JP3320323B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

磁気共鳴イメージング装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石型MRI
装置に使用される磁気共鳴イメージング装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】永久磁石型磁気共鳴イメージング装置
は、磁石対向型が主流であるが、この方式では磁石表面
に軟鉄などの軟磁性材料からなる磁極片が設けてある。
磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)では画像を得
るために傾斜磁場を発生させるが、その際に磁極片に残
留磁化が発生し、その残留磁化により均一な磁界が乱さ
れ、画像のぼやけや歪みを発生する原因となっていた。
磁極片に残留磁化が発生する原因は、印加された傾斜磁
場による磁極片に用いられた軟磁性材料のヒステリシス
現象によるものであり、磁性体を磁極片に用いる限り不
可避的なものである。この残留磁化は、軟磁性材料の材
質や使用量を変えることにより低減が可能であることが
本発明者の検討により明らかであるが、磁気共鳴イメー
ジング装置の価格が高くなる、重量が嵩む、いう問題点
があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、磁極
片に用いられた軟磁性材料のヒステリシス現象により、
磁極片に発生した残留磁化は低減が困難である。よって
本発明は、磁極片に生じる残留磁化と向きが逆の残留磁
化を傾斜磁場コイル上に配置した強磁性体に発生させ、
磁場空間の残留磁化をキャンセルさせ得ることに着目
し、傾斜磁場発生装置の空隙側表面に強磁性体の小片
を、対称性を有する形に配置した磁気共鳴イメージング
装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、対向配置した
永久磁石と、その空隙側に設けられた磁極片とを有す
る、MRI装置に要求される静磁場発生装置を有し、該
静磁場発生装置による磁場に対して傾斜磁場を発生する
手段を磁極片の空隙側に配置した磁気共鳴イメージング
装置において、該傾斜磁場を発生する手段の傾斜磁場コ
イル上に、強磁性体の小片を、対称性を有する形に組み
合わせて配置してなることを特徴とするものである。該
強磁性体の小片をリング状に配置してなることが好まし
く、また、該強磁性体の小片の厚みを、0.005mm
〜0.5mmの範囲で部分的に変えてなるものであるこ
とも好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】添付の図面を参照して、本発明の
実施の形態を以下に説明する。一般に、磁石対向型の磁
気共鳴イメージング装置は、図3のような構造を採る。
磁極片2には傾斜磁場を発生させる手段として、例えば
傾斜磁場コイル1が設けられていて、この傾斜磁場コイ
ルは、磁極片2の環状突起5と呼ばれる部位内で空隙4
側に設置される。傾斜磁場コイル1から傾斜磁場が発生
すると、磁極片は傾斜磁場の印加によって図4、図5の
ように磁化される。図4はZ方向の傾斜磁場印加時の、
図5はX方向の傾斜磁場印加時の、それぞれ残留磁化を
示す概略図である。すなわちこれが残留磁化であるが、
この二形態の残留磁化は磁化の形態が異なるために、本
発明者は図5のX方向の傾斜磁場印加時の残留磁化の低
減にのみ着目し、本発明に至った。
【0006】傾斜磁場コイル1上の空隙側に、軟鉄等の
強磁性体7の小片を、リング状に組み合わせて配置した
例を図1に示す。図1の(a)は上面の、(b)は側面
の概略説明図である。なお、図1(b)では、環状突起
5の手前側半分を省略している。強磁性体7は傾斜磁場
コイル1を挟んで磁極片2と対向する位置にあるため、
図5のような傾斜磁場を印加した場合には、磁極片2に
発生する残留磁化と逆向きの残留磁化が発生する。しか
し、図4のような傾斜磁場を印加した場合には、強磁性
体によって逆向きの残留磁化を発生することは困難であ
るばかりでなく、逆に磁極片における残留磁化を強めて
しまう恐れがある。そこで、本発明では図4の場合の残
留磁化を強めず、かつ図5の場合の残留磁化をキャンセ
ルするように、強磁性体をリング状に配置することを検
討した。
【0007】一方、傾斜磁場コイル上の空隙側に強磁性
体を配置すると、傾斜磁場コイルによって発生した磁界
に対して強磁性体が磁路となるため、傾斜磁場コイルか
らの磁界の一部が強磁性体に流れ、空隙に発生する傾斜
磁場が減少する。この問題については、強磁性体の傾斜
磁場コイル上への設置面積を減らすことが最も効果的で
ある。特に磁気共鳴イメージング装置の空隙中心付近の
影響を避けるためにも、強磁性体を傾斜磁場コイルの中
央部を避けて設置することが好ましい。
【0008】傾斜磁場コイル上の空隙側の強磁性体は、
磁気的に飽和しやすいように、保磁力の小さい材料であ
ることが望ましい。すなわち、材質としては軟鉄や珪素
鋼板、フェライト、パーマロイ、アモルファス等が挙げ
られる。なお、傾斜磁場コイル上の空隙側に設けられた
強磁性体には、磁極片と同様にパルス状の傾斜磁場が印
加されるので、磁極片と同様に画像に悪影響を及ぼす渦
電流が可能な限り発生しない工夫が必要である。これに
は、金属磁性薄板を用いた場合には、小片への分割や板
間に間隔を設ける等による絶縁等が有効である。
【0009】強磁性体の配置形状については、傾斜磁場
コイルの空隙側に位置する面上に、磁極片の中心から見
て対称性を有する形状で、例えばリング状に配置するこ
とによって、従来の円盤状の配置よりも効果的に残留磁
化を軽減することができる。リング状の配置は、対称性
を有する限りにおいて、局所的に配置していない部分が
ある場合を含む(図2)。また、構成する強磁性体のそ
れぞれの小片の厚みを部分的に変えることにより、さら
に残留磁化を軽減できる。厚みは使用する材質によって
異なるが、0.005mm〜0.5mmとすることが望
ましい。0.5mmを超えると、図4に示したような場
合には、該強磁性体が磁極片に発生した磁場を強めてし
まう。また厚さの下限は0.005mmよりも薄いと磁
気回路の磁界で飽和してしまい、傾斜磁場による残留磁
化が発生しなくなってしまう。以上の構成をとることに
よって、磁極片から発生した残留磁化を容易にキャンセ
ルすることができる。
【0010】
【実施例】次に、本発明について、実施例、比較例を挙
げて説明する。 実施例1 図1(a)、(b)に示す構成で、強磁性体7として0.
1mm の厚さの軟鉄板の小片を、傾斜磁場コイル1の空隙
側に対称性を有するリング状に配置した。ただし、軟鉄
板は渦電流による傾斜磁場発生効率の低下を避けるため
に小さく台形に加工し、見かけ上多角形のリング状に組
み合わせて配置した。これらの軟鉄板の小片は、傾斜磁
場コイルの影響で発生した渦電流をできるかぎり抑制す
る絶縁性とするために、リングの周上である程度の間隔
を空けて組み合わせて配置している。本実施例では、
X、Y方向の傾斜磁場を強磁性体が±1G/cmとなる電
流量で印加し、磁気共鳴イメージング装置の均一磁場空
間の中心を原点としてX、Y軸上±200mm 、Z軸上±17
5mm の楕円球表面で発生する不均一度、すなわち楕円球
表面における、残留磁化の最大値と最小値の差を中心磁
場強度で割った値を、傾斜磁場印加前と印加後の差で見
ることにより評価した。なお、実験に使用した磁気共鳴
イメージング装置の仕様は、磁場強度 0.2T、空隙400m
m である。結果を表1に示す。
【0011】
【表1】
【0012】実施例2 強磁性体の厚さを0.1 mmとし、部分的に0.15〜0.3 mmに
変化させた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表
1に併記する。
【0013】実施例3 磁極片中心から見て対称性を有する形状として、強磁性
体を図2の(a)、(b)に示すように配置した以外は
実施例1と同様に行った。結果を表1に併記する。
【0014】比較例1 強磁性体を使用しなかった以外は実施例1と同様に行っ
た。結果を表1に併記する。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、永久磁石を用いた磁気
共鳴イメージング装置において、磁極片に発生した残留
磁化の影響を低減することが可能となった。また、不必
要な残留磁化を発生することなく、磁極片から発生した
残留磁化を効率的に低減することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の主要部の実施例の構成を示す概略説
明図であり、(a)は空隙側に面する上面、(b)は側
面を示す図である。
【図2】 本発明の主要部の別の実施例の概略説明図で
あり、(a)は空隙側に面する上面、(b)は側面を示
す図である。
【図3】 従来の磁気共鳴イメージング装置の立面概略
説明図である。
【図4】 Z方向の傾斜磁場印加時の磁極片の残留磁化
を示す説明図である。
【図5】 X方向の傾斜磁場印加時の磁極片の残留磁化
を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−184002(JP,A) 特開 平7−163546(JP,A) 特開 平8−66379(JP,A) 特開 平8−224219(JP,A) 特開 平9−56692(JP,A) 特開 平9−75324(JP,A) 特開 平10−70027(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/055 G01R 33/20 - 33/64

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向配置した永久磁石と、その空隙側に
    設けられた磁極片とを有する、MRI装置に要求される
    静磁場発生装置を有し、該静磁場発生装置による磁場に
    対して傾斜磁場を発生する手段を磁極片の空隙側に配置
    した磁気共鳴イメージング装置において、該傾斜磁場を
    発生する手段の傾斜磁場コイル上に、強磁性体の小片
    を、対称性を有する形に組み合わせて配置してなること
    を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  2. 【請求項2】 該強磁性体の小片をリング状に配置して
    なる請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
  3. 【請求項3】 該強磁性体の小片の厚みを、0.005
    mm〜0.5mmの範囲で部分的に変えた請求項1また
    は2記載の磁気共鳴イメージング装置。
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