JP3336065B2 - 純水製造方法 - Google Patents

純水製造方法

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JP3336065B2 JP06301293A JP6301293A JP3336065B2 JP 3336065 B2 JP3336065 B2 JP 3336065B2 JP 06301293 A JP06301293 A JP 06301293A JP 6301293 A JP6301293 A JP 6301293A JP 3336065 B2 JP3336065 B2 JP 3336065B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水の凍結/溶融を効果的
に組合せた純水製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より純水の製造は、凝集沈殿処理、
カチオン、アニオン等のイオン交換樹脂処理、逆浸透膜
処理等により一次純水を製造した後、更に目的に応じて
精密濾過、紫外線照射等の処理を行ない、例えば半導体
洗浄水として好適に利用可能な二次純水(高純な純水)
を製造している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の処理システムは例え一次純水を製造する場合でも凝
集沈殿処理、イオン交換樹脂処理、逆浸透膜処理と、夫
々除去しようとする目的不純物に対応させて数工程の処
理工程を必要とし再生処理によるバッジ再生方式とな
り、結果として工程の煩雑化と処理設備の大形化につな
がる。而も例えば、前記イオン交換樹脂槽では水中の微
粒子や有機物の吸着を行なうが、該イオン交換樹脂は使
用により劣化するために、適宜再生処理を行なう必要が
あり、一般に該再生処理は中和剤を用いて行なうが、中
和剤は劇薬であり、この為再生処理後の中和剤の廃棄処
分が面倒である。
【0004】本発明はかかる従来技術に鑑み、前記した
イオン交換樹脂槽を用いない場合にも水中の微粒子や有
機物の除去を行ない得ると共に、更に従来その除去が困
難とされたコロイダルシリカその他のコロイダル状金属
成分をも有効に除去し得る純水製造方法を提供する事を
目的とする。本発明の他の目的は、凝集沈殿、濾過、吸
着等の複数の異種処理工程を組合せる事なく、単一の処
理工程で一次純水を得る事の出来る純水製造方法を提供
する事を目的とする。
【0005】
【課題を解決する為の手段】本発明に至った経過を順を
追って説明する。本発明者は商業用若しくは工業用に行
なわれている製氷函による凍結を行なう場合、前記製氷
函の内壁に順次透明氷が凍結して行くに従い、中央の未
結氷部分の原料水(中芯水)側に前記原水中の塩素や空
気、塵埃等の溶解ガスや不純物が濃縮されることが知見
されている。
【0006】そして前記中芯水は一般に製氷途中で前記
中芯水を脱水し、原水を注水して、攪拌手段を停止し、
透明氷の製造を行なうものであるが、このようにして製
造された氷について外側から中心層に至る断面層部位
(図3参照)の水質を分析したところ、図4のようにな
った。(:外層の透明氷部位、:中央の白氷部位、
:原水)
【0007】本表より理解される如く、函氷外側の透明
氷部分では電気伝導率及びシリカについて、純水として
の基準適合値を十分満足しており、又金属イオン、及び
陰イオンについても原水に比較していずれも1PPM以
下に低減しており、十分純水としての要件を満足する事
が理解できる。従って水道水を凍結し、該凍結により得
られた透明氷部分を再溶融する事により、純水若しくは
これに近似する純度の高い水が得られる事が理解でき
る。
【0008】しかしながら前記商業用若しくは工業用の
製氷方式で得られた氷から透明氷のみを取り出す事は中
々困難である。製氷函氷は肉厚が大で結氷時間が長く経
済的でない。而も前記製氷函方式で高品質の透明氷を製
造するには緩慢凍結法を採用せざるを得ず、結果として
製氷時間が大幅に大になる。この為、本発明者は原水若
しくは前処理水を一旦凍結し、該凍結により得られた氷
を再溶融して純水若しくはこれに近似する純度の高い水
を得る方法を検討し、ようやくにしてその完成に至った
ものである。
【0009】即ち請求項1記載の発明は、ベルト搬送方
向に沿って下向きに僅かに傾斜させ、その背面側に冷凍
負荷を付与させた良熱伝導体からなる無端状ベルト体の
背面側に冷凍負荷を付与しつつ、該ベルト体表面に沿っ
て原水若しくは前処理水(以下原水という)を流下させ
ながら順次積層氷結させて製造した透明氷を溶融させて
純水を得るとともに、 前記積層氷結される板状氷が−5
〜−8℃で緩慢凍結され且つ該板状氷表面には常に原水
が流下しながら被覆されていることを特徴とする。 又請
求項2記載の発明は、ベルト搬送方向に沿って下向きに
所定角度傾斜させ、その背面側にプレートクーラを取り
付けて該プレートクーラを介して冷凍負荷を付与させた
良熱伝導体からなる無端状ベルト体からなり、該ベルト
体背面側のプレートクーラ取付け位置の上端よりベルト
体とプレートクーラの隙間にブラインを流しつつ、該ベ
ルト体表面に沿って原水若しくは前処理水を流下させな
がら順次積層氷結させて製造した透明氷を溶融させて純
水を得ることを特徴とする。 この場合、前記ベルト体表
面の両側に水漏れ防止堤を設けるのがよい。又前記純水
製造工程には原水の冷凍と透明氷の加熱という奪熱と熱
付与という正逆2つの熱サイクルがあるために前記冷凍
負荷の冷却に蒸発熱源を、一方前記透明氷の溶融に凝縮
熱源を夫々利用したヒートポンプサイクルを用いること
により熱バランスが極めて良好になる。
【0010】
【作用】本発明は例えばベルト搬送方向に沿って下向き
に僅かに傾斜させ、その背面側に冷凍負荷を付与させた
良熱伝導体からなる無端状ベルト体上に原水を流下させ
る事により、無端状ベルト体上に氷が順次積層して連続
的な緩慢凍結される訳であるが、形成された氷表面には
常に原水が流下する構造となるために、結果として即ち
結氷の際に原水5中の前記空気、窒素、炭酸ガス等の混
入を排除しながら、純度の高い透明な板状氷の製造が可
能となるとともに、該凍結中に不純物が付着する恐れも
なく、高品質、高純度の氷の製造が可能となる。而も板
状氷のため薄氷であるため結氷時間が早く効率が良い。
又板状氷表面には常に原水が流下しながら被覆されてい
る為に、該凍結中に不純物が付着する恐れもなく、高純
度の透明氷の製造が可能となる。そして前記の方法で製
造された氷は全てが透明氷であるために、これをそのま
ま溶融する事により1次純水が簡単に製造できる。又製
氷工程が連続的であって脱氷も他のデフロストの如き熱
手段は要らない。尚、本発明に用いる原水は前処理が不
用であり、水道水をそのまま利用する事が出来、而も単
一の処理工程で足りる為に、経済的である。又フィルタ
等を用いる事がないためにその再生処理も必要なく、保
守の容易化と保守費用が大幅に低減する。又請求項2記
載の発明によれば、前記プレートクーラ取付け位置の上
端より噴射ノズルを利用して隙間に流して該ブラインを
介しての伝熱を行なう事により、ベルト体とプレートク
ーラ間の伝熱効率の向上と熱接触の平準化を図ることが
出来る。
【0011】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を例示
的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている
構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に
特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみ
に限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。図1
乃至図2は本発明の実施例にかかる1次純水製造装置を
示す。本システムは、原水から透明氷を製造する連続製
氷機A、該製氷機により製氷された透明氷を溶融するた
めの加熱溶融槽B、及びこれらに熱供給(奪熱)するた
めのヒートポンプサイクルCからなる。
【0012】先ず連続製氷機Aについて説明する。1は
搬送方向に向け下方に僅かに傾斜させた無端状のステン
レスベルトで、上部ロータ2と下部ロータ2’により連
続的若しくは間欠的に駆動される。又前記ベルト1の傾
き角度αは、緩慢凍結により透明氷が製造可能な程度に
設定しているが、基本的には後記する原水の散布量と、
プレートクーラ3よりの冷却温度と前記傾きに起因する
原水の流下速度の三者により最も効率よく透明氷が製造
可能な条件を求めるのがよい。前記ステンレスベルト1
の上面両側には原水が流下中に左右に水漏れがないよう
に、図2に示すようにベルト1上面の両側にゴムベルト
状水漏れ防止堤17を設ける。又防止堤18はベルト1
下面の両側にも設ける事によりステンレスベルト1を駆
動するゴムベルトであり、後記するステンレスベルト1
とプレートクーラ3間の隙間を通過するブラインのベル
ト1側部より漏れを防止すると共に、更に上部ロータ2
と下部ロータ2’にも防止堤18が嵌合されるリング状
凹溝18Aを形成する事により、前記防止堤18がガイ
ド条としても機能し、円滑なベルト1の周回を可能とす
る。
【0013】3は前記往動方向(上側)のベルト1背面
(下面)に摺動可能に当接させたプレートクーラで、ヒ
ートポンプサイクルの蒸発器として機能する熱交換器2
1により−12℃前後に冷却したブライン19が循環可
能に構成されている。又3は冷媒直接膨脹であってもよ
い。又ステンレスベルト1とプレートクーラ3との間は
ステンレスベルト1自体が周回しながら当接する構成を
取るために、必ずしも全面に亙って均等に当接せず、隙
間が生じて伝熱効率を大幅に低下させる場合がある。そ
こで本実施例においては、前記ブライン19の一部を分
流するか、若しくはエチレングリコール等の他のブライ
ン19を独立回路より前記プレートクーラ3取付け位置
の上端より噴射ノズル23を利用して隙間に流して該ブ
ライン19を介しての伝熱を行なう事により、ステンレ
スベルト1とプレートクーラ3間の伝熱効率の向上と熱
接触の平準化を図るのがよい。
【0014】4はベルト1上端側の上方位置に配設した
原水散布管で、下向きに多数の噴射ノズル6を取付けた
管体をベルト1幅全域に亙って延在し、氷/水分離器7
の貯水槽11の冷水は、熱交換器15を介して原水を予
冷して供給されており、予冷された原水5を散布管4よ
りベルト1上面にベルト1幅全域に亙って平均して散水
可能に構成し、ポンプにより循環する。特に前記熱交換
器15にブライン19を通すことによって原水を予冷す
る事により、冷却に必要な温度差が小さくなり、一層の
緩慢凍結が容易となる。7は前記ベルト1下端側下方位
置に配設した氷/水分離器で、上面にメッシュ板8を設
けた貯水槽11からなり、前記メッシュ板8は搬送コン
ベア10側に向け僅かに下方に傾斜させると共に、その
傾斜下端においてガイド板8Aと連設し、該ガイド板8
Aに沿って水を分離した透明氷12はコンベア10を介
して加熱溶融槽B内に投入可能に構成されている。
【0015】そして前記加熱溶融槽Bは内壁面をテフロ
ンコーティングすると共に、その壁面内周に沿ってステ
ンレス製の加熱パイプ31をスパイラル状に囲繞してあ
る。そして前記加熱パイプ31内の加熱用負荷流体は、
ヒートポンプサイクルCの凝縮器として機能する熱交換
器32により10〜20℃前後に加熱しながらポンプ3
3により循環可能に構成している。加熱パイプ31は凝
縮器32と兼用しても良い。ヒートポンプサイクルCは
公知の様に圧縮機41、凝縮器32、受液器42、膨張
弁43及び蒸発器21からなり、該サイクルC内を冷媒
が循環して蒸発、圧縮、凝縮を繰り返しながら熱交換を
行なう。
【0016】次に本実施例の作用を説明する。散水管4
よりステンレスベルト1上面側に水道水若しくは前処理
水その他の原水5を散水すると、該ベルト1は適当な傾
斜角度に傾斜して設置されている為に、該原水5は防水
堤17により幅規制されながら、ベルト1上を流下す
る。一方、ベルト1の下面にはプレートクーラ3が当接
しているために、前記原水5はベルト1上を流下しなが
ら凍結し、以下後から流下する原水5が順次積層しなが
ら凍結を繰り返し、ベルト1の下端側にいくほど厚みの
ある板状氷5Aが製造できる。この際ベルト1上面は流
下する原水5は、プレートクーラ3よりの冷熱によっ
て、ほぼ0℃〜−3℃となって流水し、プレートクーラ
上に薄氷となって結氷し、その上に原水5が流下して急
速凍結にならず、−5〜−8℃で緩慢凍結、即ち結氷の
際に原水5中の前記空気、窒素、炭酸ガス等の混入を排
除しながら、純度の高い透明な板状氷5Aの製造が可能
となる。
【0017】又前記凍結は緩慢凍結であるが、製氷函の
様に肉厚の原水5を一気に凍結させるのではなく、繰り
返し流下される薄層の原水5を凍結するものである為
に、凍結時間は大幅に短くてすみ、高い製氷効率が得ら
れる。又、より精度よく高純度の透明氷を製造するに
は、後記する原水5の散布量と、プレートクーラ3より
の冷却温度と前記傾きに起因する原水5の流下速度の三
者により最も効率よく透明氷が製造可能な条件を求める
のがよい。
【0018】又板状氷5A表面には常に原水5が流下し
ながら被覆されている為に、該凍結中に不純物が付着す
る恐れもなく、高品質の高純度の氷5Aの製造が可能と
なる。そして前記ステンレスベルト1上で、所定の肉厚
に生成された板状氷5Aは、ステンレスベルト1の下端
側で下部ロータ2’を周回する際に該ベルト1の曲折力
を利用して所定幅に割れながら剥離され、その下方のメ
ッシュ板8上に落下する。該メッシュ板8では水と氷5
Aを分離した後、ガイド板8Aに沿って搬送コンベア1
0を介して加熱溶融槽に投入され、前記透明氷が溶融さ
れ、純水が製造される。そして前記の様にして製造され
た純水について、同様に水質分析を行なったところ、別
表図4の項に示す水質分析値が得られ、電気伝導率、
シリカ、金属イオン、及び陰イオンについて、十分一次
純水としての要件を満足する高品質の純水が得られた。
又透明氷溶融に使用する氷の潛熱を他の冷却目的、例え
ば除湿、乾燥、空調等の冷却に利用することが更に純水
の製造コストを低減する。尚、前記ステンレスベルトの
代りに表面をフッ素樹脂加工したスチールベルトを用い
てもよい。
【0019】
【効果】以上記載した如く本発明によれば、原水を緩慢
凍結/溶融する事により純水を製造するために、水中の
微粒子や有機物の除去と共に、従来その除去が困難とさ
れたコロイダルシリカその他のコロイダル状金属成分を
も有効に除去し得る。本発明によれば、凝集沈殿、濾
過、吸着等の複数の異種処理工程を組合せる事なく、単
一の処理工程で一次純水を得る事の出来る為に、純水製
造コストと共に、保守費用が大幅に低減する。又前記凍
結溶融はヒートポンプサイクルを用いて行なうために、
熱エネルギーの有効利用が図れる。等の種々の著効を有
す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる純水製造システムを示
す全体図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】製氷函方式で製造した氷の断面層部位を示す断
面図である。
【図4】本実施例、製氷函方式、、及び原水の
夫々の水質分析値である。
【符号の説明】
A 透明氷製造装置 B 加熱溶融槽 C ヒートポンプサイクル 1 ステンレスベルト、 4 散水管 5 原水 3 プレートクーラ 7 水/氷分離器 5A 透明氷

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルト搬送方向に沿って下向きに僅かに
    傾斜させ、その背面側に冷凍負荷を付与させた良熱伝導
    体からなる無端状ベルト体からなり、該ベルト体の背面
    側に冷凍負荷を付与しつつ、該ベルト体表面に沿って原
    水若しくは前処理水(以下原水という)を流下させなが
    ら順次積層氷結させて製造した透明氷を溶融させて純水
    を得るとともに、 前記積層氷結される板状氷が−5〜−8℃で緩慢凍結さ
    れ且つ該板状氷表面には常に原水が流下しながら被覆さ
    れている ことを特徴とする純水製造方法。
  2. 【請求項2】 ベルト搬送方向に沿って下向きに所定角
    度傾斜させ、その背面側にプレートクーラを取り付けて
    該プレートクーラを介して冷凍負荷を付与させた良熱伝
    導体からなる無端状ベルト体からなり、該ベルト体のプ
    レートクーラ取付け位置の上端よりベルト体とプレート
    クーラの隙間にブラインを流しつつ、該ベルト体表面に
    沿って原水若しくは前処理水を流下させながら順次積層
    氷結させて製造した透明氷を溶融させて純水を得ること
    を特徴とする純水製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ベルト体表面の両側に水漏れ防止堤
    を設けたことを特徴とする請求項1若しくは2記載の
    水製造方法。
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