JP3318379B2 - 眼科測定装置 - Google Patents

眼科測定装置

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JP3318379B2
JP3318379B2 JP01303893A JP1303893A JP3318379B2 JP 3318379 B2 JP3318379 B2 JP 3318379B2 JP 01303893 A JP01303893 A JP 01303893A JP 1303893 A JP1303893 A JP 1303893A JP 3318379 B2 JP3318379 B2 JP 3318379B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は眼科測定装置に関し、特
に眼球の前房内または角膜にレーザー光を照射し、前房
水中の蛋白分子または細胞からの散乱光を受光し、蛋白
濃度または細胞数密度さらには角膜の混濁度を測定する
眼科測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、眼球の前房水中にレーザー光を照
射し、前房水中の蛋白分子または細胞からの散乱光を受
光することによって、蛋白濃度または細胞数密度を測定
する装置が知られている。
【0003】従来のこの種の眼科測定装置100では、
図5に示すように、検者101が装置100を操作して
被検者102の眼球に対して斜め前方からレーザー光を
走査しながら照射し、この照射方向に対して90゜の方
向から散乱光を受光するようになっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図6は従来の眼科測定
装置の構造を示している。
【0005】図示のように、従来装置では、レーザー光
源21から放出されたレーザー光のビーム径をレンズ2
2とレンズ23で拡大し、ガルバノミラー24で走査し
ながら、レンズ25で前房内に集光する。
【0006】前房内の蛋白分子によって散乱されるレー
ザービームの像は、レンズ26、ハーフミラー27、レ
ンズ28によって、視野限定のための受光マスク29上
に結像される。
【0007】したがって、ガルバノミラー24によって
レーザービームが前房内で走査されれば、受光マスク2
9上のレーザービームの像も走査されることになる。受
光マスク29を通過した散乱光は、光電子増倍管30に
よって電気信号に変換され、演算装置31によって処理
される。
【0008】前房内の蛋白分子からの散乱光を受光する
場合には、図7に示すように、視野限定のための受光マ
スク29より大きな範囲103でレーザービームを走査
する。
【0009】このように走査を行ない、レーザービーム
の像がマスクの開口内にあるときの散乱光強度から受光
マスク29の開口を外れているときの散乱光強度を差し
引けば、蛋白分子からの正味の散乱光強度を得られるこ
とになる。
【0010】このような理由で、従来装置の光学的アラ
イメントを行なう際、検者は被検者に対して斜めから観
察しなければならなかった。このことは、角膜にレーザ
ー光を照射し、照射方向に対して90゜の方向から角膜
からの散乱光を受光する場合についても同じである。
【0011】しかし、検者にとって被検者に対して斜め
に構え、装置を操作しなければならないのは、不自然な
姿勢を強要することになり、検査、測定作業の効率から
考えても好ましいことではない。
【0012】本発明の課題は、以上の問題を解決し、検
者が被検者に対して正面に向かい合っていても、前房水
中の蛋白濃度または細胞数密度の測定を効率良く行なえ
る眼科測定装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、本発明においては、レーザー光を眼球の前眼部に
照射し、前房水中に存在する蛋白分子または細胞からの
散乱光さらには角膜からの散乱光を受光することによっ
て、前房水中の蛋白濃度または細胞数密度および角膜の
混濁度を定量的に求める眼科測定装置において、レーザ
ー光源と、前記レーザー光源からのレーザー光を集光す
る集光手段と、前記レーザー光の集光点の位置を光軸方
向に沿って眼球に対して移動させる集光点移動手段と、
前記集光点からの散乱光を光検出器に導くため前記集光
手段と共通の光学系内に設けられた光路分割器と、前記
光路分割器からの散乱光を前記レーザー光の集光点と共
役な位置に設けられたピンホール上に結像させる光学手
段と、前記ピンホールを通過した散乱光を電気信号に変
換する光検出器と、前記集光点移動手段により前記レー
ザー光集光点を光軸方向に沿って角膜より外気側と角
膜より前房側の両方に渡って走査させつつ前記光検出器
の出力を監視し、その変化に基づき集光点を所定の検査
部位に位置決めする制御手段を設けた構成を採用した。
【0014】
【作用】以上の構成によれば、投光系と受光系の一部を
共通にし、共焦点型の光学系を用いてレーザー光の集光
点を光軸方向に動かすことにより、前房内からの散乱光
や角膜からの散乱光を入射レーザー光の照射方向に対し
て90゜から受光する必要がなくなる。また、光検出器
の出力を監視しながら、集光点の位置を移動し、集光点
を被検眼前房内の検査位置に位置決めすることにより、
簡単かつ正確に位置決めが可能となる。
【0015】
【実施例】以下、図面に示す実施例に基づき、本発明を
詳細に説明する。
【0016】図1は本発明を採用した眼科測定装置の光
学系の基本構成を示している。
【0017】レーザー光源1から発せられたレーザー光
はレンズ2とレンズ3で平行光に変換され、この平行光
はビームスプリッター4を通りレンズ5によって眼球の
前房内に集光される。
【0018】前房内の蛋白分子または細胞さらには角膜
にレーザー光が照射されると、レーザー光を散乱し、こ
の散乱光は再び対物レンズ5によって集光される。さら
に、ビームスプリッター4によって分割され、その内一
方はレンズ6によってピンホール7上に集光され、ピン
ホール7を通った光は光検出器8で電気信号に変換され
る。光検出器8で得られた電気信号は、演算装置10で
解析され、前房内の蛋白濃度や細胞数密度さらには角膜
の混濁度が計算される。
【0019】ところで、図1で示されているような光学
系で測定部位からの散乱光を受光した場合、測定部位以
外からの反射光や外乱光を受光してしまう可能性がある
が、図1で示されている光学系は共焦点光学系であっ
て、このような共焦点光学系は、光軸方向に対する空間
分解能が得られ、その分解能は対物レンズのNA(開口
数)と光検出器の前に置かれているピンホールの直径で
決まる。
【0020】光軸方向に対して空間分解能が得られると
いうことは、散乱光強度の測定部位を光軸方向に移動さ
せて測定していけば、前房内に測定部位があるときと、
測定部位が前房から外れているときの散乱光強度の違い
を測定できることになる。
【0021】これを具体的に実現するためには、対物レ
ンズ駆動装置9によって対物レンズ5を光軸方向に移動
させる。対物レンズ5による集光点も光軸方向に移動
し、同時に散乱光強度の測定部位も移動する。
【0022】たとえば、この集光点の位置を角膜の外側
から内側に移動させていくと、図2に示すような散乱光
強度信号が光検出器8で得られることになる。
【0023】したがって、光検出器8の出力を監視し、
集光点の位置が角膜の外側すなわち空気中にあるとき
は、測定部位からの散乱光がほとんどないと考えられる
ので、図2の符号41で示されている強度は、光学系ま
たは電気系に存在するノイズであると考えられる。
【0024】そして、このノイズはレーザー光の集光点
の位置に関係なく、定常的に存在するノイズと考えられ
るので、たとえば、集光点が角膜の内側の前房内にある
ときの図2の散乱光強度42から散乱光強度41を差し
引けば、前房水中の散乱体からの正味の散乱光強度が得
られることになる。
【0025】さらに、前房内の蛋白濃度を測定するため
には、装置に測距装置11を付加しておくと便利であ
る。なぜならば、対物レンズ駆動装置9による対物レン
ズ5の移動量には限界があるため、すべてのアライメン
トを対物レンズ駆動装置9で行なうことは困難であり、
対物レンズ5と角膜の間の距離が適当になるように検者
が手動で装置の位置を制御する必要がある。
【0026】図3は測定処理の流れを示しており、ま
ず、検者が手動で装置の位置を制御し(ステップS
1)、測距装置11で角膜までの距離を測定する(ステ
ップS2)動作を繰り返すことにより、対物レンズ駆動
装置9による対物レンズ5の制御範囲に光学系をアライ
メントする。測距装置11としては、公知の種々の構成
を利用できる。
【0027】そして、被検眼前房の測定が可能になった
とき演算装置10から検者に対して測定可能の状態を表
示する(ステップS3)ようにしておけば、測定はより
容易になる。
【0028】測定可能状態となった後、所定の命令を入
力することにより、図2に示した制御、すなわち、光検
出器の出力を監視しながら、集光点の位置を移動し、集
光点を被検眼前房内に位置決めする制御を演算装置10
により行ない(ステップS4)、蛋白濃度の測定および
表示などを行なう(ステップS5)。
【0029】このようにして、光学系を投光系と受光系
の光学系の一部を共通にした共焦点系として構成するこ
とにより、検者は被検者に対して正面からも測定でき、
検査、測定処理の効率化を図ることができるし、また、
光検出器の出力を監視しながら、集光点の位置を移動
し、集光点を被検眼前房内の検査位置に位置決めするこ
とにより、簡単かつ正確に位置決めが可能となり、測定
時間の短縮化を図ることができる。
【0030】なお、角膜を手術した場合、その治癒過程
において角膜の一部が白濁することが知られている。こ
の白濁の定量的な測定も上記の基本構成を利用すること
により可能である。
【0031】このような疾患のない角膜からの散乱光は
角膜において鏡面反射を生じるはずであるが、この場
合、(直線偏光の)レーザー光の偏光方向が保存され
る。しかし、白濁のある角膜の疾患部位での反射の場合
は、レーザー光の偏光方向が乱され、異なる偏光方向の
光が散乱される。
【0032】したがって、角膜の白濁を定量的に測定す
るには、図4に示すようにビームスプリッター4と光検
出器8の間に偏光板13を入れることにより、偏光方向
が入射レーザー光と90゜ずれた散乱光を光検出器に導
くことにより、ノイズとなる鏡面反射光を除去すれば、
白濁を定量的に検出することができる。
【0033】この場合も、前房内の散乱光強度を求める
時と同様に、図2、図3に示したアライメント制御を行
なうことができるし、また集光点が角膜上にあるときの
散乱光強度から、角膜外側にあるときの散乱光強度を差
し引けば、角膜表面の正味の散乱、つまり角膜表面の白
濁に対応した情報を取得できることは同じである。
【0034】なお、本実施例では、前房内および角膜か
らの散乱光について説明したが、本実施例で示されてい
る装置を用いれば、水晶体や硝子体などからの散乱光の
強度を測定することができることはいうまでもなく、さ
らには、本実施例で示された装置を細隙灯顕微鏡などの
検眼鏡に組み込むことが可能であることはいうまでもな
い。
【0035】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明によれ
ば、レーザー光を眼球の前眼部に照射し、前房水中に存
在する蛋白分子または細胞からの散乱光さらには角膜か
らの散乱光を受光することによって、前房水中の蛋白濃
度または細胞数密度および角膜の混濁度を定量的に求め
る眼科測定装置において、レーザー光源と、前記レーザ
ー光源からのレーザー光を集光する集光手段と、前記レ
ーザー光の集光点の位置を光軸方向に沿って眼球に対し
移動させる集光点移動手段と、前記集光点からの散乱
光を光検出器に導くため前記集光手段と共通の光学系内
に設けられた光路分割器と、前記光路分割器からの散乱
光を前記レーザー光の集光点と共役な位置に設けられた
ピンホール上に結像させる光学手段と、前記ピンホール
を通過した散乱光を電気信号に変換する光検出器と、前
記集光点移動手段により前記レーザー光集光点を光軸
方向に沿って角膜より外気側と角膜より前房側の両方に
渡って走査させつつ前記光検出器の出力を監視し、その
変化に基づき集光点を所定の検査部位に位置決めする制
御手段を設けた構成を採用している。
【0036】すなわち、投光系と受光系の一部を共通化
した共焦点型の光学系を用いており、さらにレーザー光
の集光点を光軸方向に動かすことにより、前房内からの
散乱光や角膜からの散乱光を入射レーザー光の照射方向
に対して90゜から受光する必要がなくなり、検者は被
検者に対して正面からも測定でき、検査、測定処理の効
率化を図ることができ、さらに、光検出器の出力を監視
しながら、集光点の位置を移動し、集光点を被検眼前房
内の検査位置に位置決めすることにより、簡単かつ正確
に自動的な位置決めが可能となり、測定時間の短縮化を
図ることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による眼科測定装置の構造を示した説明
図である。
【図2】本発明による眼科測定装置の集光点の位置およ
び散乱光強度を示した説明図である。
【図3】本発明による眼科測定装置の測定処理を示した
フローチャート図である。
【図4】本発明による眼科測定装置の異なる構造を示し
た説明図である。
【図5】従来の眼科測定装置による眼科検査の様子を示
した説明図である。
【図6】従来の眼科測定装置の構造を示した説明図であ
る。
【図7】従来の眼科測定装置における蛋白分子からの散
乱光の受光の様子を示した説明図である。
【符号の説明】
1 レーザー光源 2 レンズ 3 レンズ 4 ビームスプリッター 5 対物レンズ 6 レンズ 7 ピンホール 8 光検出器 9 対物レンズ駆動装置 10 演算装置 12 走査装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−21220(JP,A) 特開 平4−189349(JP,A) 特開 昭58−183135(JP,A) 特開 平2−177933(JP,A) 特開 昭63−294829(JP,A) 特開 平2−177934(JP,A) 特開 昭57−188233(JP,A) 特開 平1−204643(JP,A) 特開 昭58−200730(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 3/00 - 3/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザー光を眼球の前眼部に照射し、前
    房水中に存在する蛋白分子または細胞からの散乱光さら
    には角膜からの散乱光を受光することによって、前房水
    中の蛋白濃度または細胞数密度および角膜の混濁度を定
    量的に求める眼科測定装置において、 レーザー光源と、 前記レーザー光源からのレーザー光を集光する集光手段
    と、 前記レーザー光の集光点の位置を光軸方向に沿って眼球
    に対して移動させる集光点移動手段と、 前記集光点からの散乱光を光検出器に導くため前記集光
    手段と共通の光学系内に設けられた光路分割器と、 前記光路分割器からの散乱光を前記レーザー光の集光点
    と共役な位置に設けられたピンホール上に結像させる光
    学手段と、 前記ピンホールを通過した散乱光を電気信号に変換する
    光検出器と、 前記集光点移動手段により前記レーザー光集光点を
    軸方向に沿って角膜より外気側と角膜より前房側の両方
    に渡って走査させつつ前記光検出器の出力を監視し、そ
    の変化に基づき集光点を所定の検査部位に位置決めする
    制御手段を設けたことを特徴とする眼科測定装置。
  2. 【請求項2】 前記レーザー光の集光点の位置が角膜と
    水晶体の間の前房水中にあるときの散乱光強度から、前
    記レーザー光の集光点の位置が角膜より外気側にあると
    きの散乱光強度を差し引くことによって、前房水中の散
    乱体からの正味の散乱光強度を求めることを特徴とする
    請求項1に記載の眼科測定装置。
  3. 【請求項3】 集光された散乱光を光検出器に導くため
    の光路分割器に偏光特性をもたせ、入射レーザー光の偏
    光方向と、光検出器に導かれる散乱光の偏光方向が90
    ゜ずれていることを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載の眼科測定装置。
  4. 【請求項4】 前記レーザー光の集光点の位置が角膜上
    にあるときの散乱光強度から、前記レーザー光の集光点
    の位置が角膜より外気側にあるときの散乱光強度を差し
    引くことにより角膜からの正味の散乱光強度を求めるこ
    とを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記
    載の眼科測定装置。
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