JP4051132B2 - タービン動翼 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タービン動翼に係り、特に制振力を向上させたタービン動翼に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の蒸気タービンでは、高出力化を求めてその作動流体としての蒸気を超高圧、超高温化する研究開発が進められており、これに伴ってタービン最終段落に植設するタービン動翼を長翼化させる研究開発も同時に行われている。
【0003】
タービン動翼を長翼化させる場合、蒸気に実質的な仕事をさせる翼有効部は、1mを超える翼高になり、これに伴ってルート部(翼根元部)からチップ部(翼先端部)にかけて蒸気の流線に対応させて翼断面を変化させていた翼捩りも大きくなる。この翼捩りは、タービン動翼の運転中に発生する遠心力により捩り戻りがある。この捩り戻りを巧みに利用してタービン動翼の運転中に発生する振動を抑制する制振構造形のタービン動翼が数多く提案されており、そのうち代表的なものとして図10に示すものがある。
【0004】
タービン動翼は、タービン軸1の周方向に沿って植設された翼植込み部2と、蒸気に実質的な仕事をさせる翼有効部3と、翼有効部3の先端部4から一体に削り出されたスナッバカバー5を備えた構成になっている。
【0005】
また、タービン動翼は、翼植込み部2a,2bをタービン軸1の周方向に沿って列状に植設し、翼有効部3a,3bを、そのルート部からチップ部にかけて蒸気の流線に対応させて翼断面を変化させる翼捩りを加えるとともに、一方の先端部4aのスナッバカバー5aと隣の先端部4bのスナッバカバー5bとを遊嵌配置させている。
【0006】
このような構成を備えたタービン動翼は、組立て当初、図11に示すように、一方の先端部4aの前縁6aから外側に向って突き出した前縁スナッバカバー5a1 と、その後縁7aから前縁スナッバカバー5a1 と反対の外側に向って突き出た後縁スナッバカバー5a2 と、隣の先端部4bの前縁6bから外側に向って突き出た前縁スナッバカバー5b1 と、その後縁7bから前縁スナッバカバー5b1 の反対の外側に向って突き出た後縁スナッバカバー5b2 とのうち、一方の前縁スナッバカバー5a1 の端面8aと隣の後縁スナッバカバー5b2 の端面8bとの間に隙間Dを形成しておき、運転中、遠心力により翼有効部3a,3bに捩り戻り(以下アンツイストと記す)が発生すると、図12に示すように、一方の前縁スナッバカバー5a1 の端面8aと隣の後縁スナッバカバー5b2 の端面8bとを互いに面接触させている。
【0007】
このように、従来のタービン動翼では、一方の前縁スナッバカバー5a1 の端面8aと隣の後縁スナッバカバー5b2 の端面8bとを互いに面接触させ、この面接触に基づく摩擦力を巧みに利用して振動を効果的に抑制していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来、一方の前縁スナッバカバー5a1 の端面8aと隣の後縁スナッバカバー5b2 の端面8bとの組立て当初の隙間Dは、大き過ぎるとアンツイストに基づく面接触をさせることができず、逆に小さ過ぎると面接触に基づく拘束力が強過ぎて翼有効部3とスナッバカバー5との結合部分に過度な応力を発生させるので経験上から割り出してその数値を設定していた。
【0009】
しかし、蒸気タービンの超高圧化、超高温化に伴ってタービン動翼が従来に較べてより一層長翼化すると、一方の前縁スナッバカバー5a1 の端面8aと隣の後縁スナッバカバー5b2 の端面8bとの隙間Dは、従来の寸法を、長翼化の寸法に単に対応させてスケールアップさせただけでは設計値通りの制振効果を発揮させることができない問題点があった。
【0010】
他方、タービン動翼は、長翼化と並行して翼性能の向上が求められているが、この翼性能の向上の点からスナッバカバー5を考察してみると、スナッバカバー5に幾つかの問題点がある。
【0011】
まず、第1に、翼有効部3とスナッバカバー5との結合部分に応力の増加がある。
【0012】
タービン動翼の長翼化に伴ってスナッバカバー5の結合部に働く遠心力がより一層増加するとともに、運転中に発生するアンツイストが加わり、その結合部分に過度な応力が発生する。このため、タービン動翼は、図13に示すように、翼有効部3(3a,3b)と後縁スナッバカバー5a2 (5b2 )との結合部分JPに遠心力F1 とアンツイストの力F2 が加わって、後縁スナッバカバー5a2 (5b2 )が図示の実線の位置から図示の破線の位置に変位するとともに、パネル振動モードの節VMも図示の一点鎖線のように変化し、高応力場になり、強度維持と、制振効果とが従来に較べて低くなる問題点がある。
【0013】
第2に、前縁スナッバカバー5a1 の端面8aと隣の後縁スナッバカバー5b2 の端面8bとの組立て当初の隙間Dの設定が難しい。
【0014】
タービン動翼の長翼化によりアンツイスト変形が大きくなるだけでなく、遠心力による翼有効部3の倒れが従来に較べて大きくなる。すなわち、運転時、翼有効部3は、タービン軸1の中心を通る半径方向の重心位置関係、剛性分布、蒸気力等の影響を受けて、例えば、図14に示すように、腹側9から背側10の回転RVに沿う方向(タービン軸1の周方向)、つまり実線で示す位置から破線で示す位置に変位し、同時に、前縁スナッバカバー5a1 (5b1 )および後縁スナッバカバー5a2 (5b2 )も実線で示す位置から破線で示す位置に変位する。このとき、前縁スナッバカバー5a1 (5b1 )および後縁スナッバカバー5a2 (5b2 )のケーシング11に対する隙間D1 ,D2 は、図15に示すように、前縁スナッバカバー5a1 (5b1 )の隙間D1 の方が後縁スナッバカバー5a2 (5b2 )の隙間D2 に較べて相対的に大きくなる。
【0015】
一般に、回転部と静止部との隙間は、起動運転中の過度現象を考慮し、変形の一番大きい部分、具体的には後縁スナッバカバー5a2 (5b2 )を基準にし、その後縁スナッバカバー5a2 (5b2 )のケーシング11に対する隙間が最小となるように設定している。このため、タービン動翼が長翼化すると、ケーシング11に対する前縁スナッバカバー5a1 (5b1 )の隙間D1 が大きくなり、蒸気漏れが増加し、翼性能を低下させる要因になる。
【0016】
また、タービン動翼は、図14に示すように、一方の前縁スナッバカバー5a1 (5b1 )および後縁スナッバカバー5a2 (5b2 )が実線の位置から破線の位置に変化すると、隣の後縁スナッバカバー5b2 との間に段差ができて風損としての損失になり、翼性能の低下になる。
【0017】
第3に、蒸気中に含まれる水滴のスナッバカバー5に対する侵食現象、すなわちエロージョンがある。このエロージョンは、タービン動翼をスナッバカバー構造にした場合、従来の翼カバーと異なって水滴との衝突面積が増加するので特有の問題点になる。
【0018】
タービン動翼が長翼化すると、その周速は大きくなり、蒸気に含まれる水滴のスナッバカバー5への衝突速度も高くなる。また、タービン動翼は、運転中、図16に示すように、回転RVの方向に対し、隣の後縁スナッバカバー5b2 の端面8bが一方の前縁スナッバカバー5a1 の端面8aよりも外側に向って変位し、段差部分12ができる。一方、蒸気STは、軸方向に沿って流れる際、タービン動翼の遠心力の影響を受けて軌跡線TRに沿って流れる。このため、段差部分12には、より多くの水滴が衝突する。
【0019】
段差部分12により多くの水滴が衝突すると、前縁スナッバカバー5a1 は、フレッティング現象が生じ易くなる。このフレッティング現象は、前縁スナッバカバー5a1 を摩耗させ、摩擦力を減退させて制振能力を低下させる一方、クラックの発生を誘発する要因になる。
【0020】
そして、第4に、タービン動翼の長翼化に伴って遠心力を低く抑えるために、翼断面、特に先端部の翼断面の厚みを薄く設計する場合、パネル振動が発生する。このパネル振動は、既に図13でも説明したように、翼断面の薄い部分、特に後縁部分の翼有効部3と後縁スナッバカバー5a2 との結合部分JPまで延びるパネル振動モードの節VMを基準に振動が発生する。このため、翼有効部3と後縁スナッバカバー5a2 との結合部分JPは、高応力場になり、クラックを発生させ易い環境下になっている。
【0021】
このように、タービン動翼を長翼化する場合、スナッバカバー5には、幾つかの問題点があり、何らかの改善策が必要とされていた。
【0022】
本発明は、このような考察結果に基づいてなされたもので、翼の強度を高い状態に維持させることと相俟って、振動の抑制および翼性能の向上を図ったタービン動翼を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るタービン動翼は、上記目的を達成するために、請求項1に記載したように、タービン軸の周方向に沿って列状に配置した翼有効部の先端部の前縁に前縁スナッバカバーを、その後縁に後縁スナッバカバーを備えたタービン動翼において、前記前縁スナッバカバーと隣の後縁スナッバカバーとは、静止状態で長手方向に離間しかつ運転中に端面同士が突き合わされて面接触するように配置されるとともに、前記前縁スナッバカバーを、隣の後縁スナッバカバーよりも、上記タービン軸の中心を通る半径方向の外側に向って高く設定したものである。
【0024】
また、本発明に係るタービン動翼は、上記目的を達成するために、請求項2に記載したように、タービン軸の周方向に沿って列状に配置した翼有効部の先端部の前縁に前縁スナッバカバーを、その後縁に後縁スナッバカバーを備えたタービン動翼において、前記前縁スナッバカバーと隣の後縁スナッバカバーとは、静止状態で長手方向に離間しかつ運転中に端面同士が突き合わされて面接触するように配置されるとともに、前記前縁スナッバカバーを、隣の後縁スナッバカバーよりも、上記タービン軸の中心を通る半径方向の内側に向って延びるように設定したものである。
【0027】
また、本発明に係るタービン動翼は、上記目的を達成するために、請求項3に記載したように、タービン軸の周方向に沿って列状に配置した翼有効部の先端部の前縁に前縁スナッバカバーを、その後縁に後縁スナッバカバーを備えたタービン動翼において、前記前縁スナッバカバーと隣の後縁スナッバカバーとは、静止状態で長手方向に離間しかつ運転中に端面同士が突き合わされて面接触するように配置されるとともに、隣の後縁スナッバカバーの端面の厚みと一方の前縁スナッバカバーの端面の厚みを同一にし、上記後縁スナッバカバーおよび上記前縁スナッバカバーのそれぞれの中間部分に切欠溝部を形成したものである。
【0028】
また、本発明に係るタービン動翼は、上記目的を達成するために、請求項4に記載したように、後縁スナッバカバーおよび前縁スナッバカバーのそれぞれの中間部分に形成した切欠溝部を、タービン軸の中心を通る半径方向の内側に形成したものである。
【0030】
また、本発明に係るタービン動翼は、上記目的を達成するために、請求項5に記載したように、タービン軸の周方向に沿って列状に配置した翼有効部の前縁部に前縁スナッバカバーを、その後縁に後縁スナッバカバーを備えたタービン動翼において、上記前縁スナッバカバーを、蒸気の上流側に向って上記前縁と同じ長さに形成するとともに、上記後縁スナッバカバーを、蒸気の下流側に向って上記後縁よりも長く突き出させて形成したものである。
【0031】
また、本発明に係るタービン動翼は、上記目的を達成するために、請求項6に記載したように、翼有効部を、40インチ以上の翼高に形成したものである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るタービン動翼の実施形態を図面および図中に付した符号を引用して説明する。
【0033】
図1は、本発明に係るタービン動翼の第1実施形態を示す概略斜視図である。
【0034】
本実施形態に係るタービン動翼は、40インチ以上の翼高のものに適用するもので、回転RVの方向に沿って列状に配置した翼有効部13をタービン軸(図示せず)に植設する構成になっている。
【0035】
翼有効部13のうち、一方の翼有効部13aの先端部14aおよび隣の翼有効部13bの先端部14bのそれぞれには、一体削り出しのスナッバカバー15が設けられている。
【0036】
また、スナッバカバー15のうち、一方の翼有効部13aの先端部14aにおける前縁15aには、外側に向って突き出た前縁スナッバカバー15a1 が設けられ、その後縁16aにも、前縁スナッバカバー15a1 と反対の外側に向って突き出た後縁スナッバカバー15a2 が設けられている。
【0037】
また、隣の翼有効部13bbの先端部14bにおける前縁15bおよび後縁16bのそれぞれにも前縁スナッバカバー15b1 および後縁スナッバカバー15b2 が設けられている。
【0038】
また、一方の翼有効部13aの先端部14aにおける前縁スナッバカバー15a1 の端面17aと隣の翼有効部13bの先端部14bにおける後縁スナッバカバー15b2 の端面17bとの間には、図2に示すように、一方の翼有効部13aにおける前縁スナッバカバー15a1 の端面17aを、隣の翼有効部13bにおける後縁スナッバカバー15b2 に較べてタービン軸(図示せず)の中心を通る半径方向に向って偏差高δcvとして予め高く設定する、いわゆるオフセットになっている。
【0039】
このオフセットとしての偏差高δcvは、以下に述べる理由により設定される。
【0040】
翼有効部13(13a,13b)、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )および後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )は、図3に示すように、組立て当初、破線の位置に設定していても、運転中になると、実線の位置、すなわち腹側18から背側19に向って倒れることが経験的に解っており、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )の運転中の半径方向への延びをLleとし、後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )の運転中の半径方向への延びLteとするとき、Lte>Lleになっている。このため、後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )に対する前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )のオフセットとしての偏差高δcvは、運転中、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )および後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )のそれぞれの半径方向への延びLle,Lteを考慮して、
【数1】
δcv=Lte−Lle
に設定しておけば、運転中、ケーシング20に対する前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )および後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )のそれぞれの隙間CLl,CLtが、
【数2】
CLl=CLt
になることに基づくものである。
【0041】
このように、本実施形態では、後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )に対し、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )を、組立て当初の偏差高δcvとしてタービン軸の中心を通る半径方向の外側(外径側)に向って高く設定し、運転中にケーシング20に対し、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )および後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )のそれぞれの隙間CLl,CLtを、CLl=CLtにするので、蒸気漏れを少なくさせることができ、風損を少なくさせて翼性能を向上させることができ、タービン動翼の長翼化を実現することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、組立て当初、後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )に対し、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )を、偏差高δcvとして予め高くオフセットしたことで説明したが、翼有効部13(13a,13b)が例えば蒸気力により腹側18から背側19に倒れる変位が大きく高応力になる場合、予め翼断面の重心位置を調整し、翼有効部13(13a,13b)を積極的に背側19から腹側18に変位させる場合もある。この場合、偏差高δcvを、上述とは逆に、δcv=Cle−Cteにし、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )は、後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )に対し、タービン軸の中心を通る半径方向の内側(内径側)に向って延びるように設定してもよい。
【0043】
図4は、本発明に係るタービン動翼の第2実施形態を示す概略斜視図である。なお、第1実施形態の構成部分または対応する部分と同一部分には同一符号を付す。
【0044】
本実施形態に係るタービン動翼は、後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )の端面17bの厚みTtを、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )の端面17aの厚みTlに対し、相対的に厚くしたものである。
【0045】
一般に、タービン動翼は、図5に示すように、隣の翼有効部13bから一方の翼有効部13aに向って流れる蒸気STに水滴が含まれており、この水滴が遠心力により吹き飛ばされて図示の軌跡線TRに沿って流れる。このため、後縁スナッバカバー15b2 の端面17bと前縁スナッバカバー15a1 の端面17aとの間に段差部分ができ、前縁スナッバカバー15a1 の端面17aの方が後縁スナッバカバー15b2 の端面17bよりもタービン軸の中心を通る半径方向の内側(内径側)に向って突き出ていると、前縁スナッバカバー15a1 の端面17aが水滴により侵食を受け、フレッティング摩耗を引き起す。
【0046】
本実施形態は、この点に着目したもので、後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )の端面17bの厚みTtを、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )の端面17aの厚みTlよりもタービン軸の中心を通る半径方向の内側(内径側)に向って厚く設定し、水滴による前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )の侵食を防止したものである。
【0047】
したがって、本実施形態によれば、後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )の端面17bの厚みTtを、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )の端面17aの厚みTlよりもタービン軸の中心を通る半径方向の内側(内径側)に向って厚くし、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )の水滴により侵食を防止したので、タービン動翼に安定した運転を行わせることができ、タービン動翼の長翼化を実現することができる。
【0048】
図6は、本発明に係るタービン動翼の第3実施形態を示す概略斜視図である。なお、第1実施形態の構成部分または対応する部分には同一符号を付す。
【0049】
本実施形態に係るタービン動翼は、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )の端面17aおよび後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )の端面17bのそれぞれの厚みTdを同一にするとともに、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )および後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )のそれぞれの中間部分に、タービン軸(図示せず)の中心を通る半径方向の内側(内径側)に向って切欠溝部21a(21b)を形成したものである。
【0050】
従来、タービン動翼は、運転中、一方の前縁スナッバカバー15a1 の端面17aと隣の後縁スナッバカバー15b2 の端面17bとの面圧を適正値に確保することが振動を効果的に抑制する上で重要なポイントになっている。
【0051】
また、タービン動翼の長翼化に伴ってアンツイストも増加するが、上述の面圧を適正値にするには、端面17a,17bより広い面積を確保するとともに、前縁スナッバカバー15a1 および後縁スナッバカバー15b2 の翼有効部13(13a,13b)との結合部分の応力低減化も必要となる。さらに、水滴による侵食防止を考えると、前縁スナッバカバー15a1 および後縁スナッバカバー15b2 には、何らかの対策が必要とされる。
【0052】
本実施形態は、このような重要な技術事項を考慮したもので、図7に示すように、隣の後縁スナッバカバー15b2 の端面17bおよび一方の前縁スナッバカバー15a1 の端面17aのそれぞれの厚みTdを同一にするとともに、隣の後縁スナッバカバー15b2 の中間部分および一方の前縁スナッバカバー15a1 の中間部分におけるタービン軸の中心を通る半径方向の内側(内径側)のそれぞれに切欠溝部21a,21bを形成し、中間部分における前縁スナッバカバー15a1 および後縁スナッバカバー15b2 の厚みTcを、端面17a,17bにおける厚みTdよりも薄くし、蒸気STに含まれる水滴が図示の軌跡線TRに沿って流れる際、切欠溝部21a,21bから反転させ、隣の後縁スナッバカバー15b2 および一方の前縁スナッバカバー15a1 の面圧確保、強度維持、および侵食防止の保護、強化を図ったものである。
【0053】
したがって、本実施形態によれば、前縁スナッバカバー15a1 の端面17aおよび後縁スナッバカバー15b2 の端面17bのそれぞれの厚みTdを厚くするとともに、前縁スナッバカバー15a1 および後縁スナッバカバー15b2 の中間部分におけるタービン軸の中心を通る半径方向の内側(内径側)に切欠溝部21a,21bを形成し、中間部分における厚みTcを、上述端面17a,17bの厚みTdよりも薄くし、端面の面圧確保、強度維持、および侵食防止の保護・強化を図ったので、タービン動翼に安定運転を行わせることができる。
【0054】
図8は、本発明に係るタービン動翼の第4実施形態を示す蒸気入口側から見た概略斜視図である。なお、第1実施形態の構成部分と同一部分または対応する部分には同一符号を付す。
【0055】
本実施形態に係るタービン動翼は、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )および後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )のそれぞれの面圧が充分に確保されている場合、翼有効部13(13a,13b)のそれぞれの両側から外側に向って突き出た前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )および後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )の厚みをTeとし、翼有効部13(13a,13b)の結合部分までの厚みをTbとするとき、Tb>Teにして前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )および後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )のそれぞれの端面17a,17bの厚みを薄くし、スナッバカバー15の軽量化を図ったものである。
【0056】
このように、本実施形態では、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )および後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )のそれぞれの端面17a,17bの厚さTeを薄くし、翼有効部13(13a,13b)までの結合部分までの厚さTbを厚くしてスナッバカバー15の軽量化を図ったので、前縁スナッバカバー15a1 (15b1 )および後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )と翼有効部13(13a,13b)との結合部分の強度を高く維持することができる。
【0057】
図9は、本発明に係るタービン動翼の第5実施形態を示す先端部から見た概略平面図である。なお、第1実施形態の構成部分と同一部分または対応する部分には同一符号を付す。
【0058】
本実施形態に係るタービン動翼は、後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )を、蒸気STの下流側に向って翼有効部13(13a,13b3)の後縁16a(16b)よりも長く突き出させたものである。
【0059】
このように、本実施形態では、後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )を、蒸気STの下流側に向って翼有効部13(13a,13b)の後縁16a(16b)よりも長く突き出させて形成し、パネル振動モードの節VMの始点Sを翼有効部13(13a,13b)の先端部14a(14b)から離したので、翼有効部13(13a,13b)の先端部14a(14b)の振動応力を低く抑えることができ、翼有効部13(13a,13b)と後縁スナッバカバー15a2 (15b2 )との結合部分の強度を高く維持させることができる。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明のとおり、本発明に係るタービン動翼は、隣の後縁スナッバカバーに対し、一方の前縁スナッバカバーを、組立て当初、タービン軸の中心を通る半径方向の外側に向って高くオフセットさせ、運転中、翼有効分のアンツイストがあっても、隣の後縁スナッバカバーおよび一方の前縁スナッバカバーとともにケーシングに対して隙間を少なくさせたので、蒸気漏れおよび風損を少なくさせ翼性能を向上させることができる。
【0061】
また、本発明に係るタービン動翼は、隣の後縁スナッバカバーの厚みを、一方の前縁スナッバカバーの厚みよりも厚くして蒸気に含まれる水滴による前縁スナッバカバーへの侵食を防止したので、タービン動翼に安定運転を行わせることができる。
【0062】
また、本発明に係るタービン動翼は、隣の後縁スナッバカバーおよび前縁スナッバカバーのそれぞれの中間部分に切欠溝部を形成し、各スナッバカバーの端面を厚く、各スナッバカバーの中間部分を比較的薄くして各スナッバカバーの端面の面圧確保、強度維持および侵食防止の保護、強化を図ったので、タービン動翼に安定運転を行わせることができる。
【0063】
また、本発明に係るタービン動翼は、前縁スナッバカバーおよび後縁スナッバカバーの翼有効部に対する結合部分を厚く、前縁スナッバカバーおよび後縁スナッバカバーの厚みを比較的薄くしたので、その結合部分の強度を高く維持することができる。
【0064】
また、本発明に係るタービン動翼は、後縁スナッバカバーを、蒸気の下流側に向って翼有効部の後縁よりも長く突き出させて形成したので、翼有効部の先端部の振動応力を低く抑えて翼有効部と後縁スナッバカバーとの結合部分の強度を高く維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るタービン動翼の第1実施形態を示す概略斜視図。
【図2】図1のA矢視方向から見た本発明に係るタービン動翼の部分側面図。
【図3】本発明に係るタービン動翼の組立て当初の状態と運転中の状態とを対比させた図。
【図4】本発明に係るタービン動翼の第2実施形態を示す概略斜視図。
【図5】図4のB矢視方向から見た本発明に係るタービン動翼の部分側面図。
【図6】本発明に係るタービン動翼の第3実施形態を示す概略斜視図。
【図7】図6のC矢視方向から見た本発明に係るタービン動翼の部分側面図。
【図8】本発明に係るタービン動翼の第4実施形態を示す蒸気入口側から見た概略正面図。
【図9】本発明に係るタービン動翼の第5実施形態を示す先端部から見た概略平面図。
【図10】従来のタービン動翼の組立て状態を示す概略斜視図。
【図11】従来のタービン動翼における運転前の一方のスナッバカバーと隣のスナッバカバーとの組立て状態を示す平面図。
【図12】従来のタービン動翼における運転中の一方のスナッバカバーと隣のスナッバカバーとの組立て状態を示す平面図。
【図13】従来のタービン動翼におけるスナッバカバーの運転中の挙動を説明する図。
【図14】従来のタービン動翼の運転中における挙動を説明する図。
【図15】従来のタービン動翼におけるスナッバカバーのケーシングに対する隙間を説明する図。
【図16】従来のタービン動翼におけるスナッバカバーの端面と隣のスナッバカバーの端面との接触状態を説明する図。
【符号の説明】
1 タービン軸
2 植込み部
3 翼有効部
4 先端部
5a1 ,5b1 前縁スナッバカバー
5a2 ,5b2 後縁スナッバカバー
6a,6b 前縁
7a,7b 後縁
8a,8b 端面
9 腹側
10 背側
11 ケーシング
12 段差部分
13 翼有効部
14a,14b 先端部
15a,15b 前縁
15a1 ,15b1 前縁スナッバカバー
15a2 ,15b2 後縁スナッバカバー
16a,16b 後縁
17a,17b 端面
18 腹側
19 背側
20 ケーシング
21a,21b 切欠溝部

Claims (6)

  1. タービン軸の周方向に沿って列状に配置した翼有効部の先端部の前縁に前縁スナッバカバーを、その後縁に後縁スナッバカバーを備えたタービン動翼において、前記前縁スナッバカバーと隣の後縁スナッバカバーとは、静止状態で長手方向に離間し、かつ運転中に端面同士が突き合わされて面接触するように配置されるとともに、前記前縁スナッバカバーを、隣の後縁スナッバカバーよりも、上記タービン軸の中心を通る半径方向の外側に向って高く設定したことを特徴とするタービン動翼。
  2. タービン軸の周方向に沿って列状に配置した翼有効部の先端部の前縁に前縁スナッバカバーを、その後縁に後縁スナッバカバーを備えたタービン動翼において、前記前縁スナッバカバーと隣の後縁スナッバカバーとは、静止状態で長手方向に離間し、かつ運転中に端面同士が突き合わされて面接触するように配置されるとともに、前記前縁スナッバカバーを、隣の後縁スナッバカバーよりも、上記タービン軸の中心を通る半径方向の内側に向って延びるように設定したことを特徴とするタービン動翼。
  3. タービン軸の周方向に沿って列状に配置した翼有効部の先端部の前縁に前縁スナッバカバーを、その後縁に後縁スナッバカバーを備えたタービン動翼において、前記前縁スナッバカバーと隣の後縁スナッバカバーとは、静止状態で長手方向に離間し、かつ運転中に端面同士が突き合わされて面接触するように配置されるとともに、隣の後縁スナッバカバーの端面の厚みと一方の前縁スナッバカバーの端面の厚みを同一にし、上記後縁スナッバカバーおよび上記前縁スナッバカバーのそれぞれの中間部分に切欠溝部を形成したことを特徴とするタービン動翼。
  4. 後縁スナッバカバーおよび前縁スナッバカバーのそれぞれの中間部分に形成した切欠溝部を、タービン軸の中心を通る半径方向の内側に形成したことを特徴とする請求項3記載のタービン動翼。
  5. タービン軸の周方向に沿って列状に配置した翼有効部の前縁部に前縁スナッバカバーを、その後縁に後縁スナッバカバーを備えたタービン動翼において、上記前縁スナッバカバーを、蒸気の上流側に向って上記前縁と同じ長さに形成するとともに、上記後縁スナッバカバーを、蒸気の下流側に向って上記後縁よりも長く突き出させて形成したことを特徴とするタービン動翼。
  6. 翼有効部を、40インチ以上の翼高に形成したことを特徴とする請求項1,2,3または5記載のタービン動翼。
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