JP3337395B2 - ガスタービンロータ - Google Patents

ガスタービンロータ

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JP3337395B2 JP15370397A JP15370397A JP3337395B2 JP 3337395 B2 JP3337395 B2 JP 3337395B2 JP 15370397 A JP15370397 A JP 15370397A JP 15370397 A JP15370397 A JP 15370397A JP 3337395 B2 JP3337395 B2 JP 3337395B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガスタービンロータ
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3は従来のガスタービンの縦断面図、
図4は同ガスタービンの部分拡大縦断面図、図5は図4
のV部拡大図である。図において、12はロータの円
板、13は各円板を接続するボルト、14は隣り合う円
板を噛み合わせるために設けられている歯、15は隣り
合う円板の対向部に設けられている環状の腕、16は上
記の一対の腕の間に装着されているシール板、17は円
板に設けられている空気通路、18は空気入口、19は
流入する冷却用空気、20は円板の間を流れる冷却用空
気の流れである。
【0003】一般のガスタービンでは動翼11を植えた
円板12を複数個軸方向に積重ねてボルト13で一体に
締付けてロータとすると共に、接合面に頂角180°の
傘歯車に相当する歯14を形成し、互いに噛合せその歯
の噛み合いでトルクの伝達及び互の円板の芯合わせを行
っている。各円板には空気通路17が設けてあり、空気
流20を流すことによって円板12や動翼11の付け根
部を冷却している。
【0004】図5は円板12に設けられている歯14の
加工説明図であり、(a)は円板の縦断面図、(b)は
(a)のB−B断面図、(c)は(b)のC−C断面図
である。図(b),(c)には歯14を加工するための
円板状砥石25が描いてある。26はこの砥石に設けら
れている歯創成面である。Hは歯14と腕15との間の
距離、Rは砥石25の半径である。
【0005】一般に砥石25は研削1サイクルの摩耗
量を出来るだけ小として精度を維持するために、大径の
円板状砥石25が用いられており、その半径Rは、歯1
4と腕15との距離Hより大きいものになる。従って、
この腕15の突出高さはこの大径の砥石の回転を阻害し
ない高さにする必要がある。
【0006】図6は一対の円板の腕の先端部、即ち図4
のV部の拡大図である。前記のような大径の砥石の歯創
成面26が回転し、歯14の歯底を加工している時に、
砥石が腕の端面15aに接触しないよう、腕の端面15
aは砥石の逃げ22に相当する寸法だけ歯のピッチ線2
1から後退させてある。これによって、一対の腕の端面
15aの間には少なくとも間隔23に相当する隙間が生
じる。前記のシール板16は、冷却空気がこの隙間から
外周方向へ流出することを防ぐために設けられているも
のであり、一対の腕の両端面間の隙間を塞ぐ蓋である。
このシール板16は、対向する腕15の端面15aにそ
れぞれ溝を設け、この溝に嵌め込んである。シール板1
6は装着後は円輪状となるが、加工の都合上円輪を2ま
たは4分割した形のものを製作し、それぞれを嵌め込ん
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のガスタービン構
造においては横置きロータであるので、図7に示すよう
にロータ中心線24は自重のために撓む。このため、各
円板の外周部では互の間隔が上側と下側で異なり、従っ
て或る周上の一点に注目すると一回転毎に間隔がその差
だけ変化する。即ち量は僅かであるが腕の嵌込溝とシー
ル板は一回転毎に軸方向に摺動する。シール板は溝に遠
心力で押し付けられながら摺動を続けるので長年の運転
の間に摩耗する。
【0008】また加工上の都合でシール板は円輪状のも
のを2又は4分割しているので分割部で洩れを生ずる。
分割部での洩れは接目なしの円輪とすれば解決できる
が、大径で薄肉の円輪の高精度の加工はコスト上の問題
があるので実用には適していない。
【0009】本発明は上記従来技術の欠点を解消し
シール部の摩耗および空気洩れの無いシール手段を備え
たガスタービンロータを提供することを課題とするもの
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】このため、第1番目の本
発明のガスタービンロータは、隣り合う円板面上に傘歯
車状の歯とその外方に複数の空気通路貫通孔とを有する
複数個の円板を、傘歯車状の歯を噛み合わせて重ね、そ
れらの円板を貫通するボルトで締結して一体化し、運転
時に冷却用空気を各円板の空気通路を順次経由して流通
させ円板を冷却するガスタービンロータにおいて、隣り
合う円板面の空気通路貫通孔の円板半径方向外方のとこ
ろに、傘歯車状の歯の歯底より低く環状に突出してそれ
ぞれ対向する腕を設け、その一方の腕の先端部は弾性変
形可能な厚さで且つ内方へ折れ曲がった断面形状をな
し、また、他方の腕には先端部が弾性変形可能な厚さで
且つ内方へ折れ曲がった断面形状の延長部材を溶接して
設け、一方の腕の先端部の端面と、他方の腕の延長部材
の先端部の端面とを突き合わせ、複数の円板が一体化さ
れ且つ両端面が圧接状態となるようにして、冷却用空気
の洩れを防止するものとした。また、第2番目の本発明
のガスタービンロータは、対向面に設けた傘歯車状の歯
と該歯の外方に複数の空気通路用の貫通孔とを設けた複
数個の円板を、歯を噛み合わせ状態にして重ね円板を貫
通させたボルトで締結して一体化し、運転時冷却用空気
を貫通孔に順次流通させ円板の冷却を行うようにしたガ
スタービンロータにおいて、貫通孔より円板径方向外方
の円板面上から対向する隣接円板面に向け歯の歯底より
低い位置まで環状に突設され、先端部が弾性変形可能な
厚さで且つ内方へ折れ曲がった断面形状にされた一方の
腕と、一方の腕に対向させて隣接円板面上から突設され
た他方の腕と、他方の腕の先端部に後端部が溶接されて
弾性変形可能な厚さで且つ内方へ折れ曲がった断面形状
にされ、円板が一体化されたとき先端が一方の腕の先端
と突き合わされて圧接状態になり、冷却用空気の洩れを
防止する延長部材とを設けるものとした。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態に係
るガスタービンの部分拡大縦断面図である。図におい
て、円板12の主要部の構造、円板相互のトルク伝達の
ための歯14、円板相互のボルト13による結合、空気
通路17等の構造は従来の技術と同じである。従来技術
と異る点は図のII部の構造である。
【0012】図2は図1のII部の拡大図である。図にお
いて1は一方の円板に設けてある腕である。この腕の先
端部2は内方へ折れ曲った断面形状をなしている。3は
他方の円板に設けてある腕である。この腕には内方へ折
れ曲った断面形状の延長部材4が溶接によって取付けて
ある。5はその溶接材である。一方の腕の先端部2の端
面と、他方の腕の延長部材4の端面とは互に接して圧接
面6を構成している。なお上記折れ曲り部の厚さは弾性
変形可能な厚さである。また、上記先端部2および延長
部材4の折れ曲りは外方へ折れ曲っていてもよい。
【0013】この図において、実線で描いてあるのは、
実際の使用状態を示すもので、圧接面6において両方の
腕は互に圧接されている。破線で示してあるのは、それ
ぞれ相手側の腕が無い状態、即ち無荷重状態、即ち製作
時の元の形状である。腕1の先端部と延長部材4とは相
互に圧接されることによって、弾性変形している。7
は、元の形状の端面間の距離であり、製作時に考慮され
る押付代である。8は、図1(あるいは従来技術の図
4)で示したトルク伝達用に噛み合わせてある歯車のピ
ッチ線であり、9はこの歯の歯底加工に必要な砥石の逃
げである。前記一方の腕1の端面1aおよび他方の腕3
の端面3aは砥石の逃げ9の限界線より十分に後退した
位置に設けてあるので、歯の加工は可能である。中間に
生じる間隔10は溶接された他方の腕の延長部材4が埋
めていることになる。
【0014】以上に説明したガスタービンロータの構造
においては、圧接面6では摺動はほとんど無いので摩耗
は生じない。また、ロータが回転すると、その自重によ
って中心線が撓み、中心線の上下では円板の間隔が変化
し、上記の腕の先端の圧接面6では周期的に圧接力に変
化が生じるが、圧接されていることに変りはないので、
空気洩れは防止される。
【0015】
【発明の効果】本発明のガスタービンロータにおいて
は、隣り合う円板面の空気通路貫通孔の円板半径方向外
方に、歯の歯底より低く環状に突出してそれぞれ対向す
る腕を設け、その一方の腕の先端部は弾性変形可能な厚
さで且つ内方へ折れ曲がった断面形状をなし、他方の腕
には先端部が弾性変形可能な厚さで且つ内方へ折れ曲が
った断面形状の延長部材を溶接して設け、一方の腕の先
端部の端面と、他方の腕の延長部材の先端部の端面とを
突き合わせ、複数の円板が一体化され且つ両端面が圧接
状態となるようにしてある。これにより、両端面の圧接
面はほとんど摺動しないので摩耗せず、また、両端面は
圧接状態にされているので空気洩れを防止することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係るガスタービンの部
分拡大縦断面図。
【図2】図1のII部の拡大図。
【図3】従来のガスタービンの縦断面図。
【図4】上記ガスタービンの部分拡大縦断面図。
【図5】上記ガスタービンの円板に設けられる歯の加工
説明図であり、(a)は円板の縦断面図、(b)は
(a)のB−B断面図、(c)は(b)のC−C断面
図。
【図6】上記ガスタービンの円板シール部(図4のV
部)の拡大図。
【図7】上記シール部の変形状態説明図。
【符号の説明】
1 一方の腕 1a 端面 2 一方の腕の先端部 3 他方の腕 3a 端面 4 他方の腕の延長部材 5 溶接材 6 圧接面 7 押付代 8 歯のピッチ線 9 砥石の逃げ 10 間隔 11 動翼 12 円板 13 ボルト 14 歯 15 腕 15a 腕の端面 16 シール板 17 空気通路 18 空気入口 19 流入空気 20 空気流 21 歯のピッチ線 22 砥石の逃げ 23 間隔 24 ロータ中心線(自重によって撓んだ状態) 25 砥石 26 砥石の歯創成面 H 歯と腕との間の距離 R 砥石の半径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01D 5/08 F01D 11/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 隣り合う円板面上に傘歯車状の歯とその
    外方に複数の空気通路貫通孔とを有する複数個の円板
    を、上記傘歯車状の歯を噛み合わせて重ね、それらの円
    板を貫通するボルトで締結して一体化し、運転時に冷却
    用空気を上記各円板の空気通路を順次経由して流通させ
    円板を冷却するガスタービンロータにおいて、上記の隣
    り合う円板面の上記空気通路貫通孔の円板半径方向外方
    のところに、上記傘歯車状の歯の歯底より低く環状に突
    出してそれぞれ対向する腕を設け、その一方の腕の先端
    部は弾性変形可能な厚さで且つ内方へ折れ曲がった断面
    形状し、また、他方の腕には先端部が弾性変形可能な
    厚さで且つ内方へ折れ曲がった断面形状の延長部材を溶
    接して設け、上記一方の腕の先端部の端面と、上記他方
    の腕の延長部材の先端部の端面とを突き合わせ、複数の
    円板が一体化され且つ上記両端面が圧接状態となるよう
    にして、冷却用空気の洩れを防止することを特徴とする
    ガスタービンロータ。
  2. 【請求項2】 対向面に設けた傘歯車状の歯と該歯の外
    方に複数の空気通路用の貫通孔とを設けた複数個の円板
    を、上記歯を噛み合わせ状態にして重ね上記円板を貫通
    させたボルトで締結して一体化し、運転時冷却用空気を
    上記貫通孔に順次流通させ上記円板の冷却を行うように
    したガスタービンロータにおいて、上記貫通孔より円板
    径方向外方の円板面上から対向する隣接円板面に向け、
    上記歯の歯底より低い位置まで環状に突設され、先端部
    が弾性変形可能な厚さで且つ内方へ折れ曲がった断面形
    状にされた一方の腕と、上記一方の腕に対向させて隣接
    円板面上から突設された他方の腕と、上記他方の腕の先
    端部に後端部が溶接されて弾性変形可能な厚さで且つ内
    方へ折れ曲がった断面形状にされ、上記円板が一体化さ
    れたとき先端が上記一方の腕の先端と突き合わされて圧
    接状態になり、上記冷却用空気の洩れを防止する延長部
    材とを設けたことを特徴とするガスタービンロータ。
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