JP3339521B2 - 信号伝送回路 - Google Patents

信号伝送回路

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JP3339521B2
JP3339521B2 JP03672494A JP3672494A JP3339521B2 JP 3339521 B2 JP3339521 B2 JP 3339521B2 JP 03672494 A JP03672494 A JP 03672494A JP 3672494 A JP3672494 A JP 3672494A JP 3339521 B2 JP3339521 B2 JP 3339521B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はCPUやメモリ等の素子
間(例えばCMOS等により構成されたデジタル回路間
又はその機能ブロック間)での信号伝送のための技術に
関し、特に、複数の素子が同一の伝送線に接続されるバ
ス伝送を高速に行うための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体集積回路装置により構成されたデ
ジタル回路間の信号伝送を高速に行うための技術とし
て、信号振幅を1Vのような小振幅で伝達する低振幅イ
ンタフェースに関する技術があげられる。
【0003】低振幅インタフェースの代表的なものとし
て、GTL(Gunning Transceiver Logic)インタフェー
スやCTT(Center Tapped Termination)インタフェー
スがある。
【0004】これらの低振幅インタフェースについて
は、例えば日経エレクトロニクス9月27日号P269
〜290(日経BP社、平成5年発行)に詳しく記載さ
れている。
【0005】一方、デジタル回路間の信号の高速伝送を
実現するには信号振幅を小さくするとともに、インピー
ダンス整合をとったバス設計を行うことが必要である。
【0006】特に近年半導体集積回路の益々の高速化に
よって、信号波形の立ち上がり速度や立ち下がり速度が
早まることにより、インピーダンスの不整合による波形
歪が無視できなくなっている。このため、インピーダン
スの整合設計はますます重要な課題となる。
【0007】このインピーダンスの整合設計の重要性を
従来の技術の1例である図1に示す例で説明する。
【0008】図1は伝送線路に分岐配線がある場合の例
を示す。終端電源60,61及び終端抵抗50,51に
より終端された伝送線路100には、送信回路ブロック
1と受信回路ブロック2,3,4が接続される。
【0009】この例において、伝送線路100のインピ
ーダンスは50Ω、分岐配線11〜14のインピーダン
スは50Ω、終端抵抗50、51はそれぞれ50Ω、終
端電源60、61は0.5V、そして送信回路21のオ
ン抵抗は10Ωとする。
【0010】また、送信回路21はHigh出力時には
伝送線路11を1V電源と接続し、Low出力時にはグ
ランド、すなわち0Vと接続する回路であり、また図中
の32〜34は受信回路とする。
【0011】このバスにおいて、送信回路21がLow
出力からHigh出力に切り替わるとき、図中の各点に
信号がどのように伝わるかを説明する。
【0012】まず、送信回路21からLow出力を出し
ている時の伝送線路100の電位を求めると、このとき
の伝送線路の電圧は終端電源0.5Vを終端抵抗50、
51と送信回路21のオン抵抗によって分圧された電圧
となるから、 0.5×10/(10+25)=0.14(V) である。
【0013】次に送信回路の出力をLowからHigh
へと切り替え、信号が図1のA点に伝わるときの電位を
求める。
【0014】送信回路を切り替えた直後は、送信回路2
1の電源1Vが送信回路のオン抵抗と伝送線路11のイ
ンピーダンス50Ωとによって分圧されるため、A点で
の電位上昇分は 1×50/(50+10)=0.83(V) となる。さきに求めた初期電圧0.14Vをこの上昇分
に加えた0.97V(V)が求めるA点における電位で
ある。
【0015】さらに、この振幅0.83Vの波形が分岐
点B点に到達したときを考える。
【0016】伝送線路11から伝送線路100を見る
と、左右2方に分かれているため、伝送線路11から見
た伝送線路100の見かけ上のインピーダンスは、伝送
線路100のインピーダンス50Ωの半分、すなわち2
5Ωに見える。一方、伝送線路11のインピーダンスは
50Ωであるので、B点においてインピーダンスの不整
合による反射が起こる。
【0017】このインピーダンス不整合による反射係数
を求めると (50ー25)/(50+25)=0.33 となり、A点に伝わった0.83Vの信号振幅のうち、
1/3に相当する振幅0.28Vの信号が反射し、送信
回路側に戻る。残りの振幅0.55Vの信号が一回目の
透過波となって伝送線路100に伝わる。よって、透過
信号の電位はこの0.55Vに初期電位を加えた電位、
すなわち0.69Vとなる。
【0018】送信回路に戻った0.28V振幅の信号は
送信回路に到達すると全反射をし、再びB点に到達す
る。このうち2/3が伝送線路100に出て、1/3が
再び伝送線路11に戻る。このように信号は伝送線路1
1を幾度も往復し、その都度、B点に到達した波形は、
その2/3を伝送線路100に出力する。こうして、A
点に伝わった0.83Vの振幅を少しづつ伝送線路10
0に伝えていくのである。
【0019】話を元に戻し、先ほどのB点で通過した信
号に注目する。この伝送線路100に伝わった0.69
Vの信号がC点に伝わると、前方に50Ωの伝送線路が
2本見え、前方の合成インピーダンス25Ωと、いまま
で伝わってきた伝送線路のインピーダンス50Ωとのイ
ンピーダンスの不整合による反射が起こる。
【0020】反射係数を求めると、 (50ー25)/(50+25)=0.33 となり、C点を通り抜ける波形の電位は、B点の信号振
幅0.55Vに透過率2/3(=1−1/3)を掛け、
初期電位を加えた電位となる。すなわち、 0.55×2/3+0.14=0.50(V)となる。
【0021】同様の反射が点E、点Gでも起こり、それ
ぞれの電位は0.38(V)、0.30(V)となる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】これらの結果を示した
のが図2である。図2において、(a)は図1に示す点
Cに着目し、点Cに入ってくる信号であるB点と点Cか
ら出て行く信号である点Dと点Eの信号を示したもので
あり、説明のため点Aの信号も示している。同様に
(b)は点Eに着目した信号波形を示した図、(c)は
点Gに着目した信号波形を示した図である。図2中、2
01は図1におけるA点の信号波形,202はB点,2
03はC点,204はD点,205はE点,206はF点,
207はG点,208はH点の信号波形を示している。
信号の立ち下がり時においても、同様のことがおこり、
そのときの信号波形は図3のようになる。図3において
も、201から208はそれぞれ図1におけるA点から
H点までの信号波形を示す。
【0023】このように従来の信号伝送回路を用いる
と、送信回路21からの最初の波形は受信回路におい
て、みな、信号のHigh、Lowを確定する基準電圧
Vref(上記条件では0.5V)を越えられないこと
がわかる。
【0024】また、分岐点C、E、Gにおいて分岐配線
内に入った信号は、伝送線路11と同様、分岐配線内で
反射を繰り返し、反射波形が分岐点に戻ってきたとき、
信号の2/3が伝送線路100に出る。これが、伝送線
路100における波形の歪の原因になる。
【0025】このように、分岐配線では各分岐点におい
て反射が起こり、それぞれの反射による電位降下が重な
ることで、送信回路の遠方での信号電位の上昇が遅れ、
その結果、遅延時間がを増える。
【0026】さらに、前記の文献にて開示された回路で
は送信回路のオン抵抗を特殊な値である100Ωにする
ことで、送信回路に供給される電源電圧に3.3Vを与
えても伝送線上で1V振幅を実施しているが、オン抵抗
を特殊な値とすることは、現在広く使われている10Ω
前後のオン抵抗を持つトランジスタを無意味なものとし
てしまう。
【0027】また、このように送信回路のオン抵抗を高
い値とすることは、送信回路で消費する電力を大きくす
ることとなり、消費電力が増大するという問題もある。
【0028】更に、受信回路ブロックに入り込む信号が
受信回路ブロック内で反射を繰返すことによって生じる
信号波形の歪みの問題が残る。
【0029】
【課題を解決するための手段】この問題を解決するため
に、送信回路のオン抵抗を現在広く使われている10Ω
のままとし、伝送線路11,12,13,14と伝送線
路100との間に伝送線路11,12,13,14のイ
ンピーダンスから伝送線路100のインピーダンスの半
分の値を引いた値またはその近傍の値の抵抗値を持つ素
子を挿入する発明を創作するに至り、この発明により前
述の問題はほぼ解決するに至った。
【0030】しかし、送信回路21及び受信回路32〜
34が伝送線路11〜14と直接接続されているのは、
あくまでも理想状態である。現実には送信回路21及び
受信回路32〜34はIC/LSIパッケ−ジに封入さ
れているため、回路チップと入出力端子間にはパッケ−
ジのリ−ドフレ−ム、またはパッケ−ジ内配線パタ−ン
が存在する。このリ−ドフレ−ムまたはパッケ−ジ内配
線パタ−ンは、伝送線路11〜14との特性インピ−ダ
ンスマッチングをしていないため、集中インダクタンス
と集中容量に見え、伝送波形を振動させるため、高速伝
送を不可能とするわけである。
【0031】この状態を第9図を用いて説明する。
【0032】図9は、伝送線路11〜14とリ−ドフレ
−ムまたはパッケ−ジ内配線パタ−ンが特性インピ−ダ
ンスマッチングされていない場合の例で、図中図1と同
番号同記号は、図1と同様の部位である。但し、送信回
路,受信回路は10Ω前後のオン抵抗値を持つものであ
る。現状では、LSIやモジュ−ル等のリ−ドフレ−
ム、またはパッケ−ジ内配線パタ−ンは、異種のパッケ
−ジ、更には1つのパッケ−ジ内でも各ピンによって特
性インピ−ダンスが異なっている。したがって、伝送線
路11〜14とは特性インピ−ダンスマッチングがとれ
ていないため、そのアンマッチング分が見かけ上インダ
クタンス90〜93や容量110〜113に見えてく
る。
【0033】このアンマッチングの状態のままの信号伝
搬の結果を示したのが図10である。(a)〜(c)
は、図9におけるB点(702)の波形は、インダクタ
ンス90の影響で、波形がオ−バ−シュ−トをおこすが
C,E,G点では受信回路から反射して分岐点に戻る波
形D,F,H点が、容量111〜113の影響で立上り
がなまってしまい、電位がなかなか上がらないのが判
る。また、全体的に波形が振動をおこし、送信端から遠
くの受信端では基準電圧Vrefを何回もクロスする。
従って、反射による電位降下が顕著に見えること、及び
波形振動により信号確定時間が延びるため、高速信号伝
送回路の効果を半減させてしまう結果となる。
【0034】現在、ロジックLSIやモジュ−ル等で
は、プロセスの微細化でゲ−ト規模増加に伴うピン数の
増加によりパッケ−ジが大きくなり、リ−ドフレ−ムや
パッケ−ジ内配線パタ−ンが長くなるのは避けられなく
なっている。その増加分に比例してパッケ−ジの容量、
またはリ−ドフレ−ムやパッケ−ジ内配線パタ−ンのイ
ンダクタンスが増加しているのが現状である。一般的
に、基板の特性インピ−ダンスは60Ω〜100Ωを使
用するが、LSIやモジュ−ルはパッケ−ジの形状によ
ってもその値は変わるが、例えばPGA(Pin Grid Arra
y)パッケ−ジのパッケ−ジ内配線パタ−ンの特性インピ
−ダンスは、40Ω〜50Ωぐらいと基板の特性インピ
−ダンスよりも低くなっている。
【0035】本発明の目的は、分岐配線を持った伝送線
路において、伝送線路での信号電位の落ち込みの抑え込
みと分岐配線内での反射の繰り返しの防止し、送/受信
回路と伝送線路間のリ−ドフレ−ムまたはパッケ−ジ内
配線パタ−ンも伝送線路とマッチングさせることで、実
機へ適用しても波形を振動させずに伝送できること、及
びバス上の低振幅を実現し、高速に信号の伝送を行なう
ことが可能な信号伝送回路を提供することにある。
【0036】上記目的を達成するために、1つ以上の送
信回路を有する内部ユニットと、前記内部ユニットを1
つ以上有するユニットが1つ以上有り、1つ以上の受信
回路を有する内部ユニットと、前記内部ユニットを1つ
以上有するユニットが1つ以上有り、送/受信回路とユ
ニット間をつなぐための内部ユニット内に構成される第
1の伝送線路と、内部ユニットとユニットの入出力端子
をつなぐためのユニット内に構成される第2の伝送線路
と、ユニットの入出力端子間をつなぐ第3の伝送線路と
からなる信号伝送回路において、第3の伝送線路の特性
インピ−ダンス値またはその近傍の抵抗値を持つ素子に
よって前記第3の伝送線路の終端を行い、さらに第2の
伝送線路のインピ−ダンスから前記第3の伝送線路のイ
ンピ−ダンスの半分の値を引いた値またはその近傍の抵
抗値を持つ素子を第2の伝送線路と、第3の伝送線路の
間に設けること、及び第1の伝送線路と、第2の伝送線
路のインピ−ダンスを同じ値またはその近傍のインピ−
ダンスにする。
【0037】また、1つ以上の送信回路または受信回路
を有する内部ユニットと前記内部ユニットを1つ以上有
するユニットが2つ以上有り、送/受信回路とユニット
間をつなぐための内部ユニット内に構成される第1の伝
送線路と、内部ユニットとユニットの入出力端子をつな
ぐためのユニット内に構成される第2の伝送線路と、ユ
ニットの入出力端子間をつなぐ第3の伝送線路とからな
る信号伝送回路において、第3の伝送線路の特性インピ
−ダンス値またはその近傍の抵抗値を持つ素子によって
前記第3の伝送線路の終端を行い、さらに第2の伝送線
路のインピ−ダンスから前記第3の伝送線路のインピ−
ダンスの半分の値を引いた値またはその近傍の抵抗値を
持つ素子を第2の伝送線路と、第3の伝送線路の間に設
けること、及び第1の伝送線路と、第2の伝送線路のイ
ンピ−ダンスを同じ値またはその近傍のインピ−ダンス
にする。
【0038】
【作用】第3の伝送線路の特性インピ−ダンス値または
その近傍の抵抗値を持つ素子によって前記第3の伝送線
路の終端を行い、さらに第2の伝送線路のインピ−ダン
スから前記第3の伝送線路のインピ−ダンスの半分の値
を引いた値またはその近傍の抵抗値を持つ素子を第2の
伝送線路と、第3の伝送線路の間に設けることにより、
従来技術よりもはるかに高速な伝送が可能となるが、加
えて第1の伝送線路と、第2の伝送線路のインピ−ダン
スを同じ値またはその近傍のインピ−ダンスにすること
により、更なる高速伝送が可能になる。
【0039】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて詳細
に説明する。
【0040】図4に、単一方向用伝送線路に本発明を適
用した一実施例の基本ブロック図を示す。
【0041】図4において、5は送信回路21を持つ内
部回路ブロック(例えば集積回路)で、1の回路ブロッ
ク(例えば集積回路を搭載した基板)内に搭載されてい
る。6〜8は受信回路32〜34をもつ内部回路ブロッ
クで、2〜4の回路ブロック内に搭載されている。各々
の回路ブロックにはそれぞれ抵抗80〜83と伝送線路
11〜14または伝送線路41〜44を有し、伝送線路
11〜14と伝送線路41〜44は、同じ特性インピ−
ダンスまたはその近傍の値に合わせて(特性インピ−ダ
ンスマッチングをとって)設計する。また伝送線路10
0は各回路ブロック1〜4を接続し、さらに伝送線路1
00の特性インピーダンス値、またはその近傍の抵抗値
をもつ抵抗50、51によって終端されている。
【0042】なお、この例では両端終端した例を示した
が、抵抗1つで終端した片端終端でもよい。また、受信
回路を持つ受信回路ブロックの数が3の場合を示してい
るが、受信回路を持つブロックの数は1以上であれば、
本発明は適用できる。
【0043】本発明の実モデル例との対応図を図13〜
15に示す。
【0044】図13にQFP(Quad Flat Package )パッ
ケ−ジの断面を、図14にPGAパッケ−ジの断面を示
す。図13において、送信時にはチップ130からボン
ディングワイヤ−140,141、リ−ドフレ−ム12
0,121という経路で信号を出力する。受信時にはリ
−ドフレ−ム120,121、ボンディングワイヤ−1
40,141、チップ130という経路で信号が入力さ
れる。図14において、送信時にはチップ131からボ
ンディングワイヤ−142,143、パッケ−ジ内配線
パタ−ン170,171、入出力ピン160,161と
いう経路で信号を出力する。受信時には入出力ピン16
0,161、パッケ−ジ内配線パタ−ン170,17
1、ボンディングワイヤ−142,143、チップ13
1という経路で信号が入力される。図13,図14で、
本発明でいう特性インピ−ダンスマッチングの必要な個
所は、リ−ドフレ−ム120,121とパッケ−ジ内配
線パタ−ン170,171及び入出力ピン160,16
1である。前述したように基板の特性インピーダンスは
一般的に60〜100Ωを使用することが多い。従っ
て、リードフレーム120,121やパッケージ内配線
パターン170,171等をこの範囲の特性インピーダ
ンス値に設計することが最も望ましい。
【0045】また、図4と対応する部位は送信回路21
及び受信回路32〜34がチップ130,131に、伝
送線路41〜44がリ−ドフレ−ム120,121とパ
ッケ−ジ内配線パタ−ン170,171及び入出力ピン
160,161に、内部ユニット5〜8がQFPパッケ
−ジ及びPGAパッケ−ジ自体に相当する。尚、図1
3,図14以外のパッケ−ジ形状でも、ほぼ同様の部位
が存在する集積回路であればよい。
【0046】図15に、図13のQFPパッケ−ジの一
搭載モデルを示す。図15は、マザ−ボ−ド180にコ
ネクタ200〜203を介して基板190〜193の4
枚が搭載されている例である。図4と対応する部位は、
伝送線路11〜14は伝送線路230〜233に、マッ
チング抵抗80〜83はマッチング抵抗210〜213
に、回路ブロック間伝達用伝送線路100はデ−タバス
240に、終端抵抗50,51は終端抵抗220,22
1にそれぞれ相当する。尚、図15では、伝送線路23
0〜233が基板の外層を走っているが、当然内層でも
可能である。更に、図15では、基板の搭載枚数にこだ
わるものではなく、またマザ−ボ−ドを介さずに、1枚
の基板上でも同様の回路を構成することができる。
【0047】図5には図4で用いる送信回路の一例を示
す。この送信回路はプルアップ・トランジスタ70とプ
ルダウン・トランジスタ71とで構成されるプッシュプ
ル型送信回路である。なお、図5ではプルアップ・トラ
ンジスタ70にNMOSを用いた場合の図を示したが、
NMOSに限定されるものではなくPMOSでもよい。
【0048】プッシュプル型送信回路を用いた低振幅用
送信回路は、従来技術で提げた文献に詳細に示されてい
る。そこで使われている送信回路ではオン抵抗と終端抵
抗との分圧によって小振幅を実現するために100Ω前
後の高いオン抵抗をもったトランジスタを使っている。
これに対し、本発明では現在広く使われている10Ω前
後のオン抵抗を持つトランジスタを使用する。従来の送
信回路が使用できるのは、本発明によって追加した抵抗
80〜83とこの10Ω前後のオン抵抗との和が、先の
オン抵抗100Ωと近いために、伝送線路上の振幅は同
等の大きさとなるからである。
【0049】例えば、伝送線路のインピーダンスと終端
抵抗を50Ω、分岐配線のインピーダンスを100Ω、
終端電源を1.5V、送信回路に供給されている電源を
3Vとすると、オン抵抗100Ωのトランジスタを使用
した前記文献の伝送路では信号振幅は0.6Vとなり、
図4で示した伝送線路での振幅0.68Vとほぼ等しい
値になる。
【0050】なお、ここで抵抗80〜83の抵抗値を7
5Ωとした。この抵抗値の決め方は後で明らかにする。
【0051】また、このように送信回路のオン抵抗を1
00Ωから10Ωへと下げたことにより、送信回路で消
費する電力を削減することが出来る。例えば、先の条件
では、100Ωのオン抵抗を使用した従来の場合、消費
電力は14.4mWであるが、本発明によれば1.9m
Wと大幅に削減することが出来る。
【0052】次に受信回路の一例を図6に示す。この受
信回路は、基準電圧に対し入力電圧が高いか、低いかに
よって入力信号のHigh、Lowを判定する差動型受
信回路である。ここで用いる基準電圧は受信回路を構成
する集積回路内で作ることもできるが、集積回路内部で
発生した電源ノイズや外部より入った電源ノイズなどに
より電源が変動すると、これにともない基準電圧も変動
するため、基準電圧は外部より供給するのがより良い。
この受信回路についても先に提示した文献に開示されて
いる。
【0053】なお、図4では各回路ブロック内の受信回
路は1つしか記載されていないが、本発明は受信回路の
数に制限されるものではない。
【0054】このように構成された信号伝送回路におい
て、抵抗80〜83の抵抗値を伝送線路11のインピー
ダンスからバス100のインピーダンスの半分を引いた
値にする。バス100のインピーダンスの半分とするの
は、送信回路ブロックからの信号はバス100との接点
Bにおいて2方向に分岐するからである。
【0055】つまり伝送線路11および41のインピー
ダンスをZs、バス100のインピーダンスをZ0、抵
抗80の抵抗値をRmとすれば、 Rm=Zs−Z0/2 (1) とする。
【0056】これにより、伝送線路11から見た抵抗8
0とバス100との合成インピーダンスは伝送線路11
自身のインピーダンスと等しくなり、分岐配線内での反
射の繰り返しを防止することができる。
【0057】抵抗81〜83についても同様の方法で設
定する。これにより、他のブロックにおいても、前記し
たブロック1と同等の効果をもたらすことが出来る。
【0058】なお、前記した本発明の効果は式(1)で
求めた抵抗値の抵抗によってのみ有効なものではなく、
式(1)で求めた抵抗値の近傍であれば、十分有効なも
のである。
【0059】そこで(1)で求めた抵抗の効果を説明す
るために、図4の回路図を用いて送信回路21がLow
出力からHigh出力へと切り替わった時に図中の各点
にどのような波形が伝わるのかを以下に説明する。
【0060】図4において伝送線路100のインピーダ
ンスを50Ω、分岐配線11〜14,41〜44のイン
ピーダンスを100Ω、終端抵抗50、51をそれぞれ
50Ω、終端電源60、61を1.5V、そして送信回
路21のオン抵抗を10Ωとする。
【0061】また、送信回路21はHigh出力時には
伝送線路を3V電源と接続し、Low出力時にはグラン
ド、すなわち0Vと接続する回路である。また図中の3
2〜34を受信回路とする。
【0062】このとき、抵抗80〜83の抵抗値は式
(1)より75Ωである。
【0063】まず、送信回路21からLow出力をした
ときの伝送線路100の電位を求める。
【0064】伝送線路の電圧は終端電源1.5Vを終端
抵抗50、51と抵抗80、そして送信回路21のオン
抵抗によって分圧された電圧となるから 1.5×(75+10)/(10+75+25)=1.
16(V) となる。
【0065】図4の回路では、送信回路21から出た信
号はA及びB点で反射せずに、すべて伝送線路100に
伝わる。このため、送信回路の出力をLowからHig
hへと切り替えたときのB点に伝わる信号の電位は、終
端電源1.5Vと送信回路21の電源3Vを終端抵抗5
0、51、抵抗80、送信回路21のオン抵抗によって
分圧された電圧となるから、B点での信号電位は 1.5+(3ー1.5)×25/(10+75+25)
=1.84V となる。すなわち、B点に伝わる信号の振幅は、 1.84−1.116=0.68V である。
【0066】この伝送線路100に伝わった振幅0.6
8Vの信号はC点に伝わると、前方に50Ωの伝送線路
と75Ωの抵抗と100Ωの伝送線路が見えるが、この
2本の配線の合成インピーダンス38.9Ωと、いまま
で伝わってきた伝送線路のインピーダンス50Ωとが異
なるため、インピーダンスの不整合による反射が起こ
る。
【0067】透過係数を求めると、 1ー(50ー38.9)/(50+38.9)=0.8
75 となり、E点を通過する信号の電位は、B点の信号振幅
0.68Vに透過率0.875を掛け、初期電位を加え
た電位となる。すなわち、 0.68×0.875+1.16=1.76(V)とな
る。
【0068】同様の反射が点E、点Gでも起こり、それ
ぞれの電位は1.68(V)、1.61(V)となる。
【0069】これらの結果を示したのが図7である。図
7において、(a)は図4に示す点Cに着目し、点Cに
入ってくる信号である点Bと、点Cから出て行く信号で
ある点Dと点Eの信号波形を示したものである。同様に
(b)は点Eに着目した信号波形を示した図、(c)は
点Gに着目した信号波形を示した図である。図7中、7
02は図4における点Bの信号波形,703はC点,70
4はD点,705はE点,706はF点,707はG点,7
08はH点の信号波形を示している。信号の立ち下がり
時においても、同様のことがおこり、そのときの信号波
形は図8のようになる。図8においても、702から7
08はそれぞれ図4におけるB点からH点までの信号波
形を示す。
【0070】このように、本実施例で明らかにした信号
伝送回路を用いると、各分岐点における送信回路21か
らの最初の信号は、すべて基準電圧(上記条件では1.
5V)を越えていることがわかる。
【0071】また、点C、E、Gで伝送線路12〜14
に入った信号は、それぞれ受信回路のところで全反射
し、分岐点に戻るのだが、今回の回路ではインピーダン
ス整合がとれているため、分岐点で反射することなく1
回で全電位を伝送線路100に伝えることが出来る。
【0072】図より明らかのように、本発明によって挿
入した抵抗によって、反射による電位降下が大幅に削減
でき、送信回路から遠い受信回路での信号電位落ち込み
もわずかなものになっている。
【0073】また、低振幅の割合は伝送線路100のイ
ンピーダンスと各ブロック内の伝送線路のインピーダン
スを変えることにより、自由に設計することが出来る。
例えば、送信回路のオン抵抗が10Ωの場合、ブロック
内伝送線路のインピーダンスを100Ω、そして伝送線
路100のインピーダンスを25Ωとすると、伝送線路
上の信号振幅は、抵抗80〜83が87.5Ωとなるの
で、 1.5×20/(20+100+10)×2=0.34
(V) となる。このときの波形を図11、図12に示す。図中
の702から708は図4におけるB点からH点の信号
波形を示す。
【0074】この図より、振幅がさらに小さくなり、し
かも落ち込みの小さな波形が得られていることがわか
る。
【0075】また、抵抗80〜83は回路ブロック内の
負荷容量による伝送線路100のインピーダンス低下を
低減する効果もある。すなわち、伝送線路100と回路
ブロック1〜5との間に抵抗を挿入すると、回路ブロッ
ク内の容量は抵抗を通して見えるため、この結果、伝送
線路のインピーダンスの低下は抑えられる。
【0076】以上のようにマッチング抵抗80〜83を
式(1)の値、またはその近傍にし、集積回路のリード
フレーム等の伝送線路のインピーダンスと基板上の伝送
線路とのマッチングをとることにより高速伝送を実現で
きる。
【0077】本発明は例えばロジックLSIのように、
パッケ−ジ容量,インダクタンスの大きい物ほど特性イ
ンピ−ダンスマッチングを取ることによる効果が大きい
といえる。
【0078】また、本発明によれば、ICやLSIとう
の集積回路やメモリ等のモジュールの設計、製造方法に
おいても、新たな思想を示すものである。現在は、これ
らの設計、製造工程において、将来実装される基板上の
伝送線路のインピーダンスは、何等考慮されることなく
設計、製造されている。本発明においては、これらの設
計、製造方法において、 (1)まず、将来実装される基板の伝素線路のインピー
ダンスを決める。
【0079】(2)設計する集積回路などのリードフレ
ーム等の伝送線路が接続されるべき基板上の伝送線路の
インピーダンスを求める。(リードフレームごとにイン
ピーダンスを決定する。基板上の伝送線路が一定の場合
はそれに従う。) (3)設計された伝送線路のインピーダンス等に従っ
て、当該伝送線路を製造し、更に、集積回路チップとワ
イヤーボンディング等の技術を用いて接続する。
【0080】(4)基板上の所定の位置に実装する。
【0081】という新たな設計、製造手順を採用する。
【0082】この製造方法を用いることにより、高速伝
送に適した集積回路、信号伝送回路を製造することがで
きる。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば分岐配線のインピーダン
スからバスのインピーダンスの半分を引いた値の近傍の
抵抗値を持った抵抗を分岐配線とバスとの間に挿入する
ことにより、分岐配線内での反射の繰り返しを防止する
ことができ、挿入抵抗、終端抵抗の分圧によって伝送線
路上の振幅を低振幅にすることができるので、高速に信
号伝送が可能となる。また、伝送線路上に多数の分岐点
がある場合、分岐配線内の容量が抵抗を通して見えるた
めバスのインピーダンスの低下を抑える効果もある。更
に、分岐配線と送/受信回路までのリ−ドフレ−ムやパ
ッケ−ジ内配線パタ−ンを特性インピ−ダンスマッチン
グすることで、更なる高速伝送が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術を適用した単一方向用伝送線路を説明
する図。
【図2】図1の伝送線路を用いたときの信号波形(立ち
上がり波形)を説明する図。
【図3】図1の伝送線路を用いたときの信号波形(立ち
下がり波形)を説明する図。
【図4】本発明の実施例を示すブロック図。
【図5】送信回路の一例を説明する図。
【図6】差動型受信回路の一例を説明する図。
【図7】図4における信号波形(立ち上がり波形)を表
す図。
【図8】図4における信号波形(立ち下がり波形)を表
す図。
【図9】伝送線路の特性インピ−ダンスマッチングを施
さない例を説明する図。
【図10】図9における信号波形を表す図。
【図11】図4に示す実施例の回路において、伝送線路
の特性インピ−ダンスを変えた場合の信号波形(立ち上
り波形)を示す図。
【図12】図4に示す実施例の回路において、伝送線路
の特性インピ−ダンスを変えた場合の信号波形(立ち下
がり波形)を示す図。
【図13】QFPパッケ−ジの断面を示す図。
【図14】PGAパッケ−ジの断面を示す図。
【図15】QFPパッケ−ジを搭載した装置例を示す
図。
【符号の説明】
1〜4…回路ブロック、5〜8…内部回路ブロック、1
1〜14…伝送線路、21…送信回路、32〜34…受
信回路、41〜44…伝送線路、50,51…終端抵
抗、 60,61…終端電源、62…ドライバ供給電
源、63…グランド 70〜76…MOSFET、80〜83…マッチング抵
抗、90〜93…インダクタンス、100…回路ブロッ
ク間伝達用伝送線路、110〜113…容量、Vref
基準電圧、120〜129…リ−ドフレ−ム、13
0,131…チップ、140〜143…ボンディングワ
イヤ−、150〜155…封止されたパッケ−ジ、16
0,161…入出力ピン、170,171…パッケ−ジ
内配線パタ−ン、180…マザ−ボ−ド、190〜19
3…基板、200〜203…コネクタ 210〜213…マッチング抵抗、220,221…終
端抵抗、230〜233…伝送線路、240…デ−タバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗原 良一 神奈川県海老名市下今泉810番地 株式 会社日立製作所 オフィスシステム事業 部内 (72)発明者 井上 雅雄 神奈川県海老名市下今泉810番地 株式 会社日立製作所 オフィスシステム事業 部内 (72)発明者 武隈 俊次 神奈川県海老名市下今泉810番地 株式 会社日立製作所 オフィスシステム事業 部内 (56)参考文献 特開 昭49−88427(JP,A) 特許2882266(JP,B2) 特許3008873(JP,B2) 特許3284973(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04L 25/02 G06F 3/00 H03K 19/0175 H04L 12/40

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1つ以上の送信回路を有する第1の半導体
    パッケージと、 前記第1の半導体パッケージを1つ以上有する第1の
    ニットと、 1つ以上の受信回路を有する第2の半導体パッケージ
    と、 前記第2の半導体パッケージを1つ以上有する第2の
    ニットと、前記送信回路と前記第1のユニットまたは前記受信回路
    と前記第2のユニットをつなぐ第1の伝送線路 と、前記半導体パッケージと前記第1のユニットの入出力端
    子または前記第2の半導体パッケージと前記第1のユニ
    ットの入出力端子をつなぐ第2の伝送線路 と、前記第1、第2のユニットの入出力端子間 をつなぐ第3
    の伝送線路とからなる信号伝送回路において、 前記第3の伝送線路の特性インピ−ダンス値またはその
    近傍の抵抗値を持つ素子によって該第3の伝送線路の終
    端を行い、 さらに前記第2の伝送線路のインピ−ダンスから前記第
    3の伝送線路のインピ−ダンスの半分の値を引いた値ま
    たはその近傍の抵抗値を持つ素子を該第2の伝送線路と
    該第3の伝送線路の間に設け、 前記第1の伝送線路と前記第2の伝送線路のインピ−ダ
    ンスを同じ値またはその近傍のインピ−ダンスにするこ
    とを特徴とする信号伝送回路。
  2. 【請求項2】1つ以上の送信回路または/及び受信回路
    を有する半導体パッケージと該半導体パッケージを1つ
    以上有する複数のユニットと、前記半導体パッケージに含まれる送信回路または/及び
    受信回路と前記半導体パッケージを有するユニット をつ
    なぐ第1の伝送線路と、前記 半導体パッケージと前記ユニットの入出力端子をつ
    なぐためのユニット内に構成される第2の伝送線路と、前記 ユニットの入出力端子間をつなぐ第3の伝送線路と
    からなる信号伝送回路において、 前記第3の伝送線路の特性インピ−ダンス値またはその
    近傍の抵抗値を持つ素子によって該第3の伝送線路の終
    端を行い、 さらに前記第2の伝送線路のインピ−ダンスから前記第
    3の伝送線路のインピ−ダンスの半分の値を引いた値ま
    たはその近傍の抵抗値を持つ素子を該第2の伝送線路と
    該第3の伝送線路の間に設け、 前記第1の伝送線路と前記第2の伝送線路のインピ−ダ
    ンスを同じ値またはその近傍のインピ−ダンスにするこ
    とを特徴とする信号伝送回路。
  3. 【請求項3】請求項1に記載された信号伝送回路におい
    て、 前記第一の伝送線路は前記第1、第2の半導体パッケー
    のリ−ドフレ−ムまたはパッケ−ジ内配線パタ−ンで
    あって、 該リードフレーム又はパッケージ内配線パターンの特性
    インピ−ダンスを60Ω〜100Ωとすることを特徴と
    する信号伝送回路。
  4. 【請求項4】請求項3に記載された信号伝送回路におい
    て、前記第1、第2のユニットはそれぞれ前記第1、第2の
    半導体パッケージ を搭載したドーターボードであること
    を特徴とする信号伝送回路。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載された信号伝送回路におい
    て、 前記第一の伝送線路は前記半導体パッケージのリ−ドフ
    レ−ムまたはパッケ−ジ内配線パタ−ンであって、 該リードフレーム又はパッケージ内配線パターンの特性
    インピ−ダンスを60Ω〜100Ωとすることを特徴と
    する信号伝送回路。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載された信号伝送回路におい
    て、 前記ユニットは前記半導体パッケージを搭載したドータ
    ーボードであることを特徴とする信号伝送回路。
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