JP3320521B2 - 苛性ソーダの製造工程における塩素酸塩の除去方法及び塩素酸塩の分析方法 - Google Patents

苛性ソーダの製造工程における塩素酸塩の除去方法及び塩素酸塩の分析方法

Info

Publication number
JP3320521B2
JP3320521B2 JP25228293A JP25228293A JP3320521B2 JP 3320521 B2 JP3320521 B2 JP 3320521B2 JP 25228293 A JP25228293 A JP 25228293A JP 25228293 A JP25228293 A JP 25228293A JP 3320521 B2 JP3320521 B2 JP 3320521B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solution
chlorate
caustic soda
sodium sulfite
salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP25228293A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0790659A (ja
Inventor
昇 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tsurumi Soda Co Ltd
Original Assignee
Tsurumi Soda Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tsurumi Soda Co Ltd filed Critical Tsurumi Soda Co Ltd
Priority to JP25228293A priority Critical patent/JP3320521B2/ja
Publication of JPH0790659A publication Critical patent/JPH0790659A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3320521B2 publication Critical patent/JP3320521B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食塩溶解液を電気分解
してカセイソーダを製造する方法において、塩素酸塩を
含む溶液から塩素酸塩を除去する方法及び溶液中の塩素
酸塩の濃度を分析する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】苛性ソーダ(NaOH)の製造法として
は、従来例えば隔膜法が実施されている。この他水銀法
やイオン交換膜法も知られており、これらの方法で製造
した苛性ソーダは隔膜法で製造したものに比べて品質が
優れているため、過去においては水銀法が主流をなして
きたが、水銀汚染を契機とする行政指導により、現在で
は実施されていない。
【0003】ところで隔膜法は食塩溶解液を電気分解し
て苛性ソーダを製造する方法であり、その製造工程は、
原塩を溶解し原塩中の不純物を除去する塩水精製工程
と、塩水を電解槽にて電気分解し苛性ソーダを得る電解
工程と、電解槽により得られた10〜12重量%苛性ソ
ーダを約50重量%となるまで蒸発缶にて濃縮する蒸発
濃縮工程とからなる。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら上述
の隔膜法では、工場排水の低減のため、排水のクロ−ズ
ド化が推進され、処理水(析出塩の溶解塩水)の一部が
原塩の溶解に使われるため、原塩を溶解した塩水(食塩
溶解液)中にクロレートが存在し、またこのクロレート
(NaClO3 )は電気分解後の電解液(カセイソーダ
溶液)ではその含有量が増加することが知られている。
ここで塩水中にクロレートが多量に存在すると電気分解
時の電流効率が低下したり、電解槽や電解槽を仕切る隔
膜の寿命が短縮され、電力原単位の低下の原因となる。
【0005】また電解液中にクロレートが多量に存在す
ると蒸発濃縮工程で使用されるニッケル(Ni)製の蒸
発缶の使用寿命が短縮されるが、蒸発濃縮工程はこの製
造法において重要な工程であり、蒸発缶がトラブルを起
こして濃縮処理が停止されると大きな損失を招き、また
蒸発缶の材料となるニッケルは高価であるためその交換
回数が多くなると製造コストが高くなる。
【0006】そこで塩水や電解液からクロレートを除去
することが必要となるが、この方法としては例えばクロ
レートを含む苛性ソーダ水溶液を強塩基性陰イオン交換
樹脂と接触させ、不純物を除去した後に活性炭と接触さ
せて苛性ソーダ水溶液を精製する方法や、塩素酸塩等の
不純物を含む苛性アルカリ液に、第一鉄塩または第二鉄
塩とナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートとを
微量添加後、この溶液を加熱処理して不純物を除去する
方法、あるいは塩素酸塩をルテニウム触媒の存在下でホ
ルムアルデヒド、アルコール、ホルマール化合物等の還
元剤の内少くとも1種の化合物の存在下でpH4以上の
水溶液中で分解させる方法等が提案されている。
【0007】しかしながらイオン交換樹脂による方法
は、苛性ソーダ水溶液をイオン交換樹脂や活性炭と接触
させる装置が必要となり、装置構成が複雑化すると共
に、隔膜法電解液中の多量のクロレ−トのため、イオン
交換樹脂や活性炭の交換頻度が多くなり運転コストが上
昇するという問題があり、また第一鉄塩等とナトリウム
ホルムアルデヒドスルホキシレートを添加する方法は、
運転コストの上昇や、処理後に添加物質を除去する工程
が必要となるという問題がある。さらにルテニウム触媒
の下でホルムアルデヒド等の還元剤を添加する方法は、
溶液をpH4以上に調整しなければならず処理が面倒で
あると共に、触媒層が必要な事、触媒寿命、食品にも苛
性ソ−ダが使用されることから有害なホルムアルデヒド
の残留等という問題がある。
【0008】このようにクロレート等の塩素酸塩の除去
については従来より種々の手法が試みられて来たが、有
効な決め手は未だ見い出されていないのが現状であり、
さらに塩素酸塩の除去のために添加される添加剤として
は、有害でないこと、苛性ソーダの品質に著しい低下を
きたさないこと等の制約がある。
【0009】本発明はこのような事情の下になされたも
のであり、その目的は苛性ソ−ダの製造工程において、
食塩溶解液及び/または苛性ソ−ダ溶液から塩素酸塩を
効率よく除去できる塩素酸塩の除去方法を提供すること
にある。
【0010】また本発明の他の目的は、還元物質が存在
する溶液中の塩素酸塩の濃度を正確に測定することがで
きる塩素酸塩の分析方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、食塩
溶解液を電気分解して苛性ソーダ溶液を製造する方法に
おいて、食塩溶解液及び/または苛性ソーダ溶液に亜硫
酸ナトリウムを添加することにより、前記食塩溶解液及
び/または苛性ソーダ溶液に含まれる塩素酸塩を分解し
て除去することを特徴とする。
【0012】請求項2の発明は、pHが2以上の食塩溶
解液及び/または苛性ソーダ溶液よりなる溶液中に含ま
れる塩素酸塩を、当該溶液に亜硫酸ナトリウムを添加し
て除去した後、塩素酸塩の残存量を定量分析する方法に
おいて、前記溶液に過剰の次亜塩素酸ナトリウム及び/
または過酸化水素水を添加して未反応の亜硫酸ナトリウ
ムを酸化する工程と、その後この溶液に過酸化銀を添加
して次亜塩素酸ナトリウム及び/または過酸化水素水を
分解する工程と、次いでこの溶液をろ過してろ過液を得
る工程と、を含む前処理を行い、この前処理で得られた
ろ過液を用いて、塩素酸塩の残存量の定量分析を行うこ
とを特徴とする。
【0013】請求項3の発明は、食塩溶解液を電気分解
して苛性ソーダ溶液を製造する方法において、食塩溶解
液に亜硫酸ナトリウムを添加し、この溶液について前処
理を行うことを特徴とする。
【0014】
【作用】食塩溶解液を電気分解して苛性ソ−ダを製造す
る方法において、原塩を溶解した食塩溶解液及び/また
は電気分解後の苛性ソ−ダ溶液に亜硫酸ナトリウムを添
加すると、各溶液中に含まれる次亜塩素酸塩及び塩素酸
塩と亜硫酸ナトリウムとが反応し、塩素酸塩はpH領域
により分解率は異なるものの、アルカリ性でも亜硫酸ナ
トリウムにより分解され、除去される。
【0015】また塩素酸塩を除去した後の溶液に過剰の
次亜塩素酸ナトリウム及び/または過酸化水素水を添加
すると、未反応の亜硫酸ナトリウムが酸化される。さら
に溶液に過酸化銀を添加すると、未反応の次亜塩素酸ナ
トリウム及び/または過酸化水素水が分解され、未反応
の過酸化銀はろ過により除去される。このろ液を用いて
塩素酸塩の残存量の分析を行うと、分析時における塩素
酸塩と亜硫酸ナトリウムとの反応が回避でき塩素酸塩の
濃度が正確に分析できる。
【0016】
【実施例】以下本発明の実施例について説明する。本発
明は食塩溶解液を電気分解して苛性ソーダを製造する方
法即ち隔膜法において、塩素酸塩例えばクロレートを含
む溶液に亜硫酸ナトリウム(Na2 SO3 )を添加し
て、クロレートを塩化ナトリウム(NaCl)に分解し
除去するものである。
【0017】実際に亜硫酸ナトリウムを添加する工程
を、図1に示す隔膜法の製造工程図により説明する。先
ず原料である原塩を溶解槽にて溶解し(原塩溶解工
程)、精製槽にてこの塩水中に例えば水酸化ナトリウム
(NaOH)、炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )等を添
加し、原塩中に含まれるCa、Mg、Fe等の隔膜に有
害な不純物を除去する(一次精製工程)。
【0018】次にpH調整槽にて例えば塩酸(HCl)
を添加し、塩水を中和した後亜硫酸ナトリウムを添加す
る。ここで亜硫酸ナトリウムはクロレートに対して多量
に添加してもよいが、未反応の亜硫酸ナトリウムが存在
すると苛性ソーダの品質が劣化し、また亜硫酸ナトリウ
ムのコストも上昇することから、亜硫酸ナトリウムの添
加量は塩水中に存在するクロレートに対し1〜2当量で
あることが好ましい。亜硫酸ナトリウムの添加後、10
〜15分以上例えばポンプ循環又は攪拌機により溶液を
攪拌して反応させる。なおpH調整槽から次工程が行な
われる電解槽1へ供給される塩水の温度は約60〜80
℃であるので、特に加温する必要はないが、反応温度は
高い程好ましい。
【0019】ここでクロレートと亜硫酸ナトリウムとを
反応させると次式に示すように、クロレートは塩化ナト
リウムに還元分解され、亜硫酸ナトリウム自体は硫酸ナ
トリウム(Na2 SO4 )に酸化される。 NaClO3 +3Na2 SO3 →3Na2 SO4 +NaCl…(1) クロレートの分解反応後、塩水を、例えば石綿繊維及び
石綿布からなる隔膜11で陽極室13と陰極室12とに
仕切られた電解槽1へ送り、電気分解を行なう(電気分
解工程)。この電気分解により陽極室13よりCl2
ス、陰極室12より苛性ソーダ溶液及びH2 ガスが得ら
れる。
【0020】なお各工程における溶液中のクロレート濃
度を測定すると、一次精製工程、pH調整工程では共に
約0.3〜0.6g/Lであるのに対し、電気分解工程
後の電解液即ち苛性ソーダ溶液では約1〜3g/Lであ
った。この結果よりクロレートは主として電気分解工程
において次のようなメカニズムで生成すると考えられ
る。即ち、陰極室12で生成した苛性ソーダが隔膜を通
して陽極室13へ拡散し、陽極室13で発生したCl2
ガスと反応して次式に示すように次亜塩素酸ナトリウム
(NaClO)が生成する。そしてこの次亜塩素酸ナト
リウムが陽極室13において、以下の(3)式、(4)
式に示すように、分解したり酸化されてクロレートが生
成する。 2NaOH+Cl2 →NaCl+NaClO…(2) 3NaClO→2NaCl+NaClO3 …(3) NaClO+O2 →NaClO3 …(4) 次に電気分解により得られた10〜12重量%苛性ソー
ダ溶液を一旦電解液貯留層2に貯留した後、例えばニッ
ケル製の蒸発缶よりなる蒸発装置3により濃縮し(蒸発
濃縮工程)、48重量%苛性ソーダ溶液を得、得られた
苛性ソ−ダ溶液は苛性ソ−ダ溶液貯留槽4に貯留され
る。この時未反応及びクロレートが分解して生成した塩
化ナトリウムは、48重量%苛性ソ−ダ溶液中の溶解度
を利用して析出分離され、原塩溶解工程へ送られて再使
用される。一方亜硫酸ナトリウムの酸化により生成した
硫酸ナトリウムも、48重量%苛性ソ−ダ溶液中の溶解
度を利用して析出分離される。
【0021】さらに固形の苛性ソ−ダを得る場合には、
48重量%苛性ソ−ダ溶液は例えばニッケル製の蒸発煮
詰め器5に送られて煮詰められ、図示しないシ−ルポッ
ト及びフレ−カ−により例えばフレ−ク状の苛性ソ−ダ
固形物とされて苛性ソ−ダ受槽6に送られる。
【0022】なお亜硫酸ナトリウムは図1に破線で示す
ように、pH調整工程前や電気分解後の電解液に添加し
てもよく、蒸発煮詰め器5に供給する前の苛性ソ−ダ溶
液に添加してもよい。
【0023】次に本発明の効果を確認するために行った
クロレートの除去試験について比較例と共に説明する。 〈実験例1〉クロレート濃度0.21g/LのpH調整
後の塩水に無水亜硫酸ナトリウムを1g/L添加し、室
温下で溶液を60分間攪拌して反応させた後、溶液中の
クロレート濃度を測定し、除去率を求めた。また亜硫酸
ナトリウムを2g/L添加して同様の実験を試みた。結
果は〈表1〉に示す。
【0024】〈実験例2〉クロレート濃度2.40g/
Lの電気分解後の電解液に無水亜硫酸ナトリウムを5g
/L添加し、室温下で溶液を60分間攪拌して反応させ
た後、溶液中のクロレート濃度を測定し、除去率を求め
た。また亜硫酸ナトリウムを10g/L添加して同様の
実験を試みた。結果は〈表1〉に示す。
【0025】〈比較例1〉クロレート濃度2.40g/
Lの電解液に水素化リチウムアルミニウム(LiAlH
4 )を3g/L添加し、室温下で溶液を60分間攪拌し
て反応させた後、溶液中のクロレート濃度を測定した
が、クロレート濃度はほとんど変化なく、クロレート除
去の効果はなかった。
【0026】〈比較例2〉クロレート濃度0.21g/
Lの塩水に硫化ナトリウム(Na2 S・7H2 O)を
0.35g/L添加し、室温下で溶液を60分間攪拌し
て反応させた後、溶液中のクロレート濃度を測定し、除
去率を求めた。結果は〈表1〉に示す。
【0027】
【表1】 以上の実験結果より亜硫酸ナトリウムをクロレートの含
有量に対して1定量以上添加することにより塩水及び電
解液に含まれるクロレートを40〜60%の除去率で除
去できることが確認された。
【0028】また塩水中に亜硫酸ナトリウムを添加した
後電気分解すると、塩水中のクロレートが減少すると共
に、未反応の亜硫酸ナトリウムが電解槽内で生成する次
亜塩素ナトリウムを分解し、クロレートの生成が抑えら
れると推察されることから、電解液に対してクロレート
の除去処理を行う場合に比べて塩水に対してクロレート
の除去処理を行うことが、pH領域による反応効率の面
からも亜硫酸ナトリウムの添加量が少くなるためコスト
を低減でき、電解槽や隔膜の使用寿命を長くすることが
できるので有効であると考えられる。
【0029】さらに比較例1において水素化リチウムア
ルミニウムによるクロレート除去の効果はほとんど無い
ことが確認され、比較例2において硫化ナトリウムによ
るクロレート除去の効果は亜硫酸ナトリウムに比べて少
し劣り、また硫化水素(H2S)臭が強いことから実際
の適用は難しいことが確認された。なおこの反応の反応
式は以下の(5)式に示す通りである。4NaClO3
+3Na2 S→3Na2 SO4 +4NaCl…(5)次
に上述のクロレートの除去試験で亜硫酸ナトリウムと反
応させた後のクロレート濃度を測定するために用いたク
ロレート濃度の分析方法について説明する。この方法
は、本発明者らはクロレートはpHが0領域では亜硫酸
ナトリウムと非常によく反応するということを把握して
いたため、溶液を酸性とする分析工程においてクロレー
トが亜硫酸ナトリウムにより分解されることを懸念し
て、分析前に測定しようとする溶液中に含まれる未反応
の亜硫酸ナトリウムを除去した後、溶液のクロレート濃
度を分析することにより、クロレート濃度を正確に分析
するために見出されたものであり、具体的には以下に記
載する測定試料の前処理工程とクロレートの分析工程と
からなる。
【0030】〈前処理工程〉測定溶液に例えば次亜塩素
酸ナトリウム、過酸化水素(H2 2 )等の酸化剤を過
剰に添加し、未反応の亜硫酸ナトリウムを硫酸ナトリウ
ムに酸化する。次いで過酸化銀を添加し、未反応の酸化
剤を分解した後、過酸化銀をろ過して除去し、ろ過液を
測定試料とする。
【0031】〈分析工程〉前処理工程で調整した試料の
適量をホールピペットで正確に採取し、硫酸(H2 SO
4 )にて酸性とし、5%FeSO4 (NH4 2 SO4
10mlを正確に採取し添加する。次いで約5〜10分
間煮沸した後冷却し、水約50mlを加えN/20過マ
ンガン酸カリウム(KMnO4 )溶液にて滴定する。こ
の時の過マンガン酸カリウム溶液の使用量をAmlとす
る。
【0032】次に空試験を行なう。即ち水50mlに試
料に添加した量と同量の硫酸を添加し、更に5%FeS
4 (NH4 2 SO4 10mlを正確に採取し添加し
た後、N/20過マンガン酸カリウム溶液にて滴定す
る。この時の過マンガン酸カリウム溶液の使用量をBm
lとする。
【0033】滴定結果より、測定試料中のクロレート濃
度は以下の計算式より求められる。
【0034】 NaClO3 (g/L) =0.000887×(B−A)ml×F×1000/試料量(ml)…(6) なお分析工程におけるクロレートと硫酸鉄、次亜塩素酸
ナトリウムと硫酸鉄、過マンガン酸カリウムと硫酸鉄と
の反応はそれぞれ以下の(7)式、(8)式、(9)式
に示す通りである。
【0035】 NaClO3 +6FeSO4 +3H2 SO4 →NaCl+3Fe2 (SO4 )+3H2 O…(7) NaClO+2FeSO4 +H2 SO4 →NaCl+Fe2 (SO4 )+H2 O…(8) 2KMnO4 +10FeSO4 +8H2 SO4 →K2 SO4 +2MnSO4 +5FeSO4 (SO4 3 +8H2 O …(9) このクロレートの分析方法の効果を確認するために以下
の実験を試みた。即ちクロレート濃度0.33g/Lの
塩水からpHの異なる3種類の溶液(pH2.0の酸性
溶液、pH7.0の中性溶液、pH12.1のアルカリ
性溶液)を調整し、それぞれの溶液に亜硫酸ナトリウム
を1当量添加して、室温で60分間溶液を攪拌した後、
上述の分析方法を用いて溶液中のクロレート濃度を測定
し、除去率を求めた。結果は酸性溶液は除去率が60
%、中性溶液は50%、アルカリ性溶液は20%であっ
た。
【0036】このように添加した亜硫酸ナトリウムの量
は同じであっても、クロレートの除去率は酸性溶液、中
性溶液、アルカリ性溶液では異なったため、前処理工程
で未反応の亜硫酸ナトリウムを酸化して除去した後に、
分析工程で測定試料中のクロレートの濃度を滴定により
求めることにより、分析工程におけるクロレートと未反
応の亜硫酸ナトリウムの反応を抑え、クロレートの濃度
を正確に測定できることが確認された。
【0037】またクロレートはアルカリ性溶液中では非
常に安定であるため、従来はアルカリ性溶液中での亜硫
酸ナトリウムによるクロレートの分解は困難であると考
えられていたが、上述の実験結果により、pH12.1
のアルカリ性溶液においても約20%の分解率(除去
率)が得られ、中性溶液または酸性溶液中では約50〜
60%の分解率が得られることが確認された。
【0038】このように本実施例の方法では、溶液中に
含まれるクロレートに対して1〜2当量の亜硫酸ナトリ
ウムを添加して反応させるという簡単な方法で、クロレ
ートを塩化ナトリウムに還元分解して除去することがで
き、本実施例のクロレート分析方法を用いることによ
り、分析工程におけるクロレートと未反応の亜硫酸ナト
リウムとの反応が抑えられ、クロレート濃度を正確に測
定することができる。
【0039】また亜硫酸ナトリウムを添加する溶液はア
ルカリ性であっても約20%のクロレート除去率が得ら
れ、中性〜酸性であればさらに高い除去率が得られる。
【0040】さらに塩水、電解液のそれぞれのクロレー
ト除去に対応でき、同程度の除去率が得られる。従って
塩水に対してクロレートの除去処理を行った場合には、
電流効率を向上させ、電解槽や隔膜、蒸発缶等の使用寿
命を長くすることができる。また電解液に対してクロレ
ートの除去処理を行った場合には蒸発缶等の使用寿命を
長くすることができ、かかる装置の使用寿命を長くする
ことにより、装置の交換回数を減らし、製造コストを低
くすることができる。
【0041】なお亜硫酸ナトリウムの添加時期は、原塩
溶解工程後蒸発濃縮工程前であればいつでもよいが、ク
ロレートの除去率はアルカリ性溶液より中性〜酸性溶液
の方が高いこと、電気分解工程前の方が亜硫酸ナトリウ
ムの必要量が少いことを考慮するとpH調整工程後の塩
水に添加することが好ましい。これにより亜硫酸ナトリ
ウムのコストを低減できると共に、電気分解時のクロレ
ートの発生が抑えられる。
【0042】
【発明の効果】本発明の塩素酸塩の除去方法によれば、
塩素酸塩を含む溶液に亜硫酸ナトリウムを添加するとい
う簡単な方法で、塩素酸塩を分解して除去できると共
に、塩素酸塩が除去されることにより電解槽や蒸発缶等
の苛性ソーダの製造に必要な装置の使用寿命を長くする
ことができる。
【0043】また本発明の塩素酸塩の分析方法によれ
ば、未反応の亜硫酸ナトリウムを除去した後に溶液中の
塩素酸塩の濃度を測定しているので、分析時における亜
硫酸ナトリウムと塩素酸塩との反応を回避できるため塩
素酸塩の濃度を正確に分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】隔膜法による苛性ソーダ製造の製造工程図であ
る。
【符号の説明】
1 電解槽 2 電解液貯留槽 3 蒸発装置 4 苛性ソ−ダ溶液貯留槽 5 蒸発煮詰め器 6 苛性ソ−ダ受槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25B 1/00 - 15/08 C01D 1/40 G01N 31/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食塩溶解液を電気分解して苛性ソーダ溶
    液を製造する方法において、食塩溶解液及び/または苛
    性ソーダ溶液に亜硫酸ナトリウムを添加することによ
    り、前記食塩溶解液及び/または苛性ソーダ溶液に含ま
    れる塩素酸塩を分解して除去することを特徴とする苛性
    ソーダの製造工程における塩素酸塩の除去方法。
  2. 【請求項2】 pHが2以上の食塩溶解液及び/または
    苛性ソーダ溶液よりなる溶液中に含まれる塩素酸塩を、
    当該溶液に亜硫酸ナトリウムを添加して除去した後、塩
    素酸塩の残存量を定量分析する方法において、 前記溶液に過剰の次亜塩素酸ナトリウム及び/または過
    酸化水素水を添加して未反応の亜硫酸ナトリウムを酸化
    する工程と、 その後この溶液に過酸化銀を添加して次亜塩素酸ナトリ
    ウム及び/または過酸化水素水を分解する工程と、 次いでこの溶液をろ過してろ過液を得る工程と、 を含む前処理を行い、 この前処理で得られたろ過液を用いて、塩素酸塩の残存
    量の定量分析を行うことを特徴とする塩素酸塩の分析方
    法。
  3. 【請求項3】 食塩溶解液を電気分解して苛性ソーダ溶
    液を製造する方法において、食塩溶解液に亜硫酸ナトリ
    ウムを添加し、この溶液について前処理を行うことを特
    徴とする請求項2記載の塩素酸塩の分析方法。
JP25228293A 1993-09-14 1993-09-14 苛性ソーダの製造工程における塩素酸塩の除去方法及び塩素酸塩の分析方法 Expired - Fee Related JP3320521B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25228293A JP3320521B2 (ja) 1993-09-14 1993-09-14 苛性ソーダの製造工程における塩素酸塩の除去方法及び塩素酸塩の分析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25228293A JP3320521B2 (ja) 1993-09-14 1993-09-14 苛性ソーダの製造工程における塩素酸塩の除去方法及び塩素酸塩の分析方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0790659A JPH0790659A (ja) 1995-04-04
JP3320521B2 true JP3320521B2 (ja) 2002-09-03

Family

ID=17235086

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25228293A Expired - Fee Related JP3320521B2 (ja) 1993-09-14 1993-09-14 苛性ソーダの製造工程における塩素酸塩の除去方法及び塩素酸塩の分析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3320521B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997012077A1 (fr) * 1995-09-28 1997-04-03 Kawasaki Steel Corporation Procede de dechargememt d'un depot de particules solides et equipement correspondant
US7815984B2 (en) 2005-07-12 2010-10-19 Canon Kabushiki Kaisha Recording medium and image forming method using the same
JP2013205016A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 遊離残留塩素の分析方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0790659A (ja) 1995-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6375825B1 (en) Process for the production of alkaline earth hydroxide
US4405465A (en) Process for the removal of chlorate and hypochlorite from spent alkali metal chloride brines
CA2071810C (en) Process for the production of chlorine dioxide
US5354436A (en) Process for removing nitrogen compounds from a liquid
EP0498484B1 (en) Process for electrolytic production of alkali metal chlorate and auxiliary chemicals
FI117563B (fi) Polysulfidin valmistaminen sulfidia sisältävän valkolipeän elektrolyysillä
US5938916A (en) Electrolytic treatment of aqueous salt solutions
JP5907501B2 (ja) 次亜塩素酸塩の製造方法
US4397720A (en) Removal of chlorate and hypochlorite from electrolyte cell brine
US4425202A (en) Method of making and color stabilization of choline base
US11932550B2 (en) Processing of lithium containing brines
JPS60230992A (ja) 再循環ブライン中の溶解ハロゲンおよびハイポハライトイオン濃度を減少させる方法
JP3320521B2 (ja) 苛性ソーダの製造工程における塩素酸塩の除去方法及び塩素酸塩の分析方法
US3801480A (en) Process for reducing losses of mercury in the alkali metal chloride electrolysis according to the amalgamation process
CA2194609C (en) Process for production of chlorine dioxide
US4773974A (en) Production of hexavalent chromium for use in chlorate cells
US6436275B1 (en) Electrochemical reduction of nitrate in the presence of an amide
US1173346A (en) Method for the manufacture of chlorates and perchlorates of alkali metals.
US20220396491A1 (en) Methods of reducing dinitrogen
JP3568294B2 (ja) 塩水中の塩素酸塩の増加防止方法
US1003041A (en) Electrolytic process of treating alkaline compounds.
JP5459163B2 (ja) 過塩素酸アンモニウムの製造装置および製造方法
JPH10280180A (ja) 過酸化水素水の製造装置及び方法
GB822990A (en) Improvements relating to processes for the evaporation or distillation of sea water,brackish waters and like aqueous solutions
JPS5831393B2 (ja) エンカアルカリヨウエキノ デンカイホウホウ

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees