JP3329020B2 - ガスバリアー性の付与されたオレフィン系樹脂成形品 - Google Patents

ガスバリアー性の付与されたオレフィン系樹脂成形品

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JP3329020B2 JP23480693A JP23480693A JP3329020B2 JP 3329020 B2 JP3329020 B2 JP 3329020B2 JP 23480693 A JP23480693 A JP 23480693A JP 23480693 A JP23480693 A JP 23480693A JP 3329020 B2 JP3329020 B2 JP 3329020B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品、電子部品等を保
護する為に用いられるガスバリアー性の優れたオレフィ
ン系樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】食品、電子工業部品等をフィルム、容器
で包装し酸素の透過を抑制することにより内容物の酸化
を防止し、品質を長期間保つことが提案されている。例
えば、特公昭53−12953号、特開平4−3535
32号公報には、厚さが5〜300μmのポリエチレン
テレフタレート、セロファン、ナイロン、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン等のフレキシブルプラスチックフィル
ムの少くとも片面に一般式Six y (x=1,2、y
=0,1,2,3)なる組成の珪素化合物の厚さ100
〜3000オングストロームの透明薄膜層を設けた高度
の耐透気性と耐透湿性を有する透明フレキシブルプラス
チックフィルムが開示されている。
【0003】また、特開昭63−237940号公報に
は、上記フレキシブルプラスチックフィルムの少くとも
一方の面に、In,Sn,Zn,ZrおよびTiからな
る群から選ばれた一種の金属の金属酸化物がスパッタリ
ングにより成形され、更にこの上に透明なヒートシール
性樹脂膜がコートされた透明ガスバリアー性フィルムが
開示されている。更に、特開平3−218828号公報
には低分子量のポリプロピレンフィルムの表面にSiO
2 蒸着膜を形成した包装材が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】フィルム素材がポリエ
チレンテレフタレート、ナイロン、セロファンのような
水酸基、カルボキシル基、アミノ基のような極性基を有
する樹脂であるときは、フィルムと無機酸化膜との密着
力が十分で、ガスバリアー性も例えばその酸素透過係数
が0.5〜8cc/m2 ・atm・dayと示すように
良好である。
【0005】しかし、ポリプロピレン、ポリエチレンの
ような極性基を有しないオレフィン系樹脂の成形品(通
常、酸素透過係数は1,800〜3,000cc/g・
2・day)の表面に、上記のような無機酸化物から
なる蒸着薄膜を形成させてガスバリアー性を向上(酸素
透過係数は5〜40cc/m2 ・atm・day)させ
てもオレフィン系樹脂成形品と薄膜との密着力が弱いの
で、ヒートシール性を付与するためのラミネートや、こ
のラミネート物を用い、製袋や蓋シールの二次加工を行
う際や、これら袋を用いたり、容器内に収容物を充填
し、更にはレトルト殺菌する際に外部応力や熱が成形品
に加わって無機酸化薄膜がオレフィン系樹脂成形品より
剥離し、ガスバリアー性が200〜400cc/m2
atm・dayと低下し、実用に耐えない問題がある。
【0006】本発明は、無機酸化薄膜が蒸着されたオレ
フィン系樹脂成形品であっても、この二次加工時や使用
時に無機酸化薄膜が剥離せず、ガスバリアー性が低下し
ない樹脂成形品を提供することを目的とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、プロピレン系
樹脂にα,β−エチレン性不飽和カルボン酸をグラフト
反応させて変性した変性プロピレン系樹脂であって、該
変性プロピレン系樹脂中のα,β−エチレン性不飽和カ
ルボン酸に基づく構成単位濃度が0.01〜10重量%
である変性プロピレン系樹脂の成形品の表面に、アンカ
ーコート剤層を設け、その上に無機酸化物薄膜を蒸着に
より形成した、ガスバリアー性の付与されたオレフィン
系樹脂成形品を提供するものである。
【0008】
【作用】本発明では、基材の変性ポリプロピレンに有す
る特定量のカルボキシル基(−COOH)とアンカーコ
ート剤層の相乗効果により、基材と無機酸化物蒸着膜の
密着性がより強固でありガスバリヤー性も良好である。
【0009】
【発明の具体的な説明】変性プロピレン系樹脂 本発明では、基材の変性オレフィン系樹脂は、α,β−
エチレン性不飽和カルボン酸(その無水物も含む)をプ
ロピレン系樹脂にグラフト重合させることにより得られ
る。グラフト重合させる手法としては、プロピレン系樹
脂、無水マレイン酸、及び触媒を押出機中で溶融混練す
る方法(特公昭43−27421号、特公昭59−15
127号)、または適当な溶媒中に溶解しているプロピ
レン系樹脂ポリプロピレンにグラフト用のα,β−エチ
レン性不飽和カルボン酸及び触媒を添加して加熱攪拌す
る方法(特公昭44−15422号、特公昭52−30
546)等がある。
【0010】変性させるプロピレン系樹脂としては、プ
ロピレンの単独重合体の他に、プロピレン−エチレン共
重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン
−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−4−メ
チルペンテン−1共重合体等が例示される。更には、プ
ロピレンと非共役ジエンとの共重合体であって、非共役
ジエンに基づく構成単位濃度が通常0.05〜20モル
%、好ましくは1〜10モル%であって、JIS K−
7203による弾性率が2,000〜45,000kg
/cm2 、結晶化度が20%以上の二重結合を有する結
晶性プロピレン共重合体が特に利用価値が高い。なお、
非共役ジエンに基づく構成単位濃度が0.05モル%未
満では、結晶性オレフィン共重合体樹脂中の不飽和基
(二重結合)が少ないため、無機酸化物の薄膜との密着
性が小さいという欠点がある。一方、20モル%超過で
は、生成した不飽和結合を有する結晶性オレフィン共重
合体の曲げ強度が低く、また透明性が損われるなどの欠
点がある。
【0011】上記のようなプロピレン系樹脂において
は、成形品とした際の透明性の面からはプロピレン単独
重合体および二重結合を有する結晶性プロピレン共重合
体が好ましい。特に二重結合を有する結晶性プロピレン
共重合体は、エチレン性不飽和結合(炭素−炭素二重結
合)を有しているので、無機酸化物が蒸着される前のス
パッタリング、プラズマ、化学処理等の酸化処理により
前記エチレン性不飽和結合が切断され、カルボキシル
基、カルボニル基が生じ、基材と無機酸化物蒸着膜との
密着性が強固となる。
【0012】かかる不飽和結合を有する結晶性プロピレ
ン共重合体は、それを樹脂と言いうるのに十分な分子量
および/または融点、ガラス転移温度をもつべきであ
る。分子量は数平均分子量で表して通常3000以上で
あり、JIS−K−6758(230℃、2.16kg
荷重)に準拠して測定したメルトフローレート(MF
R)が通常0.01〜100g/10分、特に好ましく
は0.02〜50g/10分に相当する分子量である。
また、融点またはガラス転移温度の少なくとも一方は通
常40℃以上、好ましくは80〜187℃、さらに好ま
しくは120〜174℃である。
【0013】また、結晶性プロピレン共重合体でプロピ
レンと共重合させるべきジエン化合物としては、炭素数
が通常4〜20の共役ジエン、鎖状または環状の非共役
ジエンまたはこれらの混合物が使用できる。共役ジエン
としては、具体的には、 (1)1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペン
タジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエ
ン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−
1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジ
エン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,4
−ヘプタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ペンタジ
エン、4−メチル−1,3−ヘキサジエン、5−メチル
−1,3−ヘキサジエン、2,4−ジメチル−1,3−
ペンタジエン、4−エチル−1,3−ヘキサジエン、7
−メチル−3−メチレン−1,6−オクタジエン(ミル
セン)、1−フェニル−1,3−ブタジエン、4−フェ
ニル−1,3−ペンタジエン、1,4−ジフェニル−
1,3−ブタジエンのような1,3−ジエン類、あるい
は、 (2)ジビニルベンゼン、イソプロペニルスチレン、ジ
ビニルトルエン、ジビニルナフタレン1−フェニル−1
−(4−ビニルフェニル)エチレンのようなジアルケニ
ルベンゼン類がある。
【0014】また、鎖状非共役ジエンとしては、下記の
式(I)で表されるものが挙げられる。
【化1】
【0015】(ここで、nは1〜10の整数を示し、R
1 〜R3 はそれぞれHまたは炭素数1〜8のアルキル基
を示す。)式(I)で表される鎖状非共役ジエンは、好
ましくは、nが1〜5で、R1 ,R2 およびR3 がそれ
ぞれ水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であっ
て、R1 ,R2 およびR3 の全てが水素原子でないもの
である。さらに、特に好ましいのは、nが1〜3で、R
1 が炭素数1〜3のアルキル基、R2 およびR3 が水素
原子または炭素数1〜3のアルキル基であって、R2
よびR3 が同時に水素原子でないものである。
【0016】(不飽和カルボン酸) プロピレン系系樹脂にグラフト反応させるα,β−不飽
和カルボン酸としては、アクリル酸、マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸、ハイミック酸またはそれらの無水物
等が挙げられるが、中でも無水マレイン酸が好ましい。
【0017】(変性プロピレン系樹脂) 変性したオレフィン系樹脂を未変性のオレフィン系樹脂
で希釈して用いても良い。変性オレフィン系樹脂の不飽
和カルボン酸に基づく構成単位濃度は0.01〜10重
量%、好ましくは0.1〜5重量%である。この不飽和
カルボン酸に基づく構成単位濃度が上記範囲より少ない
と、無機酸化物薄膜との結合力が十分でなく、また上記
範囲より多くしても結合力の向上が見られず、さらにグ
ラフト反応時にポリプロピレン系では分解反応が起こる
ため、低分子量が増加し結合力が低下するなどの問題が
発生する。かかる変性プロピレン系樹脂もしくは未変性
オレフィン系樹脂等で希釈された変性プロピレン系樹脂
のMFR(JIS K−7210)は、通常0.1〜1
00g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分が
押出成形性、射出成形性、真空成形性、圧縮成形性の面
からよい。
【0018】成形品 変性プロピレン系樹脂は、押出成形、射出成形、真空成
形、中空成形等によりフィルム状、シート状、容器状、
函状に成形される。また、変性オレフィン系樹脂とポリ
エチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重
合体、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、
ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート等の熱可塑
性樹脂との積層体構造としてもよい。また、フィルム、
シートは延伸されたものが好ましい。
【0019】フィルムの肉厚は5〜200ミクロン(μ
m)、シートの肉厚は200〜1,500μm、小型容
器、函体等の肉厚は300〜2,500μm、タンク容
器、20リットル薬品容器では1〜10nmが一般であ
る。成形品は必要によりコロナ放電処理、オゾン処理、
グロー放電処理、プラズマ処理、化学薬品による酸化処
理を施してもよい。
【0020】アンカーコート剤 変性オレフィン系樹脂を基材とする成形品の表面にはア
ンカーコート剤(プライマーコート剤)が施される。該
アンカーコート剤は、イソシアネート系、ポリウレタン
系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタ
ジエン系、ポリオレフィン系、アルキルチタネート系等
の公知のアンカーコート剤が使用できる。イソシアネー
ト化合物、ポリウレタン、ウレタンプレポリマー、また
は、それらの混合物および反応生成物、ポリエステル・
ポリオールまたはポリエーテル・ポリオールとイソシア
ネートとの混合物は好ましいアンカーコート剤である。
これらのアンカーコート剤は、通常0.01〜0.5g
/m2 (乾燥固形分)、好ましくは0.1〜0.3g/
2 の量でコートされる。
【0021】無機酸化物の蒸着 無機酸化物の薄膜としては、SiOx ,SnOx ,Zn
x ,IrOx (xは1〜2の数)等の通常200〜
4,000オングストローム、好ましくは300〜3,
000オングストロームのものが利用される。蒸着膜の
厚みは、透明性、蒸着速度、ガスバリアー性、フィルム
の巻取性等から制約される。また、この無機酸化物蒸着
膜の無機酸化物粒子径が特に50〜400オングストロ
ームの場合は、基材上に密に形成されるのでガスバリヤ
ー性が特に良好であり好ましい。
【0022】蒸着法としては、高周波誘導加熱方式の蒸
着機内で成形品を真空下(1×10-3〜1×106 トー
ル)で無機酸化物を蒸着する方法(特公昭53−129
53号);予め排気し、真空下した蒸着機内で揮発した
有機シリコン化合物、酸素及び不活性ガスを含むガス流
をマグネトロングロー放電によってプラズマを発生させ
てSiOx を該蒸着機内で成形品に蒸着させる方法(特
開昭64−87772)、USP4,557,946
号、USP4,599,678号)等がある。又、19
90年11月発刊の工業材料、第38巻、第14号の第
104〜105頁で、イオンプレーティング法、高周波
プラズマCVD法、電子ビーム(EB)蒸着法、スパッ
タリング法として分類され、その原理が紹介されてい
る。蒸着膜はアンカーコート剤層の表面に行われる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、これにより本発明の範囲は特に限定されるもので
はない。
【0024】結晶性プロピレン共重合体樹脂の製造例 〔担体付触媒の調製〕 充分に窒素置換したフラスコ内に、脱水および脱酸素し
たn−ヘプタン100mlを導入し、次いでMgCl2
を0.1モルおよびTi(O・nBu)4 を0.20モ
ル導入して、100℃にて2時間反応させた。反応終了
後、40℃に温度を下げ、次いでメチルハイドロジエン
ポリシロキサンを15ml導入して、3時間反応させ
た。反応終了後、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗
浄し、その一部分をとり出して組成分析をしたところ、
Ti=15.2重量%、Mg=4.2重量%であった。
【0025】充分に窒素置換したフラスコ内に、脱水お
よび脱酸素したn−ヘプタンを100ml導入し、上記
で合成した成分をMg原子換算で0.03モル導入し
た。SiCl4 0.05モルを30℃で15分間で導入
して、90℃で2時間反応させた。反応終了後、精製し
たn−ヘプタンで洗浄した。次いで、n−ヘプタン25
mlにオルト−C6 4 (COCl)2 0.004モル
を混合して、50℃で導入し、次いでSiCl4 0.0
5モルを導入して90℃で2時間反応させた。反応終了
後、n−ヘプタンで洗浄して、触媒成分とした。Ti含
有量は、2.05重量%であった。
【0026】〔プロピレン共重合体(I)の製造〕 容量10リットルのオートクレーブ内をプロピレンで置
換した後、n−ヘプタン3.3リットルを仕込み、トリ
エチルアルミニウム1.0g、ジフェニルジメトキシシ
ラン0.44gおよび前述の方法で調製した担体付触媒
0.7gをこの順で加えた。次いで、水素800Nml
を加えた後、プロピレンを圧入し、50℃、0.5kg
/cm2 Gで攪拌した。この後、7−メチル−1,6−
オクタジエン700mlを追加し、プロピレンを圧入し
ながら昇温し、65℃、5.5kg/cm2 Gに保持し
て、5時間重合を行った。その後、n−ブタノールで触
媒を不活性化した後、触媒残渣を水で抽出し遠心分離に
より共重合体を回収し、乾燥した。
【0027】その結果、乾燥パウダー1940gを得
た。嵩密度は0.50g/ccであった。また、無定形
重合体は54gであった。この共重合体のMFR(23
0℃、2.16kg荷重)は2g/10分、密度は0.
895g/cm3 、結晶化度は42%、弾性率8,10
0kg/cm2 であった。また、H1 −NMRによる分
析により7−メチル−1,6−オクタジエンの含有量は
2.7モル%であり、このジエンモノマーユニットの連
鎖はなく、かつ1,2付加構造であった。
【0028】〔プロピレン共重合体II〕 7−メチル−1,6−オクタジエンの代りに、1,4−
ヘキサジエンを用いる他は例1と同様に行って、MFR
が2g/10分、密度が0.903g/cm3、結晶化
度が36%、弾性率5,500kg/cm2 のプロピレ
ン(96.7モル%)・1,4−ヘキサジエン(3.3
モル%)ランダム共重合体を得た。
【0029】変性ポリプロピレンの製造例 例1 プロピレン単独重合体(MFR 2g/10分、密度
0.905g/cm3)のパウダー100重量部に、過
酸化ベンゾイル0.8重量部および無水マレイン酸1.
2重量部を添加後、ヘンシェルミキサーにて混合し、押
出機にてダイより220℃でストランド状に押出し、水
冷後、カッティングしてペレットを得た。この変性ポリ
プロピレンを沸騰したキシレンに溶解して大量のアセト
ンにて再沈させた後、赤外吸収スペクトル分析法で変性
ポリプロピレン中に占める無水マレイン酸に基づく構成
単位濃度を測定したところ0.7重量%がグラフト共重
合していた。
【0030】例2 エチレン−プロピレンランダム共重合体(エチレン含量
5%、MFR 1g/10分、密度 0.89g/cm
3 )のパウダー100重量部に、過酸化ベンゾイル0.
8重量部および無水マレイン酸1.2重量部を添加し、
例1と同様に変性共重合体を作り、全体に占める無水マ
レイン酸成分濃度を測定したところ0.9重量%であっ
た。
【0031】変性ポリエチレンの製造例 例3 直鎖状低密度ポリエチレン(MFR 2g/10分、密
度 0.920g/cm3 、エチレン含量 91.0重
量%、ヘキセン−1含量 9.0重量%)100重量部
に、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキサン0.04重量部および無水マレイン酸2
重量部を添加後、ヘンシェルミキサーにて混合し、押出
機にてダイより180℃でストランド状に押し出し、水
冷後、カッティングしてペレットを得た。この変性ポリ
プロピレンを沸騰したキシレンに溶解して大量のアセト
ンにて再沈させた後、赤外吸収スペクトル分析法で変性
ポリエチレン中に占める無水マレイン酸に基づく構成単
位濃度を測定したところ、1.9重量%がグラフト共重
合していた。
【0032】変性結晶性プロピレン系共重合体の製造例 例4 上記例1において、プロピレン単独重合体の代りに、例
1で得たプロピレン・7−メチル−1,6−オクタジエ
ン共重合体を用いる他は同様にして、MFRが2.2g
/10分、無水マレイン酸に基づく単位濃度が1.0重
量%のグラフト共重合体を得た。
【0033】例5 上記例1において、プロピレン単独重合体の代りに、例
2で得たプロピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体を
用いる他は同様にして、MFRが2.1g/10分、無
水マレイン酸に基づく単位濃度が0.8重量%のグラフ
ト共重合体を得た。
【0034】実施例1 例1で得た無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン
を押出機で溶融し、T−ダイより238℃でシート状に
押し出し、金属ロールで冷却して厚さ1mmのシートを
得た。このシートを120℃に加熱し、ロール群の周速
差を利用して縦方向に5倍延伸した。
【0035】ついで、テンターオーブン内に導き、15
7℃に再加熱した後、テンターを用いて横方向に10倍
延伸し、163℃でアニーリング処理し、コロナ放電処
理して肉厚が20μmの二軸延伸フィルムを得た。この
二軸延伸フィルムの該コロナ放電処理面に、ポリウレタ
ン系アンカーコート剤(日本曹達社製 チタボンドT1
20;ポリイソシアネート・ポリエーテルポリオール7
重量%、硬化剤0.6重量%、酢酸エチル92.4重量
%の混合液)をロールコート法で塗布し、つぎに酢酸エ
チルをドライヤーで乾燥し、取り除きアンカーコート剤
層を形成させた。
【0036】このアンカーコート剤層を形成させた二軸
延伸フィルムを、プラズマ蒸着装置内に置き、装置内を
1×10-6トールの減圧下にしたのち、ヘキサメチルジ
シロキサン3容量部、酸素3容量部、ヘリウム20容量
部、アルゴン13容量部の混合気体を導き、不平衡型マ
グネトロンよりグロー放電を行ってプラズマを発生させ
SiO2 の薄膜を二軸延伸フィルム上に蒸着させた。蒸
着時のグロー放電の条件は、得られたSiO2 蒸着二軸
延伸フィルムの酸素透過率が5.0cc/m2 ・atm
・day(JIS 1707−35)となるように設定
した。
【0037】実施例2 例1で得た無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン
5重量部を、未変性のポリプロピレン(MFR 0.8
g/10分、密度 0.905g/cm3 )95重量部
で希釈したもの(マレイン酸の構成単位濃度 0.35
重量%)を変性ポリプロピレンの代わりに用いる他は実
施例1と同様にしてSiO2 蒸着二軸延伸ポリプロピレ
ンフィルムを製造した。
【0038】実施例3 例2で得た変性共重合体と、実施例2で使用した未変性
ポリプロピレンとを、別々の押出機で溶融したものを一
台のダイに供給し、ダイ内で層状に重ね、押し出して変
性共重合体の層の厚さが0.1mm、未変性ポリプロピ
レン層の厚さが0.9mm、合計厚さが1mmのシート
を作成し実施例1と同様にして延伸し、厚さ20μmの
フィルムを作成し、変性共重合体側をコロナ放電処理
後、処理面にアンカーコート層を形成させ、更に実施例
1と同様にしてSiO2 蒸着二軸延伸フィルムを製造し
た。
【0039】実施例4 例1で得た無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン
の代りに、例4で得た無水マレイン酸グラフト変性プロ
ピレン・7−メチル−1,6−オクタジエン共重合体を
用いる他は実施例1と同様にしてSiO2 蒸着二軸延伸
フィルムを製造した。
【0040】実施例5 例1で得た無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン
の代りに、例5で得た無水マレイン酸グラフト変性プロ
ピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体を用いる他は実
施例1と同様にしてSiO2 蒸着二軸延伸フィルムを製
造した。
【0041】比較例1 未変性のプロピレン単独重合体(MFR 0.8g/1
0分、密度 0.905g/cm3 )を変性ポリプロピ
レンの代わりに用いた他は、実施例1と同様にSiO2
蒸着二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造した。
【0042】比較例2 実施例1でアンカーコートをせず、その他は実施例1と
同様にしてSiO2 蒸着二軸延伸ポリプロピレンフィル
ムを製造した。
【0043】比較例3 比較例1において、アンカーコート剤を用いない他は同
様にしてSiO2 蒸着二軸延伸ポリプロピレンフィルム
を製造した。
【0044】比較例4 例3で得た無水マレイン酸変性ポリエチレンを、押出機
で溶融し、インフレダイより160℃で筒状に押し出
し、バブルの内部に空気を吹き込んでブロー比2まで膨
張させた後、コロナ放電処理を行い、肉厚が40μmの
変性ポリエチレンフィルムを得た。このフィルムのコロ
ナ処理面にアンカーコート層を形成した。このフィルム
を用いて実施例1と同様にSiO2 蒸着ポリエチレンフ
ィルムを製造した。
【0045】比較例5 未変性の直鎖状低密度ポリエチレン(MFR 2g/1
0分、密度 0.920g/cm3 )を変性ポリエチレ
ンの代わりに用いる他は、実施例6と同様にしてSiO
2 蒸着ポリエチレンフィルムを製造した。
【0046】評価 (I)二次加工に対する変化 実施例1〜5、および比較例1〜5で得たSiO2 蒸着
延伸フィルムのSiO2 蒸着面に、ラミネータ装置を用
い、メルトインデックス5g/10分、密度0.922
g/cm3 の低密度ポリエチレンを320℃で20μm
の肉厚のフィルム状にT−ダイより押し出し、ラミネー
トした。このラミネート物の酸素透過率を表1に示す。
【0047】(II) 外応力に対する変化 上記の低密度ポリエチレンフィルムをラミネートしたS
iO2 蒸着フィルムを、名立計器(株)製ゲルボテスタ
ー(米軍規格 MIL B132)を用い、フィルムを
筒状に丸めたのち、この筒の長手方向の両端をテスター
の把持器具に固定し、10回、±90度の回転ねじりの
繰り返しを行った後、酸素透過率を測定した。その測定
値を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明の無機酸化物が蒸着したオレフィ
ン系樹脂成形品は、二次加工時や使用時に、熱や力が加
わってもガスバリアー性が低下しない。従って、レトル
トパウチ包装材、IC包装材として有用である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−110242(JP,A) 特開 平5−51420(JP,A) 特開 平5−131590(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08F 255/02 EUROPAT(QUESTEL) WPI/L(QUESTEL)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレン系樹脂にα,β−エチレン性
    不飽和カルボン酸をグラフト反応させて変性した変性プ
    ロピレン系樹脂であって、該変性プロピレン系樹脂中の
    α,β−不飽和カルボン酸に基づく構成単位濃度が0.
    01〜10重量%である変性プロピレン系樹脂の成形品
    の表面に、アンカーコート剤層を設け、その上にSiO
    xからなる無機酸化物薄膜を蒸着により形成した、ガス
    バリアー性の付与されたオレフィン系樹脂成形品。
  2. 【請求項2】 プロピレン系樹脂が、プロピレン単独重
    合体である請求項1記載のガスバリアー性の付与された
    オレフィン系樹脂成形品。
  3. 【請求項3】 プロピレン系樹脂が、プロピレンと非共
    役ジエンとの共重合体であって、該共重合体中の非共役
    ジエンに基づく構成単位濃度が0.05〜20モル%、
    弾性率が2,000〜45,000kg/cm2であ
    る、請求項1記載のガスバリアー性の付与されたオレフ
    ィン系樹脂成形品。
  4. 【請求項4】 α,β−エチレン性不飽和カルボン酸が
    無水マレイン酸である、請求項1ないし3のいずれかに
    記載のガスバリアー性の付与されたオレフィン系樹脂成
    形品。
  5. 【請求項5】 変性プロピレン系樹脂の成形品の表面に
    コロナ放電処理を施したのちアンカーコート剤層を設け
    る、請求項1ないし4のいずれかに記載のガスバリアー
    性の付与されたオレフィン系樹脂成形品。
  6. 【請求項6】 無機酸化物薄膜の厚みが200〜4,0
    00オングストロームである、請求項1ないし5のいず
    れかに記載のガスバリアー性の付与されたオレフィン系
    樹脂成形品。
  7. 【請求項7】 無機酸化物薄膜の無機酸化物粒子径が5
    0〜400オングストロームである、請求項1ないし6
    のいずれかに記載のガスバリアー性の付与されたオレフ
    ィン系樹脂成形品。
  8. 【請求項8】アンカーコート剤層がイソシアネート系又
    はポリウレタン系である、請求項1ないし6のいずれか
    に記載のガスバリアー性の付与されたオレフィン系樹脂
    成形品。
  9. 【請求項9】 変性プロピレン系樹脂の成形品が延伸シ
    ート又はフィルムである、 請求項1ないし7のいずれ
    かに記載のガスバリヤー性の付与されたオレフィン系樹
    脂成形品。
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