JP3344621B2 - 汚泥の脱水装置及びその方法 - Google Patents

汚泥の脱水装置及びその方法

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JP3344621B2
JP3344621B2 JP22968397A JP22968397A JP3344621B2 JP 3344621 B2 JP3344621 B2 JP 3344621B2 JP 22968397 A JP22968397 A JP 22968397A JP 22968397 A JP22968397 A JP 22968397A JP 3344621 B2 JP3344621 B2 JP 3344621B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、汚泥の脱水装置及
び脱水方法に関し、詳しくは有機物を含む水処理で発生
する汚泥の容積式脱水装置及び脱水方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、上水処理、下水処
理、排水処理施設、また、食品加工、材料加工、製薬、
製紙工場等のごとく様々な分野において、多量の汚泥
(以下、“スラッジ”ともいう)が発生している。この
汚泥は、多くに場合、所定の処理を施してから廃棄され
たり、再利用される。この汚泥を処理する装置の一つに
容積式脱水装置がある。この容積式脱水装置は、図11
に示すものがある。図11に示したスラッジに対する容
積式脱水装置は特開平8−57691号公報に開示され
たものである。
【0003】図11に示した脱水装置51は、ポリマ原
溶液のための容器53及びポリマ原溶液と水とから混合
液を作る混合器54を備えた凝縮助剤のための調製設備
52と、循環ポンプ55を備えたポリマ使用溶液を蓄え
る容器56と、該容器からポリマ使用 溶液を圧送する
ための調量ポンプ57と、生スラッジの貯蔵タンク58
からスラッジを引き出すスラッジポンブ59と、該スラ
ッジポンプにより送りこまれたスラッジを脱水して断続
的にろ滓を作る脱水装置60と、該脱水装置から送り込
まれるろ滓を外部コンテナ61に搬送するコンベヤスク
リュ62とが備えられている。
【0004】脱水装置60は圧力応動装置63を有し、
該圧力応動装置には加圧ピストン64が設けられ、加圧
ピストン内にはAの側とBの側の両方にテレスコープ管
65,65が設けられ、該テレスコープ管によりピスト
ン内のAまたはBのいずれかに送り込むために加圧ピス
トン64とスラッジポンプ59との間に切換え可能な弁
66が設けられている。加圧ピストン64はフィルタキ
ャンドル67に支承されており、該フィルタキャンドル
は圧力応動装置63の横断面にわたって分配配置されて
いる。フィルタキャンドル67は圧力応動装置63の端
部円板68を貫いて延び、ろ液集合室69に開口してお
り、このろ液集合室69からろ液が連続的に引き出され
る。
【0005】圧力応動装置63内において可動に支承さ
れる加圧ピストン64は、可変の室容積の間における機
密にシールされた隔壁を形成しており、この両室容積に
おいて交互に、導入された生スラッジの脱水が行われ
る。ろ液はフィルタキャンドル67を通って、ろ液集合
室69に流れるのに対して、形成されるろ滓は、搬出弁
70,71より上昇管72,73を介してコンベヤスク
リュ62の中に送りだされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の脱
水装置60は加圧ピストン64の両側に設けられた一定
容量の収容室に送り込まれる生スラッジを、該加圧ピス
トン64の往復動によって交互(ピストン前後両側の生
スラッジを交互)に脱水する。すなわち、生スラッジ
は、一定の距離の行程間を運動する加圧ピストン64に
よって圧縮されて脱水されるのみであるから、脱水装置
内に送り込まれる生スラッジの含水率に変動があった場
合には加圧ピストン64にて脱水してコンベヤスクリュ
62に搬出するろ滓(脱水ケーキ)の含水率も変動し、
一定の含水率の脱水ケーキが得られないという問題があ
った。
【0007】上記脱水ケーキは、溶融したり焼却する場
合においても、その取り扱い性の観点から、含水率が所
望に安定していることが重要な問題であった。特に、再
利用する脱水ケーキにおいては、加工工程に適した所定
の含水率に安定させることは、その加工性を左右し、極
めて重要な問題であった。
【0008】本発明は上記問題に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、加圧ピストンの往復行程の運動によ
り、汚泥を圧縮して脱水するときに、該汚泥の脱水によ
り形成される脱水ケーキの含水率を所望に制御すること
ができる汚泥の脱水装置及びその方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る上記目的
は、給泥ポンプと、両端に配設された端部円板間に配設
される複数の濾過用チューブにて貫通され該端部円板間
で往復運動可能な加圧ピストンを有する圧力シリンダ
と、前記圧力シリンダに形成の開口部に接続する上昇管
を介して前記圧力シリンダ内から排出される脱水ケーキ
を搬出するスクリュコンベヤと、前記濾過用チューブ内
を通る脱水液を外部に排出する液分集合室とを有する汚
泥の脱水装置であって、前記圧力シリンダに供給される
汚泥供給量を測定する汚泥量検出器と、前記加圧ピスト
ンの位置を検知する位置検出器と、供給汚泥濃度の濃度
検出器と、ろ液流量を測定するろ液量検出器とが設けら
れ、前記各検出器からの検出信号を基に脱水ケーキの想
定含水率を演算し、該演算値と目標含水率とを比較し、
演算値が目標含水率に略対応するように、前記圧力シリ
ンダの内圧、前記供給汚泥流量、前記脱水ケーキの排出
量のうち少なくとも一つを自動制御することのできる制
御手段を具備したことを特徴とする汚泥の脱水装置によ
り達成することができる。(請求項1)
【0010】したがって、本発明に係る上記脱水装置に
よれば、圧力シリンダに供給される汚泥供給量を測定す
る汚泥量検出器と、前記加圧ピストンの位置を検知する
位置検出器と、供給汚泥濃度の濃度検出器と、ろ液流量
を測定するろ液量検出器とが設けられたことにより、脱
水ケーキの含水率を正確に制御するための多くの決定要
素の情報を得ることができる。更にまた、前記各検出器
からの検出信号を基に脱水ケーキの想定含水率を制御す
る制御手段が、想定含水率の演算値と予め設定された目
標含水率とを比較し、該演算値が目標含水率に略対応す
るように、圧力シリンダの内圧、前記供給汚泥流量、前
記脱水ケーキの排出量のうち何れか或いは複数を自動制
御するので、極めて安定した制御ができ、含水率の安定
した脱水ケーキを得ることができる。
【0011】本発明に係る上記脱水装置において、前記
加圧ピストンにより加圧される二つの領域の脱水ケーキ
のそれぞれの想定含水率を表示する表示器を備えたこと
を特徴とする。(請求項2) したがって、二つの領域の脱水ケーキのそれぞれの想定
含水率を表示する表示器を備えたことにより、例えば、
操作パネル上で、圧力シリンダ内の前記両領域の含水率
を常に把握することができる。
【0012】また、本発明に係る上記目的は、汚泥を圧
力シリンダに送出し、該圧力シリンダ内にて往復運動す
る加圧ピストンにより、該加圧ピストンの前後に送出さ
れた汚泥を交互に圧縮して、圧力シリンダに設けられた
複数の濾過用チューブにて固液分離し、脱水された脱水
ケーキを前記圧力シリンダ外に排出する汚泥の脱水方法
において、前記ピストンの位置、供給汚泥流量、供給汚
泥濃度、前記固液分離後のろ液流量に基づいて脱水ケー
キの想定含水率を演算し、該演算による想定含水率の値
と予め設定しておいた目標含水率とを比較し、演算値が
目標含水率に対応するように、前記圧力シリンダの内
圧、前記供給汚泥流量、前記脱水ケーキの排出量のうち
少なくとも一つを自動制御することを特徴とする汚泥の
脱水方法により達成することができる。(請求項3)
【0013】したがって、本発明に係る上記脱水方法に
よれば、ピストンの位置、供給汚泥流量、供給汚泥濃
度、前記固液分離後のろ液流量に基づいて脱水ケーキの
想定含水率を演算すことにより、リアルタイムで脱水ケ
ーキの含水率を正確に把握することができる。更にま
た、前記演算による想定含水率の値と予め設定しておい
た目標含水率とを比較し、演算値が目標含水率に対応す
るように、前記圧力シリンダの内圧、前記供給汚泥流
量、前記脱水ケーキの排出量等を自動制御することによ
り、脱水ケーキの含水率を所望の値に安定して維持する
ことを自動的におこなうことができる。
【0014】また、本発明に係る脱水方法において、前
記加圧ピストンにより加圧される二つの領域のそれぞれ
の脱水ケーキの想定含水率、前記汚泥供給流量、前記加
圧ピストンのピストン移動速度、前記加圧ピストンによ
って加圧されている状態の脱水時間のうち少なくとも2
つの要素を有する関係式に基づいて前記汚泥の流量制御
プログラムを作成し、該流量制御プログラムを基準にし
て、前記脱水ケーキの想定含水率を、前記目標含水率を
満足するように自動的に制御することを特徴とする。
(請求項4)
【0015】したがって、本発明に係る脱水方法によれ
ば、加圧ピストンにより加圧される二つの領域のそれぞ
れの脱水ケーキの想定含水率、前記汚泥供給流量、前記
加圧ピストンのピストン移動速度、前記加圧ピストンに
よって加圧されている状態の脱水時間のうち複数の要素
を基にした汚泥の流量制御プログラムを基準にして、前
記脱水ケーキの想定含水率を制御できるので、正確な制
御が可能となり、目標含水率を満足するように自動的に
制御が確実にできる。
【0016】
【発明の実施の態様】本発明の汚泥の脱水装置及びその
方法の一実施の形態を図1乃至図5に基づいて詳細に説
明する。図1は本発明に係る汚泥の脱水装置を示す模式
図であり、図2〜図5は本発明に係る脱水方法の概要を
示す模式図である。
【0017】図1に示すように、本実施の形態の脱水装
置1は、貯蔵容器27から汚泥を吸出して圧力シリンダ
に供給する給泥ポンプ2と、内部に可動するピストンを
有し該ピストンにより汚泥を圧縮する圧力シリンダ3
と、該圧力シリンダにより脱水された汚泥のケーキを外
部に設けられた脱水ケーキホッパー5に自動的に搬出す
るスクリュコンベヤ4とを備えている。給泥ポンプ2と
圧力シリンダ3とは中間の切換充填弁6にて2方に分岐
される供給管7にて接続されている。切換充填弁6と給
泥ポンプ2との間には凝縮助成剤の調量検知器8と貫流
量測定器9とが設けられており、該貫流量測定器の前後
に圧力ピックアップ10,10が配設されている。ま
た、供給汚泥の濃度を測定する濃度検出器45は、例え
ば調量検知器8の下流側に設ける異ができる。
【0018】また、圧力シリンダ3内にて往復運動可能
に支持されるピストン11の両端の運動限界位置にはそ
れぞれ端部円板12,13が設けられ、該各端部円板と
ピストン11の両側各側面との間には容積が可変な汚泥
圧縮室のA及びBが設けられている。そして、汚泥圧縮
室のA及びBを仕切る加圧ピストンの位置を検知する位
置検出器である容積センサ30が設けられている。この
容積センサ30より得られるデータにより、汚泥が供給
されている汚泥圧縮室の容積が演算により決定される。
また、汚泥圧縮室のA及びBにはそれぞれ圧力センサ2
9が設けられている。
【0019】汚泥圧縮室A及びBにはそれぞれ前記切換
充填弁6と接続する各端部円板12,13に開口部1
5,16が形成され、該開口部にはピストン11の各側
面の近傍に先端に形成の吐出口17,18を対設するテ
レスコパイプ19,20が設けられている。更に、両端
部円板12,13の間にはピストン11の往復運動を可
能に支持する複数の濾過用チューブ14が設けられてい
る。この濾過用チユーブ14は圧力シリンダ3内に供給
された生汚泥を液固分離する機能を有しており、分離し
た液分をチューブ内を通して、更に一方の端部円板13
内に設けた液分集合室21を通し外部の液分受容器(図
示せず)に吐出している。この液分集合室20若しくは
該液分集合室から外部につながる配管の途中にろ液量検
出器40が設けられている。
【0020】また、圧力シリンダ3の両端部円板12,
13はそれぞれ中間位置に脱水ケーキ排出弁22を備え
た上昇管23が接続されている。この上昇管の端部はス
クリュコンベヤ4に接続されているので、脱水ケーキは
該スクリュコンベヤにより脱水装置1の機外に搬出さ
れ、前記脱水ケーキホッパ5に投棄される。脱水ケーキ
排出弁22はそれぞれ汚泥圧縮室のA及びB内に設けら
れる圧力センサ29により検知した圧力値により自動的
に開口されるように圧力センサ29及び後述する制御手
段であるコンピュータと接続している。
【0021】コンピュータ25は脱水ケーキ排出弁2
2、切換充填弁6等を制御できるように接続されてい
る。また、コンピュータ25の記憶部には、脱水ケーキ
の所望の目標含水率が予め入力されている。従って、コ
ンピュータ25は、前記各検出器からの検出信号を基に
脱水ケーキの想定含水率を演算するとともに、該演算値
と目標含水率とを比較し、演算値が目標含水率に略対応
するように、例えば、圧力シリンダ3の内圧、供給汚泥
流量、脱水ケーキの排出量等を自動制御する。なお、例
えば、コンピュータ25がはじき出した汚泥の想定含水
率が、目標含水率よりも下回った場合、脱水ケーキ排出
弁22の作動装置28に信号を送って該作動装置内の駆
動モータを駆動して脱水ケーキ排出弁22を開口する等
の操作を自動的に行う。
【0022】また、加圧ピストン11により加圧される
二つの領域(A側およびB側)の脱水ケーキのそれぞれ
の想定含水率を表示する表示器26を備えている。本実
施の形態においては、加圧ピストン11により加圧され
る二つの領域(A側およびB側)のそれぞれの脱水ケー
キの想定含水率、汚泥供給流量、加圧ピストン11のピ
ストン移動速度、加圧ピストン11によって加圧されて
いる状態の脱水時間のうち少なくとも2つの要素を有す
る関係式に基づいて前記汚泥の流量制御プログラムを作
成することができる。そして、作成した流量制御プログ
ラムを基準にして、前記脱水ケーキの想定含水率を、例
えば特定の範囲に設定した目標含水率を満足するように
自動的に制御することができる。
【0023】本実施の形態の脱水装置の運転制御方法を
について、図1〜5を参照して説明する。なお、下記の
説明にあたっては、圧力シリンダー内部は加圧ピストン
11により左右に二分されているので、加圧ピストン1
1から見て供給汚泥側の室を「前脱水部(前脱水側)」
とし、進行方向側を「後脱水部(後脱水側)」とし、各
々の室に存在する脱水ケーキをそれぞれ「前脱水ケー
キ」、「後脱水ケーキ」とする。
【0024】先ず、例えば、図2に示すように、圧力シ
リンダー3の左端に加圧ピストン11がある状態とす
る。そして、圧力シリンダー3の左側から汚泥を給泥ポ
ンプで打ち込むと同時に汚泥積算量(Q)の測定を開始
する。汚泥の固形分は濾過用チューブ14(スクリーン
パイプ)の表面に捕捉され、固形物が加圧ピストン11
の左側に充填されるにつれて該ピストンは徐々に右側へ
移動する(図3に示す状態)。
【0025】そして、図4に示すように、加圧ピストン
11が圧力シリンダー3の右端に到着した時点で(Q)
の積算を終了する。充填弁6を切り替え、汚泥を圧力シ
リンダー3の右端から供給し供給汚泥積算量(Q)の測
定を再開し、加圧ピストン11を左方向へと移動させ
る。つまり、この時点から、加圧ピストン11の左側の
脱水ケーキは、前脱水ケーキから後脱水ケーキに切り替
わることになる。前脱水側の汚泥の水分率をZ(%−w
/v)とし、汚泥の供給がピストンの左側から右側に切
り替わる時点における前脱水側の脱水ケーキの含水率を
1 (%−w/v)としZ1 を次のように計算する。 Z1 =100−a×Q/V0 ……… なお、この式において、供給汚泥積算量:Q(m3 )、
供給汚泥固形物濃度:a(%−w/v)(予め測定し演
算器に入力あるいは測定器からの信号を取り込んでもよ
い)、圧力シリンダー容積(定数):V0(m3)
【0026】また、脱水ケーキの目標含水率を下限値を
m(%−w/v)とし、さらに、上限値をM(%−w/
v)として、それぞれを予めコンピュータの演算器に入
力する。
【0027】ここで、目標含水率中間値は(m+M)/
2(%−w/v)であり、この目標含水率とZ1 (%−
w/v)を比較する。そして、Z1 ≦(m+M)/2な
らば、ケーキ排出弁22に開指令を出し脱水ケーキを排
出する。
【0028】また、Z1 >(m+M)/2ならば、ケー
キ排出弁22を閉ロック状態とし、全汚泥濃度Z1 が目
標含水率中間値:(m+M)/2以下になる容積
(V1)からケーキ排出弁22への開指令を出すピスト
ン位置を以下の式で演算する。 (m+M)/2=100−Q×a/V1 であるから V1 =Q×a/[100−(m+M)/2] ピストン位置はP=V1 /V0 =Q×a/[100−
(m+M)/2]×V0 で求める。 供給汚泥積算量:Q(m3)、供給汚泥固形物濃度:a
(%−w/v)、圧力シリンダー容積:V0(m3
【0029】例えば、図5に示すように加圧ピストン1
1の左側にある汚泥は、該ピストン11の移動に伴い圧
力を受け脱水され演算で求めたピストン位置に該ピスト
ンが到達するとケーキ排出弁22に開指令を発信する。
このように、ケーキ排出弁が開くことにより圧搾脱水さ
れた汚泥はスクリューコンベヤ7を経て機外へ排出され
る。
【0030】加圧ピストン11の左側の後脱水ケーキ
は、排出バルブ近傍のケーキから順次排出されるが、そ
の間も脱水は徐々に進行する。このことから、排出され
る脱水ケーキは、後脱水される時間の増加とともに含水
率が低下する。したがって、バルブ開指令後に排出され
る脱水ケーキの含水率を常に目標含水率上限値:M(%
−w/v)〜下限値:m(%−w/v)の範囲内にする
ために運転操作条件を、後述するように制御する必要が
ある。
【0031】また、目標含水率中間値:(m+M)/2
(%−w/v)の脱水ケーキが最初に排出された後に、
引き続いて排出される脱水ケーキの含水率について、圧
力シリンダー11内の後脱水部に残った(図5における
加圧ピストン11の左側)脱水ケーキと排出された脱水
ケーキを合わせた平均の現在含水率Z2(%−w/v)は
次のように計算される。 Z2 =100−(100−Z1){V0 /(V0 −qr +qR )}……… また、式のqr は以下の式により導かれる。 qR ={(100 −a)/a−Z1/(100 −Z1)}×a×QW /100 ……
【0032】なお、 a(%−w/v):供給汚泥固形物濃度(実測値) Z1(%−w/v):汚泥供給方向が反転した時点のピストン左側の脱水ケーキ の含水率(演算値)……式 V0(m3):シリンダー内の全有効容積(定数) qr ( m3):汚泥供給方向が反転してから現在までの全体のろ液積算量(実測 値)qR ( m3):汚泥供給方向が反転してから現在までの前脱水側から排出され たろ液積算量(演算値)………式 QW ( m3):汚泥供給方向が反転してから現在までの前脱水側に投入された供 給汚泥積算量(実測値) である。
【0033】前述の脱水ケーキの含水率は、常時モニタ
ーされているため必要に応じて適宜運転条件を変更する
ことが可能である。目標含水率を制御するための操作因
子としては供給汚泥流量、シリンダー内ろ過圧力、排泥
バルブの開度等がある。そして、これらの操作因子を調
整することにより含水率を一定範囲に調整することが可
能になるものであり、例えば、図5に示すような状態に
おいて、供給汚泥流量を小さくするほど、シリンダー内
のろ過圧力を大きくするほど、排泥バルブの開度を小さ
くするほどピストン左側(後脱水部)の脱水効率は向上
する。
【0034】脱水ケーキの含水率を一定に制御するため
の運転条件を決定するために、操作条件を変えてプレ脱
水試験を行う。その結果から連続運転における供給汚泥
量、シリンダー内ろ過圧力、排泥バルブの開度等の適正
値及び制御プログラムを定める。
【0035】
【実施例】本実施例は、本発明に係る脱水方法を適用し
た運転条件の決定方法とその制御プログラムの一例であ
り、実際に脱水処理を行ったA下水処理場の下水混合生
汚泥のケースについて説明する。尚、A下水処理場は脱
水ケーキを焼却するためにモーノ型搬送ポンプを使用し
ている。該ポンプはケーキの含水率を70(%)以上に
しないとトルクオーバーを起こす。また、脱水ケーキを
焼却炉で自燃させるため脱水ケーキの含水率は76
(%)以下にする必要がある。したがって、目標含水率
は下限値m:70(%)〜上限値M:76(%)とし
た。
【0036】脱水ケーキの含水率を一定にする運転制御
プログラムは、汚泥の性状や該脱水機の型式(容積やス
クリーンの目幅等)により様々であるが、A下水処理場
の混合生汚泥ではろ過圧力、及び排泥バルブの開度は一
定とし、供給汚泥量のみを変化させることにより脱水ケ
ーキの含水率を制御する方法を採用した。
【0037】なお、プレ脱水試験では、制御プログラム
作成の基礎データとして、以下の調査結果を得た。 1)供給汚泥流量が一定の場合、前脱水終了後の前脱水
ケーキの含水率はピストンの位置によらずほぼ一定であ
る。 2)供給汚泥流量を大きくすると前脱水終了後の前脱水
ケーキの含水率は大きくなり、その関係式は、下記式
に近似させることができる。 Z1 =f(X)=1.10176 ×+76.842 ……… Z1(%) :前脱水ケーキ含水率、 X(m3/h):供給汚泥流量
【0038】上記の供給汚泥流量と前脱水含水率との関
係式は、図6に示すようなテスト結果に基づいて導き出
される。
【0039】3)供給汚泥流量を大きくするにつれて加
圧ピストンの移動速度は増加し、その関係式は式に近
似させることができる。 Y=g(X)=0.0488X1.9022 ……… Y(m/min) :ピストン移動速度 X(m3/h):供給汚泥流量
【0040】上記の汚泥流量とピストン移動速度との関
係式は、図7に示すようなテスト結果に基づいて導き出
される。
【0041】4)排出されるケーキの含水率はろ過圧
力、ケ−キ排出時の排出バルブ開度一定条件では後脱水
時間が大きくなるにつれて減少し、後脱水時間と脱水ケ
ーキ含水率の関係式は供給汚泥流量や脱水ケーキの初期
含水率の変化によらず式に近似させることができる。 Z=h(T)=56+32.199e-0.0131T……… つまり、dz/dt =const*(Z-Z0)で、Z0は最低含水率を意
味する。 Z(%) :排出脱水ケーキの含水率 T(min) :後脱水時間
【0042】上記の後脱水時間とケーキ含水率との関係
式は、図8に示すようなテスト結果に基づいて導き出さ
れる。
【0043】プレ脱水試験の結果から、以下の手順で供
給汚泥流量を調節する。図5に示した概念図の中でA端
からd(m)の距離をおく点Dを例にする。 (1)供給汚泥流量は常時記録されているので、加圧ピ
ストンがD点近傍を右方に通過した時の汚泥流量は既知
である。この時D点近傍は前脱水工程時であり、ピスト
ンがB端で反転した時点(つまり、D点近傍が後脱水工
程に切り替わった時点)でのD点近傍の前脱水ケーキの
推定含水率は式より推定可能になる。
【0044】(2)式からD点近傍の前脱水ケーキの
含水率が目標含水率のm〜M(%)の範囲内になるまで
に必要な後脱水時間の範囲を演算する。この時間の範囲
を、t D 〜TD とする。 (3)tD 〜TD はD点近傍の前脱水ケーキがd(m)
離れたケーキ排出口近傍に到達するまでの必要時間を意
味する。その時間の間に、加圧ピストンは少なくともd
(m)だけ移動し、更に、加圧ピストンがB端で反転し
た時の加圧ピストンとD点の間の前脱水ケーキがtD
D の間に後脱水されて減少する体積分をピストン断面
積で除した距離(rD 〜RD とする)を移動する必要が
ある。加圧ピストンがB端で反転した時の加圧ピストン
とD点の間の前脱水ケーキの容量と含水率は既知であ
り、tD 〜TD の間に減少する容量は、式より算出可
能であるので、rD 〜RD を求めることができる。よっ
て、tD 〜TD の間にピストンが移動する距離:(d+
D )〜(d+RD )(m)は推定可能となる。
【0045】(4)加圧ピストンが、tD 〜TD の時間
で(d+rD )〜(d+RD )(m)の距離を移動する
ために必要なピストンの移動速度は距離/時間で算出さ
れ、式から必要汚泥流量とその積算値が算出可能にな
る。つまり、ピストンがB端で反転した時からD点近傍
の前脱水ケーキが排出されるまでに前脱水部に供給され
る汚泥積算量の範囲を算出することが可能になる。 (5)ピストンのA端〜B端の任意のポイントで前掲の
(1)〜(4)と同様の演算を行い、すべてのポイント
で演算したポイントごとの適正流量範囲の中点を結び供
給汚泥流量のパターンを決定する。
【0046】(6)供給汚泥流量のパターンが決定する
と、そのパターンで運転した場合の排出ケーキの推定含
水率が前掲の式によりシュミレートできるので、
その推定値(「推定値−1」とする)と、式を使用し
て、ろ液量等の実測値から演算される脱水ケーキ推定含
水率(「推定値−2」とする)をリアルタイムで常時に
照合し、補正する。 (7)補正方法は区間平均とピストンのA端からB端ま
での全平均の両方で行い、「推定値−2」−「推定値−
1」の偏差分を式の定数項76.842から減じる方法を採
用した。
【0047】本実施例の供給汚泥流量の制御プログラム
を使用した脱水運転により、A下水処理場では30日間
の24時間連続運転の成績として表1に示す結果となっ
た。
【0048】
【表1】
【0049】また、供給汚泥流量のパターンは汚泥の性
状の変化等により絶えず変化した。その中でも典型的な
排出ケーキの含水率と汚泥流量のパターンをそれぞれ図
9(ピストン位置と排出ケーキ含水率との関係を示すグ
ラフ)並びに図10(ピストン位置と供給汚泥流量との
関係を示すグラフ)に示す。図9および図10より汚泥
流量はピストン反転直後からピストン位置約18(%)
まではケーキ排出バルブ閉の状態で運転し、その後はケ
ーキ排出バルブ開閉を行いながら脱水している。供給汚
泥流量は全体的にはほぼ単調に増加するパターンとなっ
た。
【0050】
【比較例】比較例としては、本発明の装置に換えて、遠
心分離機を用いた以外は、実施例と同様の条件で30日
間の24時間連続運転を行った。その結果を表2に示
す。
【0051】
【表2】
【0052】表1に示すように、本発明に係る実施例に
おいては、供給汚泥流量は、2.5 〜13.5(m3/h)で平均は
8.5(m3/h) 、ケーキ含水率は69.1〜75.5(%) で平均7
2.6(%) 、目標含水率達成率は99.6(%) となった。
これに対して、比較例においては、表2に示すような結
果であった。このように、本発明に係る実施例では、上
記処理成績から判るように、A下水処理場の混合生汚泥
において脱水ケーキの含水率を一定に制御する運転は、
非常に良好に安定して行うことが可能であった。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る汚泥
の脱水装置およびその方法によれば、脱水過程の汚泥含
水率および排出される脱水ケーキの含水率を複数の情報
に基づいて演算し、該演算に基づいた脱水制御プログラ
ムを使用して脱水運転を行うので、従来の脱水装置を使
用した脱水方法では常時運転員により運転調整を行って
いたのに比べて、極めて安定した所望の含水率の脱水ケ
ーキを取り出すことができる。すなわち、従来において
は、目標含水率に合わせた作業員による運転が困難であ
り、調質の状態によってはスラリー状のケーキを排出し
てしまうような事態た発生していたのに対して、本発明
に係る脱水装置並びに方法によれば、多少の凝集状態の
悪化に左右されることなく、脱水ケーキの含水率は目標
含水率を常に満足しつつ、24時間の連続自動運転を可
能にする。
【0054】さらにまた、本発明に係る脱水装置におい
て、加圧ピストンにより加圧される二つの領域の脱水ケ
ーキのそれぞれの想定含水率を表示する表示器を備えた
構成によれば、リアルタイムで、例えば操作パネル上で
シリンダー内ケーキ含水率および、排出ケーキ含水率を
モニターできるので、常に脱水状態を容易に把握するこ
とができ、人的な監視の負荷を軽減させることができる
とともに、迅速な対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る汚泥の脱水装置の一実施の形態を
示す概略図である。
【図2】本発明に係る脱水方法において、加圧ピストン
の位置おける脱水概念を説明するための模式である。
【図3】本発明に係る脱水方法において、加圧ピストン
の位置おける脱水概念を説明するための模式である。
【図4】本発明に係る脱水方法において、加圧ピストン
の位置おける脱水概念を説明するための模式である。
【図5】本発明に係る脱水方法において、加圧ピストン
の位置おける脱水概念を説明するための模式である。
【図6】本発明に係る脱水方法の実施例に適用する、供
給汚泥流量と前脱水含水率との関係におけるテスト結果
を示すグラフである。
【図7】本発明に係る脱水方法の実施例に適用する、汚
泥流量とピストン移動速度率との関係におけるテスト結
果を示すグラフである。
【図8】本発明に係る脱水方法の実施例に適用する、後
脱水時間とケーキ含水率との関係におけるテスト結果を
示すグラフである。
【図9】ピストン位置と排出ケーキ含水率との関係にお
けるテスト結果を示すグラフである。
【図10】ピストン位置と供給汚泥流量との関係におけ
るテスト結果を示すグラフである。
【図11】従来の脱水装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 脱水装置 2 給泥ポンプ 3 圧力シリンダ 4 スクリュコンベヤ 11 加圧ピストン 12,13 端部円板 14 濾過用チューブ 15,16 開口部 22 脱水ケーキ排出弁 23 上昇管 25 コンピュータ 26 表示器 27 貯蔵容器 28 作動装置 30 容積センサ 40 ろ液量検出器 45 濃度検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北村 輝明 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会 社荏原製作所内 (72)発明者 倉田 顕 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会 社荏原製作所内 (56)参考文献 特開 平8−57691(JP,A) 特開 平10−272500(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 11/12 ZAB

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 給泥ポンプ(2)と、両端に配設された
    端部円板(12,13)間に配設される複数の濾過用チ
    ューブ(14)にて貫通され該端部円板(12,13)
    間で往復運動可能な加圧ピストン(11)を有する圧力
    シリンダ(3)と、前記圧力シリンダ(3)に形成の開
    口部(15,16)に接続する上昇管(23)を介して
    前記圧力シリンダ(3)内から排出される脱水ケーキを
    搬出するスクリュコンベヤ(4)と、前記濾過用チュー
    ブ(14)内を通る脱水液を外部に排出する液分集合室
    (21)とを有する汚泥の脱水装置(1)であって、前
    記圧力シリンダ(3)に供給される汚泥供給量を測定す
    る汚泥量検出器(9)と、前記加圧ピストン(11)の
    位置を検知する位置検出器(30)と、供給汚泥濃度の
    濃度検出器(45)と、ろ液流量を測定するろ液量検出
    器(40)とが設けられ、前記各検出器からの検出信号
    を基に脱水ケーキの想定含水率を演算し、該演算値と目
    標含水率とを比較し、演算値が目標含水率に略対応する
    ように、前記圧力シリンダの内圧、前記供給汚泥流量、
    前記脱水ケーキの排出量のうち少なくとも一つを自動制
    御することのできる制御手段を具備したことを特徴とす
    る汚泥の脱水装置。
  2. 【請求項2】 前記加圧ピストン(11)により加圧さ
    れる二つの領域の脱水ケーキのそれぞれの想定含水率を
    表示する表示器を備えたことを特徴とする請求項1記載
    汚泥の脱水装置。
  3. 【請求項3】 汚泥を圧力シリンダ(3)に送出し、該
    圧力シリンダ(3)内にて往復運動する加圧ピストン
    (11)により、該加圧ピストン(11)の前後に送出
    された汚泥を交互に圧縮して、圧力シリンダ(3)に設
    けられた複数の濾過用チューブ(14)にて固液分離
    し、脱水された脱水ケーキを前記圧力シリンダ外に排出
    する汚泥の脱水方法において、前記ピストンの位置、供
    給汚泥流量、供給汚泥濃度、前記固液分離後のろ液流量
    に基づいて脱水ケーキの想定含水率を演算し、該演算に
    よる想定含水率の値と予め設定しておいた目標含水率と
    を比較し、演算値が目標含水率に対応するように、前記
    圧力シリンダの内圧、前記供給汚泥流量、前記脱水ケー
    キの排出量のうち少なくとも一つを自動制御することを
    特徴とする汚泥の脱水方法。
  4. 【請求項4】 前記加圧ピストン(11)により加圧さ
    れる二つの領域のそれぞれの脱水ケーキの想定含水率、
    前記汚泥供給流量、前記加圧ピストンのピストン移動速
    度、前記加圧ピストンによって加圧されている状態の脱
    水時間のうち少なくとも2つの要素を有する関係式に基
    づいて前記汚泥の流量制御プログラムを作成し、該流量
    制御プログラムを基準にして、前記脱水ケーキの想定含
    水率を、前記目標含水率を満足するように自動的に制御
    することを特徴とする請求項3記載の汚泥の制御方法。
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