JP3335709B2 - 冷却水系における二枚貝類の駆除方法 - Google Patents
冷却水系における二枚貝類の駆除方法Info
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着生物の二枚貝類の駆除方法に関する。さらに詳しく
は、冷却水系、ことに海水を冷却水とする配管、熱交換
器等に足糸で付着した海水付着生物の二枚貝類を、稚貝
の状態で殺滅することなく駆除することにより二枚貝類
による障害を防止する方法に関する。
場等では、その冷却水系に海水付着生物であるムラサキ
イガイ、フジツボ、ヒドロムシ、コケムシ等が付着しそ
の機能を低下させている。なかでもムラサキイガイで代
表される二枚貝類は成長速度が早く、成貝になると送水
の通水を阻害したり、乱流を引き起こし熱交換器チュー
ブのエロージョン腐食を引き起こす等の障害が発生す
る。
占める割合が多くその処理が困難であるといった問題が
あった。そこで従来、海水付着生物の付着を防止するた
めに、次亜塩素酸ソーダ等の塩素系薬剤、電解塩素、ト
リ−n−ブチル錫、トリ−n−フェニル錫の塩化物、酸
化物、水酸化物等の有機錫化合物等が使用されてきた。
しかしながら、塩素剤の注入は、ハロメタンの生成や場
合によってはダイオキシンの生成という可能性が危惧さ
れ、有機錫化合物は残留毒性、蓄積毒性があり環境汚染
防止上好ましくない。
しては、定期的に運転を止めて装置を開放し、機械的に
除去する方法、或いは、昇温処理により付着した生物を
死滅させ除去する方法が知られている。しかし、前記の
処理方法ではその作業が煩雑であり、後記の処理方法で
は脱落した貝類がストレーナや熱交換器を閉塞させると
いう欠点があった。
性や蓄積毒性の懸念のない過酸化水素を添加する海水付
着生物の付着抑制方法を提案している(特開昭第54−16
1592号及び特開昭第59-98791号公報参照)。これらの提
案は、二枚貝類等の付着生物が器壁に付着するまでの幼
生段階において、低濃度の過酸化水素を連続的又は間欠
的(1日に数時間)に添加することによりその生態を変
化させ、着生期幼生の基盤への付着を防止することを目
的として行なうものである。
物による障害防止方法には、(1)着生期幼生の基盤への
付着を防止すること、(2)一旦付着した海水動物を駆除
することが挙げられる。
い薬剤であれば、海水動物を低濃度の添加で殺滅できる
ため上記(1)及び(2)を同時に行い得ることが可能であ
った。しかしながら、上記提案の過酸化水素において
は、基盤へ付着した二枚貝類を殺滅するためにはかなり
高濃度の過酸化水素が必要となり、不経済であった。こ
の問題を解決するために、上記特開昭第54−161592号及
び特開昭第59-98791号公報に示したような提案が成され
ている。
付着時のみ行うことが経済的に好ましい。しかしなが
ら、二枚貝類の発生、付着の予測は困難であり、また一
旦付着した二枚貝類を駆除することができないため、二
枚貝類の付着時期とは無関係に1年を通じて過酸化水素
を連続的に添加しなけれはならないという点が問題であ
った。
統においては、その使用量を低減することが望まれてい
た。また、薬注ポンプの故障などで過酸化水素の注入が
停止し、二枚貝類が付着してしまい障害を引き起こすト
ラブルが生じるケースも稀ではなかった。この発明は、
過酸化水素を使用して、効率的に且つ確実に二枚貝類に
よる付着障害を防止する方法を提供することを目的とし
て成されたものである。
の二枚貝類の生態と過酸化水素の薬効について試験、研
究を重ねた結果、下記知見を得るに到った。すなわち、
ムラサキイガイ等の二枚貝類は、海水中に卵と精子を放
出し、海水中で受精する。受精後桑実胚、のう胚と発生
が進み、トコロフェア幼生と呼ばれる浮遊幼生となる。
D型幼生を経て、ベディベリジャー幼生となり二枚貝ら
しい形になる。殻長が0.3〜0.5mm以上になると、幼生が
基盤に付着して稚貝となる。さらに成長して殻長が5mm
〜数cm以上の幼貝や成貝となる生活史が繰り返される。
発明者らの知見によると、幼貝や成貝となった二枚貝に
高濃度(1〜2%)の過酸化水素海水溶液を数時間添加
しても、閉殻し足糸が頑丈であるため基盤からはずれる
ことなく長時間生存することが可能であるが、殻長が0.
3〜3mm未満の稚貝の段階においては、その1/10程度と
いう低濃度(0.1%)の過酸化水素海水溶液を添加する
ことによって、その足糸が切断されるか又は付着に耐え
ることなく脱落し再度の付着行動をとることができなく
なる事実を見出した。これらの事実をさらに研究、確認
することによりこの発明を完成させた。
発明によれば、冷却水系よりバイパス水路を設置し、該
水路内に生物調査板を具備するモニターカラムを取り付
け、その観測結果に基づき、冷却水系への海水の通水を
遮断した静置状態で、冷却水系に過酸化水素を0.05〜2
%濃度になるように0.5〜24時間添加して、配管、熱交
換器等に付着した付着生物の二枚貝類の稚貝を駆除する
ことを特徴とする冷却水系における二枚貝類の駆除方法
が提供される。
淡水中で発生する貝類が挙げられ、このうち海水二枚貝
類が好ましい。二枚貝類の例としては、水中で発生、発
育するムラサキイガイ、ミドリイガイ、ゼブラマッセル
等の足糸で配管や熱交換器等の器壁に付着する貝類が挙
げられ、この発明の駆除対象生物はこれら二枚貝のうち
殻長0.3〜5mm未満の稚貝である。
実施しても、その足糸は切断されず、基盤から除去でき
ないため好ましくない。この発明で使用する過酸化水素
としては、市販されている濃度のものが好適に使用され
る。さらに、電気分解等で発生させたもの、過炭酸、過
ホウ酸の如き無機過酸またはこれらの塩類又は尿素の過
酸化付加物等の水中で過酸化水素を発生する化合物を使
用してもよい。
ことにより二枚貝類の稚貝の足糸を切断することのでき
る濃度の過酸化水素溶液を添加することにより実施され
る。その条件は、水温の影響によって多少変化するが、
水中の過酸化水素が0.05〜2%濃度、好ましくは 0.1〜
1%濃度になるように、 0.5〜24時間、好ましくは 0.5
〜12時間添加することにより、二枚貝類の稚貝の足糸を
切断することができる。
の稚貝の足糸を切断するためには、高濃度の過酸化水素
が必要となり好ましくない。また、該時間が24時間を越
えても、二枚貝類の稚貝の足糸を切断するに足る濃度を
さらに低減させることができないため好ましくない。こ
の発明においては、上記濃度と添加時間の範囲内で条件
を適当に組み合わせて実施することができるが、添加時
間が短いと過酸化水素濃度が高くなり、添加時間が長い
と過酸化水素濃度が低くなる傾向がある。
時間、 0.5〜2%では 0.5〜5時間の範囲で処理するこ
とが好ましい。二枚貝類の稚貝と過酸化水素との添加方
法としては、過酸化水素を水に添加する方法や、該冷却
水系統の通水を遮断した静置状態において添加する方法
があるが、静置状態において添加する方法が過酸化水素
の使用量がより低減されるため好ましい。
具体的な方法としては、例えば、熱交換器や送水ライン
等を停止する前に、送水流量と比例対応した薬剤注入ポ
ンプで過酸化水素水溶液を短時間で混合できる拡散管を
使用して注入し、熱交換器や送水ラインの出口で過酸化
水素濃度が所定濃度以上となった時、送水と薬剤注入ポ
ンプを停止させて熱交換器内や送水管内を満水状態で保
持する方法、或いは、別に調製した過酸化水素水溶液や
海水溶液で該冷却水を置換して保持する方法等があげら
れる。
貝に到るまでの間に実施することが好ましい。なお、該
冷却水系統よりバイパス水路を設置しモニターカラムと
カラム内に生物調査板を取りつけることにより、簡単に
熱交換器や送水ライン等の器壁に付着する二枚貝類の成
長段階を知ることができ、この発明の実施時期を正確に
把握することができる点で好ましい。
30〜100mm、長さ10〜100mmのアクリル樹脂、塩化ビニル
樹脂等で製造されたものを用いることができる。カラム
は透明のものを使用することが、観察を行う上で好まし
い。しかしながら、観察時以外は日光などの光源を遮断
した状態で行うことが、実際の現場の条件に則しており
好ましい。また、モニターカラム内の水の流速は、通常
0.1〜2m/secで通水することが好ましい。
mのクレモナ網を円筒状に作成したもの等が挙げられ、
このような付着板はモニターカラムの内壁に挿入する等
の手段によって取り付けることができる。また、脱落し
た稚貝を系外に除去することが、系内を清浄にする上か
ら好ましい。
外へ除去したのち、さらに付着した稚貝が幼貝に到るま
での間に繰り返し実施するのが好ましく、季節、水温の
影響もあるが、二枚貝類の付着時期において1〜3週間
に一度繰り返すことが推奨される。
明するが、これにより本発明は限定されるものではな
い。
サキイガイの付着期である春季に通水試験を実施した。
各水路の海水流量は10m3/hr、平均流速は 0.3m/sで
あった。
ね網(100 cm2)を浸漬し、ムラサキイガイの付着数、
平均殻長を調査した。試験水路を無処理の状態で運転を
続けたところ、約7日後に肉眼で観察できる殻長 0.5mm
程度のムラサキイガイが付着した。さらに放置したとこ
ろ約25日後に最大殻長2mm、平均殻長 1.5mm程度に成長
した。
過酸化水素を所定量、所定時間注入した。注入終了後24
時間のムラサキイガイの付着状況を調査した。その結果
を表1に示す。付着数は1m2あたりに換算した結果であ
る。
汲み上げ、内径30mm、長さ60cmのアクリル製試験パイプ
で作成した4経路の試験水路に3カ月間一過式に通水し
た(通水量0.7m3/時間)。
った。その内の一経路(以下、A経路という)には、通
水を遮断して、水路内の海水を0.35%の過酸化水素を含
む海水溶液と置換して2時間保持した後、再度海水を一
過式に通水する操作を2週間ごとに一度実施した。同様
に他の一経路(以下、B経路という)には、通水を遮断
して、水路内の海水を0.1%の過酸化水素を含む海水溶
液と置換して12時間保持した後、再度海水を一過式に通
水する操作を2週間ごとに一度実施した。
は、2週間ごとに試験パイプを取り替えて、3カ月間海
水を通水した。残りの一経路は対照区として3カ月間海
水を連続して通水した。試験終了後、試験管パイプの付
着物を剥離して、付着生物の観察及び計測を行った。
り替えた試験パイプについて同様の観察及び計測を行っ
た。その結果、2週間ごとに取り替えたC経路の試験パ
イプには、殻長0.3〜1mmの稚貝が170〜10200個/m2付
着していた。対照区にはムラサキイガイの稚貝及び幼貝
(殻長約1〜15mm)が、35000 個/m2付着していたが、
A経路にはムラサキイガイの付着は認められなかった。
また、B経路においても同様な結果であり、ムラサキイ
ガイは稚貝の時期に完全に除去されたものと考える。
とのない過酸化水素を二枚貝類の稚貝の付着時にのみ実
施すれば良いため、過酸化水素の使用量が低減されると
いう技術的効果を有する。
Claims (3)
- 【請求項1】 冷却水系よりバイパス水路を設置し、該
水路内に生物調査板を具備するモニターカラムを取り付
け、その観測結果に基づき、冷却水系への海水の通水を
遮断した静置状態で、冷却水系に過酸化水素を0.05〜2
%濃度になるように0.5〜24時間添加して、配管、熱交
換器等に付着した付着生物の二枚貝類の稚貝を駆除する
ことを特徴とする冷却水系における二枚貝類の駆除方
法。 - 【請求項2】 二枚貝類が幼貝に到るまでに行われる請
求項1記載の駆除方法。 - 【請求項3】 駆除した二枚貝類の稚貝が、冷却水系の
系外に除去される請求項1又は2に記載の駆除方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13853993A JP3335709B2 (ja) | 1993-06-10 | 1993-06-10 | 冷却水系における二枚貝類の駆除方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13853993A JP3335709B2 (ja) | 1993-06-10 | 1993-06-10 | 冷却水系における二枚貝類の駆除方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06347194A JPH06347194A (ja) | 1994-12-20 |
JP3335709B2 true JP3335709B2 (ja) | 2002-10-21 |
Family
ID=15224525
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13853993A Expired - Lifetime JP3335709B2 (ja) | 1993-06-10 | 1993-06-10 | 冷却水系における二枚貝類の駆除方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3335709B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4856811B2 (ja) * | 2001-02-26 | 2012-01-18 | 三菱瓦斯化学株式会社 | オベリア類の付着抑制方法 |
-
1993
- 1993-06-10 JP JP13853993A patent/JP3335709B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06347194A (ja) | 1994-12-20 |
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