JP3332704B2 - 増幅回路 - Google Patents

増幅回路

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JP3332704B2
JP3332704B2 JP02666496A JP2666496A JP3332704B2 JP 3332704 B2 JP3332704 B2 JP 3332704B2 JP 02666496 A JP02666496 A JP 02666496A JP 2666496 A JP2666496 A JP 2666496A JP 3332704 B2 JP3332704 B2 JP 3332704B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は増幅回路に関し、更
に詳しく言えば、チョッパ電源で駆動される増幅回路の
スイッチングノイズによる周辺機器への悪影響の低減を
目的とする。
【0002】
【従来の技術】以下で従来例に係るオーディオアンプに
搭載される増幅回路について説明する。従来、一定電圧
を電源電圧としていたオーディオアンプにおいては、常
時最大出力を取り出せる程度の高電圧を電源電圧とし
て、アンプを駆動していた。
【0003】このような回路では、出力が小レベルであ
ったような場合においても、常時最大出力を取り出せる
程度の高電圧を電源電圧としているので、アンプ内での
消費電力は必要以上に大きくなり、アンプの効率は低か
った。特にオーディオアンプのように、電源電圧が高
く、消費電力のロスが無視出来ないような回路に適用し
た場合には、この問題は深刻であった。
【0004】そこで、アンプの高効率化を図るために、
以下に示すような増幅回路が提案されている。これは、
増幅信号(ZS)に一定電圧を上乗した電圧を電源電圧
として、増幅信号(ZS)の増減に応じて電源電圧を変
動させながら駆動するというものである。この回路は具
体的には図9に示すような回路であって、アンプ
(1),正側の電源部(6)及び負側の電源部(7)を
有する。
【0005】正側の電源部(6)はオフセット電圧生成
回路(2A),コンパレータ(4A),正側のチョッパ
電源(5A)を有し、負側の電源部(7)はオフセット
電圧生成回路(2B),コンパレータ(4B),負側の
チョッパ電源(5B)を有する。上記回路によれば、電
源が投入されると正側,負側の電源部(6,7)に一定
の電源電圧(+Vcc,−Vcc)がそれぞれ印加され
る。
【0006】次いで入力信号(AS)がアンプ(1)に
よって増幅されて増幅信号(ZS)が生成されて不図示
のスピーカに出力され、同時に正側,負側の電源部
(6,7)に出力される。正側の電源部(6)では、オ
フセット電圧生成回路(2A)によって正側に振れた増
幅信号(ZS)に一定電圧が上乗されてコンパレータ
(4A)の反転入力部(−)に入力される。
【0007】一方、コンパレータ(4A)の非反転入力
部(+)には正側のチョッパ電源(5A)から出力され
る電源電圧(+Vc)が入力されており、常に電源電圧
(+Vc)と一定電圧が上乗された増幅信号(ZS′)
とは比較されている。コンパレータ(4A)の出力はチ
ョッパ電源(5A)の第1のスイッチング回路(SW
1)に接続されており、一定電圧と微分とが上乗された
増幅信号(ZS)を電源電圧(+Vc)が下回るとコン
パレータ(4A)の出力がローレベル(以下“L”と称
する)になって第1のスイッチング回路(SW1)がO
Nされて電源電圧(+Vc)が上昇し、逆に一定電圧が
上乗された増幅信号(ZS′)を電源電圧(+Vc)が
上回るとコンパレータ(4A)の出力がハイレベル(以
下“H”と称する)になって第1のスイッチング回路
(SW1)がOFFされて電源電圧(+Vc)が下降す
る。
【0008】すなわち、以上の動作を繰り返す事でコン
パレータ(4A)からは図11に示すようなパルス信号
(PP)が出力されることになる。以上の動作について
は負側の電源部(7)についても同様であって、コンパ
レータ(4B)からは図11に示すようなパルス信号
(PM)が出力されることになる。以上の動作により、
電源電圧(+Vc,−Vc)は図10に示すように増幅
信号(ZS)に一定電圧が上乗された電圧(ZS′)に
追従するように変化しながらアンプ(1)に供給され
る。この電源電圧(+Vc,−Vc)を用いて、アンプ
(1)によって入力信号(AS)が増幅されて増幅信号
(ZS)が不図示のスピーカに出力される。
【0009】このようにして増幅信号(ZS)の大小に
応じて電源電圧(±Vc)を変動させることにより、常
時最大出力を取り出せる高電圧を電源電圧としてアンプ
を駆動するような場合に比して、特に小レベルの出力時
における消費電力のロスを軽減し、高効率化をはかって
いた。上記回路において、コンパレータ(4A,4B)
の出力のパルス信号(PP,PM)の周波数は図11に
示すように同一であって、第1のスイッチング回路(S
W1)のスイッチング周波数と第2のスイッチング回路
(SW2)のスイッチング周波数とが同一に設定されて
いる。正側,負側の電源部(6,7)を対称な回路構
成、動作にする事で回路動作の安定性を図るためであ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の増幅回路では正側、負側でチョッパ電源(5A,5
B)を用いており、これらに設けられた第1,第2のス
イッチング回路(SW1,SW2)のスイッチング周波
数は、約200kHz〜400kHz程度である。これは、
アンプの周波数特性を可聴帯の上限である20kHzまで
得てなおかつ、出力波形の追従性の確保や、出力波形の
リップル成分の低減を図るためである。
【0011】第1,第2のスイッチング回路(SW1,
SW2)によるノイズの周波数は、図12に示すように
基本周波数が例えば200kHzのときには、2次〜5次
の高調波が400kHz〜1MHzとなり、これらのノイズ
は、LW(Long Wave ),MW(Middle Wave )のAM
ラジオの周波数帯である200kHz〜2MHzの範囲に入
ってしまうので、この増幅回路の近くにAMラジオがあ
った場合には、AMラジオからこれらのノイズが出力さ
れてしまうという問題が生じていた。
【0012】特に、AMやFMのラジオチューナーとオ
ーディオアンプが一緒に搭載された用途では、この問題
は無視出来ない大きな問題となっていた。実際には第1
のスイッチング回路(SW1)によるノイズ,第2のス
イッチング回路(SW2)によるノイズはそれぞれ図1
2に示すレベルの1/2なのだが、図13に示すように
それぞれのスイッチング周波数は正側、負側で同じなの
で、これを合計したノイズの強度は重畳されて2倍にな
り、図12に示すような大きなレベルのノイズが出力さ
れてしまう。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の欠点
に鑑み成されたもので、入力信号を増幅して増幅信号と
して出力する信号増幅部と、第1のスイッチング回路を
備えた正側のチョッパ電源を有し、前記正側の増幅信号
に一定電圧が上乗されるように変動する正の電源電圧を
生成する正側の電源部と、第2のスイッチング回路を備
えた負側のチョッパ電源を有し、前記負側の増幅信号に
一定電圧が上乗されるように変動する負の電源電圧を生
成する負側の電源部とを具備し、前記第1のスイッチン
グ回路のスイッチング周波数と前記第2のスイッチング
回路のスイッチング周波数が異なることを特徴とする増
幅回路や、図1に例示するように、入力信号を増幅して
増幅信号として出力する信号増幅部と、第1のスイッチ
ング回路を備えた正側のチョッパ電源を有し、前記正側
の増幅信号に一定電圧と前記正側の増幅信号の微分とが
上乗されるように変動する正の電源電圧を生成する正側
の電源部と、第2のスイッチング回路を備えた負側のチ
ョッパ電源を有し、前記負側の増幅信号に一定電圧と前
記正側の増幅信号の微分とが上乗されるように変動する
負の電源電圧を生成する負側の電源部とを具備し、前記
第1のスイッチング回路のスイッチング周波数と前記第
2のスイッチング回路のスイッチング周波数が異なるこ
とを特徴とする増幅回路や、前記増幅回路の近くでラジ
オが動作していない時には前記第1,第2のスイッチン
グ回路のスイッチング周波数を同一にし、かつ前記増幅
回路の近くでラジオが動作している際にのみ、前記第1
のスイッチング回路のスイッチング周波数と前記第2の
スイッチング回路のスイッチング周波数が異なるように
制御する切替回路を有することを特徴とする本発明に係
る増幅回路や、前記第1のスイッチング回路のスイッチ
ング周波数の基本波を含む高調波が、前記第2のスイッ
チング回路のスイッチング周波数の基本波を含む高調波
が重ならないことを特徴とする本発明に係る増幅回路に
より、増幅回路のスイッチングノイズがAMラジオなど
の周辺機器に及ぼす悪影響を低減することを可能に足ら
しめるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下で本発明の実施形態について
図面を参照しながら説明する。 (1)第1の実施形態 以下で、本発明の第1の実施形態に係る増幅回路につい
て図面を参照しながら説明する。
【0015】この増幅回路は図1に示すような回路であ
って、オーディオアンプなどに用いられ、信号増幅部の
一例であるアンプ(11),正側の電源部(16)及び
負側の電源部(17)とを有する。最初に上記回路の構
成について説明する。アンプ(11)は、信号増幅部の
一例であって、後述の電源電圧(+Vc)を用いて、入
力信号(AS)を増幅して増幅信号(ZS)を出力する
ものである。
【0016】正側の電源部(16)はオフセット電圧生
成回路(12A),勾配検出部(13A),コンパレー
タ(14A)及び正側のチョッパ電源(15A)を有す
る回路であって、一定の直流電圧(+Vcc)から増幅
信号(ZS)の増減に応じて変化する正の電源電圧(+
Vc)を生成してアンプ(11)に供給する回路であ
る。
【0017】具体的には、増幅信号(ZS)に、オフセ
ット電圧生成回路(12A)によって生成される一定電
圧と、勾配検出部(13A)によって算出される増幅信
号(ZS)の微分を上乗し、この電圧に追従するように
変化する正の電源電圧(+Vc)を供給している。オフ
セット電圧生成回路(12A)は、増幅信号(ZS)に
一定電圧を上乗するものであって、勾配検出部(13
A)は増幅信号(ZS)の微分を算出する回路である。
これは具体的には微分回路を用いている。
【0018】コンパレータ(14A)は一定電圧と、増
幅信号(ZS)の微分とが上乗された増幅信号(ZS)
と正の電源電圧(+Vc)とを比較して、その比較結果
となる図2に示すような正側のパルス信号(PP)を正
側のチョッパ電源(15A)に出力する回路である。正
側のチョッパ電源(15A)は正側のパルス信号(P
P)によって第1のスイッチング回路(SW1)をON
/OFFすることで、一定の正電源(+Vcc)から、
増幅信号(ZS)の増減に応じて変化する正の電源電圧
(+Vc)を生成するものである。
【0019】負側の電源部(17)はオフセット電圧生
成回路(12B),勾配検出部(13B),コンパレー
タ(14B)及び負側のチョッパ電源(15B)を有す
る回路であって、一定の直流電圧(−Vcc)を増幅信
号(ZS)の増減に応じて変化させてアンプ(11)に
負の電源電圧(−Vc)を供給する回路である。具体的
には、増幅信号(ZS)に、オフセット電圧生成回路
(12B)によって生成される一定電圧と、勾配検出部
(13B)によって算出される増幅信号(ZS)の微分
を上乗し、この電圧に追従するように変化する負の電源
電圧(−Vc)を供給している。
【0020】オフセット電圧生成回路(12B)は、増
幅信号(ZS)に一定電圧を上乗するものであって、勾
配検出部(13B)は増幅信号(ZS)の微分を算出す
る回路である。これは具体的には微分回路を用いてい
る。コンパレータ(14B)は一定電圧と、増幅信号
(ZS)の微分とが上乗された増幅信号(ZS)と負の
電源電圧(−Vc)とを比較して、その比較結果となる
図2に示すようなパルス信号(PM)を負側のチョッパ
電源(15B)に出力する回路である。この負側のパル
ス信号(PM)は、図2に示すように正側のパルス信号
(PP)よりもその周波数を予め小さく設定している。
これが従来と回路構成で異なる点である。
【0021】負側のチョッパ電源(15B)はパルス信
号(PM)によって第2のスイッチング回路(SW2)
をON/OFFすることで、一定の負電源(−Vcc)
から、増幅信号(ZS)の増減に応じて変化する負の電
源電圧(−Vc)を生成するものである。引き続いて上
記の増幅回路の動作について以下で説明する。
【0022】上記の回路によれば、電源が投入されると
正側,負側の電源部(16,17)に一定の電源電圧
(+Vcc,−Vcc)がそれぞれ印加される。次いで
入力信号(AS)がアンプ(11)によって増幅されて
増幅信号(ZS)が生成されて不図示のスピーカに出力
され、同時に正側,負側の電源部(16,17)にも出
力される。
【0023】正側の電源部(16)では、オフセット電
圧生成回路(12A)によって増幅信号(ZS)に一定
電圧が上乗されてコンパレータ(14A)の反転入力部
(−)に入力される。同時に勾配検出部(13A)によ
ってこの増幅信号(ZS)の微分が算出されてコンパレ
ータ(14A)の反転入力部(−)に入力されるので、
この反転入力部(−)には一定電圧と増幅信号(ZS)
の微分が上乗された増幅信号(ZS)が入力されること
になる。
【0024】一方、コンパレータ(14A)の非反転入
力部(+)には正側のチョッパ電源(15A)から出力
される正の電源電圧(+Vc)が入力されており、常に
正の電源電圧(+Vc)と一定電圧,微分が上乗された
増幅信号(ZS′)とは比較されている。コンパレータ
(14A)の出力はチョッパ電源(15A)の第1のス
イッチング回路(SW1)に接続されており、一定電圧
と微分とが上乗された増幅信号(ZS′)を正の電源電
圧(+Vc)が下回るとコンパレータ(14A)の出力
が“L”になって第1のスイッチング回路(SW1)が
ONされて正の電源電圧(+Vc)が上昇し、逆に一定
電圧と微分とが上乗された増幅信号(ZS)を正の電源
電圧(+Vc)が上回るとコンパレータ(14A)の出
力が“H”になって第1のスイッチング回路(SW1)
がOFFされて正の電源電圧(+Vc)が下降する。
【0025】以上の動作を繰り返す事でコンパレータ
(14A)からは図2に示すような正側のパルス信号
(PP)が出力される。ここまでの動作については負側
の電源部(17)についても同様であるが、従来と異な
り、コンパレータ(14B)からは図2に示すように正
側のパルス信号(PP)よりも周波数が低い負側のパル
ス信号(PM)が出力されることになる。正側のパルス
信号(PP)のスイッチング周波数は例えば300〜5
00kHzであるが、このとき負側のパルス信号(P
M)のスイッチング周波数を200〜400kHz程度
になっている。つまりパルス信号(PP)によって決ま
る第1のスイッチング回路のスイッチング周波数の基本
波を含む高調波がパルス信号(PM)によって決まる第
2のスイッチング回路のスイッチング周波数の基本波を
含む高調波と重ならない点が、従来回路と本実施形態に
係る回路との異なる点である。
【0026】以上の動作により、電源電圧(+Vc,−
Vc)は図3に示すように増幅信号(ZS)に一定電圧
と微分とが上乗された電圧(ZS′)に追従するように
変化しながらアンプ(11)に供給される。この電源電
圧(+Vc,−Vc)を用いて、アンプ(11)によっ
て入力信号(AS)が増幅されて増幅信号(ZS)がス
ピーカに出力される。
【0027】このようにして増幅信号(ZS)の大小に
応じて電源電圧(±Vc)を変動させることにより、常
時最大出力を取り出せる高電圧を電源電圧としてアンプ
を駆動するような場合に比して、特に小レベルの出力時
における消費電力のロスを軽減し、高効率化を図ること
ができる。なお、この回路には勾配検出部(13A,1
3B)が設けられており、電源電圧(+Vc,−Vc)
は増幅信号(ZS)に一定電圧と増幅信号(ZS)の微
分が上乗された電圧になっている。
【0028】単に増幅信号(ZS)に一定電圧を上乗し
て電源電圧(+Vc,−Vc)を生成すると、立上がり
が急峻な増幅信号(ZS)が生成された時には電源部が
その急峻な変化に追従しきれずに、本来常に増幅信号
(ZS)を上回っているべき電源電圧(+Vc)が増幅
信号(ZS)を下回ってしまい、図4に示すように増幅
信号(ZS)が歪んでしまうという欠点が有るが、この
回路では立ち上がりが急峻な増幅信号(ZS)に一定電
圧と増幅信号(ZS)の微分を上乗しているので、増幅
信号(ZS)の変化が急峻な場合にはその微分が増大
し、増大した増幅信号(ZS)の微分が上乗せされた電
圧に追従するように電源電圧(+Vc)が供給され、急
峻な信号の変化があったときにも常に図5に示すように
電源電圧が増幅信号を下回ることはないので、増幅信号
(ZS)の変化に電源電圧(+Vc)が余裕をもって追
従でき、このような場合のアンプの出力の歪みが抑止さ
れている。
【0029】以上説明したように、本実施形態に係る増
幅回路によれば、図2に示すように正側のパルス信号
(PP)の周波数を例えば300〜500kHzとした
ときに、負側のパルス信号(PM)の周波数を200〜
400kHz程度にして、これらの周波数をずらしてい
る。このため正側,負側のパルス信号(PP,PM)が
それぞれ入力される第1,第2のスイッチング回路(S
W1,SW2)のスイッチング周波数もずれ、これら第
1,第2のスイッチング回路(SW1,SW2)によっ
て生じる各々のノイズは、図6に示すような特性を示
す。
【0030】従来回路では図11に示すように正側,負
側のパルス信号(PP,PM)の周波数を同一にしてい
たのでノイズの特性も重畳され、図12に示すように正
側、負側で生じるノイズの強度の合計として現れるノイ
ズは正負側それぞれが発生するノイズ強度の2倍となっ
ていたが、本実施形態に係る増幅回路によれば、図6に
示すように第1のスイッチング回路(SW1)と第2の
スイッチング回路(SW2)との間のノイズの強度の特
性曲線が、互いにこれらのノイズのピークがずれている
ので、正側、負側で生じるノイズの合計は図7に示すよ
うに平均化され、基本周波数(200kHz)、2次〜
5次の高調波(400kHz〜1MHz)に現れるノイ
ズのスペクトル状のピークが図12に示す従来のノイズ
強度特性に比べて大幅に低減される。
【0031】これらのスイッチングノイズが周辺機器特
にラジオなどに及ぼす悪影響はこのノイズのスペクトル
状のピークによるものがほとんどなので、これが低減さ
れることによってスイッチングノイズが近くに有るAM
ラジオに飛びこむことで生じていたノイズの悪影響を低
減することが可能になる。特に、AMやFMのラジオチ
ューナーとオーディオアンプが一緒に搭載された用途で
は、特に有効な効果を奏する。
【0032】なお、本実施形態では図1に示すような回
路構成の増幅回路について説明しているが、本発明はこ
れに限らず、増幅信号(ZS)に一定電圧,その微分が
上乗された電圧に追従するように変化する電源電圧によ
って動作し、スイッチング回路を備えたチョッパ電源を
有する増幅回路であれば、どのような回路であっても、
同様の効果を奏する。
【0033】また、本実施形態に係る回路では勾配検出
部(13A,13B)を設けているが、本発明はこれに
限らず、これを設けずに従来回路のように単に増幅信号
(ZS)に一定電圧を上乗して電源電圧(±Vc)を生
成し、第1,第2のスイッチング回路(SW1,SW
2)のスイッチング周波数をずらすことによってもほぼ
同様の効果を奏する。
【0034】さらに本実施形態では、負側のパルス信号
(PM)の周波数を正側のパルス信号(PP)の周波数
よりも低くしているが、本発明はこれに限らず、逆に負
側のパルス信号(PM)の周波数を正側のパルス信号
(PP)の周波数よりも高くしても同様の効果を奏す
る。 (2)第2の実施形態 以下で、本発明の第2の実施形態に係る増幅回路につい
て説明する。第1の実施形態と共通する事項について
は、重複を避けるため説明を省略する。
【0035】この回路は図8に示すように、アンプ(2
1),正側の電源部(26),負側の電源部(27)及
び切替回路(28)を有する。最初に上記回路の構成に
ついて説明する。アンプ(21)は、信号増幅部の一例
であって、後述の電源電圧(+Vc)を用いて、入力信
号(AS)を増幅して増幅信号(ZS)を出力するもの
である。
【0036】正側の電源部(26)はオフセット電圧生
成回路(22A),勾配検出部(23A),コンパレー
タ(24A)及び正側のチョッパ電源(25A)を有す
る回路であって、一定の直流電圧(+Vcc)を増幅信
号(ZS)の増減に応じて変化させてアンプ(21)に
正の電源電圧(+Vc)を供給する回路である。この回
路の各部の構成、機能については第1の実施形態と同様
なので説明を省略する。
【0037】負側の電源部(27)はオフセット電圧生
成回路(22B),勾配検出部(23B),コンパレー
タ(24B)及び正側のチョッパ電源(25B)を有す
る回路であって、一定の直流電圧(−Vcc)を増幅信
号(ZS)の増減に応じて変化させてアンプ(21)に
負の電源電圧(−Vc)を供給する回路である。この回
路においてはコンパレータ(24B)以外は構成、機能
が第1の実施形態のそれと同様なので説明を省略する。
【0038】コンパレータ(24B)は一定電圧と、増
幅信号(ZS)の微分とが上乗された増幅信号(ZS)
と負の電源電圧(−Vc)とを比較して、その比較結果
となる図2に示すようなパルス信号(PM)を負側のチ
ョッパ電源(25B)に出力する回路である。第1の実
施形態と異なり、このコンパレータ(24B)は、切替
回路(28)の制御の下で、AMラジオが近くで動作し
ているときには負側のパルス信号(PM)の周波数を、
図2に示すように正側のパルス信号(PP)よりも低く
設定し、またAMラジオが近くで動作していない時には
正側のパルス信号(PP)と同じ周波数に設定してい
る。
【0039】切替回路(28)は、本実施形態に係る増
幅回路の特徴となる回路であって、負側の電源部(2
7)のコンパレータ(24B)に接続され、上記増幅回
路の近くでAMラジオが動作していないときにはコンパ
レータ(24B)から出力されるパルス信号(PM)の
周波数をコンパレータ(24A)から出力されるパルス
信号(PP)の周波数と同一にさせ、AMラジオが動作
していることを示すラジオ動作信号(AM)が入力され
たときに、コンパレータ(24B)の出力するパルス信
号(PM)の周波数をコンパレータ(24A)のパルス
信号(PP)の周波数と異なるように設定させる回路で
ある。
【0040】以下で上記の増幅回路の動作について、
(A)AMラジオが当該増幅回路の近くで動作していな
い場合,(B)AMラジオが当該増幅回路の近くで動作
している場合の2つの場合に分けて説明する。 (A)AMラジオが当該増幅回路の近くで動作していな
い場合 この場合には、切替回路(28)にAMラジオが動作し
ていることを示すラジオ動作信号(AM)が入力されな
い。これにより切替回路(28)はコンパレータ(24
B)から出力されるパルス信号(PM)の周波数をコン
パレータ(24A)から出力されるパルス信号(PP)
の周波数と同一になるようにコンパレータ(24B)を
制御し、このときの動作は従来回路とほぼ同様になる。
【0041】すなわち、従来回路と同様の動作を経て、
アンプ(21)に入力信号(AS)が入力されて増幅さ
れて増幅信号(ZS)が生成され、この増幅信号(Z
S)の変化に追従して、図5に示すように増幅信号(Z
S)に一定電圧と微分とが上乗された電圧(ZS′)に
追従するように電源電圧(±Vcc)が変化しながらア
ンプ(21)に供給される。この電源電圧(+Vc)を
用いて、アンプ(21)によって入力信号(AS)が増
幅されて増幅信号(ZS)がスピーカに出力されるの
で、一定電圧を電源電圧とした場合に比べて、効率がよ
くなる。
【0042】この場合には、スイッチングノイズ低減の
対策についてはなんらされていないが、上記増幅回路の
近くでAMラジオが動作していないので、実用上特に支
障はない。 (B)AMラジオが当該増幅回路の近くで動作している
場合 この場合には、ラジオ動作信号(AM)が切替回路(2
8)に入力され、図2に示すようにコンパレータ(24
B)の出力するパルス信号(PM)の周波数をコンパレ
ータ(24A)のパルス信号(PP)の周波数と異なる
ようにコンパレータ(24B)を制御する。
【0043】その後の動作は第1の実施形態とほぼ同様
である。すなわち、まず電源が投入されると正側,負側
の電源部(26,27)に一定の電源電圧(+Vcc,
−Vcc)がそれぞれ印加される、次いで入力信号(A
S)がアンプ(21)によって増幅されて増幅信号(Z
S)が生成されて不図示のスピーカに出力され、同時に
正側,負側の電源部(26,27)にも出力される。
【0044】正側の電源部(26)では、オフセット電
圧生成回路(22A)によって増幅信号(ZS)に一定
電圧が上乗されてコンパレータ(24A)の反転入力部
(−)に入力される。同時に勾配検出部(23A)によ
ってこの増幅信号(ZS)の微分が算出されてコンパレ
ータ(24A)の反転入力部(−)に入力され、一方、
コンパレータ(24A)の非反転入力部(+)には正側
のチョッパ電源(15A)から出力される電源電圧(+
Vc)が入力されており、常に電源電圧(+Vc)と一
定電圧,微分が上乗された増幅信号(ZS′)とは比較
される。
【0045】これによりコンパレータ(24A)からは
図2に示すような正側のパルス信号(PP)が出力され
る。以上の動作については負側の電源部(27)につい
ても同様であって、コンパレータ(24B)からは図2
に示すように正側のパルス信号(PP)よりも周波数が
低い負側のパルス信号(PM)が出力されることにな
る。正側のパルス信号(PP)のスイッチング周波数を
例えば300〜500kHzであると、このとき負側の
パルス信号(PM)のスイッチング周波数を200〜4
00kHz程度にする。
【0046】以上の動作により、電源電圧(+Vc,−
Vc)は図5に示すように増幅信号(ZS)に一定電圧
と微分とが上乗された電圧に追従するように変化しなが
らアンプ(21)に供給される。この電源電圧(+V
c,−Vc)を用いて、アンプ(21)によって入力信
号(AS)が増幅されて増幅信号(ZS)がスピーカに
出力される。
【0047】このようにして増幅信号(ZS)の大小に
応じて電源電圧(±Vc)を変動させることにより、常
時最大出力を取り出せる高電圧を電源電圧としてアンプ
を駆動するような場合に比して、特に小レベルの出力時
における消費電力のロスを軽減し、高効率化を図ること
ができる。以上説明したように、本実施形態に係る増幅
回路によれば、AMラジオが近くで動作している時に
は、これを示すラジオ動作信号(AM)が切替回路(2
8)に入力され、これによって図2に示すように正側の
パルス信号(PP)の周波数を300〜500kHzと
したときに、負側のパルス信号(PM)の周波数を20
0〜400kHz程度にして、これらの周波数をずらす
ように制御している。
【0048】これにより、図3に示すように第1のスイ
ッチング回路(SW1)と第2のスイッチング回路(S
W2)との間のノイズの強度が、互いにこれらのノイズ
が打ち消し合うようにずらすことが可能になり、図7に
示すように基本周波数(200kHz)、2次〜5次の
高調波(400kHz〜1MHz)に現れるノイズのス
ペクトル状のピークが図12に示す従来のノイズ強度特
性に比べて低減され、このピークが原因となって生じて
いた、近くにAMラジオがあった場合に、このAMラジ
オから出力されていたノイズの悪影響を低減する事が可
能になるという第1の実施形態と同様の作用効果を奏す
る。
【0049】さらに、第1の実施形態の回路と異なり、
切替回路(28)によってノイズの影響が顕著に現れる
AMラジオが近くで動作していない時には、正側、負側
のパルス信号(PP,PM)の周波数を同一の周波数に
している。このため、常時これらの周波数をずらして対
応している第1の実施形態に比して、AMラジオの動作
時以外(例えばCDプレイヤーの動作時など、さらなる
音質が重視されるような場合)に、スイッチング周波数
のずれによって生じる懸念のある音質低下、電源部(2
6,27)の増幅信号(ZS)への追従性のアンバラン
スによって生じるおそれのある回路動作の不安定などの
支障が全くないという利点を有する。
【0050】なお、本実施形態では負側の電源部(2
7)のコンパレータ(24B)に切替回路(28)を接
続し、この特性が信号(AM)によって変化するように
制御しているが、本発明はこれに限らず、例えば正側の
電源部(26)のコンパレータ(24A)に切替回路
(28)を接続し、この特性を制御するようにしても同
様の効果を奏する。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る増幅
回路によれば、信号増幅部と、第1のスイッチング回路
を備えた正側のチョッパ電源を有する正側の電源部と、
第2のスイッチング回路を備えた負側のチョッパ電源を
有する負側の電源部とを具備し、第1のスイッチング回
路のスイッチング周波数と第2のスイッチング回路のス
イッチング周波数が異なるので、第1のスイッチング回
路と第2のスイッチング回路との間のノイズの強度が、
互いに打ち消し合うようにすることができ、正側,負側
のパルス信号の周波数を同一にしていたのでノイズの特
性が重畳され、正側、負側で生じるノイズの強度の合計
として現れるノイズは正負側それぞれが発生するノイズ
強度の2倍となっていた従来に比して、基本周波数や、
2次〜5次の高調波に現れるノイズのスペクトル状のピ
ークを、従来のノイズに比べて低減することが可能にな
る。
【0052】これらのスイッチングノイズが周辺機器特
にラジオなどに及ぼす悪影響はこのノイズのスペクトル
状のピークによるものなので、これが低減されることに
よってスイッチングノイズがAMラジオの周波数帯であ
る200kHz〜2MHzの範囲に入り、近くにAMラジオ
があった場合などに、このAMラジオから出力されてい
たノイズの悪影響を低減する事が可能になる。
【0053】なお、本発明に係る増幅回路において、勾
配検出部が正側、負側の電源部に設けられているので、
増幅信号が急峻に変化した時でも余裕をもって追従で
き、単に一定電圧を増幅信号に上乗した場合に生じてい
た出力の歪みを抑止することが可能になる。また、本発
明に係る増幅回路において、増幅回路の近くでラジオが
動作していない時には第1,第2のスイッチング回路の
スイッチング周波数を同一にし、かつ増幅回路の近くで
ラジオが動作している際にのみ、第1のスイッチング回
路のスイッチング周波数と第2のスイッチング回路のス
イッチング周波数を異なるように設定する切替回路を有
するので、ラジオの動作時以外に、スイッチング周波数
のずれによって生じる懸念のある音質低下、回路動作の
不安定などの支障が全くないという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る増幅回路の回路
図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る増幅回路の特徴
を説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る増幅回路の動作
を説明する第1の図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る増幅回路の動作
を説明する第2の図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る増幅回路の動作
を説明する第3の図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る増幅回路の作用
効果を説明する第1の図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る増幅回路の作用
効果を説明する第2の図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る増幅回路の回路
図である。
【図9】従来例に係る増幅回路の回路図である。
【図10】従来例に係る増幅回路の動作を説明する図で
ある。
【図11】従来例に係る増幅回路の動作の特徴点を説明
する図である。
【図12】従来例に係る増幅回路のスイッチングノイズ
の特性を説明する第1の図である。
【図13】従来例に係る増幅回路のスイッチングノイズ
の特性を説明する第2の図である。
【符号の説明】
(11) アンプ(信号増幅部) (12A,12B) オフセット電圧生成回路 (13A,13B) 勾配検出部 (14A,14B) コンパレータ (15A) 正側のチョッパ電源 (15B) 負側のチョッパ電源 (16) 正側の電源部 (17) 負側の電源部 (AM) ラジオ動作信号 (AS) 入力信号 (ZS) 増幅信号 (21) アンプ(信号増幅部) (22A,22B) オフセット電圧生成回路 (23A,23B) 勾配検出部 (24A,24B) コンパレータ (25A) 正側のチョッパ電源 (25B) 負側のチョッパ電源 (26) 正側の電源部 (27) 負側の電源部 (28) 切替回路 (SW1) 第1のスイッチング回路 (SW2) 第2のスイッチング回路 (PP) 正側のパルス信号 (PM) 負側のパルス信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03F 1/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力信号を増幅して増幅信号として出力
    する信号増幅部と、 第1のスイッチング回路を備えた正側のチョッパ電源を
    有し、前記正側の増幅信号に一定電圧が上乗されるよう
    に変動する正の電源電圧を生成する正側の電源部と、 第2のスイッチング回路を備えた負側のチョッパ電源を
    有し、前記負側の増幅信号に一定電圧が上乗されるよう
    に変動する負の電源電圧を生成する負側の電源部とを具
    備し、前記第1のスイッチング回路のスイッチング周波数と前
    記第2のスイッチング回路のスイッチング周波数との波
    形の立ち下がりをずらせて、前記第1のスイッチング回
    路と前記第2のスイッチング回路から発生する基本波を
    含む高周波を重ならないように設定することを特徴とす
    る増幅回路。
  2. 【請求項2】 入力信号を増幅して増幅信号として出力
    する信号増幅部と、 第1のスイッチング回路を備えた正側のチョッパ電源を
    有し、前記正側の増幅信号に一定電圧と前記正側の増幅
    信号の微分とが上乗されるように変動する正の電源電圧
    を生成する正側の電源部と、 第2のスイッチング回路を備えた負側のチョッパ電源を
    有し、前記負側の増幅信号に一定電圧と前記正側の増幅
    信号の微分とが上乗されるように変動する負の電源電圧
    を生成する負側の電源部とを具備し、前記第1のスイッチング回路のスイッチング周波数と前
    記第2のスイッチング回路のスイッチング周波数との波
    形の立ち下がりをずらせて、前記第1のスイッチング回
    路と前記第2のスイッチング回路から発生する基本波を
    含む高周波を重ならないように設定することを特徴とす
    る増幅回路。
  3. 【請求項3】 前記増幅回路の近くでラジオが動作して
    いない時には前記第1、第2のスイッチング回路の周波
    数を同一にし、かつ前記増幅回路の近くでラジオが動作している際にの
    み、前記第1のスイッチング回路のスイッチング周波数
    と前記第2のスイッチング回路のスイッチング周波数と
    の波形の立ち下がりは切替回路を用いてずらすことを特
    徴とする請求項1又は請求項2記載の増幅回路。
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