JP3347839B2 - 光学部品の製造方法 - Google Patents

光学部品の製造方法

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  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、エネルギー硬化性樹
脂を用いて高度な転写精度が要求される部品を製造する
法に関する。殊に、エネルギー硬化性樹脂を用いて高
度な転写精度が要求されるレンズ、ミラー等の光学部品
を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の光硬化樹脂を用いた非球面形状を
有する光学部品の製造方法を図1、図2及び図3を用い
て説明する。この方法は、図1から図3において、金型
2の非球面形状に加工された転写面に光硬化性樹脂1を
乗せてその上からガラスからなる母材3を圧着する(図
1)。さらに、その状態で母材3を介して光硬化性樹脂
に光を照射して樹脂を硬化させる(図2)。その後、金
型から光硬化性樹脂1と母材3からなる成形品をはずし
て複合型光学部品を得るものである(図3)。
【0003】しかしながら、上記方法では樹脂の硬化樹
脂が硬化時にかなり収縮するため、良好な転写性が得ら
れず、高精度な光学部品の製造は不可能であった。そこ
で、係る弊害を解消するため、本願発明者は先に特願平
5−96614号を提案した。この発明は、光硬化性樹
脂を金型のキャビティー内にその硬化収縮を見込んだ量
だけ強制的に注入して、キャビティーに連通するランナ
ーに設けられた樹脂封止機構を用いて封止して、その後
光照射によって樹脂を硬化し光学部品を得るものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の発明はその効果
に著しいものがあるものの、その一方でキャビティー内
に高圧の樹脂を高圧で封止するというその発明の特性
上、樹脂の注入圧力によっては、金型のパーティング部
から樹脂がもれたり、成形品にバリが発生したりするこ
とがあった。係る弊害を解消するにパーティング面の加
工精度を高めること、又はパーティング部にシール部材
を設けることである程度の解決は可能であるが限界があ
る。この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、
キャビティー内に樹脂を高圧で封止し樹脂の硬化収縮に
よる転写精度の低下を抑制しつつ、パーティング面から
の樹脂の漏れを防止してバリのない成形品を製造可能と
する光学部品の成形方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明に係る光学部品の製造方法は、少
なくとも、固定金型の有する第1のパーティング面に可
動金型の有する第2のパーティング面を当接させキャビ
ティーを画成する工程と、前記キャビティー内のエネル
ギー硬化性樹脂であってパーティング面近傍部に位置す
るエネルギー光硬化樹脂のみを硬化させる工程と、前記
キャビティー内のエネルギー硬化性樹脂 全体を硬化させ
る工程とを有することを特徴とするものである。また、
請求項2の発明にかかる光学部品の製造方法は、請求項
1に記載の光学部品の製造方法であって、請求項1に記
載の各工程に加えてキャビティ内にあらかじめ略キャビ
ティー形状に加工したガラスもしくはプラスチック材料
からなる母材を挿入する工程を有することを特徴とする
ものである。
【0006】また、請求項3の発明にかかる光学部品の
製造方法は、請求項1に記載の光学部品の成型方法であ
って、キャビティー内のエネルギー硬化性樹脂であって
パーティング面近傍部に位置するエネルギー光硬化樹脂
のみを硬化させる工程がパーティング面近傍部に位置す
るエネルギー光硬化樹脂以外の部分に対するエネルギー
の透過を遮断しエネルギー照射する工程であることを特
徴とするものである。
【0007】
【0008】
【作用】この発明によれば、キャビティー内に樹脂を高
圧で封止し樹脂の硬化収縮による転写精度の低下を抑制
しつつ、パーティング面からの樹脂の漏れを防止してバ
リのない成形品を製造可能とする光学部品の成形方法を
提供することができる。
【0009】
【実施例】以下、実施例に基づいて具体的に説明する
4から図9は請求項1、請求項2、及び請求項3にか
かる光学部品を製造する方法を実施する製造装置となっ
ている。
【0010】まず、金型と製造装置について説明する。
図4から図9において、11、12は光学部品を製造す
る装置を構成する一対の分割金型である。金型11は第
1のパーティング面を有する固定金型であって、金型1
2は第2のパーティング面を有する可動金型である。ま
た、金型11、12はパーティング面で互いに当接し
て、キャビティー13と、キャビティー13に連通する
図示を省略する樹脂供給路とを形成している。また、キ
ャビティー13はその一部に転写面を有する。
【0011】ここで、金型11、12は、その一部また
は全部が樹脂を硬化させるための金型外部からのエネル
ギーが、エネルギー硬化性樹脂に対して有効に作用する
構造となっている。例えばエネルギー硬化性樹脂として
紫外線硬化性樹脂を用いる場合は、金型の一部をガラ
ス、プラスチック等の紫外線を透過する材料で構成す
る。また、エネルギー硬化性樹脂として光硬化性樹脂を
用いる場合は、金型の一部をガラス等の光を透過する材
料で構成する。また、エネルギー硬化性樹脂として熱硬
化性樹脂を用いる場合は、金型を熱硬化性樹脂が硬化す
るに充分な熱が伝導するだけの熱伝導率を有する材料で
金型を構成する。さらに、エネルギー硬化性樹脂として
電子線硬化性樹脂を用いる場合は、金型の一部をの電子
線を透過する材料で構成する。
【0012】また、金型11、12のエネルギー性硬化
性樹脂と接する部分は、有機物であるエネルギー性硬化
性樹脂との接着性が低い金属、セラミック等で構成す
る。係る材料を用いることで、固化した樹脂(光学部
品)を金型11、12から取り出す際の剥離性が良好と
なる。さらに、上記のキャビティー13の内部に圧力セ
ンサーを設けておけば、樹脂をキャビティー13内に注
入する際に安定した樹脂注入が可能となる。また、図9
に示すようキャビティー13のパーティング面近傍には
樹脂溜15が設けられている。
【0013】続いて、上記の請求項1、請求項2、およ
び請求項3にかかる光学部品の製造方法の実施例を説明
する。本実施例では、まず、キャビティー13の一部に
転写面を有すると共に、キャビティー13への樹脂供給
路を形成した分割金型11、12を準備する。
【0014】次ぎに、金型1、2の型締めに先立って、
複数の積層された材料から構成されるいわゆる複合光学
部品の製造を所望する場合は、金型11、12のキャビ
ティー13に相当する部分に、キャビティー13と略同
一形状の母材14を収納する。母材14は、例えば樹脂
の射出成形、ガラスのプレス成形等によりあらかじめキ
ャビティー13と略同一形状に加工されたものである。
【0015】次ぎに、金型11、12を図示を省略する
型締機構により型締めして、キャビティー13と樹脂供
給路を画成する。さらに、図示を省略するエネルギー硬
化性樹脂注入装置を用いて、そのキャビティー13内に
樹脂供給路を介して溶解樹脂を注入する。樹脂を注入す
るに際しては、まず、キャビティーのパーティング面近
傍のみに樹脂を注入し、その状態で樹脂を硬化またはゲ
ル化させる。この硬化またはゲル化した樹脂によりパー
ティング面が覆われ、続いて説明するキャビティー全体
に樹脂を注入、封止する工程でのパーティング面からの
樹脂の漏れを防止することができる。
【0016】続いて、キャビティー13の全体に樹脂を
注入する。図7にキャビティー13全体に樹脂を注入し
た様子を示す。ここで、キャビティー13の全体へ注入
する樹脂の量はその樹脂の硬化収縮率から計算される。
即ち、樹脂の硬化収縮率を予め測定し、硬化収縮後の樹
脂の体積がキャビティー13の体積と等しくなるだけの
量の樹脂をキャビティー13へ注入する。例えば樹脂と
して硬化収縮率が5パーセントである紫外線硬化性樹脂
(一般に紫外線硬化性樹脂の硬化収縮率は3パーセント
から10パーセントである)を用いた場合は、5パーセ
ント収縮した後の体積が、キャビティー13の体積に等
しくなるだけの量の樹脂をキャビティー13へ注入する
樹脂の量として定める。
【0017】さらに、樹脂注入時の圧力と樹脂密度の関
係は予め把握しておくことが好ましい。一定圧力での収
縮が少ない樹脂ほど樹脂注入時の圧力低くできる。そし
て、樹脂の注入完了時に従来の方法でキャビティーに連
通する樹脂供給路を封止する。次いで、この封止機構が
封止した状態でキャビティー13に充填された樹脂全体
を硬化させる。樹脂の硬化は、エネルギー硬化性樹脂と
して光硬化性樹脂を用いた場合は、樹脂に光を照射する
ことで実現される。また、エネルギー硬化性樹脂として
熱硬化性樹脂を用いた場合は、樹脂の硬化は樹脂に熱を
加えることで実現される。また、エネルギー硬化性樹脂
として電子線硬化性樹脂を用いた場合には、樹脂の硬化
は樹脂に電子線を照射することで実現される。さらに、
エネルギー硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いた
場合には、樹脂の硬化は樹脂に紫外線を照射することで
実現される。
【0018】ここで、樹脂を硬化させる工程についてさ
らに説明を加える。この説明は、上記のキャビティー1
3の中のパーティング面近傍の樹脂のみを硬化させる工
程とキャビティー13全体に充填されている樹脂を硬化
させる工程の両工程に共通の説明である。例えば、エネ
ルギー硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いた場合
は、図示しない紫外線照射装置から照射された紫外線が
金型11、12の紫外線を透過する材料で構成された部
分を介して紫外線硬化性樹脂に作用して、紫外線硬化性
樹脂を硬化させる。また、エネルギー硬化性樹脂として
光硬化性樹脂を用いた場合は、図示しない光照射装置か
ら照射された光が金型11、12の光を透過する材料で
構成された部分を介して光硬化性樹脂に作用して、光硬
化性樹脂を硬化させる。また、エネルギー硬化性樹脂と
して熱樹脂を用いた場合は、図示しない熱源からの熱が
金型11、12を介して熱硬化性樹脂に伝導して、熱硬
化性樹脂を硬化させる。さらに、エネルギー硬化性樹脂
として電子線線硬化性樹脂を用いた場合は、図示しない
電子線照射装置から照射された電子線が金型11、12
の電子線を透過する材料で構成された部分を介して電子
線硬化性樹脂に作用して、電子線硬化性樹脂を硬化させ
る。
【0019】以上の説明では、まずキャビティー13の
パーティング面近傍にのみ樹脂を注入してその樹脂をエ
ネルギーの照射により硬化させた後、キャビティー13
全体に樹脂を注入して最後にキャビティー13全体に封
止された樹脂を硬化させる例を示した。この方法は、キ
ャビティー13全体に樹脂を注入する過程でパーティン
グ面近傍の樹脂のみを硬化させ、その後も継続してキャ
ビティー13に樹脂の注入を行ない、最後にキャビティ
ー13全体に封止された樹脂を硬化させる工程を採用す
ることも可能である。係る方法について以下図8を用い
て説明する。
【0020】この方法は、キャビティー13全体に樹脂
を注入する過程でパーティング面近傍の樹脂のみを硬化
させるために遮蔽板16を介してキャビティー13内の
樹脂にエネルギー(エネルギー硬化性樹脂として光硬化
樹脂を用いた場合は光)を照射することで実現される。
すなわち、エネルギーを透過しない物性を有する材料か
ら構成され、且つ、キャビティー13に樹脂を注入する
過程ではキャビティー13のパーティング面近傍以外の
部分に対するエネルギーの照射を遮断し樹脂のパーティ
ング面近傍部に対する照射は遮断しない位置に設けられ
る。この状態でエネルギーが樹脂に照射されパーティン
グ面近傍部のみが硬化する。その後、キャビティー13
への樹脂の注入が完了したら遮蔽板16を除去して、キ
ャビティー13内の樹脂全体にエネルギーの照射を行な
い樹脂全体を硬化させる。
【0021】以上の各工程を経た後、最後に金型11、
12を開いてキャビティー13で固化した樹脂(光学部
品)を取り出す。
【0022】以上、実施例に基づいて本願の発明を説明
したが、本発明の技術的範囲は以上説明した実施例に限
定されるものでないことは言うまでもない。例えば、上
述の実施例では、光学部品である非球面レンズを製造す
るものであったが、同じく光学部品である非球面ミラー
の製造はもちろん光学部品に限らずとも高度な転写精度
が要求される部品の製造にも本発明は適用できる。さら
に上述の実施例では、複数の材料が積層されたいわゆる
複合光学部品について説明したが、材料を積層すること
なくエネルギー硬化性樹脂のみで光学部品を製造しても
構わない。図4と図5にエネルギー硬化性樹脂のみで光
学部品を製造する工程を示す。
【0023】
【発明の効果】本願発明によれば、キャビティーのパー
ティング面近傍に位置する樹脂を硬化またはゲル化する
ことで樹脂がシール材としての機能をになわせることが
可能となるため、キャビティー内に樹脂を高圧で封止し
樹脂の硬化収縮による転写精度の低下を抑制しつつ、パ
ーティング面からの樹脂の漏れを防止してバリのない成
形品を製造可能とする光学部品の成形方法を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の非球面レンズの製造工程を示す正面図で
ある。
【図2】従来の非球面レンズの製造工程を示す正面図で
あり、図1に示す工程の後工程を示すものである。
【図3】従来の非球面レンズの製造方法により製造され
た非球面レンズである。
【図4】本願発明に係る製造方法の製造工程を示す正面
図であって、成形品全体が樹脂から構成される場合の例
を示す。
【図5】本願発明に係る製造方法の製造工程を示す正面
図であって、図4に示す工程の後工程を示すものであ
る。
【図6】本願発明に係る製造方法の製造工程を示す正面
図であって、複数の材料が積層されたいわゆる複合光学
部品を製造する例を示すものである。
【図7】本願発明に係る製造方法の製造工程を示す正面
図であって、図6に示す工程の後工程を示すものであ
る。
【図8】本願発明に係る製造方法の製造工程を示す正面
図であって、キャビティー全体に樹脂を注入する過程で
パーティング面近傍の樹脂のみを硬化させる例を示すも
のである。
【図9】本願発明に係る金型を示す正面図である。
【符号の説明】
1 光硬化樹脂 2 金型 3 母材 11 固定金型 12 可動金型 13 キャビティー 14 母材 15 樹脂溜 16 遮蔽板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 39/02 - 39/12 B29C 39/22 - 39/34 B29C 33/42 B29D 11/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも、固定金型の有する第1のパー
    ティング面に可動金型の有する第2のパーティング面を
    当接させキャビティーを画成する工程と、前記キャビテ
    ィー内のエネルギー硬化性樹脂であってパーティング面
    近傍部に位置するエネルギー光硬化樹脂のみを硬化させ
    る工程と、前記キャビティー内のエネルギー硬化性樹脂
    全体を硬化させる工程とを有することを特徴とする光学
    部品の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の光学部品の成型方法であ
    って、請求項1に記載の各工程に加えてキャビティ内に
    あらかじめ略キャビティー形状に加工したガラスもしく
    はプラスチック材料からなる母材を挿入する工程を有す
    ることを特徴とする光学部品の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の光学部品の成型方法であ
    って、キャビティー内のエネルギー硬化性樹脂であって
    パーティング面近傍部に位置するエネルギー光硬化樹脂
    のみを硬化させる工程がパーティング面近傍部に位置す
    るエネルギー光硬化樹脂以外の部分に対するエネルギー
    の透過を遮断しエネルギー照射する工程であることを特
    徴とする光学部品の製造方法。
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