JP3315183B2 - タービン動翼の連結装置 - Google Patents

タービン動翼の連結装置

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JP3315183B2
JP3315183B2 JP05362893A JP5362893A JP3315183B2 JP 3315183 B2 JP3315183 B2 JP 3315183B2 JP 05362893 A JP05362893 A JP 05362893A JP 5362893 A JP5362893 A JP 5362893A JP 3315183 B2 JP3315183 B2 JP 3315183B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、運転中のタービン動
翼の振動を、安定にして効果的に抑制できるようにした
タービン動翼の連結装置に関する。
【0002】
【従来の技術】タービンの動翼は、高速回転時に過大な
遠心力が作用するため、タービン設計時にタービン動翼
各部の応力が材料の許容応力に対して充分な余裕を持た
せる配慮がなされている。しかし、近年タービン効率の
向上や大容量化、発電ユニットのコンパクト化などの観
点からタービン動翼、特に低圧最終段翼の長翼化が行な
われ局所的にタービン翼材料強度に対して余裕が充分に
ない極限設計もなされている。また、一方では、近年原
子力発電のベースロード的運転の増加に伴い、火力ター
ビンは電力の負荷調整用として用いられることが多くな
っている。この負荷調整用の火力タービンは日単位で頻
繁な起動停止を行なう運転やタービンの設計点を大幅に
下回る低負荷運転等が行なわれている。
【0003】長翼のタービン動翼を設計する際、一般的
には、定格回転数で翼の固有振動数が回転数の整数倍と
一致しないよう充分に離調させているが、タービンの起
動停止が頻繁に行なわれると、その回転上昇あるいは下
降時に翼の固有振動数と回転数成分が一致して共振し、
翼に大きな振動応力が発生することがある。また低負荷
条件の運転では流れの剥離による渦流あるいは流れの乱
れが励振力としてタービン動翼に作用するため、タービ
ン動翼の振動応力を増加させることがある。
【0004】特に、最終段翼側のタービン動翼は長翼と
なり、静応力と振動応力の両面から応力的に常に厳しい
環境に晒されることは避けられない。タービン動翼の振
動を減衰させる方法として代表的なものには、各翼の中
央部に貫通孔を設け、上記各貫通孔にタイワイヤを通し
て隣接する翼同士を連結するタービン動翼の連結装置が
ある。この場合、タイワイヤに作用する遠心力によりタ
イワイヤと貫通孔内面の面間摩擦を利用してタービン動
翼の振動を抑制している。
【0005】他の代表例として特公昭52−18841 号公報
に記載されたタービン動翼の連結装置がある。この連結
装置は、図6に示すように、タービン動翼1の対向する
翼面にボス2を形成し、さらにボス2上に出っ張り2a
(以下ラグと称する。)を設け、対向するラグ同士を筒
形の連結片(以下スリーブと称する。)3により連結
し、隣接するタービン動翼1同士を連結するものである
(以下ラグ・スリーブ連結構造と称する)。この連結装
置もスリーブ3に作用する遠心力により発生するラグ2
aとスリーブ3の面間摩擦がタービン動翼1の振動を抑
制している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のタービン動翼の
連結装置において、上述タイワイヤによるタービン動翼
の連結では、翼有効部の貫通孔まわりの応力が高くな
る。特に、タービン動翼の長翼化に伴う遠心力の増加に
より翼の応力は局所的に翼材料強度に近い応力になり
得、かつタイワイヤ孔まわりに応力集中が必ず発生す
る。この応力集中は、タイワイヤ孔まわりの翼の肉厚を
厚くすることで軽減するのが一般的である。しかし、長
翼のもう一つの問題は遠心力による翼の捩れ戻り(アン
ツイスト)がタイワイヤに曲げモーメントを生じさせる
点である。翼のアンツイストに起因する曲げ応力、タイ
ワイヤ自体の遠心力による曲げ応力、さらに翼の振動が
加わり、タイワイヤの折損等が起きる場合がある。この
遠心力による翼のアンツイストが、タイワイヤを曲げる
現象を軽減するために、翼有効部の貫通孔の径を拡大す
ることが行なわれている。しかし、過度の貫通孔径拡大
は、翼有効部の強度を低下させ、貫通孔とタイワイヤの
間に異物の侵入を促進する事になり振動減衰作用も減少
する恐れがあり好ましくない。また、タイワイヤ孔まわ
りに蒸気中の腐食生成物が蓄積し翼材料強度を低下させ
る可能性がある。
【0007】ところで、ラグ・スリーブ連結構造のター
ビン動翼の連結装置では、翼面に貫通孔がないので応力
集中の心配がなく、実機として数多く採用されている。
このラグ・スリーブ連結構造のタービン動翼の連結装置
を今少し、具体的に説明する。
【0008】従来から使用されているラグ・スリーブ連
結構造のタービン動翼の連結装置は、図7に示すよう
に、組立時(静止時)、タービン動翼1,1の互に対向
する翼面に設けたラグ2a,2aの中心線8,8を互に
一致させてスリーブ3を被冠させ、定格回転時、アンツ
イストの影響を受けてその中心線8,8が所与量Dに移
動すると、スリーブ3でその移動を拘束するタイプと、
さらに図8に示すように、組立時、アンツイストによる
中心線8,8の移動を予じめ考慮しておき、ラグ2a,
2aの中心線8,8を所与量Dだけずらして設定させて
おき、定格回転時、ラグ2a,2aの中心線8,8を互
に一致させるタイプがある。
【0009】しかしながら、前者、後者のいずれのタイ
プにしても、ラグ2a,2aの中心線8,8が移動する
所与量Dを考慮してスリーブ3の内孔径を大きく作成し
ておくことになり、このためスリーブ3の内壁とラグ2
a,2aの側壁との間にすき間が形成される。すき間が
形成されると、蒸気中に混入する腐食生成物や異物など
が堆積する結果、ラグ・スリーブ間の接触面に傷や蝕食
が発生し、材力の低下ならびに制振効果の低下を招来す
るおそれがあった。
【0010】この発明は、かかる事情を考慮し、タービ
ン動翼の互に対向する翼面に設けたラグの中心線が組立
時から定格回転時に移動するという基本構想を維持しつ
つも、ラグの中心線を適正位置に設定することにより、
ラグの相互を被冠するスリーブの内孔径を極力小さくし
てすぐれた連結効果を発揮させるタービン動翼の連結装
置を公表することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的と達成するため
に、請求項1に記載した発明は、タービンロータの外周
に装着された多数のタービン動翼の互に対向する翼面に
ボスを形成し、これらボスの両端部にボス軸方向に向っ
てラグを設け、これらラグを被冠するスリーブで互に隣
接するタービン動翼を可動的に連結したタービン動翼の
連結装置において、互に対向するラグの中心線が一致し
た際の直線を基線とし、タービン動翼静止時のラグの位
置をこの基線を境に一方のラグを左側に他方のラグを右
側に予め決められた量オフセットさせて設定し、定格回
転時には、互の相手ラグの中心線が前記基線に対してタ
ービン動翼静止時とは逆位置に移動することを特徴とす
る。また、請求項2に記載した発明は、互に対向するラ
グの中心線が一致した際の直線を基線とし、タービン動
翼静止時のラグの位置をこの基線を境に一方のラグを左
側に他方のラグを右側に予め決められた等量オフセット
させて設定し、定格回転時には、互の相手ラグの中心線
が前記基線に対してタービン動翼静止時とは逆位置に等
量移動することを特徴とする。
【0012】
【作用】請求項1に記載した発明では、互の相手ラグの
中心線の全移動量は、従来技術と変わらないにしても、
個々のラグの中心線の移動は、互に対向するラグの中心
線が一致した基線を境にしているから、個々のラグの中
心線は従来技術よりも移動量を少なくすることができ
る。したがって、ラグ・スリーブ間のすき間は従来より
も小さくすることができ、異物・腐食生成物の浸入を極
力防ぐことができる。
【0013】請求項2に記載した発明では、互の相手ラ
グの中心線を、互に対向するラグの中心線が一致した基
線を境に逆等量位置に移動するように互の相手ラグの中
心線を設定してあるので、ラグ相互を被冠するスリーブ
の内孔径を軸対称にでき、その作製を容易にして小形化
することができる。
【0014】
【実施例】この発明にかかるタービン動翼の連結装置の
一実施例を、図1〜図5に沿って説明する。図1は、こ
の発明にかかるタービン動翼の連結装置を備えたタービ
ン翼車を示している。このタービン翼車は、タービンロ
ータとしてロータホイール9の外周部に、植込部10を介
してタービン動翼1,1が植込まれている。
【0015】タービン動翼1,1の隣設する翼間中央に
はボス2とラグ2aが翼面と一体あるいは一体的に設け
られており、これらボス2とラグ2aとはスリープ3に
よって被冠され、タービン動翼1,1を可動的に連結し
ている。
【0016】図2は、この発明にかかるタービン動翼の
連結装置を示す平面図で、タービン動翼1,1はアンツ
イストする前の静止時の組立状態を示している。すなわ
ち、タービン動翼1,1の互に対向する翼面にボス2,
2が突き出して設けられ、ボス軸に沿ってラグ2a,2
aが延びている。ラグ2a,2aの中心線8,8は、こ
れら中心線8,8が一致した際の直線を基線Xとしたと
きに、この基線Xを境に、予じめ左右にずらして設定さ
れている。基線Xからずれた中心線8,8を有するラグ
2a,2aにはスリーブ3が被冠され、スリーブ3とボ
ス2,2の座面5,5との間にすき間6,6を形成す
る。このすき間6,6は、スリーブ3を被冠する際の組
立裕量として、また、図5(図5は、タービン動翼がア
ンツイストを受けたときの一点鎖線から実線に移動する
スリーブの挙動を示す。)に示すように、タービン動翼
1,1が定格回転時、アンツイストを受けたとき、スリ
ーブ3の周壁がラグ2a,2aの側壁に摩擦力として働
く上で必要不可欠の寸法である。しかしながら、すき間
6,6に過分の裕度を与えると、スリーブ3がラグ2
a,2aから抜け落ちるので、必要最低限におさえてい
る。
【0017】図3は、タービン動翼の連結装置の横断面
図を示し、ボス2と一体または一体的に設けられたラグ
2aとスリーブ3との嵌合は、スリーブ3の内周壁に沿
って等分のすき間を形成し、一局所で比較的広いすき間
7にし、遊嵌状態にしている。
【0018】ところで、上述基線Xに対し、ラグ2a,
2aの中心線8,8は、組立時左右に振分けられて設定
されるが、この振分け設定位置は、等量位置であること
が最も望ましい。というのは、図4にも示すように、組
立時、基線Xに対し、一方のラグ2aの中心線8は左側
に、また他方のラグ2aの中心線8は右側に設定した場
合、定格回転時、タービン動翼1,1がアンツイスを受
け、このため基線Xに対して左側に設定していた一方の
ラグ2aの中心線8は右側に移動し、また基線Xに対し
て右側に設定していた他方のラグ2aの中心線8は左側
に移動し、これら移動量は中心線8,8の相対移動量D
に対し、基線Xから振分ければD/2の範囲内に収まっ
ていることが経験的に確認されているからである。
【0019】したがって、基線Xに対し、組立時から定
格回転時に至るとき、ラグ2a,2aの中心線8,8が
左右逆方向位置に移動し、その移動量はともに等量であ
ることを前提とした、いわゆるオフセットデザインを、
ラグ2a,2aの中心線8,8の設定の際に採り入れれ
ば、スリーブ3のラグ2a,2aに与える制振効果が高
く、スリーブ・ラグ間のすき間に堆積する腐食生成物も
少なくなり、また製作的にもスリーブ3の形状を小形化
できて好都合であり、この分野の飛躍的活用が期待され
る。
【0020】
【発明の効果】以上の説明の通り、この発明にかかるタ
ービン動異の連結装置において、隣設するタービン動翼
に互に向き合うラグの中心線を、組立時、基線に対して
左右に振分け互に逆向位置に設定した場合、定格回転
時、設定しておいたラグの中心線は基線に対して互に逆
方向位置に移動するようになるから、この移動量に見合
うようにラグを被冠するスリーブを成形でき、従来技術
よりも小さくしている。
【0021】したがって、この発明にかかるタービン連
結装置では、高い制振効果の下、スリーブの小形化に伴
うラグ・スリーブすき間縮少による腐食生成物の堆積防
止とともに、タービン動翼回転中に生起する遠心力を比
較的少なくすることができる等すぐれた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるタービン動翼の連結装置の一
実施例を示す傾斜図。
【図2】図1の平面図。
【図3】図2のA−A矢視切断断面図。
【図4】この発明にかかるラグの組立時および定格回転
時における中心線位置が移動したことを説明する一例を
示す図。
【図5】この発明にかかるラグの挙動を説明する図。
【図6】従来のタービン動翼の連結装置を示す組立図。
【図7】従来の組立時におけるラグの中心線位置が定格
回転時移動したことを説明する実施例を示す図。
【図8】従来の組立時におけるラグの中心線位置が定格
回転時移動したことを説明する他の実施例を示す図。
【符号の説明】
1…タービン動翼 2…ボス 2a…ラグ 3…スリーブ 8…ラグ中心線 X…基線

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タービンロータの外周に装着された多数
    のタービン動翼の互に対向する翼面にボスを形成し、こ
    れらボスの両端部にボス軸方向に向ってラグを設け、こ
    れらラグを被冠するスリーブで互に隣接するタービン動
    翼を可動的に連結したタービン動翼の連結装置におい
    て、互に対向するラグの中心線が一致した際の直線を基
    線とし、タービン動翼静止時のラグの位置をこの基線を
    境に一方のラグを左側に他方のラグを右側に予め決めら
    れた量オフセットさせて設定し、定格回転時には、互の
    相手ラグの中心線が前記基線に対してタービン動翼静止
    時とは逆位置に移動することを特徴とするタービン動翼
    の連結装置。
  2. 【請求項2】 タービンロータの外周に装着された多数
    のタービン動翼の互に対向する翼面にボスを形成し、こ
    れらボスの両端部にボス軸に向ってラグを設け、これら
    ラグを被冠するスリーブで互に隣接するタービン動翼を
    可動的に連結したタービン動翼の連結装置において、互
    に対向するラグの中心線が一致した際の直線を基線と
    し、タービン動翼静止時のラグの位置をこの基線を境に
    一方のラグを左側に他方のラグを右側に予め決められた
    等量オフセットさせて設定し、定格回転時には、互の相
    手ラグの中心線が前記基線に対してタービン動翼静止時
    とは逆位置に等量移動することを特徴とする請求項1記
    載のタービン動翼の連結装置。
JP05362893A 1993-03-15 1993-03-15 タービン動翼の連結装置 Expired - Lifetime JP3315183B2 (ja)

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CN103850719B (zh) * 2014-02-28 2015-07-01 西安交通大学 一种具有压电材料减振结构的阻尼叶片
US10502073B2 (en) * 2017-03-09 2019-12-10 General Electric Company Blades and damper sleeves for a rotor assembly

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