JP4105528B2 - タービン動翼の結合装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電用等として利用されるタービン動翼の結合装置に係り、特に運転中におけるタービン動翼先端翼間流路の流体性能を損なわずにタービン動翼の振動を効果的に抑制できるタービン動翼の結合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の発電プラントには、通常の蒸気タービンプラント、ガスタービンに蒸気タービンを組み合わせるコンバインドサイクル発電プラントを問わず、高効率、大出力が要求され、ガスタービン、蒸気タービンともに単機出力が増加する傾向にある。それに伴い、最終段をはじめとするタービン出口付近の段落はその翼長が長大化し、運転中の過大な振動を回避するための様々な手段が講じられてきた。
【0003】
ところで、タービン内で作動流体を効率良く膨張させるために、動翼はルート部からチップ部にかけて捩れを持った構造となるが、高翼長動翼ではその捻れが急増し、さらにチップ付近では翼断面が薄肉化する。このような構造の動翼は、運転中に回転遠心力による捻り戻り(以下、アンツイストという)が作用する。従来、このアンツイストの作用を利用してタービン動翼の振動を抑制しながらタービン動翼相互間を結合するようにした結合装置は知られている。
【0004】
図14はこの種の従来の結合装置を示す図であり、図中符号1aおよび2aはそれぞれ隣接するタービン動翼の翼先端チップ部を示している。上記タービン動翼の翼先端チップ部1a、2aの翼前縁側には前縁スナッバ1b、2bが翼と一体的に形成されており、各翼の後縁側には後縁スナッバ1c、2cが翼と一体的に形成されている。
【0005】
しかして、タービンロータの回転数の上昇に伴い翼に作用する遠心力が増大すると、翼にはアンツイストが作用して、後縁スナッバ1cと前縁スナッバ2bの周方向端面により形成される接触面1f、2fが互いに接触する。Dはタービン動翼の組立時に設定された間隙である。この間隙Dは回転上昇時のスナッバ接触開始回転数および定格回転時のスナッバ間反力などを考慮して設定されている。この間隙Dが大きすぎると運転中にアンツイストが作用しても接触面1f、2fが接触せず、反対に小さすぎるとアンツイストが作用したとき翼とスナッバとの結合部に過大な応力が生じる。
【0006】
図15は、運転中に後縁スナッバ1cと前縁スナッバ2bが互いに接触した状態を示す図であり、或る回転数で接触した後は回転数上昇に伴って位置関係が変化するようなことはなく反力のみが増大して行く。したがって、定格回転時に生じる応力、特にスナッバと翼の境界部の応力を十分に考慮し、接触時における後縁スナッバ1cと前縁スナッバ2bとの相対的な位置関係が適正に維持されるように初期クリアランスが設定される。組立時に全ての翼に対して初期クリアランスが管理されれば、全ての接触面において面圧と翼応力が設計値を満足されることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、実際のタービン翼およびロータディスクの製造工程を考慮すると、組立時にはクリアランス管理許容範囲があり、また運転時には、個々の植込み部、ロータ側植込み部の加工公差によるガタによる翼起立位置のばらつき、翼型およびスナッバ自体の加工公差、運転中の蒸気力による翼倒れ等が蓄積され、全ての翼間でこの設計クリアランスが均一に維持されたまま接触に至ることは難しい。すなわち、或る翼間ではクリアランスが狭い状態から接触に至り、また別の翼間では他で翼間が狭まった分クリアランスが広い状態から接触に至ることがある。従って、図16(a)、(b)に示すように、スナッバ接触面幅Sすなわち接触面積がばらつき、接触面圧、翼応力が設計値から離れるばかりでなく、翼先端部での翼間流路にも大小が生じる。一般に長翼先端部では流れが超音速となることが多く、翼間距離すなわちスロート面積THの設計値からの乖離は大きな翼列性能の低下をもたらす。
【0008】
そこで、図17に示すように、スナッバ周方向端面に2つの接触面1f、1gを設け、タービンの運転中に2段階にわたって接触面同士が接触するようにし、アンツイスト拘束による反力を小さくすることができるようにしたものも提案されている(特開平2−16303号公報参照)。すなわち、図18(a)に示すように、アンツイストが定格条件以下の場合にもスナッバを接触させることにより回転上昇および降下中でも振動抑制を可能とし、同時に図18(b)に示すように、定格条件においても適正な接触面を保つ構造となっている。しかしながら、例えば図18(a)に示される低回転状態での接触面1gと2f間の面圧、及び滑り摩擦係数が大きく、定格回転数に向けて回転上昇しても拘束が解除されない場合には該接触面圧が過大となるばかりでなく、以降の運転中に流体力の変化等により突如拘束が解除された場合には高速回転中に不慮の衝撃がかかることになり、振動抑制上信頼性に欠けるものとなる。また、翼全数のうち一部のみが図18(b)に示す定格接触状態に達し、かつ接触面が設計値より過小となる状態で拘束された場合には、図18(a)の状態のまま残って拘束が解除される余地がなくなる可能性があり、全周としてみた場合不均一な拘束となり、振動制御上好ましくない。
【0009】
本発明は、このような点に鑑み、アンツイストの作用を利用してタービン動翼の振動を抑制しながらタービン動翼相互間を結合するようにした結合装置において、運転中に翼相対位置変動が生じた場合でも隣接翼間のスナッバ接触面積を常時設計値に維持し、振動抑制効果、流体性能ともに設計値を満足するタービン動翼の結合装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、タービン動翼の翼先端チップ部に、前縁側に突出する前縁スナッバと後縁側に突出する後縁スナッバとを設けたタービン動翼の結合装置において、
上記後縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記前縁スナッバと周方向に対向する側面に、第1の接触面と、当該第1の接触面の一部を切除して形成した段部および端面とを設け、
上記前縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記第1の接触面および上記端面と周方向に対向する側面に第2の接触面を形成するととともに、当該第2の接触面のうち上記翼端チップ部から離間した位置に上記端面に向かって周方向に突出する突起部を形成し、
上記第1の接触面と上記第2の接触面は、組立時には所定の設計初期クリアランスを開けて互いに対向するとともに定格アンツイスト時には互いに接触するように構成し、
上記突起部は、組立時における上記端面との間の間隙が上記設計初期クリアランスより大きくなるように構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、タービン動翼の翼先端チップ部に、前縁側に突出する前縁スナッバと後縁側に突出する後縁スナッバとを設けたタービン動翼の結合装置において、
上記後縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記前縁スナッバと周方向に対向する側面に、第1の接触面と、当該第1の接触面から隣接するタービン動翼の上記前縁スナッバに向かって周方向に突出する突起部と、当該突起部から当該第1の接触面上の点にかけてその高さを斬減する傾斜面とを形成し、
上記前縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記後縁スナッバと周方向に対向する側面に、当該第1の接触面と対向する第2の接触面と、当該第2の接触面のうち上記翼先端チップ部から離間する側の端部に角部とを形成し、
上記第1の接触面と上記第2の接触面は、組立時に所定の設計初期クリアランスを開けて互いに対向するように構成し、
上記突起部は、組立時には上記角部に接触するようにその位置および高さを定めたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、タービン動翼の翼先端チップ部に、前縁側に突出する前縁スナッバと後縁側に突出する後縁スナッバとを設けたタービン動翼の結合装置において、
上記後縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記前縁スナッバと周方向に対向する側面に、第1の接触面と、当該第1の接触面から隣接するタービン動翼の上記前縁スナッバに向かって周方向に突出する突起部と、当該突起部と上記第1の接触面との間の段部とを形成し、
上記前縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記後縁スナッバと周方向に対向する 側面に、当該第1の接触面と対向する第2の接触面と、当該第2の接触面のうち上記翼先端チップ部から離間する側の端部に角部とを形成し、
上記第1の接触面と上記第2の接触面は、組立時に所定の設計初期クリアランスを開けて互いに対向するように構成し、
上記突起部は、上記初期設計クリアランスよりも大きい高さで上記第1の接触面から突出するように形成し、
上記角部および上記段部は、タービン動翼の組立時に、第1のタービン動翼の先端を定格アンツイストが作用したときの捻れ状態に固定した後、その前縁スナッバ側に隣接する第2のタービン動翼を下流側から組み付けると、第1のタービン動翼の上記角部と第2のタービン動翼の上記段部とが接触し、第2のタービン動翼の先端もまた定格アンツイストが作用したときの捻れ状態となって上記第1の接触面と上記第2の接触面とが接触するように構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、タービン動翼の翼先端チップ部に、前縁側に突出する前縁スナッバと後縁側に突出する後縁スナッバとを設けたタービン動翼の結合装置において、
上記前縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記後縁スナッバと周方向に対向する側面に、第1の接触面と、当該第1の接触面の一部を切除して形成した段部および端面とを設け、
上記後縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記第1の接触面および上記端面と周方向に対向する側面に第2の接触面を形成するととともに、当該第2の接触面のうち上記翼端チップ部から離間した位置に上記端面に向かって周方向に突出する突起部を形成し、
上記第1の接触面と上記第2の接触面は、組立時には所定の設計初期クリアランスを開けて互いに対向するとともに、定格アンツイスト時には互いに接触するように構成し、
上記突起部は、組立時における上記端面との間の間隙が上記設計初期クリアランスより大きくなるように構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1または4に係る発明において、上記突起部は、タービン動翼の長手軸線に直交する平面の断面形状が半円形状であることを特徴とする
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1に係る発明において、上記突起部は、定格アンツイスト時に上記段部と接触係合するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項2に係る発明において、上記突起部は、上記第1の接触面のうち上記翼先端チップ部側の端部に形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項2に係る発明において、上記角部は、定格回転数未満のアンツイスト時には上記傾斜面と接触し、定格アンツイスト時には上記第1の接触面上の点に到達するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項9に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記突起部は、当該第1の接触面のうち上記翼先端チップ部側の端部に形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項10に係る発明は、請求項4に係る発明において、上記突起部は、定格アンツイスト時に上記段部と接触係合するように構成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項11に係る発明は、請求項1に係る発明において、上記突起部および上記段部は、回転上昇とともに接近し、定格回転数で隣接翼との間隔が拡大する方向のスナッバ移動を拘束するように構成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項12に係る発明は、請求項2に係る発明において、上記突起部および上記角部は 、隣接翼との間隔が縮小する方向のスナッバ移動を拘束するように構成されていることを特徴とする。
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明に係るタービン動翼の結合装置の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は本発明に係るタービン動翼の結合装置の実施の形態を示す図である。1aおよび2aはそれぞれ隣接するタービン動翼の翼先端チップ部を示し、翼先端チップ部1aの前縁部には前縁スナッバ1bが一体的に形成され、翼先端チップ部1aの後縁部には後縁スナッバ1cが一体的に形成されている。タービン動翼の翼先端チップ部2aの前縁部には前縁スナッバ2bが一体的に形成され翼先端チップ部2aの後縁部には後縁スナッバ2cが一体的に形成されている。翼先端チップ部1aの後縁スナッバ1cの、翼先端チップ部2aの前縁スナッバ2bの接触面2hに対向する側面には接触面1fが形成され、両接触面1f、2hの間隙は、設計初期クリアランスD1となっており、定格アンツイスト時に接触面1fと2hが接触し、所望の拘束を達成するよう設定されている。さらに接触面1fは一部切除され、段部1dと端面1kが形成されている。接触面2hには、定格アンツイスト時に段部1dと接触係合する位置に動翼の長手軸線に直交する平面の断面形状が半円形の突起部2mが形成されており、突起部2mと端面1kとの間隙D2が、間隙D2>D1となるよう設定してある。また突起部2mは接触面2hのうち翼先端チップ部2aから最も遠い位置に配置されており、接触面1fと2hの接触面積が過小、すなわち接触面圧過大とならない大きさとなっている。
【0022】
次に作用を説明する。図2から図4はタービン回転上昇に伴いアンツイストが作用したときの種々の拘束状態を示したものである。図2は拘束前のスナッバ間隙が設計値より小さく、定格回転未満で接触面1fと2hとが接触した場合を示している。D2>D1なので突起部2mと端面1kは接触せず、接触面1fと2hの接触を妨害することはない。ところでこのとき、他の翼間で図3に示すようにスナッバ間隙が設計値より大きく非拘束状態にあるものが存在する場合には、接触面1fと2h間の残存クリアランスD3が縮小する余地を有しているため、図2の接触面1fと2hの接触面圧はクリアランスD3が消滅するまで上昇しない。ここで、図4のように隣接翼のアンツイスト角度が異なり、残存クリアランスD3が楔状となった場合でも、突起部2mを断面半円形状に形成してあれば、突起部2mと段部1dとの接点を支点として隣接翼が相互に回転移動できるため滑らかにクリアランスが減少する。こうして面圧が低く維持されるので、定格に向けての回転上昇に伴い、接触している後縁スナッバ1cと前縁スナッバ2bの相対位置が変化することができる。段部1dと突起部2mは回転上昇とともに接近し、定格回転数では図5に示すように適正位置にて拘束される。このように隣接翼との間隔が拡大する方向を拘束する動翼連結構造を適用することにより、全周にわたり均一かつ所定の面圧、翼間流路を有するスナッバ拘束状態が実現できる。
【0023】
図6は、本発明に係るタービン動翼の結合装置の第2の実施の形態を示す図で、タービン動翼の組立て状態を示しており、隣接するタービン動翼の翼先端チップ部1aおよび2a、前縁スナッバ1bおよび2b、後縁スナッバ1c、2c、接触面1f、2hと設計初期クリアランスD1の構成および設定は第1の実施の形態と同一である。後縁スナッバ1cの接触面1fと同一側面には隣接翼の翼先端チップ2aの前縁スナッバ2bの角部2pと接する位置および高さを有する突起部1nが形成されている。この突起部1nには接触面1f上の点1gにかけて隣接する翼方向に向かって高さを漸減する傾斜面が形成されている。ここで点1gは設計上、定格アンツイスト時に角部2pが到達すべき点である。
【0024】
次に運転時の作用を説明する。図7および図8はタービン回転上昇に伴いアンツイストが作用したときの隣接スナッバの相対位置変化を示したものである。図6に示した組立時にすでに前縁スナッバ角部2pと後縁スナッバ突起部1nが接触してはいるが、それは線接触であり、突起部1nの高さ変化が十分緩やかなものであれば、両スナッバの周方向の位置は拘束するが翼捻れ方向の動きを拘束しないものとなる。この周方向の拘束により、回転上昇とともに例えば隣接翼起立位置の相対位置変化や翼ルートから中間高さ部に捻れ方の不均一が生じた場合でも、スナッバ間隙のばらつきは抑制される。また、突起部1nの高さは角部2pの移動方向に向かって漸減するため、図7に示すように定格回転数未満では常に角部2pとの線接触が保たれ、かつ面接触は生じない。従って、タービン回転上昇とともに接触面1fと2h間の間隙d1は全翼ほぼ均一に狭まる方向に推移し、角部2pが点1gに到達して、図8に示すように全周適正な位置にて拘束される。こうして隣接翼との間隔が縮小する方向を拘束する動翼連結構造を適用することにより、全周にわたり均一かつ所定の面圧、翼間流路を有するスナッバ拘束状態が実現できる。
【0025】
図9は、本発明に係るタービン動翼の結合装置の第3の実施の形態を示す図である。図中、隣接するタービン動翼の翼先端チップ部1aおよび2a、前縁スナッバ1bおよび2b、後縁スナッバ1c、2c、接触面1f、2h、角部2pと設計初期クリアランスD1の構成および設定は第2の実施の形態と同一である。後縁スナッバ1cの接触面1fと同一側面には高さHの突起部1uにより段部1wが形成されている。H>D1であり、また、S1は定格回転時の設計接触面幅である。なお、図9では、スナッバ隣接面近傍の寸法の大小関係を示すために仮想的に周方向1ピッチ分離れた位置に隣接翼先端チップ部分2aとそのスナッバ2bを表示してある。
【0026】
図10により本実施例の動翼組立時およびタービン運転時の作用について説明する。
【0027】
まず、組立時の動作であるが、翼先端チップ部2aを有する動翼をロータディスクの所定の位置に設置し、さらに治具等を用いて先端を定格アンツイストが作用した場合の捻れ状態に固定する。次に翼先端チップ部1aを有する動翼を流れの下流側から挿入して行くと、図9に示したように、初期設定クリアランスD1に対して突起部Hがより高いため、所定の軸方向位置に到達する以前に角部2pと段部1wが接触し、翼先端チップ部は1a’の状態となり接触面は1f’の位置にあって対向する接触面2hとの間には間隙が存在する。さらに挿入を続けると、翼先端チップ部全体が角部2pと段部1wの接点を支点として回転する。ここで、接触面1fの幅は定格アンツイストが作用した場合の接触幅S1としてあるため、動翼が所定の軸方向位置に到達すると、翼先端チップ部1aもまた定格アンツイストが作用した場合の状態となり、スナッバ接触面1fは隣接接触面2hと接触する。このようにして順次動翼を配備することにより、全翼の翼先端チップ部が定格アンツイスト形状となる組立状態が完成する。また、図示しないが翼先端チップ部1aを有する動翼を流れの上流から挿入していっても同様の動作により同一組立状態とすることができる。
【0028】
次に運転時の作用について説明する。上述の状態から回転上昇を開始すると、接触回転数に至るまでは動翼有効部にアンツイストが作用し始め、組立時にスナッバ下部にかかっていた捻れ応力が緩和される。この間スナッバ接触面圧は組立時からほとんど変化しないが、全ての翼間でスナッバ間隙が0となっているため、スナッバ接触面にばらつきは生じることなく全周均一な接触が維持されている。接触回転数を超えるとスナッバ接触面圧が増加し始め、定格回転時に至るまで適正に拘束される。本実施の形態によれば、タービン停止時から定格回転数に至るまでスナッバ接触面は常に固定されており、動作不良による不均一接触の可能性がないため、高い信頼性をもって設計面圧、設計翼間流路を形成するスナッバ拘束状態が実現できる。
【0029】
図11、12は本発明に係るタービン動翼の結合装置の第4の実施の形態を示す図である。隣接するタービン動翼の翼先端チップ部1aおよび2a、前縁スナッバ1bおよび2b、後縁スナッバ1c、2c、接触面1f、2hと設計初期クリアランスD1の構成および設定は第1の実施の形態と同一である。接触面2hは一部切除され、段部2dと端面2kを形成している。接触面1fには、定格アンツイスト時に段部2dと接触する位置に断面半円状の突起部1mが形成されており、突起部1mと端面2kとの間隙D4を有し、間隙D4>D1となるよう設定してある。また突起部1mは接触面1fのうち翼先端チップ部1aから最も遠い位置に配置されており、接触面1fと2hの接触面積が過小、すなわち接触面圧過大とならない大きさとなっている。
【0030】
本実施の形態によれば、図12に示すように、前縁スナッバに突起部を形成した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、初期クリアランスD1が翼列下流側より直視可能なため、組立時の計測管理するのが容易かつ正確に行える。設定時に生じる誤差が接触面積に及ぼす影響が大きいクリアランスD1の寸法精度の向上により、振動抑制および翼間流路形成の信頼性が向上する。
【0031】
図13は本実施の形態の変形例である。図中、隣接するタービン動翼の翼先端チップ部1aおよび2a、前縁スナッバ1bおよび2b、後縁スナッバ1c、2c、接触面1f、2h、角部2pと設計初期クリアランスD1の構成および設定は第2の実施の形態と同一である。前縁スナッバ2bの接触面2hと同一側面には高さHの突起部2uにより段部2wが形成されている。H>D1であり、またS1は定格回転時の設計接触面幅である。
【0032】
本実施の形態によれば、第3の実施の形態と同様、翼先端チップ部1aを有する動翼を流れ方向下流から挿入してゆくことにより、組立時に全翼間でスナッバを定格アンツイストが作用した場合の形状とすることが可能である。さらに、接触面1fと2hによる接触面が翼列下流側より直視可能であり、接触の有無をスナッバ上面、下流面の2方向から検査可能となるため、タービン運転時の振動抑制および翼間流路形成の信頼性を向上させることができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、アンツイストの作用を利用してタービン動翼の振動を抑制しながらタービン動翼相互間を結合するようにした結合装置において、一方のスナッバ接触面に突起部を設けたことにより、または該突起部とその移動を拘束するための段部を対向するスナッバ接触面に同時に設けたことにより、タービン運転中に翼相対位置変動が生じた場合でも、定格運転条件下で隣接翼間のスナッバ接触面積、すなわち接触面圧、翼応力、翼間流路幅を高い信頼性および確実性のもとに全周均一に制御でき、振動抑制効果、流体性能ともに設計値を満足するタービン動翼列を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す翼先端チップ部およびスナッバの平面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の作用を説明する説明図。
【図3】本発明の第1の実施の形態の作用を説明する説明図。
【図4】本発明の第1の実施の形態の作用を説明する説明図。
【図5】本発明の第1の実施の形態の作用を説明する説明図。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す翼先端チップ部およびスナッバの平面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態の作用を説明する説明図。
【図8】本発明の第2の実施の形態の作用を説明する説明図。
【図9】本発明の第3の実施の形態を示す翼先端チップ部およびスナッバの平面図。
【図10】本発明の第3の実施の形態の作用を説明する説明図。
【図11】本発明の第4の実施の形態を示す翼先端チップ部およびスナッバの平面図
【図12】本発明の第4の実施の形態の作用を説明する説明図。
【図13】本発明の第4の実施の形態の他の例を示す翼先端チップ部およびスナッバの平面図。
【図14】従来技術を示す翼先端チップ部分およびスナッバの平面図。
【図15】従来技術の作用を説明する説明図。
【図16】(a)、(b)は従来技術の作用を説明する説明図。
【図17】従来技術の他の例を示す翼先端チップ部およびスナッバの平面図。
【図18】(a)、(b)は従来技術の他の例の作用を説明する説明図。
【符号の説明】
1a、2a、1a’ 翼先端チップ部
1b、2b 前縁スナッバ
1c、2c 後縁スナッバ
1d、2d、1w、2w 段部
1f、2f、1g、1h、2h、1f’ 接触面
1k、2k 端面
1m、2m、1n、1u、2u 突起部
1p、2p スナッバ角部
1g 点
D、D1 設計初期クリアランス
D2、D3、D4 クリアランス
S、S1 スナッバ接触面幅
TH スロート幅
Claims (12)
- タービン動翼の翼先端チップ部に、前縁側に突出する前縁スナッバと後縁側に突出する後縁スナッバとを設けたタービン動翼の結合装置において、
上記後縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記前縁スナッバと周方向に対向する側面に、第1の接触面と、当該第1の接触面の一部を切除して形成した段部および端面とを設け、
上記前縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記第1の接触面および上記端面と周方向に対向する側面に第2の接触面を形成するととともに、当該第2の接触面のうち上記翼端チップ部から離間した位置に上記端面に向かって周方向に突出する突起部を形成し、
上記第1の接触面と上記第2の接触面は、組立時には所定の設計初期クリアランスを開けて互いに対向するとともに定格アンツイスト時には互いに接触するように構成し、
上記突起部は、組立時における上記端面との間の間隙が上記設計初期クリアランスより大きくなるように構成したことを特徴とするタービン動翼の結合装置。 - タービン動翼の翼先端チップ部に、前縁側に突出する前縁スナッバと後縁側に突出する後縁スナッバとを設けたタービン動翼の結合装置において、
上記後縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記前縁スナッバと周方向に対向する側面に、第1の接触面と、当該第1の接触面から隣接するタービン動翼の上記前縁スナッバに向かって周方向に突出する突起部と、当該突起部から当該第1の接触面上の点にかけてその高さを斬減する傾斜面とを形成し、
上記前縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記後縁スナッバと周方向に対向する側面に、当該第1の接触面と対向する第2の接触面と、当該第2の接触面のうち上記翼先端チップ部から離間する側の端部に角部とを形成し、
上記第1の接触面と上記第2の接触面は、組立時に所定の設計初期クリアランスを開けて互いに対向するように構成し、
上記突起部は、組立時には上記角部に接触するようにその位置および高さを定めたことを特徴とするタービン動翼の結合装置。 - タービン動翼の翼先端チップ部に、前縁側に突出する前縁スナッバと後縁側に突出する後縁スナッバとを設けたタービン動翼の結合装置において、
上記後縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記前縁スナッバと周方向に対向する側面に、第1の接触面と、当該第1の接触面から隣接するタービン動翼の上記前縁スナッバに向かって周方向に突出する突起部と、当該突起部と上記第1の接触面との間の段部とを形成し、
上記前縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記後縁スナッバと周方向に対向する側面に、当該第1の接触面と対向する第2の接触面と、当該第2の接触面のうち上記翼先端チップ部から離間する側の端部に角部とを形成し、
上記第1の接触面と上記第2の接触面は、組立時に所定の設計初期クリアランスを開けて互いに対向するように構成し、
上記突起部は、上記初期設計クリアランスよりも大きい高さで上記第1の接触面から突出するように形成し、
上記角部および上記段部は、タービン動翼の組立時に、第1のタービン動翼の先端を定格アンツイストが作用したときの捻れ状態に固定した後、その前縁スナッバ側に隣接する第2のタービン動翼を下流側から組み付けると、第1のタービン動翼の上記角部と第2のタービン動翼の上記段部とが接触し、第2のタービン動翼の先端もまた定格アンツイストが作用したときの捻れ状態となって上記第1の接触面と上記第2の接触面とが接触するように構成したことを特徴とするタービン動翼の結合装置。 - タービン動翼の翼先端チップ部に、前縁側に突出する前縁スナッバと後縁側に突出する後縁スナッバとを設けたタービン動翼の結合装置において、
上記前縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記後縁スナッバと周方向に対向する側面に、第1の接触面と、当該第1の接触面の一部を切除して形成した段部および端面とを設け、
上記後縁スナッバのうち隣接するタービン動翼の上記第1の接触面および上記端面と周方向に対向する側面に第2の接触面を形成するととともに、当該第2の接触面のうち上記翼端チップ部から離間した位置に上記端面に向かって周方向に突出する突起部を形成し、
上記第1の接触面と上記第2の接触面は、組立時には所定の設計初期クリアランスを開けて互いに対向するとともに、定格アンツイスト時には互いに接触するように構成し、
上記突起部は、組立時における上記端面との間の間隙が上記設計初期クリアランスより大きくなるように構成したことを特徴とするタービン動翼の結合装置。 - 上記突起部は、タービン動翼の長手軸線に直交する平面の断面形状が半円形状であることを特徴とする請求項1または4に記載のタービン動翼の結合装置。
- 上記突起部は、定格アンツイスト時に上記段部と接触係合するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載したタービン動翼の結合装置。
- 上記突起部は、上記第1の接触面のうち上記翼先端チップ部側の端部に形成されていることを特徴とする請求項2に記載したタービン動翼の結合装置。
- 上記角部は、定格回転数未満のアンツイスト時には上記傾斜面と接触し、定格アンツイスト時には上記第1の接触面上の点に到達するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載したタービン動翼の結合装置。
- 前記突起部は、当該第1の接触面のうち上記翼先端チップ部側の端部に形成されていることを特徴とする請求項3に記載したタービン動翼の結合装置。
- 上記突起部は、定格アンツイスト時に上記段部と接触係合するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載したタービン動翼の結合装置。
- 上記突起部および上記段部は、回転上昇とともに接近し、定格回転数で隣接翼との間隔が拡大する方向のスナッバ移動を拘束するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のタービン動翼の結合装置。
- 上記突起部および上記角部は、隣接翼との間隔が縮小する方向のスナッバ移動を拘束するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のタービン動翼の結合装置。
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