JP3325447B2 - 粒子分析装置およびその方法 - Google Patents

粒子分析装置およびその方法

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JP3325447B2 JP35071195A JP35071195A JP3325447B2 JP 3325447 B2 JP3325447 B2 JP 3325447B2 JP 35071195 A JP35071195 A JP 35071195A JP 35071195 A JP35071195 A JP 35071195A JP 3325447 B2 JP3325447 B2 JP 3325447B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は粒子分析装置およ
びその方法に関し、例えば、尿中に含有される血球、円
柱、上皮細胞、細菌などの有形成分を検出する装置およ
びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の粒子分析装置においては、染色し
た粒子に光を照射して前方または側方の蛍光および散乱
光を測光するようにした光学式装置や、電気抵抗式の粒
子計数器においてオリフィスに針状の部材を挿入して各
種サイズの粒子を計数するようにした装置などが知られ
ている(例えば、特開平4−337459号公報および
欧州出願公開公報第242971A2号参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
装置で尿中に含まれる粒子を分析すると、粒子の種類が
多いことや形態が複雑であるばかりでなく、その数や形
態が変化し易いため、粒子の分類や分析が難しいという
問題があった。この発明はこのような事情を考慮してな
されたもので、尿中の粒子に関する情報を光学的に検出
し、それらの情報に基づいて粒子の種類を判別して粒子
の数を計数する粒子分析装置およびその方法を提供する
ものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、粒子含有試
料液をシース液に包んで試料流を形成するシースフロー
セルと、試料流に光を照射する光源と、粒子から光学的
情報を検出して電気信号に変換する光検出部と、電気信
号に基づいて粒子を分析する分析部を備え、分析部は、
検出された光学的情報から複数のパラメータを抽出する
パラメータ抽出部と、複数のパラメータについての分布
図を作成する分布図作成部と、分布図内に予め予想領域
を設定する領域設定部と、設定された予想領域内の度数
極大点を抽出する抽出部と、抽出された極大点をそれが
属する分画領域の領域構成点とし、領域構成点とその隣
接点を度数について比較して隣接点の方が小さいときに
はその隣接点を新しい領域構成点とし、この比較をくり
返して得られた全領域構成点の集まりを分画領域と決定
する分画領域決定部と、決定された分画領域の粒子数を
計数する演算部を備えた粒子分析装置を提供するもので
ある。
【0005】この発明の分析装置における被検粒子(有
形成分)は、主にヒトの尿に含まれる血球、円柱(cas
t)、上皮細胞、細菌などのような粒子であり、これらは
予め蛍光染料や蛍光標識試薬によって処理された粒子で
あってもよい。
【0006】なお、円柱とはTomm-Horsfallムコ蛋白
が、少量の血しょう蛋白(アルブミン)の存在のもとで
腎尿細管腔内において凝固沈殿したものが基質となり、
その基質内に血液細胞や腎尿細管上皮細胞などが包埋さ
れたものである。
【0007】円柱は、その形状からcylinderあるいは尿
細管腔を鋳型として形成されることからcastと呼ばれて
いる(円柱の存在は尿細管腔に一時的な閉塞があったこ
とを意味し、腎実質障害を示唆する所見として重要であ
り、とくに血液細胞、上皮円柱などの内容物を含むもの
は臨床的意義が高い)。
【0008】この発明のシースフローセルには、細孔に
よって連通された上下2つのセルからなり、粒子を含む
試料液をシース液に包んで流すことにより流体力学的効
果によって試料液の流れを形成して細孔に粒子を一列に
通過させるようにしたものを用いることが好ましい。
【0009】この発明に用いるシースフローセルは、例
えば、細孔に試料液を0.5〜10m/sec程度の速度で
流すものである。光源は、細孔を通過中、通過直前、又
は通過直後の粒子に、フローセルの外部から光ビームを
照射するものであり、これには、連続的に発光する(パ
ルス発光でないタイプのもの)レーザ光源に集光用レン
ズを付加したものを用いることが好ましい。照射するビ
ーム巾(流れ方向)は5〜30μmが好ましい。
【0010】光検出部は、光ビームを受けた粒子から発
せられる光学的情報つまり散乱光や蛍光を検出してパル
ス状の電気信号に変換するものであるが、これには、ホ
トダイオード、ホトトランジスタ又はホトマルチプライ
ヤーチューブなどを用いることができる。なお、分析部
は、CPU,ROMおよびRAMからなるマイクロコン
ピュータによって構成されることが好ましい。
【0011】パラメータ抽出部は、検出された蛍光およ
び散乱光についてのパルス信号の各波高値からそれぞれ
蛍光強度Flおよび散乱光強度Fscを抽出し、パルス
幅から蛍光発光時間(蛍光パルス幅)Flwおよび散乱
光発光時間(散乱光パルス幅)Fscwなどを抽出する
が、波高値の算出にはピークホールド回路を、パルス幅
の算出にはカウンタ回路を用いることができる。
【0012】算出されたパラメータは、パラメータ空間
における分布データF(X)に変換される。分布データ
はパラメータX1,X2,…,Xnから必要に応じて選
択されたm個(例えば2つ)のパラメータX1,X2,
…,Xmにより規定されるm次元特徴パラメータ空間の
座標(X1,X2,…,Xm)における度数F(X1,
X2,…,Xm)として形成される。そこで、分布図作
成部は、パラメータX1,X2,…,Xmを軸とする度
数分布図(ヒストグラムおよびスキャッタグラム)を作
成する。
【0013】ところで、尿中有形成分を分析対象とする
場合、出現しうる有形成分の種類が多く、また出現した
場合の数もかなり幅があること、有形成分の出現形態に
幅があること(損傷の程度が違うなど)、採取からの経
過時間とともに有形成分の形態や数が変化しやすい(細
菌の増殖、赤血球溶血の進行、結晶の析出など)など尿
特有の事情により血液の場合と比べて分布図から有形成
分を分類することは容易でない。
【0014】例えば、赤血球の場合、健常人の尿にはほ
とんど出現せず、血尿の場合には数十個〜数千個/μl
以上出現する(これは分布図における出現度数の違いと
して表れる)。
【0015】また、尿中赤血球には、損傷の程度が少な
く内容物を保持している(非溶血)状態の赤血球からほ
とんど内容物が溶出してしまった(溶血)状態の赤血球
まである(これは分布図の出現位置の違いとして、ある
いは分布領域の広がりとして表れる)。
【0016】尿採取からの時間経過とともに例えば、酸
性尿の場合には溶血が進行したり、細菌尿の場合には細
菌が増殖したり、低温保存の場合には結晶が成長し析出
したりする。従って、分布図の分布形状が複雑になって
同一流の分布(分画領域)に複雑のピークが存在するよ
うな現象が生じ、有形成分を精度よく分類することが難
しい。
【0017】そこで、本発明では、分画領域決定部にお
いて、分布図の極大点(度数がある値以上であってかつ
周囲より大きい度数を持つ座標)からスタートして順次
度数の低い隣接点へ下降していくように領域を拡大する
ことにより分布形状が複雑な場合にも分画領域を容易に
決定できるようにしている。
【0018】つまり、尿中の有形成分を測定して得られ
た分布図において、目的とする有形成分の度数極大点が
分布すると予想されている領域(少なくとも分布のピー
クが1つ以上存在すればよい)を予め設定しておき、そ
の領域に閾値を設定し度数がその閾値を越え周囲より大
きい度数を持つ座標つまり極大点をまず分画領域の領域
構成点とする。
【0019】そして、領域構成点に隣接する座標のうち
度数が領域構成点の度数より少ない座標を順次新しい領
域構成点としていき(分画領域の拡張)、最終的に全領
域構成点の集まりを分画領域と決定する。
【0020】また、予め分布図の座標を合併しておけば
処理対象の座標を少なくすることができるので処理工程
の簡易化、高速化が可能となる。例えば、4×4の座標
を1つに合併すると分布図の座標数は1/16になる。
【0021】本発明の分析装置によれば、分布図におい
て粒子を分画するために、最初に一つあるいは複数の極
大点を決定し、後は各隣接点との度数の比較により次々
と分画領域を拡張していく方式であるので、分布形状が
複雑でも、極大点が複数あっても、また、分布数が少な
くても、それらに関係なく目的とする粒子を分類するこ
とができる。
【0022】また、統計的手法が適用しにくい少分布数
の場合でも適用可能である。さらに、分析装置の感度変
化などにより分布が多少シフトしてもその影響を受けず
良好に有形成分の分類を行うことができる。これは粒度
分布全体のシフトする領域に比べ度数極大点のシフトす
る領域は小さいためである。
【0023】この発明は、別の観点から、粒子含有試料
液をシース液に包んで試料流を形成する工程と、試料流
に光を照射して粒子から光学的情報を検出して電気信号
に変換する工程と、電気信号から複数のパラメータを抽
出する工程と、複数のパラメータについての分布図を作
成する工程と、分布図内に予め予想領域を設定する工程
と、設定された予想領域内の度数極大点を抽出する工程
と、抽出された極大点をそれが属する分画領域の領域構
成点とし、領域構成点とその隣接点を度数について比較
して隣接点の方が小さいときにはその隣接点を新しい領
域構成点とし、この比較をくり返して得られた全領域構
成点の集まりを分画領域と決定する工程と、決定された
分画領域の粒子数を計数する工程を備えた粒子分析方法
を提供するものである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施形態に基づ
いてこの発明を詳述する。なお、これによってこの発明
が限定されるものではない。
【0025】図1は分析装置の要部構成を示す説明図で
あり、1および2は弁、3は試料液容器(図示しない)
から希釈、染色などの前処理がなされた試料液を吸引す
る吸引ノズル、4はシリンジ、5はフローセル、6は試
料ノズル、7aは第1セル、7bは第2セル、8は弁、
9はシース液容器、10はシース液を第1セル7aに供
給する供給口、11は図2に示す断面を有し第1セル7
aと第2セル7bを接続する細孔であり、オリフィス状
のものを含む(以後、オリフィスと称して説明する)。
【0026】12は第1セル7aに設けられたステンレ
ス製の電極、13は第2セル7bに設けられた白金製の
電極、14は第2セル7bに設けられた排液口、15は
電極12を陰極として電極13を陽極として電極12と
電極13との間に接続された直流定電流電源、16は電
源15の出力電圧を増幅し信号29として出力する増幅
器である。
【0027】また、17はアルゴンレーザ光源、18は
コンデンサーレンズ、19はビームストッパ、20はコ
レクターレンズ、21はピンホール、22はダイクロイ
ックミラー、23はフィルター、24はホトマルチプラ
イヤーチューブ、25はホトダイオード、26は試料ノ
ズル6から出力される試料液流、30はピンホール21
を有する遮光板である。
【0028】このような構成において、まず、弁1、2
を所定時間開けると、陰圧により吸引ノズル3から試料
液(この実施形態では尿中有形成分を含む試料液)が弁
1、2の間に満たされる。
【0029】次に、シリンジ4が一定流量で弁1、2間
の試料液を試料ノズル6へ押し出すことにより、試料ノ
ズル6から試料液が第1セル7aに吐出される。それと
同時に弁8を開けることにより第1セル7aにシース液
が供給される。
【0030】これによって試料液はシース液に包まれ、
さらにオリフィス11によって細く絞られてシースフロ
ーを形成する。オリフィス11の断面形状は図2に示す
ように一辺がdが100〜300μmの角穴を有し、光
学硝子(石英硝子も含む)で形成されている。
【0031】このようにシースフローを形成することに
よって試料液に予め含まれた粒子を一個ずつオリフィス
11を介して一列に整列して流すことができる。オリフ
ィス11を通過した試料液とシース液は第2セル7bに
設けた排液口14から排出される。
【0032】電極12、13間の電気抵抗は、シース液
の導電率(電気伝導度)、オリフィス11の穴寸法(断
面積)と穴長さ、試料液の導電率、試料液の流れの径に
よって決まる。
【0033】直流定電流電源15から電極12、13間
に定電流を流すことにより、電極12、13間の電気抵
抗と電流値により決まる直流電圧が発生する。また、オ
リフィス11を粒子が通過すると、オリフィス11の両
端の電気抵抗が変化するので、電気抵抗が粒子の通過中
だけ電極12、13間に発生する電圧がパルス状に変化
し、その変化分の最大値(パルスの波高値)はオリフィ
ス11を通過する粒子の大きさに比例する。この変化分
が増幅器16で増幅され抵抗信号29(パルス状のアナ
ログ信号)として出力される。
【0034】一方、オリフィス11を流れる試料液流2
6へレーザ17から発振したレーザ光がコンデンサーレ
ンズ18で楕円形に絞られて照射される。その楕円形の
サイズは、試料の流れの方向には被験粒子径と同程度、
例えば10μm前後であり、試料の流れ方向と直交する
方向には被験粒子径より十分大きく、例えば100〜4
00μm程度である。
【0035】試料液中の粒子に当たらずそのままフロー
セル5を透過したレーザ光はビームストッパ19で遮光
される。レーザ光をうけた粒子から発せられる前方散乱
光及び前方蛍光はコレクターレンズ20により集光さ
れ、遮光板30のピンホール21を通過する。そして、
ダイクロイックミラー22に到達する。
【0036】散乱光より長波長の蛍光はそのままダイク
ロイックミラー22を透過し、フィルター23で更に散
乱光が除かれた後にホトマルチプライヤーチューブ24
で検出され蛍光信号27(パルス状のアナログ信号)と
して出力される。また、散乱光はダイクロイックミラー
22で反射されホトダイオード25で受光されて散乱光
信号28(パルス状のアナログ信号)として出力され
る。
【0037】図3は、前述のようにして得られた蛍光信
号27、散乱光信号28および抵抗信号29を処理する
分析部100のブロック図であり、パラメータ演算部2
00は、増幅器31〜33、直流再生回路34,35、
コンパレータ37,39、ピークホールド回路38,5
0、クロックゼネレータ52、カウンタ,42,44、
A/D変換器43,45,51、およびカウンタ用制御
回路46を備える。47はデータ格納部、48はデータ
処理部、49は表示部である。
【0038】次に、このような構成における信号処理動
作の概要を説明する。パルス状の散乱光信号28は増幅
器32で増幅され、直流再生回路35で直流レベルが固
定される。直流再生回路35から出力されるパルス信号
S2はコンパレータ39において、閾値Th1(図22
参照)と比較され、閾値Th1を超える期間(パルス
幅)Fscwがカウンタ44により散乱光発光時間(散
乱光パルス幅)として計時される。散乱光発光の最大値
がピークホールド回路50にとらえられて、A/D変換
器51によってA/D変換されて散乱光強度Fscが得
られる。
【0039】パルス状の蛍光信号27は増幅器31で増
幅され、直流再生回路34で直流レベルが固定され信号
S1として出力される。信号S1はコンパレータ37で
閾値Th2(図23参照)と比較され、閾値Th2を超
える期間がカウンタ42で計時され蛍光発光時間(蛍光
パルス幅)Flwとなる。
【0040】あわせて、蛍光信号27の最大値がピーク
ホールド回路38でとらえられてA/D変換器43によ
ってA/D変換され蛍光強度Flが得られる。
【0041】パルス状の抵抗信号29は増幅器33で増
幅され、サンプルホールド回路40でピーク値(パルス
波高値)がホールドされA/D変換器45でデジタル値
に変換される。
【0042】デジタル化された各カウンタ42、44お
よびA/D変換器43、45、51の出力信号は、デー
タ格納部47に格納されると共にヒトスグラムやデータ
処理部48に送られ粒子の弁別処理が行われる。
【0043】つまり、分布図(ヒストグラムやスキャッ
タグラム)に基づいて赤血球、円柱、硝子円柱、封入体
のある円柱などの分類が行われる。そして分類された粒
子はカウント(計数)され、試料1マイクロリットル当
たりの数に換算される。また、その結果は各種分布図と
共に表示部49に表示される。
【0044】図4は、データ処理部48の構成を示すブ
ロック図である。図4において、61は各種の値や予想
領域などの条件を予め設定するためのデータの入力部で
あり、例えば、キーボードやマウスにより構成される。
【0045】また、61aは設定された各種条件を格納
する設定条件格納部である。62はデータ格納部47に
格納されたパラメータ情報に基づいて分布図、つまりF
l−Fsc,Fscw−Fl,Fscw−Flwについ
ての各スキャッタグラムやFl,Fsc,Flw,Fs
cwなどについての各ヒストグラムを作成する分布図作
成部、63は分布図作成部62で作成された分布図から
座標や領域を抽出する抽出部である。
【0046】64は分布図作成部62で作成される分布
図において各粒子の分画領域を決定する分画領域決定
部、65は分画領域内の粒子数の計数や各種の演算を行
う演算部、66は分画や計数の結果に異常を検出すると
警告を発する警告部、67は決定された分画領域に存在
する粒子の種類を判定する判定部である。そして、演算
部65の演算結果および警告部66の発する警告は分布
図作成部62で作成された分布図と同様に表示部49に
表示される。
【0047】次に、データ処理部48における主な動作
について詳述する。 (1)分布図における分画領域の決定 この分析装置は、検出した粒子を分類するために、分布
図において分画領域を決定するが、その処理の一例を図
5のフローチャートを用いて説明する。
【0048】まず、分布図作成部62によりFl−Fs
c分布図(スキャッタグラム)が作成されて、図6のよ
うに表示されると(ステップS1)、設定条件格納部6
1aに記憶されている、赤血球の分布の度数極大点が存
在すると予想される予想分画領域S0が呼出され、図7
に示すように設定される(ステップS2)。なお、入力
部61を用いて使用者が予想分画領域S0を変更するこ
ともできる。
【0049】次に、抽出部63は、領域S0に閾値を設
定し度数がその閾値を越え周囲より大きい度数を持つ
点、つまり極大点P1,P2,……を図8のように抽出
する(ステップS3)。
【0050】そして、この極大点P1には、求める分画
領域を構成する1つの点であるとするマークが図9に示
すように付加される(図9では黒点として表されてい
る)(ステップS4)。
【0051】次に、マーク付きの点(黒点)とその周囲
の点とが度数で比較され、度数の低い点は、図10に示
すようにマークが付加される(ステップS5〜S7)。
この処理がくり返されマーク付きの点の周囲に度数の低
い点がなくなると(ステップS6)、図11に示すよう
にマーク付きの点の集合が領域S1として決定される。
【0052】極大点が複数個ある場合についても、同様
の処理が実行される。極大点P2については領域S2が
決定され(ステップS9〜S13)、図12のように、
領域S1と領域S2を合わせた領域が赤血球分画領域と
して決定される(ステップS14)。
【0053】他の種類の粒子(有形成分)についても、
同様に各分画領域が決定され、分画領域によって分類さ
れた粒子の度数が演算部65で計数され、表示部49に
表示される。
【0054】上記のように、この発明による分画方式
は、最初に1つ以上の極大点を決定し、後は各隣接点と
の度数の比較により領域を拡大していく方式であるの
で、分布形状が複雑でも、度数の極大点が多数存在して
も、また、分布数が少なくてもそれらの影響を受けるこ
となく分画領域を決定することができる。
【0055】また、分析装置の感度変化などによって分
布が多少シフトしていてもその影響を受けずに分画領域
を決定できる。
【0056】さらに、予め分布図の座標を合併しておけ
ば、処理対象の座標を少なくすることができるので、処
理工程の簡略化、高速化可能となる。例えば、4×4の
座標を1つに合併すると分布図の座標数は1/16にな
る。
【0057】(2)溶血赤血球の分析 この発明では、従来行われていない溶血赤血球の分析を
行うようにしているので、次のその分析手順を説明す
る。
【0058】まず、分画領域決定部64は、分布図作成
部62で作成されたFl−Fscの分布図について、図
13に示すように、非溶血赤血球が主として存在する領
域A、領域Aの赤血球よりも散乱光強度Fscが低く溶
血赤血球が主として存在する領域Bを決定する。
【0059】次に、入力部61により、領域Aの赤血球
よりも散乱光強度Fscが低く溶血赤血球が存在する領
域Cが設定される(ただし領域Cは連鎖桿菌の出現頻度
は低い)。次に、分画領域決定部64は、分布図作成部
62で作成されたFscw−Fl分布図について、分画
領域決定部64により、図14に示すように、溶血赤血
球が存在する領域Dを決定する(ただし、領域Dは連鎖
桿菌が出現しうる)。
【0060】そして、演算部65は、領域Aに存在する
非溶血赤血球数R、領域Bに存在する溶血赤血球数r
1、そして領域Cと領域Dとに同時に存在する溶血赤血
球数r2をそれぞれ算出する。
【0061】そして、溶血赤血球数rと全赤血球RBC
を r=r1+r2 ……(1) RBC=R+r ……(2) により算出する。
【0062】なお、溶血赤血球数rは時間と共に変化す
る。例えば、Fscのヒストグラム(図24)で見たと
きに、非溶血赤血球数Rと溶血赤血球rとの比率が、8
0%対20%であっても、その比率は時間の経過によっ
て変化し、図25に示すように20%と80%になる。
【0063】図25ではバクテリアの度数分布Jと溶血
赤血球数rの分布とが大きく重なりあうため、図25の
ような状態で溶血赤血球数rを計数しても、精度よく計
数できない。すなわち、溶血赤血球数rの計数値が所定
値以上になると、その計数値は不正確な値になると考え
られる。
【0064】従って、領域Cはこの溶血赤血球の経時変
化を考慮して入力部61により半固定的に設定される。
また、演算部65は、溶血赤血球比率hを、h=r/
(R+r)として算出し、hが所定値より大きい場合に
は、溶血赤血球の分布領域がバクテリアの分布領域と重
なり合うため分画異常とみなして警告部66が表示部4
9にその旨表示させる。
【0065】このようにして、この発明によれば、従来
測定されていなかった溶血赤血球が計数されるので、尿
中の全赤血球数を求めることが可能となる。また、溶血
赤血球数をその経時変化に追従して精度よく測定するこ
とができる。
【0066】(3)分析(分画)異常の警告 この分析装置は、前述のような分析(分画)異常を警告
する機能を備えるが、その他にも、互いに種類の異なる
粒子が同一分画領域に混在すると判断した場合、分画不
能としてそれを警告するようにしている。その処理手順
を、まずシュウ酸カルシウムと赤血球を例にして説明す
る。
【0067】分布図作成部62によりFl−Fsc分布
図が作成され、分画領域決定部64が図16のように、
分画領域Xを決定すると、分画領域決定部64は、予め
設定された赤血球が存在すると予想される領域S0と比
較する。シュウ酸カルシウムの領域Xは、領域S0とほ
とんど重なり合うが、領域S0に比べてFscが高いレ
ベルまで存在するので、その差が所定レベル以上になる
と、警告部66は、シュウ酸カルシウムの存在により赤
血球の分画が不可能であるとして警告を発する。
【0068】また、DHA結晶が存在する場合には、図
17のFl−Fsc分布図に示すように、設定された予
想領域S0を横切って存在するので、赤血球のみを正し
く分画できない。
【0069】この場合には、警告部66が、分布図作成
部62で作成されたFlのヒストグラム(図18)につ
いて、その度数のピーク値aとa/5の度数における分
布幅bとの比b/aを所定値と比較する。この所定値
は、通常の赤血球のヒストグラム(図19)に基づいて
設定される。そこで、b/aが所定値より大きい場合に
は、警告部66はDHA結晶の存在により、赤血球の分
画が不可能であるとして警告を発する。
【0070】(4)円柱の検出と細分類 細胞膜と核を染色する染色法によって予め尿中有形成分
(粒子)を染色しておくと、血球、上皮、細菌および結
晶では、散乱光発光時間Fscwと蛍光発光時間Flw
との比率がほぼ同じ値になるが、円柱の蛋白質部分は、
染色が微弱であるためその比率が異なる。
【0071】また、内容物を含む円柱は内容物が染色さ
れるので、内容物の密度に応じてその比率が変化する。
このような特性を利用してこの分析装置では、円柱の分
類を行うと共に、円柱を内容物を含む円柱と内容物を含
まない円柱(硝子円柱)とに分類するようにしている。
【0072】具体的に述べると、図21に示す円柱Zの
サイズLは、図22に示す散乱光パルス幅Fscwに比
例し、円柱Zが予め染色されていると、内容物Z1、Z
2、Z3のサイズL1、L2、L3は、図23に示す蛍
光信号のパルス幅Flw1、Flw2、Flw3にそれ
ぞれ比例する。
【0073】なお、図22及び図23におけるTh1と
Th2は、図3のコンパレータ39、37に予め設定さ
れた閾値である。
【0074】そこで、この分析装置では、 Flw=Flw1+Flw2+Flw3 ……(3) とする。
【0075】つまり、1つの円柱について、蛍光パルス
幅、Flw1、Flw2、……Flwnが得られると
き、1つの円柱から得られるパルス幅F1wを
【0076】
【数1】
【0077】として算出する。
【0078】このようにして得られるFlwに基づいて
分布図作成部62が作成するFscw−Flw分布図で
は、図20に示すように赤血球分布領域T1と、白血球
分布領域T2と、上皮細胞分布領域T3は、ほぼ直線L
1上に配列し、円柱の分布領域T4は直線L2を境にし
て領域T1〜T3から離れて存在する。
【0079】従って、判定部67は、直線L2よりも下
側に分布する領域T4を円柱の分布領域として決定す
る。これは、また、スキャッタグラムの各座標におい
て、Flw/Fscwの値が直線L2の傾きより小さい
ときにその座標の属する領域は円柱領域であると決定し
てもよい。
【0080】また、一般に、円柱は内容物の含有量の多
少により、内容物含有円柱と内容物非含有円柱(硝子円
柱)とに分類される。従って、分類の基準となる直線L
3を入力61により図20のように設定すれば、判定部
67は、それを境界にして上側の領域T4aを内容物含
有円柱の分布領域、下側の領域T4bを硝子円柱の分布
領域というように分類する。
【0081】
【発明の効果】この発明によれば、分布図において、設
定領域中にまず、1つ以上の度数極大点を決定し、その
極大点から順次領域を拡大して分画領域を決定するの
で、分布形状の複雑さ、極大点の数、分布数の多少など
に関係なく目的とする粒子の分画領域を精度よく決定す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の構成図である。
【図2】図1の要部の断面図である。
【図3】実施形態の要部を示すブロック図である。
【図4】図3の要部を示すブロック図である。
【図5】実施形態の要部の動作を示すフローチャートで
ある。
【図6】実施形態の動作を示す分布図である。
【図7】実施形態の動作を示す分布図である。
【図8】実施形態の動作を示す分布図である。
【図9】実施形態の動作を示す説明図である。
【図10】実施形態の動作を示す説明図である。
【図11】実施形態の動作を示す説明図である。
【図12】実施形態の動作を示す分布図である。
【図13】実施形態の動作を示す分布図である。
【図14】実施形態の動作を示す分布図である。
【図15】実施形態の動作を示す分布図である。
【図16】実施形態の動作を示す分布図である。
【図17】実施形態の動作を示す分布図である。
【図18】実施形態の動作を示すヒストグラムである。
【図19】実施形態における赤血球のヒストグラムであ
る。
【図20】実施形態におけるスキャッタグラムの分布領
域を示す説明図である。
【図21】円柱を示す外形図である。
【図22】実施形態における散乱光パルスの波形図であ
る。
【図23】実施形態における蛍光パルスの波形図であ
る。
【図24】実施形態における非溶血赤血球と溶血赤血球
とバクテリアのヒストグラムである。
【図25】実施形態における非溶血赤血球と溶血赤血球
とバクテリアのヒストグラムである。
【符号の説明】
1 弁 2 弁 3 吸引ノズル 4 シリンジ 5 フローセル 6 試料ノズル 7a 第1セル 7b 第2セル 8 弁 9 シース液容器 10 供給口 11 オリフィス(細孔) 12 電極 13 電極 14 排液口 15 直流定電流電源 16 アンプ 17 レーザ光線 18 コンデンサーレンズ 19 ビームストッパ 20 コレクターレンズ 21 ピンホール 22 ダイクロイックミラー 23 フィルター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−42358(JP,A) 特開 昭63−191043(JP,A) 特開 平2−165050(JP,A) 特開 平5−149863(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 15/14 G01N 33/48 G01N 33/49 G01N 33/493

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子含有試料液をシース液に包んで試料
    流を形成するシースフローセルと、試料流に光を照射す
    る光源と、粒子から光学的情報を検出して電気信号に変
    換する光検出部と、電気信号に基づいて粒子を分析する
    分析部を備え、分析部は、電気信号から複数のパラメー
    タを抽出するパラメータ抽出部と、複数のパラメータに
    ついての分布図を作成する分布図作成部と、分布図内に
    予め予想領域を設定する領域設定部と、設定された予想
    領域内の度数極大点を抽出する抽出部と、抽出された極
    大点をそれが属する分画領域の領域構成点とし、領域構
    成点とその隣接点を度数について比較して隣接点の方が
    小さいときにはその隣接点を新しい領域構成点とし、こ
    の比較をくり返して得られた全領域構成点の集まりを分
    画領域と決定する分画領域決定部と、決定された分画領
    域の粒子数を計数する演算部を備えた粒子分析装置。
  2. 【請求項2】 度数極大点が予想領域内に複数個存在す
    る請求項1記載の粒子分析装置。
  3. 【請求項3】 粒子含有試料液をシース液に包んで試料
    流を形成する工程と、試料流に光を照射して粒子から光
    学的情報を検出して電気信号に変換する工程と、電気信
    号から複数のパラメータを抽出する工程と、複数のパラ
    メータについての分布図を作成する工程と、分布図内に
    予め予想領域を設定する工程と、設定された予想領域内
    の度数極大点を抽出する工程と、抽出された極大点をそ
    れが属する分画領域の領域構成点とし、領域構成点とそ
    の隣接点を度数について比較して隣接点の方が小さいと
    きにはその隣接点を新しい領域構成点とし、この比較を
    くり返して得られた全領域構成点の集まりを分画領域と
    決定する工程と、決定された分画領域の粒子数を計数す
    る工程を備えた粒子分析方法。
  4. 【請求項4】 度数極大点が予想領域内に複数個存在す
    る請求項3記載の粒子分析方法。
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