JP3323407B2 - 圧入端子及びその製造方法 - Google Patents

圧入端子及びその製造方法

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JP3323407B2 JP28855596A JP28855596A JP3323407B2 JP 3323407 B2 JP3323407 B2 JP 3323407B2 JP 28855596 A JP28855596 A JP 28855596A JP 28855596 A JP28855596 A JP 28855596A JP 3323407 B2 JP3323407 B2 JP 3323407B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント配線板に
形成されたスルーホールに挿入してプリント配線板から
信号を取り出すための圧入端子及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】以下に、従来の圧入端子を説明する。図
17は従来の圧入端子の斜視図、図18は図17のA−
A断面図、図19は図17のB−B断面図、図20は図
17のC−C断面図、図21は従来の圧入端子の圧入時
の状態説明図である。図17に示すように、この圧入端
子1は、プリント配線板2に形成した直径r1のスルー
ホール3内に圧入し、溝部4のある部分を塑性変形させ
て電気的に接続するようになっている。また、図18に
示すように、この圧入端子1の溝部4のある部分のA−
A断面は、中心部が肉厚な弓形状をしており、角度θ1
の開き角度をしている。図19に示すように、B−B断
面は、長方形状をしている。さらに、図20に示すよう
に、C−C断面は、上述のA−A断面に比べて小さい略
相似な弓形状をしている。なお、図21に示すように、
前記溝部4のある部分は、前記スルーホール3に圧入時
に塑性変形するが、その塑性変形により前記開き角度θ
1は角度θ2に変化する。ここに、θ1>θ2である。
また、前記スルーホール3の直径r1は約0.9mmであ
り、A−A断面の肉厚部は約0.35mmのものが製造さ
れて知られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年のプリント配線板
の技術開発により電子部品の搭載が高密度化され、圧入
端子のための面積も小さなものが必要となってきた。即
ち、スルーホールの直径が約0.5mmとして、圧入端子
もその直径に見合った太さのもののが要求されてきてい
る。一方、圧入端子の太さやスルーホールの直径の大き
さは、実際の製造工程においては、各圧入端子や各スル
ーホール毎にプラスマイナス百分の数ミリ程度の変動が
生じるのが一般的である。この変動の形態には、スルー
ホールに対して圧入端子の直径が細いときと、スルーホ
ールに対して圧入端子の直径が太いときとがある。
【0004】しかしながら、約0.5mm程度のスルーホ
ールに圧入させるために上記従来の径の細い圧入端子を
製造すると、浅い溝部のものしか製造することができ
ず、このような溝部の浅い圧入端子では塑性変形が大き
く取れない問題があった。このため、前記変動の形態に
応じて、スルーホールに対して圧入端子の直径が細いと
きには保持力が不足し、またスルーホールに対して圧入
端子の直径が太いときには圧入に際して大きな力が掛か
るために座屈が生じてしまい正確に圧入端子をプリント
配線板に圧入することができない問題が生じていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明は、プリント配線
板に形成したスルーホール内に圧入部を圧入して、スル
ーホールの内壁に接続する圧入端子において、圧入部
に、断面形状を弓形状とし、その断面中央部分における
曲面が成す半径方向の肉厚を、断面両端部分における内
面と直交する方向の肉厚よりも薄くなるような溝部を設
けると共に、圧入部の最大幅をスルーホールの直径より
も長くなるように形成することにより、圧入部が前記断
中央部分の近傍を中心として塑性変形しやすくした
とを特徴とする
【0006】また、帯材を順次繰り出して抜き及び潰し
工程により圧入端子を製造する圧入端子の製造方法にお
いて、一定幅の棒状部を形成する抜き工程と、この抜き
工程により形成された棒状部を、凹状の押さえ駒と平坦
な駒とで挟んで潰して一方の面の角を取る予備潰し工程
と、この予備潰し工程により形成された棒状部の角を取
られた一方の面を緩やかなほぼ円弧状の押さえ駒に当
て、その面とは反対側の面により鋭い円弧状の突出駒を
当てて挟み潰す潰し工程とを順次施して、断面形状を弓
形状とし、その断面中央部分における曲面が成す半径方
の肉厚を、断面両端部分における内面と直交する方向
の肉厚よりも薄くなるような溝部を設けると共に、最大
幅をスルーホールの直径よりも長くなるようにした圧入
部を形成することにより、圧入部が前記断面中央部分の
近傍を中心として塑性変形しやすくした圧入端子を製造
することを特徴とする
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して、本発明
の実施の形態を説明する。 第1の実施の形態 図1は圧入端子の正面図、図2は図1のD−D断面図、
図3は図1のE−E断面図、図4は図1のF−F断面
図、図5は圧入端子の圧入時の状態説明図である。な
お、以下の説明では、従来と同様のプリント配線板に搭
載する際の説明は省略する。
【0008】図1に示すように、この圧入端子5は、プ
リント配線板に形成したスルーホール内に圧入した際
に、プリント配線板上に突出させる突出部と、圧入をく
い止めるストッパー部と、圧入の際に塑性変形してスル
ーホール内壁と接続する圧入部と、圧入の際に最初にス
ルーホール内に挿入される先端部とを形成したものとし
た。なお、前記突出部、ストッパー部及び先端部は従来
のものと同様であり、上述の作用を有する。
【0009】前記圧入部には溝部6が形成してあり、こ
の圧入部は次のような形状を有する。この圧入部の中央
部分では、図2に示すD−D断面のように、中心の肉厚
部S1よりも両端の肉厚部S2の方が肉厚な弓形状と
し、圧入前は圧入部の最大幅S3がスルーホール3の直
径よりも長くなるように開き角度θ3を有している。ま
た、圧入部の両端近傍では、図3に示すE−E断面のよ
うに、上述のD−D断面に比べて小さい略相似な弓形状
をしている。これは、圧入部の溝部6がその中央部分で
深くなりその両端部分で浅くなることを示している。さ
らに、図4に示すF−F断面は、長方形状をしている。
【0010】なお、図5に示すように、前記圧入部は、
スルーホール3への圧入時に塑性変形して、点a,b,
cの各点を中心にしてスルーホール3の内壁に接する。
この際に、その塑性変形により前記開き角度θ3は角度
θ4に変化する。ここに、θ3>θ4であり、中央の肉
厚部S1がその両端の肉厚部S2に比べて薄いため、圧
入部はその中央を中心にして塑性変形し易くなった。ま
た、圧入端子5の圧入部は、例えば、スルーホール3の
直径を約0.5mmとした場合に、D−D断面の肉厚部S
1≒0.07mm,S2≒0.15mm,圧入部の最大幅S
3≒0.58mmの大きさに製造することができる。この
製造方法については、後述する。
【0011】次に、圧入部の作用を説明する。図6は圧
入部の物理的性質の模式図である。なお、図5を適宜参
照して説明する。上述したように圧入部は点a,b,c
の各点を中心にしてスルーホールに接するが、この際
に圧入部は、弾性変化に伴う力をスルーホールに作用
する。そして、圧入部は、その反作用としてスルーホー
から力を受けることになり、一定以上の力が加わる
と塑性変形して硬化する。即ち、圧入部には、図6に示
すように応力ニュートラルラインLが生じて、引っ張り
又は圧縮の性質に応じた次の各領域毎に塑性変形する。
その領域は、図6に示すように、引っ張り塑性変形領域
、圧縮塑性変形領域、圧縮弾性変形領域及び引っ
張り弾性変形領域である。そして、前記圧縮弾性変形
領域及び引っ張り弾性変形領域よる反発によって
スルーホールの内壁に押しつけることで、圧入端子5を
プリント配線板に固定保持する。
【0012】それでは、上述のような圧入端子の製造方
法を説明する。図7及び図8は圧入端子の製造工程の説
明図、図9は図8のG−G断面図、図10は棒状部加工
の抜き工程の説明図、図11は図8のH−H断面図、図
12は予備潰し工程の説明図、図13はI−I断面図、
図14は潰し工程の説明図である。図7及び図8に示す
ように、燐青銅等の材質の帯材に対して、潰し、抜き
、抜き、抜き、予備潰し、潰し、潰し及び
抜きの各工程を一定のピッチで順次施して圧入端子を
製造する。以下、各工程を順に説明する。なお、図1を
逐次参照するものとする。
【0013】まず、図示しない繰り出し機構により一定
のピッチで繰り出されてくる帯材に対して、潰し工程
により圧入端子の先端部に相当する部分を形成する。次
に、抜き及び抜き工程を施して、抜きでは帯材の
縁を段差を形成して帯材製作時の不安定残留応力部を取
り除き、抜きでは円状穴を形成する。次に、抜き工
程を施し、圧入端子の圧入部の部分を棒状部に形成して
いく。この抜き工程で形成される棒状部は、図9に示
す長方形の断面のようになり、図10に示すように、棒
状部に相当する部分を抜きダイの上に載せ、この抜きダ
イの脇を抜きパンチにより切り取って棒状部を形成す
る。次に、前記棒状部に対し、予備潰し工程を施す。
この予備潰し工程では、図11に示す断面のように角
を押しつぶした状態にする。これは、図12に示すよう
に、平坦な下駒と凹状の上駒との間に棒状部を挟み込ん
で潰して形成する。次に、潰し工程を施し、図13に
示す断面のように、断面弓形状の中央部分の肉厚を両端
部分の肉厚よりも薄くなるように形成する。これは、図
14に示すように、前記予備潰しで形成した角を円弧
状の上駒に押しつけ、その反対の平坦な面を凸状の下駒
で挟み込んで潰して形成する。なお、この際、角を円弧
状の上駒に押しつけることで位置決め効果があり、断面
弓形状の中央部分の肉厚を両端部分の肉厚よりも薄くし
やすくしている。次に、潰し工程を施して、圧入端子
の突出部の端になる部分を形成する。そして、最後に、
抜き工程を施して、ストッパー部を含めて圧入端子の
形状を形成し、上述の各工程を順次繰り返して複数の圧
入端子を製造していく。
【0014】最後に、本実施の形態の圧入端子をプリン
ト配線板のスルーホールに圧入する際の作用を説明す
る。従来と同様に、圧入端子をスルーホールに先端部か
ら圧入していくと、スルーホール径よりも圧入部の幅が
広くなったときに、圧入部はスルーホールの内壁により
弾性変形して押しつぶされていく。そして、この弾性限
度を越えると、圧入部は塑性変形しスルーホール径にあ
った大きさで安定するため、圧入端子とスルーホールと
の電気的な接続も安定する。
【0015】上記実施の形態によると、スルーホール径
に追従して圧入端子が変形していくので、スルーホール
に対して圧入端子の直径が細く圧入代が少ないときにも
保持力の不足なく正確に圧入端子をスルーホールに圧入
することができる効果が得られる。また、スルーホール
に対して圧入端子の直径が太いときにも圧入に際して大
きな力が掛かっても塑性変形がし易いので、座屈が生じ
ることなく正確に圧入端子をプリント配線板に圧入する
ことができる効果が得られる。
【0016】第2の実施の形態 図15に示すように、この第2の実施の形態の圧入端子
7は、ストッパー部を間に介して圧入部をその両端側に
形成したものである。図16に示すようにこの圧入端子
7は、A部の圧入部プリント配線板8と導通を取っ
て、プリント配線板8を固定し、ストッパー部である
によって部品実装のスペースを取り、C部の圧入部
プリント配線板9と導通を取って、プリント配線板9
固定するもので、これによりプリント配線板の多段化を
図り、実装密度を上げる手段とすること可能である。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように本発明の圧入端子に
よると、スルーホール径に追従して圧入端子が変形して
いくので、スルーホールに対して圧入端子の直径が細く
圧入代が少ないときにも保持力の不足なく正確に圧入端
子をスルーホールに圧入することができる効果が得られ
る。また、スルーホールに対して圧入端子の直径が太い
ときにも圧入に際して大きな力が掛かっても塑性変形が
し易いので、座屈が生じることなく正確に圧入端子をプ
リント配線板に圧入することができる効果が得られる。
さらに、本発明の圧入端子の製造方法によると、上述の
効果を得ることが可能な圧入端子を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の圧入端子の正面図
【図2】図1のD−D断面図
【図3】図1のE−E断面図
【図4】図1のF−F断面図
【図5】圧入端子の圧入時の状態説明図
【図6】圧入部の物理的性質の模式図
【図7】圧入端子の製造工程の説明図
【図8】圧入端子の製造工程の説明図
【図9】図8のG−G断面図
【図10】棒状部加工の抜き工程の説明図
【図11】図8のH−H断面図
【図12】予備潰し工程の説明図
【図13】図8のI−I断面図
【図14】潰し工程の説明図
【図15】第2の実施の形態の圧入端子の正面図
【図16】第2の実施の形態の使用例の斜視図
【図17】従来の圧入端子の斜視図
【図18】図17のA−A断面図
【図19】図17のB−B断面図
【図20】図17のC−C断面図
【図21】従来の圧入端子の圧入時の状態説明図
【符号の説明】
5 圧入端子 6 溝部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01R 9/16 102

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プリント配線板に形成したスルーホール
    内に圧入部を圧入して、スルーホールの内壁に接続する
    圧入端子において、 圧入部に、断面形状を弓形状とし、その断面中央部分
    おける曲面が成す半径方向の肉厚を、断面両端部分にお
    ける内面と直交する方向の肉厚よりも薄くなるような溝
    を設けると共に、圧入部の最大幅をスルーホールの直
    径よりも長くなるように形成することにより、圧入部が
    前記断面中央部分の近傍を中心として塑性変形しやすく
    したことを特徴とする圧入端子。
  2. 【請求項2】 帯材を順次繰り出して抜き及び潰し工程
    により圧入端子を製造する圧入端子の製造方法におい
    て、 一定幅の棒状部を形成する抜き工程と、 この抜き工程により形成された棒状部を、凹状の押さえ
    駒と平坦な駒とで挟んで潰して一方の面の角を取る予備
    潰し工程と、 この予備潰し工程により形成された棒状部の角を取られ
    た一方の面を緩やかなほぼ円弧状の押さえ駒に当て、そ
    の面とは反対側の面により鋭い円弧状の突出駒を当てて
    挟み潰す潰し工程とを順次施して、 断面形状を弓形状とし、その断面 中央部分における曲面
    が成す半径方向の肉厚を、断面両端部分における内面と
    直交する方向の肉厚よりも薄くなるような溝部を設ける
    と共に、最大幅をスルーホールの直径よりも長くなるよ
    うにした圧入部を形成することにより、 圧入部が前記断面 中央部分の近傍を中心として塑性変形
    しやすくした圧入端子を製造することを特徴とする圧入
    端子の製造方法。
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