JP3336194B2 - 誘電体磁器 - Google Patents
誘電体磁器Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は誘電体磁器に関する
もので、例えば、スイッチング電源の平滑用コンデンサ
に好適に用いられる誘電体磁器に関するものである。
もので、例えば、スイッチング電源の平滑用コンデンサ
に好適に用いられる誘電体磁器に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来より、高誘電率磁器コンデンサ材料と
して、BaTiO3 を主体として、これに、CaTiO
3 、BaSnO3 、CaZrO3 、SrTiO3 等を添
加したものが使用されてきた。これは室温での誘電率が
2000〜25000と高い材料である。しかし、これ
らの組成系は、この焼結温度がいずれも1300〜14
00℃と高いという欠点を有していた。このため、焼成
コストが高くなるという問題があった。
して、BaTiO3 を主体として、これに、CaTiO
3 、BaSnO3 、CaZrO3 、SrTiO3 等を添
加したものが使用されてきた。これは室温での誘電率が
2000〜25000と高い材料である。しかし、これ
らの組成系は、この焼結温度がいずれも1300〜14
00℃と高いという欠点を有していた。このため、焼成
コストが高くなるという問題があった。
【0003】また、積層磁器コンデンサにおいては、生
の磁器シート上に電極を予め形成したものを複数枚積層
してから焼成されるので、電極材料にも上述の1300
℃以上の高温が課せられることになる。そのため、電極
材料としては、そのような高温においても、誘電体との
反応や、酸化を生じないように、高融点貴金属類、例え
ば、白金、パラジウムなどを用いなければならなかっ
た。BaTiO3 系に低融点酸化物を添加し、1150
℃以下で焼結する材料も開発されているが、いずれも誘
電率は高々3000程度であり、未だ低いという問題が
あった。
の磁器シート上に電極を予め形成したものを複数枚積層
してから焼成されるので、電極材料にも上述の1300
℃以上の高温が課せられることになる。そのため、電極
材料としては、そのような高温においても、誘電体との
反応や、酸化を生じないように、高融点貴金属類、例え
ば、白金、パラジウムなどを用いなければならなかっ
た。BaTiO3 系に低融点酸化物を添加し、1150
℃以下で焼結する材料も開発されているが、いずれも誘
電率は高々3000程度であり、未だ低いという問題が
あった。
【0004】このような問題を解決したものとして、特
公昭60−18085号に開示された誘電体磁器組成物
がある。この誘電体磁器組成物は、Pb(Mg1/3 Nb
2/3)O3 −Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 の固溶体か
らなり、Pb3 O4 、MgO、ZnO、Nb2 O5 が所
定の重量比を有するものであり、焼結温度が1150℃
以下で、かつ最大14650の高誘電率を有するもので
ある。
公昭60−18085号に開示された誘電体磁器組成物
がある。この誘電体磁器組成物は、Pb(Mg1/3 Nb
2/3)O3 −Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 の固溶体か
らなり、Pb3 O4 、MgO、ZnO、Nb2 O5 が所
定の重量比を有するものであり、焼結温度が1150℃
以下で、かつ最大14650の高誘電率を有するもので
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年においては、電子
機器の小型化、低価格化が進むにつれ、積層コンデンサ
も小型大容量化が要求され、誘電体磁器としてもさらな
る高誘電率のものが要求されてきているが、上記した特
公昭60−18085号に開示された誘電体磁器組成物
においても未だ比誘電率が低く、小型大容量化にも限界
があった。
機器の小型化、低価格化が進むにつれ、積層コンデンサ
も小型大容量化が要求され、誘電体磁器としてもさらな
る高誘電率のものが要求されてきているが、上記した特
公昭60−18085号に開示された誘電体磁器組成物
においても未だ比誘電率が低く、小型大容量化にも限界
があった。
【0006】があった。
【0007】また、特公昭60−18085号に開示さ
れた誘電体磁器組成物においては、コンデンサ材料とし
て最も重要な絶縁抵抗について述べられていないためコ
ンデンサ材料としての有用性が明らかでない。
れた誘電体磁器組成物においては、コンデンサ材料とし
て最も重要な絶縁抵抗について述べられていないためコ
ンデンサ材料としての有用性が明らかでない。
【0008】さらに、鉛系誘電体材料はDCバイアスを
印加した際の容量低下が、BaTiO3 系材料と比較し
著しく小さいという特徴があるため、近年、スイッチン
グ電源の平滑用コンデンサとして市場の要求が高まって
いる。このような平滑用電源に要求される特性として
は、比誘電率が高いこともさることながら、コンデンサ
を構成した場合の静電容量の温度特性が、従来用いられ
ていたコンデンサのJIS規格におけるF特性よりもさ
らに安定なE特性が要求されている。
印加した際の容量低下が、BaTiO3 系材料と比較し
著しく小さいという特徴があるため、近年、スイッチン
グ電源の平滑用コンデンサとして市場の要求が高まって
いる。このような平滑用電源に要求される特性として
は、比誘電率が高いこともさることながら、コンデンサ
を構成した場合の静電容量の温度特性が、従来用いられ
ていたコンデンサのJIS規格におけるF特性よりもさ
らに安定なE特性が要求されている。
【0009】本発明は、比誘電率が15000以上で、
高絶縁性を有し、かつ、静電容量の温度特性がJIS規
格におけるE特性を満足する誘電体磁器を提供すること
を目的とする。
高絶縁性を有し、かつ、静電容量の温度特性がJIS規
格におけるE特性を満足する誘電体磁器を提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、Pb(Mg
1/3 Nb2/3 )O3 −Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3系
の誘電体磁器について鋭意検討した結果、ペロブスカイ
ト型結晶を主結晶相とし、パイロクロア結晶相を一定量
含有するとともに、全体組成においてMgと(Mg+Z
n)のモル比、Pbと(Mg+Zn+Nb)のモル比が
一定の範囲にある場合には、比誘電率が15000以上
で、高絶縁性を有し、かつ、静電容量の温度特性がJI
S規格におけるE特性を満足する誘電体磁器が得られる
ことを見出し、本発明に至った。
1/3 Nb2/3 )O3 −Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3系
の誘電体磁器について鋭意検討した結果、ペロブスカイ
ト型結晶を主結晶相とし、パイロクロア結晶相を一定量
含有するとともに、全体組成においてMgと(Mg+Z
n)のモル比、Pbと(Mg+Zn+Nb)のモル比が
一定の範囲にある場合には、比誘電率が15000以上
で、高絶縁性を有し、かつ、静電容量の温度特性がJI
S規格におけるE特性を満足する誘電体磁器が得られる
ことを見出し、本発明に至った。
【0011】本発明の誘電体磁器は、金属元素としてP
b、Mg、Zn、Nbを含み、かつペロブスカイト型複
合酸化物を主結晶相とし、Pb 3 Nb 4 O 13 からなるパイ
ロクロア結晶相を含有するとともに、全体組成における
Mgと(Mg+Zn)のモル比、Pbと(Mg+Zn+
Nb)のモル比が、 0.6 ≦Mg/(Mg+Zn)≦0.8 0.975≦Pb/(Mg+Zn+Nb)≦0.995 を満足し、かつペロブスカイト型結晶の主結晶相(11
0面)の強度をI 110 、Pb 3 Nb 4 O 13 からなるパイロ
クロア結晶の主結晶相(222面)の強度をI 222 とし
た時、0.005≦I 222 /(I 110 +I 222 )≦0.0
8を満足することを特徴とする。
b、Mg、Zn、Nbを含み、かつペロブスカイト型複
合酸化物を主結晶相とし、Pb 3 Nb 4 O 13 からなるパイ
ロクロア結晶相を含有するとともに、全体組成における
Mgと(Mg+Zn)のモル比、Pbと(Mg+Zn+
Nb)のモル比が、 0.6 ≦Mg/(Mg+Zn)≦0.8 0.975≦Pb/(Mg+Zn+Nb)≦0.995 を満足し、かつペロブスカイト型結晶の主結晶相(11
0面)の強度をI 110 、Pb 3 Nb 4 O 13 からなるパイロ
クロア結晶の主結晶相(222面)の強度をI 222 とし
た時、0.005≦I 222 /(I 110 +I 222 )≦0.0
8を満足することを特徴とする。
【0012】
【0013】
【作用】本発明の誘電体磁器は、1050℃以下で焼成
でき、比誘電率が15000以上で、高絶縁性を有し、
かつ、静電容量の温度特性がJIS規格におけるE特性
(温度変化率が−25〜85℃において+20〜−55
%)を満足する誘電体磁器が得られる。
でき、比誘電率が15000以上で、高絶縁性を有し、
かつ、静電容量の温度特性がJIS規格におけるE特性
(温度変化率が−25〜85℃において+20〜−55
%)を満足する誘電体磁器が得られる。
【0014】また、ペロブスカイト型結晶の主結晶相
(110面)の強度をI110 、Pb3Nb4 O13からな
るパイロクロア結晶の主結晶相(222面)の強度をI
222 とした時、0.005≦I222 /(I110 +
I222 )≦0.08を満足することにより、上記した特
性をさらに向上することができる。
(110面)の強度をI110 、Pb3Nb4 O13からな
るパイロクロア結晶の主結晶相(222面)の強度をI
222 とした時、0.005≦I222 /(I110 +
I222 )≦0.08を満足することにより、上記した特
性をさらに向上することができる。
【0015】本発明の誘電体磁器を用いて作製した誘電
体層の厚みが3〜10μmの積層セラミックコンデンサ
は高い絶縁抵抗を有することから、コンデンサ用磁器、
特にスイッチング電源の平滑用コンデンサとして最適と
なる。
体層の厚みが3〜10μmの積層セラミックコンデンサ
は高い絶縁抵抗を有することから、コンデンサ用磁器、
特にスイッチング電源の平滑用コンデンサとして最適と
なる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の誘電体磁器は、Pb(M
g1/3 Nb2/3 )O3 −Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3
系の誘電体磁器において、全体組成におけるMgと(M
g+Zn)のモル比を0.6〜0.8、Pbと(Mg+
Zn+Nb)のモル比を0.975〜0.995とした
ものである。
g1/3 Nb2/3 )O3 −Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3
系の誘電体磁器において、全体組成におけるMgと(M
g+Zn)のモル比を0.6〜0.8、Pbと(Mg+
Zn+Nb)のモル比を0.975〜0.995とした
ものである。
【0017】全体組成におけるMgと(Mg+Zn)の
モル比を0.6〜0.8としたのは、モル比が0.6よ
りも小さい場合には比誘電率が低下するとともに、−2
5℃での静電容量の温度特性が劣化し、0.8よりも大
きい場合には焼成温度が高くなるとともに、+85℃で
の静電容量の温度特性が劣化するからである。
モル比を0.6〜0.8としたのは、モル比が0.6よ
りも小さい場合には比誘電率が低下するとともに、−2
5℃での静電容量の温度特性が劣化し、0.8よりも大
きい場合には焼成温度が高くなるとともに、+85℃で
の静電容量の温度特性が劣化するからである。
【0018】Mgと(Mg+Zn)のモル比は、静電容
量の温度特性の観点から0.62〜0.78であること
が特に望ましい。
量の温度特性の観点から0.62〜0.78であること
が特に望ましい。
【0019】また、Pbと(Mg+Zn+Nb)のモル
比を0.975〜0.995としたのは、このモル比が
0.975よりも小さい場合には比誘電率が15000
よりも小さくなり、0.995よりも大きい場合には焼
成したMLC磁器の表面が変色し、外観上の欠点が生じ
るからである。Pbと(Mg+Zn+Nb)のモル比
は、比誘電率の向上という観点から0.975〜0.9
9であることが望ましい。
比を0.975〜0.995としたのは、このモル比が
0.975よりも小さい場合には比誘電率が15000
よりも小さくなり、0.995よりも大きい場合には焼
成したMLC磁器の表面が変色し、外観上の欠点が生じ
るからである。Pbと(Mg+Zn+Nb)のモル比
は、比誘電率の向上という観点から0.975〜0.9
9であることが望ましい。
【0020】また、本発明においては、0.005≦I
222 /(I110 +I222 )≦0.08を満足することに
より、さらに特性を向上することができる。I222 /
(I11 0 +I222 )が0.005よりも小さい場合に
は、−25℃での静電容量の温度特性が劣化し易く、
0.08よりも大きい場合には比誘電率が低下し易く、
焼成温度が1050度よりも高くなり易いからである。
222 /(I110 +I222 )≦0.08を満足することに
より、さらに特性を向上することができる。I222 /
(I11 0 +I222 )が0.005よりも小さい場合に
は、−25℃での静電容量の温度特性が劣化し易く、
0.08よりも大きい場合には比誘電率が低下し易く、
焼成温度が1050度よりも高くなり易いからである。
【0021】Pb3 Nb4 O13からなるパイロクロア結
晶相は、温度特性および低温焼成化という観点から0.
0099≦I222 /(I110 +I222 )≦0.075を
満足することが望ましい。
晶相は、温度特性および低温焼成化という観点から0.
0099≦I222 /(I110 +I222 )≦0.075を
満足することが望ましい。
【0022】本発明では、Pb3 Nb4 O13からなるパ
イロクロア結晶相と異なるパイロクロア相、例えば、P
b2 Nb2 O7 等を含有しても良い。
イロクロア結晶相と異なるパイロクロア相、例えば、P
b2 Nb2 O7 等を含有しても良い。
【0023】また、本発明の誘電体磁器中には、不可避
不純物としてMn,Ca,K,Na,As,Fe,C
u,Ta,Si,Al,Ca等を含有することがあり、
また、粉砕ボールからボール成分が混入する場合もあ
る。
不純物としてMn,Ca,K,Na,As,Fe,C
u,Ta,Si,Al,Ca等を含有することがあり、
また、粉砕ボールからボール成分が混入する場合もあ
る。
【0024】本発明の誘電体磁器は、例えば、PbO、
MgO、Nb2 O5 、ZnO粉末を備し、まずMgOと
Nb2 O5 の混合粉末を仮焼し反応させMgNb2 O6
の合成粉末を作製する。次にこのMgNb2 O6 粉末と
PbO、ZnO、Nb2 O5を、Mgと(Mg+Zn)
のモル比およびPbと(Mg+Zn+Nb)のモル比が
所定値となるように秤量して混合し、仮焼し、所定の化
合物粉体を得る。
MgO、Nb2 O5 、ZnO粉末を備し、まずMgOと
Nb2 O5 の混合粉末を仮焼し反応させMgNb2 O6
の合成粉末を作製する。次にこのMgNb2 O6 粉末と
PbO、ZnO、Nb2 O5を、Mgと(Mg+Zn)
のモル比およびPbと(Mg+Zn+Nb)のモル比が
所定値となるように秤量して混合し、仮焼し、所定の化
合物粉体を得る。
【0025】尚、ここではMgNb2 O6 粉末を先に
合成したが、MgO、ZnO,Nb2O5 を反応させ、
MgNb2 O6 −ZnO系化合物粉体を合成し、これを
粉砕した粉末にPbOを配合、仮焼し最終組成の化合物
粉体を得てもかまわない。鉛源としてPbO以外のPb
3 O4 等の他の鉛酸化物を用いてもかまわない。ゾルゲ
ル、アルコキシド、水熱等の他の合成方法により作製し
た一時原料、MgNb2O6 等の化合物を用いてもかま
わない。
合成したが、MgO、ZnO,Nb2O5 を反応させ、
MgNb2 O6 −ZnO系化合物粉体を合成し、これを
粉砕した粉末にPbOを配合、仮焼し最終組成の化合物
粉体を得てもかまわない。鉛源としてPbO以外のPb
3 O4 等の他の鉛酸化物を用いてもかまわない。ゾルゲ
ル、アルコキシド、水熱等の他の合成方法により作製し
た一時原料、MgNb2O6 等の化合物を用いてもかま
わない。
【0026】しかし、一旦MgNb2 O6 が合成する過
程を含まない合成プロセスでは、誘電体磁器において高
誘電率を与える結晶構造であるペロブスカイト構造の合
成率が著しく低下し、比誘電率が急激に低下しコンデン
サ材料として有用性がなくなる。従って、MgNb2 O
6 が一旦合成するプロセスを経る必要がある。
程を含まない合成プロセスでは、誘電体磁器において高
誘電率を与える結晶構造であるペロブスカイト構造の合
成率が著しく低下し、比誘電率が急激に低下しコンデン
サ材料として有用性がなくなる。従って、MgNb2 O
6 が一旦合成するプロセスを経る必要がある。
【0027】そして、化合物粉体を混合粉砕し、所定の
バインダーを混合し、所定形状に成形し、大気などの酸
化性雰囲気において1000〜1050℃で1〜3時間
焼成することにより、本発明の誘電体磁器を得る。Pb
3 Nb4 O13やPb2 Nb2O7 等のパイロクロア結晶
は530〜700℃において生成される。その生成量は
Pb量により変動する。Pbは仮焼、焼成時に蒸発する
ため、昇温速度およびPbと(Mg+Zn+Nb)のモ
ル比により制御できる。
バインダーを混合し、所定形状に成形し、大気などの酸
化性雰囲気において1000〜1050℃で1〜3時間
焼成することにより、本発明の誘電体磁器を得る。Pb
3 Nb4 O13やPb2 Nb2O7 等のパイロクロア結晶
は530〜700℃において生成される。その生成量は
Pb量により変動する。Pbは仮焼、焼成時に蒸発する
ため、昇温速度およびPbと(Mg+Zn+Nb)のモ
ル比により制御できる。
【0028】
【実施例】出発原料として、PbO、MgO、Nb2 O
5 、ZnO粉末を準備した。まずMgOとNb2 O5 の
混合粉末を大気中において1000℃で4時間仮焼し、
MgNb2 O6 の合成粉末を作製した。このMgNb2
O6 の合成粉末とPbO、ZnO、Nb2 O5 粉末を、
Mgと(Mg+Zn)のモル比およびPbと(Mg+Z
n+Nb)のモル比が表1に示す値となるように所定量
秤量して混合し、920℃で2時間仮焼し、所定の化合
物粉体を得た。
5 、ZnO粉末を準備した。まずMgOとNb2 O5 の
混合粉末を大気中において1000℃で4時間仮焼し、
MgNb2 O6 の合成粉末を作製した。このMgNb2
O6 の合成粉末とPbO、ZnO、Nb2 O5 粉末を、
Mgと(Mg+Zn)のモル比およびPbと(Mg+Z
n+Nb)のモル比が表1に示す値となるように所定量
秤量して混合し、920℃で2時間仮焼し、所定の化合
物粉体を得た。
【0029】この化合物粉体をジルコニアボール、ポリ
ポットを用いて20時間混合粉砕した。このスラリーを
乾燥した後、1重量%のポリビニルアルコール(PV
A)を加え、バインダーを混合し、造粒粉を作製した。
1ton/cm2 の圧力で直径12mm、厚み約1mm
の円板に成形した。その後、400℃で4時間脱脂した
後、大気中で表1に示す温度で2時間、マグネシア甲鉢
に入れ焼成した。尚、Pb3 Nb4 O13からなるパイロ
クロア結晶の含有量を制御するために焼成時における昇
温速度を制御した(200〜1000℃/hr)。
ポットを用いて20時間混合粉砕した。このスラリーを
乾燥した後、1重量%のポリビニルアルコール(PV
A)を加え、バインダーを混合し、造粒粉を作製した。
1ton/cm2 の圧力で直径12mm、厚み約1mm
の円板に成形した。その後、400℃で4時間脱脂した
後、大気中で表1に示す温度で2時間、マグネシア甲鉢
に入れ焼成した。尚、Pb3 Nb4 O13からなるパイロ
クロア結晶の含有量を制御するために焼成時における昇
温速度を制御した(200〜1000℃/hr)。
【0030】そして、焼結体の両面にIn−Ga電極を
塗布して形成し、LCRメータにより温度25℃、周波
数1KHz,測定電圧1Vrmsの条件で比誘電率及び
誘電損失を測定した。絶縁抵抗は直流電圧500Vを印
加し1分後に測定した。
塗布して形成し、LCRメータにより温度25℃、周波
数1KHz,測定電圧1Vrmsの条件で比誘電率及び
誘電損失を測定した。絶縁抵抗は直流電圧500Vを印
加し1分後に測定した。
【0031】さらに、X線回折測定を行い、ペロブスカ
イト型結晶の主結晶相(110面)の強度をI110 、P
b3 Nb4 O13からなるパイロクロア結晶の主結晶相
(222面)の強度をI222 とした時のI222 /(I
110 +I222 )を求め、これらの結果を表1,2に記載
した。図1に試料No.5のX線回折測定結果を示す。
イト型結晶の主結晶相(110面)の強度をI110 、P
b3 Nb4 O13からなるパイロクロア結晶の主結晶相
(222面)の強度をI222 とした時のI222 /(I
110 +I222 )を求め、これらの結果を表1,2に記載
した。図1に試料No.5のX線回折測定結果を示す。
【0032】また、積層セラミックコンデンサを作製
し、評価した。以下に説明する。
し、評価した。以下に説明する。
【0033】上記で述べた方法にて作製した化合物粉体
に溶剤、分散剤を適量添加しジルコニアボールを用いた
ボールミルで粉砕した。取り出したスラリーにバインダ
ーを添加し、良く混合分散させた後ドクターブレード法
にて誘電体シートを作製した。誘電体シートが乾燥した
後、Ag−Pdの合金粉を用いて作製した内部電極ペー
ストをスクリーン印刷にて誘電体シート上に印刷した。
コンデンサとして作用する誘電体シートを10層形成す
るまで、上記した工程を繰り返した。
に溶剤、分散剤を適量添加しジルコニアボールを用いた
ボールミルで粉砕した。取り出したスラリーにバインダ
ーを添加し、良く混合分散させた後ドクターブレード法
にて誘電体シートを作製した。誘電体シートが乾燥した
後、Ag−Pdの合金粉を用いて作製した内部電極ペー
ストをスクリーン印刷にて誘電体シート上に印刷した。
コンデンサとして作用する誘電体シートを10層形成す
るまで、上記した工程を繰り返した。
【0034】内部電極の印刷が終了した後は、誘電体シ
ートのみを印刷した。その後通常のチップ形状にカット
し、脱バインダーを行った。焼成は所定のマグネシア甲
鉢にて大気中で表1に示す温度で2時間行った。焼成し
たチップはバレルした後、Agからなる外部電極を焼き
付けて、誘電体厚み5μm、有効電極面積3.2mm×
1.6mm、誘電体層の有効積層数が10層の積層コン
デンサを作製した。
ートのみを印刷した。その後通常のチップ形状にカット
し、脱バインダーを行った。焼成は所定のマグネシア甲
鉢にて大気中で表1に示す温度で2時間行った。焼成し
たチップはバレルした後、Agからなる外部電極を焼き
付けて、誘電体厚み5μm、有効電極面積3.2mm×
1.6mm、誘電体層の有効積層数が10層の積層コン
デンサを作製した。
【0035】次に、評価試料を、LCRメーター428
4Aを用いて、周波数1.0MHz、入力信号レベル
1.0Vrmsで、−25〜85℃の温度範囲において
静電容量を測定し、+25℃での静電容量に対する各温
度での静電容量の変化率を算出した。さらに、絶縁抵抗
を直流電圧10V、温度特性は1KVで測定した。これ
らの結果を表2に記載する。
4Aを用いて、周波数1.0MHz、入力信号レベル
1.0Vrmsで、−25〜85℃の温度範囲において
静電容量を測定し、+25℃での静電容量に対する各温
度での静電容量の変化率を算出した。さらに、絶縁抵抗
を直流電圧10V、温度特性は1KVで測定した。これ
らの結果を表2に記載する。
【0036】尚、焼成温度、比誘電率、誘電損失は誘電
体磁器を用いた結果を示し、実用上重要な絶縁抵抗及び
温度特性は上記に示した方法で作製した積層セラミック
コンデンサの測定結果を示した。
体磁器を用いた結果を示し、実用上重要な絶縁抵抗及び
温度特性は上記に示した方法で作製した積層セラミック
コンデンサの測定結果を示した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】これらの表1,2から、全体組成における
Mgと(Mg+Zn)のモル比が0.6よりも小さい試
料No.7では比誘電率が11000に低下し、−25℃
での静電容量の温度特性が劣化していることが判る。ま
た、0.8よりも大きい試料No.13では焼成温度が高
くなり、+85℃での静電容量の温度特性が劣化してい
ることが判る。
Mgと(Mg+Zn)のモル比が0.6よりも小さい試
料No.7では比誘電率が11000に低下し、−25℃
での静電容量の温度特性が劣化していることが判る。ま
た、0.8よりも大きい試料No.13では焼成温度が高
くなり、+85℃での静電容量の温度特性が劣化してい
ることが判る。
【0040】またPbと(Mg+Zn+Nb)のモル比
が0.975よりも小さい試料No.6では比誘電率が1
1100と小さくなり、0.995よりも大きい試料N
o.1、2では磁器表面が変色したり、静電容量の温度特
性が劣化することが判る。
が0.975よりも小さい試料No.6では比誘電率が1
1100と小さくなり、0.995よりも大きい試料N
o.1、2では磁器表面が変色したり、静電容量の温度特
性が劣化することが判る。
【0041】一方、本発明の範囲内の試料では、焼成温
度が1050℃以下であり、比誘電率も15000以
上、絶縁抵抗も2×1012Ω以上、静電容量の温度特性
もJIS規格におけるE特性を満足することが判る。
度が1050℃以下であり、比誘電率も15000以
上、絶縁抵抗も2×1012Ω以上、静電容量の温度特性
もJIS規格におけるE特性を満足することが判る。
【0042】
【発明の効果】本発明の誘電体磁器では、1050℃以
下で焼成でき、比誘電率が15000以上で、高絶縁性
を有し、かつ、静電容量の温度特性がJIS規格におけ
るE特性を満足することができ、この誘電体磁器を用い
て作製した誘電体層の厚みが3〜10μmの積層セラミ
ックコンデンサは高い絶縁抵抗を有することから、コン
デンサ用磁器、特にスイッチング電源の平滑用コンデン
サとして最適となる。
下で焼成でき、比誘電率が15000以上で、高絶縁性
を有し、かつ、静電容量の温度特性がJIS規格におけ
るE特性を満足することができ、この誘電体磁器を用い
て作製した誘電体層の厚みが3〜10μmの積層セラミ
ックコンデンサは高い絶縁抵抗を有することから、コン
デンサ用磁器、特にスイッチング電源の平滑用コンデン
サとして最適となる。
【図1】試料No.5のX線回折測定結果を示す図であ
る。
る。
Claims (1)
- 【請求項1】金属元素としてPb、Mg、Zn、Nbを
含み、かつペロブスカイト型複合酸化物を主結晶相と
し、Pb 3 Nb 4 O 13 からなるパイロクロア結晶相を含有
するとともに、全体組成におけるMgと(Mg+Zn)
のモル比、Pbと(Mg+Zn+Nb)のモル比が、 0.6 ≦Mg/(Mg+Zn)≦0.8 0.975≦Pb/(Mg+Zn+Nb)≦0.995 を満足し、かつペロブスカイト型結晶の主結晶相(11
0面)の強度をI 110 、Pb 3 Nb 4 O 13 からなるパイロ
クロア結晶の主結晶相(222面)の強度をI 222 とし
た時、0.005≦I 222 /(I 110 +I 222 )≦0.0
8を満足することを特徴とする誘電体磁器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13843396A JP3336194B2 (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | 誘電体磁器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13843396A JP3336194B2 (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | 誘電体磁器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09315864A JPH09315864A (ja) | 1997-12-09 |
JP3336194B2 true JP3336194B2 (ja) | 2002-10-21 |
Family
ID=15221869
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13843396A Expired - Fee Related JP3336194B2 (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | 誘電体磁器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3336194B2 (ja) |
-
1996
- 1996-05-31 JP JP13843396A patent/JP3336194B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09315864A (ja) | 1997-12-09 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |