JP3739440B2 - 溶存有機物の濃縮方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理液中の溶存有機物を濃縮する方法に係り、特に、合成皮革産業やプラスチック製造業等で使用される、ジメチルホルムアミドやギ酸等の水溶液、あるいはアルコール製造工程におけるアルコールの水溶液等から、ジメチルホルムアミドやギ酸あるいはアルコール等の有機物を濃縮する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、被処理液中の成分を分離、濃縮する方法として、蒸留法が用いられている。蒸留法としては、通常、常圧下で行う常圧蒸留や、常圧で高沸点の物質あるいは沸点近傍で分解しやすい物質に対して行われる減圧蒸留が用いられているが、これらは、被処理液中の各成分の揮発度の差を利用し、蒸発凝縮を組み合わせることにより各成分を分離、濃縮する。
【0003】
ところで、被処理液中の溶媒より蒸気圧が低い有機物の濃縮は、濃縮効率を高める目的から、常圧蒸留等を用いた多段蒸留法により行なわれている。例えば、合成皮革製造工程で使用されるジメチルホルムアミド水溶液は、50段〜60段にも及ぶ多段蒸留法により濃縮され、回収、再利用されている。
【0004】
しかしながら、多段蒸留法においては、被処理液の加熱に際して多大なエネルギーを必要とし、また、多段であるために蒸留装置が複雑かつ大規模となり、さらに、加熱により爆発の危険性のあるジメチルホルムアミドやギ酸等を濃縮する場合には安全対策を厳重に講ずる必要があり、蒸留装置のさらなる複雑化および大型化を招いていた。そのため、イニシャルコストおよびランニングコストが増大し、蒸留装置の設置スペースも増大するという問題があった。さらに、揮発性を有する有機溶剤が留液である場合には、残留物中に有機溶剤が混入するため分離濃縮効率が低くなり、有機溶剤の再利用に障害となるばかりでなく、そのままでは残留物を再利用あるいは排出することができないため、排水処理施設への負荷が増加するという問題があった。
【0005】
また、商業用もしくは工業用の製氷函により水を凍結する場合、製氷函の内壁に順次透明氷が凍結していくに従って、未結氷部分の原水側に原水中のシリカや金属イオン等の不純物が濃縮されることが、例えば特開平06−254540等に記載されている。しかしながら、製氷方式により被処理液中の有機物を濃縮した場合には、凍結体の融解液中においても有機物の濃度が高い。すなわち、有機物の分離濃縮効率が低く、したがって、有機物の再利用に障害となるばかりか、そのままでは残留物を再利用あるいは排出することができないため排水処理施設への負荷が増加するという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題を解消すべくなされたもので、被処理液中に溶存する有機物、特に、合成皮革産業やプラスチック製造業等で使用される、ジメチルホルムアミドやギ酸等の水溶液、あるいはアルコール製造工程におけるアルコールの水溶液等から、ジメチルホルムアミドやギ酸あるいはアルコール等の有機物を、コストを安く、高い効率で濃縮する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術の欠点を解決すべく鋭意検討した結果、凍結体の表層部を融解させて濃縮された被処理液と共に回収する、あるいは凍結体を形成することにより濃縮された被処理液を再度濃縮することにより被処理中の有機物の分離濃縮効率が容易に高まることを見出だし、本発明の完成に至ったものである。すなわち、本発明の溶存有機物の濃縮方法は、0℃以下に冷却した支持体の表面に溶存有機物を含む溶液または分散液からなる被処理液を供給して接触流下させ、前記支持体表面に溶存有機物濃度が被処理液のそれより低い凍結体を形成させる凍結工程と、前記凍結体の表層部を融解させ、濃縮度が低下しない範囲で濃縮された前記被処理液に加えて回収する回収工程とを順に行うことを特徴とする。
【0008】
したがって、本発明においては、被処理液は、冷凍負荷が付与されて冷却された支持体表面上に供給されて接触流下されるので、支持体表面上には被処理液が順次積層した凍結体が形成される。一方、凍結していない被処理液中には有機物が濃縮される。次いで、凍結体の表層部が融解され、濃縮された被処理液にこの融解液が加えられて回収されるので、有機物が高く分離濃縮された濃縮液が得られる。また、残された凍結体は、純度の高い溶媒から構成されているので、残された凍結体自身もこのまま再利用することが可能となる。
【0009】
本発明において、凍結体の表層部を融解させる量は、凍結体の体積の20%以下、好ましくは10%以下である。凍結体の体積の20%以上を融解させたとしても、残存する凍結体の純度の向上はある一定のレベルで停滞するので、濃縮された被処理液にこの融解液を加えると、逆に濃縮された被処理液の濃度が大きく低下してしまうことによる。これは、凍結体を融解させると、凍結体の結晶間に挟まれた有機物が優先的に溶出するため、初期の融解液中に多くの有機物が溶存するものと推測されている。
【0010】
また、本発明の溶存有機物の濃縮方法は、0℃以下に冷却した支持体の表面に溶存有機物を含む溶液または分散液からなる第1の被処理液を供給して接触流下させ、前記支持体表面に溶存有機物濃度が第1の被処理液のそれより低い凍結体を形成させる第1の凍結工程と、第1の凍結工程において形成された凍結体の表層部を溶融させ、濃縮度が低下しない範囲で濃縮された前記第1の被処理液に加えて、これを第2の被処理液として0℃以下に冷却した支持体の表面に供給して接触流下させ、前記支持体表面に溶存有機物濃度が第2の被処理液のそれより低い凍結体を形成させる第2の凍結工程と、前記第2の凍結工程において濃縮された前記第2の被処理液を回収する工程とを順に行うことを特徴とする。
【0011】
したがって、本発明においては、被処理液は、冷凍負荷が付与されて冷却された支持体表面上に供給されて接触流下されるので、支持体表面上には被処理液が順次積層した凍結体が形成される。一方、凍結していない被処理液中には有機物が濃縮される。次いで、有機物が濃縮された被処理液は、冷凍負荷が付与されて冷却された支持体表面上に再び供給されて接触流下されるので、支持体表面上には有機物が濃縮された被処理液が順次積層した凍結体が形成される。一方、凍結していない被処理液中には有機物がさらに濃縮され、これが回収されるので、有機物が高く分離濃縮された濃縮液を得ることができる。
【0012】
本発明で形成された第2の凍結体は、その表層部または全部を融解させた融解液を前記第1の凍結工程に用いる他の被処理液に混合して融解させることが望ましい。このとき、凍結体の表層部を融解させる量は、被処理液中の有機物の濃度や種類等によって適宜決定される。
【0013】
さらに、本発明の溶存有機物の濃縮方法は、0℃以下に冷却した支持体の表面に溶存有機物を含む溶液または分散液からなる第1の被処理液を供給して接触流下させ、前記支持体表面に溶存有機物濃度が前記第1の被処理液のそれより低い第1の凍結体を形成させる第1の凍結工程と、前記第1の凍結体の表層部を融解させ、濃縮度が低下しない範囲で濃縮された前記第1の被処理液に加えて、この第2の被処理液を0℃以下に冷却した支持体の表面に供給して接触流下させ、前記支持体表面に溶存有機物濃度が前記第2の被処理液のそれより低い第2の凍結体を形成させる第2の凍結工程と、前記第2の凍結体の表層部を融解させ、濃縮度が低下しない範囲で前記第2の凍結工程において濃縮された前記第2の被処理液に加えて回収する回収工程と、残る前記第2の凍結体を前記第1の凍結工程に用いる他の被処理液に混合する混合工程とを順に行うことを特徴とする。
【0014】
したがって、本発明においては、被処理液は、冷凍負荷が付与されて冷却された支持体表面上に供給されて接触流下されるので、支持体表面上には被処理液が順次積層した凍結体が形成される。次いで、凍結体の表層部が融解され、濃縮された被処理液にこの融解液が加えられるので、有機物が高く分離濃縮された濃縮液が得られる。また、残された凍結体は、純度の高い溶媒から構成されているので、残された凍結体自身もこのまま再利用することが可能となる。次いで、有機物が濃縮された濃縮液は、被処理液として、冷凍負荷が付与されて冷却された支持体表面上に再び供給されて接触流下されるので、支持体表面上には有機物が濃縮された被処理液が順次積層した凍結体が形成される。次いで、凍結体の表層部が融解され、濃縮された被処理液にこの融解液が加えられて回収されるので、凍結していない被処理液中には有機物がさらに濃縮され、有機物が高く分離濃縮された濃縮液を得ることができる。
【0015】
本発明において、被処理液に加えられなかった各凍結体は、純度の高い溶媒として再利用してもよいし、再び凍結・濃縮を繰り返してもよいが、エネルギー効率の面から、それぞれ前段以前の凍結工程の被処理液の冷却に用いることが望ましい。このとき、第2の凍結工程において得られた凍結体を、第1の凍結工程に用いる被処理液に直接混合し、融解させる方法を好ましく用いることができる。本発明において、凍結体の表層部を融解させる量は、凍結体の体積の20%以下、好ましくは10%以下である。凍結体の体積の20%以上を融解させたとしても、残存する凍結体の純度の向上はある一定のレベルで停滞するので、濃縮された被処理液にこの融解液を加えると、逆に濃縮された被処理液の濃度が大きく低下してしまうことによる。
【0016】
また、本発明において、被処理液を供給して接触流下させるための支持体の材質は、熱伝導性に優れたものが好ましく、例えば、ステンレスが挙げられるが、熱伝導性に優れたものであれば特に限定はされない。また、支持体の形状も、使用環境により適宜変更可能であるが、被処理液を支持体表面上に均一に流下させる目的から、矩形あるいは円筒状のものを使用することが望ましい。
【0017】
支持体への冷凍負荷の付与は、通常、冷却されたジエチレングリコール等のブラインにより行われるが、所望の温度で粘度が急激に上昇しないものであれば、特に限定はされない。
【0018】
さらに、本発明において、凍結体を形成する装置としては、プレート・アイス製造装置を好適に用いることができるが、特に限定されるものではない。
【0019】
本発明に適用される被処理液の成分は特に限定はされないが、通常は有機物の水溶液が用いられる。この場合、有機物としては、水に対する溶解度が高いものであるならば、特に限定はされない。
【0020】
本発明において、形成された凍結体を融解させるには、ブラインの供給を停止する方法や凍結体の温度以上の空気を凍結体に接触させる方法等によるが、通常これらを組み合わせることが望ましく、このとき有機物が濃縮された被処理液を濃縮度が低下しない範囲内で同時に流下させてもよい。しかしながら、形成された凍結体の融解を実施できる方法であれば、これらに限定はされない。
【0021】
本発明において、支持体への冷凍負荷量(ブライン温度等)や支持体の表面積および厚さ、被処理液の支持体への供給速度、形成する凍結体の量等の条件は特に制限されるものではなく、これらは、被処理液中の有機物の濃度や種類等によって最適条件が適宜決定される。
【0022】
なお、本発明においては、被処理液中に溶存する有機物の濃縮が主な目的であるが、本発明は、有機物が溶存した被処理液から有機物を除去する方法として用いることができることはいうまでもない。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施例について詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の溶存有機物の濃縮方法の一実施例を示した図である。
【0025】
図1において、符号1はステンレス製の結氷板であり、背面側に冷凍機2において冷却されたブライン(冷凍負荷)がブライン循環ライン3を通じて循環供給される構造になっている。結氷板1の大きさは、縦700mm、横180mm、厚さ15mmであり、ほぼ垂直に設置されている。符号4は、被処理液を確保するための濃縮槽であり、5は、濃縮槽4内の被処理液を回収するためのドレンバルブである。符号6は、ポンプ7の動力により被処理液を濃縮槽4から結氷板1に供給するためのサンプル供給ライン、8は、サンプル供給ライン6により結氷板1に供給された被処理液を結氷板1上に平均して流下させるためのシャワーパイプである。そして、冷凍機2以外の構成は、断熱効果を高めるためにアクリル板の内側にグラスウールを張り付けた断熱容器9の内部に設置されている。
【0026】
次に、図1を用いて、本発明による一実施例の動作工程を説明する。
【0027】
はじめに、結氷板1は、冷凍機2において冷却されたブラインにより所定の温度まで循環冷却される。次いで、外部より濃縮槽4に供給された被処理液は、サンプル供給ライン6を通じてシャワーパイプ8より結氷板1の上部から均一に流下される。結氷板1の上部から流下された被処理液の一部は、結氷板1の下部に至る過程で凍結し、凍結体が形成される。一方、凍結しなかった被処理液は濃縮槽4に流入し、再度サンプル供給ライン6を通じて結氷板1に送られる。こうして、被処理液の凍結、濃縮が繰り返され、濃縮された被処理液が所定の液量まで減少した時点で、被処理液の結氷板1への供給が停止される。そして、冷凍機2からのブラインの供給が停止され、断熱容器9内に29℃〜36℃の室内空気が導入されて、結氷板1上に凍結した凍結体の表層部を融解する。融解液は濃縮槽4に流入し、凍結体の所定量が融解した時点でドレンバルブ5から濃縮された被処理液とともに濃縮液として回収される。
【0028】
次に、このように構成された本発明の一実施例を用いて実施された実施例1、実施例2および実施例3について説明する。
【0029】
(実施例1)
被処理液として、比抵抗値が18.2MΩ・cmである超純水にジメチルホルムアミド(関東化学(株):鹿1級)を混合し、10wt%ジメチルホルムアミド水溶液を2000ml作成した。また、ブライン温度を−11.0℃として結氷板1を冷却し、10wt%ジメチルホルムアミド水溶液を流量0.6l/minで結氷板1に流下した。そして、被処理液の残量が1000mlとなった時点で結氷板1への被処理液の供給を停止し、36℃の室内空気を断熱容器1内に導入して結氷板1の表面に形成された凍結体を融解した。次いで、凍結体の体積の10%が融解した段階で、濃縮された被処理液と融解液とをドレンバルブ5から共に回収し、1100mlの濃縮液を回収した。そして、濃縮液の濃度および残った凍結体の融解液の濃度をTOC計((株)島津製作所:TOC−5000)により測定した。
【0030】
また、同一の条件で、被処理液の残量が1000mlとなる時点まで新たに結氷板1の表面に凍結体を形成させ、この凍結体の融解液を得られた順に50mlずつサンプリングしてフラクション1〜20とし、各フラクションの濃度を同じくTOC計((株)島津製作所:TOC−5000)により測定した。
【0031】
これらの測定結果を、表1および図2に示す。
【0032】
【表1】
表1に示すように、濃縮液中にはジメチルホルムアミドが良好に濃縮されており、また、残った凍結体の融解液からは、ジメチルホルムアミドが高率に除去されているのがわかる。
【0033】
そして、図2より、フラクション1およびフラクション2のジメチルホルムアミドの濃度が高いことから、凍結体の体積の10%に相当する初期の融解液に有機物が多量に混入していることがわかる。
【0034】
したがって、凍結体の体積の10%に相当する初期の融解液を濃縮液に混合しなかった場合、濃縮液の濃度は、計算より13wt%になるため、凍結体の体積の20%に相当する初期の融解液、好ましくは凍結体の体積の10%に相当する初期の融解液を濃縮液に混合させることにより、濃縮液の濃度が高くなることが理解できる。
【0035】
(実施例2)
被処理液として、比抵抗値が18.2MΩ・cmである超純水にギ酸(関東化学(株):特級)を混合し、10wt%ギ酸水溶液を1000ml作成した。また、ブライン温度を−13.0℃として結氷板1を冷却し、10wt%ギ酸水溶液を流量0.6l/minで結氷板1に流下した。そして、被処理液の残量が700mlとなった時点で結氷板1への被処理液の供給を停止し、32℃の室内空気を断熱容器1内に導入して、結氷板1の表面に形成された凍結体を融解した。次いで、凍結体の体積の16%が融解した段階で、濃縮された被処理液と融解液とをドレンバルブ5から共に回収し、750mlの濃縮液を回収した。そして、濃縮液の濃度および残った凍結体の融解液の濃度を、TOC計((株)島津製作所:TOC−5000)により測定した。
【0036】
測定結果を表1に示す。
【0037】
表1に示すように、濃縮液中にはギ酸が良好に濃縮されており、また、残った凍結体の融解液からは、ギ酸が高率に除去されているのがわかる。
【0038】
(実施例3)
被処理液として、比抵抗値が18.2MΩ・cmである超純水にエタノール
(関東化学(株):鹿1級)を混合し、5wt%エタノール水溶液を1000ml作成した。また、ブライン温度を−13.0℃として結氷板1を冷却し、5wt%エタノール水溶液を流量0.6l/minで結氷板1に流下した。そして、被処理液の残量が500mlとなった時点で結氷板1への被処理液の供給を停止し、29℃の室内空気を断熱容器1内に導入して、結氷板1の表面に形成された凍結体を融解した。次いで、凍結体の体積の10%が融解した段階で、濃縮された被処理液と融解液とをドレンバルブ5から共に回収し、550mlの濃縮液を回収した。そして、濃縮液の濃度および残った凍結体の融解液の濃度を、TOC計((株)島津製作所:TOC−5000)により測定した。
【0039】
測定結果を表1に示す。
【0040】
表1に示すように、濃縮液中にはエタノールが良好に濃縮されており、また、残った凍結体の融解液からは、エタノールが高率に除去されているのがわかる。
さらに、図面を参照しながら、本発明の溶存有機物の濃縮方法について他の実施例を詳細に説明する。
【0041】
図3は、本実施例による溶存有機物の濃縮方法を概略的に示した図である。
【0042】
はじめに、第1の被処理液が連続的に供給される(工程11)。供給された第1の被処理液は一部が凍結されて凍結体を形成し(工程12)、凍結に至らなかった第1の被処理液は濃縮液として回収される(工程13)。一方、工程12における凍結体の表層部、すなわち凍結体の体積の20%以下、好ましくは10%以下が融解され、工程13で得られた濃縮液と混合される(工程14)。また、工程14において残された凍結体の融解液は外部に排出される(工程15)。
【0043】
次に、工程13において濃縮液として回収された被処理液は、第2の被処理液として連続的に供給される(工程16)。供給された第2の被処理液は一部が凍結されて凍結体を形成し(工程17)、凍結に至らなかった第1の被処理液は濃縮液として回収される(工程18)。一方、工程17における凍結体の表層部、すなわち、凍結体の体積の20%以下、好ましくは10%以下が融解され、工程18で得られた濃縮液と混合され(工程19)最終的な濃縮液となる。また、工程19において残された凍結体は、工程11の第1の被処理液と再び混合される(工程20)。
【0044】
こうして、連続的に供給された被処理液は、順次凍結、濃縮を繰り返して濃縮され、濃縮液として連続的に回収されて再利用される。
【0045】
なお、本発明においては、工程12および工程17で形成された氷結体の全量を第1の被処理液あるいは第2の被処理液に混合してもよい。また、本発明を繰り返し実施し、あるいは適宜組み合わせて、濃縮液の濃度を高めることに何等問題はない。
【0046】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、被処理液の一部を凍結した凍結体の表層部を融解し、濃縮した被処理液にこの融解液を加えて回収するので、有機物が高く分離濃縮された濃縮液を得ることが可能な溶存有機物の濃縮方法を提供することができる。また、本発明によれば、被処理液の一部の凍結と未凍結の被処理液の回収を段階的に繰り返して行うので、有機物が高く分離濃縮された濃縮液を得ることが可能な溶存有機物の濃縮方法を提供することができる。さらに、本発明によれば、被処理液の一部の凍結と未凍結の被処理液の回収を段階的に繰り返して行い、そのとき凍結体の表層部を融解して濃縮した被処理液にこの融解液を加えて回収するので、有機物が高く分離濃縮された濃縮液を得ることが可能な溶存有機物の濃縮方法を提供することができる。そして、本発明によれば、濃縮液中に有機物が高く分離濃縮されるので、残留物中の有機物の濃度が低くなり、残留物の再利用あるいは廃棄も容易となる。
【0047】
したがって、本発明によれば、溶存有機物の濃縮に際して被処理液の一部を凍結した凍結体の表層部を融解し、濃縮した被処理液にこの融解液を加えて回収する、あるいは被処理液の一部の凍結と未凍結の被処理液の回収を段階的に繰り返して行う、あるいは、このとき被処理液の一部を凍結した凍結体の表層部を融解し、濃縮した被処理液にこの融解液を加えて回収することにより濃縮液を得るので、多大なエネルギーと複雑な構成を必要としない、経費的に安価で省スペース性をも有する溶存有機物の濃縮方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶存有機物の濃縮方法のー実施例を示した図。
【図2】各フラクションの濃度の測定結果を示した図。
【図3】本発明の溶存有機物の濃縮方法を概略的に示した図。
【符号の説明】
1……氷結板
2……冷凍機
3……ブライン循環ライン
4……濃縮槽
5……ドレンバルブ
6……サンプル供給ライン
7……ポンプ
8……シャワーパイプ
9……断熱容器
Claims (5)
- 0℃以下に冷却した支持体の表面に溶存有機物を含む溶液または分散液からなる被処理液を供給して接触流下させることにより被処理液の一部を凍結させ、前記支持体表面に溶存有機物濃度が被処理液のそれより全体として低い凍結体を形成させる凍結工程と、前記凍結体の表層部を融解させ、濃縮度が低下しない範囲で濃縮された前記被処理液に加えて回収する回収工程とを順に行うことを特徴とする溶存有機物の濃縮方法。
- 0℃以下に冷却した支持体の表面に溶存有機物を含む溶液または分散液からなる第1の被処理液を供給して接触流下させることにより被処理液の一部を凍結させ、前記支持体表面に溶存有機物濃度が前記第1の被処理液のそれより全体として低い凍結体を形成させる第1の凍結工程と、前記第1の凍結工程において形成された凍結体の表層部を溶融させ、濃縮度が低下しない範囲で濃縮された前記第1の被処理液に加えて、これを第2の被処理液として0℃以下に冷却した支持体の表面に供給して接触流下させることにより被処理液の一部を凍結させ、前記支持体表面に溶存有機物濃度が第2の被処理液のそれより全体として低い凍結体を形成させる第2の凍結工程と、前記第2の凍結工程において濃縮された前記第2の被処理液を回収する工程とを順に行うことを特徴とする溶存有機物の濃縮方法。
- 前記第2の凍結工程における凍結体の表層部または全部を、前記第1の凍結工程に用いる他の被処理液に混合して融解させることを特徴とする請求項2記載の溶存有機物の濃縮方法。
- 0℃以下に冷却した支持体の表面に溶存有機物を含む溶液または分散液からなる第1の被処理液を供給して接触流下させることにより被処理液の一部を凍結させ、前記支持体表面に溶存有機物濃度が前記第1の被処理液のそれより全体として低い第1の凍結体を形成させる第1の凍結工程と、前記第1の凍結体の表層部を融解させ、濃縮度が低下しない範囲で濃縮された前記第1の被処理液に加えて、この第2の被処理液を0℃以下に冷却した支持体の表面に供給して接触流下させることにより被処理液の一部を凍結させ、前記支持体表面に溶存有機物濃度が前記第2の被処理液のそれより全体として低い第2の凍結体を形成させる第2の凍結工程と、前記第2の凍結体の表層部を融解させ、濃縮度が低下しない範囲で前記第2の凍結工程において濃縮された前記第2の被処理液に加えて回収する回収工程と、残る前記第2の凍結体を前記第1の凍結工程に用いる他の被処理液に混合する混合工程とを順に行うことを特徴とする溶存有機物の濃縮方法。
- 凍結体の表層部を融解させる量は、前記凍結体の体積の20%以下であることを特微とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の溶存有機物の濃縮方法。
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