JP3321717B2 - 有機・無機融合体被覆鋼板およびその製造方法 - Google Patents
有機・無機融合体被覆鋼板およびその製造方法Info
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Description
度の被覆を施した耐食・耐熱性被覆鋼板およびその製造
方法に関する。
である。塗装を行う目的は、大きくは素地の鋼板を保護
することと同時に耐久力を増加し、これを美化するもの
である。塗装された鋼板は、建築物、船舶、橋梁等の大
きなものから各種機械・自動車、家具、電気製品の小物
や生活用品まで使用されている。これら鋼板の塗装は一
般に加工・組立後に行われている(ポストコート)。し
かしながら、近年、特に家電分野などでは既に塗装され
ている鋼板(プレコート鋼板)をそのまま加工・組立す
る方式に移行しつつある。プレコート鋼板には、従来の
防食等の機能に加えて加工性が要求される。したがっ
て、前記機能を満たすために、ポリエステル系樹脂等の
有機高分子が塗料として使用されている。
工・組立ラインから塗装工程を省略できるため、現在ポ
ストコートに頼っている分野(例えば、高硬度、高耐熱
性等)にもプレコート化が要求されるようになってき
た。しかしながら、従来のプレコート鋼板では、基本的
には有機高分子で塗装されているために、表面硬度、耐
熱性等には限界があった。これに対して、セラミックス
をコーティングして鋼板の表面硬度、耐熱性を向上させ
る方法が考えられるが、加工性が損なわれ、プレコート
鋼板としては使用できない。
されたものであり、加工性に優れかつ高硬度の被覆を施
した耐食性・耐熱性鋼板およびその製造方法を提供する
ことを目的とする。
に、アルコキシシラン(A)あるいは加水分解したアル
コキシシラン(A)にジアルキルジアルコキシシラン
(B)をB/Aのモル比で8.0〜0.2の範囲で加え
た溶液を加水分解して得られたシロキサン重合体からな
る有機・無機融合体を0.5〜50μmの厚さで鋼板に
被覆する。有機・無機融合体とは、炭素、水素、酸素、
窒素等からなる有機物に、金属、半金属が化学結合して
重合することにより、原子・分子レベルで融合した材料
である。
合を骨格として重合した高分子であり、分子骨格中にS
i−R結合とSi−O結合を有する。Si−R結合と
は、例えば、Si−CH3 、Si−C2 H5 、Si−C
3 H7、Si−C4 H9 、Si−C6 H5 等であり、有
機成分の割合を代表するものである。一方、Si−O結
合とは、シロキサン重合体の骨格であるSi−O−Si
結合の割合、すなわち、無機成分の割合を代表するもの
である。
ラン/アルコキシシランのモル比を制御することによ
り、目的の性能を発揮するためのSi−R結合/Si−
O結合の比は制御できる。Si−R結合/Si−O結合
の比の確認については、例えば、赤外線吸収スペクトル
のSi−C結合の吸収ピークとSi−O結合の吸収ピー
クから算出できる。
R結合/Si−O結合の比が0.05未満になると、加
工性が損なわれるために加工時に皮膜が剥離したり、ク
ラックが生じる。一方、Si−R結合/Si−O結合の
比が0.8を超えると、加工性には問題ないが、表面硬
度や耐熱性が著しく低下する。すなわち、ジアルキルジ
アルコキシシラン/アルコキシシランのモル比が0.2
未満または8.0超の場合には、加工性の低下または表
面硬度および耐熱性に問題が生じる。上記影響を鑑み
て、ジアルキルジアルコキシシラン/アルコキシシラン
のモル比は、8.0〜0.2の範囲とする。有機・無機
融合体被覆の厚さが0.5μm未満では、充分な耐熱性
や耐食性が得られない。一方、50μmを超える厚さに
なると、塗装過程の熱処理時にクラック等が発生する。
下のようにして製造できる。アルコキシシランあるいは
加水分解したアルコキシシランにジアルキルジアルコキ
シシランをジアルキルジアルコキシシラン/アルコキシ
シランのモル比で8.0〜0.2の範囲で加え、さらに
加水分解した溶液を鋼板に塗布した後、100〜600
℃で熱処理する。
限定しないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラ
エトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブト
キシシラン等が挙げられる。また、これらのアルコキシ
基の一部をβ−ジケトン、β−ケトエステル、アルカノ
ールアミン、アルキルアルカノールアミン、有機酸等で
置換して使用してもよい。
解とは、アルコキシシランに対して10モル倍までの水
を添加して加水分解することである。その際、無機酸、
有機酸あるいはそれらの両方を触媒として使用してもよ
い。添加する水は、アルコール等の有機溶媒で稀釈して
もよい。10モル倍を超える水を使用するとすぐにゲル
化するために、好ましくない。
シランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラ
ン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシ
ラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキ
シシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジプロピルジメ
トキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピ
ルジプロポキシシラン、ジプロピルジブトキシシラン、
ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシ
ラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジブ
トキシシラン等が挙げられる。
コキシ基に対して0.5〜10.0モル倍の水を添加す
る。その際、無機酸、有機酸あるいはそれらの両方を触
媒として使用してもよい。添加する水は、アルコール等
の有機溶媒で稀釈してもよい。0.5モル倍未満の水で
は重合度が低く、熱処理の際に揮発するために塗布でき
ない。一方、10.0モル倍を超えると、すぐにゲル化
して塗布できない。
ルキルジアルコキシシランおよびアルコキシシランを均
一に分散、溶解できる有機溶媒が使用される。例えば、
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等
の各種アルコール、アセトン、トルエン、キシレン等で
ある。本発明で使用する鋼板は特に限定しないが、例え
ば、ステンレス鋼板、アルミ・亜鉛等の各種メッキ用鋼
板およびこれらのメッキを施した鋼板等が挙げられる。
レーコート法、ロールコート法、スピンコート法等で行
われる。塗布後の熱処理は、100〜600℃で行う。
100℃未満であると、溶媒等が十分蒸発せず、硬度、
耐熱性が得られない。600℃を超えると、溶媒等が急
激に蒸発して、皮膜にピンホールやクラックが発生す
る。
格にSi−R結合を有するシロキサン重合体からなる皮
膜を有するため、セラミックに比べ加工性に富み、有機
高分子に比べ高硬度、高耐熱性を発揮できる。すなわ
ち、シロキサン結合のみの重合体(ガラス)では、結合
が三次元的に発達するため、加工性が損なわれる。しか
し、シロキサン結合の一部にSi−Rを導入すると、こ
の末端は他のSiと結合せず自由となり、シロキサン結
合の三次元ネットワークの一部が崩れて、加工性に富む
ようになる。
の製造方法を以下の実施例によって具体的に説明する。
ただし、本発明は、これらの実施例のみに限定されるも
のではない。表1に示すような条件で、鋼板に有機・無
機融合体を塗布、熱処理した。作製した有機・無機融合
体被覆鋼板の加工性、表面硬度、耐食性、耐熱性を評価
した。表2にこれらの結果をまとめて示す。加工性は、
JIS G 3312 180°折り曲げ後の塗膜クラ
ックの限界で評価した。表面硬度は、鉛筆硬度試験法で
行った。耐食性は、塩水噴霧試験240時間後の錆の発
生程度を次の基準で評価した。○:錆の発生なし、△:
わずかな錆の発生、×:著しい錆の発生。耐熱性は、2
00〜400℃で48時間加熱した後、塩水噴霧試験で
錆が発生しない温度を調べた。
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。本
発明の有機・無機融合体被覆鋼板は、分子骨格にSi−
R結合を有するシロキサン重合体からなる皮膜を有する
ため、セラミックス被覆鋼板に比べ加工性に富み、有機
高分子被覆鋼板に比べ高硬度、高耐熱性を発揮できる。
したがって、従来の有機高分子を塗布したプレコート鋼
板では対応できないためにポストコートされている用途
にも使用できる。例えば、高度の耐食性や耐熱性を必要
とする分野である。さらに、本発明の有機・無機融合体
被覆鋼板は、従来の有機高分子塗布のプレコート鋼板に
比べ、高い硬度を有するため、傷が着きにくく取り扱い
が容易になる。
Claims (2)
- 【請求項1】 アルコキシシラン(A)あるいは加水分
解したアルコキシシラン(A)にジアルキルジアルコキ
シシラン(B)をB/Aのモル比で8.0〜0.2の範
囲で加えた溶液を加水分解して得られたシロキサン重合
体を0.5〜50μmの厚さで被覆したことを特徴とす
る有機・無機融合体被覆鋼板。 - 【請求項2】 アルコキシシラン(A)あるいは加水分
解したアルコキシシラン(A)にジアルキルジアルコキ
シシラン(B)をB/Aのモル比で8.0〜0.2の範
囲で加え、さらに加水分解した溶液を鋼板に塗布した
後、100〜600℃で熱処理することを特徴とする有
機・無機融合体被覆鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13791093A JP3321717B2 (ja) | 1993-06-08 | 1993-06-08 | 有機・無機融合体被覆鋼板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13791093A JP3321717B2 (ja) | 1993-06-08 | 1993-06-08 | 有機・無機融合体被覆鋼板およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06343921A JPH06343921A (ja) | 1994-12-20 |
JP3321717B2 true JP3321717B2 (ja) | 2002-09-09 |
Family
ID=15209543
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13791093A Expired - Lifetime JP3321717B2 (ja) | 1993-06-08 | 1993-06-08 | 有機・無機融合体被覆鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3321717B2 (ja) |
-
1993
- 1993-06-08 JP JP13791093A patent/JP3321717B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06343921A (ja) | 1994-12-20 |
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