 JP 3350077 B2 JP3350077 B2 JP 3350077B2 JP 00844492 A JP00844492 A JP 00844492A JP 844492 A JP844492 A JP 844492A JP 3350077 B2 JP3350077 B2 JP 3350077B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフロッピーディスクに関
するものであり、更に詳しくは寸法安定性、平面性に優
れた二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムから
なる高密度記録のフロッピーディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フロッピーディスクドライブ装置
のトラッキングミスを防止する点から、基材フィルムと
して温度膨張率及び湿度膨張率の比較的小さいポリエチ
レンテレフタレート二軸配向フィルムが用いられてい
る。
【0003】しかしながら、このような基板フィルムか
らなるフロッピーディスクでも高温高湿下で使用する
と、ディスクの寸法変化から磁気ヘッドと記録トラック
のずれが起こり、トラッキングミスが発生する。さらに
甚だしい場合にはディスクにカールあるいは反りを生
じ、磁気記録ヘッドと均一なコンタクトを保つことが出
来ず、保磁力や再生出力の低下を生じたり、ディスクに
著しい摩耗を生じる場合もある。また、このようなディ
スクに永久歪が生ずる場合に限らず、環境変化によるデ
ィスクの可逆的な寸法変化が起こった場合でも、フロッ
ピーディスクの面上に記録されたトラックと磁気ヘッド
とのズレを生じ、トラッキングミスが発生する。例え
ば、40〜50℃程度の高温及び/又は約80%RH程
度の高湿で使用すると、トラッキングミスが発生する。
特に低温(10℃程度)ないし低湿(20%RH程度)
の条件下で記録したフロッピーディスクは、常温(25
℃程度)及び通常の湿度(60%RH程度)雰囲気のも
とで再生するとトラッキングミスが発生するという欠点
があった。このトラッキングミスによって、出力エンベ
ロープの低下が起こり、S/N比が悪くなるという問題
があった。さらに、磁気記録の高密度化により、磁気バ
インダー層の薄膜化や磁気金属薄膜の使用によって磁性
層の薄膜化が進み、基板フィルムの表面性や平面性、厚
み斑がフロッピーディスクの品質に影響するようになっ
てきており、これらが適正でないと、磁気バインダーの
塗布加工や蒸着加工時に、磁性層の斑が発生したり、磁
気抜けが発生し、再生時に出力低下がみられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
欠点を解消するため研究を重ねた結果、二軸配向ポリエ
チレンテレフタレートフィルムよりなる基材フィルムの
熱収縮率及び温度膨張係数と湿度膨張係数を特定範囲に
調整することによりトラッキングミスを回避するととも
に、基材フィルムの表面性、厚み斑等を改良することに
より高密度記録化をはかったフロッピーディスクを提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために、次の構成からなる。
【0006】二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムを非磁性基板とし、該基板の両面に磁性層を設けて
なるフロッピーディスクであって、該フィルムはその表
面に形成された突起の高さ[h(単位nm)]の数が下
記(1)式で示される範囲にあり、平均屈折率nA が下
記(2)式を満足し、フィルム面内のあらゆる方向にお
ける60℃・80%RHの雰囲気中で72時間無荷重で
熱処理したときの熱収縮率が0.2%以下であり、フィ
ルム面内のあらゆる方向における温度膨張係数が(7〜
25)×10-6/℃の範囲内にあり、かつ湿度膨張係数
が0〜16×10-6/%RHの範囲内にあり、フィルム
のたるみが15mm以下であり、そしてフィルムの厚み
斑が3%以下であることを特徴とするフロッピーディス
ク。
【0007】
【数2】
【0008】本発明においてフィルムを構成するポリエ
チレンテレフタレートは、共重合されてないポリエチレ
ンテレフタレートホモポリマーのみならず、繰り返し単
位の数の85%以上がエチレンテレフタレート単位から
なり、残りが他の成分からなる共重合ポリエチレンテレ
フタレートや、ポリエチレンテレフタレートが85重量
%以上(好ましくは90重量%以上)を占め、他の重合
体が15重量%以下(好ましくは10重量%以下)であ
るようなポリマー・ブレンドを含むものである。ブレン
ドできる他の重合体としては、ポリアミド、ポリオレフ
ィン、他種ポリエステル等を例示できる。また前記ポリ
エチレンテレフタレートは、必要に応じて、滑剤、艶消
剤、着色剤、安定剤を、酸化防止剤などを含有するもの
であってもよい。
【0009】このようなポリエチレンテレフタレート
は、通常溶融重合による公知の方法で製造される。この
際、触媒等の添加剤を、必要に応じて、任意に使用する
ことができる。
【0010】本発明の二軸配向フィルムは、基本的に従
来から蓄積された公知の製膜方法で製造できる。例えば
乾燥ポリエチレンテレフタレートを溶融押出し、キャス
ティングドラム上で冷却して未延伸フィルムを得、さら
に該未延伸フィルムを逐次または同時二軸延伸し、熱固
定する方法で製造することが出来る。
【0011】前記二軸配向フィルムの厚さは、通常25
〜125μm、好ましくは50〜100μm程度の範囲
から選ばれる。もっとも、この厚さの範囲に限定される
ものではない。
【0012】本発明においては、前記二軸配向フィルム
の表面に形成された突起高さと突起の数は特定の範囲に
あることが、フロッピーディスクとしたときドロップア
ウトの発生がなく、電磁変換特性に優れ、またフィルム
の取扱い性が良好となることが明らかになった。従っ
て、本発明のフィルムはその表面に形成された突起の高
さ[h(単位nm)]の数が、下記(1)式
【0013】
【数3】 で示される範囲にあることが必要である。好ましくは下
記(1―2)式
【0014】
【数4】 で示される範囲にあり、さらに好ましくは下記(1―
3)式
【0015】
【数5】 で示される範囲にあり、特に好ましくは下記(1―4)
【0016】
【数6】
【0017】の範囲にある。突起物の突起高さ[h(単
位nm)]が1≦h<50である個数が10000個/
mm2 を越えるときは、フロッピーディスクとする時の
カレンダー処理時にロールによるフィルムの削れを生ず
る。突起物の突起高さが50≦h<100である個数が
2000個/mm2 を越えるときは、フロッピーディス
クとしたのちの電磁変換特性が低下する。突起物の突起
高さが100≦hである個数が300個/mm2 を越え
るときは、電磁変換特性が低下するとともに、ドロップ
アウトが発生しやすくなり、また高密度記録材としたと
きのスペーシングロスが大きくなり、出力が不十分とな
る。突起物の突起高さが1≦h<50である個数が20
00個/mm2 より少ないと、基材フィルムの滑り性が
劣り、取扱いが極めて困難となる。ここで突起高さがh
<1である突起物の個数は特に限定されない。
【0018】かかる表面特性をフィルムに付与するに
は、例えば、ポリエチレンテレフタレート中に数種類の
粒度分布の異なる不活性固体粒子を含有させることが好
ましい。不活性固体粒子としては、好ましくは(1)二
酸化ケイ素(水和物、ケイソウ土、ケイ砂、石英等を含
む);(2)アルミナ;(3)SiO2 分を30重量%
以上含有するケイ酸塩(例えば非晶質あるいは結晶質の
粘土鉱物、アルミノシリケート(焼成物や水和物を含
む)、温石綿、ジルコン、フライアッシュ等);(4)
Mg、Zn、Zr、及びTiの酸化物;(5)Ca、及
びBaの硫化物;(6)Li、Na、及びCaのリン酸
塩(1水素塩や2水素塩を含む);(7)Li、Na、
及びKの安息香酸塩;(8)Ca、Ba、Zn、及びM
nのテレフタル酸塩;(9)Mg、Ca、Ba、Zn、
Cd、Pb、Sr、Mn、Fe、Co、及びNiのチタ
ン酸塩;(10)Ba、及びPbのクロム酸塩;(1
1)炭素(例えばカーボンブラツク、グラファイト
等);(12)ガラス(例えばガラス粉、ガラスビーズ
等);(13)Ca、及びMgの炭酸塩;(14)ホタ
ル石及び(15)ZnSが例示される。更に好ましく
は、二酸化ケイ素、無水ケイ酸、含水ケイ酸、酸化アル
ミニウム、ケイ酸アルミニウム(焼成物、水和物等を含
む)、燐酸1リチウム、燐酸3リチウム、燐酸ナトリウ
ム、燐酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、安息
香酸リチウム、これらの化合物の複塩(水和物を含
む)、ガラス粉、粘土(カオリン、ベントナイト、白土
等を含む)、タルク、ケイソウ土、炭酸カルシウム等が
例示される。
【0019】ポリエチレンテレフタレートに不活性な固
体粒子を添加する場合の添加時期は、ポリエチレンテレ
フタレートの重合前でもよく、重合反応中でもよく、ま
た重合終了後ペレタイズする時に押出機中で混練させて
もよく、さらにシート状に溶融押出するのが分散性の点
から好ましい。しかしながら、前記表面特性を有するフ
ィルムを得る手段としては、ポリエチレンテレフタレー
トに不活性な固体粒子を添加する方法だけに限定され
ず、重合時にリン成分若しくは必要なその他の添加物を
加えて粒子源を生成させフィルム中に存在せしめる方
法、更には、重合時にリン成分を加えて重合したもの
と、不活性固体粒子を加えて重合を行ったものとの両者
をブレンドする方法なども好ましく用いられている。
【0020】本発明における二軸配向ポリエチレンテレ
フタレートフィルムは、その平均屈折率nA が下記の
(2)式
【0021】
【数7】 1.603≦nA ≦1.605 ……(2)
【0022】で示される範囲にあることが必要である。
ここで、平均屈折率nA とは、下記(A)式で求められ
る。
【0023】
【数8】
【0024】上記式(A)におけるnxは二軸配向フィ
ルムの機械方向の屈折率を示し、nyは機械方向と直交
する方向の屈折率を示し、nzは厚み方向の屈折率を示
す。上記(2)式の範囲を満足するものがベースフィル
ムの厚み斑が良好であり、フロッピーディスクとしたと
きの腰の強さが適正なため磁気ヘッドの追従性が良好
で、ヘッド振動も少なく、出力の安定したフロッピーデ
ィスクを得ることができる。平均屈折率nA >1.60
5の場合、フロッピーディスクとしたときの腰が強く、
磁気ヘッドへの押し圧が強いため、磁気ヘッドを曲げて
しまって出力低下を起こし、好ましくない。平均屈折率
nA <1.603の場合、フロッピーディスクとしたと
きの腰が弱く、磁気ヘッドへの当たりが弱いため、磁気
ヘッドの追従性が悪く、ヘッド振動も多く出力変動も大
きい。また、ベースフィルムの厚み斑が悪いため、磁気
記録媒体としたときの磁性層の斑や磁気抜けが発生し、
再生時に出力変動がみられ、またスペーシングロスが大
きくなって出力が不十分となり、好ましくない。
【0025】前記(2)式を満足する平均屈折率をフィ
ルムに付与するには、延伸条件及び熱固定温度を適宜選
択することが好ましい。具体的には、延伸方法は公知の
方法でよく、延伸温度は通常80〜140℃であり、延
伸倍率は縦方向に3.0〜5.0倍、好ましくは3.5
〜4.3倍、横方向に3.0〜5.0倍、好ましくは
3.5〜4.5倍を選択する。得られた二軸延伸フィル
ムを150〜260℃、好ましくは180〜250℃で
1〜100秒熱固定する。これら延伸条件及び熱固定温
度を適宜選択することによって、平均屈折率nA が
(2)式で示される範囲のフィルムが得られる。しか
し、本発明による二軸配向フィルムは、このような方法
で得られたもののみには限られない。延伸方法としては
一般的なロールやステンターを用いて縦横同時に延伸す
る方法や縦横方向また縦横方向に各々逐次に延伸する方
法、また縦横方向に2段以上延伸する方法を用いてもよ
い。
【0026】本発明における二軸配向ポリエチレンテレ
フタレートフィルムは、その面内のあらゆる方向におけ
る60℃・80%RHの雰囲気中で72時間無荷重で熱
処理したときの熱収縮率が0.2%以下であることが必
要である。好ましくは0.15%以下、さらに好ましく
は0.1%以下である。フィルムの熱収縮率が0.2%
をこえると、フロッピーディスクを高温高湿下に置いた
場合、磁気ヘッドと記録トラックのずれが起こり、トラ
ッキングミスが発生し、ディスクがカールあるいは反り
を生じ、磁気記録ヘッドと均一なコンタクトを保つこと
が出来ず、保磁力や再生出力の低下を生じたり、ディス
クに著しい摩耗を生じる。
【0027】60℃・80%RH、72時間の熱収縮率
を下げる手段としては、延伸後の熱処理温度を上げるこ
とが一般的である。熱処理は150〜230℃程度であ
る。熱処理中はフィルムの平坦性が保てる範囲で収縮さ
せてもよい。ただし、熱処理温度をあまり上げすぎると
機械的特性が悪化する結果となり、また磁気記録媒体加
工工程中でのすりキズ発生が多くなり、その削れ粉がデ
ィスクの磁性面に付着して、ドロップアウトの原因とな
る。この熱収縮率を下げる別の手段として、速度差を持
った2つのロール間にフィルムを通し、ポリエチレンテ
レフタレートのガラス転移温度(Tg)以上の温度をか
けて弛緩処理する方法が挙げられる。更に別の手段とし
て、エージング処理を施す方法が挙げられる。エージン
グ処理は40〜70℃程度でフィルムロールのまま、理
想的にはディスクに近いスリットされたフィルム(シー
ト)のまま、長時間(10〜200時間)低緊張下で処
理するとよい。これらの熱処理やエージング処理の条件
はフィルムの低温寸法安定性を比較しながら選択すると
よい。しかしながら、60℃・80%RH、72時間の
熱収縮率を下げる手段として、これら方法に限定される
ものではない。
【0028】本発明における二軸配向ポリエチレンテレ
フタレートフィルムは、その面内のあらゆる方向におけ
る温度緊張係数が(7〜25)×10-6/℃の範囲内に
あり、かつ湿度膨張係数が0〜16×10-6/%RHの
範囲内にあることが必要である。かかる温度及び湿度膨
張係数は延伸条件及び熱固定温度を適宜選択することに
よって達成される。具体的には、前記した延伸、熱固定
温度を採用するとよい。その際、ボーイングを抑制する
手段を採用するのが好ましい。このようにして温度・湿
度膨張係数の面内異方性を小さくすることにより、トラ
ックずれをさらに小さく抑えることが出来、広い温度・
湿度範囲での使用が可能となる。このフィルムにより記
録密度が高密度化されたフロッピーディスクが得られ
る。
【0029】本発明における二軸配向ポリエチレンテレ
フタレートフィルムは、フィルムたるみが15mm以下
である必要があり、好ましくは10mm以下である。フ
ィルムのたるみが15mmを越えるときは、磁気バイン
ダーの塗布加工時や蒸着加工時に磁性層の斑が発生した
り、磁気抜けが発生し、再生時に出力低下がみられる。
フィルムたるみを小さくする手段としては、例えば延
伸、熱処理後の二軸配向フィルムをガラス転移点近くの
温度で、冷却する方法が挙げられる。このときの冷却温
度はフィルムのたるみを比較しながら調整するとよい。
【0030】本発明における二軸配向ポリエチレンテレ
フタレートフィルムは、上述したフィルム特性ととも
に、フィルム厚み斑が3%以下である必要があり、好ま
しくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。フ
ィルムの厚み斑が3%を越えると、磁気記録層の高密度
薄膜化にともない、磁気バインダーの塗布加工時や蒸着
加工時に磁性層の斑が発生したり、磁気抜けが発生し、
再生時に出力変動がみられ、またスペーシングロスが大
きくなり、出力が不十分となる。厚み斑を小さくする手
段としてはダイスのリップ間隔の調整または該リップ温
度の調整、縦及び横延伸倍率・延伸温度の調整などが挙
げられるが、これらの手段に限定されるわけではなく、
縦及び横方向厚み斑のパターンを見ながら調整するとよ
い。
【0031】本発明における磁性層としては、γ―Fe
2 3 ,Co含有γ―Fe2 3 ,微細針状鉄分、バリ
ウムフェライト粉末等公知の強磁性体を塗設せしめたも
のであってもよく、また、Co,Ni,Cr,Fe,ま
たはこれらの合金を真空蒸着、スパッタ、イオンプレー
ティング、C.V.D(Chemical Vapou
r Deposition)、または無電解メッキなど
の方法を用いることによって形成せしめたものであって
もよい。
【0032】本発明のフロッピーディスクは、基板フィ
ルムが上述した特定の特性を有しているためドロップア
ウトの発生がなく、電磁変換特性に優れ、取扱い性も良
好であり、そして磁気ヘッドとディスクが均一なコンタ
クトを保つことが出来るため、出力変動もなく、また熱
収縮率及び温度・湿度膨張係数が適正範囲にあることか
ら温湿度変化によるトラッキングミスがなく、さらに基
板フィルムのたるみ及び厚み斑が良好なため均一な磁性
層が得られ、高密度記録の磁気記録媒体として有用であ
る。
【0033】
【実施例】以下、実施例に掲げて本発明を更に説明す
る。なお、本発明における種々の物性値及び特性は以下
の如くして測定したものであり、かつ定義される。
【0034】(1)表面突起数 WYKO社製非接触三次元粗さ計(TOPO―3D)を
用いて測定倍率40倍、測定面積242μm×239μ
m(0.058mm2 )の条件にて測定を行う。突起解
析により、フィルム表面平均粗さからの表面突起の高さ
と突起個数のヒストグラム図を得、該ヒストグラム図か
ら特定の突起高さ範囲毎の個数を読み取り、同一フィル
ム表面上5回測定した突起数を積算し、単位面積(1m
2 )あたりの突起数に換算する。
【0035】(2)屈折率 神崎製紙(株)製分子配向計MOA―2001Aを用い
て配向度を測定し、同時にナトリウムD線(589n
m)を光源としたアッベ屈折計を用いて屈折率を測定
し、配向度と屈折率の相関グラフを作成し、値の大きい
屈折率は該相関グラフより求めた。
【0036】(3)熱収縮率 60℃・80%RHに設定された恒温恒湿槽の中にあら
かじめ正確な長さを測定した長さ約30cm、幅1cm
のフィルムを無荷重で入れ、72時間熱処理し、その後
恒温恒湿槽よりサンプルを取り出し、室温に戻してから
その寸法の変化を読みとった。熱処理前の長さ(L0
と熱処理による寸法変化量(ΔL)より、次式で熱収縮
率を求める。
【0037】
【数9】
【0038】(4)温度膨脹係数 真空理工社製熱機械分析装置TM―3000を恒温恒湿
槽内に置き測定を行う。このときの原サンプル寸法は、
長さ15mm、幅5mmである。測定サンプルは予め所
定の条件(例えば80℃・120分)で熱処理を施し、
このサンプルを試験機に取り付け温度20℃・湿度60
%RH(相対湿度)と温度40℃・湿度60%における
寸法変化を読み取ることによって、温度膨脹係数を測定
する。
【0039】(5)湿度膨脹係数 温度膨脹係数を求める場合と同様に真空理工社製熱機械
分析装置TM―300を用い、温度40℃・湿度90%
RH(相対湿度)の条件で予め処理を施したサンプルを
試験機に取り付け、温度20℃・湿度30%RHと温度
20℃・湿度70%RHの間における寸法変化を読みと
ることによって、湿度膨脹係数を求める。
【0040】(6)トラッキングずれテスト(温度変
化)トラッキングずれテストとしては次のような方法を
用いる。磁性層を塗布し、カレンダーロールを施して外
径20cmで内径3.8cmのディスク状に打ち抜いた
フロッピーディスクを記録再生装置により記録再生を行
う。シートレコーダーは360rpmで回転し、磁気ヘ
ッドの位置はディスクの中心より8cmとする。トラッ
クの幅は300μm、ヘッドの材質はフェライトを使用
する。フロッピーには1MHZ の信号を温度15℃・湿
度60%RH(相対湿度)の雰囲気で記録し、そのとき
の最大出力と磁気シートの出力エンベロープを測定す
る。次に雰囲気温度を40℃、湿度60%RHになるよ
うに維持して、その温度における最大出力と出力エンベ
ロープを調べ、温度15℃・湿度60%RHの時の出力
エンベロープと温度40℃、湿度60%RHの時の出力
エンベロープを比較して、トラッキングの状態を判定す
る。この差が小さいほど、優れたトラッキング特性を有
している。この差が3dB以上になると、トラッキング
が悪く、評価としては×であり、3dB以内のものは○
として評価する。
【0041】(7)トラッキングずれテスト(湿度変
化)前項温度膨脹係数と同様にして温度25℃・湿度2
0%RH(相対湿度)の雰囲気で記録し、更に雰囲気温
度を40℃、湿度70%RHに保持し、温度25℃・湿
度20%RHの時の出力エンベロープと温度40℃、湿
度60%RHの時の出力エンベロープを比較する。前項
と同様にトラッキングの良好性を評価する。評価方法は
前項温度膨脹係数と同様である。
【0042】(8)厚み斑 アンリツ社製連続フィルム厚み測定装置(電子マイクロ
メーター)を使用してフィルム縦方向及び横方向に各々
50mm巾、3m長サンプリングしたフィルムの厚みパ
ターンをレコーダに記録する。得られた3m長さの厚み
パターンの最高の山(最大値)と最深の谷(最低値)か
ら標高差を読み取り、次式により厚み斑(%)を算出す
る。
【0043】
【数10】
【0044】(9)たるみ 1mm巾にロール巻きにしたフィルムを速度3m/mi
n、張力2kgで100mmの間隔で設置した2本の平
行したフリーロール上を走行させ、2本のロール間の中
央位置でフィルム端部のたるみ長さ(mm)をスケール
で読み取る。
【0045】(10)平均信号振幅 JIS C 6291に準じて測定。初期の値と同一ト
ラックについて1000万回パスの耐久テスト後の値を
求め、測定値に対して合格、不合格を判定する。
【0046】
【実施例1】平均粒径0.65μmのシリカ粒子を0.
3重量%含有した固有粘度0.65dl/g(オルソク
ロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定した
値)のポリエチレンテレフタレートを160℃で乾燥し
た後、280℃で溶融押出し、40℃に保持したキャス
ティングドラム上で急冷固化せしめて約1000μmの
厚みの未延伸フィルムを得た。
【0047】この未延伸フィルムを速度差をもった2つ
のロール間で90℃の温度で縦方向に3.7倍延伸し、
さらにテンターによって横方向に3.8倍延伸し、続い
て230℃で30秒熱処理した後、90℃で15秒間冷
却し、まきとった。このようにして厚み75μmの二軸
配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
【0048】続いて、この二軸配向フィルムに、下記組
成の磁性塗料を5μmの厚さに塗布した。
【0049】(磁性塗料) γ―Fe2 3 200重量部 塩化ビニール―酢酸ビニール共重合樹脂 (UCC製VAGH) 30重量部 ポリウレタン(日本ポリウレタン工業製PP―88) 20重量部 イソシアネート化合物(日本ポリウレタン 工業製コロネートHL) 40重量部 カーボン(平均サイズ0.5μφ) 20重量部 ジメチルシクロキサン 2重量部 トルエン 70重量部 メチルエチルケトン 70重量部 シクロヘキサノン 70重量部
【0050】上記塗料を充分に混合撹拌し、前記二軸配
向ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布してか
ら、カレンダーロール処理を施した。この後、外径20
cmで内径3.8cmに切り抜き、フロッピーディスク
を得た。
【0051】得られたフィルム及びフロッピーディスク
の特性を表1に示す。この表から明らかなように、表面
突起高さの分布が適性範囲にあるため、ベースフィルム
の取扱い性が良好で、ドロップアウトの発生もない。ま
た磁気ヘッドの追従性も良好でトラッキングミスも改善
され、高温高湿雰囲気において磁気ディスクの記録再生
等の使用が可能であることが分かる。更にベースフィル
ムのたるみと厚み斑が良好なため磁性層の斑がなく、出
力の安定したフロッピーディスクを得ることが出来る。
【0052】
【実施例2】実施例1における不活性固体粒子の代わり
に、平均粒径0.2μmのアルミナ粒子を0.2重量
%、平均粒径0.5μmの炭酸カルシウム粒子を0.0
5重量%添加した以外は実施例1と同様にして未延伸フ
ィルムを得、該未延伸フィルムを速度差をもった2つの
ロール間で90℃の温度で縦方向に3.5倍延伸し、さ
らにテンターによって横方向に3.7倍延伸し、その後
220℃で30秒間熱処理をし、続いて実施例1と同様
に該フィルムを冷却した。この様にして厚み75μmの
フィルムを得、実施例1と同様にして磁性塗料を塗布し
てフロッピーディスクを得た。
【0053】この結果を表1に示す。実施例1と同様、
良好な結果が得られた。
【0054】
【実施例3】実施例1における不活性固体粒子の代わり
に、平均粒径0.3μmのシリカ粒子を0.2重量%添
加した以外は実施例1と同様にして未延伸フィルムを
得、該未延伸フィルムを実施例2と同様に縦横方向に延
伸し、熱固定処理をし、該フィルムを冷却した。さらに
100℃に加熱されたオーブンにより浮遊熱処理を実施
し、これにより0.3%弛緩処理した。この様にして厚
み75μmのフィルムを得、実施例1と同様にして磁性
塗料を塗布し、フロッピーディスクを得た。
【0055】この結果を表1に示す。特に60℃の熱収
縮率が低く寸法安定性に優れており、その他品質も実施
例1と同様、良好な結果が得られた。
【0056】
【比較例1】実施例1における不活性粒子の代わりに平
均粒径1.0μmのカオリン粒子を0.25重量%添加
した以外は実施例1と同様にして未延伸フィルムを得、
該未延伸フィルムを実施例2と同様に縦及び横方向に延
伸した後、180℃で熱固定処理をし、該フィルムを9
0℃で15秒間冷却し、巻取った。この様にして厚み7
5μmのフィルムを得、実施例1と同様にして磁性塗料
を塗布し、フロッピーディスクを得た。
【0057】この結果を表1に示す。ベースフィルム表
面に50nm以上の高い突起が散在するため電磁変換特
性に劣り平均信号振幅も不合格となっている。また、ベ
ースフィルムの平均屈折率が低いため磁気ヘッドの追従
性が悪いため、出力変動が大きく、磁気ディスクとして
好ましくない。
【0058】
【比較例2】実施例1における不活性粒子の代わりに平
均粒径0.3μmのシリカ粒子を0.3重量%、平均粒
径1.2μmの炭酸カルシウム粒子を0.05重量%添
加した以外は実施例1と同様にして未延伸フィルムを
得、該未延伸フィルムを実施例2と同様に縦及び横方向
に延伸した後、240℃で熱固定処理をし、該フィルム
を110℃で15秒間冷却し、巻取った。この様にして
厚み75μmのフィルムを得、実施例1と同様にして磁
性塗料を塗布し、フロッピーディスクを得た。
【0059】この結果を表1に示す。ベースフィルム表
面に100nm以上の高い突起が散在するため電磁変換
特性が低下し、ドロップアウトの発生も多く平均信号振
幅も不合格となっている。また、ベースフィルムの平均
屈折率が高いため磁気ヘッドへの押し圧が強いため磁気
ヘッドを曲げてしまい、出力低下を起こしている。また
温度及び湿度膨脹係数が高く高温高湿下での寸法安定性
が悪く、トラックキングミスが発生する。また、フィル
ムのためみ厚み斑が悪いため、磁気抜けが起こり出力変
動がみられ、磁気ディスクとして好ましくない。
【0060】
【比較例3】実施例1における不活性固体粒子の代わり
に、平均粒径0.05μmのシリカ粒子を0.05重量
%添加した以外は実施例1と同様にして未延伸フィルム
を得、該未延伸フィルムを速度差をもった2つのロール
間で90℃の温度で縦方向に3.2倍延伸し、さらにテ
ンターによって横方向に3.5倍延伸し、その後240
℃で30秒間熱処理をし、続いて該フィルムを110℃
で15秒間冷却した。この様にして厚み75μmのフィ
ルムを得、実施例1と同様にして磁性塗料を塗布しフロ
ッピーディスクを得た。
【0061】この結果を表1に示す。このフィルムベー
スは表面が著しく平滑なためベースフィルムの取扱い性
が悪く、磁気ディスクとして平均信号振幅試験を行った
当初は合格レベルを維持するものの表面の耐久性が低
く、表面が粗れてきて、1000万回パスに達しないう
ちに不良化(電磁変換特性の急激な低下)する。さらに
平均屈折率が低く、温度、湿度膨脹係数やたるみ、厚み
斑が不良のため高温高湿時のトラッキングミスや再生時
の出力変動がみられ、磁気ディスクとして好ましくな
い。
【0062】
【比較例4】実施例1における不活性粒子の代わりに平
均粒径0.1μmのシリカ粒子を0.1重量%、平均粒
径0.5μmのシリカ粒子を0.03重量%添加した以
外は実施例1と同様にして未延伸フィルムを得、該未延
伸フィルムを速度差をもった2つのロール間で90℃の
温度で縦方向に3.6倍延伸し、さらにテンターによっ
て横方向に4.2倍延伸し、その後230℃で30秒間
熱処理をし、続いて該フィルムを90℃で15秒間冷却
した。この様にして厚み75μmのフィルムを得、実施
例1と同様にして磁性塗料を塗布しフロッピーディスク
を得た。
【0063】この結果を表1に示す。ベースフィルムの
平均屈折率が高く、面内異方性も高いため、温度及び湿
度膨脹係数のバラツキが大きく出力低下や高温高湿時の
トラッキングミスの発生が起こり、磁気ディスクとして
好ましくない。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の結果】本発明によれば、ベースフィルムの取扱
い作業性が良好で、磁気ヘッドの追従性が良好で出力が
安定しており、高温高湿下でのトラッキングミスの発生
がなく、磁性層が均一なため、特に高密度記録媒体とし
て有用なフロッピーディスクを提供することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G11B 5/82 G11B 5/82 B29K 67:00 B29K 67:00 (72)発明者 中條 隆雄 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝人株式会社 相模原研究センター内 (72)発明者 越中 正己 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝人株式会社 相模原研究センター内 (56)参考文献 特開 平3−137814(JP,A) 特開 平2−270531(JP,A) 特開 昭61−154924(JP,A) 特開 平1−122022(JP,A) 特開 昭64−32423(JP,A) 特開 昭63−247913(JP,A) 特開 昭61−115235(JP,A) 特開 平2−165413(JP,A) 特開 昭63−308723(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸配向ポリエチレンテレフタレートフ
    ィルムを非磁性基板とし、該基板の両面に磁性層を設け
    てなるフロッピーディスクであって、該フィルムはその
    表面に形成された突起の高さ[h(単位nm)]の数が
    下記(1)式で示される範囲にあり、平均屈折率nA が
    下記(2)式を満足し、フィルム面内のあらゆる方向に
    おける60℃・80%RHの雰囲気中で72時間無荷重
    で熱処理したときの熱収縮率が0.2%以下であり、フ
    ィルム面内のあらゆる方向における温度膨張係数が(7
    〜25)×10-6/℃の範囲内にあり、かつ湿度膨張係
    数が0〜16×10-6/%RHの範囲内にあり、フィル
    ムのたるみが15mm以下であり、そしてフィルムの厚
    み斑が3%以下であることを特徴とするフロッピーディ
    スク。 【数1】
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