JP3342168B2 - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

自動変速機の油圧制御装置

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JP3342168B2
JP3342168B2 JP07489694A JP7489694A JP3342168B2 JP 3342168 B2 JP3342168 B2 JP 3342168B2 JP 07489694 A JP07489694 A JP 07489694A JP 7489694 A JP7489694 A JP 7489694A JP 3342168 B2 JP3342168 B2 JP 3342168B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動変速機の油圧制御
装置に関し、特に、締結用油圧の供給される締結室をそ
れぞれ備えた第1、第2および第3の摩擦締結要素を少
なくとも備え、上記第1の摩擦締結要素と上記第2の摩
擦締結要素とが同時に締結されたとき、および上記第1
の摩擦締結要素と上記第3の摩擦締結要素とが同時に締
結されたときにインタロックする動力伝達経路を備えた
自動変速機の油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両用自動変速機は、トルクコ
ンバータと、遊星歯車機構等を用いた多段変速機構とを
備え、この多段変速機構における動力伝達経路を切り替
えるための各種クラッチ、ブレーキ等の摩擦締結要素が
設けられ、これら摩擦締結要素の締結・解放状態を種々
に切り替えて、遊星歯車機構等における複数の回転要素
を互いに選択的に連結したり、あるいは特定の回転要素
の回転を制動することにより、そのときの車両の運転状
態に対して最適の変速段を自動的に選択するように構成
されている。そして、上記摩擦締結要素の締結または解
放は、通常油圧回路によって行われている。
【0003】ところが、従来の車両用自動変速機におい
ては、スロットル開度および車速に応じて切換え作動さ
れるシフトバルブや、ライン圧を制御するレギュレータ
バルブや各摩擦締結要素の締結圧特性を設定するアキュ
ムレータが組み込まれているために、変速段を多くする
場合には、シフトバルブやアキュムレータの必要個数が
多くなり、バルブボディが大型化し、また、油圧回路が
複雑となり、かつ、重量、容積およびコストが増大し、
自動変速機の小型化およびコストの低減に大きな障害と
なっていた。
【0004】また、アキュムレータは、オリフィスとス
プリング力により摩擦締結要素の締結圧特性を設定して
いるため、スロットル開度、車速、油温等の異なるすべ
ての変速条件に対して精密なショックコントロールが行
えないとともに、種類の異なる自動変速機に対する調整
が困難であるという問題を有している。
【0005】さらに、2〜3変速時および3〜4変速時
に、2つのクラッチと1つのブレーキの3つの摩擦締結
要素を時間差をもって制御するため、タイムラグが大き
くなり、また変速ショックが大きくなるという問題もあ
った。
【0006】そこで、例えば、特開平1−299351
号公報に記載された自動変速機の油圧制御装置では、変
速時にデューティ制御により摩擦締結要素の締結油圧を
直接制御する複数の変速用ソレノイドバルブを設けるこ
とにより、シフトバルブやアキュムレータの数を低減し
て、バルブボディを小形化するとともに、あらゆる変速
条件に対して、きめ細かなショックコントロールを可能
にしている。
【0007】また、上記公報にも記載されているよう
に、複数の摩擦締結要素のうちの1つまたは複数が、締
結用作動油が供給される締結室のみでなく、解放用作動
油が供給される解放室を備えている自動変速機が知られ
ており、そのような摩擦締結要素は、締結室内の油圧を
保持したままで、解放室に作動油を供給することによ
り、該摩擦締結要素が解放されるように構成されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な構成を有する自動変速機においては、2つの摩擦締結
要素が同時に締結された場合、動力伝達経路にインタロ
ック(メカニカルロック)が発生する。例えば、多段変
速機構がラビニヨ型の遊星歯車機構である場合、1速と
後退時にピニオンキャリアを固定するローリバースブレ
ーキと、2速と4速時にラージサンギヤを固定する2−
4ブレーキとが同時に締結された場合、あるいは上記ロ
ーリバースブレーキと、3速と4速時にキャリアを駆動
する3−4クラッチとが同時に締結された場合には、動
力伝達経路にインタロックが発生する。
【0009】そのため、上記公報に記載された自動変速
機の油圧制御装置では、上記ソレノイドバルブにより制
御される複数のリレーバルブを設けることにより、互い
にインタロックを発生させる関係にある2つの摩擦締結
要素が同時に締結されるのを防止している。
【0010】しかしながら、リレーバルブを設けた場
合、油圧制御装置がやはり複雑化することは免れず、こ
れがコストアップを招いていた。
【0011】上述の事情に鑑み、本発明は、変速用ソレ
ノイドバルブ等により摩擦締結要素の締結油圧を直接制
御する構成でありながら、リレーバルブを用いることな
しに上記インタロックを回避することが可能な自動変速
機の油圧制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明による自動変速機
の油圧制御装置は、締結用作動油が供給される締結室を
それぞれ備えた第1、第2および第3の摩擦締結要素を
少なくとも備え、上記第1の摩擦締結要素と上記第2の
摩擦締結要素とが同時に締結されたとき、および上記第
1の摩擦締結要素と上記第3の摩擦締結要素とが同時に
締結されたときにインタロックを発生する動力伝達経路
を備えた自動変速機において、上記第1の摩擦締結要素
に、解放用作動油が供給される解放室を設け、該解放室
と上記第2の摩擦締結要素の締結室とを連通させて、上
記第1の摩擦締結要素の解放室に供給される作動油の油
圧と上記第2の摩擦締結要素の締結室に供給される作動
油の油圧とを第1の調圧手段により制御するとともに、
該第1の調圧手段の下流側から、上記第3の摩擦締結要
素の締結室に連通する油路を分岐させ、該油路に、上記
第3の摩擦締結要素の締結室に供給される作動油の油圧
を制御する第2の調圧手段を設けてなることを特徴とす
るものである。
【0013】上記第1および第2のの調圧手段は電磁ソ
レノイド弁により構成されるが、好ましくは、該電磁ソ
レノイド弁を三方デューティソレノイド弁とするのが良
い。
【0014】あるいは、記第1および第2のの調圧手段
を、デューティソレノイド弁と調圧弁との組み合わせに
よって構成しても良い。
【0015】
【作用および発明の効果】本発明によれば、同時に締結
されるとインタロックを発生する関係にある第1の摩擦
締結要素の解放室と第2の摩擦締結要素の締結室とが連
通されて、両室内の作動油の油圧が第1の調圧手段によ
って制御されるように構成されているため、第2の摩擦
締結要素が第1の調圧手段によって締結されるときには
第1の摩擦締結要素は必ず解放される。したがって、第
1の摩擦締結要素と第2の摩擦締結要素とが同時に締結
されるおそれは全くなくなる。
【0016】また、第1の調圧手段の下流側から、上記
第3の摩擦締結要素の締結室に連通する油路が分岐さ
れ、該油路に、上記第3の摩擦締結要素の締結室に供給
される油圧を制御する第2の調圧手段が設けられている
から、第3の摩擦締結要素が第2の調圧手段によって締
結されるときには第1の摩擦締結要素は必ず解放され
る。したがって、第1の摩擦締結要素と第3の摩擦締結
要素とが同時に締結されるおそれも全くなく、電磁ソレ
ノイドバルブ等により摩擦締結要素の締結油圧を直接制
御する構成でありながら、リレーバルブを用いることな
しにインタロックを回避することが可能になる。
【0017】さらに、上記調圧手段が三方デューティソ
レノイド弁よりなる場合、上記摩擦締結要素の締結室ま
たは解放室から作動油をドレーンする場合、元圧側の油
路を閉じることができるから、作動油の消費量を節約す
ることができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明による自動変速機の油圧制御装
置の実施例について図面に基づいて説明する。
【0019】図1に示すように、自動変速機ATには、
エンジン出力軸1のトルクを変速してタービンシャフト
2に伝達するトルクコンバータ3と、タービンシャフト
2のトルクをさらに変速しまた後進段が選択されている
ときには回転を逆転させて、出力ギヤ4から駆動輪側に
出力する変速歯車機構5とが設けられている。タービン
シャフト2はパイプ状に形成され、その中空部には、エ
ンジン出力軸1に連結されたオイルポンプシャフト6が
配設され、このオイルポンプシャフト6によって、変速
歯車機構5の後方(図1の左側)に配置されたオイルポ
ンプ7が回転駆動されるようになっている。
【0020】トルクコンバータ3は、連結部材8を介し
てエンジン出力軸1に連結されたポンプ9と、タービン
シャフト2に連結され、ポンプ9から吐出される作動油
によって回転駆動されるタービン10と、タービン10から
ポンプ9に還流される作動油をポンプ9の回転を促進す
る方向に整流するステータ11とによって構成され、ポン
プ9とタービン10との回転数差に応じた変速比で、エン
ジン出力軸1のトルクを変速するようになっている。ス
テータ11は、ワンウェイクラッチ12を介して変速機ケー
ス13に固定されている。なお、14はエンジン出力軸1と
タービンシャフト2とをトルクコンバータ3を介さずに
直結するためのロックアップクラッチである。
【0021】変速歯車機構5は、それ自体は公知のラビ
ニヨ型の遊星歯車装置であって、この変速歯車機構5に
は、タービンシャフト2に遊嵌された比較的小径のスモ
ールサンギヤ15と、このスモールサンギヤ15の後方でタ
ービンシャフト2に遊嵌された比較的大径のラージサン
ギヤ16と、スモールサンギヤ15と噛み合う複数のショー
トピニオンギヤ17と、前部(図1の右側)がショートピ
ニオンギヤ17と噛み合い、後部がラージサンギヤ16と噛
み合うロングピニオンギヤ18と、さらにこのロングピニ
オンギヤ18と噛み合うリングギヤ(インターナルギヤ)
19と、ショートピニオンギヤ17とロングピニオンギヤ18
とを回転自在に支持するキャリア20とが設けられてい
る。
【0022】このように構成された変速歯車機構5で
は、変速段に応じてスモールサンギヤ15、ラージサンギ
ヤ16またはキャリア20がトルク入力部となる一方、どの
変速段でもリングギヤ19が出力部となる。従って、出力
ギヤ4はリングギヤ19に連結されている。
【0023】そして、変速歯車機構5内でのトルク伝達
路を切替えるために、複数のクラッチおよびブレーキが
設けられている。
【0024】すなわち、タービンシャフト2とスモール
サンギヤ15との間には、スモールサンギヤ15を駆動する
フォワードクラッチ21が介設され、タービンシャフト2
とキャリア20との間には、3速と4速時にキャリア20を
駆動する3−4クラッチ24が介設され、タービンシャフ
ト2とラージサンギヤ16との間には、後退時にラージサ
ンギヤ16を駆動するリバースクラッチ25が介設されてい
る。また、ラージサンギヤ16とリバースクラッチ25との
間には、2速と4速時にラージサンギヤ16を固定するた
めのバンドブレーキからなる2−4ブレーキ26が設けら
れている。さらに、キャリア20と変速機ケース13との間
には、1速と後退時にキャリア20を固定するためのロー
リバースブレーキ27が介設されている。
【0025】この変速歯車機構5は、それ自体で前進4
段、後進1段の変速段を有し、摩擦締結要素であるクラ
ッチ21,24,25およびブレーキ26,27を適宜作動させる
ことによって所要の変速段を得ることができる。
【0026】図2は、図1の自動変速機ATのための油
圧制御回路を示す。なお、図2を参照した以下の説明に
おいては、Dレンジ,NレンジおよびRレンジの3つの
変速レンジ以外のレンジ(Pレンジ等)については省略
してあり、また図2中の各種切換弁はすべてDレンジの
1速における切換位置を示してある。
【0027】図2において、3−4クラッチ24,フォワ
ードクラッチ21およびリバースクラッチ25は、それぞれ
締結用油圧が供給される締結室24A,21A,25A(Aは
アプライを意味する)のみを備えているが、ローリバー
スブレーキ27および2−4ブレーキ26には、それぞれ締
結用油圧が供給される締結室27A,26Aに加えて、解放
用油圧が供給される解放室27R,26R(Rはリリースを
意味する)とがそれぞれ設けられている。
【0028】このように、締結室と解放室との双方を備
えた摩擦締結要素においては、締結室のみに油圧が与え
られているときに締結され、締結室と解放室との双方に
油圧が与えられているとき、および締結室と解放室との
双方に油圧が印加されていないときには、解放されるよ
うに構成されている。
【0029】ここで、各変速段とクラッチ、ブレーキの
作動関係を表1に示す。なお、表1においては、油圧が
印加されている状態を「○」で示してある。
【0030】
【表1】
【0031】表1から明らかなように、2速と3速との
間の変速時には、2−4ブレーキ26と3−4クラッチ24
とが変速に関与し、3速と4速との間の変速時には、2
−4ブレーキ26とフォワードクラッチ21とが変速に関与
して、それぞれ一方が解放され、他方が締結されるよう
になっている。すなわち、2速では、2−4ブレーキ26
が締結され、3−4クラッチ24が解放されているが、3
速への変速時に、2−4ブレーキ26が解放され、3−4
クラッチ24が締結される。また、3速では、2−4ブレ
ーキ26が解放され、フォワードクラッチ21が締結されて
いるが、4速への変速時に、2−4ブレーキ26が締結さ
れ、フォワードクラッチ21が解放される。
【0032】さらに、同時に締結されると動力伝達経路
がインタロックする関係にある摩擦締結要素を表2に示
す。
【0033】
【表2】
【0034】表2から明らかなように、ローリバースブ
レーキ27(第1の摩擦締結要素)と2−4ブレーキ26
(第2の摩擦締結要素)とが同時に締結されたとき、お
よびローリバースブレーキ27(第1の摩擦締結要素)と
3−4クラッチ24(第3の摩擦締結要素)とが同時に締
結されたとき、それぞれ動力伝達経路がインタロックす
るようになっている。
【0035】次に、図2に示す各摩擦締結要素の締結室
および解放室に対して作動油を給排する各種弁の構成お
よび動作について詳細に説明する。
【0036】オイルポンプ7で昇圧された作動油は、油
路aを経てレギュレータバルブ29に供給され、ここでラ
イン圧に調圧されて、油路bを経てマニュアルバルブ30
に供給される。このマニュアルバルブ30は、図面を簡単
にするために、2ポート3位置切換弁として描かれてお
り、ドレーンポートは省略されている。そして、マニュ
アルバルブ30に供給されたライン圧は、シフトレバーの
位置により、3つの油路c,d,eのうちの1つに選択
的に伝達される。すなわち、Dレンジではライン圧が油
路cに伝達され、Nレンジではライン圧が油路dに伝達
され、Rレンジではライン圧が油路eに伝達されるよう
に構成されているとともに、油路c,d,eのうちの1
つが選択されてこれにライン圧が伝達されたとき、残る
2つの油路内の作動油はドレーンされるようになってい
る。
【0037】一方、ローリバースブレーキ27(第1の摩
擦締結要素)の解放室27Rと2−4ブレーキ26(第2の
摩擦締結要素)の締結室26Aとが油路fで連通され、こ
の油路fと油路cと間に、ローリバースブレーキ27の解
放室27Rと2−4ブレーキ26の締結室26Aとに供給され
る作動油の油圧を制御するための、ドレーンポートを備
えた常開型の三方デューティソレノイド弁31(第1の調
圧手段、符号Aで示されている)が介装されている。
【0038】そして、この三方デューティソレノイド弁
31は、Dレンジの1速以外ではOFF(非通電)状態と
されて、油路cと油路fとが連通され、かつドレーンポ
ートが閉じられて、Dレンジのうち2速,3速および4
速で、ライン圧がローリバースブレーキ27の解放室27R
と2−4ブレーキ26の締結室26Aとに印加される。ま
た、1速ではON(通電)されて、油路cが閉じられ、
かつ油路fとドレーンポートとが、バルブ駆動信号のデ
ューティ比に応じた開度をもって連通されて、ローリバ
ースブレーキ27の解放室27Rおよび2−4ブレーキ26の
締結室26A内の作動油がドレーンされるようになってい
る。
【0039】また、上記油路fから、すなわち上記三方
デューティソレノイド弁31(第1の調圧手段)の下流側
から、油路gが分岐され、この油路gと、3−4クラッ
チ24(第3の摩擦締結要素)の締結室24Aに連通する油
路hと間に、3−4クラッチ24の締結室24Aに供給され
る作動油の油圧を制御するための、ドレーンポートを備
えた常開型の三方デューティソレノイド弁32(第2の調
圧手段、符号Bで示されている)が介装されている。
【0040】そして、この三方デューティソレノイド弁
32は、1速および2速以外ではOFF(非通電)状態と
されて、油路gと油路hとが連通され、かつドレーンポ
ートが閉じられて、油路g内の油圧、すなわち油路f内
の油圧が3−4クラッチ24の締結室24Aに印加され、1
速および2速でON(通電)されると、油路gが閉じら
れ、かつ油路hとドレーンポートとが、バルブ駆動信号
のデューティ比に応じた開度をもって連通されて、3−
4クラッチ24の締結室24A内の作動油がドレーンされる
ようになっている。
【0041】さらに、油路cには、オリフィス33を介し
て油路iが接続され、この油路iは、スプリングオフセ
ット・パイロット方式の3ポート2位置切換弁35を介し
て、フォワードクラッチ21の締結室21Aに連通する油路
jに接続されている。
【0042】また、上記切換弁35に対し、油路bのライ
ン圧をパイロット圧として与える手段として、ドレーン
ポートを備えたON/OFFソレノイド弁36(符号ON
/OFFで示されている)が設けられている。このソレ
ノイド弁36は、1速〜3速ではOFF状態とされるの
で、ライン圧がパイロット圧として印加されて、切換弁
35は図2に示す第1の切換位置にあり、これによって、
油路iと油路jとが連通され、フォワードクラッチ21が
締結される。そして、ソレノイド弁36が4速でONにな
ると、油路bが閉じられ、ドレーンポートが開くため、
パイロット圧が消滅して、切換弁35はスプリングの付勢
力で第2の切換位置に移動して、油路iが閉じられ、フ
ォワードクラッチ21の締結室21A内の作動油が油路jを
通じてドレーンされて、フォワードクラッチ21が解放さ
れるようになっている。
【0043】上記三方デューティソレノイド弁31,32お
よびON/OFFソレノイド弁36の動作を、後述する三
方デューティソレノイド弁39の動作とともに表3に示
す。
【0044】
【表3】
【0045】3−4クラッチ24の締結室24Aに通じる、
三方デューティソレノイド弁32(第2の調圧手段)の下
流側の油路hは、スプリングオフセット・外部パイロッ
ト方式の3ポート2位置切換弁37を介して、2−4ブレ
ーキ26の解放室26Rに接続されている。
【0046】この切換弁37は、Dレンジの2速から3速
への変速時に、2−4ブレーキ26と3−4クラッチ24と
に対する作動油の供給または排出を同期させて行わせ、
かつ、Dレンジの3速から4速への変速時に、2−4ブ
レーキ26とフォワードクラッチ21とに対する作動油の供
給または排出を同期させて行わせる作動圧同期制御手段
である。
【0047】上記切換弁37には、油路j内の油圧が第1
のパイロット圧として図の左方に向かって作用し、かつ
第2のパイロット圧としての油路h内の油圧とオフセッ
トスプリングSの付勢力とが図の右方に向かって作用す
るようになっている。
【0048】Dレンジの1速および2速では、表3から
も明らかなように、三方デューティソレノイド弁32がO
Nになり、油路h内の作動油がドレーンされ、かつ油路
jには切換弁35を通じて作動油が供給されるため、切換
弁37は、第1のパイロット圧の作用により、図2に示す
第1の切換位置にあり、2−4ブレーキ26の解放室26R
と3−4クラッチ24の締結室24Aとが油路hを通じて連
通される。
【0049】また、Dレンジの3速および4速では、三
方デューティソレノイド弁31,32がともにOFFとなる
から、油路hにライン圧が印加される。この場合、3速
では切換弁35を通じて油路jにも油圧が印加されるが、
切換弁37に設けられたスプリングSの付勢力により、切
換弁37は第2の切換位置に移動して、2−4ブレーキ26
の解放室26Rとフォワードクラッチ21の締結室21Aとが
油路jを通じて連通される。また4速では、ON/OF
Fソレノイド弁36がONになって、フォワードクラッチ
21の締結室21Aの作動油が油路jおよび切換弁35を通じ
てドレーンされるから、切換弁37は第2の切換位置を採
り、2−4ブレーキ26の解放室26Rとフォワードクラッ
チ21の締結室21Aとが油路jを通じて連通される。
【0050】一方、Dレンジの1速において、油路iか
ら分岐した油路kから作動油が、第1のシャトル弁38,
三方デューティソレノイド弁39および切換弁40を介し
て、ローリバースブレーキ27の締結室27Aに供給される
ようになっている。
【0051】図2から明らかなように、第1のシャトル
弁38の一方の入力ポートには、上記油路kが接続され、
他方の入力ポートは、油路mを介して第2のシャトル弁
41の出力ポートに連通し、第1のシャトル弁38の出力ポ
ートは、油路nを介して三方デューティソレノイド弁39
の入力ポートに連通している。また、Rレンジでライン
圧が供給される上記油路eには、オリフィス42を介して
油路pが接続され、この油路pが第2のシャトル弁41の
一方の入力ポートに接続され、他方の入力ポートは、N
レンジでライン圧が供給される上記油路dが接続されて
いる。
【0052】切換弁40は、スプリングオフセット・パイ
ロット方式の5ポート2位置切換弁よりなり、ローリバ
ースブレーキ27の解放室27Rおよび2−4ブレーキ26の
締結室26Aに連通する油路fの油圧が、切換弁39に対し
パイロット圧として作用するようになっている。そし
て、表3から明らかなように、1速では、三方デューテ
ィソレノイド弁31がONになるので、上記パイロット圧
が作用せず、したがって、切換弁39はオフセットスプリ
ングSの付勢力で、図2に示す第1の切換位置にあり、
三方デューティソレノイド弁38の下流側の油路qが、切
換弁40を介してローリバースブレーキ27の締結室27Aに
連通している。また、ロックアップクラッチ14を作動さ
せる差圧制御弁(図示は省略)に作動油を供給する油路
r内の油圧はドレ−ンされる。
【0053】ローリバースブレーキ27の締結室27Aに供
給される作動油およびロックアップクラッチ14を作動さ
せる差圧制御弁に供給される作動油の油圧を制御するた
めの、ドレーンポートを備えた常開型の三方デューティ
ソレノイド弁39(符号Dで示されている)は、表3から
明らかなように、1速でOFFになり、このとき、油路
dおよびp内の作動油はドレーンされていることによ
り、油路mには油圧がなく、したがって、油路kからシ
ャトル弁38および三方デューティソレノイド弁39を通っ
て切換弁40に向かう油路n,qが連通し、ドレーンポー
トが閉じられるので、作動油はローリバースブレーキ27
の締結室27Aに供給されるとともに、解放室27Rの作動
油は、油路fおよび三方デューティソレノイド弁31を通
じてドレーンされるので、ローリバースブレーキ27が締
結される。
【0054】また、2速〜4速では、油路fにライン圧
がパイロット圧として印加されるので、切換弁40は第2
の切換位置に移動するから、ローリバースブレーキ27の
締結室27A内の作動油はドレーンされ、かつ三方デュー
ティソレノイド弁31がOFFになって、ローリバースブ
レーキ27の解放室27R内に作動油が供給されるから、ロ
ーリバースブレーキ27は解放される。
【0055】そして、2速〜4速で切換弁40が第2の切
換位置に移動すると、油路qと油路rとが連通し、三方
デューティソレノイド弁39のON/OFFによって、ロ
ックアップクラッチ14をON/OFFすることができ
る。なお、この場合、三方デューティソレノイド弁39を
デューティ比0〜100%の間で制御して、ロックアップク
ラッチ14の差圧制御弁を駆動し、ロックアップクラッチ
14のスリップ量を制御することも可能である。
【0056】以上が、本実施例においてマニュアルバル
ブ30によりDレンジが選択されたときの油圧制御回路の
動作であるが、同時に締結されるとインタロックを発生
する関係にあるローリバースブレーキ27(第1の摩擦締
結要素)の解放室27Rと2−4ブレーキ26(第2の摩擦
締結要素)の締結室26Aとが油路fを介して連通され、
かつ上記解放室27Rと上記締結室26Aとに供給される作
動油の油圧が三方デューティソレノイド弁31(第1の調
圧手段)により制御されるように構成されているので、
従来のようにリレーバルブ等を設けなくても、ローリバ
ースブレーキ27と2−4ブレーキ26とが同時に締結され
るおそれは全くない。
【0057】また、ローリバースブレーキ27(第1の摩
擦締結要素)と同時に締結されるとインタロックを発生
する関係にある3−4クラッチ24(第3の摩擦締結要
素)の締結室24Aに連通する油路gを、三方デューティ
ソレノイド弁31の下流側から分岐させ、この油路gに、
上記締結室21Aに供給される作動油の油圧を制御する三
方デューティソレノイド弁32(第2の調圧手段)を設け
たことにより、ローリバースブレーキ27と3−4クラッ
チ24とが同時に締結されるおそれもは全くなくなる。
【0058】したがって、本実施例によれば、ローリバ
ースブレーキ27と2−4ブレーキ26と3−4クラッチ24
とを、リレーバルブ等の補助手段をもちいることなし
に、インタロックを回避して直接制御することが可能に
なる。
【0059】さらに、本実施例では、調圧手段として三
方デューティソレノイド弁31,32等が用いられ、これら
弁のON時には元圧側の油路を閉じた状態で、摩擦締結
要素の締結室または解放室から作動油がドレーンされる
ように構成されているから、作動油の消費量を節約でき
る効果がある。
【0060】なお、本実施例では、ローリバースブレー
キ27と2−4ブレーキ26と3−4クラッチ24とを、デュ
ーティソレノイド弁31,32によって直接制御している
が、図5に示すように、デューティソレノイド弁31,32
に代えて、デューティソレノイド弁51によって制御され
る調圧弁52を用いても、同様の効果を得ることができ
る。
【0061】次に、マニュアルバルブ30によりNレンジ
またはRレンジが選択されたときの油圧制御回路の動作
について簡単に説明する。
【0062】Nレンジが選択されて、油路dにライン圧
が供給されたとき、油路cおよびk内の作動油はドレー
ンされるから、ライン圧は、油路dからシャトル弁41お
よび38を通じて三方デューティソレノイド弁39に供給さ
れる。このとき、表3から明らかなように、三方デュー
ティソレノイド弁39はOFF状態にあり、かつ三方デュ
ーティソレノイド弁31がOFFであっても、切換弁40に
対するパイロット圧が生じていないから、Dレンジの1
速時と同様に、切換弁40は図2に示す第1の切換位置に
あって、ローリバースブレーキ27が締結される。
【0063】一方、Rレンジが選択されて、油路eにラ
イン圧が供給されたとき、油路cおよびd内の作動油は
ドレーンされるから、ライン圧は、油路pからシャトル
弁41および38を通じて三方デューティソレノイド弁39に
供給される。このとき、表3から明らかなように、三方
デューティソレノイド弁39はOFF状態にあり、かつ三
方デューティソレノイド弁31がOFFであっても、切換
弁40に対するパイロット圧が生じていないから、Dレン
ジの1速時およびNレンジと同様に、切換弁40は図2に
示す第1の切換位置にあって、ローリバースブレーキ27
が締結される。また、作動油が油路pを通じてリバース
クラッチ25の締結室25Aに供給され、リバースクラッチ
25が締結される。
【0064】ところで、前述の表1から明らかなよう
に、本実施例による自動変速機では、Dレンジの2速か
ら3速への変速時には、2−4ブレーキ26と3−4クラ
ッチ24とが変速に関与し、3速から4速への変速時に
は、2−4ブレーキ26とフォワードクラッチ21とが変速
に関与するように構成されている。
【0065】すなわち、2速から3速への変速時には、
油路hを介して互いに連通している2−4ブレーキ26の
解放室26Rおよび3−4クラッチ24の締結室24A内の油
圧が上昇して、2−4ブレーキ26が解放され、3−4ク
ラッチ24が締結される。また、3速から4速への変速時
には、油路jを介して互いに連通している2−4ブレー
キ26の解放室26Rおよびフォワードクラッチ21の締結室
21Aの油圧が下降して、2−4ブレーキ26が締結され、
フォワードクラッチ21が解放される。
【0066】図3は、2速から3速への変速時におけ
る、2−4ブレーキ26の解放室26R内の油圧PR2-4B
よび3−4クラッチ24の締結室24A内の油圧PA3-4C
変化に対する2−4ブレーキ26のトルク容量T2-4Bおよ
び3−4クラッチのトルク容量T3-4Cの変化を示すタイ
ミングチャートである。
【0067】図3(A) における左右に延びる上方の直線
Iは、ライン圧にほぼ等しいフォワードクラッチ21の締
結室21A内の油圧PAFWC (油路j内の油圧)および2
−4ブレーキ26の締結室26A内の油圧PA2-4B(油路f
内の油圧)を示す。また、直線Iの下方に距離yを隔て
て直線Iと平行に引かれた直線IIは、油路h内の油圧が
この直線IIのレベルに達したとき、切換弁37が図2に示
す第1の切換位置から、第2の切換位置に切替えられる
作動点を示している。
【0068】切換弁37には、油路j内の油圧が第1のパ
イロット圧として図の左方に向かって作用し、かつ第2
のパイロット圧としての油路h内の油圧、すなわち2−
4ブレーキ26の解放室26R内の油圧PR2-4Bおよび3−
4クラッチ24の締結室24A内の油圧PA3-4Cと、オフセ
ットスプリングSの付勢力とが図の右方に向かって作用
しているが、上昇する油路h内の油圧が直線Iのレベル
に達する以前の直線IIのレベルで切換弁37が切換わるよ
うに、オフセットスプリングSの付勢力が設定されてい
る。
【0069】このように、2速から3速への変速時に、
2−4ブレーキ26の解放室26R内の油圧PR2-4Bおよび
3−4クラッチ24の締結室24A内の油圧PA3-4Cがフォ
ワードクラッチ21の締結室21A内の油圧に以前に、切換
弁37の切換えが完了するように構成されていることによ
り、その後ただちに3速から4速への変速が開始された
場合でも、安定な変速動作が得られることになる。
【0070】図3(A) において、曲線 IIIで示されてい
る、2−4ブレーキ26の解放室26R内の油圧PR2-4B
よび3−4クラッチ24の締結室24A内の油圧PA
3-4Cは、変速信号が発生した時点t1から、階段状に上
昇して行くが、時点t1からt2までの期間は、3−4
クラッチ24の作動用ピストンが復帰位置から3−4クラ
ッチ24の締結までに移動するストローク期間であり、ま
た、時点t2からt3までの期間は、2−4ブレーキ26
の作動用ピストンが、2−4ブレーキ26を解放した直後
から完全に復帰するまでのストローク期間である。
【0071】このような2−4ブレーキ26の解放室26R
の油圧PR2-4Bおよび3−4クラッチ24の締結室24A内
の油圧PA3-4Cの上昇に伴って、2−4ブレーキ26のト
ルク容量T2-4Bは、図3(B) に示すように、フォワード
クラッチ21のトルク容量TFWC のレベルから減少し、か
つ3−4クラッチ24のトルク容量T3-4Cは、フォワード
クラッチ21のトルク容量TFWC のレベルまで増大して、
2速から3速への変速が達成される。
【0072】なお、2−4ブレーキ26のトルク容量T
2-4Bは、下記の式で表される。
【0073】T2-4B=α(PA2-4B−PR2-4B)−βF ここで、Fは作動用ピストンのリターンスプリングの付
勢力、αおよびβは定数である。
【0074】次の図4は、3速から4速への変速時にお
ける、フォワードクラッチ21の締結室21A内の油圧PA
FWC および2−4ブレーキ26の解放室26R内の油圧PR
2-4Bの変化に対するフォワードクラッチ21のトルク容量
FWC および2−4ブレーキ26のトルク容量T2-4Bの変
化を示すタイミングチャートである。
【0075】図4(A) における左右に延びる上方の直線
Iは、ライン圧にほぼ等しい3−4クラッチ24の締結室
24A内の油圧PA3-4C(油路h内の油圧)および2−4
ブレーキ26の締結室24A内の油圧PA2-4B(油路f内の
油圧)を示す。
【0076】図4(A) において、曲線IIで示されてい
る、フォワードクラッチ21の締結室21A内の油圧PA
FWC および2−4ブレーキ26の解放室26R内の油圧PR
2-4Bは、変速信号が発生した時点t4から、階段状に下
降して行くが、時点t5からt6までの期間は、2−4
ブレーキ26の作動用ピストンが復帰位置から2−4ブレ
ーキ26の締結までに移動するストローク期間であり、ま
た、時点t6からt7までの期間は、フォワードクラッ
チ21の作動用ピストンが、フォワードクラッチ21を解放
した直後から完全に復帰するまでのストローク期間であ
る。
【0077】このようなフォワードクラッチ21の締結室
21A内の油圧PAFWC および2−4ブレーキ26の解放室
26R内の油圧PR2-4Bの下降に伴って、フォワードクラ
ッチ21のトルク容量TFWC は、図4(B) に示すように、
3−4クラッチ24のトルク容量T3-4Cのレベルから減少
し、かつ2−4ブレーキ26のトルク容量T2-4Bは、3−
4クラッチ24のトルク容量T3-4Cのレベルまで増大し
て、3速から4速への変速が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる自動変速機の機械的構成を示す
スケルトン図
【図2】同 油圧制御回路の概略図
【図3】2速から3速への変速時における摩擦締結要素
の作用の説明に供するタイミングチャート
【図4】3速から4速への変速時における摩擦締結要素
の作用の説明に供するタイミングチャート
【図5】調圧手段の変形を示す回路図
【符号の説明】
3 トルクコンバータ 5 歯車変速機構 21 フォワードクラッチ 24 3−4クラッチ (第3の摩擦締
結要素) 25 リバースクラッチ 26 2−4ブレーキ (第2の摩擦締
結要素) 27 ローリバースブレーキ (第1の摩擦締
結要素) 31 三方デューティソレノイド弁 (第1の調圧手
段) 32 三方デューティソレノイド弁 (第2の調圧手
段) 37 3ポート2位置切換弁
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−296345(JP,A) 特開 平6−17919(JP,A) 特開 平4−331863(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 63/48

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 締結用作動油が供給される締結室をそれ
    ぞれ備えた第1、第2および第3の摩擦締結要素を少な
    くとも備え、上記第1の摩擦締結要素と上記第2の摩擦
    締結要素とが同時に締結されたとき、および上記第1の
    摩擦締結要素と上記第3の摩擦締結要素とが同時に締結
    されたときにインタロックを発生する動力伝達経路を備
    えた自動変速機において、 上記第1の摩擦締結要素に、解放用作動油が供給される
    解放室を設け、該解放室と上記第2の摩擦締結要素の締
    結室とを連通させて、上記第1の摩擦締結要素の解放室
    に供給される作動油の油圧と上記第2の摩擦締結要素の
    締結室に供給される作動油の油圧とを第1の調圧手段に
    より制御するとともに、該第1の調圧手段の下流側か
    ら、上記第3の摩擦締結要素の締結室に連通する油路を
    分岐させ、該油路に、上記第3の摩擦締結要素の締結室
    に供給される作動油の油圧を制御する第2の調圧手段を
    設けてなることを特徴とする自動変速機の油圧制御装
    置。
  2. 【請求項2】 上記第1および第2のの調圧手段が電磁
    ソレノイド弁よりなることを特徴とする請求項1に記載
    の自動変速機の油圧制御装置。
  3. 【請求項3】 上記第1および第2の調圧手段が三方デ
    ューティソレノイド弁よりなることを特徴とする請求項
    1または2に記載の自動変速機の油圧制御装置。
  4. 【請求項4】 上記第1および第2のの調圧手段がデュ
    ーティソレノイド弁と調圧弁との組み合わせよりなるこ
    とを特徴とする請求項1記載の自動変速機の油圧制御装
    置。
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