JP3329071B2 - 硝酸イオンと亜硝酸イオンの分析方法及び分析装置 - Google Patents

硝酸イオンと亜硝酸イオンの分析方法及び分析装置

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JP3329071B2 JP12290394A JP12290394A JP3329071B2 JP 3329071 B2 JP3329071 B2 JP 3329071B2 JP 12290394 A JP12290394 A JP 12290394A JP 12290394 A JP12290394 A JP 12290394A JP 3329071 B2 JP3329071 B2 JP 3329071B2
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  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水中の硝酸イオン(NO
3 -)と亜硝酸イオン(NO2 -)の濃度をフローインジェ
クション分析法の原理を用いて定量する分析方法及び分
析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に河川とか湖沼の水中に存在する前
記硝酸イオンと亜硝酸イオンを低濃度まで測定する方法
としては、イオンクロマトグラフ法及び比色法が主流と
なっている。
【0003】上記のイオンクロマトグラフ法はイオン交
換カラムを用いた高速液体クロマトグラフの一種であ
り、無機陰イオンや陽イオンの系統分析用として開発さ
れたものであって、従来から分析に難点のあったF-
Cl-,Br-,NO2 -,NO3 -,SO3 2-,SO4 2-,P
4 3-等の無機陰イオンを定量することができる。分析
は陰イオン交換樹脂粒子を充填した分離カラムの上端に
試料溶液を注入すると、陰イオンはイオン結合によって
カラムに吸着する。次に導電率検出器にほとんど検出さ
れない競合陰イオンを含む溶離液を流すと、各陰イオン
は競合イオンと競合して夫々特有の移動度でカラムから
溶出するので、溶離液中の陰イオン濃度を定量すること
ができる。
【0004】このイオンクロマトグラフ法は導電率検出
器を用いて前記硝酸イオンと亜硝酸イオンを数ppmか
ら数十ppmレベルの濃度まで測定可能であり、測定時
間は試料の導入後、数分から10分程度を必要とする。
そして15分〜20分程度の測定間隔で連続測定が行わ
れる。
【0005】前記比色法は、スルファニルアミド・ナフ
チルエチレンジアミン法などのようにスルファニルアミ
ドを酸性下で水中の亜硝酸イオンにより生じるアゾ色素
の紫紅色を吸光光度分析法により波長540nm付近で
吸光度を測定し、亜硝酸性窒素(NO2 -−N)濃度を求
める方法とか、フェノールジスルホン酸法のように硫酸
塩をフェノールジスルホン酸で処理してニトロフェノー
ルジスルホン酸を生じさせ、そのアルカリ塩は黄色を呈
するので、この黄色を波長410nm付近の吸光度で測
定して硝酸性窒素(NO3 -−N)を求める方法がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
な硝酸イオン(NO3 -)と亜硝酸イオン(NO2 -)を低
濃度まで測定する方法の中で、イオンクロマトグラフ法
の場合は検水中に懸濁物質(水中の濁質成分等)とか有
機成分等が存在すると測定の妨害となるため、プレフィ
ルタ等を用いて前処理する必要がある。更に水道水を除
く河川水とか湖沼水、下水処理水などの検水は、汚れに
対する対応が十分とれないことに起因して連続測定は困
難である。更に上記汚れによりイオン交換カラムの劣化
度合が大きく、測定精度が低下する惧れがあるため、上
記プレフィルタの交換等のメンテナンスを必要とする問
題もある。この方法は硝酸イオンと亜硝酸イオンを同時
に定量することができるが、応答性が良好でないため、
前記したように15分〜20分程度の測定時間を必要と
し、従ってフローセル方式で検水試料を連続注入しても
測定結果は15分〜20分に1回しか出力されず、能率
向上の面での難点が存在する。
【0007】他方の比色法は、試料としての検水に試薬
を投入して亜硝酸イオン等と反応させ、測定対象物質と
等量の化学反応式から特定波長の吸光度を測定して硝酸
イオンと亜硝酸イオンを連続測定する方法であるため、
前処理、発色操作、吸光度測定と多くの手分析操作を必
要とするとともに検水用の試料が100ml程度という
多量を必要とし、しかも測定時間は全工程で30分〜1
時間以上もかかるため、測定装置の自動化は難しい現状
にある。又、比色を測定原理としているためにppmレ
ベルでの測定は可能であるが、ppbレベルでの測定は
誤差が大きくなって実用化は難しいという問題点があ
る。
【0008】そこで本発明はこのような従来の硝酸イオ
ンと亜硝酸イオンの濃度を定量する分析方法が有してい
る課題を解消して、煩瑣な手分析操作を必要とせず、し
かも応答性を高めて測定精度と能率の向上をはかること
ができる硝酸イオンと亜硝酸イオンの分析方法及び分析
装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、ポンプの駆動下で試薬溶液流入口から流
入する酸性溶液中に、試料溶液と反応試薬としての還元
剤とを注入して、流路用細管中に形成した混合コイルに
より充分に混合し、反応溶液を膜分離器に送り込んで液
相に溶け込んでいる気体を気相に透過させた後、検出器
において気相中に透過した気体を検出し、NO3 -とNO
2 -を定量する硝酸イオンと亜硝酸イオンの分析方法を提
供する。
【0010】このとき、前記反応試薬としての還元剤
は、被検出イオンが硝酸イオンの場合は20%濃度の三
塩化チタンを用いるとともに、被検出イオンが亜硝酸イ
オンの場合は0.1%〜20%濃度のヨウ化カリウムを
用いる。また、試料溶液と反応試薬との混合点にクリー
ンエアを導入したことにより、混合状態を高めて反応を
促進している。
【0011】さらに、請求項5記載の発明は、キャリヤ
ーとしての試薬溶液を流路用細管中に送り込むポンプ
と、上記試薬溶液中に試料水と反応試薬としての還元剤
及びクリーンエアを順次注入するための注入機構と、流
路用細管中に形成した混合コイルと、反応溶液の液相に
溶け込んでいる気体を気相に透過させる膜分離器と、気
相中に透過した気体を検出しNO3 -とNO2 -を定量する
検出器と、検出結果を記録する記録計とを具備した硝酸
イオンと亜硝酸イオンの分析装置を提供する。
【0012】このとき、反応試薬の注入口近傍には、還
元剤としての三塩化チタンのタンクとヨウ化カリウムの
タンクを配置して、各タンクと反応試薬の注入口との間
に三塩化チタンもしくはヨウ化カリウムの何れか一方を
供給するための三方電磁弁を配備し、該三方電磁弁の自
動切換によって硝酸イオンと亜硝酸イオンを連続的に測
定する構成にしてある。さらに、前記検出器には演算制
御装置を付設して、三塩化チタンもしくはヨウ化カリウ
ムの供給量と検出器における検出結果に基づいてNO 3 -
+NO 2 - からNO 2 - 成分を測定,演算する構成にしてあ
る。
【0013】また、前記膜分離器は、反応溶液注入口と
廃液排出口を備えた外管と、反応溶液中のNOを透過す
るための微孔性テフロン膜管から成る内管と、該内管へ
のクリーンエア注入口とから構成させるとよい。前記検
出器としては、窒素酸化物を測定する化学発光検出器を
用いて、一酸化炭素とオゾンガスの反応によって生じる
化学発光強度を検出する。尚、膜分離器に代えて向流式
NOガス分離器を用いることも可能である。
【0014】
【作用】かかる硝酸イオンと亜硝酸イオンの分析方法及
び分析装置によれば、ポンプの駆動下で流路用細管に試
薬溶液として1Nの硫酸を含む酸性溶液を流しながら試
料溶液と反応試薬としての還元剤(硝酸イオンの場合は
三塩化チタン、亜硝酸イオンの場合はヨウ化カリウム)
を注入すると、試料溶液と還元剤とが混合コイル内で充
分に混合されて反応が行われ、反応溶液が膜分離器を構
成する微孔性テフロン膜管から成る外管内に送り込まれ
て反応溶液中のNOが内管側へ透過し、クリーンエアと
ともに内管を流れて検出器としての化学発光検出器(N
X計)へ運ばれ、気相中の一酸化炭素NOとオゾンガ
スO3の反応によって生じる化学発光強度が検出されて
記録計で記録される。この検出結果から演算によって気
相中の硝酸イオンと亜硝酸イオンが定量される。
【0015】上記反応試薬の注入口近傍に還元剤として
のヨウ化カリウムのタンクと三塩化チタンのタンクを配
置するとともに、各タンクと反応試薬の注入口との間に
反応試薬の何れか一方を供給するための三方電磁弁を配
備したことにより、該三方電磁弁の自動切換によって硝
酸イオンと亜硝酸イオンを連続的に測定することが可能
であり、更に上記検出器に演算制御装置を付設したこと
により、ヨウ化カリウムもしくは三塩化チタンの供給量
と検出器の検出結果に基づいてNO3 -+NO2 -からNO
2 -成分の測定及び演算が可能となる。
【0016】
【実施例】以下本発明にかかる硝酸イオンと亜硝酸イオ
ンの分析方法及び分析装置の一実施例を説明する。本実
施例は1975年にデンマークのRuzickaとHansenによ
って提唱されたフローインジェクション分析方法を応用
して、水中の硝酸イオン(NO3 -)と亜硝酸イオン(N
2 -)を定量分析することを主眼としている。
【0017】上記フローインジェクション分析方法と
は、連続して流れる試薬溶液(キャリヤー)の流れの中
に試料溶液と反応試薬とを連続投入し、この試料溶液と
反応試薬とを混合コイル内で反応させて、得られた反応
生成物を種々の検出器により検出して定量する分析法で
ある。本実施例では上記反応試薬に代えて試料溶液を流
し、試料溶液に代えて反応試薬を注入する方法を採用し
ており、この方法を逆フローインジェクション分析方法
と定義している。
【0018】図1の概要図に基づいて逆フローインジェ
クション分析方法に基づく分析装置の具体例を説明す
る。同図の1はポンプ、2はキャリヤーとしての試薬溶
液流入口、3は試料溶液注入口、4はクリーンエア注入
口である。本実施例では試薬溶液流入口2から流す試薬
溶液として1N−硫酸を用いる。又、反応試薬注入口5
からの反応試薬注入は再現性を高めるためにロータリー
バルブインジェクションを用い、注入量は10〜100
μlとする。ポンプ1として高圧ポンプは必要としない
ので、送液流量が0.1〜数ml/minのベリスター
型ポンプを用いる。
【0019】6は混合コイル、7は膜分離器であり、こ
の膜分離器7にはクリーンエア注入口8が設けられてい
る。上記混合コイル6は、流れが乱流状態になることに
より管内で試料溶液と反応試薬の反応もしくは混合がス
ムーズに行われることを狙いとしており、0.5〜1.
0mmのテフロン管をコイル状に巻いて構成されてい
る。コイル6の長さに関しては感度の良い最適な長さを
実験的に調べる必要がある。
【0020】10は検出器であり、本実施例では検出器
10として化学発光検出器が用いられている。11は記
録計である。これらの各構成要素は流路用細管12を用
いて連結されている。
【0021】上記流路用細管12として内径0.5〜
1.0mmのテフロン管が使用され、試料によっては複
数のキャリヤーを用いるため複数の流路を設けることも
ある。
【0022】前記膜分離器7は液相に溶け込んでいる気
体を気相に透過させる機能を有し、図2,図3に示した
ように内管7aと外管7bとの二重管構造となってい
る。この内管7aは気体透過性の微孔性テフロン膜管
(内径2mm,長さ20cm)で構成され、外管7bは
テフロン管(内径4mm,長さ20cm)で構成されて
いる。そして内管7aに前記クリーンエア注入口8が形
成され、外管7bには反応溶液注入口13と廃液排出口
14とが設けられている。
【0023】検出器10として窒素酸化物を測定するN
X計の検出器である化学発光検出器を用いる。化学発
光とは化学反応により分子が励起されてから基底状態に
戻る際に光を放つ現象であり、この発光スペクトルの解
析から定性分析を行うとともに光量の測定によって定量
分析を行うことができる。本実施例で採用した化学発光
検出器(紀本電子製238型)は、試料気体中のNOとO3
(オゾンガス)の反応によって生じる化学発光強度がN
O濃度と比例関係にあることを利用して、試料気体中に
含まれるNO(一酸化窒素)濃度を測定するものであ
る。本装置の場合には、NO3 -,NO2 -をNOに還元す
る還元剤に通してからO3と反応させる。
【0024】上記逆フローインジェクション分析装置を
利用して試料水中の硝酸イオンと亜硝酸イオンを分析す
る際の操作を以下に説明する。先ずポンプ1の駆動下で
試薬溶液流入口2からキャリヤーとして1N(規定)の
硫酸を含む酸性溶液を流しながら試料溶液注入口3から
試料溶液を注入し、且つ反応試薬注入口5から還元剤
(被検出イオンが硝酸イオンの場合は三塩化チタン、被
検出イオンが亜硝酸イオンの場合はヨウ化カリウム)を
100μl注入する。すると試料溶液と還元剤とがA点
で混合された後に混合コイル6(内径1.0mm,長さ
200cm)内で充分に混合されて反応が行われる。こ
の混合状態をより一層高めるために、クリーンエア注入
口4から注入したクリーンエアをB点から導入する。
【0025】このようにして充分に混合された反応溶液
は、膜分離器7を構成する外管7bの反応溶液注入口1
3から外管7b内に送り込まれ、反応溶液中のNOは微
孔性テフロン膜管から成る内管7a側へ透過し、クリー
ンエア注入口8から注入されるクリーンエアとともに内
管7aを流れて検出器10、本実施例では化学発光検出
器(NOX計)へ運ばれ、他の液は廃液排出口14から
排出される。
【0026】この化学発光検出器では、気相中の一酸化
炭素NOとオゾンガスO3の反応によって生じる化学発
光強度が検出されて記録計11で記録される。図4は記
録計11に記録された典型的なシグナルパターンであっ
て、このシグナルパターンの高さhによりNOX濃度が
測定される。
【0027】以下に具体的な各種実施例を説明する。
【0028】(1)NO3 -、NO2 -の一酸化窒素(N
O)への還元方法 上記検出器10としての化学発光検出器はNOとO3
反応による発光強度を測定するものであるから、硝酸イ
オン並びに亜硝酸イオンを測定するためには一酸化窒素
に還元しなければならない。硝酸イオン(NO3 -)はO
原子が3個、亜硝酸イオン(NO2 -)はO原子が2個で
あるので、亜硝酸イオンの方がNOに還元されやすい。
この違いを利用して本装置では亜硝酸イオンのみNOに
還元することのできるヨウ化カリウムKIと、亜硝酸イ
オン及び硝酸イオンの両方をNOに還元することのでき
る三塩化チタンTi(Cl3)を還元剤として採用し
た。それぞれの反応を次式で示す。
【0029】 NO3 -+3Ti3+ → NO+3Ti4+・・・・・・・(1) 2NO2 -+2I- → 2NO+I2・・・・・・・・・・・(2) 上記還元反応は酸性条件下の方が還元力が高い上に効率
がよく、三塩化チタンは酸性下以外では沈澱物を形成し
やすくなって膜分離器に支障をきたすので、1N硫酸に
よる酸性下で行った。硫酸以外の酸である塩酸とか硝酸
は揮発性があるため膜分離器7を透過してしまうととも
に化学発光検出器を腐食する惧れがあり、リン酸は三塩
化チタンと難溶性の物質をつくるために不適当である。
【0030】図5は硫酸濃度(N)と発光強度(RC
L)の関係を示すグラフであり、試料溶液中の亜硝酸イ
オン濃度と硝酸イオン濃度は1.4ppm、ヨウ化カリ
ウム濃度は10%、三塩化チタン濃度は20%である。
本実施例の場合、硝酸イオンと亜硝酸イオンの同時定量
が目的であるから、両者の強度がほぼ一定である1N〜
2Nの硫酸を用いる必要がある。そこで本実施例では硫
酸濃度として1N−H2SO4を採用した。又、硫酸濃度
が低い場合には還元効率が低下することが判明した。
【0031】図6はヨウ化カリウム濃度(%)と発光強
度(RCL)の関係を示すグラフであり、図からヨウ化
カリウム濃度が0.1%〜20%でほぼ一定の発光強度
が得られることから、本実施例では10%KIを採用し
た。
【0032】図7は三塩化チタン濃度(%)と発光強度
(RCL)の関係を示すグラフであり、三塩化チタン濃
度が高いほど発光強度も上がるので、市販の三塩化チタ
ン濃度20%をそのまま採用した。
【0033】図8は試料と反応試薬とを充分に混合させ
るために用いた前記クリーンエアによるバブリングの流
量と発光強度(RCL)の関係を示すグラフであり、図
からバブリング流量は6ml/minが適当であると判
断した。
【0034】(2)検量線と精度の検証 図9は亜硝酸イオン(NO2 -)とヨウ化カリウムの検量
線を示し、図10は硝酸イオン(NO3 -)と三塩化チタ
ンの検量線を示している。図9の場合は亜硝酸イオンが
7ppbと1.4ppmの範囲で検出応答が直線性を示
し、図10の場合は7ppbと14ppmの範囲で検出
応答が直線性を示した。
【0035】精度は0.28ppmの亜硝酸イオンの
繰り返し測定(n=5回)で変動係数は1.4%、
0.14ppmの硝酸イオンの同様な繰り返し測定では
変動係数1.2%が得られた。
【0036】(3)他の方法との比較 表1に本実施例に基づいて複数の河川水の亜硝酸イオン
(NO2 -)と硝酸イオン(NO3 -)とを測定した結果
と、同一の試料水を従来の比色法(ナフチルチレンジ
アミン法)及びイオンクロマトグラフ法を用いて測定し
た結果を示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1によれば、本実施例による方法と従来
の方法との測定値がほぼ一致していることが認められ
る。
【0039】次に図11により本発明の上記実施例にお
ける第1の変形例を説明する。この図11における基本
的な構成は図1と同一であるため、同一の符号を付して
表示してある。
【0040】上記第1の変形例では、図1における膜分
離器7に代えて向流式NOガス分離器14を配設したこ
とを特徴としている。この向流式NOガス分離器14に
はクリーンエア注入口8が設けられている。その他の構
成は図1と同一である。この第1の変形例では試料溶液
と反応試薬とがガス分離器14の管壁を伝わって流下し
て下方から流出する間に、クリーンエア注入口8から注
入されたクリーンエアで曝気しながらNOガスを気相に
追い出して検出器10に導くことが動作上の特徴となっ
ている。
【0041】次に図12により本発明の上記実施例にお
ける第2の変形例を説明する。この変形例の場合、反応
試薬注入口5の近傍に設置された保存容器15内に還元
剤としてのヨウ化カリウムのタンク16と三塩化チタン
のタンク17とを収納しておくとともに、該保存容器1
5と反応試薬注入口5との間に三方電磁弁18を配備
し、更に検出器10に演算制御装置19を配備してあ
る。
【0042】かかる第2の変形例によれば、三方電磁弁
18の自動切換によってヨウ化カリウムKIもしくは三
塩化チタンTiCl 3 の何れか一方を反応試薬注入口5
に供給して前記測定原理に基づいて硝酸イオンNO3 -
亜硝酸イオンNO2 -を連続的に測定することが可能であ
り、更にKIもしくはTiCl 3 の供給量と検出器10
の検出結果に基づいて演算制御装置19によってNO3 -
+NO2 -からNO2 -成分を測定,演算することができ
る。
【0043】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にか
かる硝酸イオンと亜硝酸イオンの分析方法及び分析装置
によれば、試料溶液と反応試薬としての還元剤とが流路
用細管内で充分に混合されて反応が行われ、反応溶液が
膜分離器の透過作用により液相に溶け込んでいる気体が
気相に透過されて検出器へ運ばれ、化学発光強度の検出
結果に基づいて硝酸イオンと亜硝酸イオンとを定量する
ことが可能となり、特に少量の試料で連続的にNO3 -
オンとNO2 -イオンの測定を行うことができる。
【0044】上記の反応は応答性がきわめて速いことが
特長となっており、測定時間の大幅な短縮をはかれる
上、検量線の直線性の範囲が広いために測定レンジが1
0ppbから1000ppb程度まで大きく取ることが
できて、高精度で且つ繰り返し再現性が高いという効果
が得られ、更に試薬の安定性が高くて長寿命であり、自
動測定を可能にするという効果がある。
【0045】又、試料水中に懸濁物等の不純物が含まれ
ている場合であっても、本発明は膜分離方法で分離され
た気相系での測定のため、前記懸濁物等によって検出器
を汚すことがなく、従って下水処理水等の河川水とか湖
沼水の外、これらよりも汚れの多い試料でも対応可能で
ある。
【0046】更に本発明の変形例によれば、反応試薬の
注入口近傍に還元剤としてのヨウ化カリウムのタンクと
三塩化チタンのタンクを配置するとともに各タンクと反
応試薬の注入口との間に反応試薬の何れか一方を供給す
るための三方電磁弁を配備したことにより、該三方電磁
弁の自動切換によって硝酸イオンと亜硝酸イオンを連続
的に測定することが可能となり、更に上記検出器に演算
制御装置を付設したことにより、ヨウ化カリウムもしく
は三塩化チタンの供給量と検出器の検出結果に基づいて
NO3 -+NO2 -からNO2 -成分の測定と演算が可能とな
るという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例にかかる分析装置の具体例を示す概要
図。
【図2】本実施例で採用した膜分離器の構造を示す側面
図。
【図3】図2の要部側断面図。
【図4】本実施例を用いて記録された化学発光強度の典
型的なシグナルパターンを示すグラフ。
【図5】硫酸濃度(N)と発光強度(RCL)の関係を
示すグラフ。
【図6】ヨウ化カリウム濃度(%)と発光強度(RC
L)の関係を示すグラフ。
【図7】三塩化チタン濃度(%)と発光強度(RCL)
の関係を示すグラフ。
【図8】クリーンエアによるバブリングの流量と発光強
度(RCL)の関係を示すグラフ。
【図9】亜硝酸イオンとヨウ化カリウムの検量線を示す
グラフ。
【図10】硝酸イオンと三塩化チタンの検量線を示すグ
ラフ。
【図11】本発明の実施例における第1の変形例を示す
概要図。
【図12】本発明の実施例における第2の変形例を示す
概要図。
【符号の説明】
1…ポンプ 2…試薬溶液流入口 3…試料溶液注入口 4,8…クリーンエア注入口 5…反応試薬注入口 6…混合コイル 7…膜分離器 7a…内管 7b…外管 10…検出器 11…記録計 12…流路用細管 13…反応溶液注入口 14…廃液排出口 15…保存容器 16…(ヨウ化カリウム用)タンク 17…(三塩化チタン用)タンク 18…三方電磁弁 19…演算制御装置

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポンプの駆動下で試薬溶液流入口から流
    入する酸性溶液中に、試料溶液と反応試薬としての還元
    剤とを注入して、流路用細管中に形成した混合コイルに
    より充分に混合し、反応溶液を膜分離器に送り込んで液
    相に溶け込んでいる気体を気相に透過させた後、検出器
    において気相中に透過した気体を検出し、NO 3 - とNO
    2 - を定量する硝酸イオンと亜硝酸イオンの分析方法であ
    って、反応試薬としての還元剤は、被検出イオンが硝酸イオン
    の場合は三塩化チタンを用いると共に、被検出イオンが
    亜硝酸イオンの場合はヨウ化カリウムを用いる 硝酸イオ
    ンと亜硝酸イオンの分析方法。
  2. 【請求項2】 試料溶液と反応試薬との混合点にクリー
    ンエアを導入したことにより、混合状態を高めて反応を
    促進した請求項1記載の硝酸イオンと亜硝酸イオンの分
    析方法。
  3. 【請求項3】 試薬溶液として1N〜2N−硫酸を用い
    請求項1または2記載の硝酸イオンと亜硝酸イオンの
    分析方法。
  4. 【請求項4】 前記還元剤として、被検出イオンが硝酸
    イオンの場合は20%濃度三塩化チタン試薬を用いると
    ともに、被検出イオンが亜硝酸イオンの場合は0.1%
    〜20%濃度のヨウ化カリウムを用いることを特徴とす
    請求項1から3いずれか1項記載の硝酸イオンと亜硝
    酸イオンの分析方法。
  5. 【請求項5】 キャリヤーとしての試薬溶液を流路用細
    管中に送り込むポンプと、上記試薬溶液中に試料水と反
    応試薬としての還元剤及びクリーンエアを順次注入する
    ための注入機構と、流路用細管中に形成した混合コイル
    と、反応溶液の液相に溶け込んでいる気体を気相に透過
    させる膜分離器と、気相中に透過した気体を検出しNO
    3 - とNO 2 - を定量する検出器と、検出結果を記録する記
    録計と、を具備して成る硝酸イオンと亜硝酸イオンの分
    析装置であって、前記反応試薬の注入口近傍に、三塩化チタンもしくはヨ
    ウ化カリウムの何れか一方を供給するための三方電磁弁
    を設け、 該三方電磁弁は、被検出イオンが硝酸イオンの場合は三
    塩化チタンを供給すると共に、被検出イオンが亜硝酸イ
    オンの場合はヨウ化カリウムを供給する硝酸イオンと亜
    硝酸イオンの分析装置。
  6. 【請求項6】 前記膜分離器は、反応溶液注入口と廃液
    排出口を備えた外管と、反応溶液中のNOを透過するた
    めの微孔性テフロン膜管から成る内管と、該内管へのク
    リーンエア注入口とから構成された請求項5記載の硝酸
    イオンと亜硝酸イオンの分析装置。
  7. 【請求項7】 前記検出器として窒素酸化物を測定する
    化学発光検出器を用いて、一酸化窒素とオゾンガスの反
    応によって生じる化学発光強度を検出するようにしたこ
    とを特徴とする請求項5または6記載の硝酸イオンと亜
    硝酸イオンの分析装置。
  8. 【請求項8】 前記膜分離器の内管にクリーンエア注入
    口を設けた請求項5から7いずれか1項記載の硝酸イオ
    ンと亜硝酸イオンの分析装置。
  9. 【請求項9】 前記膜分離器に代えて向流式NOガス分
    離器を用いた請求項5から8いずれか1項記載の硝酸イ
    オンと亜硝酸イオンの分析装置。
  10. 【請求項10】 前記検出器に演算制御装置を付設し
    て、三塩化チタンもしくはヨウ化カリウムの供給量と検
    出器の検出結果に基づいてNO3 -+NO2 -からNO2 -
    分を測定,演算するようにした請求項5から9いずれか
    1項記載の硝酸イオンと亜硝酸イオンの分析装置。
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