JP3333181B2 - クッションブロック、およびこれを用いた構造物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、道路に設置するク
ッションドラムの改良、更に詳しくは、搬送・設置作業
時には小型軽量で取扱い易く、そして、簡単に掛合連結
して、道路の分岐点付近や急カーブ、工事現場等に設置
すると、自動車の衝突衝撃を劇的に軽減することができ
るクッションブロック、およびこれを用いた構造物に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年の自動車の増加に伴い居眠りや不注
意による衝突事故が頻発し、死亡事故などの重大事故が
後を絶たない。このような重大事故は、例えば、道路の
分岐点や急カーブ等で多発しており、このような危険度
が高い箇所においては、万一の衝突の際の衝撃を緩衝し
て被害を軽減するためのクッションドラムが設置してあ
る。また、高速通行車両の多い主要幹線道路などにおけ
る工事現場においても作業エリアに自動車が突っ込む危
険を阻止するためにクッションドラムが設置されてい
る。

【０００３】このクッションドラムは、通常、プラスチ
ックを中空成形した容器であり、そのままでは軽量であ
るので、設置場所で転倒したり風や一寸した衝撃で不用
意に動くことがないように重りを付けたり、中に水を充
填して重くしておく場合がある。ところが、中に水を充
填しようとしても高速道路などでは水道施設がないの
で、遠くで水を充填してから運搬するか、あるいは水を
小分けして袋詰めにし、これを設置現場まで運んでクッ
ションドラムの中に投入して安定させるという方法が採
られていた。

【０００４】しかし、道路工事の場合であると、始業時
および終業時にその都度クッションドラムの設置および
撤去をせねばならなかったり、工事の進捗に伴って作業
エリアが移動する場合にもクッションドラムを移設する
必要があり、こうした定点への設置を前提とした水を入
れたクッションドラムは非常に重く、しかも、自動車を
対象とするので所定の容積が必要であり、移動や搬送が
大変であった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の欠点に
鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、
搬送・設置作業時には小型軽量で取扱い易く、そして、
簡単に掛合連結して、道路の分岐点付近や急カーブ、工
事現場等に設置すると、自動車の衝突衝撃を劇的に軽減
することができるクッションブロック、およびこれを用
いた構造物を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者が上記課題を解
決するために採用した手段を添付図面を参照して説明す
れば次のとおりである。

【０００７】即ち、本発明は、積み重ねが可能な合成樹
脂製の中空ブロック成形体１であって、重ね合わせ面と
なる一方の面11には、先太の突起２が当該重ね合わせ面
の中心を外れた位置に突設されている一方、もう一方の
重ね合わせ面12には、前記先太突起２の対称関係部位よ
り少なくとも当該重ね合わせ面の中心部位に亘り先太突
起２が滑嵌横滑り可能なスロット３が形成され、かつ、
このスロット３における先太突起対称関係部位には当該
先太突起の顎先21を掛止可能なフランジ31を形成すると
いう技術的手段を採用した。

【０００８】また、本発明は、上記課題を解決するため
に、必要に応じて上記手段に加え、中空ブロック成形体
１に液体や粒状体などの加重物を充填可能に構成すると
いう技術的手段を採用した。

【０００９】更にまた、本発明は、上記課題を解決する
ために、必要に応じて上記手段に加え、中空ブロック成
形体１と突起２とを一体に中空成形して、突起２の先太
形状を、加重物を注入する筒口22と、この筒口22の口縁
に取外し自在に螺合されるキャップ23とによって形成す
るという技術的手段を採用した。

【００１０】更にまた、本発明は、上記課題を解決する
ために、必要に応じて上記手段に加え、スロット３を長
さ方向に挟む中空ブロック成形体１の両外側縁に把手４
・４を設けるという技術的手段を採用した。

【００１１】また、本発明は、上記課題を解決するため
に、積み重ね可能な複数個の合成樹脂製の中空ブロック
成形体１・１…であって、重ね合わせ面となる一方の面
11には、先太の突起２が当該重ね合わせ面の中心を外れ
た位置に突設されている一方、もう一方の重ね合わせ面
12には、前記先太突起２の対称関係部位より少なくとも
当該重ね合わせ面の中心部位に亘り先太突起２が滑嵌横
滑り可能なスロット３が形成され、かつ、このスロット
３における先太突起対称関係部位には当該先太突起の顎
先21を掛止可能なフランジ31が形成されており、これら
ブロック成形体１・１…における前記各突起２を、これ
らと重なるべき面12のスロット３に挿入して当該重ね合
わせた成形体の外側縁を面一に揃えることにより各ブロ
ック成形体における先太突起の顎先21とスロットのフラ
ンジ31とを掛合連結するという技術的手段を採用してク
ッションブロック構造物を完成させた。

【００１２】また、本発明は、上記課題を解決するため
に、液体や粒状体などの加重物を充填可能で、かつ、積
み重ね可能な複数個の合成樹脂製の中空ブロック成形体
１・１…であって、重ね合わせ面となる一方の面11に
は、前記加重物の充填口となる先太の突起２が当該重ね
合わせ面の中心を外れた位置に一体成形されている一
方、もう一方の重ね合わせ面12には、前記先太突起２の
対称関係部位より少なくとも当該重ね合わせ面の中心部
位に亘り先太突起２が滑嵌横滑り可能なスロット３が形
成され、かつ、このスロット３における先太突起対称関
係部位には当該先太突起の顎先21を掛止可能なフランジ
31が形成されており、これらブロック成形体１・１…に
おける前記各突起２を、これらと重なるべき面12のスロ
ット３に挿入して当該重ね合わせた成形体の外側縁を面
一に揃えることにより各ブロック成形体における先太突
起の顎先21とスロットのフランジ31とを掛合連結すると
いう技術的手段を採用してクッションブロック構造物を
完成させた。

【００１３】また、本発明は、上記課題を解決するため
に、必要に応じて上記手段に加え、各々のブロック成形
体１・１…における各突起２の顎先21と各スロット３の
フランジ31とが掛合された連結状態のブロック成形体１
・１…をさらに外装結束カバー部材５によって、縦面外
周を包囲結束するという技術的手段を採用した。

【００１４】更にまた、本発明は、上記課題を解決する
ために、必要に応じて上記手段に加え、外装結束カバー
５の外周面に、夜間ライトが照射されることにより高輝
度反射して注意を喚起可能な高輝度注意喚起材６を付設
するという技術的手段を採用した。

【００１５】

【発明の実施の形態】本発明の実施形態を具体的に図示
した図面に基いて更に詳細に説明すると次のとおりであ
る。

【００１６】『第１実施形態』本発明の第１実施形態を
図１から図３に基いて説明する。図中、符号１で指示す
るものは中空ブロック成形体であり、この中空ブロック
成形体１は、超高分子ポリエチレンを使用材料としてブ
ロー成形法によって中空状に成形するものであり、本実
施形態では、中空ブロック成形体１の形状を六角平板形
に形成する。

【００１７】符号２で指示するものは先太の突起であ
り、この突起２は前記中空ブロック成形体１の重ね合わ
せ面となる一方の面（上壁面）11の中心を外れた位置に
突設されており、本実施形態では、液体や粒状体などの
加重物の充填口となるように前記中空ブロック成形体１
と一体に成形し、突起２の顎先21が加重物を注入する筒
口22と、この筒口22の口縁に取外し自在に螺合されるキ
ャップ23とによって構成されている。

【００１８】符号３で指示するものはスロットであり、
このスロット３は前記中空ブロック成形体１の重ね合わ
せ面（下壁面）12において、前記先太突起２の対称関係
部位より少なくとも当該重ね合わせ面の中心部位に亘り
先太突起２が滑嵌横滑り可能に形成されており、かつ、
このスロット３における先太突起対称関係部位には当該
先太突起の顎先21を掛止可能なフランジ31を形成する。

【００１９】符号４で指示するものは把手であり、この
把手４はスロット３を長さ方向に挟む中空ブロック成形
体１の両外側縁に設ける。

【００２０】しかして、本実施形態のクッションブロッ
ク構造物を使用する際には、この構造物を構成する各々
の中空ブロック成形体１に一体成形された突起２に配設
した筒口22から加重物として水を充填する。このように
加重物を中空ブロック成形体の内空部に充填することに
より、安定性を増して配置することができる。前記加重
物として、水を用いることが多いけれども、ズレにくく
するために水よりも比重の大きい砂などの粒状体を使用
しても良い。

【００２１】クッションブロックとしての緩衝効果を生
ぜしめるために、前記のごとく成形した中空ブロック成
形体１・１…を掛合状態に接合一体化して積層して連結
構造物を構成する。図２に示すものはブロックピース同
士の掛合連結構造を説明する上面図であり、符号１Ａは
載置する上側のブロックを、符号１Ｂは下側のブロック
を示している。

【００２２】ブロック同士の連結過程は、下側のブロッ
ク１Ｂの突起２Ｂを、重なるべき上側のブロック１Ａの
下壁面11Ａに形成したスロット３Ａに挿入し、上下のブ
ロックが重なるように滑嵌横滑りさせることによって突
起２Ｂとスロット３Ａとを互いに嵌合して相対面を合致
させて重ね合わせたブロック成形体の外側縁を面一に揃
える。そして、各ブロック成形体における先太突起２Ｂ
とスロット３Ａのフランジ31Ａとを掛合連結して構成す
る。このように上下方向に順次掛合状態に接合一体化し
て積層することによって強固な構造にすることができ
る。

【００２３】本実施形態では、ブロック同士を連結また
は分離する作業の際は、スロット３を長さ方向に挟むブ
ロック１の両外側縁に配設した把手４・４を両側から把
持することにより、挿脱操作をスムースに行うことがで
きる。また、スロット３のフランジ31にストッパー31ａ
を形成し、連結させた際に突起２を確実に掛止させるこ
とができ、ブロック同士の横ズレや脱抜を防止すること
ができる。

【００２４】『第２実施形態』次に、本発明の第２実施
形態を図４に基いて説明する。図中、符号５で指示する
ものは外装結束カバーであり、この外装結束カバー５の
外周面には、夜間ライトが照射されることにより高輝度
反射して注意を喚起可能な高輝度注意喚起材６が付設さ
れている。本実施形態のクッションブロック構造物は、
これら重ね合わせたブロック成形体の外側縁が面一に揃
えてある六角柱形状であり、各側面に添設する板体51を
ジョイント52によって継合して構成する。

【００２５】そして、この外装結束カバー５を用いてブ
ロック構造物の周囲を包囲することによって、構造物全
体の補強効果を奏すると共に、ブロック同士の掛合連結
のズレを防止することができる。

【００２６】また、実施変形例として、中空ブロック成
形体１を平円板形に作製し、このように形成したブロッ
ク成形体１・１…を連結してクッションブロック構造物
を図５に示す。なお、本実施形態においても、第２実施
形態と同様に、外装結束カバー５を包囲して補強するこ
とが当然に可能であり、この場合、円筒形の外装結束カ
バー５（図示せず）で包囲するように構成できる。

【００２７】中空ブロック成形体１・１…を掛合状態に
接合一体化して積層されて構成するクッションブロック
構造物において、中央に開設された開口部が上下にわた
って貫通して作出された差込孔に支持部材Ｓを挿通する
ことにより、クッションブロック構造物の芯材を為して
全体に強度を付与せしめるように構成したものを図６に
示す。更に要すれば、当該支持部材Ｓの上端部に点滅ラ
ンプ等の表示器Ｐを付設することも可能であり、この表
示器Ｐによって、運転者に対して注意喚起することがで
きる。

【００２８】なお、上記の実施形態においては、中空ブ
ロック成形体１と先太突起２とを一体に成形したものを
採用しているが、各部材を別工程によって作製してから
接合したものでも良いし、加重物の充填口を中空ブロッ
ク成形体１に設けても良い。また、中空ブロック成形体
１は必ずしも内空部に加重物を充填できる構成でなくと
も、このブロックが中空であることや複数のブロックを
積層して構造物を構成していることにより、クッション
ブロックとしての緩衝効果を発揮することができ、ま
た、中空のままであっても構造物全体の自重、または所
要の重りを付設したり周囲の壁面などに結合することに
より安定させることが可能である。

【００２９】本発明は概ね上記のように構成されるが、
本発明は図示の実施形態に限定されるものでは決してな
く、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が
可能であって、例えば、中空ブロック成形体１の形状は
六角形や円形に限らず、四角形や八角形などの多角筒状
でも良く、また、突起２とスロット３とは嵌合可能な形
状であれば良い。

【００３０】また、高輝度注意喚起材６は外装結束カバ
ー５の板体51に付設したが、ブロック成形体１の側周面
に直接付設して構成しても良い。更にまた、隣接するブ
ロック成形体１の色調を変えることによって運転者に対
して注意を喚起することもでき、何れのものも本発明の
技術的範囲に属する。

【００３１】

【発明の効果】以上、実施形態をもって説明したとお
り、本発明は合成樹脂で小型に中空成形した個別のブロ
ック成形体を掛合連結してクッションブロック構造物を
構成するものであり、このブロック成形体は小型軽量で
あるので、搬送や保管時には大幅に占有スペースを節約
でき、水などの加重物を充填しても些程に重くならない
ので、水道栓などがない高速道路における設置作業も重
労働を伴うことなく能率よく安全に行うことができる。

【００３２】また、このクッションブロック構造物は多
層構造になるので、衝突の衝撃エネルギーが分散されて
従来のクッションドラムよりも衝撃吸収が大きい。しか
も、衝突によってクッションブロック構造物の一部が破
損した場合でも、その破損した部分のブロック成形体の
みを交換して修復が可能であることから、産業上におけ
る利用価値は非常に高い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態のクッションブロックの
構造を表わす全体斜視図である。

【図２】本発明の第１実施形態におけるブロック成形体
同士の掛合連結構造を説明する上面図である。

【図３】本発明の第１実施形態のクッションブロック構
造物を表わす斜視図である。

【図４】本発明の第２実施形態のクッションブロック構
造物を表わす斜視図である。

【図５】本発明の実施変形例の平円板形のブロックピー
スによるクッションブロック構造物を表わす斜視図であ
る。

【図６】本発明の実施形態のクッションブロック構造物
に支持部材および表示器を立設した状態を表わす部分斜
視図である。

【符号の説明】

１ 中空ブロック成形体 11 重ね合わせ面 12 重ね合わせ面 ２ 突起 21 顎先 22 筒口 23 キャップ ３ スロット 31 フランジ 31ａ ストッパー ４ 把手 ５ 外装結束カバー 51 板体 52 ジョイント ６ 高輝度注意喚起材 Ｓ 支持部材 Ｐ 表示器

Claims (8)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 積み重ねが可能な合成樹脂製の中空ブロ
   ック成形体１であって、重ね合わせ面となる一方の面11
   には、先太の突起２が当該重ね合わせ面の中心を外れた
   位置に突設されている一方、もう一方の重ね合わせ面12
   には、前記先太突起２の対称関係部位より少なくとも当
   該重ね合わせ面の中心部位に亘り先太突起２が滑嵌横滑
   り可能なスロット３が形成され、かつ、このスロット３
   における先太突起対称関係部位には当該先太突起の顎先
   21を掛止可能なフランジ31が形成されていることを特徴
   とするクッションブロック。
2. 【請求項２】 中空ブロック成形体１に液体や粒状体な
   どの加重物を充填可能に構成したことを特徴とする請求
   項１記載のクッションブロック。
3. 【請求項３】 中空ブロック成形体１と突起２とが一体
   に中空成形され、突起２の先太形状が、加重物を注入す
   る筒口22と、この筒口22の口縁に取外し自在に螺合され
   るキャップ23とによって形成される請求項１または２記
   載のクッションブロック。
4. 【請求項４】 スロット３を長さ方向に挟む中空ブロッ
   ク成形体１の両外側縁に把手４・４が設けられている請
   求項１〜３の何れか一つに記載のクッションブロック。
5. 【請求項５】 積み重ね可能な複数個の合成樹脂製の中
   空ブロック成形体１・１…であって、重ね合わせ面とな
   る一方の面11には、先太の突起２が当該重ね合わせ面の
   中心を外れた位置に突設されている一方、もう一方の重
   ね合わせ面12には、前記先太突起２の対称関係部位より
   少なくとも当該重ね合わせ面の中心部位に亘り先太突起
   ２が滑嵌横滑り可能なスロット３が形成され、かつ、こ
   のスロット３における先太突起対称関係部位には当該先
   太突起の顎先21を掛止可能なフランジ31が形成されてお
   り、これらブロック成形体１・１…における前記各突起
   ２を、これらと重なるべき面12のスロット３に挿入して
   当該重ね合わせた成形体の外側縁を面一に揃えることに
   より各ブロック成形体における先太突起の顎先21とスロ
   ットのフランジ31とが掛合連結して構成されたことを特
   徴とするクッションブロック構造物。
6. 【請求項６】 液体や粒状体などの加重物を充填可能
   で、かつ、積み重ね可能な複数個の合成樹脂製の中空ブ
   ロック成形体１・１…であって、重ね合わせ面となる一
   方の面11には、前記加重物の充填口となる先太の突起２
   が当該重ね合わせ面の中心を外れた位置に一体成形され
   ている一方、もう一方の重ね合わせ面12には、前記先太
   突起２の対称関係部位より少なくとも当該重ね合わせ面
   の中心部位に亘り先太突起２が滑嵌横滑り可能なスロッ
   ト３が形成され、かつ、このスロット３における先太突
   起対称関係部位には当該先太突起の顎先21を掛止可能な
   フランジ31が形成されており、これらブロック成形体１
   ・１…における前記各突起２を、これらと重なるべき面
   12のスロット３に挿入して当該重ね合わせた成形体の外
   側縁を面一に揃えることにより各ブロック成形体におけ
   る先太突起の顎先21とスロットのフランジ31とが掛合連
   結して構成されたことを特徴とするクッションブロック
   構造物。
7. 【請求項７】 各々のブロック成形体１・１…における
   各突起２の顎先21と各スロット３のフランジ31とが掛合
   された連結状態のブロック成形体１・１…がさらに外装
   結束カバー部材５によって、縦面外周が包囲結束されて
   いることを特徴とする請求項５または６記載のクッショ
   ンブロック。
8. 【請求項８】 外装結束カバー５の外周面に、夜間ライ
   トが照射されることにより高輝度反射して注意を喚起可
   能な高輝度注意喚起材６が付設されている請求項７記載
   のクッションブロック構造物。