JP3346469B2 - 過給エンジン - Google Patents

過給エンジン

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JP3346469B2
JP3346469B2 JP32819398A JP32819398A JP3346469B2 JP 3346469 B2 JP3346469 B2 JP 3346469B2 JP 32819398 A JP32819398 A JP 32819398A JP 32819398 A JP32819398 A JP 32819398A JP 3346469 B2 JP3346469 B2 JP 3346469B2
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忠弘 篠原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、過給エンジンに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】エンジンへの吸気を圧縮するために、従
来より過給機が用いられている。
【0003】上記過給機には、例えば、図17(a)
(d)に示すようなルーツブロワ型の過給機1や、図1
7(b)に示すようなターボチャージャー型或いはスー
パーチャージャー型の過給機2や、図17(c)に示す
ようなリショルムコンプレッサー型の過給機3などがあ
る。なお、図17(a)〜(c)は4サイクルエンジン
4に取付けられた例を示し、図17(d)は2サイクル
エンジン5に取付けられた例を示している。
【0004】そして、過給機1〜3を用いて吸気を圧縮
(過給)してエンジン4,5へ送ることにより、エンジ
ン4,5の高出力化を得たり、完全燃焼による排気汚染
防止効果を得たりすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の過
給機付きエンジンでは、上記過給機1〜3は高精密度の
外部補機であり、しかも、エンジン4,5に対して外部
装着しなければならないという問題があった。
【0006】そこで、本発明の目的は、上記の問題点を
解消し、外部補機としての過給機を用いずに過給を行わ
せることのできる過給エンジンを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載された発明では、シリンダ内へ燃料
を噴射するインジェクターノズルを備えた燃料直接噴射
式のエンジンに対し、クランク室にインレットリードバ
ルブを有する吸気口を形成して、該吸気口に吸気マニホ
ールドを接続すると共に、クランク室にアウトレットリ
ードバルブを有する排気口を形成して、該排気口とシリ
ンダへ吸気を導入する吸気バルブとの間に、吸気とエン
ジンオイルとを分離可能な蓄圧器を有するバイパスマニ
ホールドを接続し、蓄圧器で分離したエンジンオイルを
オイルパンへ向けて排出するドレンパイプを備えると共
に、上記シリンダを二気筒一組として共通の蓄圧器に接
続し、一方のシリンダが吸入行程の時に、他方のシリン
ダ爆発行程となるよう構成したことを特徴としている。
【0008】このように構成された請求項1にかかる発
明によれば、吸気バルブとクランク室との間に、蓄圧器
を設け、吸入行程および爆発行程の時にクランク室で圧
縮された吸気を蓄圧器へ溜めてシリンダ内へ強制的に送
らせることにより、エンジンの高出力化を得たり、高密
度の空気により完全燃焼を行わせて排気汚染防止効果を
得たりすることができる。この際、吸入行程でのピスト
ンの下降によるポンプ損失が生じるが、二気筒を一組と
することにより、爆発行程での加圧力により上記損失を
緩和させることができる。従って、排気圧力を利用した
ターボチャージャーのように排気抵抗によるポンプ損失
や、ルーツブロワやスーパーチャージャーのような機械
損失を起こすことがない。また、構造上、アイドリング
などの超低速回転時や低中速回転時でも二気筒分の排気
量に相当する一定量の過給を行わせることが可能であ
る。よって、ターボチャージャーのように低中速回転時
に過給不足によって生じるタイムラグがなく、なめらか
な回転トルクを得ることができる。また、ルーツブロワ
のように高速回転による機械損失の増大を招くことがな
い。
【0009】また、圧縮行程と排気行程の時に、クラン
ク室の内部およびピストンの内側へ導入された空気でピ
ストンなどが直接且つ連続的に冷却されるので、燃焼温
度が下がり、窒素酸化物の発生を抑制する効果を向上さ
せることができる。また、ピストンの熱膨張が小さくな
るので、ピストンとシリンダライナとのクリアランスが
小さくなり、パティキュレートマターを少なくして、排
気汚染を抑制することができる。ピストンとシリンダラ
イナとのクリアランスが小さくなるため、該クリアラン
スから漏れたブローバイガスがクランク室内のエンジン
オイルと接触されるようなことが抑えられるので、エン
ジンオイルの汚れによる劣化が少なくなり、エンジンオ
イルの寿命を伸ばすことができ、経済的である。
【0010】
【発明の実施の形態1】以下、本発明の具体的な実施の
形態1について、図示例と共に説明する。
【0011】図1〜図16は、この発明の実施の形態1
を示すものである。
【0012】まず、構成を説明すると、この実施の形態
1のものでは、図1に示すように、エンジン本体11に
は、下部シリンダブロック12と上部シリンダブロック
13とが備えられている。下部シリンダブロック12に
は、クランクシャフト14のクランク部15を収容する
クランク室16が形成されていると共に、図5〜図7に
示すように、クランクシャフト14の軸部17がクラン
クメタル18、クランクシャフトアペックスシール19
を介して回転可能に軸支されている。クランクシャフト
14のクランク部15には、コンロッドメタル20、コ
ンロッドアペックスシール21、コンロッドボルト2
2、ナット23を介してコンロッド24の下端が回動自
在に取付けられている。そして、コンロッド24の上端
には、ピストンピンブッシュ25、コンロッド側オイル
シール26、ピストン側オイルシール27、ピストンピ
ン28、プラグ29を介してピストン30が回動自在に
取付けられている。ピストン30は、図8(a)
(b)、図9(a)(b)に示すように、上部にピスト
ン頭部燃焼室31が形成され、上側部に上方から順にト
ップランド32、トップコンプレッションリング溝3
3、セカンドコンプレッションリング溝34、オイルリ
ング溝35が形成されている。また、ピストン30の内
部には、その上部にエアーチャンネル36が形成されて
いる。
【0013】なお、前記オイルリング溝35にはピスト
ン30の内部へ連通する潤滑オイル溝リターンポート3
7が形成されている。ピストン30側部のピストンピン
挿通穴38よりも下部には、潤滑オイル溝39が形成さ
れ、ピストンピン挿通穴38と潤滑オイル溝39との間
には潤滑オイル穴40が形成されている。更に、図7に
示すように、コンロッド24の内部にはコンロッドオイ
ル通路41が形成され、クランクシャフト14にはクラ
ンクシャフトオイル通路42が形成され、上部シリンダ
ブロック13には上部シリンダブロックオイル通路43
が形成されている。
【0014】図1に示すように、前記上部シリンダブロ
ック13には、ピストン30を摺動させるシリンダライ
ナ51が保持されており、且つ、内部に冷却水通路52
が形成されている。更に、上部シリンダブロック13の
内部には、アイドラシャフト53が貫通配置されてい
る。
【0015】そして、上部シリンダブロック13の上部
にはシリンダヘッド54が取付けられている。シリンダ
ヘッド54には、吸気通路55と排気通路56とが形成
されている。吸気通路55には吸気バルブ57がインレ
ットカムシャフト58、ロッカーアーム59、バルブス
プリング60などからなるバルブ開閉機構61を介して
開閉自在に取付けられている。また、排気通路56には
排気バルブ62がアウトレットカムシャフト63、ロッ
カーアーム64、バルブスプリング65などのバルブ開
閉機構66を介して開閉自在に取付けられている。更に
シリンダヘッド54には、燃料を噴射するインジェクタ
ーノズル67が取付けられている。このインジェクター
ノズル67はノズルパイプ68を介してインジェクショ
ンポンプへ接続されている。上記バルブ開閉機構61,
66およびインジェクターノズル67はヘッドカバー6
9によって覆われている。
【0016】更に、下部シリンダブロック12の下部に
はオイルパン70が取付けられている。また下部シリン
ダブロック12にはクランク室16に溜まったエンジン
オイルをオイルパン70へ戻すドレンバルブ71が取付
けられている。
【0017】そして、図2〜図4に示すように、上部シ
リンダブロック13は二気筒を一組とした偶数気筒の構
成を有している。
【0018】上部シリンダブロック13にはファン72
とウォータポンプ73とが取付けられている。そして、
クランクシャフト14の一端側に取付けられたシーブ7
4と、ファン72に取付けられたシーブ75、および、
ウォータポンプ73に取付けられた図示しないシーブと
の間にはファンベルト76が掛け渡されて、ファン72
とウォータポンプ73とを駆動可能としている。
【0019】更に、クランクシャフト14の一端側近傍
に取付けられたギヤ77と前記アイドラシャフト53の
一端側に取付けられたギヤ78とが直接あるいは間接的
に歯合されている。そして、アイドラシャフト53の他
端側に取付けられたタイミングギヤ79と、前記インレ
ットカムシャフト58の端部に取付けられたタイミング
ギヤ80およびアウトレットカムシャフト63の端部に
取付けられたタイミングギヤ81との間にはタイミング
ベルト82が掛け渡されて、バルブ開閉機構61,66
を駆動可能としている。
【0020】加えて、前記下部シリンダブロック12に
は、オイルポンプ83とオイルフィルタ84とが取付け
られている。また、オイルポンプ83にはオイルパン7
0の内部に挿入されたオイルポンプサクションパイプ8
5が接続されている。そして、クランクシャフト14の
一端側近傍に取付けられたギヤ77とオイルポンプ83
に取付けられたギヤ86とが歯合され、オイルポンプ8
3を駆動可能としている。
【0021】前記クランクシャフト14の他端側には、
フライホイール87が取付けられている。
【0022】また、前記シリンダヘッド54には、冷却
水通路88が形成されており、冷却水通路88にはサー
モスタット89が取付けられている。
【0023】そして、上記構成の燃料直接噴射式の4サ
イクルエンジンに対し、本発明では、上部シリンダブロ
ック13下部の一側にクランク室16と連通可能な吸気
口101が形成されると共に、上部シリンダブロック1
3下部の他側にクランク室16と連通可能な排気口10
2が形成される。そして、前記吸気口101には逆止弁
構造を有するインレットリードバルブ103を介して吸
気マニホールド104が接続される。
【0024】また、前記上部シリンダブロック13下部
の排気口102とシリンダヘッド54の吸気通路55と
の間には、上流側から順に、逆止弁構造を有するアウト
レットリードバルブ105と、セパレータアキュムレー
タタンク106などの蓄圧器とを備えたバイパスマニホ
ールド107が接続される。このセパレータアキュムレ
ータタンク106の外周には、吸気とエンジンオイルと
を分離するためのフィルターセパレートエレメント10
8が備えられている。そのため、セパレータアキュムレ
ータタンク106は、外周部から吸気が流入して、中央
上部から吸気が排出されるようになっている。そして、
セパレータアキュムレータタンク106の下部には過剰
の吸気とエンジンオイルとを排出するレギュレータドレ
ンバルブ109が取付けられ、レギュレータドレンバル
ブ109と下部シリンダブロック12との間にはドレン
パイプ110が接続されている。
【0025】更に、シリンダヘッド54の排気通路56
にはバタフライ弁などの排気弁111を備えた排気マニ
ホールド112が接続される。
【0026】次に、この実施の形態1の作用について説
明する。
【0027】なお、4サイクルエンジンの一般的な作用
については省略する。
【0028】この実施の形態にかかるエンジンでは、吸
気は、図10、図11に矢印で示すように、吸気マニホ
ールド104、インレットリードバルブ103、吸気口
101を介してクランク室16へ導入され、クランク室
16でピストン30により圧縮される。その後、吸気
は、排気口102、アウトレットリードバルブ105、
バイパスマニホールド107を介して、バイパスマニホ
ールド107の途中に設けられたセパレータアキュムレ
ータタンク106へ送られ、セパレータアキュムレータ
タンク106に溜められる。そして、セパレータアキュ
ムレータタンク106の圧縮された吸気は、バイパスマ
ニホールド107、吸気通路55、吸気バルブ57を介
してシリンダ内へ強制的に送られ過給される。最後に、
シリンダ内の燃焼済みガスは、排気バルブ62を介して
排気マニホールド112から排出される。
【0029】以下に、上記をより具体的に説明する。 (1)吸入行程開始 図12(a)に示すように、排気バルブ62が閉じた状
態で吸気バルブ57が開き始め、且つ、ピストン30が
下降し始める。このとき、吸気バルブ57が開くことに
より、セパレータアキュムレータタンク106内の圧縮
された吸気が強制的にシリンダ内へ送られ始める。同時
に、ピストン30の下降により、クランク室16内の吸
気の圧縮が開始される。このとき、インレットリードバ
ルブ103は閉じており、アウトレットリードバルブ1
05は開き始めようとしている。 (2)吸入行程途中 図12(b)に示すように、吸気バルブ57からセパレ
ータアキュムレータタンク106内の圧縮された吸気が
強制的にシリンダ内へ入る。このとき、吸気の強制吸入
によってシリンダ内には強力なスワール現象が発生する
と共に、ピストン頭部燃焼室31によってタンプル現象
が発生し、乱流状態となる。同時に、ピストン30の下
降により、クランク室16内で吸気が圧縮され、吸気の
圧力によりアウトレットリードバルブ105が開き、ク
ランク室16内の圧縮された吸気がバイパスマニホール
ド107を介してセパレータアキュムレータタンク10
6へ送られる。この状態が過給である。 (3)吸入行程終了および圧縮行程開始 図12(c)に示すように、吸気バルブ57が閉じ、ピ
ストン30が上昇し始める。このとき、インレットリー
ドバルブ103とアウトレットリードバルブ105は閉
じる。 (4)圧縮行程途中 図12(d)に示すように、吸気バルブ57、排気バル
ブ62が共に閉じ、ピストン30が上昇して、シリンダ
内の空気を圧縮する。このとき、吸気の強制吸入によっ
て生じたスワール現象とタンプル現象を残したままシリ
ンダ内の圧縮が行われる。ピストン30の上昇により、
インレットリードバルブ103が開き、クランク室16
内へは外部より新鮮な空気が吸気として導入される。 (5)圧縮行程終了および爆発行程開始 図12(e)に示すように、ピストン30が上死点に達
して圧縮圧力が最高となり、圧縮空気温度が最高温度と
なる。ここで、インジェクターノズル67から燃料を噴
射することにより、燃料が着火され爆発が開始する。一
方、クランク室16内が満杯となって、インレットリー
ドバルブ103とアウトレットリードバルブ105は閉
じる。 (6)爆発行程途中 図12(f)に示すように、圧縮された空気によって燃
料が着火され、ガスの膨張が生じてピストン30が下降
する。ピストン30の下降によりクランク室16内の吸
気が圧縮され、アウトレットリードバルブ103が開い
て、クランク室16内の圧縮された吸気がバイパスマニ
ホールド107を介してセパレータアキュムレータタン
ク106へ送られ蓄積される。この状態が過給である。 (7)爆発行程終了および排気行程開始 図12(g)に示すように、ピストン30の下死点手前
から排気バルブ62が開き始め、シリンダ内の燃焼済み
ガスが排出される。このとき、インレットリードバルブ
103とアウトレットリードバルブ105は閉じる。 (8)排気行程途中 図12(h)に示すように、排気バルブ62が全開し、
ピストン30が上昇し、上死点の手前で吸気バルブ57
が開き、排気バルブ62と吸気バルブ57が同時に開い
た状態となる。これにより、吸気バルブ57から圧縮さ
れた吸気が強制的にシリンダ内へ入って、残留ガスを完
全に排出し、パティキュレートマターを少なくする。ピ
ストン30の上昇に伴い、インレットリードバルブ10
3が開き、クランク室16へは外部より新鮮な空気が吸
気として導入される。また、クランク室16へ導入され
た空気は、ピストン30の内部のエアーチャンネル36
へ入り、ピストン30およびピストン頭部燃焼室31な
どを直接冷却する。
【0030】以後は、上記(1)〜(8)が繰返され、
連続的に過給が行われることとなる。
【0031】この際、二気筒を一組として、図13
(a)に示すように、第一シリンダAが(2)の吸入行
程の時に、第二シリンダBが(6)の爆発行程となり、
図13(b)に示すように、第一シリンダAが(6)の
爆発行程の時に、第二シリンダBが(2)の吸入行程と
なるようにすることで、二気筒分の圧縮空気が同時にセ
パレータアキュムレータタンク106へ送られ過給され
るようにすることができる。これに伴い、図13(c)
に示すように、第一シリンダAが(4)の圧縮行程の時
に、第二シリンダBが(8)の排気行程となり、図13
(d)に示すように、第一シリンダAが(8)の排気行
程の時に、第二シリンダBが(4)の圧縮行程となるの
で、二気筒分のピストン30やピストン頭部燃焼室31
などがクランク室16およびピストン30の内部のエア
ーチャンネル36へ導入された空気で同時に直接且つ連
続的に冷却されることとなる。
【0032】このように、吸気バルブ57とクランク室
16との間に、セパレータアキュムレータタンク106
を設け、吸入行程および爆発行程の時にクランク室16
で圧縮された吸気をセパレータアキュムレータタンク1
06に溜めてシリンダ内へ強制的に送らせることによ
り、エンジンの高出力化を得たり、高密度の空気により
完全燃焼を行わせて排気汚染防止効果を得たりすること
ができる。この際、吸入行程でのピストン30の下降に
よるポンプ損失が生じるが、二気筒を一組とすることに
より、爆発行程での加圧力により上記損失を緩和させる
ことができる。従って、排気圧力を利用したターボチャ
ージャーのように排気抵抗によるポンプ損失や、ルーツ
ブロワやスーパーチャージャーのような機械損失を起こ
すことがない。また、構造上、アイドリングなどの超低
速回転時や低中速回転時でも二気筒分の排気量に相当す
る一定量の過給を行わせることが可能である。よって、
ターボチャージャーのように低中速回転時に過給不足に
よって生じるタイムラグがなく、なめらかな回転トルク
を得ることができる。また、ルーツブロワのように高速
回転による機械損失の増大を招くことがない。
【0033】また、圧縮行程と排気行程の時に、クラン
ク室16の内部およびピストン30の内側のエアーチャ
ンネル36へ導入された空気でピストン30やピストン
頭部燃焼室31などが同時に直接且つ連続的に冷却され
るので、燃焼温度が下がり、窒素酸化物の発生を抑制す
る効果を向上させることができる。また、ピストン30
の熱膨張が小さくなるので、ピストン30とシリンダラ
イナ51とのクリアランスが小さくなり、パティキュレ
ートマターを少なくして、排気汚染を抑制することがで
きる。ピストン30とシリンダライナ51とのクリアラ
ンスが小さくなるため、該クリアランスから漏れたブロ
ーバイガスがクランク室16内のエンジンオイルと接触
されるようなことが抑えられるので、エンジンオイルの
汚れによる劣化が少なくなり、エンジンオイルの寿命を
伸ばすことができ、経済的である。
【0034】次に、上記エンジンにおける排気ブレーキ
やエンジンリターダの際の作用について説明する。排気
ブレーキは、排気マニホールド112に設けられたバタ
フライ弁などの排気弁111を閉じ、インジェクターノ
ズル67からの燃料の噴射を行わないようにする。 (1)吸入行程 図14(a)(b)に示すように、ピストン30の降下
時にクランク室16内の圧縮とセパレータアキュムレー
タタンク106内の圧縮圧力が重なるためピストン30
の降下に負担が係り抵抗となってブレーキが掛る。 (2)圧縮行程 図14(c)(d)に示すように、ピストン30が上昇
し、シリンダ内の空気が圧縮されてピストン30に大き
な負担が掛り、また、クランク室16では、ピストン3
0の上昇によりインレットリードバルブ103が開き、
新鮮な空気が侵入する際に抵抗が掛かるため、ブレーキ
が掛る。 (3)爆発行程 図14(e)(f)に示すように、ピストン30が上死
点に達し、圧縮圧力が最高点に達するが、インジェクタ
ーノズル67から燃料が噴射されないので爆発燃焼が起
こらず、ピストン30を下げる力を発生できない。ま
た、圧縮された空気の反発現象(ポンピング現象)によ
り、ピストン30を下げ方向に反発するが、クランク室
16内における圧縮作用により緩和され、アウトレット
リードバルブ105が開きセパレータアキュムレータタ
ンク106に圧送され抵抗を生じてブレーキが掛る。 (4)排気行程 図14(g)(h)に示すように、排気バルブ62が開
きピストン30が上昇して燃焼室内のガスを排出しよう
とするがバタフライ弁などの排気弁111により排出を
止められるので、圧縮状態により抵抗を生じ、ブレーキ
が掛る。また、クランク室16では、インレットリード
バルブ103が開き新鮮な空気が侵入する際に抵抗が掛
かってブレーキが掛る。
【0035】以上により、支障なく排気ブレーキとリタ
ーダなどを作用させることができる。
【0036】次に、エンジンオイルの循環経路について
図15、図16を用いて、説明する。
【0037】オイルパン70に溜まったエンジンオイル
は、オイルポンプサクションパイプ85を介してオイル
ポンプ83に吸上げられ、オイルフィルタ84で浄化さ
れた後、クランクシャフト14、クランクシャフトオイ
ル通路42、コンロッドオイル通路41を介して、ピス
トンピンブッシュ25やピストンピン28などへ送られ
る。そして、潤滑オイル穴40、潤滑オイル溝39を介
して、ピストン30とシリンダライナ51との間へ送ら
れる。その後、一部は、クランク室16へ流下し、ドレ
ンバルブ71を介してオイルパン70へ戻される。ま
た、一部は、吸気と共に、セパレータアキュムレータタ
ンク106へ入り、フィルターセパレートエレメント1
08で分離され、レギュレータドレンバルブ109、ド
レンパイプ110を介してオイルパン70へ戻される。
【0038】また、クランクシャフト14を潤滑したエ
ンジンオイルは、ギヤ77、ギヤ86、ギヤ78へ伝え
られ、或いは、上部シリンダブロックオイル通路43を
介してアイドラシャフト53、インレットカムシャフト
58、アウトレットカムシャフト63へ伝えられる。
【0039】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1の発
明によれば、シリンダ内へ燃料を噴射するインジェクタ
ーノズルを備えた燃料直接噴射式のエンジンに対し、ク
ランク室にインレットリードバルブを有する吸気口を形
成して、該吸気口に吸気マニホールドを接続すると共
に、クランク室にアウトレットリードバルブを有する排
気口を形成して、該排気口とシリンダへ吸気を導入する
吸気バルブとの間に、吸気とエンジンオイルとを分離可
能な蓄圧器を有するバイパスマニホールドを接続し、蓄
圧器で分離したエンジンオイルをオイルパンへ向けて排
出するドレンパイプを備えると共に、上記シリンダを二
気筒一組として共通の蓄圧器に接続し、一方のシリンダ
が吸入行程の時に、他方のシリンダ爆発行程となるよう
構成したので、吸気バルブとクランク室との間に、蓄圧
器を設け、吸入行程および爆発行程の時にクランク室で
圧縮された吸気を蓄圧器へ溜めてシリンダ内へ強制的に
送らせることにより、エンジンの高出力化を得たり、高
密度の空気により完全燃焼を行わせて排気汚染防止効果
を得たりすることができる。この際、吸入行程でのピス
トンの下降によるポンプ損失が生じるが、二気筒を一組
して共通の蓄圧器に接続することにより、爆発行程で
の加圧力により上記損失を緩和させることができる。従
って、排気圧力を利用したターボチャージャーのように
排気抵抗によるポンプ損失や、ルーツブロワやスーパー
チャージャーのような機械損失を起こすことがない。ま
た、構造上、アイドリングなどの超低速回転時や低中速
回転時でも二気筒分の排気量に相当する一定量の過給を
行わせることが可能である。よって、ターボチャージャ
ーのように低中速回転時に過給不足によって生じるタイ
ムラグがなく、なめらかな回転トルクを得ることができ
る。また、ルーツブロワのように高速回転による機械損
失の増大を招くことがない。
【0040】また、圧縮行程と排気行程の時に、クラン
ク室の内部およびピストンの内側へ導入された空気でピ
ストンなどが直接且つ連続的に冷却されるので、燃焼温
度が下がり、窒素酸化物の発生を抑制する効果を向上さ
せることができる。また、ピストンの熱膨張が小さくな
るので、ピストンとシリンダライナとのクリアランスが
小さくなり、パティキュレートマターを少なくして、排
気汚染を抑制することができる。ピストンとシリンダラ
イナとのクリアランスが小さくなるため、該クリアラン
スから漏れたブローバイガスがクランク室内のエンジン
オイルと接触されるようなことが抑えられるので、エン
ジンオイルの汚れによる劣化が少なくなり、エンジンオ
イルの寿命を伸ばすことができ、経済的である、という
実用上有益な効果を発揮し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のエンジンにかかる正面
から見た断面図である。
【図2】図1のエンジンの側方断面図である。
【図3】図1のエンジンの左側面図である。
【図4】図1のエンジンの背面図である。
【図5】クランクシャフトおよびコンロッドの分解斜視
図である。
【図6】クランクシャフトおよびコンロッドの正面図で
ある。
【図7】クランクシャフトおよびコンロッドの側方断面
図である。
【図8】(a)(b)はピストンの一部破断した側面図
およびその平面図である。
【図9】(a)(b)はピストンの一部破断した正面図
およびその上方からみた断面図である。
【図10】吸気の通路を示すエンジンを正面から見た断
面図である。
【図11】吸気の通路を示すエンジンの側方断面図であ
る。
【図12】(a)〜(h)はエンジンが過給している様
子を示す作動図である。
【図13】(a)〜(d)は二気筒構成とした場合の作
動図である。
【図14】(a)〜(h)は排気ブレーキの作動図であ
る。
【図15】エンジンオイルの潤滑系統を示すエンジンを
正面から見た断面図である。
【図16】エンジンオイルの潤滑系統を示すエンジンの
側方断面図である。
【図17】(a)〜(d)は従来例の概略側面図であ
る。
【符号の説明】
16 クランク室 57 吸気バルブ 101 吸気口 102 排気口 103 インレットリードバルブ 104 吸気マニホールド 105 アウトレットリードバルブ 106 セパレータアキュムレータタンク(蓄圧器) 107 バイパスマニホールド

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダ内へ燃料を噴射するインジェクタ
    ーノズルを備えた燃料直接噴射式のエンジンに対し、ク
    ランク室にインレットリードバルブを有する吸気口を形
    成して、該吸気口に吸気マニホールドを接続すると共
    に、クランク室にアウトレットリードバルブを有する排
    気口を形成して、該排気口とシリンダへ吸気を導入する
    吸気バルブとの間に、吸気とエンジンオイルとを分離可
    能な蓄圧器を有するバイパスマニホールドを接続し、蓄
    圧器で分離したエンジンオイルをオイルパンへ向けて排
    出するドレンパイプを備えると共に、上記シリンダを二
    気筒一組として共通の蓄圧器に接続し、一方のシリンダ
    が吸入行程の時に、他方のシリンダ爆発行程となるよう
    構成したことを特徴とする過給エンジン。
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