JPH10280180A - 過酸化水素水の製造装置及び方法 - Google Patents

過酸化水素水の製造装置及び方法

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JPH10280180A
JPH10280180A JP9099735A JP9973597A JPH10280180A JP H10280180 A JPH10280180 A JP H10280180A JP 9099735 A JP9099735 A JP 9099735A JP 9973597 A JP9973597 A JP 9973597A JP H10280180 A JPH10280180 A JP H10280180A
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hydrogen peroxide
cathode
oxygen
anode
hydrogen
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JP9099735A
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English (en)
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Takayuki Shimamune
孝之 島宗
Hideji Nakamatsu
秀司 中松
Masashi Tanaka
正志 田中
Shuhei Wakita
修平 脇田
Masaharu Uno
雅晴 宇野
Yoshinori Nishiki
善則 錦
Kunio Nishimura
国男 西村
Masahiro Ando
昌博 安藤
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Katayama Chemical Inc
De Nora Permelec Ltd
Original Assignee
Katayama Chemical Inc
Permelec Electrode Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子デバイスや液晶の洗浄処理等に使用する
高純度の過酸化水素水の電解的製造装置及び方法を提供
する。 【構成】 陽極7、及び水素吸蔵金属及び/又は合金か
ら成る陰極8を収容した電解槽で原子状水素を生成し、
これにより酸素を還元して過酸化水素を生成する際に、
固体電解質として機能するイオン交換膜2を使用して陽
極と陰極を区画する。これにより電解質を電解液に溶解
させる必要がなくなり、かつ陽極物質の生成する過酸化
水素水への混入が防止できるため、不純物の混入のない
高純度の過酸化水素水を提供できるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高純度の過酸化水素水
を製造するための装置及び方法に関し、より詳細には電
子デバイスや液晶の処理などに効果的に使用できる、不
純物や安定剤の混入のない過酸化水素水を電解的に製造
するための装置及び方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】過酸化水素は強い酸化剤とし
て、又一部では還元剤として、食品、医薬品、パルプ、
繊維、半導体工業において不可欠で基礎的な処理用薬品
として有用であり、処理後の反応物質が水のみであり有
害物質が残らず二次公害の問題が全くないことから広く
注目を集めている。従来から、例えば冷却水として海水
を使用する発電所や工場では、復水器内部への生物付着
を防止するために、海水を直接電解して次亜塩素酸を生
成させ、該次亜塩素酸を有効利用することが試みられて
いる。しかしこの次亜塩素酸のような酸化剤の場合、反
応に関与する物質は基本的には酸素であるが塩素根を含
み一部では有害な塩素化合物を生成する可能性が指摘さ
れており、使用済の次亜塩素酸をそのまま放流すること
は次亜塩素酸自体、及び分解により生成する有機塩素化
合物や塩素ガスが有毒で環境保全上問題があり、その規
制が強化されつつあり、従って過酸化水素による処理に
変換されつつある。
【0003】このような過酸化水素水は、エチルアント
ラキノンを使用するアントラキノン法、電解により生成
した過硫酸アンモニウムから製造する無機法等により製
造され、いずれも製造した過酸化水素水に安定剤を加え
て市販されている。このように販売されている過酸化水
素水中には製造工程で混入する触媒等の不純物を若干含
有し、不純物を含有する過酸化水素水は電子産業ではそ
のまま使用できないため、特殊な処理を行なったり付加
的操作で不純物を除去した後に使用していた。しかしこ
のような不純物除去操作を行なっても、製造後の保存期
間を考慮して必ず安定剤が添加されているため、該安定
剤が過酸化水素の反応性に影響したり、処理後に残存す
る過剰な過酸化水素の分解を抑制して排水中の過酸化水
素残留といった問題点が指摘されていた。安定剤添加に
伴うこれらの問題点を解決するために、近年では使用現
場の近傍で、つまりオンサイトでの過酸化水素製造、通
常は酸素の電解還元による過酸化水素製造が試みられて
いる。例えば隔膜によって不溶性電極を収容した陽極室
と炭素製のガス拡散電極を収容した陰極室に区画された
電解槽の前記陽極室及び陰極室に希薄な苛性ソーダ等の
苛性アルカリを供給しながら電解している。この電解に
より陰極室で下記反応式に従って過酸化水素が生成す
る。 O2 + H2 0 + 2e- → HO2 - + OH-
【0004】この電解法はオンサイト法以外でも広く使
用され、苛性ソーダを電解液とし生成する過酸化水素水
がアルカリ性となるため、製紙やパルプの漂白等に古く
から使用され、更に各種電解槽が提案されている。しか
し前記方法は苛性アルカリを必須とするため、得られる
過酸化水素がアルカリ性となり、純粋な過酸化水素を得
にくいという問題点がある。更に電解槽外から酸素含有
ガスを導入して該酸素含有ガスを電極表面に供給する必
要があるのに対し、該酸素含有ガスが必ずしも十分に拡
散して電極表面に到達するとは限らないため、過剰な酸
素含有ガスを場合によっては理論量の10倍以上の酸素含
有ガスを電解槽内に導入する必要があるという問題点が
ある。過剰な酸素含有ガスの導入は、その用途が漂白の
場合は該酸素含有ガスが漂白作用も有するため無駄には
ならないが、漂白以外の用途では過剰な酸素含有ガスは
不要であり、過剰なガス供給により動力原単位が大きく
なり経済的に成り立ちにくいという問題点が指摘されて
いる。
【0005】この電解法の問題点を解消して小型の電解
槽で過酸化水素を製造する方法として、親水性の反応層
と疎水性のガス拡散層を張り合わせた半疎水型ガス拡散
電極を使用する方法が提案されている。該方法では電解
槽は液の存在する陽極室と液の存在しないガス室(陰極
室)とに区画され、通電時には前記反応層は陽極室内の
電解液に接触し、ガス拡散層はガス室内の酸素含有ガス
に接触している。供給される酸素含有ガスはガス拡散層
を通って反応層に達するため、ガス拡散電極全体に均一
に供給されて偏りがないため、比較的大きい電流密度で
も効率良く電解が進行するという利点がある。しかしこ
の方法でも陽極液はアルカリ性であり、中性や酸性では
目的とする高効率は得られないという問題点がある。
【0006】前述の電解法の改良して、陰極を水素吸蔵
金属や合金で構成し、電解により生ずる原子状水素によ
り酸素を還元し過酸化水素を得ることが提案されてい
る。例えば特開平7−118002号公報には、パラジウム箔
を隔壁及び陰極として使用し、該パラジウム箔を陰分極
させ生成する原子状水素を箔の外側に移動させ陰極液中
に存在する酸素と反応させて、オンサイトで過酸化水素
を製造する方法が開示されている。更に特開平4−1388
2 号公報には、電解室溶液中の陰極のパラジウムを陰分
極により水素化パラジウムとした後に、更に空気を封入
することで電解液内に過酸化水素を製造する方法が開示
されている。しかしながらこれらの方法では電解液に導
電性を付与するために苛性アルカリや塩溶液の使用が不
可欠であり、高純度の過酸化水素を得ることができない
という問題点がある。しかも特開平4−13882 号公報記
載の方法では、連続運転が困難であるという欠点を併せ
持っている。
【0007】
【発明の目的】本発明は、比較的簡単な操作で不純物を
含有しない高純度の過酸化水素を製造するための装置及
び方法を提供することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】本発明は、陽極及び水
素吸蔵金属及び/又は合金から成る陰極を収容した電解
槽、及び該電解槽の前記陰極を隔壁として前記電解槽に
連設された過酸化水素水製造用反応室とを含む過酸化水
素水製造装置において、前記陽極及び陰極間に固体電解
質として機能するイオン交換膜を設置したことを特徴と
する過酸化水素水の製造装置、及び該装置を使用して実
施できる過酸化水素の製造方法である。
【0009】以下本発明を詳細に説明する。本発明で
は、従来の水素吸蔵金属及び/又は合金を使用する過酸
化水素製造方法と同様に、酸素を直接電解還元するので
はなく、電解で生成する水素を前記水素吸蔵金属及び/
又は合金中に貯めるとともに、該水素吸蔵金属及び/又
は合金から脱着する活性な原子状水素を使用して純水等
の水分中の酸素や外部から供給される酸素を還元して過
酸化水素を生成させる。更に本発明では、固体電解質と
して機能するイオン交換膜を使用しているため電解液中
に電解質を溶解させる必要はない。従って電解液を中性
に維持することができ、電解液中に電解質や他の不純物
が存在しないため、前記原子状水素による酸素の還元反
応が陰極表面における水素と酸素のみの反応になり、従
って高純度過酸化水素を得ることが可能になる。
【0010】本発明では、固体電解質であるイオン交換
膜の片面に陽極を設置し、好ましくは多孔性陽極を密着
させて設置し、更に該イオン交換膜の反対面に、平板状
又は箔状で実質的に電解液を透過しない金属パラジウム
やパラジウム合金等から成る水素吸蔵機能を有する陰極
を好ましくは密着させ、電解槽、通常は水電解槽を構成
する。そして前記陰極のイオン交換膜との反対面に反応
室を構成する。前記陰極が多孔性であると生成する原子
状水素が該陰極中に吸蔵されず反応室にそのまま抜けて
しまうので前述の通り平板状又は箔状とすることが望ま
しい。本発明で使用する陰極は前述の通り水素吸蔵金属
及び/又は合金とするが、その材質の選択に当たって
は、水素吸蔵を効率良く行なえること、該材質が過酸化
水素に侵されないこと、過酸化水素の分解への触媒作用
が低いこと、一般の電極と同様に導電性が良好であるこ
と等を考慮する必要があり、これらの要件を満足する最
も望ましい材質として金属パラジウムあるいはパラジウ
ム−金合金等のパラジウム合金がある。金属パラジウム
は過酸化水素を若干分解する作用を有するため、該作用
のないパラジウム合金が更に望ましい。又該水素吸蔵金
属及び/又は合金から成る陰極は可能な限り薄く成形す
ることが望ましいが、前記金属パラジウムやパラジウム
合金は薄箔として成形できるので、この面からもその使
用が推奨される。しかしながら他の水素吸蔵金属及び/
又は合金も、その特性に応じて使用できる。但し一般に
多成分になるほど箔化が困難になり、つまり加工性が悪
くなることを注意すべきである。
【0011】使用する陽極は、電解によって陰極に水素
を発生するための対極であり、特に限定されないが、陽
極物質が溶出するとイオン交換膜を汚染する恐れがある
ため、所謂DSAに代表される寸法安定性電極を使用す
ることが望ましい。又陰極室へは前述した通り酸素含有
ガスを供給するが、前記陽極として酸素発生電極を使用
すると発生する酸素を陰極室に循環して使用できるた
め、前記酸素発生陽極を使用することが好ましい。酸素
発生電極用の陽極物質としては過電圧が小さくしかも消
耗が他の金属や酸化物と比較して極めて小さく、従って
長期間殆ど変化することなく使用できる酸化イリジウム
の使用が好ましい。
【0012】前述した陽極発生ガスである酸素ガスには
ミストが含まれることがあり、このミストが反応室に循
環されると、陰極液として純水や超純水を使用しても、
ミスト内の不純物が電解により生成する過酸化水素水中
に混入して目的とする高純度過酸化水素水が得られなく
なる。特に本発明により生成する過酸化水素水は電子デ
バイスや液晶等のエレクトロニクスの洗浄用に好ましく
使用され、不純物混入を極度に嫌うため、陽極で発生す
る酸素ガスを循環使用する際は、該酸素ガス中のミスト
を完全に除去した後に、反応室へ循環することが望まし
い。ミスト除去手段は従来法を制限なく使用できるが、
例えば発生酸素ガスを−40℃程度の低温に維持されたチ
ャンバー等を通過させミストを凝集させて除去すれば良
い。次に本発明で使用するイオン交換膜は、固体電解質
として機能し、電力消費量を低減させるため電気抵抗が
小さく、更に過酸化水素や酸素に侵されない安定性を有
する、例えばフッ素樹脂系のイオン交換膜の使用が望ま
しい。しかし電解運転が比較的低い電流密度で行なわれ
ることを考慮するとさほど大きい耐久性は必要でなく、
経済性に優れた炭化水素系のイオン交換膜を使用しても
良い。
【0013】前記イオン交換膜は陽極室と陰極室(反応
室)を区画する機能を有するが、陽極室と陰極室間に若
干の水の流れが生じても支障はないため、多孔性イオン
交換膜を使用しても良い。本発明の電解槽では、前述の
水素吸蔵金属及び/又は合金から成る陰極と前記イオン
交換膜間に陰極室が形成され、陰極液は多孔性イオン交
換膜を通って陽極室へ透過することはあるが、前記陰極
から反応室へ透過することはない。なお陰極室の容積は
大きくする必要はなく、例えば前記陰極をイオン交換膜
表面に密着させても良いが、この場合にはイオン交換膜
及び/又は陰極表面に凹凸を形成しておくと,水抜きを
円滑に行なうことができる。
【0014】このような構成からなる本発明の過酸化水
素水製造用電解槽の前記反応室には、電解により原子状
水素を発生して水素源とする陰極液及び酸素含有ガス、
又は酸素含有ガスを溶解した、好ましくは酸素含有ガス
で飽和した陰極液、又は純水で飽和した酸素含有ガス、
又は酸素含有ガスと水蒸気又は不純物を含まない水滴ミ
ストの混合物を供給し、かつ陽極室にも高純度の水を満
たし、両極間に通電して電解を行なう。これにより、陰
極液又は酸素含有ガスと水分の混合物は前記陰極を透過
してイオン交換膜表面に達して電解されて原子状水素を
発生する。この原子状水素は陰極中に吸蔵されかつ反応
室側に移動して該陰極の反応室側表面に達して水分の存
在下で酸素を還元して過酸化水素を生成する。より詳細
には、反応式に従って、H2 2 が生成して陰極液や
水分中に溶解して過酸化 水素水となる。 2H(原子) + O2 → H2 2 この際に固体電解質として機能するイオン交換膜を使用
しているため、液性を酸性やアルカリ性に変化させやす
い電解質の添加が不要で、該電解質が不純物として生成
する過酸化水素水中に混入することがなく、更に陽極と
して陽極物質が溶出しやすい電極を使用しても、前記イ
オン交換膜を非多孔性としておけば溶出物質の陰極室側
への移行を抑制できるため、不純物混入がなくなり、い
ずれにしても高純度の過酸化水素水を得ることができ
る。
【0015】この場合の過酸化水素水濃度は水素吸蔵金
属及び/又は合金が供給する原子状水素の量、つまり水
素吸蔵金属及び/又は合金中の水素の拡散速度に比例す
る。本発明による電解反応では、直接電解より電流密度
は若干抑えられるものの、効率の向上が期待できる。圧
力としては、反応物質である酸素ガスを溶存させること
が必要であり、0.1 〜1MPa、好ましくは0.1 〜0.5
MPaが特に適する。運転時の電流密度は1〜10A/dm2
程度が好ましく、特に5A/dm2 以下の電流密度では充分
な酸素の供給によって80%以上の電流効率が容易に得ら
れる。温度としては0〜50℃が好ましく、5〜35℃が特
に好ましい。水素吸蔵金属及び/又は合金表面で生成す
る過酸化水素の一部が分解する恐れがあるため、陰極ガ
スや生成する過酸化水素水の取り出しは迅速に行なうこ
とが望ましく、系外に取り出される過酸化水素水の濃度
を100 ppm 以下に保つようにすると水素吸蔵金属及び/
又は合金表面での過酸化水素の分解をほぼ完全に抑える
ことができる。
【0016】次に添付図面に基づいて本発明に関わる過
酸化水素水製造装置を例示するが、本発明はこれらに限
定されるものではない。図1は、本発明に関わる過酸化
水素水製造装置の一例を示す縦断面図である。過酸化水
素水製造装置1は、シート状のフッ素樹脂系イオン交換
膜2を挟んで側面に額縁状の凹部3が形成された電解室
枠4と、同様に側面に額縁状の凹部5が形成された反応
室枠6が、それぞれの凹部3、5を対向させるように向
き合った、前記電解室枠4と前記反応室枠6とにより構
成されている。電解室枠4の凹部3内には前記イオン交
換膜2に密着するように多孔性の寸法安定性陽極7が設
置され、他方反応室枠6の凹部5内には前記イオン交換
膜2に密着しかつその端部を前記凹部5の周壁に接触さ
せるように、水素吸蔵金属及び/又は合金から成る箔状
の陰極8が設置されている。
【0017】9は電解室枠4の下部に側方に向かって形
成された陽極液(超純水)供給口、10は電解室枠4の上
部に側方に向かって形成された陽極液及び生成酸素ガス
取出口、11は反応室枠6の下部に側方に向かって形成さ
れた陰極液(超純水)及び酸素含有ガス供給口、12は反
応室枠6の上部に側方に向かって形成された過酸化水素
水取出口である。この過酸化水素水製造装置1のイオン
交換膜2より陽極7側が陽極室であり、イオン交換膜2
と陰極8のイオン交換膜2側表面の間が陰極室で、陰極
8のイオン交換膜2と反対側表面から前記過酸化水素水
取出口側の空間が反応室である。図面からは実質的に陰
極室の容積が零になっているが、原子状水素の生成に支
障はない。この過酸化水素水製造装置1の両極間に通電
すると、陰極8とイオン交換膜2の界面で原子状水素が
生成し、該原子状水素により反応室内の酸素を過酸化水
素に還元して陰極液や陰極ミスト中に溶解させて過酸化
水素水を生成する。この例では陽極液及び陰極液とも超
純水であり電解質を溶解していないため該電解質に起因
する不純物の過酸化水素水への混入がなくなり、更にイ
オン交換膜2が非多孔性であるため仮に陽極物質が溶出
しても陰極室側及び反応室側への移行が抑制されて過酸
化水素水への混入がなくなる。
【0018】
【実施例】次に本発明による過酸化水素水の製造の実施
例を記載するが、該実施例は本発明を限定するものでは
ない。
【実施例1】陽極として厚さ0.5 mmのチタン製エクスパ
ンドメッシュ表面に酸化イリジウムを焼き付けた不溶性
金属電極を、陰極として厚さ0.2 mmの金属パラジウム箔
を使用し、両者を陽イオン交換膜ナフィオン117 (デュ
ポン社製)の反対面にそれぞれ密着させ、更に前記陰極
のイオン交換膜との反対面に金めっきを施したチタンメ
ッシュを補強材兼集電体として接続し、該チタンメッシ
ュと前記陽極間に1kg/cm2の圧力を掛けて各部材を固定
した。前記陰極のイオン交換膜との反対面と反応室枠の
間には厚さ1mmの反応室が形成された。
【0019】陽極室の陽極液及び生成酸素ガス取出口に
は、気液分離室を接続し、該分離室の取り出し側にはP
TFE樹脂製のパイプを接続し該パイプを電子冷却装置
で冷却して生成酸素ガス中のミストを冷却して該酸素ガ
スから除去するようにし、前記パイプの先端を反応室に
接続して純粋な酸素ガスを反応室に循環するようにし
た。陽極室には脱イオン水を供給し、反応室には超純水
を前記循環酸素ガスとともに供給しながら電流密度5A/
dm2 で電解を行なった。加熱及び冷却は行なわなかった
が、温度は25℃で安定した。運転中にイオン交換膜の陰
極側表面で僅かなガス発生が見られ、かつ反応室の超純
水中に約10ppm の過酸化水素の溶存が確認された。電流
効率は約20%であった。これは、必要理論O2 量の50%
のO2 供給しか行なわれていないために、低い電流効率
になったものである。
【0020】
【実施例2】陰極として実施例1の金属パラジウム箔の
代わりに、反応室側表面をガラスビーズによるブラスト
掛けにより荒らして表面積を大きくしたパラジウム70/
金30(モル比)から成る金属箔を用いた。陽極室には脱
イオン水を流し、反応室には抵抗率18mΩの超純水を流
し、純酸素を−40℃のトラップを通して不純物を除去し
た後、前記金属箔に当たるように反応室に供給しなが
ら、温度25℃、電流密度1A/dm2 で電解を行なった。陰
極表面からのガス発生は見られず、反応室から不純物を
含まない濃度約20ppm の過酸化水素水が得られた。
【0021】
【実施例3】実施例1と同じ装置を使用して過酸化水素
水の製造を行なった。但し反応室側には外部より純酸素
ガスが供給できるようにし、陽極室の酸素ガスと合わせ
て理論量の3倍の酸素ガスを供給した。なお外部からの
純酸素ガスは市販の高純度ガスを一度純水中を通した
後、−40℃で冷却、不純分、水分を除いたものである。
陰極室の内圧を0.5 MPaに保ったこと以外は、実施例
1と同じ条件で電解を行なったところ、同様に約10ppm
の過酸化水素が電流効率70〜80%で生成した。
【0022】
【発明の効果】本発明は、陽極及び水素吸蔵金属及び/
又は合金から成る陰極を収容した電解槽、及び該電解槽
の前記陰極を隔壁として前記電解槽に連設された過酸化
水素水製造用反応室とを含む過酸化水素水製造装置にお
いて、前記陽極及び陰極間に固体電解質として機能する
イオン交換膜を設置したことを特徴とする過酸化水素水
の製造装置である。この本発明によると、イオン交換膜
が固体電解質として機能するため、従来のように酸性あ
るいはアルカリ性の電解質を陽極液や陰極液に溶解させ
る必要はない。従って電解液中に電解質や他の不純物が
存在しないため、電解により生成する原子状水素による
酸素の還元反応が電極表面における水素と酸素のみの反
応になり、電解質や他の不純物が混入しなくなり、従っ
て高純度過酸化水素を得ることが可能になる。
【0023】更にイオン交換膜を非多孔性とすると、仮
に陽極物質が溶出しても陰極室側及び反応室側への移行
が抑制されて過酸化水素水への混入がなくなり、前述の
電解質の混入がないことと併せて、非常に高純度の過酸
化水素水を製造できる。水素吸蔵金属及び/又は合金で
ある陰極の材質は、水素吸蔵を効率良く行なえること、
該材質が過酸化水素に侵されないこと、過酸化水素の分
解の触媒作用が低いこと、導電性が良好であること等を
考慮して、金属パラジウム及び/又はパラジウム合金と
することが最も望ましい。
【0024】本発明方法は、固体電解質として機能する
イオン交換膜により区画された陽極及び水素吸蔵金属及
び/又は合金から成る陰極を収容した電解槽、及び該電
解槽の前記陰極を隔壁として前記電解槽に連設された過
酸化水素水製造用反応室とを含む過酸化水素水製造装置
の前記反応室に超純水及び酸素含有ガスを供給して電解
を行ない、該超純水の電解により生成する原子状水素に
より前記酸素含有ガス中の酸素を還元して高純度過酸化
水素を生成することを特徴とする過酸化水素水の製造方
法である。本発明方法では、前述した本発明装置の効果
に加えて陰極液を超純水としたため、原料からの不純物
混入もなくなり、考えられ得る最高純度の過酸化水素水
を製造できる。又本発明方法で、陽極を酸素発生陽極と
し、陽極室で発生する酸素を酸素含有ガスとして陰極室
における酸素含有ガスとして使用すると、生成ガスの無
駄がなくなり、経済的に過酸化水素水の製造を行なうこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わる過酸化水素水製造装置の一例を
示す縦断面図。
【符号の説明】
1・・・過酸化水素水製造装置 2・・・イオン交換膜
3・・・凹部 4・・・電解室枠 5・・・凹部
6・・・反応室枠 7・・・陽極 8・・・陰極 9・
・・陽極液供給口 10・・・陽極液及び生成酸素ガス取
出口 11・・・陰極液及び酸素含有ガス供給口 12・・
・過酸化水素水取出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 正志 神奈川県藤沢市石川1145番地B−105 (72)発明者 脇田 修平 神奈川県藤沢市辻堂元町5−9−8 (72)発明者 宇野 雅晴 神奈川県藤沢市石川1145番地B−102 (72)発明者 錦 善則 神奈川県藤沢市藤沢1丁目1番の23 (72)発明者 西村 国男 大阪市東淀川区東淡路2丁目10番15号 株 式会社片山化学工業研究所内 (72)発明者 安藤 昌博 大阪市東淀川区東淡路2丁目10番15号 株 式会社片山化学工業研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極及び水素吸蔵金属及び/又は合金か
    ら成る陰極を収容した電解槽、及び該電解槽の前記陰極
    を隔壁として前記電解槽に連設された過酸化水素水製造
    用反応室とを含む過酸化水素水製造装置において、前記
    陽極及び陰極間に固体電解質として機能するイオン交換
    膜を設置したことを特徴とする過酸化水素水の製造装
    置。
  2. 【請求項2】 水素吸蔵金属及び/又は合金が金属パラ
    ジウム及び/又はパラジウム合金である請求項1に記載
    の過酸化水素水製造装置。
  3. 【請求項3】 固体電解質として機能するイオン交換膜
    により区画された陽極及び水素吸蔵金属及び/又は合金
    から成る陰極を収容した電解槽、及び該電解槽の前記陰
    極を隔壁として前記電解槽に連設された過酸化水素水製
    造用反応室とを含む過酸化水素水製造装置の前記反応室
    に超純水及び酸素含有ガスを供給して電解を行ない、該
    超純水の電解により生成する原子状水素により前記酸素
    含有ガス中の酸素を還元して高純度過酸化水素を生成す
    ることを特徴とする過酸化水素水の製造方法。
  4. 【請求項4】 陽極が酸素発生陽極であり、陽極室で発
    生する酸素を酸素含有ガスとして使用する請求項3に記
    載の過酸化水素水の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012237068A (ja) * 2012-07-03 2012-12-06 Mitsubishi Electric Corp 過酸化水素製造装置並びにそれを用いた空調機、空気清浄機及び加湿器
JP2013108104A (ja) * 2011-11-17 2013-06-06 Permelec Electrode Ltd 電解合成装置、電解処理装置、電解合成方法及び電解処理方法
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CN113089002A (zh) * 2021-03-18 2021-07-09 重庆大学 一种电催化产过氧化氢耦合有机物选择性氧化装置和方法

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