JP3328550B2 - 海水漏洩検出装置 - Google Patents

海水漏洩検出装置

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JP3328550B2
JP3328550B2 JP17427197A JP17427197A JP3328550B2 JP 3328550 B2 JP3328550 B2 JP 3328550B2 JP 17427197 A JP17427197 A JP 17427197A JP 17427197 A JP17427197 A JP 17427197A JP 3328550 B2 JP3328550 B2 JP 3328550B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、汽力発電プラント
などにおける循環水中への海水の混入を正確に検出する
ことができる海水漏洩検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】汽力発電プラントでは、防食効果を持た
せるために給水(即ち、循環水)中にアンモニアが添加さ
れている。これによって循環水のpHを高く保つことに
より、鉄などの構造材料が不動態化し、高い防食性が得
られる。アンモニアは、揮発性を持つためにボイラから
水蒸気(即ち、循環水)に同伴して復水器に至る。こうし
てアンモニアは循環水と共に復水系を循環している。復
水系に設けられた導電率計は、主に復水器において発生
する循環水中への海水混入(海水漏洩)の監視に用いられ
ているが、上記のように循環水中にアンモニアが含まれ
ているため、循環水(または循環水から採った試料水)の
導電率の指示値のベ−スが常に高く、微小な海水漏洩を
その導電率の変化から検知することが困難である。
【0003】そこで、汽力発電プラントでは、カチオン
交換樹脂筒と導電率計を組み合わせた装置を用いること
により、アンモニアイオンを含むカチオン種を該樹脂筒
で吸着させて、海水中に含まれる塩素イオンによる塩化
水素の導電率を測定して、微小な海水漏洩を監視してい
る。すなわち、図11に示す従来技術の汽力発電プラン
トに於ける海水漏洩を検知する装置は、試料水を試料水
供給管からカチオン交換樹脂筒8に通水することによ
り、カチオン種はカチオン交換樹脂筒で除去し、その
後、カチオン種が除かれたアニオン種と該アニオン種と
当量の水素イオンとを含む試料水を導電率供給配管に導
き、導電率計10でその導電率を測定するものである。
【0004】表1は、プラントの運転状態に於けるカチ
オン交換樹脂筒の入口及び出口の水質の違いを示してい
る。上記検出メカニズムについて表1を参照して説明す
る。表1のNo.aは、 海水漏洩の無いプラントの通常運
転時の水質を示している。プラントの通常運転時の出口
水質は、アンモニウムイオンが除去され導電率は極めて
低くなる。 これに対して、表1のNo.bは、プラントの
通常運転中に海水漏洩が生じた場合の水質を示してお
り、入口水質では、アンモニウムイオンのほかにナトリ
ウムイオンと塩化物イオン(即ち、塩素イオン)が含まれ
ている。導電率はこれら3種のイオンの和となる。これ
をカチオン交換樹脂筒に通すと、アンモニアイオンとナ
トリウムイオンが除去され、塩素イオンだけが通過す
る。従って出口の水質における導電率は、塩素イオンと
該塩素イオンと当量の水素イオンとの導電率となり、即
ち、塩素イオン濃度を反映したものとなり、海水漏洩が
無い時より上昇変化する。これによって海水漏洩を検知
することができる。
【0005】
【表1】
【0006】一方、近年の汽力発電プラントは電力需要
の変動を反映して、起動・停止を頻繁に繰り返す運転が
増加している。特にコンバインド型発電設備ではそれが
著しい。起動・停止を行なうと、復水器の真空破壊によ
って空気中に含まれる炭酸ガスが炭酸イオンとなって循
環水に溶解する。 表1のNo.cは、海水漏洩の無いプラ
ントの起動時の水質を示している。プラント起動時のカ
チオン交換樹脂筒の入口水質はアンモニアイオンと炭酸
イオンが含まれている。導電率はこれら2種のイオンの
和となる。これをカチオン交換樹脂筒に通すと、アンモ
ニアイオンが除去され、アニオン種としての炭酸イオン
が残った出口水質となる。
【0007】表1のNo.dは、 プラントの起動時に海水
漏洩が生じた場合の水質を示しており、入口水質として
は、アンモニウムイオンの他にナトリウムイオンと塩素
イオン(または、塩化物イオン)及び炭酸イオンが含まれ
ている。導電率はこれら4種のイオンの和となる。これ
をカチオン交換樹脂筒に通した出口水質は、アンモニア
イオンとナトリウムイオンが除去され、塩素イオンと炭
酸イオンが残ったものとなる。
【0008】従って、プラント起動時にカチオン交換樹
脂筒を通過した試料水(出口水質)にあっては、炭酸イオ
ンが含まれている分、導電率が上昇する。即ち、海水漏
洩の有無(即ち、塩素イオンの有無)に係らず常に導電率
が高い状態になるので、海水漏洩の判別に分かり難い点
があった。
【0009】また、この種の類似の海水漏洩検出装置と
して、例えば、特開平6−11406号公報に開示され
た海水漏洩検出装置がある。この開示技術の海水漏洩検
出装置は、復水器から採取した試料水をガス透過性膜を
使用した脱気装置を設け、これを通過した後に、カチオ
ン交換樹脂筒を通して導電率を測定する機構となってい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記開
示公報の従来技術の海水漏洩検出装置には、次のような
欠点が残っている。 (1)脱気装置に入る試料水のpHは9.5であり、 アル
カリ性であるため炭酸イオンが殆ど第二炭酸イオンとな
っており、気体状あるいは遊離状の炭酸イオンは無いの
で、本脱気装置では炭酸イオンの十分な脱気効果が得ら
れない、(2)復水器からの導電率と復水ポンプ出口の導
電率を比較して循環水中への海水の混入を判別している
が、復水ポンプの軸受に一般的な冷却水を使用し、復水
ポンプ圧力が冷却水ポンプ圧力より低い時(例えば、 復
水ポンプは停止しているが冷却水ポンプは起動している
時)、冷却水側に海水漏洩が生じた場合に、 それが循環
水中に混入すると、循環水の海水漏洩を正確に検出する
ことはできない、(3)ガス透過性膜を用いているため、
膜の劣化及び破損等が生じると、循環水の海水漏洩を正
確に検出することはできない、(4)膜のメンテナンスを
要するなどの点が挙げられる。
【0011】従って、本発明の目的は、ガス透過性膜を
用いずに、炭酸イオンを含む循環水中の海水漏洩を正確
に検出することができる海水漏洩検出装置を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明による海水漏洩検出装置の特徴は、海水を導通する冷
却管によって水蒸気を凝縮させる復水器で復水された循
環水への前記海水の混入による当該循環水の導電率の変
化から海水漏洩を検出する海水漏洩検出装置において、
前記循環水中の陽イオンを除去し当該循環水を酸性化す
るカチオン交換樹脂筒と、酸性化した後の前記循環水中
に含まれる炭酸イオンを除去する脱炭酸槽と、炭酸イオ
ンを除去した後の前記循環水の前記導電率を測定する導
電率計とを、上流側から前記カチオン交換樹脂筒,前記
脱炭酸槽および前記導電率計の順で配設し、さらに前記
脱炭酸槽に加熱器を内蔵することにある。
【0013】本発明によれば、塩素イオンの濃度変化に
伴う導電率の変化から海水漏洩を判別するに悪影響を及
ぼす塩素イオン以外のアニオン種のイオンを気化し脱気
装置にて除去するので、海水漏洩を正確に検出すること
ができる。特に、汽力発電プラントの起動時に発生する
炭酸イオンを脱炭酸槽にて除去するので汽力発電プラン
トに好適な海水漏洩検出装置が提供される。
【0014】さらに補足説明する。本発明の特徴は、カ
チオン種のイオンを除去する手段の後にアニオン種とし
ての炭酸イオンを除去する手段を設けることによって、
塩素イオン以外のアニオン種としての炭酸イオンの影響
を受けずに、塩素イオンの濃度変化に伴う導電率の変化
を導電率計測手段にて正しく測定できるようにしたとこ
ろにある。すなわち、採取した試料水は、カチオン交換
樹脂筒にてカチオン種のイオンが除去される。つぎに、
炭酸イオン除去部としての脱炭酸槽での加熱、または不
活性ガス導入、または加熱と不活性ガス導入との組み合
わせなどによって、炭酸イオンが除去され、炭酸イオン
以外のアニオン種のイオンとしての塩素イオンに依存す
る導電率が正確に測定できる。
【0015】従来技術にて述べたように、汽力発電プラ
ントの給水(循環水)には、pHを高く(pH9.5)保つため
に、アンモニアが添加されている。 このpHでは、図
2に示すように炭酸はほぼ100%イオン状になってお
り揮発性が無い。 図2は、pHと炭酸の形態の割合を
説明する図である。また、図3は、炭酸の気相及び液相
の気液平衡状態を説明する図である。炭酸ガスの気液平
衡の概念図を示している。
【0016】気相の炭酸ガスは液相中に溶解した炭酸ガ
スと平衡状態にあり、液相中の炭酸ガスは未解離の炭酸
と平衡状態にあり、未解離の炭酸はイオンに解離した炭
酸イオンと平衡状態にある。 これらの反応式ならびに
平衡関係式を、 下記(化1)〜(化6)式および(数1)〜
(数6)式にて示す。
【0017】 CO2air ⇔ CO2sol (化1) K1=CCO2sol/PCO2air (数1) CO2sol+H2O ⇔ H2CO3 (化2) K2=[H2CO3] / CCO2sol (数2) H2CO3 ⇔ H+ +HCO3 - (化3) K3= [H+]・[HCO3 -] / [H2CO3] (数3) HCO3 - ⇔ H+ +CO3 2- (化4) K4= [H+]・[CO3 2-] / [HCO3 -] (数4) これらの式を纏めると、 CO2air+H2O⇔H++HCO3 - (化5) [HCO3 -]= K1・K2・K3・PCO2air / [H+] (数5) CO2air+H2O⇔2H++CO3 2- (化6) [CO3 2-]= K1・K2・K3・K4・PCO2air / [H+]2 (数6) ここで、 CO2air:空気中の炭酸ガス CCO2sol :水中の炭酸濃度 CO2sol:水中に溶解した炭酸ガス PCO2air :空気中の炭酸ガス分圧 H2O :水 [H2CO3]:未解離炭酸濃度 H2CO3:未解離の炭酸 [H+] :水素イオン濃度 H+ :水素イオン [HCO3 -]:炭酸水素イオン濃度 HCO3 -:炭酸水素イオン [CO3 2-] :炭酸イオン濃度 CO3 2- :炭酸イオン K1,K2,K3,K4:平衡定数 である。
【0018】従って、炭酸ガスと炭酸イオンは、常に平
衡状態にあると言える。これらの平衡状態の支配因子
は、気相と液相の平衡を支配する気相の炭酸ガス分圧と
液相中の未解離炭酸と炭酸イオンの比率を支配するpH
である。pHは、図2に示すようにpHが高くなると炭
酸イオンが多くなり、pH下がると未解離炭酸を増やす
性質がある。
【0019】一方、未解離炭酸は、液相に溶解した不活
性ガスと同様の振る舞いをすると考えられるため、気体
法則のヘンリーの法則に従うと考えられる。従って、気
相の炭酸ガス分圧を下げると液相中の炭酸ガス分圧が下
がる。このように、気相の炭酸ガス分圧とpHは、液相
中の炭酸ガス濃度を変化させる重要因子であるが、これ
らが単独では十分な炭酸ガス除去性能が得られない。な
ぜなら、系が平衡状態にあるためである。
【0020】従来技術における海水漏洩検出装置は、炭
酸ガス除去装置(としての脱炭酸槽)をまだpHが高い状態
(pH9.5)の試料水に対して使用し、 その後にカチオン交
換樹脂筒に通している。このために図2に示すようにほ
とんど100%炭酸イオンとなっており未解離の炭酸が
無い。膜を介して気相中の炭酸ガス分圧を極力低くする
ことにより液相中の炭酸を除去しようとしても同装置
は、pHが高いために未解離の炭酸が無く液相中の炭酸
を除去することが出来ない。
【0021】一方、本発明による海水漏洩検出装置は、
カチオン交換樹脂筒に通した後の試料水を炭酸ガス除去
装置に導くので、脱炭酸槽に入る試料水は、炭酸ガスを
含む陰イオン及び水素イオンとなり酸性化する。 従っ
て、pHは、 必然的に7以下(通常約5以下)になるた
めに、図2に示すように、未解離炭酸が大部分を占める
ようになる。残りの炭酸イオンにしても結合相手となる
陽イオンがないために、純粋に未解離炭酸と平衡になっ
ているものばかりであり、気相中に炭酸が移行すると自
然に未解離炭酸に移行し、残りの炭酸イオンは最終的に
気相に移行する。
【0022】このように、試料水をカチオン交換樹脂筒
に通してから炭酸ガス除去装置に導くと、炭酸ガス除去
装置にて炭酸ガスがほぼ100%近く除去される。従っ
て、この試料水の導電率を測定すれば、炭酸イオンの影
響を受けずに海水漏洩を検出することができる。尚、本
発明による海水漏洩検出装置は、汽力発電プラントにお
ける循環水に限らず、一般の水溶液に対しても適用でき
る。 即ち、本発明による冷却水(例えば海水)の漏洩検
出装置の特徴は、 塩素イオン(即ち、塩化物イオン)を
含む冷却水を導通する冷却管によって水蒸気を凝縮し凝
縮水を得る凝縮手段と、該凝縮水からなる水溶液を循環
する循環手段とを有する水溶液循環系に用いられ、冷却
水が混入して生じる水溶液の塩素イオン(即ち、塩化物
イオン)の濃度変化に伴う当該水溶液の導電率の変化か
ら冷却水の漏洩を検出するものであって、凝縮手段また
は循環手段の水溶液から抜き出した試料水のカチオン種
のイオンを除去するカチオン交換樹脂筒と、カチオン種
のイオンを除去した後の試料水中に溶存する塩素イオン
以外のアニオン種のイオン(換言すれば、 除去したカチ
オン種の結合相手のアニオン種のイオンとしての、例え
ば、炭酸イオン)を気相に移行して(気化して)形成した
溶存気体を除去する脱気装置と、 脱気した後の塩素イ
オンが残る水溶液の導電率を測定する導電率計とを、上
流側から順に配設し、さらに脱気装置である脱炭酸槽に
加熱器を内蔵することにある。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、本発明による実施例を示す図1,図4〜図10の図
面を参照しながら説明する。図1は、本発明による一実
施例の海水漏洩検出装置を備える発電プラントにおける
復水系を示す図である。本発明による実施例の海水漏洩
検出装置を、発電プラントに取り付けた構成でもって示
している。図1において、本実施例の海水漏洩検出装置
7(7a〜7c)は、上流から順に、カチオン交換樹脂筒8
(8a〜8c)と、脱炭酸槽9(8a〜8c)と、導電率計10
(8a〜8c)を配設した構成であって、発電プラントにお
ける復水系に組み込まれている。そして、発電プラント
の復水系は、発電タービンを回転させる仕事をする蒸気
を導入し海水を流通させて該蒸気を冷却する海水冷却管
1を内部に配置した蒸気凝縮器2と、 該蒸気凝縮器2
から復水した循環水を貯留する復水器3a(A室)及び復
水器3b(B室)と、 復水器3a及び復水器3bから循
環水を送水する復水ポンプ4とを有している。さらに、
図1に示す発電プラントにおいては、この復水ポンプ4
から送水された循環水は、循環水中の固形不純物を除去
するためのフィルター5と、このフィルター5を通過し
た循環水中のイオン物質を除去するためのイオン交換樹
脂が充填された復水脱塩装置6とが設けられている。
なお、本実施例において、冷却水としての海水を導通す
る冷却管によって水蒸気を凝縮し水溶液を得る凝縮手段
は、蒸気凝縮器2と復水器3に該当し、該水溶液を循環
する循環手段は、復水ポンプ4とフィルター5と復水脱
塩装置6と各配管(符号省略)などに該当する。
【0024】上記に示した構成の発電プラントにおける
海水漏洩検出装置7において、復水器3または復水ポン
プ4の水溶液としての循環水中から抜き出した試料水
は、それぞれのカチオン交換樹脂筒8によって陽イオン
成分が除去されるため、カチオン交換樹脂筒8の出口の
試料水の水質は、酸性(pH7以下)になる。このため図
2に示すように、炭酸の割合が炭酸ガス形態成分が多く
炭酸イオン形態成分が少ない濃度分布状態となり、カチ
オン交換樹脂筒8の下流側に設けた脱炭酸槽9におい
て、試料水中の炭酸ガスが効率良く脱気され、十分に炭
酸イオンが除去される状態となっている。
【0025】従って、海水漏洩が無い場合は、 脱炭酸
槽9の出口水質は、水素イオン(H+)及び水酸イオン(O
-)を除く他のアニオン種のイオンとしての炭酸イオン
(表1のNo.cに示す炭酸イオン)が除去されて無くな
り、導電率計10の指示値は、ほぼ理論純水の導電率に
近い値を示すことになる。一方、海水漏洩が生ずると、
脱炭酸槽9の出口水質は、塩素イオン(Cl-)を除く他の
アニオン種のイオンとしての炭酸イオン( 表1のNo.d
に示す炭酸イオン)が除去されて無くなるので、導電率
計10にて計測された指示値は、前述の海水漏洩が無い
場合のほぼ理論純水の導電率に近い低い値から、循環水
に混入した海水から解離した塩素イオンに依って高い値
に変化することになる。
【0026】即ち、海水漏洩検出装置7は、上流に位置
するカチオン交換樹脂筒8が循環水中の陽イオン成分を
除去し酸性化して炭酸ガスが多く炭酸イオンの少ない存
在の気液平衡状態を形成し、 下流に位置する脱炭酸槽
9が気体となった炭酸ガス(含む炭酸イオンから気相に
移行する炭酸ガス)を十分に除去するので、 更に下流に
位置する導電率計10が炭酸イオンの影響を受けること
なく塩素イオンの濃度変化に伴う導電率の変化を海水漏
洩を表わす検出情報として提供する、即ち、漏洩状態を
検出することを可能とする構成である。そして、該検出
情報に基づいて、判別手段11は漏洩を認識し必要に応
じて報知する構成である。このように本実施例によれ
ば、溶存炭酸(炭酸イオン)の影響を受けずに海水漏洩を
明瞭に検出することができる効果がある。
【0027】なお、海水漏洩検出装置は、カチオン交換
樹脂筒8と、脱炭酸槽9と、導電率計10と、判別手段
11とを含み構成されると狭義に解するも可である。す
なわち、上記実施例に当てはめれば、海水漏洩検出装置
は、上流からカチオン交換樹脂筒8(8a〜8c),脱炭酸
槽9(8a〜8c),導電率計10(8a〜8c)の順で配設した
検出手段(7a〜7c)と、検出手段の検出情報から海水
漏洩を判定する判別手段11とを有し、上流に位置する
カチオン交換樹脂筒8が循環水中の陽イオン成分を除去
し酸性化して炭酸ガスが多く炭酸イオンの少ない存在の
気液平衡状態を形成し、下流に位置する脱炭酸槽9が気
体となった炭酸ガスを十分に除去し、更に下流に位置す
る導電率計10が炭酸イオン( 含む炭酸ガスから液相に
溶解する炭酸イオン )の影響を受けることなく塩素イオ
ンの濃度変化に伴う導電率の変化を海水漏洩を表わす検
出情報として高感度に把み、判別手段11が正しく海水
漏洩を認識する構成であると言える。
【0028】次に、いくつかの海水漏洩検出装置( 広義
の海水漏洩検出装置として解するもの)の実施例につい
て説明する。 図4は、本発明による他の実施例の海水
漏洩検出装置を示す図である。図4に示す海水漏洩検出
装置は、脱炭酸槽に加熱器を内蔵するものである。図に
おいて、本第2の実施例の海水漏洩検出装置7は、循環
水の一部としての試料水を導入し酸性化するカチオン交
換樹脂筒8と、該カチオン交換樹脂筒8の下流側にあっ
て加熱器12を内蔵し試料水を加熱し該加熱によって放
出される炭酸ガスを排出する排気ライン17を有する脱
炭酸槽9dと、炭酸ガスが除去された試料水を該脱炭酸
槽9dから導入して冷却する冷却器13と、該冷却器1
3の下流側にあって試料水の導電率を計測する導電率計
10とを、順に配設した構成である。 別途、導電率計
10からの指示値(計測データ)に基づき判別手段(図示
省略)が判定して、海水漏洩を検出するものである。
【0029】本実施例の海水漏洩検出装置では、加熱器
12で試料水の温度を上げ炭酸ガスの溶解度を下げて、
試料水中に含有している炭酸ガスを放出し該炭酸ガスを
排気ライン17から排出して、試料水中の炭酸イオンを
除去する構成である。尚、冷却器13にて試料水を冷却
する理由は、試料水を確実に水溶液に戻して導電率計1
0での導電率の測定に影響を及ぼさないようにするため
であるが、冷却器13は必ずしも必要ではない。この点
は、後述の第5の実施例にも当てはまる。
【0030】図5は、本発明による別の実施例の海水漏
洩検出装置を示す図である。図5に示す海水漏洩検出装
置は、脱炭酸槽に炭酸ガスを含まないガスを散気(放出)
する手段を設けた構成である。 図において、本第
3の実施例の海水漏洩検出装置7は、図4に示す第2の
実施例の加熱器12及び冷却器13を備える替わりに、
窒素,アルゴン等の不活性ガス、または炭酸ガスを含ま
ない脱炭酸空気などの散気ガスを用いて、炭酸ガスを排
気ライン17から排出して炭酸イオンを除去するガス散
気器14を脱炭酸槽9eに内蔵したものである。本実施
例によれば、炭酸ガスを含まない散気ガスを試料水中に
放出することにより、試料水中の炭酸が散気ガスの方に
移行し、移行した炭酸を散気ガスと共に排気ライン17
から排出して、試料水中の炭酸イオンを除去する構成で
ある。
【0031】図6は、本発明による第4の実施例の海水
漏洩検出装置を示す図である。図6に示す海水漏洩検出
装置は、脱炭酸槽内を真空にする手段を設けたものであ
る。図において、本実施例の海水漏洩検出装置7は、図
4に示す第2の実施例の加熱器12及び冷却器13を具
備する替わりに、脱炭酸槽9f内を真空にする手段とし
ての真空ポンプ15を、炭酸ガスを排出する排気ライン
17に配設したものである。本実施例によれば、脱炭酸
槽9f内を真空にすることで気相中の炭酸分圧が下がる
ため、試料水中の炭酸が炭酸ガスに移行しこの炭酸ガス
が排気ライン17から排出されて、試料水中の炭酸イオ
ンが除去される構成である。
【0032】図7は、本発明による第5の実施例の海水
漏洩検出装置を示す図である。図7に示す海水漏洩検出
装置は、図4に示す第2の実施例と図5に示す第3の実
施例とを組み合わせたものである。即ち、加熱器とガス
散気器とを内蔵する脱炭酸槽と、該脱炭酸槽の下流にガ
ス散気器のみを内蔵する脱炭酸槽とを並設し、互いの排
気ラインを連結したものである。図において、本実施例
の海水漏洩検出装置7は、カチオン交換樹脂筒8の下流
側に、加熱器12とガス散気器14と排気ライン17と
を有する脱炭酸槽9gと該脱炭酸槽9gの下流にガス散
気器14と排気ライン17とを有する脱炭酸槽9eとを
隣設し、さらに、脱炭酸槽9eの下流側に導電率計10
を配設し、脱炭酸槽9eと導電率計10との間に冷却器
13を設けた構成である。
【0033】本実施例によれば、一方の脱炭酸槽9g
で、加熱器12によって試料水の水温を上げ炭酸ガスの
溶解度を下げて試料水中に含有している炭酸ガスを放出
させ、且つ、高温にした試料水に散気ガスを放出するこ
とで、炭酸ガスを散気除去し、更に、他方の脱炭酸槽9
eで、水温が高い状態の炭酸濃度が下がった試料水に炭
酸ガスを含まない散気ガスを放出し、炭酸ガスを散気除
去することで、より一層の炭酸イオン除去効果を上げる
構成である。
【0034】なお、図示説明を省略するが、図7におい
て、脱炭酸槽9eと冷却器13の代わりに、第4の実施
例の脱炭酸槽9fと真空ポンプ15を用いた組み合わせ
構成の海水漏洩検出装置であっても良い。すなわち、加
熱器12とガス散気器14と排気ライン17とを有する
脱炭酸槽9gの下流に、排気ライン17に真空ポンプ1
5を有する脱炭酸槽9fを隣接したものである。
【0035】図8は、本発明による第6の実施例の海水
漏洩検出装置を示す図である。図8に示す海水漏洩検出
装置は、図5に示す第3の実施例と図6に示す第4の実
施例とを組み合わせたものである。図において、本実施
例の海水漏洩検出装置は、カチオン交換樹脂筒8の下流
側に、ガス散気器14及び排気ライン17を有する脱炭
酸槽9eと、脱炭酸槽9eの下流に排気ライン17に真
空ポンプ15を設けた脱炭酸槽9fとを並設し、脱炭酸
槽9fの下流に導電率計10を配設したものである。本
実施例によれば、脱炭酸槽9eの単独構成または脱炭酸
槽9fの単独構成より、一層の炭酸イオン除去効果があ
る。
【0036】図9は、本発明による第7の実施例の海水
漏洩検出装置を示す図である。図9に示す海水漏洩検出
装置は、試料水を導入して陽イオン成分を除去するカチ
オン交換樹脂筒8と、このカチオン交換樹脂筒8の下流
側にあって導入した試料水を具備する加熱器12で加熱
気化する(気化して炭酸ガスを含む気体を得る)加熱槽1
8と、ガス透過性膜16と該ガス透過性膜16によって
仕切られていて加熱槽18からの炭酸ガスを含む気体を
導入する第1のガス導入ライン19及び該第1のガス導
入ライン19に隣接し炭酸ガスを含まない散気ガスを導
入する第2のガス導入ライン20とを有する脱炭酸槽9
hと、該脱炭酸槽9hの下流側にある冷却器13ならび
に導電率計10とを含む構成である。
【0037】本実施例によれば、加熱槽18によって加
熱され、脱炭酸槽9hの第1のガス導入ライン19に導
入された気化した試料水中の炭酸ガスが、ガス透過性膜
16を透して、散気ガスを導入する第2のガス導入ライ
ン20に移行し、この場合、試料水中の炭酸ガスが液相
から気相に変化しているのでガス透過性膜16を浸透し
易くなっており、移行した炭酸ガスが散気ガスと共に排
気されて、試料水中の炭酸イオンを除去する。そして、
炭酸イオンを除去した気体の試料水を第1のガス導入ラ
イン19から冷却器13に導き冷却し、液体の試料水に
戻して導電率計10にて導電率を測定するものである。
本実施例によっても、より一層の炭酸イオン除去効果が
ある。本実施例の冷却器13は必須の構成部品である。
【0038】図10は、本発明による第8の実施例の海
水漏洩検出装置を示す図である。図10に示す実施例の
海水漏洩検出装置は、図9に示す第7の実施例の海水漏
洩検出装置図の変形である。本第8の実施例の海水漏洩
検出装置では、第1のガス導入ライン19に導入された
気化した試料水中の炭酸ガスを、第2のガス導入ライン
20の内部を真空にして、ガス透過性膜16を浸透させ
るものである。即ち、第7の実施例の脱炭酸槽9hの代
わりに、第2のガス導入ライン20の内部を真空にする
手段(図示省略)を設けた脱炭酸槽9iを、加熱槽18と
冷却器13の間に配設したものである。本実施例によれ
ば、気化した試料水中の炭酸ガスが、ガス透過性膜16
を透して第1のガス導入ライン19から第2のガス導入
ライン20に移行し、移行した炭酸ガスが真空にする手
段によって排気されて、試料水中の炭酸イオンを除去す
る。そして、炭酸イオンを除去した気体の試料水を第1
のガス導入ライン19から冷却器13に導き冷却し、液
体の試料水に戻して導電率計10にて導電率を測定する
ものである。本実施例の場合は、試料水が液体から気体
となっているので、炭酸ガスのガス透過性膜16の浸透
が従来技術の液体の場合に比べて行われ易くなり、試料
水中の炭酸イオン除去効果はより一層向上する。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、試料水中の炭酸イオン
(即ち、炭酸や炭酸ガス)を効果的に除去できるので、海
水漏洩を高感度で検出することができる。また、ガス透
過性膜を用いないので、取扱性が改善されるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施例の海水漏洩検出装置を備
える発電プラントにおける復水系を示す図である。
【図2】pHと炭酸の形態の割合を説明する図である。
【図3】炭酸の気相及び液相の気液平衡状態を説明する
図である。
【図4】本発明による他の実施例の海水漏洩検出装置を
示す図である。
【図5】本発明による別の実施例の海水漏洩検出装置を
示す図である。
【図6】本発明による第4の実施例の海水漏洩検出装置
を示す図である。
【図7】本発明による第5の実施例の海水漏洩検出装置
を示す図である。
【図8】本発明による第6の実施例の海水漏洩検出装置
を示す図である。
【図9】本発明による第7の実施例の海水漏洩検出装置
を示す図である。
【図10】本発明による第8の実施例の海水漏洩検出装
置を示す図である。
【図11】従来技術の海水漏洩検出装置を説明する図で
ある。
【符号の説明】
1…海水冷却管、2…蒸気凝縮器、3…復水器、4…復
水ポンプ、5…フィルター、6…復水脱塩装置、7,7
a,7b,7c…海水漏洩検出装置、8,8a,8b,8c
…カチオン交換樹脂筒、9,9a,9b,9c,9d,9
e,9f,9g,9h,9i…脱炭酸槽、10…導電率計、
11…判別手段、12…加熱器、13…冷却器、14…
ガス散気器、15…真空ポンプ、16…ガス透過性膜、
17…排気ライン、18…加熱槽、19…第1のガス導
入ライン、20…第2のガス導入ライン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 門田 裕行 茨城県日立市弁天町三丁目10番2号 日 立協和エンジニアリング株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−226864(JP,A) 特開 平8−193907(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 3/04 G01M 3/00 G01N 27/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】海水を導通する冷却管によって水蒸気を凝
    縮させる復水器で復水された循環水への前記海水の混入
    による当該循環水の導電率の変化から海水漏洩を検出す
    る海水漏洩検出装置において、 前記循環水中の陽イオンを除去し当該循環水を酸性化す
    るカチオン交換樹脂筒と、酸性化した後の前記循環水中
    に含まれる炭酸イオンを除去する脱炭酸槽と、炭酸イオ
    ンを除去した後の前記循環水の前記導電率を測定する導
    電率計とを、上流側から前記カチオン交換樹脂筒,前記
    脱炭酸槽および前記導電率計の順で配設し、さらに前記
    脱炭酸槽に加熱器を内蔵したことを特徴とする海水漏洩
    検出装置。
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