JP3323779B2 - 反射プリズム付き測量器械 - Google Patents

反射プリズム付き測量器械

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JP3323779B2
JP3323779B2 JP17557697A JP17557697A JP3323779B2 JP 3323779 B2 JP3323779 B2 JP 3323779B2 JP 17557697 A JP17557697 A JP 17557697A JP 17557697 A JP17557697 A JP 17557697A JP 3323779 B2 JP3323779 B2 JP 3323779B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、推進工法等におけ
る自動測量を可能にする反射プリズム付き測量器械に関
する。
【0002】
【従来の技術】いわゆるトータルステーションは、2点
間を光波が往復する時間を測定して距離を求める光波測
距儀と電子制御されるトランシットを一体化してなり、
器械点に置かれ,入射光を入射方向に反射する反射プリ
ズム(コーナーキューブ)を視準して測定キーを押すだけ
で、視準点の反射プリズムへの水平角,鉛直角,距離を測
定,表示するとともに、測定データをコンピュータで計
算処理して種々の測量値を得るものである。従来、この
ようなトータルステーションを用いた推進工法の測量方
法として、例えば図7に示すような手法が知られてい
る。この推進工法は、地盤に鉛直に発進立坑31を掘削
し、その底部31aに搬入したシールド機33で湾曲す
る横坑32を掘削し、立坑底部31aの推進ジャッキ3
5によって、ヒューム管34をシールド機33の掘進速
度に合わせて横坑32の前方へ推進させるもので、先端
のヒューム管34とシールド機33の間には、掘進方向
制御用のジャッキ36が装備されている。なお、説明の
便宜のため横坑32は、水平面内で掘削されるものとす
る。
【0003】上記推進工法における測量は、まず図7
(A)に示すように、発進立坑31の座標が既知の基準点
1にトータルステーションを設置し、このトータルス
テーションにより、発進立坑31内の座標が既知の方位
基準点P0およびシールド機33に設けたターゲットPm
に上記トータルステーションに向けて夫々置かれた反射
プリズムを視準して、方位基準点P0,ターゲットPm
の距離l0,l1と水平夾角θ1を測定し、ターゲットPm
の座標を算出する。次に、図7(B)に示すように、シー
ルド機33の掘削が進んで、その後方に4本のヒューム
管34が曲線状に継ぎ足されると、基準点P1からター
ゲットPmが視準できなくなるため、中間の適切な測点
2に新たな反射プリズムを基準点P1に向けて置き、基
準点P1にあるトータルステーションで視準して、新た
な距離l1'と新たな水平夾角θ1'を測定した後、測点P
2にトータルステーションを移設し、かつ基準点P1に測
点P2に向けて新たな反射プリズムを設置し、移設した
トータルステーションによる視準で、同様にターゲット
mへの距離l2と水平夾角θ2を測定し、ターゲットPm
の座標を算出する。
【0004】さらに、図7(C)に示すように、掘削が進
んでヒューム管34上の測点P2から基準点P1が視準で
きなくなると、基準点P1と測点P2の間に新たに測点P
3を設け、まず、この測点P3にトータルステーションを
再び移設し、基準点P1と測点P2に測点P3に向けて夫
々設置した反射プリズムを上記トータルステーションで
視準して、距離l1",l2'と水平夾角θ2'を測定し、次
いで、前方の測点P2にトータルステーションを移設
し、測点P3に測点P2に向けて設置した反射プリズムと
シールド機33のターゲットPmを上記トータルステー
ションで視準して、ターゲットPmへの距離l3と水平夾
角θ3を測定し、これらの測定データからターゲットPm
の座標を算出するのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の測量方法
が、このようなトータルステーションの頻繁な移設(盛
り替え)および反射プリズムの頻繁な移設と方向調整を
必要とするのは、掘進に伴なう推進により一連のヒュー
ム管34全体が常に移動するため、ヒューム管34内に
測量用の基準点を設置できないという推進工法の特殊性
に起因する。そのため、横坑32の曲率半径が小さい場
合などは、定尺2.5m程度のヒューム管34を継ぎ足
す都度、トータルステーションおよび反射プリズムの盛
り替えと反射プリズムの方向調整をしながら、発進立坑
31の基準点P1から先端のシールド機33までの測量
を順次行なわなければシールド機33の現在位置が求ま
らず、狭いヒューム管内での煩雑な作業のため2〜3人
の人手と長時間を要し、施工サイクルにも悪影響を及ぼ
すという問題がある。また、湾曲する狭いヒューム管の
ため十分に深い水平夾角がとれないことと、横坑32の
全長に亙る測量の繰り返しとにより、測定精度が上がら
ないうえ、誤差が累積して測量精度が悪いという問題が
ある。
【0006】ここで、煩雑な盛り替え作業を回避するた
め、発進立坑31において継ぎ足されるヒューム管34
内に、横坑32の曲率半径や断面直径を考慮して視準が
きく所定距離を隔ててトータルステーションを順次設置
する方法が考えられる。しかし、継ぎ足したヒューム管
に設置したトータルステーションは、初めは前のトータ
ルステーションに対して後視準点だが、掘削が進むにつ
れて前後のトータルステーションに対する器械点,後の
トータルステーションに対する前視準点に変わるため、
これに合わせて前後に隣り合うトータルステーションの
位置に反射プリズムを設置してその方向を変更,調整す
る必要があり、この作業にやはり手間と時間がかかると
いう問題がある。また、視準するトータルステーション
の走査範囲に、複数の反射プリズム、他のトータルステ
ーションのレンズまたはヘルメット,反射テープ,消灯ラ
ンプなどの反射体があると、測距用のレーザ光がこれら
の反射体に反応して、誤視準および誤測定をしてしまう
という問題がある。
【0007】そこで、本発明の目的は、掘進機に後続し
て推進,埋設される管体内に複数設置することにより、
反射プリズムの置き換え,方向調整を自動化でき、前視
準点および後視準点の反射プリズム以外からの反射光に
よる誤視準,誤測定を無くして、迅速かつ高精度に掘進
機の位置を測定でき、測量ひいては推進工法の能率化を
図ることができる測量器械を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明は、電子式トランシットと光波測距
儀を一体化したトータルステーションと、このトータル
ステーションの頂部に、入射光をその入射方向に反射す
るとともに、光軸を上記トータルステーションの望遠鏡
の光軸と交差させて固定された反射プリズムとを備えた
ことを特徴とする。
【0009】上記トータルステーションと反射プリズム
からなる反射プリズム付き測量器械は、所定の水平角,
鉛直角の範囲を走査しつつ、望遠鏡からレーザ光を射出
し、他の反射プリズムからの平行反射光を受光したとき
その水平角,鉛直角を測定する自動追尾式のもので、頂
部に固定された反射プリズムの光軸が望遠鏡の光軸と交
差している。従って、発進立坑内の基準点に最も近い中
間の測量器械で隣り合う前後の測量器械の反射プリズム
を視準する場合、前後の測量器械の望遠鏡が中間の測量
器械の望遠鏡に概ね対向するように設置されていれば、
前後の測量器械の反射プリズムからの反射光を捕捉し
て、前方,中間,後方の測量器械の成す水平夾角,鉛直角
および前方距離,後方距離を自動的に測定でき、後方,中
間の測量器械の座標が既知なので前方の測量器械の座標
を算出できる。続いて、上記前方の測量器械で隣り合う
前々方,上記中間の測量器械の反射プリズムを視準する
場合、上記前々方の測量器械の望遠鏡が前方の測量器械
の望遠鏡に概ね対向するように設置されていれば、同様
に前々方,前方,中間の測量器械の成す水平夾角,鉛直角
および次の前方距離,次の後方距離を自動的に測定で
き、前々方の測量器械の座標を算出できる。
【0010】そして、上記前方距離と上記次の後方距離
が所定の誤差(例えば6mm)内で一致した場合、上記中間
の測量器械は前方の測量器械を,上記前方の測量器械は
中間の測量器械を、他の反射体からの反射光を誤視準す
ることなく夫々正しく測定したとして、上記算出された
前方の測量器械の座標を記憶し、さらに前方の測量器械
による同様の視準と測定を繰り返して、順次記憶された
測定機械の座標に基づいて先端の掘進機の位置を算出す
ることができる。上記前方距離と上記次の後方距離が所
定の誤差内である場合には、測量器械の据え付けに狂い
はないか、測量器械上の反射プリズム外に光を反射する
物体がないかを検査し、再測量っを行ない、前方距離と
次の後方距離との差が許容範囲誤差内になるまで繰り返
す。こうして、反射プリズムの方向調整および測量器械
による視準を自動化でき、前視準点および後視準点の反
射プリズム以外からの反射光による誤視準,誤測定を無
くして、迅速かつ高精度に掘進機の位置を測定でき、測
量ひいては推進工法の能率化を図ることができる。
【0011】請求項2の反射プリズム付き測量器械は、
反射プリズムの光軸と上記望遠鏡の光軸との交差角度が
90°であることを特徴とする。従って、この測量器械
は、他の測量器械を視準する器械点になった後、光をそ
の反射プリズムで反射すべき前視準点または後視準点の
いずれになった場合も、その望遠鏡を+または−方向に
略90°旋回させればよいので、望遠鏡からの誤反射を
最も避けることができ、誤視準,誤測定をより確実に無
くすことができる。
【0012】請求項3の反射プリズム付き測量器械は、
反射プリズムの反射中心相当点が上記電子式トランシッ
トの鉛直旋回軸と一致していることを特徴とする。反射
プリズムの反射中心相当点が電子式トランシットの鉛直
旋回軸に一致していないと、反射プリズムが器械点の測
定機械と正しく向かい合っていない場合、反射プリズム
中の光路長が長くなって水平角,鉛直角および距離の測
定値に誤差を生じる。しかし、この測量器械では、両軸
が一致しているので、上記測定値の誤差が可能な限り小
さくなり、誤測定が無くなって、より高精度に測点や掘
進機の位置を測定することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施の形態
により詳細に説明する。図1は、推進工法の測量に用い
られる本発明の反射プリズム付き測量器械の一例を示す
斜視図であり、この測量器械1は、電子式トランシット
と光波測距儀を一体化したトータルステーション2の頂
部に、入射光を入射方向に反射する反射プリズム(コー
ナーキューブ)3を、この反射プリズム3の光軸を上記
トータルステーション2の望遠鏡4の光軸と90°交差
させ、かつ反射プリズム3の反射中心相当点(三角錐の
頂点に相当)を上記電子式トランシットの旋回軸に一致
させて固定して構成される。上記トータルステーション
2は、所定の水平角,鉛直角の範囲で望遠鏡4を旋回さ
せつつこの望遠鏡からレーザ光を射出して走査し、他の
測量器械の頂部の反射プリズムからの反射レーザ光を受
光したときその水平角,鉛直角および距離を自動的に測
定する自動追尾式のもので、上記他の測量器械への水平
角,鉛直角,距離を測定,表示するとともに、測定データ
を内蔵のコンピュータで計算処理して種々の測量値が得
られるようになっている。
【0014】上記トータルステーション2は、その水平
状態を±5°(分解能8秒)の補正範囲内で調整して維持
する自動整準装置5を介して三脚6または吊りブラケッ
ト(図示せず)に取り付けられ、この三脚6または吊りブ
ラケットによりシールド機33に後続するヒューム管3
4(図2参照)内に固定設置されるとともに、上記自動整
準装置5の制御および後述する掘進管理室のパソコン
(パーソナルコンピュータ)との通信を行なう通信制御装
置7に、電源ケーブル8,インターフェイスケーブル9,
自動整準装置通信制御ケーブル10を介して接続され
る。なお、11は,ヒューム管の継ぎ足しの際の上記通
信制御装置7の電源を確保するバックアップ電源、12
は,交流100Vの電源線、13は,上記パソコンへ連なる
通信ケーブル、14は,前方の測量器械の通信制御装置
7へ連なる通信ケーブルである。
【0015】図2,図3は、上記測量器械1を用いた曲
線推進工法の施工例および本発明の測量方法の概略を示
す推進方向に沿う縦断面図および水平断面図である。同
図において、31は地盤に鉛直に掘削された発進立坑、
32はこの立坑底31aに搬入したシールド機33によ
って掘削された水平面内で湾曲する横坑、34,34…
は立坑底31aに順次挿入され推進ジャッキ35によっ
て上記シールド機33の掘進速度に合わせて横坑32内
を前方へ推進せしめられるヒューム管、36は先端のヒ
ューム管とシールド機33の間に装備された掘進方向制
御用のジャッキである。また、立坑31内の座標が既知
の方位基準点P0に反射プリズム3を、座標が既知の基
準点P1に測量器械1を夫々設置し、ヒューム管34内
の所定の測点P2,P3に同じ測量器械1,1を設置し、先
端のシールド機に反射プリズム3からなるターゲットP
mを設置して開トラバースを形成している。なお、上記
方位基準点P0の反射プリズム3は上記基準点P1に、シ
ールド機33のターゲットPmは後続のヒューム管34
に夫々向けられている。
【0016】そして、上記各測量器械1を、上記ケーブ
ル8,9,10で連なる夫々の通信制御装置7および上記
電源線12,通信ケーブル14を介して互いに接続する
とともに、通信ケーブル13を介して発進立坑31内の
掘進管理室15内のパソコン16に接続し、このパソコ
ン16を地上の事務所17内のプリンタ19を有するパ
ソコン18に図示しない通信線で接続している。また、
シールド機33は、掘進のための基準方向を指示するジ
ャイロコンパス20(図2参照)と推進方向制御用のジャ
ッキ36を有する。上記中間の測点P2,P3の測量器械
1は、横坑32の曲率半径や断面直径を考慮して視準が
きく所定距離を隔てて、発進立坑31にて継ぎ足される
ヒューム管34内に吊りブラケット(図示せず)を介して
その反射プリズム3を基準点P1に概ね向けて順次設置
される。中間の測量器械1は、反射プリズム3のプリズ
ム定数(例えば15mm)を設定してあるので、正体させず
にこのように概ね方向調整しただけでも、例えば図7
(B)の測点P2に来たとき、その反射プリズム3からの
反射光を既述の如く自動追尾式である後方の基準点P1
の測量器械1が捕捉でき、また、図7(C)の測点P2
来たとき、反射プリズム3からの反射光を自動追尾式で
ある後方の測点P3の測量器械1が捕捉できる。なお、
図3中の水平夾角θ123や距離l0,l1,l2,l3
表示は、従来例の図7中の表示と異なり、掘削が図3ま
で進んだ時点での測定値を表わしている。
【0017】図3の状態まで掘削された横坑32におけ
る本発明の測量方法について、図4のフローチャートを
参照しつつ次に述べる。なお、測量器械1は、反射プリ
ズム3がその光軸を望遠鏡4の光軸と90°交差させて
固定され、鉛直軸,水平軸の回りに電子制御で旋回でき
るものであるので、以下の動作は、掘進管理室15(図
2参照)内のパソコン16によって自動的に行なわれ
る。また、図4のフローチャート中のnは、この例では
3である。まず、ステップS1で、各種の設定を行な
い、ステップS2で、基準点P1および測点P2,P3に設
置された各測量器械1の初期設定を行なった後、ステッ
プS3で、ヒューム管34の推進に伴って狂い得る測点
2,P3の測量器械1の水平状態つまり機械鉛直軸の鉛
直線に対する傾斜を確認し、ステップS4で、この傾斜
が3分以内か否かを判断し、肯なら、自動整準装置5
(図2参照)の調整範囲内なので測量時間短縮のためステ
ップS5に進む一方、否なら、ステップS6に進んで再
整準を傾斜計(図示せず)により得られた値に基づき、パ
ソコン16からの指示により自動的に行なうか、マニュ
アルで行ない、傾斜を30秒以内に矯正した後、ステッ
プS5に進む。
【0018】次に、ステップS5で、測点P2,P3の測
量器械1の反射プリズム3を、ヒューム管への設置時の
基準点P1の方向と正反対の管先端方向つまり切羽側に
向けて、器械点から発せられるレーザ光を反射しないよ
うにして誤視準を避け、ステップS7で、基準点P1
測量器械1から測量を開始する。即ち、測点P2の測量
器械1の反射プリズム3を基準点P1の測量器械1に向
けた後、基準点P1の測量器械1で方位基準点P0および
測点P2の反射プリズム3を視準し、水平夾角θ1,鉛直
角(この例では横坑32が水平面内あるので0)および両
点への距離l0,l1を測定し、初回はステップS8で水
平夾角の較差が許容値以内か否かのみを次のように判断
する。つまり、正位で測定された上記水平夾角θ1を、
ステップS7で望遠鏡4をその水平枢軸の回りに180°
回転して∠P012を測定した結果の水平夾角θ1'と
比較し、両者の差が、許容範囲以内なら,測定が正しい
として(θ1+θ1')/2を測定値とし、許容範囲を超え
るが、座標計算に大きな影響を与えない範囲(警告範囲)
なら,同様に(θ1+θ1')/2を測定値にするが、パソコ
ン16の画面上に黄色で警告表示を行ない、警告範囲を
超えるなら,許容値を超えたとして上記測定値を採用せ
ずにパソコン16の画面上に赤色で警告表示を行なう。
この場合、赤色の警告表示を見た作業者は、現場の状況
を点検して、誤視準の原因を除去し、その後、処理は上
記ステップ3に戻る。
【0019】ステップS8で、肯と判断すると、ステッ
プS9に進んで、掘進管理室15内のパソコン16で、
測定された上記水平夾角θ1,鉛直角,距離l0,l1および
方位基準点P0と基準点P1の既知座標から測点P2の座
標を算出し、上記測定値と算出された座標値を一旦記憶
する。次に、ステップS10で、測量の累計回数がn
(=3)に達したか否かが判断され、この場合はn=1な
ので、nを2にインクリメントしてステップS7に戻
り、測点P2の測量器械1による測量に移る。即ち、ス
テップS7で、基準点P1および測点P3の測量器械1の
反射プリズム3を測量P2の測量器械1に向けた後、測
点P2の測量器械1で基準点P1および測点P3の反射プ
リズム3を視準し、水平夾角θ2,鉛直角および両点への
距離l1',l2を測定した後、ステップS8で、上述と同
様の水平夾角の較差に加えて、今回測定した距離l1'(P
2→P1)と前回測定した距離l1(P1→P2)の較差が許容値
以内か否かを次のように判断する。つまり、測定した距
離の差(l1−l1')が、許容範囲以内なら,測定距離l1
が正しいとし、警告範囲なら,同様に測定l1が正しいと
するが、パソコン16の画面上に黄色で警告表示を行な
い、いずれの場合も、前回一旦記憶した測定距離l1
よびP2の座標値を正式な測定値として確定する。一
方、上記距離の差(l1−l1')が、警告範囲を超える場
合は、許容値を超えたとして上記測定距離を採用せずに
パソコン16の画面上に赤色で警告表示を行なう。この
場合、赤色の警告表示を見た作業者は、現場の状況,即
ち周囲にP1,P2点以外に反射テープ,消灯ランプなどの
反射体がないか点検して、誤視準の原因を除去し、その
後、処理は上記ステップ3に戻る。
【0020】ステップS8で、肯と判断すると、ステッ
プS9に進んで、掘進管理室15内のパソコン16で、
測定された上記水平夾角θ2,鉛直角,距離l1,l2および
基準点P1と測点P2の既知座標から測点P3の座標を算
出し、上記測定値と算出された座標値を一旦記憶する。
次に、ステップS10で、測量の累計回数n(=3)の判
断で、n=2だからnを3にインクリメントしてステッ
プS7に戻り、測点P3の測量器械1による測量に移
る。測点P3の測量器械1による測量も、測点P2の反射
プリズム3を測量P3に向け、測点P3から測点P2とシ
ールド機33のターゲットPmを視準する点を除いて、
上述と同様に行われ、水平夾角θ3,鉛直角および両点へ
の距離l2'(P3→P2),l3が測定され、ステップS8で、
上述と同様の水平夾角の較差および測定距離の較差(l2
−l2')が許容値以内か否かが判断され、許容値を超え
る場合は、赤色の警告表示がなされ、作業者が誤視準の
原因を除去した後ステップS3に戻る一方、許容値以内
の場合は、前回一旦記憶した測定距離l2およびP3の座
標値が正式な測定値として確定されるとともに、シール
ド機33のターゲットPmの座標が算出される。次に、
ステップS10で、測量の累計回数nが3に達したの
で、ステップS11に進み、通信ケーブル13(図2参
照)を介して送られてきた今までの確定測定値に基づ
き、掘進管理室15内のシールド測量プログラムを持つ
パソコン16によって、設計計画線に対するシールド機
33の蛇行量(ずれ)が後述のように算出されて、測量が
終了する。なお、上記実施の形態では、P1,P2,P3,…
nの順で測量を行なったが、Pn…,P3,P2,P1の順序
で測量してもよく、さらにP1〜Pnに向かって測量する
とともに、Pn〜P1に向かって測量することを同時並行
して行なってもよい。
【0021】このように、上記測量器械1は、電子式ト
ランシットと光波測距儀を一体化した自動追尾式のトー
タルステーション2の頂部に望遠鏡4の光軸と90°光
軸を交差させて反射プリズム3を固定してなるので、器
械点と視準点に兼用でき、掘進に伴い発進立坑31で継
ぎ足される管体34内に所定間隔で概ね管軸方向に設置
すれば、パソコン16により自在に旋回させて、前後の
測量器械の望遠鏡の反射を回避しつつ反射プリズムから
の反射光のみを中間の測量器械で捕捉して、前方,中
間,後方の測量器械の成す水平夾角,鉛直角および前方距
離,後方距離を自動的に測定でき、前方の測量器械の座
標を算出できるうえ、同様に前々方,上記前方,上記中間
の測量器械の成す水平夾角,鉛直角および次の前方距離,
次の後方距離を自動的に測定して、上記前方距離と次の
後方距離が所定誤差内で一致したとき、さらに前方の測
量器械による同様の視準と測定を繰り返すので、これら
の測定値に基づいて正確なシールド機33の座標を迅速
かつ自動的に求めることができ、測量ひいては推進工法
の能率を著しく向上させることができる。上記のように
前方距離と後方距離との差が許容範囲以内にあるかを比
較するのは、光波測距儀の照射したレーザ光が目的の反
射プリズム外の反射物に反射し、測距儀がその反射光に
基づいて距離を測定するのを、またトランシットが水平
夾角,鉛直角を測定するのを避けるためである。
【0022】反射プリズム3の光軸が、既述の如く望遠
鏡4の光軸と90°で交差しているので、この測量器械
が、他の測量器械の反射プリズムを視準する器械点にな
った後、自身の反射プリズム3でレーザ光を反射すべき
前視準点または後視準点のいずれになった場合も、自身
の望遠鏡4を+または−方向に略90°旋回させれば、
望遠鏡の誤反射を確実に避けつつレーザ光を反射するこ
とができ、誤視準,誤測定をより確実に避けることがで
きる。また、上記実施の形態では、反射プリズム3の反
射中心相当点が、電子式トランシットの鉛直旋回軸に一
致している。もし、両軸が一致していないと、反射プリ
ズム3が器械点の測定機械と正しく向かい合って(正体
して)いない場合、反射プリズム中の光路長が長くなっ
て、水平角,鉛直角および距離の測定値に誤差を生じる
が、この測量器械ではかかる測定値の誤差は可能な限り
小さくなり、誤測定が無くなって、より高精度に測点や
シールド機の位置を測定することができる。
【0023】さらに、上記実施の形態では、測量器械1
の水平状態を自動的に維持する自動整準装置5を設けて
いるので、横坑32が鉛直方向に湾曲する場合も、水平
状態を手動調整せずに済み、測量を一層迅速化すること
ができる。また、水平夾角を正反視準して両測定値が所
定誤差内のときのみ、その水平夾角を正しい測定値とし
て採用するので、水平夾角を一層正確に測定することが
できる。さらに、前方,後方の測定距離が所定誤差を超
える場合に、パソコン16によって警告を発し、作業者
に点検を促すので、誤視準を未然に防止して、測量の能
率を一層向上させることができる。一例として、全長75
0mの曲線推進工法では、11台の測量器械1を使用す
ることにより、従来2〜3名要した作業員を皆無にし
て、自動測量を行なうことができた。
【0024】図5は、測定された上記水平夾角θ12,
θ3および距離l1,l2,l3から上記シールド測量プログ
ラムによりシールド機33のターゲットPmの座標(X,
Y)を求める方法を示す図である。基準点P1を原点と
し、方位基準点P0に向けてy軸をとると、線分l1,l2,
3がx軸となす角θ112131は上記水平夾角を用い
て次式で表わされる。 θ11=θ1−π/2、 θ21=θ2−π/2−(π/2−θ11)=
θ1+θ2−3π/2、θ31=θ3−π/2−(π/2−θ21)=θ
1+θ2+θ3−5π/2 また、線分l1,l2,l3のx軸およびy軸への正射影x1,
x2,x3およびy1,y2,y3は次式で表わされる。 x1=l1cosθ11, x2=l2cosθ21, x3=l3cosθ31 y1=l1sinθ11, y2=l2sinθ21, y3=l3sinθ31 よって、求めるべきターゲットPmの座標(X,Y)は次式
で表わされる。 X=x1+x2+x3, Y=y1+y2+y 上記パソコン16は、入力される測定データを上記各式
に従って演算し、シールド機33のターゲットPmの座
標(X,Y)を算出し、表示する。なお、シールド機33
による掘進が進み、ヒューム管34の後端に新たなヒュ
ーム管が順次継ぎ足され、基準点P1と測点P2間に新た
に測量器械1を設置したときも、上述と同様に水平夾
角,鉛直角の測定とシールド機の座標の算出が行なわれ
るのはいうまでもない。
【0025】図6は、パソコン16に予め入力される基
準計画線を示す図であり、作業者は、第5図と同じ座標
系における基準計画線の各直線部の傾きβ123
その線分長L1,L3,L5および各曲線部の曲率半径r1,r2
とその中心角α12または円弧長L2,L5をパソコンに
入力する。パソコン16は、この入力データを数式化し
てメモリに記憶するとともに、掘進に伴ってシールド機
33等から入力される実際の掘進距離L*(図6参照)を
表わす信号に基づき、シールド機が基準計画線上である
べき位置Pm *の座標Pm *(Xm,Ym)を上記数式化された
数式に従って算出し、表示する。次いで、パソコン16
は、各測量器械1で測定され,正しい値として記憶され
た水平夾角データθ12,…と距離データl1,l2,…か
ら算出したシールド機の座標Pm(X,Y)と上記計画線上
の座標Pm *(Xm,Ym)の差を算出するとともに、この差
に対応して修正角度値を算出して、これらを表示する。
そこで、作業者は、この修正角度値を測点P3にある測
量器械1に設定した後、これを作動させる。そうする
と、上記測量器械1のトータルステーション2の望遠鏡
4がターゲットの位置から修正角度分だけ回転し、望遠
鏡4からのレーザ光は上記計画位置を照射する。作業者
は、この照射点にシールド機33のターゲットPmが位
置するようにジャッキ36を調整して、掘進方向の修正
を行なう。
【0026】このように、上記実施の形態では、各測点
に設置した測量器械1からの入力信号と予め入力された
基準計画線データに基づき、シールド機33の測定位
置,計画位置および両位置のずれを演算するパソコン1
6を備えているので、曲線推進工法における測量をさら
に迅速化,能率化でき、施工能率をも向上させることが
できる。なお、上記実施の形態では、横坑32を水平面
内で掘削する推進工法における測量について述べたが、
本発明の測量器械は、水平夾角に加えて鉛直角を測定
し、前,後の測点への実長距離を測定するものであるか
ら、これらの測定値から掘進機の3次元座標を幾何学的
に算出できるので、横坑が鉛直方向にも湾曲する推進工
法にも同様に適用できることはいうまでもない。
【0027】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、請求項1
の測量器械は、電子式トランシットと光波測距儀を一体
化したトータルステーションと、このトータルステーシ
ョンの頂部に、入射光をその入射方向に反射するととも
に、光軸を上記トータルステーションの望遠鏡の光軸と
交差させて固定された反射プリズムとを備えている。従
って、器械点と視準点に兼用できる上記測量器械を、掘
進に伴い発進立坑で継ぎ足される管体内に所定間隔で概
ね管軸方向に設置することにより、自動旋回で前後の測
量器械の望遠鏡の反射を回避しつつ反射プリズムからの
反射光のみを中間の測量器械で捕捉して、前方,中間,後
方の測量器械の成す水平夾角,鉛直角および前方距離,後
方距離を自動的に測定でき、同様に前々方,上記前方,上
記中間の測量器械の成す水平夾角,鉛直角および次の前
方距離,次の後方距離を自動的に測定して、上記前方距
離と次の後方距離が所定誤差内で一致したとき、さらに
前方の測量器械による同様の視準と測定を繰り返して、
これらの測定値に基づいて正確な掘進機の座標を迅速か
つ自動的に求めることができ、測量ひいては推進工法の
能率を著しく向上させることができる。
【0028】請求項2の測量器械は、反射プリズムの光
軸と上記望遠鏡の光軸との交差角度が90°であるの
で、他の測量器械を視準する器械点になった後、光をそ
の反射プリズムで反射すべき前視準点または後視準点の
いずれになった場合も、その望遠鏡を+または−方向に
略90°旋回させればよいので、望遠鏡からの誤反射を
最も避けることができ、誤視準,誤測定をより確実に無
くすことができる。
【0029】請求項3の測量器械は、反射プリズムの反
射中心相当点が上記電子式トランシットの鉛直旋回軸と
一致しているので、両軸が一致していない場合のよう
に、反射プリズムが器械点の測定機械と正体していない
とき、反射プリズム中の光路長が長くなって水平角,鉛
直角および距離の測定値に誤差を生じるということがな
い。従って、水平角,鉛直角および距離の測定値の誤差
を可能な限り小さくでき、より高精度に測点や掘進機の
位置を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の反射プリズム付き測量器械の一例の
斜視図である。
【図2】 上記測量器械を用いた曲線推進工法の施工例
および測量方法の概略を示す推進方向に沿う縦断面図で
ある。
【図3】 上記施工例および測量方法の概略を示す水平
断面図である。
【図4】 上記測量方法の流れを示すフローチャートで
ある。
【図5】 測点の座標を求める幾何学的手法を示す図で
ある。
【図6】 パソコンに予め入力される基準計画線を示す
図である。
【図7】 従来の推進工法における測量方法を示す水平
断面図である。
【符号の説明】 1…測量器械、2…トータルステーション、3…反射プ
リズム、4…望遠鏡、5…自動整準装置、7…通信制御
装置、8…電源ケーブル、9…インターフェイスケーブ
ル、10…自動整準装置通信制御ケーブル、11…バッ
クアップ電源、12…電源線、13,14…通信ケーブ
ル、15…掘進管理室、16,18…パソコン、17…
事務所、20…ジャイロコンパス、31…発進立坑、3
1a…底部、32…横坑、33…シールド機、34…ヒ
ューム管、35,36…ジャッキ、P0…方位基準点、P
1…基準点、P2,P3…測点、Pm…ターゲット、θ1〜θ
3…水平夾角、l0〜l3…距離。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−340186(JP,A) 特開 平10−38569(JP,A) 特開 平4−175606(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01C 15/00 G01C 1/02 G01C 15/06 E21D 9/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子式トランシットと光波測距儀を一体
    化したトータルステーションと、 このトータルステーションの頂部に、入射光をその入射
    方向に反射するとともに、光軸を上記トータルステーシ
    ョンの望遠鏡の光軸と交差させて固定された反射プリズ
    ムとを備えたことを特徴とする反射プリズム付き測量器
    械。
  2. 【請求項2】 上記反射プリズムは、光軸と上記望遠鏡
    の光軸との交差角度が90°であることを特徴とする請
    求項1に記載の反射プリズム付き測量器械。
  3. 【請求項3】 上記反射プリズムは、反射中心相当点が
    上記電子式トランシットの鉛直旋回軸と一致しているこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の反射プリズム
    付き測量器械。
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