JP3328469B2 - 食品の品質検知用ガスセンサ - Google Patents
食品の品質検知用ガスセンサInfo
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Description
いてスープ類等の加工食品の品質管理、製造管理に有効
に使用される食品の品質検知用ガスセンサに関し、さら
に詳しくは、食品のフレーバー画分に見い出される成分
である酢酸エチルに優れた応答特性を示すガスセンサに
関する。
水素、芳香族炭化水素、アルデヒド、ケトン、フラン
類、エステル、硫黄化合物、窒素化合物、フェノール、
油脂等の種々の呈味成分、におい成分を含有する。例え
ばコンソメスープでは、重要なにおい成分として、畜肉
中に含まれるエステル類、野菜を煮込んだ際に発生する
ケトン類、肉を煮込んだ際に発生するアルデヒド類、肉
の香ばしいにおい成分であるピラジン類、野菜を煮込ん
だ際の爽やかな香り成分である硫黄化合物が含まれてい
る。これらの各グループについては、それぞれ酢酸エチ
ル、アセトン、カプロンアルデヒド、2−メチルピラジ
ン、二硫化ジメチルといった代表的成分が挙げられ、こ
れらの成分が混合されてコンソメスープ独特のにおいを
形成している。
香気性を的確に評価し、その結果に基づいて各工程を管
理することが重要である。従来、スープ類等の加工食品
の製造工程における味やにおいに対する品質管理は、人
間の感覚に頼る官能試験を中心とし、これに糖度や透視
度等を測定するといった評価法を併用しているのが現状
である。
厳しい要求がなされるようになっており、従来のような
評価法では十分な品質管理を行うことが困難になってい
る。特に味やにおいの官能試験については、客観的に評
価しようとすれば、専門パネルの養成あるいはそれらの
複数の人による評価が必要であり、製造工程での即時的
対応は難しいこととなり、いわゆる味のプロが長年の勘
に頼っているのが現状である。また、官能試験では個人
差や体調などにも左右され、味やにおいの正確な判定を
行うことが難しい。
分析することにより、食品の品質を管理することも考え
られる。味の分析手段としては、高速液体クロマトグラ
フや、酵素センサ、微生物センサ等のうまみ成分用セン
サがあり、においの分析手段としては、ガスクロマトグ
ラフ等がある。しかし、高速液体クロマトグラフやガス
クロマトグラフは装置が複雑かつ大型で高価な上、操作
が煩雑で測定に時間を要するため、現場での管理に用い
るには不適である。また、上記のうまみ成分用センサで
は寿命や感度での問題が見られ、十分な結果が得られて
いない。
鑑みてなされたもので、スープ類等の加工食品の品質評
価を簡便、迅速、かつ安価に行うことが可能な食品の品
質検知用ガスセンサを提供することを目的とする。
に含まれるにおい成分の検討を行い、このにおい成分が
スープ類の官能評価に大きな影響を与えること、したが
ってスープ類に含まれるにおい成分に高感度に応答する
ガスセンサを開発すれば、スープ類の品質管理を簡便に
精度良く行なえることに着目した。そして、スープ類の
フレーバー画分に見い出される成分である酢酸エチルに
優れた応答特性を示す半導体ガスセンサ材料を探索し
た。その結果、三酸化タングステン(WO3)を分散し
た酸化亜鉛(ZnO)をセンサ素子材料として用いた場
合、酢酸エチル(C2H5CO2CH3)に対して優れた応
答特性を示し、スープ類等の品質評価のためのセンサと
して有用な半導体ガスセンサが得られることを知見し、
本発明をなすに至った。
ンを分散してなる酸化亜鉛をセンサ素子材料とし、酢酸
エチル応答性を有することを特徴とする食品の品質検知
用ガスセンサを提供する。
る三酸化タングステンの分散量[三酸化タングステン/
(酸化亜鉛+三酸化タングステン)]は、0.1〜10
重量%、特に1〜5重量%とすることが好ましい。三酸
化タングステンの分散量を0.1〜10重量%とするこ
とにより、酢酸エチルに対する応答特性が極めて良いセ
ンサを得ることができる。この場合、酸化亜鉛への三酸
化タングステンの分散は、コロイド吸着法、共沈法等の
公知の方法で行うことができる。また、本発明センサの
構造に限定はなく、通常の半導体ガスセンサと同様の構
造とすることができる。
的に示すが、本発明は下記実施例に限定されるものでは
ない。以下に述べるように種々の半導体ガスセンサを作
製し、スープ類中のにおい成分に対するこれらセンサの
特性を調べた。
類の金属酸化物をそれぞれ添加して粉末試料(センサ素
子材料)を調製した。得られた粉末試料を用いてセンサ
素子を作製した。
末試料を調製した。ベース材料のZnOは、塩化亜鉛を
NH3により加水分解し、得られた沈殿を乾燥・粉砕し
た後、空気中において600℃で5時間焼成し、さらに
ボールミルで粉砕して得た。金属酸化物の添加は、調製
条件を統一するために主に酢酸塩を用いて含浸法により
行った。まず、目的金属の酢酸塩を、酸化物となったと
きにベース材料に対して所定の割合になるように混合し
た。さらに蒸留水を加え、攪拌しながら試料がペースト
状になるまで水を蒸発させ、105〜110℃に保たれ
た乾燥器中で12時間乾燥させた。その後、粉砕して空
気中において600℃で5時間焼成した。
2O3、Eu2O3である。酢酸塩の存在しない金属につい
ては、アンモニウム塩、硫酸塩などから含浸法により添
加を行った。このようにして添加した酸化物は、W
O3、MoO3である。ベース材料に対する金属酸化物の
添加量[金属酸化物/(ベース材料+金属酸化物)]
は、いずれの粉末試料でも5重量%とした。
外径1.2mm)に電極として2本のPt線(0.3m
mφ)を3.0mmの間隔で巻き付けたものに、水で練
ってペースト状にしたセンサ材料(粉末試料)を塗布
し、室温で乾燥後、空気中において700℃で4時間焼
成してセンサ素子を作製した。
料)を用い、同様にしてセンサ素子を作製した。用いた
単独金属酸化物は、ZnO、In2O3、SnO2、α−
Fe2O3、WO3、Cr2O3である。
を求める方法(電流検出法)により測定した。この場
合、センサ素子を図2に示す測定回路に組み込みんだ。
なお、センサ素子はスポット溶接により素子ホルダに接
続し、その素子ホルダを反応管に装着した。素子ホルダ
を装着した反応管を図3に示す。
の流速で流通させた。この場合、測定温度に進む前に6
00℃×30分の乾燥空気による前処理を行った。その
後、湿潤空気雰囲気として測定温度まで冷却し、湿潤空
気中における素子抵抗の定常値(Ra)を求め、さらに
キャリヤガス(湿潤空気)中に目的ガス成分を導入した
被検ガスを流通させ、素子抵抗の定常値(Rg)を求め
た。その後、ガスを湿潤空気に切り換え、素子抵抗があ
る程度定常値に回復した後に、乾燥空気中600℃×3
0分の処理を行ってから次の測定へと進んだ。この場
合、目的成分を導入するキャリヤガスを湿潤空気とした
のは、実際のスープなどの食品サンプルから発生するガ
スを被検ガスとして測定を行うとすると、水蒸気の影響
は避けられないと考えられるからである。
す。この図の空気中及び被検ガス中の出力電圧を求める
と、以下の2式を用いてそれぞれの素子抵抗Rを求める
ことができる。 Ra=r(E/Va−1) Rg=r(E/Vg−1) ここで、rは基準抵抗、Eは印加電圧、Vは出力電圧、
添字a、gはそれぞれ空気中、ガス中を示す。さらに、
ガス感度Sは空気中の素子抵抗に対する被検ガス中の素
子抵抗の比で表される。 S=Ra/Rg
対する感度を測定温度300℃、400℃、500℃、
600℃でそれぞれ測定した。酢酸エチルの気相濃度は
20ppmとした。結果を図5に示す。図5より、湿潤
空気中の酢酸エチルに対する感度は、300〜500℃
の温度域において、ZnOが最も良いことがわかった。
nO素子の酢酸エチルに対する感度を測定温度300
℃、400℃、500℃、600℃でそれぞれ測定し
た。酢酸エチルの気相濃度は20ppmとした。結果を
図6に示す。図6より、湿潤空気中の酢酸エチルに対す
る感度は、500℃前後の温度域において、WO3−Z
nO素子が最も良いことがわかった。
nO素子のアセトインに対する感度を調べたところ、3
00℃前後の温度域において、WO3−ZnO素子(特
にWO3添加量が1重量%前後のもの)及びEu2O3−
ZnO素子がアセトインに対する感度が高く、これらの
素子のアセトインセンサとしての使用可能性が認められ
た。
る酢酸エチル感度の酢酸エチル濃度依存性を調べた。結
果を図7に示す。酢酸エチル濃度の対数値と酢酸エチル
感度の対数値との間に良好な直線性が得られており、W
O3−ZnO素子は良好な濃度依存性を示すことがわか
る。なお、図7における感度は、固有の値を乗じること
により酢酸エチル濃度を与える値である。
ソアミルアルコール、酢酸、硫化ジメチル、アセトン、
アセトインに対する選択性を調べた。センサ温度は50
0℃、目的成分の気相濃度は20ppmとした。結果を
図8に示す。図8より、WO3−ZnO素子は、酢酸エ
チル、イソアミルアルコール、アセトインに高感度に応
答するが、アセトン、硫化ジメチル、酢酸に対しては感
度が低いことが認められた。
する応答速度及び再現性を調べた。センサ温度は500
℃、酢酸エチルの気相濃度は20ppm、測定回数は5
回とした。その結果、90%応答時間は15秒、再現性
は0.77%CVであり、WO3−ZnO素子は、酢酸
エチル測定における応答速度及び再現性が良好であるこ
とが認められた。
エチル濃度をWO3−ZnO素子を用いた本発明ガスセ
ンサ及びガスクロマトグラフを用いてそれぞれ測定し
た。本発明ガスセンサのセンサ素子としてはWO3−Z
nO素子(WO3添加量5重量%)を用い、センサ温度
は500℃とした。
キャリヤガス(湿潤空気)中に目的ガス成分を導入する
ことにより調製した。図9の試料導入装置は、試料液注
入口を有する密閉可能な試料注入セルと、試料液注入セ
ル内に配置され、試料液注入口から注入された試料液
(スープ)が含浸される濾紙とを備え、試料注入セル内
で濾紙に含浸した試料液を気化させるとともに、この気
化試料をキャリヤガスガスに混合して反応管に導入する
ものである。この装置を用いることにより、測定環境の
におい成分の影響をカットし、清浄なキャリヤガスを得
ることができるため、目的成分であるスープ由来の酢酸
エチルを正確に測定することが可能となる。
本発明ガスセンサによる測定値はガスクロマトグラフに
よる測定値と良好な相関を示し、本発明ガスセンサの信
頼性が確認された。
検知用ガスセンサは、食品に含まれるにおい成分である
酢酸エチルに対する応答特性に優れ、特にコンソメスー
プ等のスープ類の品質管理、製造管理に有効に使用する
ことができるものである。
る。
る。
略図である。
る。
ル感度と温度との関係を示すグラフである。
感度と温度との関係を示すグラフである。
対数値と酢酸エチル感度の対数値との関係を示すグラフ
である。
示すグラフである。
装置の一例を示す概略図である。
とガスクロマトグラフで測定した酢酸エチル濃度との相
関を示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】 三酸化タングステンを分散してなる酸化
亜鉛をセンサ素子材料とし、酢酸エチル応答性を有する
ことを特徴とする食品の品質検知用ガスセンサ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP20049895A JP3328469B2 (ja) | 1995-07-13 | 1995-07-13 | 食品の品質検知用ガスセンサ |
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Family Applications (1)
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