JP3323466B2 - 反芻動物用飼料 - Google Patents
反芻動物用飼料Info
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- Feed For Specific Animals (AREA)
Description
よびその製造方法に関する。より詳細には、消化吸収性
に優れ、栄養価の高い反芻動物用の小麦フスマ飼料およ
びその製造方法に関する。
従来から家畜用飼料として広く用いられている。小麦フ
スマを家畜に給与するに当たっては、小麦フスマをその
ままの形態で単独で給与したり、小麦フスマに適当なバ
インダーを加えてペレットなどに成形して給与したり、
トウモロコシ、マイロ、大豆粕などの他の飼料と混合し
て配合飼料の形態で給与したり、小麦フスマと前記した
他の飼料との混合物をペレットなど成形して給与するこ
となどが行われている。
が多く含まれているため、消化吸収性が充分に良好であ
るとは言えず、その改良が求められてきた。特に、小麦
フスマは、牛、羊、山羊などの反芻動物用の飼料として
多用されていることから、反芻動物に給与したときに良
好に消化吸収性される栄養価の高い反芻動物用の小麦フ
スマ飼料が求められてきた。
目的は、消化吸収性に優れ、栄養価の高い反芻動物用の
小麦フスマ飼料およびその製造方法を提供することであ
る。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、小麦フスマを高温
高圧下で加熱加圧処理した後に常圧または減圧雰囲気中
に吐き出すと、それにより得られる加熱・加圧処理小麦
フスマが、加熱・加圧処理していない小麦フスマに比べ
て、牛、羊、山羊などの反芻動物に給与したときに各成
分の消化率が向上して栄養価が改善されること、その一
方で該加熱・加圧処理した小麦フスマを豚などに給与し
ても消化率の向上は見られないことを見出した。また、
本発明者らは、該加熱・加圧処理した小麦フスマでは可
溶無窒素物(NFE)の含有量が有意に増加しており、
これが反芻動物における各成分の消化率の向上に寄与し
ていることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を
完成した。
処理した小麦フスマよりなることを特徴とする反芻動物
用飼料である。
理した小麦フスマの重量に基づく可溶無窒素物(NF
E)の含有量が56重量%以上である前記(1)の反芻
動物用飼料;(3) ペレット状またはクランブル状で
ある前記(1)または(2)の反芻動物用飼料;およ
び、(4) 水分含量が2〜30重量%およびかさ比重
が0.1〜1.0である前記した(1)〜(3)のいず
れかの反芻動物用飼料;を好ましい態様として包含す
る。
温度100〜220℃および圧力20〜90バールの条
件下に加熱加圧処理した後に、常圧または減圧雰囲気中
に吐き出して反芻動物用の加熱・加圧処理した小麦フス
マ飼料を製造する方法である。
〜25重量%の小麦フスマを使用し、小麦フスマの重量
に基づいて1〜5重量%の水蒸気および/または水を加
えて前記加熱加圧処理を行うことからなる前記(5)の
方法を好ましい態様として包含する。
する。加熱・加圧処理した小麦フスマよりなる本発明の
反芻動物用飼料は、高温・高圧を伴う加熱・加圧処理を
施されたものであればいずれでもよいが、そのうちでも
小麦フスマ中の可溶無窒素物(NFE)の含有量が加熱
・加圧処理小麦フスマの重量に基づいて56重量%以
上、特に58重量%以上になるようにして加熱・加圧処
理を行ったものが、反芻動物に給与したときに消化率が
高く、栄養価が高いので好ましい。ここでいう「可溶無
窒素物(NFE)」とは、「飼料分析基準注解」第3
版、第30頁[(社)日本科学飼料協会発行](199
8)に記載された方法で測定した可溶無窒素物(NF
E)の値であり、その詳細は以下の実施例の項に記載す
るとおりである。
料(以下「加熱・加圧処理小麦フスマ飼料」ということ
がある)の形態は特に制限されず、ペレット状、クラン
ブル状、フレーク状、塊状、粉末状などのいずれであっ
てもよいが、取り扱い性、反芻動物への給与のし易さ、
他の飼料との混合のしやすさ、反芻動物による摂餌性な
どの点からペレット状またはクランブル状であることが
好ましく、ペレット状であることがより好ましい。ペレ
ットの形状は短円柱形、球形、楕円形などのいずれでも
よく、短円柱形が製造の容易性などの点から好ましい。
ペレットのサイズは、給与する反芻動物の種類、年齢
(月齢)などに応じて決めることができるが、一般に
は、3〜30mm程度にしておくことが好ましい。
は、カビなどが発生しにくくて保存性に優れ、また崩壊
しにくくて取り扱い性に優れることから、水分含量が2
〜30重量%であることが好ましく、3〜20重量%で
あることがより好ましく、7〜14重量%であることが
更に好ましい。
飼料は、取り扱い性、反芻動物による消化吸収性、嗜好
性などに優れ、しかも崩壊しにくいことから、かさ比重
が0.1〜1.0であることが好ましく、0.1〜0.
8であることがより好ましく、0.3〜0.6であるこ
とが更に好ましい。ここで言うかさ比重は、飼料ペレッ
トなどに対する比重測定法によって測定した比重であ
り、その詳細は以下の実施例の項に記載するとおりであ
る。
は、小麦フスマを温度(装置の内部温度)100〜22
0℃、好ましくは110〜170℃、および圧力20〜
90バール、好ましくは50〜70バールの条件下に加
熱加圧処理した後に、常圧または減圧雰囲気中に吐き出
すことによって好ましく製造される。加熱・加圧処理時
の加熱温度が100℃未満であると、栄養価(消化率)
の高い加熱・加圧処理小麦フスマ飼料が得られにくくな
り、一方220℃を超えると加熱・加圧処理小麦フスマ
飼料の栄養価が低下し易い。本発明で採用している前記
100〜220℃の温度は、従来のペレット状飼料の製
造技術で採用されている温度が70〜90℃であるのと
比べて大幅に高い温度である。また、加熱・加圧処理時
の圧力が20バール未満であると栄養価(消化率)の高
い加熱・加圧処理小麦フスマ飼料が得られにくくなり、
一方90バールを超えると加熱・加圧処理小麦フスマ飼
料の栄養価が低下し易い。本発明で採用している前記2
0〜90バールの加圧条件は、従来のペレット状飼料の
製造技術で採用されている圧力の約10倍に相当する極
めて高い圧力である。小麦フスマを前記した温度100
〜220℃および圧力20〜90バールの加熱加圧条件
下に保つ時間は通常10〜60秒とすることが、栄養成
分が過度に分解されず栄養価の高い加熱・加圧処理小麦
フスマ飼料が得られる点から好ましい。
飼料の製造に当たっては、水分含量が5〜25重量%の
小麦フスマを原料として使用し、水および/または水蒸
気を、小麦フスマの重量に基づいて1〜5重量%、特に
2〜4重量%(水と水蒸気の両方を加える場合は合計
量)の割合で加えて前記加熱加圧処理を行うことが好ま
しい。加熱・加圧処理小麦フスマ飼料製造時の加水量
(水および/または水蒸気の添加量)が1重量%未満で
あると、加熱・加圧処理が不良になったり、ペレット化
不良などが生じ易く、一方5重量%を超えると作業性が
悪くなり易い。
は特に制限されず、小麦フスマを温度100〜220℃
および圧力20〜90バールの条件下に加熱加圧処理し
た後に常圧または減圧雰囲気中に吐き出し得るものであ
ればいずれでもよく、エクスパンダー、エクストルーダ
ー、オートクレーブなどを用いることができる。そのう
ちでも、エクスパンダーが上記した処理条件の設定が容
易であり、目的とする加熱・加圧処理小麦フスマ飼料を
生産性良く円滑に製造できる点から好ましく採用され
る。エクスパンダーの種類や機種などは特に制限され
ず、例えば、Buhler社製「DFEB135型」、
カール社製エクスパンダー、CPM社製エクスパンダー
などを使用することができる。
は、牛、羊、山羊などの反芻動物に給与される。本発明
の加熱・加圧処理小麦フスマ飼料は他の飼料と混合せず
にそのまま反芻動物に給与しても、またはトウモロコ
シ、マイロ、大豆粕、ビートパルプ、乾草、稲藁、動物
性蛋白質、ビタミン、ミネラルなどの他の飼料や栄養成
分と混合して反芻動物に給与してもよい。
的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定され
ない。以下の例において、加熱・加圧処理小麦フスマ、
無処理小麦フスマ、および供試飼料中の水分含量、粗蛋
白含量、粗脂肪含量、粗繊維含量および粗灰分含量は、
「飼料分析基準注解」第3版、第14〜29頁[(社)
日本科学飼料協会発行](1998)に記載された方法
にしたがって測定した。また、加熱・加圧処理小麦フス
マ、無処理小麦フスマおよび供試飼料中の可溶無窒素物
(NFE)の含有量は、前記文献の第30頁の記載にし
たがって以下のようにして測定した。
含有量の測定]以下の数式により、小麦フスマ中の可溶
無窒素物(NFE)含有量を測定した。
量%)+粗蛋白含量(重量%)+粗脂肪含量(重量%)+粗
繊維含量(重量%)+粗灰分含量(重量%)}
飼料の製造] 小麦フスマ(水分含量10.5重量%)を、エクスパン
ダー(Buhler社製「DFEB135型」;315
kw、600φ×3000L)に1時間当たり7トンの
割合で供給し、該装置のコンディショニング部で水蒸気
を小麦フスマの重量に対して1.5重量%の割合で連続
的に供給しながら温度94℃で調湿を行った後(コンデ
ィショニング部での滞留時間約20秒)、加水部に連続
移送し、加水部で小麦フスマの重量に基づいて1.5重
量%の水を添加し、それをエクスパンダー部に連続移送
して温度113℃、圧力70バールで混練しつつ移送し
(エクスパンダー部での滞留時間約30秒)、エクスパ
ンダー部の先端に取り付けたダイから押し出し、切断し
て、直径約4.5mm、長さ約10mmのペレット状に
した後、100℃で乾燥して、加熱・加圧処理小麦フス
マ飼料を製造した。これにより得られたペレット状の加
熱・加圧処理小麦フスマ飼料の水分含量は8.1重量%
であり、またかさ比重を下記の方法で測定したところ、
0.51であった。
リットルの升に、1.2リットルのペレット状飼料を入
れ、棒などで擦り切り一杯にし、その重量(kg)を測
定する。同じ操作を3回繰り返して、平均値を採って、
その値をかさ比重とする。
飼料の水分含量、粗蛋白含量、粗脂肪含量、粗繊維含
量、粗灰分含量および可溶無窒素物(NFE)含量を上
記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおり
であった。また、加熱・加圧処理を施す前の小麦フスマ
の水分含量、粗蛋白含量、粗脂肪含量、粗繊維含量、粗
灰分含量および可溶無窒素物(NFE)含量を同様にし
て測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
圧処理を施していない未処理小麦フスマの可溶無窒素物
(NFE)の含有量は54.0重量%であったのに対し
て、本発明の加熱・加圧処理小麦フスマ飼料の可溶無窒
素物(NFE)の含有量は58.7重量%であり、本発
明の加熱・加圧処理小麦フスマ飼料は可溶無窒素物(N
FE)の含有量が多いことがわかる。
発生量の測定] (1) ホスルタイン種雌牛(体重618kg)の第一
胃から採取した内容物3重量部に重炭酸塩緩衝人工唾液
(pH8.1)を2重量部の割合で均一に混合した後、
混合物を4重のガーゼを用いて濾過し、濾液に炭酸ガス
を通気してpH7.0に調整して人工胃液を調製した。 (2) 容量100mlの三角フラスコの中に、上記の
実施例1で製造した加熱・加圧処理小麦フスマ飼料1.
5gを入れ、そこに上記(1)で調製した人工胃液50
mlを入れた後、三角フラスコの口にゴム栓をし、ゴム
栓に目盛りの付いた空の注射器(シリンジ)の針を刺し
込んだ。 (3) 次いで、上記(2)で準備した、加熱・加圧処
理小麦フスマ飼料と人工胃液を入れた三角フラスコを恒
温槽で39.5℃の温度に保ち、フラスコ内で発生した
ガスを注射器に集め、その量を読み取ることによって1
時間当たりに発生したガスの量を9時間にわたって測定
したところ、下記の表2に示すとおりであった。 (4) 加熱・加圧処理小麦フスマ飼料を用いる代わり
に、加熱・加圧処理を行っていない未処理小麦フスマを
用いた以外は上記(2)および(3)と同様の操作を行
って、1時間当たりに発生したガスの量を9時間にわた
って測定したところ、下記の表2に示すとおりであっ
た。
フスマ飼料を用いた場合は、未処理小麦フスマに比べ
て、早期からガスを多量に発生し、このことから反芻動
物の胃液で消化され易いことがわかる。
さに切断したチモシー乾草を1:1の重量比で混合して
基本飼料とした。
山羊を各区5頭ずつ3区(合計15頭)準備し、山羊を
個体別に代謝ゲージに収容して、上記(1)の基本飼料
を日間にわたって給与して試験環境に馴致させた。 (3)(i) 次いで、試験区1の山羊5頭には、上記
(1)の基本飼料のみを残渣の生じない量で朝夕一定の
時刻に2回に分けて給与し、この給与開始8日目から1
5日目までの7日間にわたって排泄された糞を個体別に
朝夕一定時刻に全量採取して秤量し、7日分の糞をよく
混合した後にその半量を採取した。採取した糞を約60
℃で通風下に加熱乾燥した後、さらに常温で風乾し、風
乾重量を測定してから、1mm以下に粉砕して分析用試
料とした。 (ii) 試験区2の山羊5頭には、上記(1)の基本飼
料と実施例1で製造した加熱・加圧処理小麦フスマ飼料
を3:1の重量比で混合した混合飼料を残渣の生じない
量で朝夕一定の時刻に2回に分けて給与し、この給与開
始8日目から15日目までの7日間にわたって排泄され
た糞を個体別に朝夕一定時刻に全量採取して秤量し、以
後試験区1の場合と同様にして乾燥、秤量、粉砕して分
析用試料とした。 (iii) 試験区3の山羊5頭には、上記(1)の基本
飼料と加熱・加圧処理を行っていない未処理小麦フスマ
を3:1の重量比で混合した混合飼料を残渣の生じない
量で朝夕一定の時刻に2回に分けて給与し、この給与開
始8日目から15日目までの7日間にわたって排泄され
た糞を個体別に朝夕一定時刻に全量採取して秤量し、以
後試験区1の場合と同様にして乾燥、秤量、粉砕して分
析用試料とした。
飼料(試験区1)、基本飼料と加熱・加圧処理小麦フス
マ飼料との混合飼料(試験区2)、および基本飼料と未
処理小麦フスマとの混合飼料(試験区3)の水分含量、
粗蛋白含量、粗脂肪含量、粗繊維含量、粗灰分含量およ
び可溶無窒素物(NFE)含量を上記した方法で測定し
たところ、下記の表4に示すとおりであった。 (5) 上記(3)の(i)〜(iii)で得た分析用試
料(乾燥糞)の水分含量、粗蛋白含量、粗脂肪含量、粗
繊維含量、粗灰分含量および可溶無窒素物(NFE)含
量を上記した方法で測定したところ、下記の表5に示す
とおりであった。
スマ飼料との混合飼料を給与した試験区2および基本飼
料と未処理小麦フスマとの混合物を給与した試験区3に
ついて、飼料中の各成分の消化率と、栄養価[可消化粗
蛋白質(DCP)および可消化養分総量(TDN)]を
以下の方法で求めたたところ、下記の表6に示すとおり
であった。
素物(NFE)の消化率の算出法]下記の数式により粗
蛋白、粗脂肪、粗繊維および可溶無窒素物(NFE)の
各成分の消化率(%)を求めた。
中の各成分量)/摂取した各成分量}×100
の数式により可消化粗蛋白質(DCP)を求めた。
×粗蛋白消化率(%)×0.01
記の数式により可消化養分総量(TDN)を求めた。
化率(%)}+{粗脂肪含量(重量%)×消化率(%)
×2.25}+{NFE(重量%)×消化率(%)}+
{粗繊維含量(重量%)×消化率(%)}]×0.01
加圧処理小麦フスマとを混合した飼料(試験区2)は、
基本飼料に未処理小麦フスマを混合した飼料(試験区
3)に比べて、可消化粗蛋白質(DCP)および可消化
養分総量(TDN)の値が大きく、栄養価が高いことが
わかる。
なる反芻動物用飼料は、飼料中に含まれる粗蛋白、粗脂
肪、粗繊維、溶無窒素物(NFE)などの栄養分が反芻
動物の消化器官で良好に消化されるために、栄養価が高
く、飼料価値が高い。本発明の加熱・加圧処理小麦フス
マ飼料の製造方法による場合は、前記した反芻動物用の
加熱・加圧処理小麦フスマ飼料を、簡単な操作で、生産
性良く、円滑に製造することができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 加熱・加圧処理した小麦フスマよりなる
ことを特徴とする反芻動物用飼料。 - 【請求項2】 加熱・加圧処理した小麦フスマの重量に
基づく可溶無窒素物(NFE)の含有量が56重量%以
上である請求項1に記載の反芻動物用飼料。 - 【請求項3】 ペレット状またはクランブル状である請
求項1または2に記載の反芻動物用飼料。 - 【請求項4】 水分含量が2〜30重量%およびかさ比
重が0.1〜1.0である請求項1〜3のいずれか1項
に記載の反芻動物用飼料。 - 【請求項5】 小麦フスマを温度100〜220℃およ
び圧力20〜90バールの条件下に加熱加圧処理した後
に、常圧または減圧雰囲気中に吐き出して反芻動物用の
加熱・加圧処理した小麦フスマ飼料を製造する方法。 - 【請求項6】 水分含量が5〜25重量%の小麦フスマ
を使用し、小麦フスマの重量に基づいて1〜5重量%の
水蒸気および/または水を加えて前記加熱加圧処理を行
うことからなる請求項5に記載の方法。
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-
1999
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