JP3344014B2 - 洗浄方法および洗浄装置 - Google Patents

洗浄方法および洗浄装置

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JP3344014B2 JP20227393A JP20227393A JP3344014B2 JP 3344014 B2 JP3344014 B2 JP 3344014B2 JP 20227393 A JP20227393 A JP 20227393A JP 20227393 A JP20227393 A JP 20227393A JP 3344014 B2 JP3344014 B2 JP 3344014B2
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芳樹 土田
勝弘 山崎
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石川島播磨重工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば各種金属部品を
熱処理するに先立ってその表面に付着している切削油等
の汚れ成分を除去する場合に採用して好適な洗浄方法、
およびその洗浄方法を実施するための洗浄装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】この種の洗浄を行う場合には、汚れの主
成分である炭化水素系の油脂を溶解させて除去すること
によって優れた洗浄効果を得るべく、例えばトリクロロ
エタン等の塩素化炭化水素系の溶剤を用いることが従来
一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、近年、前記
のような溶剤は環境汚染を引起こす懸念があるという指
摘があり、このため、そのような溶剤を取り扱ったり処
理するに際しては環境汚染防止の観点から種々の対策が
不可欠であって、設備費や運転費の増大を招いているば
かりか、そのような溶剤自体が使用できなくなる懸念も
生じてきている。
【0004】本発明は前記事情に鑑み、環境を汚染する
おそれのある溶剤を用いずとも優れた洗浄効果が得られ
る洗浄方法およびそのための洗浄装置を提供することを
目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の請求項1の洗浄方法は、洗浄容器に収納さ
れた被洗浄物を洗浄液により洗浄した後、前記洗浄容器
内を負圧とすることにより被洗浄物表面に付着している
洗浄液を蒸発させて除去して前記被洗浄物を真空乾燥さ
せる。また請求項2の洗浄方法は、まず被洗浄物が収納
された洗浄容器内を負圧とすることにより、被洗浄物表
面に付着している汚れ成分を蒸発させて除去し、その後
に被洗浄物を洗浄して真空乾燥させる。さらに請求項3
の洗浄方法は、被洗浄物を加熱した後に洗浄容器内を負
圧として汚れ成分を蒸発させて除去し、その後に被洗浄
物を洗浄して真空乾燥させる。
【0006】また、請求項の洗浄方法では、洗浄容器
内に収納された被洗浄物に予備洗浄液を吹き掛けること
によって予備洗浄を行い、次いで前記被洗浄物を主洗浄
液に浸漬することによって主洗浄を行い、さらに前記被
洗浄物に仕上げ洗浄液を吹き掛けることによって仕上げ
洗浄を行った後に、前記洗浄容器内を負圧とすることに
より被洗浄物表面に付着している洗浄液を蒸発させて除
去して被洗浄物を真空乾燥させる。そして、これら請求
項1〜4の洗浄方法では、こうして被洗浄物を真空乾燥
させることにより蒸発して除去された洗浄液の蒸気を、
被洗浄物を洗浄するために保持された洗浄液中に導入し
て冷却することにより大気圧にて復液させることを特徴
とする。
【0007】一方、本発明の請求項の洗浄装置は、被
洗浄物が収納されるとともに内部を真空に保持可能な洗
浄容器と、その洗浄容器内を負圧とするための真空排気
手段と、洗浄液を前記洗浄容器に供給するとともにその
洗浄液を洗浄容器から回収して再び供給する洗浄液の循
環手段とを具備してなるものである。また、請求項
洗浄装置ではこれに加えて、被洗浄物が収納されるとと
もに加熱される加熱室を具備している。
【0008】次に、請求項の洗浄装置は、被洗浄物が
収納されるとともに加熱される加熱室と、被洗浄物が収
納されるとともに内部を真空に保持可能な第一真空乾燥
室と、第一真空乾燥室内を負圧とするための真空排気手
段と、被洗浄物が収納されるとともに洗浄される洗浄容
器と、洗浄液を洗浄容器に供給するとともにその洗浄液
を洗浄容器から回収して再び供給する洗浄液の循環手段
と、被洗浄物が収納されるとともに内部を真空に保持可
能な第二真空乾燥室と、第二真空乾燥室内を負圧とする
ための真空排気手段とを具備してなる。
【0009】
【0010】
【0011】また、請求項8の洗浄装置は、被洗浄物が
収納されるとともに加熱される加熱室と、被洗浄物が収
納されるとともに内部を真空に保持可能な第一真空乾燥
室と、第一真空乾燥室内を負圧とするための真空排気手
段と、被洗浄物が収納されるとともに被洗浄物を浸漬し
て洗浄するべく洗浄液が貯溜される洗浄容器と、被洗浄
物が収納されるとともに内部を真空に保持可能な第二真
空乾燥室と、第二真空乾燥室内を負圧とするための真空
排気手段とを具備してなるものである。
【0012】そして、これら請求項5〜8の洗浄装置で
は、前記真空排気手段に、洗浄容器内を洗浄液を気化さ
せるに十分な低圧力に維持し得る少なくとも一の真空ポ
ンプと、その真空ポンプの下流側に設置されて、その排
気中に含まれる洗浄液の蒸気を、前記被洗浄物を洗浄す
べく保持される洗浄液中に導入して冷却液化するための
吹き込みノズルとを備えたことを特徴としている。
【0013】
【作用】本発明では、洗浄液を洗浄容器に供給して洗浄
ノズルを通して被洗浄物に吹き掛けたり、あるいは洗浄
液を洗浄容器内の洗浄槽に貯留して被洗浄物を浸漬した
りすることで、被洗浄物に付着していた汚れ成分を洗い
流したり溶解させて洗浄し、洗浄後には洗浄容器内を負
圧とすることにより、被洗浄物に付着している洗浄液を
蒸発させて短時間で真空乾燥させる。ここで、洗浄液と
しては、油脂等の汚れ成分を溶解し得るとともに環境汚
染の懸念のない灯油や軽油等の石油系の溶剤、あるいは
軟質油から精製した炭化水素系の溶剤を用いるのが好ま
しい。また、このように洗浄液に灯油や軟質油から精製
した炭化水素系の溶剤を用いる場合には、洗浄容器に不
活性ガス導入手段を設けて洗浄中の容器内の空気を置換
して不活性ガス雰囲気とすることにより、爆発などの危
険を回避することができる。
【0014】なお、洗浄ノズルによる洗浄では残留液回
収手段を用いることにより、ノズル内の残留液がそのま
ま留まったり、洗浄容器内に流出してしまうことがな
く、洗浄終了後に速やかに真空乾燥工程に移行でき、か
つ、排気時間が短縮される。一方、洗浄槽による洗浄で
は攪拌ノズルを用いることにより、洗浄槽中の洗浄液に
旋回流を生じせしめて効率的な洗浄を行うことができ
る。また、特に洗浄ノズルを用いる場合には、洗浄液の
循環手段に貯液装置を設けることにより、洗浄液が被洗
浄物に激しく吹き掛けられるので優れた洗浄効果が得ら
れるとともに、循環使用する洗浄液量を少なくして経済
的な洗浄を行うことができる。
【0015】一方、被洗浄物を洗浄液で洗浄する前に被
洗浄物が収納されている洗浄容器内を負圧とすることに
より、被洗浄物表面の油脂等の汚れ成分が蒸発されて除
去されるため、予備脱脂を行うことができる。そして、
予備脱脂を行った後、被洗浄物を洗浄液で洗浄するの
で、洗浄液で簡単に洗浄するだけでよく、洗浄時間が短
縮できる。さらに、予備脱脂を行う前に被洗浄物を加熱
することにより、脱脂速度が速くなるとともに被洗浄物
に付着する油脂を充分に脱脂できる。この場合には、洗
浄容器内に加熱用のヒーターおよび流気用のファンを設
けることにより、洗浄容器自体を予備脱脂を行うための
加熱室とすることができる一方、予備脱脂を行わないと
しても洗浄液の溶解能力の増大と、洗浄後の洗浄液の減
圧蒸発時間の短縮とが図られるため、一層効率的に洗浄
および洗浄後の洗浄液の除去ができるようになる。ま
た、洗浄容器と加熱室とを別にしてもよく、さらに被洗
浄物の真空乾燥を行う室をも別としてもよい。これらの
場合には、各室毎に洗浄を行う機能が分けられるので、
効率的かつ連続的に洗浄を行うことができる。なお、2
室以上の多室型の洗浄装置の床面に被洗浄物を移送する
ハースローラを配設すれば、各室間の被洗浄物の移送が
容易に行えて、さらに洗浄作業を効率化できる。
【0016】さらにまた、洗浄容器内や各真空乾燥室内
に、気化した洗浄液が再液化する温度に冷却されるコー
ルドパネルを配設することにより、予備脱脂時にも一旦
気化された汚れ成分の油脂がコールドパネルに凝着され
るので、予備脱脂の脱脂速度を速めることができるとと
もに、油脂等の汚れ成分が真空排気手段へ流入すること
を防止することができる。さらに、洗浄容器内にコール
ドパネルを設ける場合には、隔壁を配設することによ
り、コールドパネルへ洗浄液が飛散することを阻止する
とともに気化した洗浄液が通過できるので、コールドパ
ネルに汚れ成分が付着されるとともに、コールドパネル
に付着した汚れ成分が洗浄液により洗い流されることを
防止することができる。なお、洗浄容器の機能を他の室
の機能と分離して洗浄容器では洗浄のみを行うことと
し、かつ、この洗浄容器を被洗浄物を浸漬して洗浄する
べく洗浄液が貯溜されるものとした場合には、洗浄液の
循環手段を省くことが可能となる。
【0017】一方、洗浄容器内において真空乾燥を行う
場合には、洗浄時に洗浄容器に供給された洗浄液は回収
管を通して回収タンクに回収され、回収管の途中に設け
られた閉止弁が閉じられた後に、洗浄容器内から真空引
きがなされるが、この際、閉止弁が異物を噛み込んだり
あるいは何等かの理由によりその閉塞状態が完全でない
と、回収管を通してタンク内からも真空引きがなされて
しまう。そこで、回収管を回収タンク内の最高液面位置
より高い位置に接続することにより、そのような事態に
なっても、回収タンク内の洗浄液が回収管を通して洗浄
容器に逆流してしまうことを回避することができる。ま
た、かかる場合には回収タンク内も負圧となるので、タ
ンク内が負圧となったことを検知する負圧検知手段を設
けることにより、閉止弁の閉塞状態が不完全であること
が早期にかつ確実に検知されて迅速な対処が可能とな
る。
【0018】また一方、前記循環手段に加熱器を設ける
などして洗浄液を加熱して洗浄することにより、洗浄液
の溶解能力の増大が図られて被洗浄物表面の汚れ成分を
洗浄液に溶解し易くすることができるとともに、これに
よって被洗浄物も加熱されることとなるので、真空排気
の際の洗浄液の蒸発を促進することが可能となる。必要
に応じて、この加熱洗浄の後に新たな洗浄液を冷却しつ
つ循環させて仕上げ洗浄を行うとともに被洗浄物を強制
冷却するようにしてもよい。なお、このように洗浄液を
加熱して循環させる場合に、循環手段がポンプである
と、ポンプ内部で洗浄液が蒸発してしまってキャビテー
ションを生じ、洗浄液の圧送が不能となる場合がある。
そこで、このような場合には、ポンプに吸引される前に
洗浄液を冷却器により冷却し、その冷却された洗浄液を
ポンプにより圧送した後に加熱器により再び加熱するこ
とで、キャビテーションの発生を防止しつつ洗浄液を所
望温度まで自由に加熱することができる。
【0019】他方、洗浄液の循環経路に洗浄液を貯留す
る洗浄液タンクを設け、この洗浄液タンク内の洗浄液を
加圧して洗浄液を圧送することにより、ポンプを使用せ
ずに洗浄液の供給を行うことが可能となるので、前述の
ように洗浄液を加熱する場合などにポンプにキャビテー
ションが生じて洗浄液の供給が阻害されるような事態を
防止することができる。ここで、前記洗浄液タンク内の
洗浄液を加圧する加圧手段としては、一つには加圧ガス
を前記洗浄タンク内に供給して洗浄液を加圧する手段が
挙げられる。そして、このような構成を採った場合に
は、洗浄容器を加圧ガス供給手段と接続可能とすること
により、洗浄終了後に洗浄液を洗浄容器から洗浄液タン
クに回収する際に、加圧ガスの圧力を洗浄容器内の洗浄
液に作用させて洗浄容器からの洗浄液の回収を促進する
ことができる。また、洗浄液タンクの内部を真空に保持
可能とすることにより、洗浄終了後に洗浄液を洗浄容器
から洗浄液タンクに回収する際に、洗浄液タンク内を真
空引きすることができる。
【0020】さらに、洗浄液タンクの出口に閉止弁を備
えるとともに、加圧ガス供給手段には、加圧ガスを放出
する放出弁と加圧ガスの入出を行う閉止弁とを備えるこ
とにより、洗浄液の漏出等の異常が発生した場合には、
前記の二つの閉止弁を閉じるとともに放出弁を開いて、
洗浄装置の操作を停止することができる。また、洗浄液
の漏出等の使用時における異常を検出する異常検出手段
を設けるとともに、この異常検出手段の検出結果に従っ
て洗浄液タンクの出口の閉止弁の開閉と、加圧ガス供給
手段の放出弁および閉止弁の開閉とを制御する制御部と
を設けることにより、使用時における異常が発生した場
合に自動的に洗浄装置の操作を停止することができる。
【0021】一方、前記洗浄液タンクに加圧シリンダー
装置を設けることによっても洗浄液タンク内の洗浄液の
加圧を行うことができる。この場合には、加圧シリンダ
ー装置を押し下げることにより洗浄液を洗浄容器内に圧
送できるとともに、加圧シリンダー装置を引き上げるこ
とにより洗浄液の回収を行うことができる。なお、これ
ら洗浄液の循環を加圧手段により行う場合には、洗浄液
タンクの洗浄液の入出口を洗浄容器の底面位置より高く
設定し、循環経路を洗浄容器の底壁と洗浄液タンクとの
間に設け、洗浄容器の底壁から延び出る循環経路の一部
を、洗浄容器の底壁から鉛直方向に延びる一定寸法の鉛
直部として、この鉛直部の途中に閉止弁を設けることに
より、洗浄液を洗浄容器から落下し易くし、かつ閉止弁
上部に残留する洗浄液も少なくし得て、洗浄液タンクに
洗浄液を回収し易くすることができる。
【0022】また洗浄液を循環させて繰り返し使用する
場合には、循環させる洗浄液の一部を蒸留することによ
って洗浄液中に溶解した汚れ成分を除去する清浄化処理
を行うことにより、洗浄液を常に所定の清浄度に維持し
て洗浄を行うことができる。そして、このような構成を
採った場合には、循環手段に、洗浄容器に供給する洗浄
液を貯溜する供給タンクと、洗浄容器から回収した洗浄
液を貯溜する回収タンクと、その回収タンクから供給タ
ンクに洗浄液を返送するための返送ポンプとを具備し、
清浄化するべき洗浄液を回収タンクから前記蒸留手段に
送るとともにそこで清浄化された洗浄液を蒸留手段から
前記供給タンクに送るようにし、かつ、蒸留手段で清浄
化する一定量の洗浄液を常に回収タンクに貯溜しておく
べく前記返送ポンプの作動を制御することにより、洗浄
工程終了後に後工程の蒸留工程で蒸留するべき洗浄液を
常に回収タンクに残しておくことができるので、蒸留す
るべき洗浄液の量をそのつど計量するような必要がな
く、容易に自動運転を行うことが可能となる。なお、こ
のように洗浄液を蒸留して清浄化する場合でも、ポンプ
による循環手段を採らずに、前述のように回収タンク等
の洗浄液タンク内の洗浄液を加圧することにより、循環
を行うようにしてもよい。
【0023】さらにまた、より高い洗浄度を得るために
は、被洗浄物に予備洗浄液を吹き掛けることによって予
備洗浄を行い、次いで前記被洗浄物を主洗浄液に浸漬す
ることによって主洗浄を行い、さらに前記被洗浄物に仕
上げ洗浄液を吹き掛けることによって仕上げ洗浄を行っ
て、3段階洗浄を行うようにしてもよい。しかして、こ
のような構成を採った場合に、前述のように洗浄液を蒸
留して清浄化するには、被洗浄物を洗浄した仕上げ洗浄
液を回収して主洗浄液として用いるとともに、被洗浄物
を洗浄した主洗浄液の一部を蒸留することにより清浄化
して仕上げ洗浄液として用いることにより、洗浄液の効
率的な利用を図ることができる。また、被洗浄物を洗浄
した後の予備洗浄液と、主洗浄液の一部を蒸留すること
により生じる残液とを、さらに蒸留することにより清浄
化して再び予備洗浄液として用いるようにしてもよい。
【0024】また、真空排気手段については、第1の真
空ポンプと第2の真空ポンプおよびそれらの間に配置さ
れたコンデンサーとを用いることにより、上流側の第1
の真空ポンプによって洗浄容器内を洗浄液を気化させる
に十分な低圧力に維持して真空乾燥を効率的に行わしめ
るとともに、下流側の第2の真空ポンプによってコンデ
ンサー内の圧力を洗浄容器内よりも高く維持し、それに
よって、コンデンサー内における洗浄液の蒸発温度(液
化温度)を洗浄容器内における蒸発温度よりも高め、そ
の液化除去を効率的に行わしめることができる。すなわ
ち、洗浄液の蒸発温度(液化温度)はその圧力によって
大きく変動し、圧力が低いほど蒸発温度も低下するもの
であるから、真空乾燥時には洗浄容器内を低圧力として
洗浄容器内における蒸発温度を十分に低下させることで
洗浄容器内における洗浄液の蒸発を促進する一方、コン
デンサー内は相対的に高圧力とすることでコンデンサー
内における液化温度を相対的に高めることにより、そこ
では洗浄液の蒸気を過度に冷却せずとも容易に再液化を
なすことが可能となるのである。
【0025】そして、本発明では、この真空排気手段と
して、少なくとも一の真空ポンプと吹き込みノズルとを
具備せしめ、被洗浄物を真空乾燥させることにより蒸発
して除去された洗浄液の蒸気を、被洗浄物を洗浄するた
めに回収タンクや洗浄槽等に保持された洗浄液中に導入
することにより冷却して、大気圧にて復液させるように
している。従って、このような構成を採ることにより、
真空乾燥時に排気される洗浄液の蒸気の排出量の大小に
拘らず、容易かつ経済的に排気された蒸気の復液が可能
となる。さらに、このような構成を採った場合には、前
記吹き込みノズルに多数の金属製の柱状部材を束ねてな
る冷却装置を設け、導入された蒸気を各柱状部材間の空
間に通過させることにより、冷却効果の向上を図って速
やかな液化を促すことが可能となる。また、洗浄液中に
導入された洗浄液の蒸気の泡沫を細分する多数の網目を
備えたフィルターを吹き込みノズルに設けることによ
り、かかる泡沫中の蒸気をも効果的に冷却し得て、その
液化を促進することができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
するのに先立って、まず本発明に係わる参考例について
説明する。図1ないし図4は、第1参考例を示すもの
で、図1は本第1参考例の洗浄装置Aの系統図、図2は
その外観を示す正面図、図3は同じく側面図、図4は洗
浄容器の内部を示す部分側断面図である。本第1参考
の洗浄装置Aは金属部品等の被洗浄物1を熱処理するに
先立ってその表面に付着している切削油等を洗浄するた
めのものであり、被洗浄物1が収納される洗浄容器2、
洗浄容器2内を負圧とするための真空排気手段3、洗浄
液を循環させる循環手段4を主要構成要素とし、洗浄液
としては灯油を用いるものとされている。
【0027】洗浄容器2は、内部を真空に保持可能な横
置き円筒状の真空容器であって、その一端側にエアシリ
ンダ5による昇降式の扉6が設けられ、被洗浄物1はバ
スケット7に収納されて洗浄容器2内の架台8上に支持
されるようになっている。真空排気手段3は洗浄後に洗
浄容器2内を負圧とすることで真空乾燥を行うためのも
ので、真空ポンプ10、コールドトラップ等の凝縮器1
1、真空弁12、および排気管13から構成されてい
る。凝縮器11は、排気中に含まれる洗浄液の蒸気を冷
却することにより液化し、ドレーン弁14および回収管
15(図2参照)を通して洗浄液の回収タンク20(後
述)に回収するためのものである。真空ポンプ10とし
ては最も一般的な油回転ポンプを用いれば良いが、要求
される真空度によってはルーツポンプ等の他の型式の真
空ポンプを適宜採用すれば良い。なお、洗浄容器2内の
真空度は、後述するように洗浄液の加熱温度との関連に
より設定される。
【0028】循環手段4は、本参考例では洗浄液を加熱
しつつ循環させることで洗浄を行うためのもので、洗浄
容器2の底部から回収した洗浄液を貯溜する回収タンク
20、回収タンク20内から洗浄液を吸引して圧送する
ための循環ポンプ21、圧送された洗浄液を噴出して被
洗浄物1に吹き掛けるべく洗浄容器2内のワークゾーン
の周囲に設置されている洗浄ノズル22、循環ポンプ2
1と洗浄ノズル22との間に配置されていて洗浄ノズル
22に圧送される洗浄液を加熱する加熱器(熱交換器)
23、および循環経路を形成している管路24とその途
中に設けられている入側の閉止弁25、出側の閉止弁2
6、洗浄液に混入した切屑等の固形物を分離除去するた
めのフィルタ27により構成されている。
【0029】なお、加熱器23による洗浄液の加熱温度
は、常圧(大気圧)のもとでの蒸発温度以下、かつ、洗
浄後に負圧とされる洗浄容器2内の真空度のもとでの蒸
発温度以上に設定する。換言すれば、洗浄時においては
洗浄液は蒸発しないが、洗浄後に洗浄容器2内が負圧と
されたときには洗浄容器2内に残留している洗浄液が自
ずと蒸発してしまうように、加熱温度と真空度とを相互
に関連させて設定するのであり、洗浄液として灯油を用
いる場合には洗浄液の温度を50℃ないし100℃程
度、真空度を1Pa程度とすると良い。
【0030】前記構成の第1参考例の洗浄装置Aによる
洗浄作業手順を説明する。まず、被洗浄物1をバスケッ
ト7内に収納し、そのバスケット7を洗浄容器2内に収
納したら、扉6を閉じ、真空排気手段3により洗浄容器
2内を一旦真空とした後、窒素ガスを大気圧となるまで
導入して、洗浄容器2内を窒素ガス等の不活性ガスに置
換する。なお、ガス置換が不要の場合はそれを省略し、
洗浄容器2内を空気雰囲気のままで以降の作業を行って
も良い。次に、循環ポンプ21および加熱器23を作動
させて洗浄液を加熱しつつ循環させることで洗浄を行
う。すなわち、洗浄液を加熱器23により所定温度(例
えば前述のように50℃ないし100℃程度)に加熱し
て洗浄ノズル22に圧送することにより、洗浄ノズル2
2から洗浄液を被洗浄物1に吹き掛け、それによって被
洗浄物1に付着していた切屑の如き固形物を洗い落とす
とともに、切削油のような油脂分は洗浄液により溶解さ
せてしまうのである。そして、洗浄容器2の底部から洗
浄液を回収し、その洗浄液に混入した固形物をフィルタ
27により分離除去した後、回収タンク20を経て再び
圧送するのである。
【0031】前記のようにして所定時間洗浄を継続し、
被洗浄物1が十分に洗浄され、かつ、被洗浄物1が洗浄
液により加熱されてその温度が洗浄液の温度と同等程度
になったら、循環ポンプ21を停止するとともに入側閉
止弁25を閉じ、洗浄容器2内の洗浄液が殆ど回収され
るまでの時間を待って出側閉止弁26も閉じ、続いて真
空乾燥を行う。すなわち、真空弁12を開き、真空ポン
プ10を作動させて洗浄容器2内から真空引きを行い、
洗浄容器2内を所定の真空度(例えば前述のように1P
a程度)とし、その状態を所定時間(例えば10分間程
度)維持する。このように洗浄容器2内を真空とするこ
とにより、洗浄容器2内における洗浄液の蒸発温度は、
洗浄液や被洗浄物1の温度より低くなってしまい、した
がって、被洗浄物1に付着していた洗浄液は容易に蒸発
して真空ポンプ10により速やかに排気されてしまうこ
とになる。なお、排気中の洗浄液の蒸気は凝縮器11に
より回収されて回収管15(図2参照)により回収タン
ク20に戻される。真空乾燥が完了した後、所定の自然
冷却時間を確保して被洗浄物1をバスケット7ごと自然
冷却し、被洗浄物1を洗浄容器2内から取り出して作業
が完了する。
【0032】以上で説明したように、前記の洗浄装置A
では、加熱した洗浄液を洗浄ノズル22から被洗浄物1
に吹き掛けることで洗浄を行い、洗浄後は洗浄容器2内
を真空として真空乾燥させる構成であるから、被洗浄物
1を効率的に洗浄でき、かつ、速やかに乾燥させること
ができることはもとより、洗浄液として環境汚染の懸念
がなく、取り扱いが容易で、しかも安価な灯油を用いる
ので、格別な環境汚染防止対策が不要であり、したがっ
て特殊な溶剤を用いて洗浄を行う従来の場合に比して設
備費や運転費を大きく節約できるものである。
【0033】なお、洗浄液を循環させていくうちには、
溶解した汚れ成分の濃度が漸次増大していって洗浄効果
が漸次低下していくことになるが、灯油を洗浄液として
用いる場合には、後工程の処理の方法にもよるが、必要
とする洗浄効果が得られなくなる限界の濃度は20%程
度であり、そのような限界濃度になるまでは洗浄液を交
換することなく何度でも繰り返し使用できる。今、洗浄
液の使用量が50リットルであり、1回の洗浄で溶解さ
れる汚れ成分が50ccであるとすると、1回の洗浄を
行うことで汚れ成分の濃度は0.1%上昇することにな
るから、限界濃度が20%であるとすると、洗浄液を交
換することなく200回の洗浄を繰り返すことができる
ことになる。
【0034】図5は、第2参考例の洗浄装置Bの系統図
である。本第2参考例の洗浄装置Bは、前記第1参考
の洗浄装置Aに対し、循環ポンプ21の入側に洗浄液を
冷却するための冷却器28を備え、その冷却器28によ
り洗浄液を冷却してから循環ポンプ21に吸入させるよ
うにしたものであり、それによって、循環ポンプ21が
キャビテーションを生じることを防止するようにしたも
のである。すなわち、前記第1参考例の洗浄装置Aで
は、洗浄容器2から回収された洗浄液の温度は例えば5
0℃ないし100℃程度の高温のままであるが、そのよ
うな高温の洗浄液が循環ポンプ21に吸引されると循環
ポンプ21内部で洗浄液が蒸発してしまってキャビテー
ションを生じ、洗浄液の圧送が不能となる場合がある。
そこで、本第2参考例の洗浄装置Bでは、循環ポンプ2
1に吸引される前に洗浄液を冷却器28により冷却し、
その冷却された洗浄液を循環ポンプ21により圧送した
後に加熱器23により再び加熱することで、キャビテー
ションの発生を防止しつつ洗浄液を所望温度まで自由に
加熱できるようにしたのである。
【0035】次に、図6は、第3参考例の洗浄装置Cの
系統図である。本第3参考例の洗浄装置Cは、第1参考
例の洗浄装置Aに対し、被洗浄物1を仕上げ洗浄すると
とともに強制冷却するべく、新たな洗浄液を冷却循環さ
せるための冷却循環手段30を付加した構成のものであ
る。その冷却循環手段30は、洗浄容器2の底部から回
収した洗浄液を貯溜する回収タンク31、回収タンク3
1内から洗浄液を吸引して前記洗浄ノズル22に圧送す
るための循環ポンプ32、循環ポンプ32の出側に配置
されていて洗浄ノズル22に圧送される洗浄液を冷却す
る冷却器(熱交換器)33、および前記の加熱循環手段
4を形成している管路24から分岐接続されて別の循環
経路を形成している管路34と、その途中に設けられて
いる入側閉止弁35、出側閉止弁36、フィルタ37に
より構成されている。そして、この冷却循環手段30に
おいて循環使用する新たな洗浄液としては、第1参考
の洗浄装置Aと同様に灯油を用いるようにしている。
【0036】この第3参考例の洗浄装置Cでは、第1
例の洗浄装置Aと全く同様に加熱循環手段4により洗
浄液を加熱循環させることによって被洗浄物1を洗浄
(主洗浄)し、真空排気手段3により洗浄容器2内を真
空として真空乾燥を行った後に、洗浄容器2内を不活性
ガス(もしくは空気)により大気圧まで復圧する。その
後、閉止弁35,36を開いて循環ポンプ32および冷
却器33を作動させることにより、冷却循環手段30に
よって新たな洗浄液を冷却しながら循環させる。これに
より、新たな洗浄液は洗浄ノズル22から被洗浄物1に
吹き掛けられて被洗浄物1はより高清浄度にまで仕上げ
洗浄されるとともに、先の洗浄の際に加熱されて高温と
なっていた被洗浄物1は洗浄液により強制冷却され、そ
の温度は速やかに低下していく。そして、十分な仕上げ
洗浄がなされ、かつ被洗浄物1が必要温度まで冷却され
たら、真空排気手段3により洗浄容器2内を負圧として
再び真空乾燥を行い、その後、被洗浄物1をバスケット
7ごと洗浄容器2内から取り出して作業が完了する。な
お、仕上げ洗浄による冷却温度は一般には40℃程度が
最適である。過度に冷却すると、その後の真空乾燥時に
洗浄液が蒸発し難くなり、乾燥が困難となる。
【0037】本第3参考例によれば、新たな洗浄液によ
る仕上げ洗浄を行うことで被洗浄物1をより清浄な状態
にまで洗浄できるとともに、その洗浄液を冷却循環する
ことで被洗浄物1を強制冷却するので、洗浄後には被洗
浄物1を自然冷却させるようにしていた第1参考例の洗
浄装置Aに比して冷却時間を大幅に短縮でき、洗浄作業
終了後には被洗浄物1を速やかに取り出すことができる
ものである。なお、仕上げ洗浄に用いる新たな洗浄液と
しては、その前段での洗浄に用いる洗浄液とは別のも
の、例えば防錆材を含む溶剤を用いても良い。また、前
述のように、それら洗浄液として同じものを用いる場合
には、前段での洗浄において用いる洗浄液の方が仕上げ
洗浄において用いる洗浄液に比して早期に交換する必要
が生じるので、その前段での洗浄液を交換するに当たっ
ては、仕上げ洗浄に用いる洗浄液を新たなものに交換
し、それまで仕上げ洗浄に用いていた洗浄液を前段での
洗浄液に転用することが良い。
【0038】さらに、図7および図8は、第4参考例の
洗浄装置Dを示すものである。前記第1〜第3参考例の
洗浄装置A〜Cにおける洗浄容器2は、いずれも、内部
に配置した洗浄ノズル22から洗浄液を被洗浄物1に対
して吹き掛けるものであったのに対し、本第4参考例の
洗浄装置Dにおける洗浄容器40は、被洗浄物1を浸漬
するべく洗浄液(本第4参考例においても灯油)が貯溜
される縦型円筒状(ドラム状)のものとされ、かつ、こ
の洗浄容器40内には、循環ポンプ21から圧送された
洗浄液を周方向に噴出することで貯溜されている洗浄液
に旋回流を生ぜしめる2本の攪拌ノズル41が洗浄容器
40の中心を挟んで対向位置に備えられたものとなって
いる。この洗浄容器40も真空容器であって、その上部
の開口部が水平方向にスライドする扉42によって真空
保持可能に閉じられるようになっている。また、洗浄容
器40の上部には内部に貯溜される洗浄液のオーバーフ
ロー管43が接続され、そのオーバーフロー管43は閉
止弁44を介して回収用の管路24に接続されている。
その他の構成は図1に示した第1参考例の洗浄装置Aと
同様である。
【0039】本第4参考例の洗浄装置Dでは、被洗浄物
1を収納したバスケット45を洗浄容器40の中心部に
配置して、被洗浄物1を洗浄液中に浸漬させることで油
脂分等の汚れ成分が溶解し、かつ、攪拌ノズル41から
洗浄液を噴出させて旋回流を生ぜしめることで被洗浄物
1に付着していた切屑等の固形物は洗い流されるから、
効率的な洗浄を行えるとともに、洗浄後には洗浄液の全
てを回収タンク20に回収してから洗浄容器40内を真
空排気手段3により真空として真空乾燥を行うことによ
り、速やかな乾燥を行い得るものである。
【0040】なお、第4参考例の変形例として、図9に
示すように、洗浄液を互いに逆方向に噴射する2組4本
の攪拌ノズル41a,41a,41b,41bを備える
とともに、各組の攪拌ノズルに対応させて2台の閉止弁
25,25を設け、それら閉止弁25,25を一定時間
間隔ごとに交互に開閉することにより、図中の実線矢印
および破線矢印で示すように旋回流の向きを一定時間ご
とに逆方向に変化させるようにしても良い。また、洗浄
容器40の周方向に沿うような旋回流のみならず、上下
方向の旋回流を生ぜしめるような攪拌ノズルを設置して
も良いし、攪拌ノズル41により旋回流を生ぜしめるこ
とに加えて、もしくはそれに代えて、例えばバスケット
45を回転させたり揺動させることによって洗浄液を攪
拌するように構成することも可能である。
【0041】次に、図10は、第5参考例の洗浄装置E
を示すものである。本第5参考例の洗浄装置Eは、第1
参考例の洗浄装置Aの循環手段4に、洗浄液を加圧状態
で貯溜して間欠的に洗浄容器に供給するための貯液装置
(アキュムレータ)50を付加した構成のものである。
この貯液装置50は、逆止弁51を介して加熱器23の
出側に接続されているとともに前記の閉止弁25を介し
て洗浄ノズル22に接続されている貯液タンク52と、
この貯液タンク52に加圧ガスを供給して所定のガス圧
に維持するためのガスタンク53とを主要構成とし、貯
液タンク52には内部の洗浄液の液面の上限位置および
下限位置を検知するための液面計54,55が付設さ
れ、ガスタンク53にはガス供給管56、供給ガス圧を
一定に保持するための減圧弁57、安全弁58、圧力計
59が付設されている。
【0042】本第5参考例の洗浄装置Eでは、循環ポン
プ21を連続運転することによって洗浄液を加熱器23
により加熱して貯液タンク52に連続的に供給するが、
貯液タンク52の出側に設けられている閉止弁25を間
欠的に開閉することによって、貯液タンク52から洗浄
ノズル22への洗浄液の供給を間欠的に行うものであ
る。すなわち、閉止弁25を閉じている間は洗浄液を貯
液タンク52内に加圧状態で貯めていき、貯液タンク5
2内の液面が上限位置に達した時点で閉止弁25を開く
ことにより、加圧状態で貯められていた多量の洗浄液を
一気に洗浄ノズル22に供給して噴射させるのである。
そして、貯液タンク52内の液面が下限位置になったら
閉止弁25を閉じて再び貯液を行うのである。
【0043】前記のように、洗浄液を加圧状態で貯溜し
ては一気に供給することにより、洗浄液は被洗浄物1に
対して激しく吹き掛けられるので、洗浄は間欠的にはな
るものの優れた洗浄効果が得られることはもとより、循
環使用する洗浄液の量を少なくすることが可能であり、
より経済的である。
【0044】なお、必ずしも前記のように貯液タンク5
2内の洗浄液の全てを一気に供給することはなく、洗浄
液の液面が上限位置から下限位置になるまでの間に閉止
弁25を繰り返し開閉させることで、洗浄ノズル22へ
の供給と停止とを繰り返し行うようにしても勿論良い。
また、本第5参考例の洗浄装置Eにおいては、洗浄液の
循環量が少なくて済むことにより循環ポンプ21や加熱
器23の容量を小さくできることはもとより、貯液タン
ク52にタンク20の機能を兼用させてタンク20を省
略したりその容量を小さくすることも可能であり、さら
に、貯液タンク52内の洗浄液を加熱するように構成す
れば加熱器23を省略することも可能である。さらに、
貯液タンク52内の洗浄液を加圧する手段としては前記
のようなガス加圧によるもののみならず、油圧や空気
圧、ばね、重錘等により作動するアクチュエータのごと
き加圧手段を採用することもできる。
【0045】さらに、図11は、第6参考例である洗浄
装置Fの系統図である。この第6参考例の洗浄装置Fで
は、洗浄容器2は内部を真空に保持可能な竪型筒状の真
空容器であって、洗浄ノズル22は、洗浄容器2の底面
を貫通してその内周面に沿って複数立設されていて、そ
の基端部(下端部)に、洗浄液が循環する管路24のう
ち回収タンク20から洗浄容器2へ向かう供給管24A
が入側閉止弁25を介して接続され、循環ポンプ21に
より圧送されてきた洗浄液を被洗浄物1に対してその周
囲から噴霧状態で吹き掛けるようにされている。また、
洗浄後にこの洗浄ノズル22内に残留している洗浄液を
回収タンク20に回収するためのドレン管61(破線で
示す)が、洗浄ノズル22の下端にドレン弁62を介し
て接続されている。これらのドレン管61とドレン弁6
2とにより残留液回収手段63が構成されている。
【0046】このような構成の洗浄装置Fでは、入側閉
止弁25と出側閉止弁26は開、ドレン弁62は閉の状
態で、洗浄液を加熱器23により加熱しつつ循環ポンプ
21によって洗浄ノズル22に圧送することにより、被
洗浄物1を洗浄する。そして所定時間洗浄を継続し、被
洗浄物1が十分に洗浄され、かつ、被洗浄物1が洗浄液
により加熱されてその温度が洗浄液の温度と同等程度に
なったら、循環ポンプ21を停止するとともに入側閉止
弁25を閉じ、同時にドレン弁62を開く。すると、洗
浄容器2内の残留洗浄液は、洗浄液の循環する管路24
のうち洗浄容器2から回収タンク20に向かう回収管2
4Bを通して回収タンク20に回収されるとともに、洗
浄ノズル22内に残留していた洗浄液も洗浄ノズル22
内を自然流下し、その下端からドレン弁62を経てドレ
ン管61により回収タンク20に速やかに回収されてし
まうので、しかる後、出側閉止弁26、ドレン弁62を
再び閉じ、続いて真空乾燥を行う。
【0047】このように、前記の洗浄装置Fでは、洗浄
ノズル22内に残留している洗浄液を自然流下させるこ
とでその洗浄ノズル22内から直接的に回収する残留液
回収手段63を有しているので、洗浄終了時点で洗浄ノ
ズル22内に残留していた洗浄液が速やかにかつ完全に
回収され、したがって真空排気時間が短時間で済み、洗
浄作業を効率的に行い得るものである。すなわち、前記
のような回収手段63がないと、洗浄ノズル22内から
洗浄液を完全に回収することができないので、洗浄ノズ
ル22内に洗浄液が残留した状態のままで真空排気が開
始されてしまうことになるが、その場合には、洗浄ノズ
ル22内の残留液の全てが蒸発して排気されてしまうま
でに長時間を要し、したがって所望の真空度とするまで
の真空排気時間が徒に長くなってしまうとともに、排気
中には洗浄液の蒸気が多量に含まれることになるから、
それを凝縮器11により回収せねばならず、きわめて非
効率的なことになってしまう。しかるに、前記参考例の
洗浄装置Fでは、残留液回収手段63を設けることでそ
のような不具合が生じることが有効に回避されている。
【0048】なお、前記参考例の洗浄装置Fでは、洗浄
ノズル22を洗浄容器2の底面を貫通させた形態で立設
して、その下端にドレン弁62を介してドレン管61を
接続するようにしたので、洗浄ノズル22内の残留液の
自然流下を最も効率的に行い得るものとなっているが、
残留液が洗浄容器2内に流出することなく洗浄ノズル2
2内から直接的に回収されるように構成する限りにおい
ては、例えば洗浄ノズル22を傾斜状態で設置する等の
変更は可能である。
【0049】次いで、図12は、第7参考例の洗浄装置
Gの系統図である。本参考例の洗浄装置Gでは、真空排
気手段3は、直列に設置された第1の真空ポンプ71と
第2の真空ポンプ72、それらの間に設置されたコンデ
ンサー73、および真空閉止弁74、圧力計75、コン
ダクタンスバルブ76、オイルミストトラップ77から
構成されている。
【0050】上流側の第1の真空ポンプ71としては、
洗浄容器2内を例えば1Pa程度の低圧力に維持し得る
高性能なルーツポンプが採用され、下流側の第2の真空
ポンプ72としてはコンデンサー73内を例えば200
Pa程度の高圧力に維持し得る通常の油回転真空ポンプ
が採用されている。コンデンサー73は、排気中に含ま
れる洗浄液の蒸気を冷却水等の冷却媒体により冷却する
ことにより液化させて分離除去するためのものである。
コンダクタンスバルブ76は、コンデンサー73内を前
記のような高圧力に維持するべく、コンデンサー73の
上流側に設置されている圧力計75の検出値に応じてそ
の開度が調節されるようになっている。また、オイルミ
ストトラップ77は第2の真空ポンプ72である油回転
真空ポンプから発生するオイルミストを除去するための
ものである。なお、コンデンサー73内の圧力は排気中
に含まれる洗浄液の蒸気を液化させるために必要な冷却
温度(液化温度)との関連において設定される。
【0051】このような構成の洗浄装置Gにおいて、洗
浄液により洗浄された被洗浄物1の真空乾燥を行うに
は、まず真空閉止弁74を開き、第1、第2の真空ポン
プ71,72を作動させて洗浄容器2内を真空引きし、
洗浄容器2内を所定の低圧力、例えば前述のように1P
a程度とするとともに、コンダクタンスバルブ76の開
度を適宜設定してコンデンサー73内をそれより高い圧
力例えば前述のように50〜100Pa程度とし、その
状態を所定時間例えば10分間程度維持する。このよう
に洗浄容器2内を低圧力とすることにより、洗浄容器2
内における洗浄液の蒸発温度は常圧下の場合より大きく
低下する。例えば洗浄液が灯油の場合にあっては、大気
圧のもとでの蒸発温度は150〜250℃程度である
が、圧力が10Pa程度の低圧力のもとでは蒸発温度は
マイナス30℃程度にも低下してしまう。したがって、
洗浄容器2内を1Pa程度の低圧力とすると、被洗浄物
1に付着していた50℃程度の洗浄液は速やかに蒸発し
て排気されてしまうことになる。
【0052】そして、洗浄液の蒸気を含む排気は第1の
真空ポンプ71からコンデンサー73に導かれ、そこで
洗浄液の蒸気は冷却されて再液化し、排気中から分離除
去される。この場合、コンデンサー73内が洗浄容器2
内と同等の低圧力とされていると、洗浄液の蒸気を液化
させるためには前記のようにマイナス30℃にも冷却し
なければならないが、コンデンサー73内は200Pa
程度の高圧力に維持されているので、そこでの液化温度
は洗浄容器2内の蒸発温度に比して十分に高くなり、5
℃程度となる。したがって、このコンデンサー73で
は、その冷却媒体として冷却水を用いることで十分であ
り、このコンデンサー73によって排気中の洗浄液の蒸
気は容易にかつ確実に再液化させられて分離除去されて
しまい、洗浄液の蒸気が大気中に放出されてしまうこと
がない。なお、再液化して分離除去した洗浄液は、回収
タンク20に回収して再利用するか、適宜処分すれば良
い。以上のようにして排気中の蒸気をコンデンサー73
により分離除去しつつ真空乾燥を行い、それが完了した
ら、被洗浄物1が冷却されるまでの時間を待って洗浄容
器2内から取り出せば、作業が完了する。
【0053】このように、前記構成の洗浄装置Gでは、
真空排気手段3が第1および第2の真空ポンプ71,7
2と、それらの間に設置されたコンデンサー73を有し
ていて、真空乾燥時には第1の真空ポンプ71により洗
浄容器2内を低圧力に維持するとともに、第2の真空ポ
ンプ72によりコンデンサー73内をそれより高圧力に
維持する構成であるので、洗浄容器2内の洗浄液を速や
かに蒸発させ得て真空乾燥を極めて効率的に行えること
はもとより、排気中の蒸気をコンデンサー73により確
実に分離除去でき、しかも、そのコンデンサー73は冷
却水を用いる簡略な構造のもので十分である。このこと
は、仮にコンデンサー73内を洗浄容器2内と同等の低
圧力とする場合、例えばコンデンサー73を第1の真空
ポンプ71の上流側に設置したような場合には、既に述
べたように排気中の蒸気を再液化するために必要な冷却
温度はマイナス30℃以下にもなってしまい、当然なが
ら通常の冷却水によってはそのような低温が得られない
ので冷媒ガスを用いる極低温用のコンデンサーと冷凍機
等の格別の冷却手段が必要となることを考慮すると、優
れた利点である。
【0054】なお、コンデンサー73内の圧力は可能な
限り高く設定した方が液化温度が高められて液化効率上
は有利となるが、それを過度に高く設定すると第1の真
空ポンプ71の作動に支障を来して洗浄容器2内を低圧
力に維持することができなくなることもあるので、第1
の真空ポンプ71の型式や能力を勘案してそのようなこ
とのない範囲内で最適値に設定する必要がある。また、
前記参考例の洗浄装置Gでは、コンデンサー73の真空
度をコンダクタンスバルブ76の開度を調節することで
維持するようにしたが、第2の真空ポンプ72の型式や
能力によっては、その回転数をインバータ制御すること
でコンデンサー73の圧力を制御するような構成も可能
である。
【0055】さらに、図13は、第8参考例の洗浄装置
Hの系統図である。本参考例の洗浄装置Hでは、回収タ
ンク20は気密保持可能な密閉構造のものとされてお
り、この回収タンク20の側面の最上部に、洗浄液が循
環する管路24の回収管24Bが接続されているが、そ
の接続位置は回収タンク20内の最高液面位置よりさら
に高い位置となるように設定されている。そして、この
回収タンク20には、回収タンク20内の負圧(真空
度)を計測するとともに計測値が所定の許容限度に達す
ると警報を発する真空計(負圧検知手段)81と、回収
タンク20内の負圧がその許容限度を超えると作動して
負圧を解除するための安全弁82がそれぞれ付設されて
いる。
【0056】このような構成の洗浄装置Hにおいては、
万一回収管24Bの途中に設けられている出側の閉止弁
26が切屑等の異物を噛み込むなどしてその閉塞度が不
完全となり、この結果仮にこの閉止弁26が閉塞不良の
ままで真空引きを開始したとしても、回収管24Bは回
収タンク20の最高液面位置より高い位置に接続されて
いるので、回収管24Bが回収タンク20内の洗浄液を
吸引してしまうようなことはなく、したがって回収管2
4Bを通して回収タンク20内の洗浄液が洗浄容器2に
逆流してしまうようなことが確実に防止される。
【0057】また、閉止弁26が閉塞不良となっている
ままで真空引きを開始した場合には、回収管24Bを通
して回収タンク20内からも真空引きがなされるが、そ
の回収タンク20は気密保持可能な密閉構造とされてい
るので回収タンク20内は負圧となる。そして、回収タ
ンク20内の真空度が予め設定されている許容限度に達
すると、回収タンク20内の真空度を計測している真空
計81が警報を発し、これによって異常事態が生じてい
ることが速やかに検知される。したがって、その時点で
真空ポンプ10を停止し、閉止弁26を点検して正常状
態に回復させてから作業を再開すれば、無駄な真空引き
を長時間にわたって継続してしまうようなことを防止で
きる。また、警報が発せられているにも拘らずなおも真
空引きを継続した場合には、安全弁82が自ずと作動し
て回収タンク20内の負圧を解消させ、重大事故に至る
ことが未然に防止される。
【0058】なお、入側の閉止弁25の閉塞状態が不完
全となった場合には、供給管24Aを通して回収タンク
20内の洗浄液が洗浄容器2内に逆流してしまう事態も
考えられるが、入側の閉止弁25には切屑等の異物が噛
み込むような余地が殆どないので、そのような事態が生
じる懸念は殆どない。また、本参考例の洗浄装置Hで
は、負圧検出手段として真空計81を設けたが、この真
空計81に代えて安全弁82を負圧検出手段として機能
させるように構成することもできる。すなわち、回収タ
ンク20内の真空度が許容限度に達した時点で安全弁8
2が作動するようにしておき、それが作動した時点で警
報を発するようにしておくのである。また、真空計81
が警報を発した時点で、あるいは、安全弁82が作動し
た時点で、真空ポンプ10を自動的に強制停止させるよ
うなインターロックを設けても良い。
【0059】次に、図14ないし図18は、第9参考
の洗浄装置Iを示すものである。この第9参考例の洗浄
装置Iでは、洗浄容器2は内部を真空に保持可能な横置
き円筒状の真空容器であって、その内部の背面部および
側面部には、図14および図15に示すように隔壁91
を隔てて、気化した洗浄液が再液化する温度に冷却され
るコールドパネル92が配設されており、真空排気手段
3への導管が背面部のコールドパネル92の後方に位置
する構成である。また、コールドパネル92の下方に
は、図14に示すように、廃液タンク93が配置されて
おり、コールドパネル92に凝着した油脂等がこの廃液
タンク93に溜められる。また、隔壁91は、図18に
示すように、コールドパネル92へ洗浄液が飛散するこ
とを阻止するとともに気化した洗浄液が通過できる構造
のもので、V字型の各金属板の配置方向を交互にして形
成されており、この隔壁91は定位置に固定されてい
る。
【0060】なお、コールドパネル92は冷媒で冷却さ
れるが、その温度は洗浄容器2内で気化した洗浄液が再
液化する温度以下、即ち、被洗浄物1表面に付着した汚
れ成分の油脂や洗浄液が洗浄容器2内における真空度の
もとで蒸発する温度以下に保持する。洗浄液として灯油
を用いる場合には、洗浄容器2内の真空度を1Pa程度
とすると−60℃以下に保持すると良い。
【0061】前記構成の第9参考例の洗浄装置Iによる
洗浄作業手順を説明する。まず、被洗浄物1をバスケッ
ト7内に収納し、そのバスケット7を洗浄容器2内に収
納したら、扉6を閉じ、真空排気手段3により洗浄容器
2内を所定の圧力になるまで真空引きする。そして、被
洗浄物1の表面に付着した汚れ成分である切削油等の油
脂を蒸発させて除去することにより予備脱脂が行われ、
予備脱脂により蒸発され除去された油脂の殆どがコール
ドパネル92に凝着される。この真空引きを所定の時間
行った後、真空弁12を閉じて窒素ガスを大気圧となる
まで導入して、洗浄容器2内を窒素ガス等の不活性ガス
に置換する。なお、予備脱脂の際の真空度および時間
は、被洗浄物1に付着した油脂によって異なるので、初
回の予備脱脂の際にこれらを確認しておき、2回目以降
は同様に設定して行う。
【0062】次に、循環ポンプ21および加熱器23を
作動させて洗浄液を加熱しつつ循環させることで洗浄を
行い、被洗浄物1が十分に洗浄されたら続いて真空乾燥
を行い、被洗浄物1に付着していた洗浄液を蒸発させて
真空ポンプ10により排気するが、蒸発された洗浄液は
コールドパネル92に凝着されることになる。なお、コ
ールドパネル92の作動は、真空弁12と連動させる。
即ち、被洗浄物1を真空乾燥させるときは、コールドパ
ネル92に冷媒を流して冷却し、真空乾燥以外のときは
冷媒の供給を停止してコールドパネル92の表面温度を
上げる。このようにすると、コールドパネル92の表面
に付着した油脂分が流れ落ちて廃液タンク93に溜ま
る。廃液タンク93に溜まった廃液類は図示しない弁を
開いて定期的に除去する。
【0063】このように、前記の洗浄装置Iでは、洗浄
容器2内を負圧として被洗浄物1表面の汚れ成分を予備
脱脂した後、加熱した洗浄液を洗浄ノズル22から被洗
浄物1に吹き掛けることで洗浄を行うので、被洗浄物1
を効率的に洗浄できる。すなわち、前述したように洗浄
液を循環させていくうちには、溶解した汚れ成分の濃度
が漸次増大していって洗浄効果が漸次低下していくこと
になるが、本第9参考例の洗浄装置Iでは、洗浄液の使
用量が前記第1参考例の洗浄装置Aと同じく50リット
ルであったとし、また灯油を洗浄液として用いる場合に
十分な洗浄効果が得られなくなる限界の濃度を低く見積
って5%程度であるとしても、予備脱脂を行うことによ
って例えば1回の洗浄で溶解される汚れ成分を5cc程
度にまで低減させることが可能となり、従って1回の洗
浄を行うことで汚れ成分の濃度の上昇を0.01%に抑
えることができるから、洗浄液を交換することなく50
0回の洗浄を繰り返すことができることになる。
【0064】また、洗浄容器2内を真空引きする際に一
旦気化した油脂や洗浄液がコールドパネル92に凝着す
るために、このコールドパネル92がソープション式の
真空ポンプとして働き、予備脱脂および真空乾燥の時間
を短縮することができるとともに、真空排気手段3への
汚れ成分の流入を減少させる。なお、この第9参考例で
は隔壁91を固定式としたが、洗浄容器2内を真空引き
するときのみ開く可動式の隔壁としてもよい。また、被
洗浄物1に付着している汚れ成分である油脂の種類やそ
の量によっては、この隔壁91を設けずにコールドパネ
ル92のみを設けておく方が好ましい。被洗浄物1を洗
浄液で洗浄する際に、コールドパネル92の表面も洗い
流せるためである。
【0065】次に、図19ないし図21は、第10参考
例の洗浄装置Jを示すものである。この洗浄装置Jは、
被洗浄物1が収納され加熱される加熱室101と、被洗
浄物1が収納され洗浄される洗浄容器2と、その洗浄容
器2内を負圧とするための真空排気手段3と、洗浄容器
2内に供給する洗浄液を循環させる循環手段4とが主要
構成要素とされており、図19に示すように、加熱室1
01と洗浄容器2とが隣接して配置され、加熱室101
および洗浄容器2はそれぞれ前面部および背面部に入出
口を有し、加熱室101の出口が洗浄容器2の入口とな
る構成で、各入出口にはエアシリンダ5による昇降式の
扉102、103、104が設けられている。そして、
加熱室101の入口側および出口側には架台105、1
06がそれぞれ配置されている。なお、架台105、加
熱室101、洗浄容器2、架台106の各床面には、被
洗浄物1を移送するハースローラ107が配設されてお
り、前記の順に被洗浄物1が移送されて洗浄が行われる
ようになっている。
【0066】加熱室101内には、入口側および出口側
を除いた内壁面に沿った周辺にヒータ108が配設され
ており、加熱室101の天井とヒータ108との間には
ファン109が配設され、ファン109は加熱室101
の上側に配設されたモータ110により駆動される構成
である。洗浄容器2は、入口および出口の扉103、1
04が真空シール機能を有し、内部を真空に保持可能と
なっている。第9参考例の洗浄装置Iと比較すると、図
20に示すように洗浄容器2内部の隔壁91およびコー
ルドパネル92が洗浄容器2の側面部のみに配設され、
真空排気手段3への導管が側面部に接続されており、そ
れ以外は第9参考例と同様である。また、真空排気手段
3、循環手段4についても同様である。
【0067】架台105、106、加熱室101、およ
び洗浄容器2の床面にそれぞれ配設されたハースローラ
107は、図20に示すように、被洗浄物1の移送方向
に対して直交する方向に、中心軸107aに挿通された
細長い円筒107bが多数配列されて形成されたもので
ある。各ハースローラ107の一端側にはスプロケット
111が取り付けられ、このスプロケット111にチェ
ーンが係合されて駆動される構成である。
【0068】前記構成の第10参考例の洗浄装置Jによ
る洗浄作業手順を説明する。まず、架台105上におい
て被洗浄物1をバスケット7内に収納し、そのバスケッ
ト7を架台105および加熱室101のハースローラ1
07を駆動して加熱室101内に移送する。加熱室10
1内に被洗浄物1を収納して扉102を閉じ、ヒータ1
08を加熱するとともにファン109により加熱室10
1の内部の空気を攪拌すると、加熱された空気により、
被洗浄物1が加熱される。被洗浄物1の加熱温度及び加
熱時間は、被洗浄物1に付着する油脂により異なるが、
一般に100℃〜150℃程度、10分間程度でよい。
被洗浄物1の加熱が終了すると、扉103を開いて被洗
浄物1を加熱室101および洗浄容器2のハースローラ
107を駆動して洗浄容器2へ移送する。そして、扉1
03を閉じて洗浄容器2内を真空排気手段3により真空
引きして予備脱脂を行うが、予備脱脂、洗浄液による洗
浄および真空乾燥の操作は第9参考例と同様である。真
空乾燥終了後、真空弁12を閉じて窒素ガスを大気圧と
なるまで導入し、扉104を開けて洗浄容器2および架
台106のハースローラ107を駆動してバスケット7
を架台106上に取り出すと、洗浄作業が完了する。な
お、コールドパネル92の作動を真空弁12と連動させ
て行うことについては、第9参考例と同様である。
【0069】この第10参考例においては、予備脱脂の
前に被洗浄物1を加熱しているが、このように被洗浄物
1を加熱した後で予備脱脂を行うと、脱脂速度が速くな
るとともに被洗浄物1に付着する油脂が充分に脱脂でき
る。一般の鉱物油では、温度が20℃から50℃に上昇
すると蒸気圧力が5〜10倍になるからである。さら
に、予備脱脂において充分に汚れ成分の油脂を除去でき
るので、その後の洗浄液による洗浄において洗浄液があ
まり汚れないため、洗浄液を交換せずに長く使用でき
る。また、被洗浄物1はハースローラ107により移送
されるので、2室での洗浄操作が連続して効率的に行え
る。さらに、加熱室101における被洗浄物1の加熱
は、ファン109による温風対流加熱であり、被洗浄物
1の形状に関係なく均一に効率よく加熱できる。
【0070】また、図22および図23は、第11参考
例の洗浄装置Kを示すものである。この洗浄装置Kは、
被洗浄物1が収納され加熱される加熱室101と、被洗
浄物1が収納され真空乾燥される第一真空乾燥室121
と、その第一真空乾燥室121を負圧とするための真空
排気手段3Aと、被洗浄物1が収納され洗浄液で洗浄さ
れる洗浄容器2と、その洗浄液を循環させる循環手段4
と、被洗浄物1が収納され真空乾燥される第二真空乾燥
室122と、その第二真空乾燥室122を負圧とするた
めの真空排気手段3Bとを主要構成要素としている。
【0071】洗浄装置Kは、図22に示すように、加熱
室101と、第一真空乾燥室121と、洗浄容器2と、
第二真空乾燥室122とがこの順に隣接して配置された
4室からなる構成である。各室はそれぞれ前面部および
背面部に入出口を有し、加熱室101の出口が第一真空
乾燥室121の入口、第一真空乾燥室121の出口が洗
浄容器2の入口、洗浄容器2の出口が第二真空乾燥室1
22の入口となる構成であり、各入出口にはエアシリン
ダ5による昇降式の扉123、124、125、12
6、127が設けられている。そして、加熱室101の
入口側および第二真空乾燥室122の出口側には架台1
05、106がそれぞれ配置されている。架台105、
加熱室101、第一真空乾燥室121、洗浄容器2、第
二真空乾燥室122、架台106の床面には、被洗浄物
1を移送するハースローラ107が配設されており、前
記の順に被洗浄物1が移送されて洗浄が行われるように
なっている。
【0072】加熱室101は第9参考例と同様であり、
また洗浄容器2も真空排気手段3が接続されず、また隔
壁91およびコールドパネル92が配設されていない他
は第10参考例と同様である。第一真空乾燥室121お
よび真空排気手段3Aと、第二真空乾燥室122および
真空排気手段3Bについて、以下に説明する。第一真空
乾燥室121は入出口の扉124、125が真空シール
機能を有しており、内部を真空に保持可能である。第一
真空乾燥室121内部は、天井部を除いた両側面部およ
び底面部にコールドパネル92Aが隔壁を隔てずに配設
されている。そして、真空排気手段3Aは、第一真空乾
燥室121内を負圧とすることで真空度を高めるための
もので、真空ポンプ10A、真空弁12A、および排気
管13Aから構成されている。これらは第1参考例の真
空排気手段3で使用するものと同様である。第二真空乾
燥室122および真空排気手段3Bも、前記の第一真空
乾燥室121および真空排気手段3Aと同様であり、第
二真空乾燥室122内部にはコールドパネル92Bが配
設され、真空排気手段3Bは真空ポンプ10B、真空弁
12B、および排気管13Bから構成されている。ま
た、コールドパネル92A、92Bの下方には図示しな
い廃液タンクが配設されている。
【0073】前記構成の第11参考例の洗浄装置Kによ
る洗浄作業手順を説明する。まず、架台105上におい
て被洗浄物1をバスケット7内に収納し、そのバスケッ
ト7を架台105および加熱室101のハースローラ1
07を駆動して加熱室101内に移送する。加熱室10
1内で第10参考例と同様にして被洗浄物1を加熱す
る。加熱終了後、扉124を開けて加熱室101および
第一真空乾燥室121のハースローラ107を駆動して
バスケット7を第一真空乾燥室121に移送する。第一
真空乾燥室121内部にバスケット7を収納したら扉1
24を閉じ、真空排気手段3Aにより第一真空乾燥室1
21内を所定の圧力になるまで真空引きして予備脱脂を
行う。このとき、被洗浄物1に付着した汚れ成分の油脂
がコールドパネル92Aに凝着される。そして、予備脱
脂が終了したら、真空弁12Aを閉じて窒素ガスを大気
圧となるまで導入して第一真空乾燥室121内を窒素ガ
スに置換する。
【0074】次に、扉125を開けてバスケット7を第
一真空乾燥室121および洗浄容器2のハースローラ1
07を駆動して洗浄容器2内に移送して収納する。洗浄
容器2においては第10参考例と同様にして洗浄液で被
洗浄物1の洗浄を行う。洗浄液による洗浄が終了した
ら、扉126を開けて洗浄容器2および第二真空乾燥室
122のハースローラ107を駆動してバスケット7を
第二真空乾燥室122に移送する。第二真空乾燥室12
2では、第一真空乾燥室121と同様に真空引きして被
洗浄物1に付着する洗浄液を真空乾燥させる。真空乾燥
終了後、真空弁12Bを閉じて窒素ガスを大気圧となる
まで導入し、扉127を開けてバスケット7を第二真空
乾燥室122および架台106のハースローラ107を
駆動して架台106上に移送すると、洗浄作業が完了す
る。なお、この洗浄装置Kのコールドパネル92A、9
2Bを作動させるときも第10参考例と同様に、真空弁
12A、12Bと連動させる。
【0075】第11参考例の洗浄装置Kは4室から成
り、各室はそれぞれ単独の機能、即ち加熱室101では
加熱機能を、第一真空乾燥室121では予備脱脂機能
を、洗浄容器2では洗浄液による洗浄機能を、第二真空
乾燥室122では洗浄液の真空乾燥機能を持たせてい
る。従って、被洗浄物1の洗浄が連続して効率良く行わ
れるとともに、各室への移送がハースローラ107によ
り行われるために作業が容易である。また、第一真空乾
燥室121および第二真空乾燥室122に配設されたコ
ールドパネル92A、92Bは、第9参考例および第1
参考例の場合とは異なり、洗浄液が飛散することがな
いため隔壁で隔てる必要はない。そして、これらコール
ドパネル92A、92Bにより予備脱脂時間および真空
乾燥の時間が短縮される。
【0076】図24は、第12参考例の洗浄装置Lを示
すものであり、第9参考例ないし第11参考例と共通な
箇所には同一符号で示す。洗浄装置Lは、その洗浄容器
2Bが第11参考例の洗浄装置Kにおける洗浄容器2の
構成と異なり、かつ循環手段4を有さない以外は同様の
構成である。洗浄装置Lの洗浄容器2Bは、下部に洗浄
液が貯溜された洗浄槽(タンク)131が設置され、上
部にハースローラ107が配設された矩形の昇降台13
2が設けられ、昇降台132は四隅にチェーン133が
取り付けられて洗浄容器2Bの天井から吊り下げされて
いる。このチェーン133は図示しない駆動源により駆
動されることにより、昇降台132が上部の定位置と洗
浄槽131の底部位置との間を上下動可能に構成されて
いる。また、ハースローラ107は昇降台132上だけ
でなく、洗浄容器2B上部の定位置の昇降台132の前
後にも配設されており、被洗浄物1を連続して移送でき
る構成である。
【0077】この洗浄装置Lによる洗浄作業手順は、洗
浄容器2Bにおける操作以外は第11参考例の洗浄装置
Kでの手順と同様である。洗浄容器2Bにおける操作
は、第一真空乾燥室121における予備脱脂終了後、第
一真空乾燥室121および洗浄容器2Bのハースローラ
107を駆動して洗浄容器2B内にバスケット7に収納
された被洗浄物1を移送して昇降台132上に配置す
る。そして、昇降台132のチェーン133を駆動して
昇降台132およびバスケット7を洗浄槽131内の洗
浄液に浸漬する。所定の時間、被洗浄物1を洗浄液に浸
漬することにより表面に付着する汚れを除去した後、昇
降台132を上部の定位置にまで引き上げる。被洗浄物
1から洗浄液が滴下しなくなれば、洗浄容器2Bおよび
第二真空乾燥室122のハースローラ107を駆動して
バスケット7を第二真空乾燥室122内に収納する。そ
の後の操作は第10参考例と同様である。
【0078】この第12参考例の洗浄装置Lにおいて
は、洗浄容器2Bが洗浄槽131を備えた浸漬型である
ため、被洗浄物1全体に洗浄液が行き渡って洗浄が確実
に行われるとともに、複雑な形状の被洗浄物1であって
も洗浄されずに汚れが残ることがない。また、洗浄容器
に洗浄液を循環させる循環手段が不要であるので、装置
が簡単である。なお、被洗浄物1を洗浄槽131内の洗
浄液に浸漬するだけでなく、洗浄液内部での上下動の繰
返し、洗浄液の攪拌、または洗浄液内部での超音波洗浄
を行うと、さらに効果的な洗浄が可能である。
【0079】次に図25は、第13参考例である洗浄装
置Mの系統図である。本第13参考例の洗浄装置Mで
は、被洗浄物1が収納される洗浄容器2と、洗浄容器2
内を真空とするための真空排気手段3と、洗浄液を循環
させて洗浄容器2に供給するための循環手段4とに、洗
浄液の一部を蒸留することによって洗浄液中の汚れ成分
を除去する清浄化処理を行うための蒸留手段141を備
えたことを特徴とするものである。
【0080】循環手段4は、洗浄液を被洗浄物1に吹き
掛けるべく洗浄容器2内のワークゾーンの周囲に設けら
れている洗浄ノズル22、その洗浄ノズル22に供給す
る洗浄液を貯溜しておく供給タンク142、供給タンク
142内の洗浄液を洗浄ノズル22に圧送するための供
給ポンプ21A、洗浄容器2の底部から回収した洗浄液
を貯溜する回収タンク20、回収タンク20内の洗浄液
を前記供給タンク142に返送するための返送ポンプ2
1B、および循環経路を構成している供給管24A、回
収管24B、返送管24Cと、それらの途中に設けられ
ている入側の閉止弁25、フィルター27、出側の閉止
弁26、閉止弁143、逆止弁144からなる。また、
前記の供給タンク142には洗浄液が減少した際に新た
な洗浄液を補給するための補給タンク145が補給管1
46、閉止弁147を介して接続されている。さらに、
供給タンク142と補給タンク145、回収タンク20
にはそれぞれ窒素ガス供給管148を通して窒素ガスが
導入されるようになっていて、それらタンク142,1
45,20内は所定圧力(大気圧程度)の窒素ガスに置
換されるようになっている。このようにタンク142,
145,20内をガス置換するのは、洗浄液が可燃性を
有する灯油であるため、万一の発火を防ぐためである。
なお、符号149は流量調節弁、150は安全弁であ
る。
【0081】蒸留手段141は前記循環手段4に対して
並列に設けられていて、回収タンク20に回収された洗
浄液の一部を蒸留して前記供給タンク142に返送する
ためのものである。この蒸留手段141は、回収タンク
20から導かれた洗浄液を加熱して蒸発させるための蒸
留器151、蒸留器151で蒸発させた洗浄液の蒸気を
冷却して液化させるための凝縮器152、液化した洗浄
液を溜める液溜まり153、液溜まり153から前記供
給タンク142に洗浄液を圧送するためのポンプ21C
からなる。符号154は前記返送管24Cの途中から分
岐されて洗浄液を回収タンク20から蒸留器151に導
入するための導入管、155,156はその途中に設け
られている閉止弁とニードル弁、157は蒸留器151
と凝縮器152を接続している蒸気管、158は液溜ま
り153と供給タンク142とを接続している返送管、
159はその途中の前記ポンプ21Cの入側に設けられ
ている逆止弁、160は供給タンク142の入側に設け
られている閉止弁である。
【0082】蒸留器151には、その底部に洗浄液を加
熱して蒸発させるための加熱器161と、蒸発残留物で
ある汚れ成分(残液)を排出するための排出管162お
よび排出弁163とが備えられている。また、本参考
における蒸留手段141は、蒸留を低温で行うべく真空
雰囲気下で蒸留および液化を行うものとされ、そのため
の真空排気手段164が凝縮器152に付設されてい
る。この真空排気手段164は真空ポンプ165、排気
管166、その途中に設けられた真空弁167からな
り、前記導入管154の途中の閉止弁155から蒸留器
151、蒸気管157、凝縮器152、液溜まり15
3、返送管158の途中の逆止弁159までの範囲を例
えば30〜60Torr程度の真空に保持するようにさ
れている。
【0083】前記構成の洗浄装置Mによる洗浄作業手順
を説明する。まず、被洗浄物1をバスケット7に収納
し、そのバスケット7を洗浄容器2内に収納したら、真
空排気手段3により洗浄容器2内を一旦真空とした後、
窒素ガスを大気圧になるまで導入して洗浄容器2内を窒
素ガスに置換する。また、各タンク20,142,14
5内もガス置換しておく。次に、供給ポンプ21Aを運
転して供給タンク142に貯溜しておいた洗浄液を洗浄
ノズル22に圧送して被洗浄物1に吹き掛け、被洗浄物
1に付着していた切屑の如き固形物を洗い落とすととも
に、切削油のような油脂分は洗浄液に溶解させてしま
う。そして、被洗浄物1に吹き掛けた洗浄液を洗浄容器
2の底部から回収管24Bを通して回収タンク20に回
収する。
【0084】供給タンク142内に貯溜されていた洗浄
液の全てもしくは一部を吹き掛けることのみで十分な洗
浄がなされる場合は、以上で洗浄工程が終了する。一
方、被洗浄物1が多量であったり、あるいはその形状が
複雑であって汚れが落ちにくいような場合には、返送ポ
ンプ21Bを運転して洗浄液を回収タンク20から供給
タンク142に返送し、さらに洗浄を継続する。なお、
いずれにしても、洗浄工程が終了した時点では、回収タ
ンク20には後工程の蒸留工程において蒸留する分の洗
浄液だけを残し、他の洗浄液は供給タンク142に返送
しておく。そのためには、回収タンク20内の液面レベ
ルを予め設定したレベルに維持するように返送ポンプ2
1Bの作動を制御し、常に一定量の洗浄液を回収タンク
20内に残しておくようにすると良い。回収タンク20
に残しておくべき洗浄液の量については後述する。洗浄
工程が終了したら、真空排気工程に移行する。この真空
排気工程は、例えば第1参考例の洗浄装置Aの場合と同
様である。この際、排気中に含まれる洗浄液の蒸気は凝
縮器11により再液化させられ、回収管15を通して回
収タンク20に戻される。
【0085】真空排気工程が終了したら蒸留工程に移行
する。蒸留工程は被洗浄物1を洗浄することで汚れた洗
浄液の一部を蒸留して清浄化するために行うもので、洗
浄工程終了時に回収タンク20に残しておいた洗浄液を
蒸留器151に導き、そこで加熱することにより洗浄液
を蒸発させ、その蒸気を凝縮器152により再液化させ
て液溜まり153に溜め、さらにポンプ21Cにより供
給タンク142に返送することにより、十分に清浄化し
た洗浄液を供給タンク142に貯溜されている汚れたま
まの洗浄液と混合させるのである。洗浄液中に含まれて
いた切削油等の汚れ成分は蒸発残留物として蒸留器14
1に残されるから、これは排出弁163を開いて排出
し、適宜処理すれば良い。なお、前述したように、蒸留
工程を低温下で行うべく蒸留器151内や凝縮器152
内は真空排気手段164によって真空に維持しておく。
また、蒸留器151内が真空とされているので、回収タ
ンク20から蒸留器151への洗浄液の導入は閉止弁1
55、ニードル弁156を開くことのみで真空吸引によ
り行われる。
【0086】ここで、蒸留するべき洗浄液の量、すなわ
ち洗浄工程終了時に回収タンク20に残しておくべき洗
浄液の量は、洗浄液の全体量、洗浄液中の汚れ成分(切
削油等)の許容濃度、被洗浄物1の汚れの程度、蒸留に
よって得られる洗浄液の清浄度、等を考慮して適宜設定
するのであるが、例えば洗浄液の全量の半分程度とする
と良い。つまり、洗浄工程終了時に洗浄液のほぼ半分程
度は汚れたままで供給タンク142に戻すが、他の半分
程度は回収タンク20に残しておく。そして、回収タン
ク20内の洗浄液を蒸留器151により蒸留して十分に
清浄化したうえで供給タンク142に戻し、そこで両者
を混合させることにより、洗浄液全体を洗浄前の当初の
清浄度に戻すのである。
【0087】具体的な数値を挙げてさらに説明する。い
ま、洗浄液の全体量が100リットル、洗浄液中の汚れ
成分の許容限界濃度をより低く見積って0.5%とし、
実際に使用する洗浄液中の汚れ成分の濃度が0.2%、
蒸留によって清浄化された洗浄液中の残留汚れ成分の濃
度は0.05%であるとする。そして、汚れ成分濃度が
0.2%である100リットルの洗浄液を供給タンク1
42から被洗浄物1に吹き掛けて洗浄を行うと、100
ccの汚れ成分が溶解され、したがって洗浄液中の汚れ
成分濃度が0.2%から0.3%に高まるとする。
【0088】このような条件のもとで、100リットル
の洗浄液の半分弱である40%(40リットル)を回収
タンク20に残して蒸留を行い、残りの半分強である6
0%(60リットル)はそのまま供給タンク142に戻
すようにすれば、蒸留される40リットルの洗浄液中の
汚れ成分は0.3%から0.05%に低下するので(つま
り、蒸留器151において100ccの汚れ成分が除去
されることになる)、それが供給タンク142内の濃度
が0.3%である汚れたままの60リットルの洗浄液と
混合されると、供給タンク142には濃度が0.2%で
ある100リットルの洗浄液が再び確保され、当初の状
態に戻ることになる。したがって、前記のような条件の
もとでは、清浄化する洗浄液の割合は多少の安全率を見
込んで全量の半分程度と設定することで十分である。
【0089】なお、蒸留工程においては、蒸留器151
において蒸発した洗浄液のごく一部が再液化されずに真
空排気手段164により排出されてしまうことが避けら
れず、また、真空乾燥工程においても洗浄容器2からの
排気中の洗浄液の蒸気が凝縮器13に回収されずに排出
されてしまうので、洗浄を継続していくうちには洗浄液
がわずかずつ減少していくことになるが、減少した分の
洗浄液は補給タンク145から供給タンク142に自動
的にもしくは手動により補給するようにしておくと良
い。
【0090】以上で説明したように、本第13参考例の
洗浄装置Mでは、洗浄液の全量を蒸留せずともその半分
程度を蒸留することのみで、洗浄液中の汚れ成分の濃度
を洗浄に支障のない程度に常に維持することができるも
のであり、したがって、洗浄液の全量を蒸留する場合に
比して蒸留手段141の各装置すなわち蒸留器151や
凝縮器152、液溜まり153、ポンプ21Cの容量お
よび能力を半分程度にまで削減でき、設備費や運転費の
点で有利である。さらに、この洗浄装置Mでは、洗浄工
程終了時に後工程の蒸留工程で蒸留するべき洗浄液を常
に回収タンク20に残しておくように返送ポンプ21B
の作動を制御することにより、蒸留するべき洗浄液の量
をそのつど計量するような必要がなく、容易に自動運転
を行うことが可能である。
【0091】なお、前記第13参考例の作業手順では、
蒸留工程を真空排気工程終了後に行うように説明した
が、蒸留工程と真空排気工程は同時に行うことができる
し、また、蒸留工程を行っている間に残りの洗浄液によ
って洗浄工程を同時に行うこともでき、そのようにすれ
ばサイクルタイムの短縮を図ることができる。また、こ
の第13参考例では、回収タンク20に溜めておいた洗
浄液をバッチ式で間欠的に蒸留手段141に送って蒸留
するように説明したが、洗浄工程に並行させて蒸留工程
を連続式に行うことも可能である。
【0092】次に、図26ないし図29は、第14参考
例の洗浄装置Nを示すものであり、図26は洗浄容器2
0の縦断面図、図27は横断面図、図28は全体配置図
(系統図)である。この洗浄装置Nは、前記第13参考
例の洗浄装置Mと同様の洗浄容器2、真空排気手段3、
洗浄液の循環手段4、および洗浄液の蒸留手段141に
加えて、洗浄容器2内を不活性ガス雰囲気にする不活性
ガス導入手段1171が備えられた構成とされている。
【0093】洗浄容器2は横置き円筒状とされてその中
心軸が僅かに下がるように傾斜して設置されており、そ
の内部には架台8が設けられて被洗浄物1を載せるトレ
ー172が水平に支持されるようになっている。そし
て、この洗浄容器2内には、前記第10参考例の洗浄装
置Jの加熱室101と同様に、トレー172に載せられ
る被洗浄物1の両側にヒータ108が配置されるととも
に、洗浄容器2の頂部にはファン109が取付けられて
モータ110で駆動されるようになっている。なお、洗
浄容器2の傾斜した底部分の最も低いところには、洗浄
液排出口173が設けられてフィルタ27を介して洗浄
液を排出できるようになっている。また、洗浄容器2内
のトレー172の上方および両側に洗浄ノズル22が配
置されており、洗浄液の供給タンク142の洗浄液を循
環ポンプ21Aで加圧してボールバルブ等の閉止弁2
5,25を介して洗浄ノズル22から噴射するようにな
っている。さらに、この洗浄液の供給タンク142に
は、内部圧力を調整できるようボールバルブ等の閉止弁
167を介して油回転真空ポンプ165が接続してあ
る。さらにまた、真空排気手段3は洗浄容器2内を真空
排気するためのものであり、洗浄容器2の側方の排気口
に真空弁12、凝縮器11、真空弁12、ルーツ式の第
一の真空ポンプ71および油回転式の第二の真空ポンプ
72が順に接続されて構成されている。
【0094】洗浄液の蒸留手段141では、循環手段4
の洗浄液の回収タンク20に大小流量用の2つのボール
バルブ等の閉止弁174,175を介して蒸留器151
が接続されている。そして、蒸留器151で蒸留された
蒸気は凝縮器152に送られ、ボールバルブ等の閉止弁
160を介して洗浄液の供給タンク142に戻される一
方、蒸留器151に残留する廃液は廃液ポンプ24D、
廃液冷却器176を介してボールバルブ等の排出弁16
3から排出されるようになっている。また、凝縮器15
2と閉止弁160との中間で、ボールバルブ等の閉止弁
177を介して前記油回転真空ポンプ165と接続され
ている。
【0095】一方、不活性ガス導入手段171は、主と
して洗浄容器2内を不活性ガス雰囲気にするために使用
されるが、他の部分にも供給されて洗浄液の排出などに
利用される。すなわち、洗浄容器2内を不活性ガス雰囲
気にするため、ソレノイドバルブ等の調節弁178Aが
あり、また他のソレノイドバルブ等の調節弁178B,
178Cを介して閉止弁25,25の下流の洗浄ノズル
22に、例えば窒素ガスを供給できるようにしてある。
また、洗浄液の供給タンク142や洗浄液の回収タンク
20にもそれぞれ調節弁149を介して、例えば窒素ガ
スを供給できるようにしてある。さらに本参考例では、
蒸留器151と凝縮器152との間にも圧力コントロー
ラ179を備えたソレノイドバルブ等の調節弁178D
を介して、例えば窒素ガスを圧力を制御しながら供給で
きるようにしてある。
【0096】次に、このような構成の洗浄装置Nによる
洗浄工程について説明する。まず、洗浄容器2の扉6を
開け、被洗浄物1をトレー172上に載せて扉6を閉め
た後、真空排気手段3の2つの真空弁12,12を開
き、洗浄容器2内をルーツ式の第一の真空ホンプ71お
よび油回転式の第二の真空ポンプ72によって13pa
以下の圧力に排気して真空弁12,12を閉じる。この
後、不活性ガス導入手段171の調節弁178Aを開
き、窒素ガス等の不活性ガスを大気圧まで封入する。こ
の状態で、洗浄容器2に設けたヒータ108を運転する
とともに、ファン109をモータ110で駆動して被洗
浄物1を40〜50℃に加熱する。この加熱の目的は、
洗浄液として用いる灯油の溶解能力の増大と、灯油によ
るススプレー洗浄後の付着する灯油の減圧蒸発の時間短
縮のためであり、必ずしもヒータ108およびファン1
09による被洗浄物1の加熱を行わなくとも良いが、こ
の加熱により洗浄サイクルの短縮を図ることができる。
【0097】加熱終了後、循環手段4の洗浄液噴射によ
る脱脂洗浄を行うため、2つの閉止弁25,25を開
き、洗浄液の供給タンク142内の洗浄液を供給ポンプ
21Aで加圧して洗浄ノズル22より常温(最高温度4
0℃)の灯油を被洗浄物1に噴射する。すると、洗浄ノ
ズル22が被洗浄物1が載せられるトレー172の上方
および両側に取付けてあるので、上方の洗浄ノズル22
だけによる噴射や、両側の洗浄ノズル22による噴射か
を予め設定したり、これらの任意の組み合わせにより灯
油の噴射を行うとともに、噴射自体も連続して噴射した
り、パルス的に噴射することを選択して行う。なお、こ
れら洗浄ノズル22の選択や噴射形態は、被洗浄物1の
形状や被洗浄物1に付着している油脂類(被洗浄液)に
より選択するようにすれば良い。また、本参考例では洗
浄液の噴射を洗浄容器2の不活性ガス雰囲気中で実施す
るようにしており、これにより洗浄液として灯油等を用
いた場合でも、爆発などの危険を回避するようになされ
ている。
【0098】一方、噴射終了後、洗浄ノズル22のパイ
プライン内に残留する洗浄液は、不活性ガス導入手段1
71の2つのソレノイドバルブ等の調節弁178B,1
78Cを開くことにより、窒素ガスに押し出されて除去
される。洗浄中に噴射される洗浄液および噴射終了後に
押出される洗浄液は、洗浄容器2が後方に傾けてあり、
その最も下方に洗浄液排出口173が形成してあるの
で、循環手段4の閉止弁26を開いておくことで、フィ
ルター27で切り粉等の異物を除去してこの洗浄液排出
口173から落差により汚れた洗浄液が洗浄液回収タン
ク20に回収される。
【0099】こうして脱脂洗浄および汚れた洗浄液の回
収が終了した後、循環手段4の閉止弁26が閉じられる
一方、真空排気手段3の2つの閉止弁12,12が再び
開かれて洗浄容器2内をルーツ式の第一の真空ポンプ7
1および油回転式の第2の真空ポンプ72で排気し13
pa以下の圧力に排気する。ここで、特に洗浄液として
灯油を用いた場合には、図29に示す蒸気圧と温度の関
係を示すグラフから明らかなように、灯油は例えば軽油
に比べて蒸気圧が高いので真空減圧状態では容易に蒸発
することになり、被処理品の表面から取り除かれ、これ
によって被処理品が清浄化される。こうして被洗浄物1
に付着して蒸発した洗浄液は、洗浄容器2内の真空排気
とともに真空排気手段3によって排出され、この真空排
気手段3に設けた凝縮器11で凝縮されて洗浄液回収タ
ンク20に回収される。次いで、真空排気手段3により
被洗浄物1に付着した洗浄液が蒸発除去された後、洗浄
容器2内に不活性ガス導入手段171によりソレノイド
バルブ等の調節弁178Aを開いて窒素ガス等の不活性
ガスを大気圧まで充満し、扉6を開いて被洗浄物1を取
り出して一連の洗浄および脱脂作業が完了する。
【0100】一方、洗浄液回収タンク20に回収された
汚れた洗浄液は洗浄液の蒸留手段141で再生されて再
使用されるが、その再生工程について説明する。洗浄液
の循環手段4における回収タンク20は不活性ガス導入
手段171の調節弁149から窒素ガス等の不活性ガス
が供給され、常に窒素ガス雰囲気で、しかも大気圧より
僅かに高い圧力となるように圧力制御が行われており、
外部からの空気の侵入を防止しながら、洗浄後の汚れた
洗浄液が落差で回収されるようにしてある。そして、こ
の回収タンク20に回収された切削油などの油脂類が溶
解した洗浄液は、大小流量用の2つの閉止弁174,1
75を介して蒸留器151に送られる。
【0101】この蒸留器151は、油回転真空ポンプ1
65により閉止弁177Dを介して図示しない圧力制御
機構で常に8Kpaに圧力制御されるとともに、蒸留下
限レベルまでは常に分留温度180℃まで図示しないヒ
ーターで加熱されるように温度制御されている。したが
って、大小流量用の閉止弁174,175を開くと、差
圧により蒸留器151に洗浄液回収タンク20の下限レ
ベルまで灯油(洗浄液)が移送されることになる。ま
た、この汚れた洗浄液の蒸留器151への移送の際、蒸
留器151に設置したヒーターによる加熱は停止する
が、残留液温は180℃近くあり、この中に常温の洗浄
液を一気に移送すると、洗浄液が灯油等の場合には突沸
のおそれがあるので、液温が一定温度以下に低下するま
では、小流量用の閉止弁174のみを開いて少量づつ洗
浄液を移送し、液温が低下してから大流量用の閉止弁1
75を開いて多量の洗浄液を移送するように操作するの
が望ましい。
【0102】蒸留器151に移送された汚れた洗浄液
は、ヒーターで180℃に加熱され、分留された清浄な
洗浄液の蒸気は凝縮器152に送られて凝縮された後、
洗浄液の供給タンク142に戻されて貯えられる。この
供給タンク142の内部圧力は、洗浄液の再生中は蒸留
器151の分留圧力である8Kpaになり、この状態の
まま循環手段4の閉止弁25,25を用いて供給ポンプ
21Aを動作させて大気圧状態の洗浄容器2内に噴射し
ようとすると、キャビテーションを起こし、洗浄液の噴
射が不可能になる。そこで、循環手段4の運転終了後に
閉止弁160を閉じ、次いで洗浄液の噴射前に不活性ガ
ス導入手段171の調節弁149を開いて窒素ガス等の
不活性ガスを供給タンク142に供給し、キャビテーシ
ョンが起こらない圧力(80〜87Kpa)まで復圧す
る一方、洗浄液の噴射終了後、閉止弁167を開き、油
回転真空ポンプ165で供給タンク142内を8Kpa
まで排気した後、蒸留手段141の閉止弁160を開け
て分留可能な状態にするように圧力の切替えを行う。ま
た、蒸留器151で分留されて濃縮された廃液は廃液ポ
ンプ24Dで廃液冷却器176を介して常温まで冷却さ
れて排出される。なお、これらの洗浄脱脂工程および洗
浄後の洗浄液の再生工程は、図示しない制御手段により
制御することで運転の自動化ができるようになってい
る。
【0103】このように前記構成の第14参考例の洗浄
装置Nによれば、不活性ガス導入手段171によって洗
浄容器2内を不活性ガス雰囲気とすることにより、洗浄
液として灯油等を用いた場合でも爆発等の危険を回避し
て安全な洗浄作業を行うことができる。また、洗浄容器
2内に加熱用のヒータ108および流気用のファン10
9を設けたので、洗浄および洗浄後の洗浄液の除去を一
層効率的に行うことが可能となる。
【0104】さらに図30および図31は、第15参考
例の洗浄装置Oを示すものである。この第15参考例の
洗浄装置Oでは、洗浄液を循環させるための循環手段4
に洗浄容器2に対して供給、回収する洗浄液を貯溜する
洗浄液タンク181と、この洗浄液タンク181内に加
圧ガスを供給する加圧ガス供給手段182とが備えられ
ていることを特徴とするものである。
【0105】前記洗浄液タンク181は、耐圧性を有す
るとともに、内部を真空に保持可能な構造であり、その
容量は1回の洗浄に必要な洗浄液を貯溜できる容量以上
であればよい。図30に示すように、洗浄液タンク18
1は排気管183により真空ポンプ10に接続され、排
気管183の途中には閉止弁184が設けられている。
また、洗浄液タンク181上部には洗浄液タンク181
内部の圧力を検出する圧力検知器185が設けられてい
る。また前記加圧ガス供給手段182は、窒素ガス源1
86と、管路187と、その途中に設けられている窒素
ガスの供給量を規定量に調節する絞り弁188と、洗浄
液タンク181への窒素ガスの入出を行う閉止弁189
と、窒素ガスの圧力を一定に保つ減圧弁190と、窒素
ガスの圧力が一定以上になると開く安全弁191と、排
気管183の途中に設けられて洗浄液タンク181内部
のガスを放出する放出弁192とにより構成され、窒素
ガスを洗浄液タンク181内部に供給して洗浄液に圧力
を加えるようになっている。
【0106】さらに、管路24とその途中に設けられて
いる入側閉止弁25、出側閉止弁26、洗浄液に混入し
た切屑等の固形物を分離除去するためのフィルタ27、
洗浄液タンク181の出口に設けられた閉止弁193
は、循環手段4における洗浄液の循環経路を構成し、灯
油等の洗浄液はこの循環経路に沿って洗浄容器2と洗浄
液タンク181との間を循環される。なお、この洗浄装
置Oにおいては洗浄液が漏出した場合、洗浄液タンク1
81内部の圧力を検出する圧力検知器185(異常検出
手段)が規定値以下になるが、圧力検知器185が規定
値以下になるとインターロック(制御部)が作動して、
洗浄液タンク181の閉止弁193および窒素ガスの閉
止弁189が閉じられるとともに放出弁192が開かれ
る構成となっている。
【0107】このような構成の洗浄装置Oにおいて洗浄
液を循環させるには、まず洗浄液タンク181内に必要
量の洗浄液を保持し、次に、閉止弁189を開き、窒素
ガス源186から窒素ガスを洗浄液タンク181内に供
給して、洗浄液タンク181内の洗浄液の液面に圧力を
加える。洗浄液タンク181内の圧力が所定の圧力に達
したことを圧力検知器185で確認した後、閉止弁19
3および入側閉止弁25を開いて洗浄液タンク181か
ら洗浄液を洗浄容器2内に圧送するとともに、洗浄ノズ
ル22で洗浄液を被洗浄物1に噴射して被洗浄物1を洗
浄する。こうして洗浄容器2内に供給されて被洗浄物1
に噴射された洗浄液は、図30に示すように洗浄容器2
内の下部に溜まる。そして、1回の洗浄が終了するか、
または洗浄液タンク181内の洗浄液がなくなれば、閉
止弁193および入側閉止弁25を閉じるとともに、窒
素ガスの閉止弁189も閉じる。
【0108】次に、放出弁192を開いて洗浄液タンク
181内の窒素ガスを放出して大気圧と等しくするが、
放出弁192はそのまま開いた状態にしておく。圧力検
知器185により、洗浄液タンク181内の圧力が大気
圧になったことを確認した後、出側閉止弁26を開いて
洗浄容器2内に溜まっている洗浄液を洗浄液タンク18
1に回収する。洗浄容器2から排出された洗浄液は、そ
の洗浄液に混入した固形物がフィルタ27により分離除
去された後、洗浄液タンク181内に貯溜される。この
とき、洗浄液の回収時間を短縮するために、洗浄液タン
ク181内を真空引きしてもよい。すなわち、放出弁1
92を閉じて閉止弁184を開くとともに、真空ポンプ
10を作動させる。前記のようにして洗浄液による洗浄
が終了して洗浄液を回収した後、真空排気手段3によっ
て洗浄容器2内を負圧とすることにより、被洗浄物1の
表面に付着する洗浄液を蒸発させて除去し、乾燥させ
る。
【0109】このように、前記の洗浄装置Oでは、洗浄
液タンク181内の洗浄液に窒素ガスにより圧力を加え
て洗浄液を洗浄容器2内に圧送するので、洗浄液の圧送
のためのポンプを必要としない。従って、例えば第1
例の洗浄装置Aのように洗浄液を加熱して洗浄を行う
ような場合にも、ポンプを使用した場合のようにキャビ
テーションが生じるおそれがない。また、加圧ガス供給
手段182による加圧力によって、洗浄容器2内に配設
された洗浄ノズル22から被洗浄物1に洗浄液を吹き付
けるので、被洗浄物1全体に満遍なく洗浄液が吹き付け
られるとともに表面の汚れ成分も除去しやすい。また、
洗浄装置Oにおいて洗浄液が漏出した場合には、規定値
以下になった洗浄液タンク181内の圧力が圧力検知器
185により検出され、インターロックが作動して洗浄
液タンク181の閉止弁193および窒素ガスの閉止弁
189が閉じられるとともに放出弁192が開かれるこ
とにより洗浄液の圧送が停止されるので、安全な管理が
行える洗浄装置である。
【0110】なお、この第15参考例の洗浄装置Oにお
いても第1参考例の洗浄装置Aのような加熱器を設け、
この加熱器により洗浄容器2内に圧送される洗浄液を加
熱すると洗浄効果がよい。加熱器の配置位置は系全体の
配置構成を考慮して決めることが好ましく、例えば洗浄
液の循環経路において洗浄タンク181と入側閉止弁2
5との間か、または洗浄液タンク181内に加熱器を設
けるとよい。また、窒素ガス源186を洗浄容器2に接
続する管路および閉止弁を設けておき、洗浄容器2内の
洗浄液を洗浄液タンク181に回収する際に、洗浄容器
2内を窒素ガスにより加圧することにより、洗浄液の回
収時間を短縮することができる。
【0111】さらに、この洗浄装置Oにおいて洗浄液が
漏出した場合にこれを検知する手段として、装置全体を
ユニットカバーで覆うとともに床面の油溜まりに溜まっ
た漏出した洗浄液をフロートスイッチで検出するように
してもよい。この場合、フロートスイッチが洗浄液を検
出すればインターロック(制御部)が作動して、洗浄液
タンク181の閉止弁193および窒素ガスの閉止弁1
89が閉じられるとともに放出弁192が開かれる。さ
らに、この洗浄装置Oにおいて洗浄液が漏出した場合、
作業者(異常検出手段)がこれを検知して非常停止ボタ
ン(制御部)を押すと洗浄液タンク181の閉止弁19
3および窒素ガスの閉止弁189が閉じられるとともに
放出弁192が開かれるようにしてもよい。
【0112】また、図31に示すように、前記洗浄装置
Oにおいて、洗浄液タンク181の洗浄液の入出口が、
洗浄容器2の底面位置より高く設定されて洗浄容器2か
ら洗浄液タンク181へ洗浄液が自然落下できない場合
は、以下のように循環経路を形成するとともに、洗浄液
タンク181内を真空引きして洗浄液の回収を行うこと
ができる。すなわち、前記循環経路を洗浄容器2の底壁
2aと洗浄液タンク181との間に設けるとともに、洗
浄容器2の底壁2aから延び出る管路24を洗浄容器2
の底壁2aに対して鉛直に形成して鉛直部24aとし、
この鉛直部24aの途中に出側閉止弁26を設けるとよ
い。
【0113】次に、図32および図33は、第16参考
例の洗浄装置Pを示すものであり、第15参考例と共通
な箇所には同じ符号を用いるものとする。本第16参考
例の洗浄装置Pは、前記加圧手段が、洗浄液を洗浄容器
2内に供給するとともにその洗浄液を洗浄容器2から回
収する加圧シリンダ装置201であることを特徴とする
ものである。すなわち本参考例では、加圧手段としての
加圧シリンダー装置201は、洗浄液を貯溜するととも
に洗浄容器2内へ供給して回収する洗浄液シリンダ20
2、この洗浄液シリンダ202を駆動する駆動シリンダ
203、駆動シリンダ203への加圧空気の入出を行う
加圧空気供給弁204、管路205,206より構成さ
れ、洗浄液シリンダ202および駆動シリンダ203が
一体型として形成されている。
【0114】この洗浄液シリンダ202は、本参考例で
は竪型で使用するものであり、洗浄液の入出口207は
洗浄液シリンダ202の最下部に設けられている。洗浄
液シリンダ202の上部は駆動シリンダ203を介して
大気に開放されて、常時、大気圧と等しくなっている。
この洗浄液シリンダ202は、その上部に設けられた駆
動シリンダ203により駆動される。なお、洗浄液シリ
ンダ202の容量は、1回の洗浄に必要な洗浄液の容量
程度でよい。また駆動シリンダ203は、管路205,
206により加圧空気供給弁204に接続され、加圧空
気により駆動される構成である。この加圧空気供給弁2
04は、図32に示すように4方向弁であり、加圧空気
源に接続されるとともに、大気に開放される構成であ
る。
【0115】このような構成の第16参考例の洗浄装置
Pでは、洗浄液シリンダ202内に貯溜されている洗浄
液を、該洗浄液シリンダ202を駆動することにより洗
浄容器2内に圧送して循環させる。すなわち、加圧空気
供給弁204を図32に示すように設定して、加圧空気
を矢印に示す管路205から駆動シリンダ203に供給
すると、駆動シリンダ203のピストン208が押し下
げられるとともに洗浄液シリンダ202のピストン20
9が押し下げられる。そして、ピストン209が押し下
げられることにより、洗浄液シリンダ202内の洗浄液
が管路24を通って洗浄容器2内に圧送されるととも
に、洗浄ノズル22で洗浄液が被洗浄物1に噴射され
る。そして、1回の洗浄が終了して洗浄液シリンダ20
2内の洗浄液がなくなれば、入側閉止弁25を閉じる。
【0116】次に、出側閉止弁26を開いて洗浄容器2
内に溜まっている洗浄液を洗浄液シリンダ202に回収
する。すなわち、加圧空気供給弁204を図33に示す
ように切換えて、加圧空気を矢印に示す管路206から
駆動シリンダ203に供給すると、駆動シリンダ203
のピストン208が押し上げられるとともに洗浄液シリ
ンダ202のピストン209が押し上げられる。そし
て、ピストン209が押し上げられることにより洗浄液
シリンダ202内が負圧とされ、洗浄容器2内の洗浄液
が管路24を通って洗浄液シリンダ202内に回収され
る。洗浄容器2内の洗浄液の回収が終了したら出側閉止
弁26を閉じる。こうして洗浄液が回収されたなら、次
いで真空排気手段3により洗浄容器2内を負圧として、
被洗浄物1の表面に付着する洗浄液を蒸発させて除去し
て乾燥させる。
【0117】このように、前記の洗浄装置Pでは、洗浄
液シリンダ202により洗浄容器2内に洗浄液を圧送す
るとともに、洗浄容器2内から洗浄液を回収することが
できる。そのため、洗浄液の圧送のためのポンプを必要
としないので、洗浄液を加熱しても容易に圧送できる。
従って、この第16参考例の洗浄装置Pにおいても前記
第15参考例と同様に、その循環経路において洗浄液シ
リンダ202と入側閉止弁25との間に加熱器を設ける
などすることによって洗浄容器2内に圧送される洗浄液
を加熱し、優れた洗浄効果を得ることができる。なお、
参考例でも前記第15参考例と同様に、洗浄液シリン
ダ202の洗浄液の入出口207が洗浄容器2の底面位
置より高く設定されて洗浄容器2から洗浄液が自然落下
できない場合は、前記と同様に循環経路を形成するとよ
い。この場合は、洗浄容器2内の洗浄液を洗浄液シリン
ダ202に回収するときの駆動シリンダ203の駆動速
度は、大きくし過ぎると空気を吸込むので、適切な速度
で駆動するようにする。
【0118】次に、図34は、第17参考例の洗浄装置
Qを示すものであり、洗浄液の循環手段4に蒸留手段1
41と加圧ガス供給手段182とが備えられていること
を特徴としている。すなわち本第17参考例では、循環
手段4において洗浄液を洗浄容器に供給する手段とし
て、図25に示した第13参考例の洗浄装置Mに用いら
れたポンプ21A,21B,21Cに代えて、洗浄液の
回収タンク(洗浄液タンク)20に窒素ガス供給源(図
示略)に接続された管路187A、閉止弁189A、減
圧弁190A、安全弁191A、および放出弁192A
等からなる加圧ガス供給手段182Aが設けられる一
方、この循環手段4に並列に、蒸留器151、減縮器1
52、液溜まり(溶剤タンク)153等からなる洗浄液
の蒸留手段141が設けられている。なお、符号211
で示すのは、この蒸留手段131の減縮器142と液溜
まり143との間に設けられる閉止弁である。
【0119】ここで本参考例では、この液溜まり153
にも、窒素ガス供給管187B、閉止弁189B、減圧
弁190B、安全弁191B、および放出弁192B等
からなる加圧ガス供給手段182Bが設けられており、
蒸留器151によって蒸留されて液溜まり153に貯留
された清浄な洗浄液を、ポンプを用いることなく洗浄容
器2に給送することが可能とされている。なお、前記回
収タンク20および蒸留した洗浄液を貯めておく液溜ま
り153は、洗浄液を加圧する際に圧力が掛かり、また
真空となることもあるため、耐圧耐真空の圧力容器とさ
れている。
【0120】また、この第17参考例の洗浄装置Qで
は、洗浄容器2に、内部の雰囲気ガスを強制循環させる
とともに予熱のための加熱源を兼ねる循環ファン212
が備えられている。この循環ファン212はラジアルフ
ァン型式のもので、洗浄容器2の頂部に設けられたケー
シング213内に配置されたインペラ214が、ファン
モータ215により動力伝達機構216を介して回転さ
れる構成とされている。また、ケーシング213の下部
は、外周側が吹き出しダクトとされ、中心側が吸い込み
ダクトとされた二重構造のダクト部217とされてお
り、その下端部が洗浄容器2内に突出していて、外周側
の吹き出しダクトの下端部がベルマウス状に形成される
一方、中心側の吸い込みダクトの下端部には吸い込み口
が設けられている。さらにケーシング213内のインペ
ラ214の直下には環状のガイド板および短管状の吸い
込みダクトが配設され、この吸い込みダクトと前記ダク
ト部217の吸い込みダクトとの間にバイパス路となる
間隙が確保されている。
【0121】このような構成の洗浄装置Qでは、回収タ
ンク20に貯留された洗浄液によって被洗浄物1を前洗
浄した後に、蒸留手段141により蒸留された清浄な洗
浄液によって仕上げ洗浄を行うことができる。すなわ
ち、循環手段4、蒸留手段141、および加圧ガス供給
手段182A,182Bの各閉止弁25,26,15
5,211,189A,192A,189B,192B
等を閉止した状態から、加圧ガス供給手段182Aの閉
止弁189Aを開いて回収タンク20内を洗浄液の給送
に必要な所定圧力に加圧し、次いで供給管24Aの入側
閉止弁25を開くことにより、回収タンク20内の洗浄
液を管路24C、供給管24Aを通して洗浄ノズル22
から噴射し、被洗浄物1を洗浄する。なお、この洗浄液
の噴射は図示されないタイマー等によって制御すること
もできるが、例えば回収タンク20の下限にレベルスイ
ッチを設けるなどして、このレベルスイッチが作動した
場合には洗浄液の給送が停止されるように設定するのが
望ましい。1回の洗浄によって洗浄容器2に供給された
洗浄液は、図34に示されるように洗浄容器2の底部に
溜るので、閉止弁189Aを閉じるとともに放出弁19
2Aを開いて回収タンク20内のガスを排出し、次いで
この放出192Aを閉じた後に回収管24Bの出側閉止
弁26を開いて、前記洗浄液を回収タンク20に回収す
る。なお、必要があれば、このような洗浄工程を繰り返
してもよい。
【0122】一方、回収タンク20に回収された洗浄液
の一部(標準的には、その半分とするのが好ましい。)
は、導入管154から蒸留器151に送られて蒸留され
て清浄化され、減縮器152を経て液溜まり153に貯
留される。そこで、前述のように回収タンク20からの
洗浄液による被洗浄物1の洗浄が終了した後に、この液
溜まり153に貯留されている清浄化された洗浄液を加
圧ガス供給手段182Bによって洗浄容器2に給送して
仕上げ洗浄を行う。すなわち、前記洗浄工程(前洗浄)
が終了した状態で、液溜まり153の入側の閉止弁21
1を閉じ、次いで加圧ガス供給手段182Bの閉止弁1
89Bを開いて液溜まり153内の清浄化された洗浄液
を加圧し、仕上げ洗浄可能な状態とする。次いで、供給
管24Aの閉止弁25を開いて液溜まり153内の洗浄
液を洗浄ノズル22から噴射して、清浄化された洗浄液
によって被洗浄物1を仕上げ洗浄する。ここで、回収管
24Bの閉止弁26は開いたままであるので、噴射され
た洗浄液は洗浄容器2内に溜ることなく、回収タンク2
0に回収されて前洗浄に用いられた洗浄液と混ざり合
う。
【0123】こうして液溜まり153内の洗浄液が給送
されて仕上げ洗浄が終了したなら、加圧ガス供給手段1
82Bの放出弁192Bを開いて液溜まり153内の加
圧ガスを放出し、次いでこの放出弁192Bを閉じた後
に前記閉止弁211を開いて、新たな清浄化された洗浄
液を液溜まり153に貯留する。なお、この閉止弁21
1が閉じている間も蒸留器151による蒸留が継続され
る場合には、蒸留された洗浄液を減縮器152の底部に
貯めておけばよい。
【0124】このように前記第17参考例の洗浄装置Q
では、洗浄液の循環手段4に洗浄液の蒸留手段151と
加圧ガス供給手段182A,182Bとが備えられたも
のであるので、各手段151および182が奏する効果
を同時に得ることができる。すなわち、ポンプを用いる
ことなく洗浄液の循環が可能であるので、洗浄液を加熱
して洗浄を行う場合でもキャビテーションの発生を防止
できるとともに、蒸留されて清浄化された洗浄液によっ
て、より高い清浄度に被洗浄物1を洗浄することが可能
となる。また、特に前記洗浄装置Qにおいては、回収タ
ンク20に貯留された洗浄液よって被洗浄物1に前洗
浄、あるいは予備洗浄を施し、しかる後に液溜まり15
3に貯留された清浄な洗浄液によって仕上げ洗浄、ある
いは本洗浄を行うことができるので、前洗浄によって被
洗浄物1に付着した汚れ成分を殆ど除去してから仕上げ
洗浄を行うことにより、一層高い洗浄度を得ることがで
きる。なお、この洗浄装置Qにおいては、仕上げ洗浄に
供された後の比較的清浄度の高い洗浄液は回収タンク2
0に回収されて前洗浄に使用されるので、蒸留により清
浄化された洗浄液を効率的に利用できるという利点も得
られる。
【0125】さらに、この第17参考例の洗浄装置Qで
は、洗浄容器2に内部の雰囲気ガスを強制循環させると
ともに予熱のための加熱源を兼ねる循環ファン212が
備えられており、これによって洗浄効果の向上や被洗浄
物に付着した洗浄液の液切り時間の短縮が図られるとと
もに、循環ファン212を駆動するための電気エネルギ
が雰囲気ガスの温度上昇に変換され、こうして加熱され
た雰囲気ガスによって被洗浄物1も予熱されることとな
るので、さらに優れた洗浄効果を得ることができる。
【0126】そして、このような第1〜17参考例をふ
まえて、次に、本発明の実施形態について説明する。
35ないし図41は、本発明の第1実施例の洗浄装置R
を示すものであり、被洗浄物1を真空乾燥させることに
より蒸発して除去された洗浄液の蒸気を、洗浄容器2か
ら回収されて回収タンク20内に保持された洗浄液中に
導入して冷却することにより、大気圧にて復液させるこ
とを特徴とするものである。すなわち、この第1実施例
の洗浄装置Rでは、真空排気手段3が真空弁12、真空
ポンプ221,222、3方向弁223、およびこの3
方向弁223から分岐して接続されるサイレンサー22
4と吹き込みノズル225とから構成されている。そし
て、この吹き込みノズル225は図35に示すように、
前記3方向弁223から延びる吹き込み管226を介し
て、洗浄液の循環手段4中で洗浄液が保持される回収タ
ンク20内に設置されている。
【0127】この洗浄装置Rにおいて真空排気手段3に
用いられる真空ポンプ221、222としては、洗浄液
の蒸気を大気圧で液化するため、液化する性質のある蒸
気を取扱い可能な真空ポンプを使用するのが好ましく、
本実施例では真空ポンプ212としてはルーツ式真空ポ
ンプが、また真空ポンプ213としてはドライ式真空ポ
ンプが使用されている。さらに本実施例では、洗浄液の
回収タンク20に窒素ガスの吹き込み配管227が設け
られていて、常時少量の窒素ガスが送り込まれて回収タ
ンク20内の上部に充満している。また、この回収タン
ク20には、ガスクーラー228およびオイルミストト
ラップ229が付設されている。
【0128】吹き込みノズル225は図36ないし図4
1に示されるように、吹き込み管226の先端に下面が
開放された箱状のカバー231が設けられ、このカバー
231内に銅製の多数の円柱状部材232…が束ねられ
て収納された構成となっていて、これらの円柱状部材2
32…によって、導入される蒸気を冷却する冷却装置が
形成されている。ここで、この円柱状部材232は例え
ば直径3mm、長さ50mm程度のもので、その下端がカバ
ー231の下端から僅かに突出するように、カバー23
1内一杯に並べられて配置されている。なお、前記吹き
込み管226は、本実施例では鋼管製であって、内部の
ガス流速が最大でも20m/sec程度になるように、その
径などが選定されている。また前記円柱状部材232…
群の上下面には、該円柱状部材232…群を保持する5
0メッシュの金網233が配置されている。さらに、カ
バー231の天板部と円柱状部材232…群の上面との
間には間隙が確保されており、また円柱状部材232…
群の上面直上には、前記間隙に導入された蒸気がカバー
231内の周辺部から短絡して排出されるのを防ぐた
め、カバー231の内周縁を周回するようにしてフラン
ジ板234が設けられている。さらにまた、この吹き込
みノズル225は、そのカバー231の上面が回収タン
ク20内において、貯留される洗浄液の液面から100
mm程度の深さに位置するように配設されている。
【0129】さらに、この吹き込みノズル225の周り
には、回収タンク20内の洗浄液中に導入されて泡沫と
なった前記蒸気を細分するためのフィルター235が設
けられている。このフィルター235は、例えば100
メッシュ程度のメッシュの小さな金網236を図40に
示すように多数積層して成るものであり、吹き込みノズ
ル225の側部の周囲を取り囲むように配設されてい
る。なお、本実施例ではこのように多数の金網236…
を積層してフィルター235を形成したが、排気された
蒸気の泡沫が細分可能な網目を備えたものであるなら、
例えばスチールウールをまとめたものや、これに準じた
各種のフィルターを用いることができる。ただし、その
材質は、金属等の熱伝導率の高い材質とされるのが望ま
しい。
【0130】前記構成の洗浄装置Rでは、前記3方向弁
223は洗浄前に洗浄容器2内の空気を排気する場合
や、洗浄後における真空排気初期の、洗浄容器2内の圧
力が高く、多量の雰囲気ガスが排気されるような場合に
は、排気をサイレンサー224に導くように設定され
る。一方、洗浄後の真空乾燥の際に洗浄容器2の内圧が
例えば15Torr程度になって、洗浄液の蒸気圧力に
近づいた場合には切り替わり、排気を吹き込み管226
に導くように設定されている。そして、この吹き込み管
226に導かれた洗浄液の蒸気を含む高温の排気は、吹
き込みノズル225から回収タンク20内に貯留された
洗浄液中に吹き込まれる。この吹き込みノズル225
は、前述のように回収タンク20内の洗浄液中に没する
ように配置されているため、排気が導入されない間は内
部が洗浄液で満たされている。ところが排気が導入され
ると、この排気は直ちに吹き込みノズル225内上部の
前記間隙に広がり、次いで図38に示すような円柱状部
材232…どうしがなす1辺約0.7mm程度の三角形断
面の多数の隙間237…を通って、吹き込みノズル22
5の下面から洗浄液中に吹き込まれる。
【0131】ここで、前記円柱状部材232…はその下
部が洗浄液中に突出しており、かつ熱伝導のよい銅製で
あるから、全体的にその温度は回収タンク20内の洗浄
液と略等しく保たれているから、前記隙間237…を通
る排気はこのような円柱状部材232…の表面に接触し
て冷却され、その中に含まれる洗浄液の蒸気の大部分が
洗浄液中に排出される前に液化されることとなる。一
方、吹き込みノズル225に送り込まれた排気のうち、
液化しなかった残りの洗浄液の蒸気成分と窒素ガス等の
少量の雰囲気ガスとは、回収タンク20内の洗浄液中に
排出されて小さな泡沫となる。この泡沫は、吹き込みノ
ズル225から排出された後に洗浄液中を上昇し、その
間に熱を放出して前記洗浄液の蒸気成分がさらに液化さ
れた後、吹き込みノズル225の周囲に配置されたフィ
ルター235に収集されて該フィルター235内をさら
に上昇する。このフィルター235を上昇するうちに前
記泡沫は、図41に示すようにフィルター235の金網
236…の網目により細かな泡沫へと分断されて洗浄液
との接触面積が大幅に増大し、かつこの分断の際に金網
236の金属線に接触して効率的に冷却されるため、そ
の中に含まれる洗浄液の蒸気成分は略完全に液化されて
しまう。
【0132】なお、吹き込みノズル225から導入され
る蒸気には、前述のように洗浄容器2内の雰囲気ガスで
ある窒素ガス等が少量ながら含まれている。そして、こ
のような窒素ガスは冷却されても液化することなく、小
さな泡沫のままフィルター235を通って上昇し、吹き
込み配管227から吹き込まれて回収タンク20の上部
に充満する窒素ガス中に排出される。また、真空排気さ
れた蒸気の大半は前述のように洗浄液中で再液化する
が、一部の蒸気圧の高い分子等のガスは前記窒素ガスと
同様、液化せずに排出される。しかるに、こうして回収
タンク20内上部に排出されたガスは、ガスクーラー2
28を通ってさらに冷却され、しかる後オイルミストト
ラップ229で捕らえられるようになっている。
【0133】このように、前記構成の洗浄装置Rでは、
真空排気手段3によって排気された洗浄液の蒸気は、循
環手段4の回収タンク20に貯留される洗浄液中に導入
されて冷却、液化されるため、装置の構成を比較的簡略
化しながらも、真空乾燥時の排気の排出速度に関わりな
く、容易に、かつ経済的に洗浄液の蒸気を復液して確実
に回収することが可能となる。すなわち、真空乾燥時に
排出される洗浄液の蒸気は、その総量についてはある程
度に限られているものの、被洗浄物1の形状、洗浄液の
種別、あるいは温度等によって排出速度については大幅
な差が生じ、この結果単位時間あたりの排出量にも大き
なばらつきを生じるため、単位時間あたりに冷却に必要
とされる熱量を定量化することはきわめて困難となる
が、これに対して本実施例の洗浄装置Rでは、排気され
た洗浄液の蒸気を、該蒸気の液化に必要な熱量の総量を
吸収可能な回収タンク20中の洗浄液に導入して、この
洗浄液のエンタルピーを利用して蒸気を冷却、復液する
ことにより、単位時間あたりの蒸気排出量の変動に関わ
らずこれに対応することが可能となるのである。しか
も、再液化した洗浄液は、回収タンク20中の洗浄液と
混じり合って即時に回収されることとなる。
【0134】また、真空排気手段3に用いられる真空ポ
ンプは容積排出型のポンプであってその実排出量は入口
の圧力に応じて変動し、入り口の圧力が低くなると排出
されるガスの質量も小さくなるため、洗浄液のガス化が
どの圧力で起こるかによっても単位時間あたりの排出量
は異なる。例えば蒸気圧が0.1Torrである場合
は、排気量を大気圧に換算すると0.1/760にな
り、一方、蒸気圧が10Torrの場合では、排出され
る洗浄液の蒸気の量の大気圧換算値は10/760とな
って、両者の間には100倍の差が生じることとなる。
従って、蒸気の復液装置の能力を前者に合わせると、後
者の場合には蒸気の一部を復液回収できなくなり、逆に
後者に合わせて安全側で設備すると、復液装置の容量等
が必要以上に大きくなることが避けられず、きわめて不
経済な設備を要することとなる。しかるに、このような
問題に対しても本実施例の洗浄装置Rでは、前述のよう
に単位時間あたりの蒸気排出量に関わらず蒸気の再液化
を行うことができるので、不経済な設備を要することな
く、安定した蒸気の復液、回収を行うことが可能であ
る。
【0135】ここで、回収タンク20に洗浄液の蒸気を
導入して冷却液化した際に、回収タンク20内の洗浄液
の温度上昇がどの程度となるかを試算する。一般的に、
被洗浄物1の洗浄後に回収タンク20に回収される洗浄
液の量は洗浄容器2内に残る洗浄液の量の50〜100
倍であるが、回収タンク20内にはこれに加えて元々残
っている洗浄液があるから、これを加えて回収タンク2
0内に貯留される洗浄液の量を洗浄容器2内に残る洗浄
液の量の100倍とする。また、洗浄液として灯油等の
軟質油か軽油を用いるものとすると、蒸発した洗浄液を
冷却、液化して元の温度にするのにおよそ110kcal/
kgの熱の放出が必要であり、洗浄液の比熱がおよそ0.
5kcal/kg℃であることから、回収タンク20内の洗浄
液の温度は2℃強程しか上昇しないことになる。しかる
に、この程度の温度の上昇は全く問題となることはな
く、従って本実施例によれば前述のように安定した洗浄
液の蒸気の復液を行うことが可能となるのが分かる。な
お、仮にたとえ洗浄容器2内に残って蒸発する洗浄液の
量が前記の量の2倍であったとしても、温度上昇は十分
に許容される範囲であり、問題となることはない。
【0136】さらに、前記構成の洗浄装置Rでは、真空
排気された蒸気を貯留されている洗浄液中に導入して冷
却する構成であるから、例えば第1参考例の洗浄装置A
の真空排気手段3におけるコールドトラップのような凝
縮器や冷却器、あるいは減縮器等の蒸気の復液装置を必
要とせず、また再液化した洗浄液をさらに冷却するよう
な装置も不要である。また、前記第1参考例の洗浄装置
A等では、真空排気手段3における最下流側の真空ポン
プ10として油回転真空ポンプが用いられているが、か
かる油回転真空ポンプでは液化した洗浄液が入るのを防
止する必要があるため、復液装置は最下流の真空ポンプ
よりも上流側に配置せざるを得ない。このため、排気さ
れた洗浄液の蒸気は低圧力下で液化されることとなり、
圧力が低い分だけ蒸気容積が大きくとともに液化する温
度が低くなってしまい、結果的に復液に要する装置が大
きくなり、かつ余分なエネルギーを必要とすることとな
るが、本実施例の洗浄装置Rでは、真空ポンプとして液
化する性質のあるガスを取扱い可能なものを使用すると
ともに、前述のように元々十分な容量を備えた回収タン
ク20内で蒸気を冷却、液化するため、このような問題
が生じることもない。
【0137】さらにまた、回収タンク20内に貯留され
る洗浄液の温度は、洗浄効果を高めるためには蒸発した
洗浄液を液化するのに適した温度よりも若干高めになる
ように設定されるのが好ましいが、このような構成を採
った場合には、液化しきれなかった洗浄液の蒸気が大気
中に排出されるのを防ぐために、前述したようなガスク
ーラー228や、ミストトラップ229あるいは吸着装
置(デミスター)を回収タンク20に設ける必要があ
る。しかしながら、前記構成の洗浄装置Rでは、回収タ
ンク20に導入された蒸気は、吹き込みノズル225に
設けられた円柱状部材232…の隙間237…から泡沫
状となって貯留された洗浄液中に排出されるため、排出
蒸気量に関わらず冷却効率が高く、液化しきれない蒸気
量をきわめて微量に抑えることができる。例えば、大気
圧状態においては、ポンプの排出能力の0.01%程度
のごく僅かなものであり、このため前記ガスクーラー2
28やミストトラップ229としては、洗浄液による臭
気の発生防止などのための、きわめて小さなもので十分
となる。このように、前記構成の洗浄装置Rによれば、
装置の構造をきわめて簡略化することが可能となるので
ある。
【0138】また、本実施例の洗浄装置Rでは、洗浄液
の蒸気を回収タンク20に貯留された洗浄液中に導入す
る吹き込みノズル225が、前述のように多数の円柱状
部材232…を備えており、前記蒸気はこれらの円柱状
部材232…間の隙間237…から前記洗浄液中に泡沫
状となって排出される。このため、洗浄液中への吹き込
み時の圧力損失を小さく抑えることができ、例えば一般
的な液中への吹き込みに用いられる小孔ノズル群による
吹き込みなどに比べて、より小さな圧力差でも均一な吹
き込みを行うことが可能となる。また、この円柱状部材
232…は金属製であって熱伝導性が高く、すなわち吹
き込みノズル225そのものにも冷却能力があるので、
蒸気の排出量等の変動にもいっそう幅広く対応すること
が可能である。この点、例えば一般的な多管式の熱交換
器などでは、ガス量が小さくなると熱伝達率が大幅に小
さくなり、また偏流もあって、却って冷却が阻害される
ことがある。さらに、前記洗浄装置Rでは、この吹き込
みノズル225の周囲に金網236…を積層して成るフ
ィルター235が配設されており、これによって泡沫状
に排出された蒸気をより効率的に冷却して速やかな液化
を図ることが可能となる。
【0139】次に、図42は本発明の第実施例の洗浄
装置Sを示すものであって、前記第1実施例の洗浄装置
Rに用いた真空排気手段3を、被洗浄物1を浸漬するべ
く洗浄液が貯留される洗浄槽241が洗浄容器2に備え
られた洗浄装置に適用し、真空排気された洗浄液の蒸気
をこの洗浄槽241に貯留される洗浄液中に導入して冷
却、液化することを特徴とするものである。本第実施
例の洗浄装置Sでは、真空排気手段3を備えた真空乾燥
室242と洗浄容器2とが隣接して配置され、真空乾燥
室242はその前面部および背面部に入出口を有し、こ
の真空乾燥室242の出口が洗浄容器2の入口となる構
成であり、これらの入出口にはそれぞれ、内部を真空に
保持可能な扉243,244が設けられている。また、
真空乾燥室242の入口側には架台等の装入装置245
が配置されている。さらに洗浄容器2内には、前記第1
参考例の洗浄装置Lと同様昇降台等を備えたリフター
246が配設されており、このリフター246の下方
に、被洗浄物1を浸漬するべく洗浄液が貯留される前記
洗浄槽241が設けられている。
【0140】そして、本実施例では、真空排気手段3の
3方向弁223から延びる吹き込み管226が前記洗浄
槽241にまで達し、この洗浄槽241内に貯留される
洗浄液中に吹き込みノズル225が配置された構成とな
っている。ここで、この吹き込みノズル225は、前記
第1実施例の洗浄装置Rと同様の構成を備えており、ま
た図示は略するがその周囲には、多数の網目を備えたフ
ィルター235が配設されている。なお、この洗浄装置
Sでは、洗浄容器2と真空乾燥室242との双方に、窒
素ガス等の不活性ガスの吹き込み配管227がそれぞれ
設けられている。
【0141】一方、この第実施例の洗浄装置Sには、
洗浄槽241に貯留される洗浄液を清浄化すべく蒸留す
るための第1の蒸留手段141Aと第2の蒸留手段14
1Bとが設けられている。第1の蒸留手段141Aは、
洗浄槽241から導入管154A、流量調節弁247
A、および予熱器248を介して第1の蒸留器151A
に至り、さらに凝縮器152A、流量調節弁249A、
およびポンプ21Dを介して返送管158から再び洗浄
槽241に至る循環経路を備えている。また、第2の蒸
留手段141Bは、第1の蒸留器151Aから導入管1
54B、流量調節弁247B、およびポンプ21Eを介
して第2の蒸留器151Bに至り、さらに凝縮器152
B、流量調節弁249B、およびポンプ21Fを介して
前記返送管158から洗浄槽241に至る循環経路を備
えている。さらに、この第2の蒸留器151Bには、排
出管162、冷却器250、流量調節弁251、ポンプ
21Gを介して廃液タンク252に至る排出経路が備え
られている。
【0142】このような構成の洗浄装置Sでは、被洗浄
物1は装入装置245上に載置されてまず真空乾燥室2
42に送られる。次いで、この真空乾燥室242内の雰
囲気を窒素ガスに置換した後、被洗浄物1は洗浄容器2
内に送り込まれ、リフター246によって洗浄槽241
内の洗浄液に浸漬されて洗浄される。洗浄が終了して引
き上げられた被洗浄物1は真空乾燥室242に戻され、
ここで真空排気手段3によって付着した洗浄液が気化さ
れて真空乾燥される。この真空乾燥が終了したなら、真
空乾燥室242内を窒素ガスで大気圧に復圧してから、
被洗浄物1を装入装置245に取り出す。なお、洗浄槽
241内に貯留される洗浄液は、60℃程度の真空乾燥
し易い温度に予熱しておくことが望ましい。そして、真
空乾燥室242から真空排気された洗浄液の蒸気は、前
記第1実施例の洗浄装置Rと同じく真空ポンプ221、
222、3方向弁224、および吹き込み管226を経
て、吹き込みノズル225から洗浄液中に導入されて冷
却、液化されるが、本第実施例の洗浄装置Sではこの
吹き出しノズル225は前記洗浄容器2の洗浄槽241
内に配置されており、排気された洗浄液の蒸気は該洗浄
槽241内の洗浄液によって冷却されて液化されること
となる。
【0143】このように、本第実施例の洗浄装置Sに
おいても、真空排気された洗浄液の蒸気は被洗浄物1を
洗浄するべく貯留される洗浄液中に導入されることによ
って冷却、液化されるため、前記第1実施例の洗浄装置
Rと同様の効果を得ることができる。すなわち、真空乾
燥時の洗浄液の蒸気の排出速度に関わりなく、かつ簡略
な装置構造で経済的に復液、回収を行うことが可能であ
る。ところで前記洗浄装置Rでは、前記蒸気を導入した
際の回収タンク20内に貯留される洗浄液の温度上昇
を、回収タンク20内に貯留される洗浄液の量を被洗浄
物1に付着して蒸発、回収される洗浄液の量の100倍
として試算したが、本第実施例のように被洗浄物1を
洗浄するべく洗浄槽241に貯留される洗浄液の量は、
被洗浄物1に付着して蒸発、回収される洗浄液の量より
も比較にならないほど大きい。従って、この被洗浄物1
に付着していた洗浄液が蒸発して再液化する際に必要と
される冷却熱量を洗浄槽241内の洗浄液の温度上昇で
まかなうとしても、その上昇値は無視し得る程度に抑え
ることが可能である。
【0144】なお、本第実施例の洗浄装置Sでは、洗
浄槽241に貯留される洗浄液を清浄化するべく蒸留す
るための第1および第2の蒸留手段141A、141B
が設けられているが、以下にこれらの蒸留手段141
A、141Bの作用を説明する。まず、洗浄槽241に
貯留される洗浄液は、常時予熱器248を経て第1の蒸
留器151A内の洗浄液と略同一温度に予熱されてか
ら、この第1の蒸留器151Aに送られている。この第
1の蒸留器151Aは真空蒸留式のもので、常時所定の
蒸留温度および圧力に維持されており、洗浄槽241内
の洗浄液はこの蒸留器151A内との圧力差によって該
第1の蒸留器151Aに送り込まれる。そして、この第
1の蒸留器151Aにおいて加熱されて蒸発した洗浄液
は凝縮器152Aにおいて再液化され、清浄化されてポ
ンプ21Dによって洗浄槽241に送り返される。
【0145】一方、第1の蒸留器151Aに残留した残
液はポンプ21Eによって第2の蒸留器151Bに送ら
れ、ここで再び加熱されて蒸発し、凝縮器152Bにお
いて再液化されて清浄化された後にポンプ21Fによっ
て返送管148から洗浄槽241に送り返される。ま
た、この第2の蒸留器151Bにおいて残留した残液
は、冷却器250、ポンプ21Gを経て廃液タンク25
2に排出される。なお、第2の蒸留器151Bにおいて
は、第1の蒸留器151Aに比べて蒸留する洗浄液の量
が少なく、かつ汚れ成分の濃度が高いので、蒸留器の大
きさは小さくなる反面、蒸留温度は高くなる。このよう
に、本第実施例の洗浄装置Sによれば、第1および第
2の蒸留手段141A、141Bによって洗浄槽241
に貯留されるべき洗浄液をその汚れの度合に応じて複数
の段階で清浄化することにより、被洗浄物1を洗浄する
べく洗浄槽241に貯留される洗浄液を清浄に保ちつつ
もその効率的な利用を図り、廃液とされる洗浄液の量を
最小限とすることが可能となる。なお、この第実施例
の洗浄装置Sでは蒸留手段141を2段としたが、被洗
浄物1に付着する汚れ成分の蒸気圧が洗浄液の蒸気圧に
近く、両者を蒸留分離し難い場合などには、さらに多段
の蒸留手段を用いようにしてもよい。
【0146】次に、図43ないし図45は、本発明の第
実施例の洗浄装置Tを示すものである。この洗浄装置
Tでは被洗浄物1の洗浄を、洗浄液を洗浄ノズル22か
ら吹き掛けることによって被洗浄部1に付着した汚れ成
分の大半を除去する予備洗浄と、次いで被洗浄物1を洗
浄液中に浸漬してさらに洗浄する主洗浄と、最後に清浄
度の高い洗浄液を被洗浄物1に吹き掛けることによって
被洗浄物1のさらに清浄にする仕上げ洗浄とにより行う
一方、主洗浄に用いられた洗浄液を清浄化するべく第1
の蒸留手段141Aにより蒸留して仕上げ洗浄に用いる
とともに、予備洗浄に用いられた比較的汚れ濃度の高い
洗浄液と、第1の蒸留手段141Aにより生じた残液と
を第2の蒸留手段141Bによって蒸留して再び予備洗
浄液として使用することを特徴としている。
【0147】図43は本第実施例の洗浄装置Tの系統
図を示すものであるが、この図に示されるように当該洗
浄装置Tは、洗浄容器2に予備洗浄用の洗浄液を循環供
給する予備洗浄手段261と、主洗浄用の洗浄液を供給
する主洗浄手段262と、仕上げ洗浄用の洗浄液を供給
する仕上げ洗浄手段263とを備えており、主洗浄手段
262および仕上げ洗浄手段263には第1の蒸留手段
141Aが、また予備洗浄手段261には第2の蒸留手
段141Bがそれぞれ設けられている。なお、本実施例
では、洗浄容器2内を負圧とするための真空排気手段3
は、前記第1実施例および第実施例の洗浄装置R,S
と同様、真空排気された洗浄液の蒸気を被洗浄物1を洗
浄すべく保持される洗浄液中に導入可能な構成とされて
いる。
【0148】本第実施例における洗浄容器2は、図4
4に示すように被洗浄物1を浸漬するべく洗浄液(主洗
浄液)が貯留可能な縦型の箱状のものとされるととも
に、その内部上縁には被洗浄物1に洗浄液(予備洗浄液
および仕上げ洗浄液)を吹き掛けるための洗浄ノズル2
2が配設されており、また洗浄容器2の上部には図示し
ないエアシリンダにより水平方向に開閉可能な扉6が設
けられている。さらに、洗浄容器2内の底部には、被洗
浄物1に付着する切屑等を捕集するためのフィルター2
64が設けられている。なお、洗浄容器2は、このよう
な縦型に限るものではないが、被洗浄物1を主洗浄液に
よって浸漬した際に、万一何らかの異常によって扉6が
開いても洗浄液が漏れるおそれがないことなどから、縦
型が好ましい。
【0149】さらに、この洗浄容器2の下部には排出・
導入配管265が接続されており、この配管265は途
中で2方向に分岐して、一方が予備洗浄手段261に接
続されるとともに、他方は主洗浄手段262に接続され
る。前記予備洗浄手段261には、前記配管265から
予備洗浄液の回収タンク20Aを介し導入管154Bを
通って第2の蒸留手段141Bの蒸留器151Bに至
り、次いで凝縮器152Bから予備洗浄液の供給タンク
142Aを経て洗浄液の供給配管266から洗浄ノズル
22に至る予備洗浄液の循環経路が備えられている。一
方、前記主洗浄手段262には、前記配管265から分
岐して洗浄液(主洗浄液および仕上げ洗浄液)の回収・
供給タンク20B内に延びる洗浄液の回収・供給配管2
67が備えられている。さらに、この回収・供給タンク
20Bには、導入管1154Aを介して第1の蒸留手段
141Aの蒸留器151Aに至り、次いで凝縮器152
Aから仕上げ洗浄液の供給タンク142Bを経て前記供
給配管266に統合されて洗浄ノズル22に至る仕上げ
洗浄液の循環経路が備えられている。
【0150】なお、前記真空排気手段3は前述の通り真
空排気された洗浄液の蒸気を洗浄液中に導入可能な構成
となっているが、この洗浄液の蒸気は吹き込み管266
および吹き込みノズル225を介して前記洗浄液の回収
・供給タンク20B内に貯留される洗浄液中に導入され
るようになっている。また、第1および第2の蒸留手段
141A、141Bの凝縮器152A、152Bも、こ
の回収・供給タンク20B内に配置されて、この回収・
供給タンク20B内に貯留される洗浄液によって蒸留さ
れた洗浄液の蒸気が冷却されるようになっている。さら
に、前記予備洗浄液および仕上げ洗浄液の供給タンク1
42A、142Bには真空ポンプ268が配設されて真
空排気手段164を構成しており、各供給タンク142
A、142Bおよび凝縮器152B、152Aを介して
蒸留器151B、151A内を真空引きすることによ
り、回収タンク20Aおよび回収・供給タンク20B内
に回収された洗浄液がそれぞれ蒸留器151B、151
Aに導入されるようになっている。さらにまた、各供給
タンク142A、142Bには窒素ガス等の加圧ガス供
給手段182が設けられていて、供給タンク142A、
142B内に貯留された洗浄液を加圧することにより、
予備洗浄液および仕上げ洗浄液がそれぞれ洗浄容器2に
供給されるようになっている。
【0151】これに加えて本第実施例の洗浄装置Tで
は、第1の蒸留手段141Aの蒸留器151Aにおける
残液の排出管162Aが排出弁163Aを介して第2の
蒸留手段141Bの導入管154Bに接続されており、
前記第1の蒸留手段141Aの残液を第2の蒸留手段1
41Bによって蒸留可能な構成となっている。さらに、
第1の蒸留手段141Aの導入管154Aと第2の蒸留
手段141Bの導入管154Bとは、閉止弁268を備
えた接続配管269を介して接続されており、これによ
って前記回収・供給タンク20B内の洗浄液は導入管1
54Bから第2の蒸留手段141Bに導入可能とされて
いる。また、第2の蒸留手段141Bの蒸留器151B
における残液は、排出管162Bを経て廃液タンク25
2に回収される。なお、符号270A、270Bで示す
のは、予備洗浄液および仕上げ洗浄液の供給タンク14
2A、142Bから供給配管266に至る途中にそれぞ
れ設けられる電磁弁である。
【0152】次に、このような構成の洗浄装置Tによっ
て被洗浄物1を洗浄する場合について、図45をまじえ
て説明する。本第実施例の洗浄装置Tにおいては、被
洗浄物1はバスケット7に入れられるなどして図示しな
い装入装置により洗浄容器2内に収納される。ここで洗
浄開始前は、図45(ニ)に示すように予備洗浄液の供
給タンク142Aは蒸留された洗浄液で略満たされ、ま
た供給タンク142Bはその1/3程度が蒸留された洗
浄液で満たされている。そして、電磁弁270Aおよび
閉止弁26Aを開くとともに閉止弁26Bを閉じ、加圧
ガス供給手段182によって供給タンク142A内の洗
浄液のみを加圧することにより、図45(イ)に示すよ
うに予備洗浄液を供給配管266から洗浄ノズル22に
供給して洗浄容器2内の被洗浄物1に吹き掛け、予備洗
浄を施す。なお、予備洗浄終了後の洗浄液は、除去され
た切屑等の付着物がフィルター264により捕集され
て、排出・導入配管265から予備洗浄液の回収タンク
20Aに回収される。
【0153】次いで、回収・供給タンク20Bから洗浄
容器2に洗浄液を供給して被洗浄物1を浸漬することに
より主洗浄を行うが、本実施例ではこの回収・供給タン
ク20Bからの洗浄液の供給を、排出・導入配管265
を通して洗浄容器2に洗浄液を吸い上げることによって
行う。すなわち、予備洗浄が終了して洗浄液が回収タン
ク20Aに回収されたなら閉止弁26Aを閉じ、次いで
真空排気手段3によって洗浄容器2内を負圧とする。し
かる後、閉止弁26Bを開くことにより、図45(ロ)
に示すように、回収・供給タンク20B内に貯留された
洗浄液を回収・供給配管267および排出・導入配管2
65を通して洗浄容器2内に吸い込み、被洗浄物1を浸
漬するのである。こうして、主洗浄が終了した後の洗浄
液は、再び排出・導入配管265および回収・供給配管
267を通って回収・供給タンク20Bに回収される。
なお、この主洗浄における洗浄効果を向上させるため
に、被洗浄物1を洗浄容器2内で揺動しつつ主洗浄を行
うようにしてもよい。また、同様の効果を得るために、
洗浄液を回収・供給タンク20Bに回収し、再び洗浄容
器2内に吸い込むという操作を繰り返し、洗浄容器2内
の洗浄液の液面を昇降させるようにしてもよい。
【0154】このように主洗浄が終了して洗浄液が回収
・供給タンク20Bに回収されたなら、閉止弁26Aを
閉じ、かつ閉止弁26Bは開いた状態のまま、仕上げ洗
浄液の供給タンク142Bのみに加圧ガス供給手段18
2から加圧ガスを供給することにより、図45(ハ)に
示すように供給配管266を通して洗浄ノズル22から
仕上げ洗浄液を被洗浄物1に吹き掛けて仕上げ洗浄を行
う。なお仕上げ洗浄が終了した後の洗浄液は、排出・導
入配管265および回収・供給配管267を通って回収
・供給タンク20Bに回収され、前記主洗浄が終了した
後の洗浄液に混同される。被洗浄物1の洗浄が終了した
なら、閉止弁26Bも閉じ、真空排気手段3によって洗
浄容器2内を真空排気して、被洗浄物1に付着した洗浄
液(仕上げ洗浄液)を蒸発させて被洗浄物1を真空乾燥
する。なお、排気された洗浄液の蒸気は、吹き込み管2
26を通って吹き込みノズル225から回収・供給タン
ク20B内に貯留される洗浄液中に導入され、冷却、液
化される。
【0155】一方、前記回収・供給タンク20Bに回収
された洗浄後の主洗浄液および仕上げ洗浄液は、第1の
蒸留手段141Aによって蒸留されて清浄化された後、
仕上げ洗浄液として供給タンク142Bに送られる。な
お、本第実施例の洗浄装置Tでは、後述する第2の蒸
留手段141Bによる蒸留も含めて、蒸留作業は回分式
(バッチ式)単蒸留により行われる。この第1の蒸留手
段141Aによる蒸留の前には、第1の蒸留器151A
内は洗浄液が残っていない状態となっている。そこで、
この状態から真空排気手段164により仕上げ洗浄液の
供給タンク142Bおよび凝縮器152Aを介して第1
の蒸留器151A内を真空引きするとともに、導入管1
54Aの閉止弁155Aを開いて回収・供給タンク20
B内の洗浄液を蒸留器151A内に導入する。そして、
この蒸留器151A内で洗浄液が所定の液面レベルに達
したなら、これを図示しない液面計によって検知してそ
の検知信号により閉止弁155Aを閉じ、さらに所定の
圧力(例えば30Torr)に到達したならその圧力で
圧力制御する。なお、本実施例ではON−OFF制御が
採用されている。
【0156】蒸留器151A内に所定量の洗浄液が貯留
されたなら、この蒸留器151Aの底部に配置された図
示されない電気加熱装置により蒸留を行う。なお、この
加熱は蒸気加熱によって行うようにしてもよい。前述の
ように圧力を制御しながら洗浄液を加熱してゆくと、洗
浄液の沸点および洗浄液中の汚れ成分の濃度により決定
される特定の温度(例えば90℃)で蒸留が始まる。そ
して、これにより蒸発した洗浄液の蒸気は凝縮器152
Aによって冷却されて再液化され、仕上げ洗浄液の供給
タンク142Bに貯留される。なお、前記真空排気手段
164による蒸留器151A内の真空引きは、この供給
タンク142Bを介して行われるため、供給タンク14
2B内の圧力は蒸留器151A内の圧力と略同一となっ
ている。
【0157】こうして蒸留が進行し、蒸留器151A内
に貯留された洗浄液が所定の量にまで減少して洗浄液の
液面が所定の液面レベルにまで低下すると、これを図示
しない他の液面計によって検知して、その検知信号によ
り蒸留を停止する。ここで本実施例では、蒸留器151
A内に最初に貯留された洗浄液の量の90%が蒸留され
たところで蒸留が停止されるようになっているが、この
蒸留の比率は蒸留された洗浄液に要求される純度によっ
て決定され、より高い純度が必要とされる場合には、前
記比率は低く抑えられるのが望ましい。蒸留が終了する
と、加熱を停止し、次いで蒸留器151A内に大気圧と
なるまで窒素ガスを導入する。なお、蒸留器151A内
に残留した蒸留後の残液は、後述するように蒸留器15
1Aの排出管152Aの排出弁163Aを開くことによ
り、第2の蒸留手段141Bの蒸留器151Bに導入さ
れる。
【0158】一方、第2の蒸留手段141Bの蒸留器1
51Bは、構成は第1の蒸留手段141Aの蒸留器15
1Aと略同一であるが、容量等の蒸留能力はおよそ半分
程度とされている。これは、予備洗浄に用いられる洗浄
液の量は、予備洗浄ができなくなったり洗浄後の予備洗
浄液の濃度が著しく高くならない限りは、できるだけ少
ない方が望ましいからである。この蒸留器151Bへの
洗浄液の導入も、前記真空排気手段164により供給タ
ンク142Aおよび凝縮器152Bを介して蒸留器15
1B内を真空引きすることにより行われる。すなわち、
この真空引きと同時に第2の蒸留手段141Bの導入管
154Bの閉止弁155Bを開き、回収タンク20A内
に貯留された洗浄後の予備洗浄液を吸引し、蒸留器15
1Bに導入する。なお、この蒸留器151Bにも所定の
液面レベルに合わせて図示しない液面計が設置されてい
る。また前記回収タンク20Aにも、内部に貯留される
洗浄液の液面が最低となったことを検知する液面計が設
置されていて、この回収タンク20Aの液面計からの信
号によって前記閉止弁155Bが閉じて、回収タンク2
0Aからの洗浄液の導入が停止するように設定されてい
る。
【0159】ところで、予備洗浄において洗浄液は被洗
浄物1や洗浄容器2の内壁などに付着してしまうため、
回収タンク20Aに回収される予備洗浄液の量は、洗浄
容器2に供給される供給される量に対して減少すること
となる。この付着した洗浄液は主洗浄において主洗浄液
とともに回収・供給タンク20Bに回収されるが、この
減少分だけ、予備洗浄液として循環する洗浄液に不足が
生じることとなる。そこで、前記回収タンク20Aから
の洗浄液の導入が終了した状態で、蒸留器151Bの液
面計により所定の液面レベルにまで洗浄液が貯留されて
いないことが検知されたなら、閉止弁268を開いて前
記回収・供給タンク20Bから接続配管269を通して
蒸留器151Bに洗浄液を導入し、不足分を補う。ただ
し、この蒸留器151Bの液面レベルは、後述する第1
の蒸留手段141Aからの残液の量を考慮したものとな
っている。蒸留器151B内の洗浄液が液面レベルに達
したなら閉止弁268を閉じ、しかる後第1の蒸留手段
141Aの蒸留器151Aと同様、圧力制御して加熱を
行う。この加熱の段階において第1の蒸留手段141A
における蒸留が終了して排出弁163Aが開かれ、両蒸
留器151Aと141Bとの間の圧力差により蒸留器1
51Aの残液が蒸留器151Bに導入される。
【0160】この第2の蒸留手段によって清浄化された
洗浄液は、凝縮器152Bによって再液化された後に供
給タンク142Aに貯留され、再び予備洗浄液として使
用される。この蒸留は、蒸留器151Bに導入された洗
浄液の95%程度が蒸留されたところで終了し、残った
残液は該蒸留器151B内に窒素ガスを吹き込むことに
より排出管162Bから廃液タンク252に排出され
る。なお本実施例では、この第2の蒸留手段141Bに
おける蒸留の比率は、前述した第1の蒸留手段141A
における比率よりも高く設定されているが、これは予備
洗浄液として用いるには他の主洗浄液や仕上げ洗浄液ほ
どの純度は必ずしも要求されないことや、廃液タンク2
52に排出される残液の量を少なくして洗浄液の利用効
率を高めること、あるいは蒸留器151Bの蒸留能力を
小さくして設備の簡略化を図ることなどの理由による。
【0161】このように前記構成の洗浄装置Tによれ
ば、予備洗浄によって被洗浄物1に付着する汚れ成分の
大半を除去した後、被洗浄物1を洗浄液に浸漬する主洗
浄を施し、さらに清浄な洗浄液によって仕上げ洗浄を行
うことにより、きわめて高い清浄度に被洗浄物1を洗浄
することが可能となる。また、洗浄が終了した後の仕上
げ洗浄液を主洗浄液として使用するとともに、この主洗
浄液を蒸留して仕上げ洗浄液として使用することによ
り、きわめて効率的かつ経済的な洗浄液の利用を図るこ
とができる一方、汚れ成分濃度が高くなりがちな予備洗
浄液は単独で蒸留、再利用することにより、主洗浄液や
仕上げ洗浄液の純度が低下するのを防いで高い洗浄効果
を維持することが可能である。さらに、本実施例では第
1および第2の蒸留手段141A、141Bが回分式の
蒸留手段を採っているから、蒸留器151A、151B
内に残留する残液の汚れ成分濃度が著しく高くなるのを
防ぐことができ、これによって循環する洗浄液の平均汚
れ成分濃度を低く抑えて洗浄効率の劣化を防止すること
が可能である。また、回分式蒸留を採ることによって洗
浄液の循環を圧力差によって行うことができ、設備の単
純化を図ることができるという利点も得られる。
【0162】次に図46および図47は、本発明の第
実施例の洗浄装置Uを示すものであり、洗浄容器2が、
洗浄ノズル22を備えた第1の洗浄容器2Aと、洗浄槽
241を備えた第2の洗浄容器2Bとから構成され、第
1の洗浄容器2Aにおいて予備洗浄および仕上げ洗浄を
行うとともに、第2の洗浄容器2Bにおいて主洗浄を行
うようにしたことを特徴とするものである。すなわち、
本実施例における洗浄容器2は、図42に示した第
施例の洗浄装置Sと同様、真空排気手段3を備えて真空
乾燥室を兼ねる第1の洗浄容器2A(第実施例では真
空乾燥室242)と第2の洗浄容器2Bとが隣接して配
置され、第1の洗浄容器2Aはその前面部および背面部
に入出口を有し、この第1の洗浄容器2Aの出口が第2
の洗浄容器2Bの入口となる構成とされている。また、
第1の洗浄容器2Aの入口側には架台等の装入装置24
5が配置されており、一方第2の洗浄容器2B内には上
下動自在にリフター246が配設されていて、このリフ
ター246の下方に、被洗浄物1を浸漬するべく洗浄液
が貯留される前記洗浄槽241が設けられている。
【0163】そして、前記第1の洗浄容器2A内上部に
は、洗浄液(予備洗浄液および仕上げ洗浄液)を被洗浄
物1に吹き掛けるための洗浄ノズル22が配設され、ま
たこの第1の洗浄容器2Aの底部には、洗浄後の予備洗
浄液を回収するための回収管24Bが設けられて、予備
洗浄液の回収タンク20Aに接続されている。一方、第
2の洗浄容器2Bの洗浄槽241には、循環ポンプ21
およびフィルター27備えた導入管154Aが設けられ
て洗浄槽241内の主洗浄液を循環させるとともに、そ
の一部を第1の蒸留手段141Aに供給して清浄化し、
仕上げ洗浄液の供給タンク142Bに貯留するようにな
されている。また、第2の蒸留手段141Bは前記第
実施例と同様、回収タンク20Aから導入された洗浄後
の予備洗浄液と第1の蒸留手段141Aの蒸留器151
Aの残液とを清浄化して、予備洗浄液の供給タンク14
2Aに貯留するようになされている。
【0164】このような構成の洗浄装置Uでは、まず図
47(ニ)の待機状態から装入装置245によって第1
の洗浄容器2Aに被洗浄物1を装入し、次いで図47
(イ)に示すように予備洗浄液の供給タンク142Aか
ら洗浄ノズル22に洗浄液を供給して被洗浄物1に吹き
掛け、予備洗浄を行う。この予備洗浄終了後の洗浄液は
回収管24Bから回収タンク20Aに回収される。次に
被洗浄物1を第2の洗浄容器2Bに移し、リフター24
6により降下させて、図47(ロ)に示すように洗浄槽
241内に貯留された主洗浄液に浸漬することによって
主洗浄を行う。さらに、こうして主洗浄が終了した被洗
浄物を再び第1の洗浄容器2Aに戻し、図47(ハ)に
示すように供給タンク142Bから洗浄ノズル22に仕
上げ洗浄液を供給して仕上げ洗浄を行い、しかる後この
第1の洗浄容器2A内を真空排気手段3により真空排気
して被洗浄物1を真空乾燥させ、洗浄が終了する。な
お、仕上げ洗浄が終了した後の洗浄液は、第1の洗浄容
器2Aから第2の洗浄容器2Bへと流下して洗浄槽24
1内に回収される。また、真空排気された洗浄液の蒸気
は、吹き込み管226を通って吹き込みノズル225か
ら洗浄槽241内に導入されて再液化される。
【0165】このように本第実施例の洗浄装置Uにお
いても、予備洗浄によって被洗浄物1に付着する汚れ成
分の大半を除去した後、主洗浄によって被洗浄物1を洗
浄液に浸漬し、さらに清浄な仕上げ洗浄液によって仕上
げ洗浄を施すことにより、きわめて高い清浄度に被洗浄
物1を洗浄することができる。また、洗浄終了後の仕上
げ洗浄液は第2の洗浄容器2Bの洗浄槽241に回収さ
れて主洗浄に供され、かつ主洗浄液は第1の蒸留手段1
41Aによって清浄化されて仕上げ洗浄液として使用さ
れるので、洗浄液の効率的な利用を図れるとともに、汚
れ成分濃度の高い予備洗浄液はこれとは独立して循環、
蒸留されるため、主洗浄液および仕上げ洗浄液の純度を
維持することができる。さらに、本第実施例において
は、予備洗浄を行う第1の洗浄容器2Aと主洗浄を行う
第2の洗浄容器2Bとが分かれているので、予備洗浄後
に第1の洗浄容器2Aの内壁に付着した汚れ成分濃度の
高い洗浄液が第2の洗浄容器2Bの洗浄槽241に混入
するのを防ぐことができ、洗浄槽241に貯留される仕
上げ洗浄液を常に清浄に保つことができるという利点が
得られる。
【0166】次に図48は、本発明の第実施例の洗浄
装置Vを示すものであり、前記第実施例の洗浄装置T
が洗浄液の蒸留を回分式単蒸留により行っていたのに対
し、これを連続式蒸留によって行うことを特徴としてい
る。すなわち本第実施例では、回収・供給タンク20
Bの洗浄液を清浄化する第1の蒸留手段141Aの蒸留
器151Aに残留した残液は、前記第実施例の洗浄装
置Tのように第2の蒸留手段141Bの蒸留器151B
に導入されることはなく、凝縮器152Cを経て予備洗
浄液の供給タンク142Aに給送されるようになされて
いる。また、蒸留が連続的に行われるために、各凝縮器
152A〜Cから供給タンク142Aまたは142Bに
向かう管路には、それぞれポンプ271A〜Cおよび逆
止弁272A〜Cが設けられている。さらに各供給タン
ク142A,142Bには、オーバーフローする洗浄液
を回収・供給タンク20Bに導入するオーバーフロー管
273が設けられている。
【0167】このような構成の洗浄装置Vにおいても、
被洗浄物1は前記第実施例の洗浄装置Tと同様に予備
洗浄、主洗浄、および仕上げ洗浄が施されることによ
り、高い清浄度に洗浄される。なお、この第実施例の
洗浄装置Vにおいて第1の蒸留手段141Aの残液を、
第2の蒸留手段141Bによって蒸留せずに予備洗浄液
の供給タンク142Aに直接的に給送しているのは、こ
れを第2の蒸留手段141Bに給送して洗浄後の予備洗
浄液とともに蒸留しようとすると、蒸留方法が連続式で
あるために第2の蒸留手段141Bの蒸留能力を大きく
しなければならないからである。
【0168】以上で本発明の実施例を説明してきたが、
本発明は前記各実施例に限定されるものではなく、それ
ら各実施例や、これらと参考例の洗浄装置A〜Qとを適
宜組み合わせるようにしても良い。例えば、第2参考
の洗浄装置Bにおいて循環ポンプ21の入側に設けた冷
却器28は、洗浄液の循環にポンプを用いる他の実施例
のポンプの入側にも設置することが良く、第3参考例の
洗浄装置Cにおいて設けた冷却循環手段30は、第
いし第実施例の洗浄装置T,U,Vの仕上げ洗浄手段
263等にも付加することができる。さらに、例えば第
1および第実施例の洗浄装置R,Sに設けた真空排気
手段3は、参考例の真空排気手段3に適用するようにし
てもよい。
【0169】また、前記各実施例では洗浄液として灯油
を用いるようにしたが、環境を汚染するおそれがなく、
取り扱いが容易なものであれば、被洗浄物の種類やその
汚れ成分に応じて例えば軽油等の他、洗浄剤として精製
された石油系の溶剤や、場合によっては単なる水を用い
ることでも良い。そして、使用する洗浄液に応じてその
加熱温度や真空乾燥時における洗浄容器内の真空度を最
適に設定すれば良いことはいうまでもない。
【0170】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
の洗浄方法によれば、洗浄容器に収納された被洗浄物を
洗浄液により洗浄した後、洗浄容器内を負圧とすること
により被洗浄物表面に付着している洗浄液を蒸発させて
除去して被洗浄物を真空乾燥させるから、洗浄液として
環境を汚染するおそれのある溶剤を用いずとも優れた洗
浄効果を奏することができる。また、請求項2の洗浄方
法では、まず洗浄容器内を負圧として予備脱脂した後に
洗浄を行うことにより、洗浄が効率よく行えて洗浄時間
が短縮できるとともに、洗浄液が汚れないため長時間に
わたって使用できる。さらに、請求項3の洗浄方法によ
れば、被洗浄物を加熱した後に予備脱脂を行うため、予
備脱脂が容易に行えて効率的な洗浄ができる。
【0171】
【0172】また請求項の洗浄方法では、予備洗浄に
よって汚れ成分の大半を除去した後に主洗浄を施し、さ
らに清浄度の高い洗浄液により仕上げ洗浄を行うもので
あるから、きわめて清浄に被洗浄物を洗浄することがで
きる。そして、これら請求項1〜4の洗浄方法によれ
ば、真空排気の際の洗浄液の蒸気の排出速度に関わら
ず、簡略な装置構造で経済的に蒸気の復液、回収を行う
ことが可能である。
【0173】一方、請求項の洗浄装置によれば、前記
請求項1または2の洗浄方法を効率的に実施でき、容易
に洗浄を行うことができる。また、この洗浄装置は、被
洗浄物の汚れが少ない場合には予備脱脂を行わずに洗浄
液による洗浄から始める装置として好ましく、従ってケ
ースバイケースでの洗浄を行う装置として好ましい。ま
た請求項の洗浄装置によれば、前記請求項3の洗浄方
法を効率的に実施でき、容易に洗浄を行うことができ
る。
【0174】また請求項の洗浄装置では、各室毎に洗
浄を行う機能が分かれており、前記請求項3の洗浄方法
をさらに効率的に実施することができる。
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】さらに請求項8の洗浄装置では、各室毎に
洗浄を行う機能が分けられ、洗浄容器で被洗浄物を浸漬
して洗浄できるので、請求項3の洗浄方法をさらに効率
的に実施できるとともに、洗浄液の循環手段を必要とし
ない。
【0179】そして、これら請求項5〜8の洗浄装置で
は、排気中の洗浄液の蒸気を吹き込みノズルによって洗
浄液中に導入することにより、本発明の洗浄方法を容易
に実施して、蒸気の排出速度に関わらずその冷却液化を
行うことができる。ここで、請求項の洗浄装置によれ
ば、洗浄液の蒸気の液化を効率的に促進することがで
き、さらに請求項10の洗浄装置によれば、前記吹き込
みノズルから排出される蒸気の泡沫に含まれた洗浄液成
分をも、効率よく冷却液化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる第1参考例の洗浄装置Aの系統
図である。
【図2】同装置Aの正面図である。
【図3】同装置Aの側面図である。
【図4】同装置Aにおける洗浄容器2の側断面図であ
る。
【図5】本発明に係わる第2参考例の洗浄装置Bの系統
図である。
【図6】本発明に係わる第3参考例の洗浄装置Cの系統
図である。
【図7】本発明に係わる第4参考例の洗浄装置Dの系統
図である。
【図8】同装置Dにおける洗浄容器40の平断面図であ
る。
【図9】同洗浄容器40の他の例を示す平断面図であ
る。
【図10】本発明に係わる第5参考例の洗浄装置Eの系
統図である。
【図11】本発明に係わる第6参考例の洗浄装置Fの系
統図である。
【図12】本発明に係わる第7参考例の洗浄装置Gの系
統図である。
【図13】本発明に係わる第8参考例の洗浄装置Hの系
統図である。
【図14】本発明に係わる第9参考例の洗浄装置Iの系
統図である。
【図15】同装置Iの正断面図である。
【図16】同装置Iの側面図である。
【図17】同装置Iにおける洗浄容器2の側断面図であ
る。
【図18】同装置Iにおける洗浄容器2のコールドパネ
ル92および隔壁91部分の側断面図である。
【図19】本発明に係わる第10参考例の洗浄装置Jの
側断面図である。
【図20】同装置Jの正断面図である。
【図21】同装置Jの系統図である。
【図22】本発明に係わる第11参考例の洗浄装置Kの
側断面図である。
【図23】同装置Kの系統図である。
【図24】本発明に係わる第12参考例の洗浄装置Lの
側断面図である。
【図25】本発明に係わる第13参考例の洗浄装置Mの
系統図である。
【図26】本発明に係わる第14参考例の洗浄装置Nに
おける洗浄容器2の側断面図である。
【図27】同装置Nにおける洗浄容器2の正断面図であ
る。
【図28】同装置Nの系統図である。
【図29】第14参考例に係わる洗浄液の蒸気圧と温度
の関係を示すグラフである。
【図30】本発明に係わる第15参考例の洗浄装置Oの
系統図である。
【図31】同装置Oにおいて洗浄液タンク181の底面
が洗浄容器2の底面2aより高い場合の模式図である。
【図32】本発明に係わる第16参考例の洗浄装置Pに
おいて、洗浄液が洗浄容器2に圧送された状態の系統図
である。
【図33】同装置Pにおいて、洗浄液が加圧シリンダ装
置201内に回収された状態の系統図である。
【図34】本発明に係わる第17参考例の洗浄装置Qの
系統図である。
【図35】本発明の第1実施例の洗浄装置Rの系統図で
ある。
【図36】同装置Rにおける吹き込みノズル225を示
す斜視図である。
【図37】図36におけるX断面図である。
【図38】図37におけるY断面図である。
【図39】同装置Rにおけるフィルター235を示す一
部破断斜視図である。
【図40】図39に示すフィルター235の拡大図であ
る。
【図41】図39に示すフィルター235を泡沫が上昇
する状態を示す図である。
【図42】本発明の第実施例の洗浄装置Sの系統図で
ある。
【図43】本発明の第実施例の洗浄装置Tの系統図で
ある。
【図44】同装置Tの洗浄容器2の(イ)正断面図、
(ロ)側断面図である。
【図45】同装置Tによる洗浄工程をしめす模式図であ
る。
【図46】本発明の第実施例の洗浄装置Uの系統図で
ある。
【図47】同装置Uによる洗浄工程を示す模式図であ
る。
【図48】本発明の第実施例の洗浄装置Vの系統図で
ある。
【符号の説明】
A〜V 洗浄装置 1 被洗浄物 2,40 洗浄容器 3,164 真空排気手段 4 循環手段 10,71,72,165,221,222 真空ポン
プ 20 回収タンク 21 循環ポンプ 22 洗浄ノズル 23 加熱器 28,33,176,250 冷却器 30 冷却循環手段 41 攪拌ノズル 50 貯液装置 63 残留液回収手段 73 コンデンサー 81 真空計(負圧検知手段) 91 隔壁 92 コールドパネル 101 加熱室 107 ハースローラ 121,122,242 真空乾燥室 131,241 洗浄槽 141 蒸留手段 151 蒸留器 171 不活性ガス導入手段 182 加圧ガス供給手段 201 加圧シリンダー装置 225 吹き込みノズル 235 フィルター 246 リフター 261 予備洗浄手段 262 主洗浄手段 263 仕上げ洗浄手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平4−242325 (32)優先日 平成4年9月10日(1992.9.10) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−250183 (32)優先日 平成4年9月18日(1992.9.18) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−279366 (32)優先日 平成4年9月24日(1992.9.24) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−258633 (32)優先日 平成4年9月28日(1992.9.28) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−289133 (32)優先日 平成4年10月27日(1992.10.27) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 天野 孝一 東京都江東区豊洲三丁目1番15号 石川 島播磨重工業株式会社 東二テクニカル センター内 (56)参考文献 特開 平2−203978(JP,A) 特開 平5−171481(JP,A) 特開 昭63−296881(JP,A) 実開 平3−128478(JP,U) 実開 平3−66623(JP,U) 実開 平1−110887(JP,U) 実開 平1−114091(JP,U) 実開 平1−113163(JP,U) 実開 昭61−103062(JP,U) 実開 昭62−1766(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B08B 3/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 洗浄容器に収納された被洗浄物を洗浄液
    により洗浄した後、前記洗浄容器内を負圧とすることに
    より被洗浄物表面に付着している洗浄液を蒸発させて除
    去して前記被洗浄物を真空乾燥させる洗浄方法であっ
    て、 前記被洗浄物を真空乾燥させることにより蒸発して除去
    された洗浄液の蒸気を、被洗浄物を洗浄するために保持
    された洗浄液中に導入して冷却することにより大気圧に
    て復液させる ことを特徴とする洗浄方法。
  2. 【請求項2】 被洗浄物が収納された洗浄容器内を負圧
    とすることにより、被洗浄物表面に付着している汚れ成
    分を蒸発させて除去し、その後に前記被洗浄物を洗浄液
    により洗浄し、さらに前記洗浄容器内を負圧とすること
    により被洗浄物表面に付着している洗浄液を蒸発させて
    除去して前記被洗浄物を真空乾燥する洗浄方法であっ
    て、 前記被洗浄物を真空乾燥させることにより蒸発して除去
    された洗浄液の蒸気を、被洗浄物を洗浄するために保持
    された洗浄液中に導入して冷却することにより大気圧に
    て復液させる ことを特徴とする洗浄方法。
  3. 【請求項3】 被洗浄物を加熱した後、被洗浄物が収納
    された洗浄容器内を負圧とすることにより、被洗浄物表
    面に付着している汚れ成分を蒸発させて除去し、その
    後、前記被洗浄物を洗浄液により洗浄し、さらに、前記
    容器内を負圧とすることにより被洗浄物表面に付着して
    いる洗浄液を蒸発させて除去して被洗浄物を真空乾燥さ
    せる洗浄方法であって、 前記被洗浄物を真空乾燥させることにより蒸発して除去
    された洗浄液の蒸気を、被洗浄物を洗浄するために保持
    された洗浄液中に導入して冷却することにより大気圧に
    て復液させる ことを特徴とする洗浄方法。
  4. 【請求項4】 洗浄容器内に収納された被洗浄物に予備
    洗浄液を吹き掛けることによって予備洗浄を行い、次い
    で前記被洗浄物を主洗浄液に浸漬することによって主洗
    浄を行い、さらに前記被洗浄物に仕上げ洗浄液を吹き掛
    けることによって仕上げ洗浄を行った後に、前記洗浄容
    器内を負圧とすることにより被洗浄物表面に付着してい
    る洗浄液を蒸発させて除去して被洗浄物を真空乾燥させ
    洗浄方法であって、 前記被洗浄物を真空乾燥させることにより蒸発して除去
    された洗浄液の蒸気を、被洗浄物を洗浄するために保持
    された洗浄液中に導入して冷却することにより大気圧に
    て復液させる ことを特徴とする洗浄方法。
  5. 【請求項5】 被洗浄物が収納されるとともに内部を真
    空に保持可能な洗浄容器と、その洗浄容器内を負圧とす
    るための真空排気手段と、洗浄液を前記洗浄容器に供給
    するとともにその洗浄液を洗浄容器から回収して再び供
    給する洗浄液の循環手段とを具備してなる洗浄装置であ
    って、 前記真空排気手段には、前記洗浄容器内を洗浄液を気化
    させるに十分な低圧力に維持し得る少なくとも一の真空
    ポンプと、その真空ポンプの下流側に設置されて、その
    排気中に含まれる洗浄液の蒸気を、前記被洗浄物を洗浄
    すべく保持される洗浄液中に導入して冷却液化するため
    の吹き込みノズルとが備えられている ことを特徴とする
    洗浄装置。
  6. 【請求項6】 被洗浄物が収納されるとともに加熱され
    る加熱室と、被洗浄物が収納されるとともに内部を真空
    に保持可能な洗浄容器と、その洗浄容器内を負圧とする
    ための真空排気手段と、洗浄液を前記洗浄容器に供給す
    るとともにその洗浄液を洗浄容器から回収して再び供給
    する洗浄液の循環手段とを具備してなる洗浄装置であっ
    て、 前記真空排気手段には、前記洗浄容器内を洗浄液を気化
    させるに十分な低圧力に維持し得る少なくとも一の真空
    ポンプと、その真空ポンプの下流側に設置されて、その
    排気中に含まれる洗浄液の蒸気を、前記被洗浄物を洗浄
    すべく保持される洗浄液中に導入して冷却液化するため
    の吹き込みノズルとが備えられている ことを特徴とする
    洗浄装置。
  7. 【請求項7】 被洗浄物が収納されるとともに加熱され
    る加熱室と、 前記被洗浄物が収納されるとともに内部を真空に保持可
    能な第一真空乾燥室と、前記第一真空乾燥室内を負圧と
    するための真空排気手段と、 前記被洗浄物が収納されるとともに洗浄される洗浄容器
    と、 洗浄液を前記洗浄容器に供給するとともにその洗浄液を
    洗浄容器から回収して再び供給する洗浄液の循環手段
    と、 前記被洗浄物が収納されるとともに内部を真空に保持可
    能な第二真空乾燥室と、前記第二真空乾燥室内を負圧と
    するための真空排気手段とを具備してなる洗浄装置であ
    って、 前記真空排気手段には、前記洗浄容器内を洗浄液を気化
    させるに十分な低圧力に維持し得る少なくとも一の真空
    ポンプと、その真空ポンプの下流側に設置されて、その
    排気中に含まれる洗浄液の蒸気を、前記被洗浄物を洗浄
    すべく保持される洗浄液中に導入して冷却液化するため
    の吹き込みノズルとが備えられている ことを特徴とする
    洗浄装置。
  8. 【請求項8】 被洗浄物が収納されるとともに加熱され
    る加熱室と、 前記被洗浄物が収納されるとともに内部を真空に保持可
    能な第一真空乾燥室と、前記第一真空乾燥室内を負圧と
    するための真空排気手段と、 前記被洗浄物が収納されるとともに被洗浄物を浸漬して
    洗浄するべく洗浄液が貯溜される洗浄容器と、 前記被洗浄物が収納されるとともに内部を真空に保持可
    能な第二真空乾燥室と、前記第二真空乾燥室内を負圧と
    するための真空排気手段とを具備してなる洗浄装置であ
    って、 前記真空排気手段には、前記洗浄容器内を洗浄液を気化
    させるに十分な低圧力に維持し得る少なくとも一の真空
    ポンプと、その真空ポンプの下流側に設置されて、その
    排気中に含まれる洗浄液の蒸気を、前記被洗浄物を洗浄
    すべく保持される洗浄液中に導入して冷却液化するため
    の吹き込みノズルとが備えられている ことを特徴とする
    洗浄装置。
  9. 【請求項9】 前記吹き込みノズルには、多数の金属製
    の柱状部材を束ねてなり、導入された前記洗浄液の蒸気
    を各柱状部材間の空間に通過させて冷却するための冷却
    装置が備えられていることを特徴とする請求項5ないし
    8のいずれかに記載の洗浄装置。
  10. 【請求項10】 前記吹き込みノズルには、前記洗浄液
    中に導入された前記蒸気の泡沫を細分する多数の網目を
    備えたフィルターが備えられていることを特徴とする請
    求項5ないし9のいずれかに記載の洗浄装置。
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