JP3315025B2 - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

エンジンの空燃比制御装置

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JP3315025B2 JP19075595A JP19075595A JP3315025B2 JP 3315025 B2 JP3315025 B2 JP 3315025B2 JP 19075595 A JP19075595 A JP 19075595A JP 19075595 A JP19075595 A JP 19075595A JP 3315025 B2 JP3315025 B2 JP 3315025B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエンジンの空燃比制
御装置、特に燃料タンクで発生した蒸発燃料(エバポレ
ーション)(以下、単に「エバポ」と言う)をキャニス
タに蓄え、この蓄えられたエバポをエンジンの吸気通路
にパージするエバポパージシステムを有するエンジンの
空燃比制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジン装置においては、排気系
に設けられたO2 センサなどの空燃比センサからの信号
に基づき、燃焼室に供給される混合ガスの空燃比が良好
かつ効率の良い燃焼状態となる理論空燃比となるように
燃料噴射量をフィードバック制御するシステムが知られ
ている。
【0003】一方、これと併せてエンジンの燃料タンク
から発生するエバポを有効に燃焼させるシステムとして
エバポパージシステムを用いることが行われている。こ
のエバポパージシステムは、エバポを一旦キャニスタに
蓄え、所定の運転条件の下でキャニスタに蓄えられたエ
バポを大気と共にエンジンの吸気系にパージ制御弁を介
して導き、燃料と一緒に燃焼させるものである。
【0004】このエバポパージシステムでは、上記パー
ジ制御弁は、エンジンの吸入空気量と吸気管圧力により
決定される運転領域に応じたデューティー比に基づいて
その開閉制御が行われる。これは、エバポがエンジンの
吸気管負圧によりエンジン吸気系に吸入されているの
で、吸気管負圧が増大すればエバポのパージ流量も増大
する方向にあるので、そのパージ流量の管理は、吸気管
負圧に基づいてデューティー制御することとしているも
のである。これにより、パージ量が過大になるのを防止
し、かつ吸入空気量毎に最適なパージ流量を確保するこ
とができる。このパージ制御弁のデューティー比制御
は、例えば吸入空気量と吸気管圧力に基づいて形成され
る三次元マップを用いて行われる。
【0005】上記のようなエバポパージシステムを備え
たエンジンでは、そのシステムのオン状態、すなわちエ
バポが吸気系に送られているときにそのエバポ濃度に応
じて燃料噴射量を増減補正する制御も提案されている。
【0006】このようなエバポパージ状態での燃料噴射
量の補正であるエバポ補正は、例えば次のような式で得
られるエバポ補正係数(KEV)を用いて行われる。
【0007】エバポ補正係数=エバポ量補正係数(KK
EV)×エバポ運転領域補正係数(MKEV) ここで、エバポ量補正係数(KKEV)は、空燃比フィ
ードバック制御に用いられるフィードバック補正係数と
所定の目標値との差をパラメータとして算出されるもの
で、エバポ濃度に応じて変化するものである。一方、エ
バポ運転領域補正係数(MKEV)は、通常の燃料噴射
制御と同様にエンジンの運転状態、すなわちエンジン回
転数Neと基本噴射量Tpにより算出される。
【0008】このようなエバポ補正の必要性は、例えば
夏場の外気温の高い時に燃料タンク内で多くのエバポが
発生し、このためキャニスタに蓄えられるエバポが多量
となりエバポ濃度も高くなることなどに基づく。すなわ
ち、このような環境条件下では、エバポパージ開始直後
の空燃比は急激にリッチ化し、通常の空燃比フィードバ
ック制御では追い着かなくなる。すなわちエバポによる
リッチ化に対しフィードバック補正係数が追従し切れず
運転性や排気ガス状態には好ましくない状態となる。そ
こで、上記のようなエバポ補正係数(KEV)を用い
て、更にエバポ補正を行うものである。
【0009】上記のようなエバポパージ開始初期の急激
な空燃比のリッチ化を防止する技術として特開平6−1
46965号公報や特開平6−336940号公報に開
示された技術が知られている。これらの技術は、パージ
開始時の空燃比の変化からエバポ濃度を推定し、それに
より得られるパージ流量やパージ率に基づいて燃料噴射
量を減量補正するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のエ
バポ補正技術では、実際にキャニスタから吸気系にエバ
ポを導入する時にそのパージ量を制御するためのパージ
制御弁のデューティー比を設定するパラメータとそのエ
バポパージに対応して燃料噴射量を減量補正するための
パラメータが異なっている。
【0011】すなわち、パージ制御弁はエンジンの吸入
空気量及び吸気管圧力に基づきパージ流量の変化に対応
してデューティー比制御されるのに対し、燃料噴射量の
空燃比フィードバック制御における基本的なパラメータ
は、エンジン回転数Neと基本噴射量Tpであり、これ
らに基づき運転状態を判断してそれに対応した燃料噴射
量制御を行っている。従って、両者のパラメータが異な
るためにパージ制御弁の動作と減量補正される燃料噴射
量は正確に対応せずずれが生じている。従って、大気圧
あるいは外気条件などの変化によりエンジンの運転状態
がシフトした場合に、パージ量に対する燃料噴射量の補
正量が過大あるいは過少となる場合が生じ、空燃比フィ
ードバック制御の良好な制御性を維持することはできな
くなる。
【0012】例えば、大気圧がAからBに変化した場
合、エンジン回転数Neを不変として同一トルクを確保
するためには、図15で示した吸入空気量と吸気管圧力
のマップ上では、運転状態は点Aから点Bにシフトする
必要がある。これに対し、エンジン回転数Neと基本噴
射量Tpに基づくマップ上では、基本噴射量Tpがエン
ジン1回転当りの「吸入空気量」に比例した値であるの
で、図16に示したようにマップ上の運転状態を示す点
は変化しない。従って、このような異なるパラメータに
基づいて算出される上記各補正量には差が生じてくるも
のである。
【0013】更に、他のエバポパージシステムを有する
エンジンの空燃比制御装置の課題として、パージ流量を
デュ−ティー比制御するパージ量制御手段がパージ量を
十分に管理できなくなる管理不能状態の発生がある。例
えば、エンジンの吸入空気量が大きな値となり、パージ
量をその吸入空気量に応じた所定の値として管理しよう
とする場合にその量がパージ量制御手段(例えば、パー
ジ制御弁)の最大流量を超えてしまう場合やデューティ
ー比制御の値が100%に近づいて所望のパージ量が確
保されないような場合が生じる。従来の装置では、この
ような状態における燃料噴射量の不良状態については、
その解消が図られていない。
【0014】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的はエバポパージシステムの作
動中における燃料噴射量のエバポ補正をより的確な制御
により行い、エバポパージ量に対する燃料噴射の補正量
をより正確に一致させることのできるエンジンの空燃比
制御装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1に係るエンジンの空燃比制御装置は、燃料タン
クで発生した蒸発燃料をキャニスタに蓄え、蓄えられた
蒸発燃料をエンジンの吸気通路にパージするエバポパー
ジシステムを有するエンジンの空燃比制御装置におい
て、前記パージする蒸発燃料のパージ流量を前記エンジ
ンの吸入空気量及び前記吸気通路内圧力である吸気管圧
力に基づいて設定されるデューティー値でデューティー
比制御するパージ量制御手段と、前記エンジンの運転状
態に応じてエンジンに供給すべき燃料の基本噴射量を設
定する基本噴射量設定手段と、前記エンジンの排気系に
設けられた空燃比センサからの空燃比検出信号に基づい
て前記エンジンに供給される混合気の空燃比をフィード
バック制御するための空燃比フィードバック補正係数を
算出する空燃比フィードバック制御手段と、前記エバポ
パージシステムの稼働中に前記空燃比フィードバック補
正係数の変化に基づき前記空燃比が所定限界値を超えて
エバポ過剰状態に達したと判断した後、前記空燃比フィ
ードバック補正係数が所定の設定値に復帰するまでの間
前記パージ量制御手段と同じく前記吸入空気量及び吸気
管圧力をパラメータとして燃料噴射量減量補正係数を算
出するエバポ補正手段と、前記基本噴射量と空燃比フィ
ードバック補正係数と燃料噴射量減量補正係数とに基づ
いて前記エンジンに供給される燃料噴射量を決定する燃
料噴射量制御手段と、を備えている。
【0016】請求項2に係るエンジンの空燃比制御装置
は、前記エバポ補正手段による燃料噴射量減量補正係数
の算出が、前記空燃比フィードバック補正係数に連動し
て変化するエバポ量補正係数に前記吸入空気量及び吸気
管圧力に基づいて設定されたエバポ運転領域補正係数を
乗算することにより行われる。
【0017】請求項3に係るエンジンの空燃比制御装置
は、前記エバポ補正手段による前記所定のエバポ過剰状
態の判断が、前記空燃比フィードバック補正係数の所定
時間毎の平均値に基づいて行われる。
【0018】請求項4に係るエンジンの空燃比制御装置
は、通常状態では前記空燃比フィードバック補正係数と
所定目標値とのずれを学習して学習値を更新し、前記エ
バポパージシステムの稼働中における前記空燃比フィー
ドバック補正係数の変化に基づき空燃比が所定限界値を
超えてリッチ化したエバポ過剰状態となったと判断した
ときに、前記空燃比フィードバック補正係数が所定の設
定値に復帰するまで前記学習した学習値の更新を停止す
る空燃比学習手段を有し、前記学習値の更新停止期間中
は、前記更新停止の直前の学習値から前記燃料噴射量減
量補正係数に基づく補正値を減算してこれを学習値とし
て前記燃料噴射量制御手段による燃料噴射量の決定が行
われる。
【0019】請求項5に係るエンジンの空燃比制御装置
は、燃料タンクで発生した蒸発燃料をキャニスタに蓄
え、蓄えられた蒸発燃料をエンジンの吸気通路にパージ
するエバポパージシステムを有するエンジンの空燃比制
御装置において、前記パージする蒸発燃料のパージ流量
を前記エンジンの吸入空気量及び前記吸気通路内圧力で
ある吸気管圧力に基づいて設定されるデューティー値で
デューティー比制御するパージ量制御手段と、前記エン
ジンの運転状態に応じてエンジンに供給すべき燃料の基
本噴射量を設定する基本噴射量設定手段と、前記エンジ
ンの排気系に設けられた空燃比センサからの空燃比検出
信号に基づいて前記エンジンに供給される混合気の空燃
比をフィードバック制御するための空燃比フィードバッ
ク補正係数を算出する空燃比フィードバック制御手段
と、前記エバポパージシステムの稼働中に前記吸入空気
量及び前記吸気管圧力に基づいて、前記パージ量制御手
段によるパージ量の制御ではパージ量の確保ができない
と判断したときに補完燃料噴射量を算出設定するエバポ
補正手段と、前記基本噴射量と空燃比フィードバック補
正係数と補完燃料噴射量とに基づいて前記エンジンに供
給される燃料噴射量を決定する燃料噴射量制御手段と、
を備えている。
【0020】上記各請求項に係る発明は以下の作用を有
する。
【0021】まず、請求項1に係るエンジンの空燃比制
御装置によれば、エバポパージシステムの稼動中に燃料
噴射量制御手段が燃料噴射量を適切に決定し制御できる
ようにするため、エバポ補正手段が設けられ、エバポ補
正手段ではエバポのパージ量を制御するパージ量制御手
段と同様のパラメータである吸入空気量及び吸気管圧力
によって燃料噴射量減量補正係数を算出する。この燃料
噴射量減量補正係数の算出は、エバポパージシステムの
稼働中に空燃比が所定の限界値を超えてエバポ過剰状態
と判断された後所定の非過剰状態に復帰するまでの間行
われる。このエバポ過剰状態と非過剰状態の判断は、空
燃比フィードバック補正係数の変化に基づいて行われ
る。
【0022】このようなエバポ補正手段による燃料噴射
量減量補正係数の算出により、エバポパージが開始さ
れ、パージ量が過剰に増大した時にパージ量の制御と同
様のパラメータを用いて燃料噴射量制御手段による燃料
噴射量の減量を行うことができる。これにより、パージ
量の増加に対しより正確に対応した燃料噴射量の減量補
正を行うことができ、空燃比の制御の精度をより高める
ことができる。
【0023】請求項2に係るエンジンの空燃比制御装置
によれば、上記エバポ補正手段による燃料噴射量減量補
正係数の算出が空燃比フィードバック補正係数に連動し
て変化するエバポ量補正係数と上記パージ量制御手段の
パラメータと同様の吸入空気量及び吸気管圧力に基づい
て設定されるエバポ運転領域補正係数を乗算して決定さ
れる。従って、エバポ濃度の変化に対応して設定される
エバポ補正係数とパージ流量の変化に対応して設定され
るエバポ運転領域補正係数というそれぞれ独立した係数
により燃料噴射量減量補正係数が算出されるので燃料噴
射量制御手段による制御性がより向上する。
【0024】なお、上記請求項1に係る発明と同じく燃
料噴射量減量補正係数の算出において、パージ量制御手
段と同様のパラメータである吸入空気量及び吸気管圧力
が用いられるので、エバポパージ量に的確に対応するエ
バポ補正を行うという作用も同様に奏する。
【0025】請求項3に係るエンジンの空燃比制御装置
によれば、上記エバポ補正手段により行われるエバポ過
剰状態の判断が、空燃比フィードバック補正係数の所定
時間毎の平均値の変化に基づいて行われるので、空燃比
フィードバック補正係数の瞬間的な変化によって不必要
な燃料噴射量の減量補正が行われることを防止すること
ができ、エバポ補正の良好かつ安定した制御が可能とな
っている。
【0026】請求項4に係るエンジンの空燃比制御装置
によれば、通常状態において空燃比フィードバック補正
係数と所定の目標値とのずれを学習しその学習値を順次
更新していく空燃比学習手段が設けられており、この空
燃比学習手段は、空燃比フィードバック補正係数がリッ
チ側への変化に対応すべく変化したことに基づき空燃比
が所定の限界値を超えてリッチ化したと判断した時にそ
の空燃比フィードバック補正係数が所定の設定値に復帰
するまで上記学習値の更新を停止する。
【0027】すなわち、通常のフィードバック制御に適
しない程度にエバポ量が増大した場合に、通常の学習手
段による学習値の更新を停止し、その停止期間中は更新
停止の直前の学習値から上記燃料噴射量減量補正係数に
基づく補正値を減算した値を学習値とし、燃料噴射量制
御手段は前記基本噴射量と空燃比フィードバック補正係
数と燃料噴射量減量補正係数とこの学習値に基づいて燃
料噴射量の決定を行っている。
【0028】これにより、通常状態では空燃比学習手段
により、各種運転状態に適合した良好な空燃比フィード
バック制御が行われ、エバポパージに基づくエバポ過剰
状態では燃料噴射量減量補正係数に基づく補正値を減算
した学習値、すなわちエバポ過剰状態により適合した学
習値により燃料噴射量の決定がなされる。これにより、
上記請求項1乃至3と同じく共通のパラメータを用いる
ことによる作用に加え、学習値を用いることにより種々
の運転状態に対してより機敏に対応した制御が達成され
る。
【0029】請求項5に係るエンジンの空燃比制御装置
によれば、エバポパージシステムの実行中において、パ
ージ量制御手段によるデューティー比制御ではパージ量
を十分に確保できない制御不能状態となった時にこれに
対応して燃料噴射量を調整することができる。例えば、
パージ量制御手段による制御は、エンジンの吸入空気量
が過大となった時やデューティ−比が100%に近づい
た時などには所望のパージ量を確保できなくなる場合が
あり、その場合にも吸入空気量及び吸気管圧力に基づい
て不足分を補完することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施例について詳細に説明する。
【0031】図1は、本発明に係るエンジンの空燃比制
御装置が適用されるエバポパージシステムを有するエン
ジン装置の概略全体構成が示されている。
【0032】図示のように、エンジン本体10へ供給さ
れる燃料を蓄える燃料タンク12には、発生したエバポ
を導くためのエバポ導管14が設けられ、エバポ導管1
4はキャニスタ16に連結されている。さらに、キャニ
スタ16にはエンジン本体10の吸気系側にエバポを流
すめたのエバポ送出管18が設けられ、このエバポ送出
管18はパージソレノイドバルブ20を介してエンジン
の空気吸気管22に連結されている。
【0033】空気吸気管22にはエアクリーナ24を介
して吸入された空気量を計測するエアフローメータ26
が設けられ、さらにエアフローメータ26の下流側には
スロットルバルブ28が設けられ、そのスロットルバル
ブ28とエンジン本体10との間で空気吸気管22内の
圧力を測定する圧力センサ30が設けられている。一
方、エンジン本体10の排気系側には、空燃比センサと
してのO2 センサ32が設けられている。
【0034】これらエンジン装置の動作制御を行うエン
ジンコントロールユニット(以下、単に「ECU」とい
う)34は、上記各センサからのデータを受けエンジン
装置に関する種々の制御を行う。すなわち、本実施例で
は、O2 センサ32からの空燃比検出信号、圧力センサ
30からの吸気管圧力Pb、エアフローメータ26から
の吸入空気量Q、更にクランク角センサ36からのエン
ジン回転数Neを示す信号を受信する。
【0035】また、このECU34からはパージソレノ
イドバルブ20及びインジェクタ40への制御信号が供
給され、これらの開閉制御及び燃料噴射量制御が行われ
ている。なお、図において16aはキャニスタ16に設
けられた空気取入れ口、38は排気通路に設けられた触
媒、40は燃料噴射用のインジェクタを示している。
【0036】図2は、本発明の実施例に係る空燃比制御
装置の全体構成を示すブロック図であり、図1に示した
構成と同様の要素には同一の符号を付している。
【0037】本実施例において特徴的なことは、エバポ
補正手段34aが設けられていることであり、このエバ
ポ補正手段34aはECU34内のCPUなどの要素に
よって構成されている。なお、図においてパージ量制御
手段34b、空燃比フィードバック制御手段34c、基
本噴射量設定手段34d及び燃料噴射量制御手段34e
についても同様にECU34によって構成される。
【0038】この制御装置の通常時における基本的な動
作は、パージ量制御については、パージ量制御手段34
bがエアフローメータ26及び圧力センサ30から吸入
空気量Q及び吸気管圧力Pbのデータを受け、このデー
タに基づいて所定のデューティー比によりパージソレノ
イドバルブ20をデューティー比制御することにより行
っている。
【0039】また、基本噴射量設定手段34dは、エン
ジンの運転状態に基づいて基本噴射量Tpを算出する。
これは、クランク角センサ36からのエンジン回転数N
eを示すデータ及びエアフローメータ26からの吸入空
気量Qを示すデータを受け、これに基づいて基本噴射量
Tpの算出を行っている(Tp=k×Q/N)。
【0040】そして、燃料噴射量制御手段34eは上記
基本噴射量Tpに基づいて燃料噴射量を決定しインジェ
クタ40の制御を行うが、さらにO2 センサ32からの
空燃比データに基づき空燃比フィードバック制御手段3
4cで算出された空燃比フィードバック補正係数LMD
を考慮し、より的確な燃料噴射量Tiの設定を行ってい
る。
【0041】更に、本実施例では、エバポ補正手段34
aからのエバポ補正係数KEVによる補正を行い、エバ
ポパージシステムにより、エバポのパージが行われてい
る状況で、かつ所定の補正の必要な状況となった時に上
記エバポ補正係数KEVを考慮して燃料噴射量Tiを設
定することにより、エバポパージに基づく空燃比制御の
不良状態を解消するようにしている。
【0042】そして、上記エバポ補正手段34aにおけ
る燃料噴射量を修正するためのエバポ補正係数KEV
は、エアフローメータ26からの吸入空気量Qについて
のデータ及び圧力センサ30からの吸気管圧力Pbにつ
いてのデータにより算出される。これらのデータは、パ
ージ量制御手段34bのパージソレノイドバルブ20の
制御に用いられるパラメータと同様のものである。従っ
て、エバポのパージ流量に的確に対応して燃料噴射量の
制御を行うことが可能となっている。
【0043】次に、図3は、上記図2に示した空燃比制
御装置に学習手段を加えた構成例を示している。図2に
示した構成要素と同様の要素には同一の符号を付しその
説明を省略する。
【0044】本実施例における空燃比学習手段40は、
通常時、すなわちエバポパージシステムが作動していな
い状態あるいは作動中においてエバポのパージ流量の管
理可能な領域やパージ量が過剰状態になっていない状態
の時に空燃比フィードバック制御手段34cからの空燃
比フィードバック補正係数LMD(所定時間毎の平均値
の場合ALMD)と所定の目標値との比較を行いその差
を学習し、常時更新している。そして、その学習値KB
Lが燃料噴射量制御手段34eに送られ燃料噴射量TI
の設定に用いられ、これにより運転状態の種々の変化に
的確に対応した良好な空燃比制御を行うようにしてい
る。
【0045】なお、図4及び図5は、上記パージ制御手
段34bによるパージソレノイドバルブ20のデューテ
ィー比制御に用いられるパージデューティー比マップ及
びパージデューティー比とパージ流量との関係を示すグ
ラフがそれぞれ示されている。
【0046】図示のように、パージ量制御手段34bは
図4のパージデューティー比マップに基づき、すなわち
吸気管圧力Pbと吸入空気量Qに基づいて決定されるデ
ューティー比によりパージソレノイドバルブ20を制御
している。また、そのパージ流量(l/min)は、パ
ージデューティー比の上昇に伴い100%に近い状態と
なるまで直線的に上昇する。
【0047】次に、図6は、エバポ補正手段34aのエ
バポ補正係数算出動作並びに学習手段を有する空燃比制
御装置の基本的動作のフローチャートを示している。
【0048】図示のように、まずステップ(以下、単に
「S」と言う)101において学習値演算開始の指示が
行われる。
【0049】そして、S102において空燃比フィード
バック補正係数LMDと所定の目標値との差が予め設定
した設定値を超えているか否かの判断がなされる。ここ
で、超えていない場合(YESの場合)、S103で通
常の学習値の更新が行われる。すなわち上記のような空
燃比フィードバック補正係数LMDと設定した目標値と
の差についてのデータが更新されていく。
【0050】S102において空燃比フィードバック補
正係数LMDと目標値との差が設定値を超えたと判断さ
れた場合(NOの場合)、S104において通常の学習
値更新停止の指示がなされる。
【0051】そして、S105でエバポ補正手段34a
に対しエバポ補正開始の指示がなされる。
【0052】ここで、S106及びS107において、
エバポ補正係数KEVを算出するために必要なエバポ量
補正係数KKEVの算出及びエバポ運転領域補正係数
(MKEV)の算出動作が行われる(S106及びS1
07)。エバポ量補正係数KKEVは、空燃比フィード
バック補正係数LMDに連動して変化する係数であり、
すなわちエバポ濃度の変化に対応する係数である。
【0053】そして、エバポ運転領域補正係数MKEV
は、エアフローメータ36からの吸入空気量Qと圧力セ
ンサ30からの吸気管圧力Pbをパラメータとする係数
であり、この点においてパージ量制御手段34bが用い
るパラメータと同様である。図7は、このエバポ運転領
域補正係数MKEVを設定するためのMKEVマップを
示している。図示のように、吸気管圧力Pbと吸入空気
量Qに基づいて設定される係数が用いられる。
【0054】次に、S108において、エバポ補正係数
KEVの算出が行われる。すなわち、エバポ量補正係数
KKEVとエバポ運転領域補正係数MKEVを乗算す
る。こうしてエバポ補正係数KEVの算出が終了し、燃
料噴射量制御手段34eにその係数が入力される(S1
09)。
【0055】次に、エバポ補正手段34aにおいて、エ
バポパージシステムの稼働中において、エバポ量が増大
し、空燃比のリッチ化が進み所定の限界値を超えた場
合、すなわちエバポ過剰状態となった場合において行わ
れるエバポ補正係数算出動作についてさらに具体的に説
明する。
【0056】図8は、上記エバポ補正手段34aによる
制御動作時における各要素の動作状況を示すタイムチャ
ートであり、同図(A)は吸入系に供給されるエバポ量
の変化、同図(B)はパージソレノイドバルブ20のO
N、OFF動作状態、同図(C)は空燃比フィードバッ
ク補正係数の平均値ALMDの変化、同図(D)はエバ
ポ補正係数KKEVの変化、同図(E)は学習値KBL
の変化をそれぞれ共通の時間軸を用いて示している。図
9は、エバポ補正手段34aにおけるエバポ補正係数K
EVの算出ルーチンを示しており、以下に図8を参照し
つつその動作について説明する。
【0057】まず、S201において空燃比フィードバ
ック補正係数の所定時間毎の平均値ALMDの読込みが
行われる。このように平均値ALMDを読み込むことに
より、空燃比フィードバック補正係数LMDの瞬間的な
変動に伴って不必要なエバポ制御がなされることが防止
される。
【0058】次に、S202においてエバポパージシス
テムが稼働され、更にエバポ過剰状態となってエバポ補
正が行われているか否か、すなわちエバポ補正実行フラ
グFが1となっているか否かの判断がなされる。ここ
で、初回のルーチンでは、まだフラグがF=1(エバポ
補正実行状態)となっていないので、NOと判断され、
S203へ進む。
【0059】ここで、空燃比フィードバック補正係数の
平均値ALMDが所定の限界値ALMD0以下であるか
否かが判断される。これは、図8(C)に示したように
空燃比フィードバック補正係数の平均値ALMDが徐々
にリッチ化を示す状況に変動し(図8上では下降する方
向に変動)、これ以上リッチ化が進むことにより通常の
空燃比フィードバック制御では良好な制御を行うことが
できないという限界の値ALMD0(上記エバポ過剰状
態)に達したか否かが判断される。すなわち、図8
(C)において破線で示したbに達したか否かが判断さ
れる。ここで、NOと判断された場合、特にエバポ補正
を行わなければならない状態にないと判断されリターン
される。
【0060】一方、ここでYESと判断された場合、す
なわちリッチ側の限界値を超えたと判断された場合、S
204においてフラグF=1とセットされ、これに応
じ、S205においてエバポ量補正係数KKEVの算出
が行われる。この場合、最初のエバポ量補正係数KKE
Vは、その前回の値KKEVoldが0であるので(図
8(D)参照)、KKEV=KKEVold+αは、K
KEV=αとなる。ここで最初のαは、大幅なリッチ状
態を抜け出す必要があるので、大きな値とされる。
【0061】そして、S206において、算出されたエ
バポ量補正係数KKEVとエバポ運転領域補正係数MK
EVを乗算してエバポ補正係数KEVが算出される。エ
バポ運転領域補正係数MKEVは、上述のようにパージ
量制御手段34bと同様のパラメータである吸入空気量
Q及び吸気管圧力Pbに基づいて上述の図7に基づいて
決定される。そして、燃料噴射量制御手段34eでは、
このエバポ補正係数KEVを考慮し、すなわち基本噴射
量Tp、空燃比フィードバック補正係数LMD、学習値
KBLに加えて減量補正値であるエバポ補正係数KEV
を乗算することにより最終的な燃料噴射量Tiが決定さ
れる。
【0062】更に、再びSTARTに戻り、S201、
さらにS202の動作がなされ、ここでは、フラグF=
1となっているので(YES)、S207に進み、読み
込まれた空燃比フィードバック補正係数の平均値ALM
Dがエバポ過剰状態の限界を示すALMD0よりややリ
ッチ状態が緩和された状態にある値ALMD1(破線
C)を越えたか否かが判定される。ここで、越えていな
い(YES)と判断された場合、すなわちややリーン寄
りの値ALMD1に達していないと判断された場合、再
びS205に進み上記と同様のルーチンが行われる。
【0063】一方、ここで値ALMD1を超えた場合
(NOの場合)、S208において、さらにリッチ状態
が緩和された値ALMD2(図においては上昇した破線
d)を越えたか否かが判断される。ここで越えていない
と判断された場合(YESの場合)、S209に進み、
エバポ量補正係数KKEVの算出が行われる。ここで
は、KKEV=KKEVold+βの式で算出され、従
って、前回のS205において、KKEV=αとされて
いるので、KKEVoldは現在αとなっており、α+
βがKKEVとなる。そして、前回と同様にS206に
戻り、エバポ補正係数KEVの値が算出され同様の動作
が繰り返される。
【0064】上記S208において、越えたと判断され
た場合、すなわち空燃比フィードバック補正係数ALM
Dがよりリーン寄りに進んで値ALMD2(破線d)を
越えたと判断された場合(NOの場合)、S210にお
いてさらにリーン寄りの値ALMD3(破線e)を越え
たか否かが判断される。ここで、越えていない場合(Y
ESの場合(一旦超えて再びリッチ寄りに移った場合で
ある図上破線fからgの間の状態も含む))、S211
に進む。ここでは、空燃比フィードバック補正係数の平
均値ALMDの値が徐々にリッチ化状態からリーン方向
へ進んでいる傾向にあるので、エバポ量補正係数KKE
Vとしては前回と同様の値でS206へ進む。
【0065】一方、S210において空燃比フィードバ
ック補正係数の平均値ALMDが、更にリーン寄りの値
ALMD3(破線e)を越えたと判断された場合(NO
の場合)、S212に進み、更にリーン寄りの値である
ALMD4(破線h)を超えたか否かが判断される。こ
こで、越えていないと判断された場合(YESの場
合)、S213に進み、エバポ量補正係数KKEVの値
として前回の値KKEVoldからγを減算した値が算
出される。これは、空燃比の適正値への移行が着実に進
んでおり、値ALMD3を超えた状態まできているの
で、エバポ量補正係数KKEVを徐々に減少させても十
分にエバポ補正が可能であると判断されているものであ
る。
【0066】そして、S212において、値ALMD4
を超えたと判断された場合(NOの場合)、S214に
おいて、エバポ量補正係数KKEVの値をS213にお
けるγよりも大きなδ分だけ減算して算出する。
【0067】そして、S215において、エバポ補正を
終了して良い段階のエバポ量補正係数KKEVfnに達
したか否かが判断され、達していない場合には、S20
6に進み再度エバポ補正がなされる。そして、達したと
判断された場合(YESの場合)、S216でフラグF
=1がリセットされる。
【0068】以上のようにエバポパージシステム稼働中
において、空燃比フィードバック補正係数の平均値AL
MDが所定の限界状態を超えてリッチ化を示す値となっ
てから所定の目標値に近い状態に戻るまでの間のエバポ
補正手段34aの動作が行われている。そして、そこで
用いられるエバポ補正係数KEVによる補正は、逐次空
燃比状態を検知しながらなされ、かつ補正値の算出には
パージ量制御に用いられるのと同様のパラメータが用い
られるので、実際のパージ量の変化に対応した正確な空
燃比制御が達成されている。
【0069】なお、図8(E)に示されたように、空燃
比学習手段40では、エバポパージ開始点である破線a
からエバポ補正開始点破線bまでは、通常の学習値更新
が行われ、エバポ補正開始点bになった時の学習値KB
L0でその更新を停止する。そして、エバポ補正が終了
するまでの間tbからtiまでの間は、学習値KBLと
して更新停止の直前の学習値KBL0から上記エバポ補
正係数KEVを減算した値が学習値として算出されてい
る。
【0070】図10は、この学習値算出ルーチンを示し
ている。図示されているように、まず、S301におい
て空燃比フィードバック補正係数の所定時間毎の平均値
ALMDの読み込みが行われ、S302においてフラグ
F=1か否かの判断がなされ、NOの場合、S304に
おいて通常の学習値の設定更新が継続される。
【0071】一方、S302においてエバポ補正が開始
されていると判断された場合(YESの場合)、S30
3において学習値KBLは学習値の更新停止の直前の学
習値KBL0からエバポ補正係数KEVを減算した値と
して算出される。
【0072】このようにエバポ補正の間は、通常の空燃
比フィードバック補正状態ではないので、学習値の更新
は行われないが、このようなエバポ補正時における学習
値算出はなされており、この値はエバポ補正中に学習値
として用いられ、運転状態により適合した燃料噴射量の
制御に貢献している。
【0073】次に図11は、エバポ補正手段34aにお
ける他のエバポ補正方式を示している。図上(A)〜
(E)までのタイムチャートは、図8のタイムチャート
と同様の要素の変化状態を示している。
【0074】図8及び図9の動作と異なる点は、空燃比
フィードバック補正係数は、その平均値ではなく実際の
値LMDが用いられ所定の目標値との比較が行われてい
る点である。
【0075】以下、図12に基づいて図11のタイムチ
ャートに示した実施例のエバポ補正係数算出ルーチンに
ついて説明する。なお、図9の動作と同様の動作につい
てはその詳細な説明を省略する。
【0076】まず、空燃比フィードバック補正係数LM
Dの読込み動作がなされ(S401)、S402におい
てフラグF=1であるか否かの判断がなされる。
【0077】ここでエバポ補正が非動作状態である場合
(NOの場合)、S403においてLMDがエバポ過剰
状態の限界値LMD0に達したか否かが判断される。達
していない場合(NOの場合)、またエバポ補正の必要
のない通常の空燃比フィードバック制御で足りる状況と
判断されてリターンされる。
【0078】一方、ここで限界値LMD0に達したと判
断された場合(YESの場合)、フラグF=1のセット
がなされ(S404)、S405においてエバポ量補正
係数KKEVの算出が行われる。ここで、本実施例で
は、上記図9の実施例と異なり学習値KBLに対するエ
バポ補正係数による補正が行われない(同図(E)参
照)のでKKEVoldの値は1.0を起点として開始
することとしている。従って、KKEVold−αとし
てエバポ量補正係数KKEVの算出がなされる。
【0079】そして、図9の場合と同様にS406にお
いてエバポ補正係数KEVの算出がエバポ運転領域補正
係数MKEVを考慮して行われる。そして、再度STA
RTに戻り、S402の判断がなされ、ここではフラグ
F=1(YES)となっているので、S407に進み、
S401で読み込まれた空燃比フィードバック補正係数
LMDが1回目のエバポ補正によりややリーン寄りに上
昇した値LMD1を超えたか否かが判断される。超えて
いない場合、すなわちYESの場合、再びS405に戻
り、上記同様のエバポ補正動作が行われる。そして、L
MD1を超えたと判断された場合(NOの場合)、S4
08においてさらにリーン寄りの値であるLMD2を超
えたか否かが判断される。超えていない場合(YESの
場合)、S409において前回と同様のエバポ量補正係
数KKEVにてエバポ補正が行われる。これは、1回目
のエバポ補正でLMD1を超えた状態まで戻っているの
で、同様のエバポ量補正係数KKEVにて再度補正を行
うものである。
【0080】S408において、空燃比フィードバック
補正係数LMDが、値LMD2を超えた場合(NOの場
合)、S410でエバポ量補正係数KKEVは、前回の
値KKEVoldにβを加算し、より1に近い値とされ
る。
【0081】そして、S411にてエバポ補正を終了し
て良いか否かの判断がなされる。すなわち、KKEVの
基準が1.0となっているので、KKEV≧1.0−K
KEVfnの判断がなされ、NOの場合には、再度S4
06に進みエバポ補正が行われる。そして、YESの場
合には、S412においてフラグF=1がリセットされ
終了する。
【0082】なお、図13は、この実施例における学習
値KBLの算出ルーチンが示されている。
【0083】図示のように、まず、S501において、
空燃比フィードバック係数LMDの読込みが行われ、S
502においてフラグF=1か否かの判断がなされる。
ここで、NOと判断された場合、すなわちエバポ補正非
動作状態の場合、S504において通常の学習値KBL
の算出並びに更新動作が継続される。
【0084】一方、S502においてフラグF=1がY
ESと判断された場合、すなわちエバポ補正が開始され
ていると判断された場合、S503において学習値KB
Lの値がKBL0に設定されその値のままエバポ補正が
行われる。
【0085】図14は、さらに他の実施例を含んだ燃料
噴射量Tiの補正ルーチンを示している。全体構成とし
ては、図3に示したような構成が用いられる。本実施例
におけるエバポ補正手段34aの動作は、エバポパージ
システムの実行中において、パージ量制御手段34bに
よるデューティー比制御ではパージ量を管理できない状
態となった時にこれに対応して燃料噴射量Tiを調整す
る動作である。すなわち、パージ量制御手段34bによ
る制御不能状態で生じるパージ量の不足を補充するもの
である。
【0086】この実施例におけるエバポ補正手段34a
の動作は、S601に示したようにエバポパージシステ
ムの実行中であることが前提とされ、この状態でS60
2においてエアフローメータ26からのデータに基づき
吸入空気量Qが検出される。次に、S603において圧
力センサ30からのデータに基づき吸気管圧力Pbが検
出される。
【0087】次に、S604において上記各データに基
づきパージ量制御手段34bによるパージソレノイドバ
ルブ20のデューティー比制御では的確なパージ流量を
確保できない状態であるかどうかが判断される。すなわ
ち、パージ流量管理不能領域であるか否かが判断され、
管理可能な領域であると判断された場合(NOの場
合)、S605において、通常の学習値KBLを用いた
燃料噴射量TIの算出が行われる。
【0088】一方、管理不能領域であると判断された場
合(YESの場合)、S606において通常の燃料噴射
量Tiの算出値に対し補完噴射量ΔTpが加算される。
【0089】すなわち、パージ流量の管理が不能状態と
なり、所望のデューティー比で制御したとしても十分な
パージ量が確保されていないと判断されたことに基づ
き、これを補完するための補完燃料噴射量ΔTpを加え
るものである。このΔTpの算出においても、吸入空気
量Q及び吸気管圧力Pbを用いて算出することが可能で
あり、例えば上記実施例のエバポ補正係数KEVの算出
条件と同様にエバポ量補正係数KKEV×エバポ運転領
域補正係数MKEVによる補正係数に基づいてΔTpを
算出することも可能である。従って、本実施例において
も、パージ量制御手段34bの用いるパラメータと同様
のパラメータにより補充すべき燃料噴射量Tiの算出を
行うことができるので、パージ量制御に的確に対応した
燃料噴射量制御が可能となる。
【0090】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るエン
ジンの空燃比制御装置によれば、エバポパージシステム
を有するエンジンにおいて、このパージ実行中にエバポ
量の変動によって生じる空燃比フィードバック制御の不
安定化を的確に解消することができる。すなわち、エバ
ポに起因する空燃比制御状態の不良化を防止するための
補正値をエバポ量を制御するためのエバポパージ制御手
段が用いるパラメータである吸入空気量及び吸気管圧力
をパラメータとして算出設定することにより、エバポパ
ージ状態に的確に対応した補正が可能となり、エバポパ
ージシステムを供えたエンジンの空燃比制御の信頼性が
より向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の適用されるエバポパージシス
テムを備えるエンジン装置の全体構成を示す概略説明図
である。
【図2】本発明の実施例の全体構成を示すブロック図で
ある。
【図3】本発明の他の実施例の全体構成を示すブロック
図である。
【図4】パージ量制御手段の用いるパージデューティー
比マップの説明図である。
【図5】パージ量制御手段のパージデューティー比に基
づくパージ流量の変化状態説明図である。
【図6】図3に示した実施例装置の基本動作を示すフロ
ーチャート図である。
【図7】エバポ補正手段の補正係数算出に用いられるマ
ップの説明図である。
【図8】実施例の動作中における各要素の動作状態の変
化を示すタイムチャート図である。
【図9】実施例におけるエバポ補正係数算出ルーチンを
示すフローチャート図である。
【図10】実施例における学習値設定の動作を示すフロ
ーチャート図である。
【図11】他の実施例における各要素の動作状態変化を
示すタイムチャート図である。
【図12】図11に示したタイムチャート図に対応する
動作を示すフローチャート図である。
【図13】図10に対応する学習値の算出動作を示すフ
ローチャート図である。
【図14】燃料噴射量の算出動作を示すフローチャート
図である。
【図15】 吸入空気量と吸気管圧力のマップ上での大気
圧の変化に対応したエンジン運転状態のシフト状態説明
図である。
【図16】 基本噴射量とエンジン回転数のマップ上での
図15と同様の変化状態におけるエンジン運転状態を示
す説明図である。
【符号の説明】
10 エンジン本体 12 燃料タンク 20 パージソレノイドバルブ 26 エアーフローメータ 30 圧力センサ 34 ECU

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料タンクで発生した蒸発燃料をキャニ
    スタに蓄え、蓄えられた蒸発燃料をエンジンの吸気通路
    にパージするエバポパージシステムを有するエンジンの
    空燃比制御装置において、 前記パージする蒸発燃料のパージ流量を前記エンジンの
    吸入空気量及び前記吸気通路内圧力である吸気管圧力に
    基づいて設定されるデューティー値でデューティー比制
    御するパージ量制御手段と、 前記エンジンの運転状態に応じてエンジンに供給すべき
    燃料の基本噴射量を設定する基本噴射量設定手段と、 前記エンジンの排気系に設けられた空燃比センサからの
    空燃比検出信号に基づいて前記エンジンに供給される混
    合気の空燃比をフィードバック制御するための空燃比フ
    ィードバック補正係数を算出する空燃比フィードバック
    制御手段と、 前記エバポパージシステムの稼働中に前記空燃比フィー
    ドバック補正係数の変化に基づき前記空燃比が所定限界
    値を超えてエバポ過剰状態に達したと判断した後、前記
    空燃比フィードバック補正係数が所定の設定値に復帰す
    るまでの間前記パージ量制御手段と同じく前記吸入空気
    量及び吸気管圧力をパラメータとして燃料噴射量減量補
    正係数を算出するエバポ補正手段と、 前記基本噴射量と空燃比フィードバック補正係数と燃料
    噴射量減量補正係数とに基づいて前記エンジンに供給さ
    れる燃料噴射量を決定する燃料噴射量制御手段と、を備
    えたことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  2. 【請求項2】 前記エバポ補正手段による燃料噴射量減
    量補正係数の算出は、 前記空燃比フィードバック補正係数に連動して変化する
    エバポ量補正係数に前記吸入空気量及び吸気管圧力に基
    づいて設定されたエバポ運転領域補正係数を乗算するこ
    とにより行うことを特徴とする請求項1に記載のエンジ
    ンの空燃比制御装置。
  3. 【請求項3】 前記エバポ補正手段による前記所定のエ
    バポ過剰状態の判断は、前記空燃比フィードバック補正
    係数の所定時間毎の平均値に基づいて行うことを特徴と
    する請求項1または2に記載のエンジンの空燃比制御装
    置。
  4. 【請求項4】 通常状態では前記空燃比フィードバック
    補正係数と所定目標値とのずれを学習して学習値を更新
    し、前記エバポパージシステムの稼働中における前記空
    燃比フィードバック補正係数の変化に基づき空燃比が所
    定限界値を超えてリッチ化したエバポ過剰状態となった
    と判断したときに、前記空燃比フィードバック補正係数
    が所定の設定値に復帰するまで前記学習した学習値の更
    新を停止する空燃比学習手段を有し、 前記学習値の更新停止期間中は、前記更新停止の直前の
    学習値から前記燃料噴射量減量補正係数に基づく補正値
    を減算してこれを学習値として前記燃料噴射量制御手段
    による燃料噴射量の決定が行われることを特徴とする請
    求項1〜3に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  5. 【請求項5】 燃料タンクで発生した蒸発燃料をキャニ
    スタに蓄え、蓄えられた蒸発燃料をエンジンの吸気通路
    にパージするエバポパージシステムを有するエンジンの
    空燃比制御装置において、 前記パージする蒸発燃料のパージ流量を前記エンジンの
    吸入空気量及び前記吸気通路内圧力である吸気管圧力に
    基づいて設定されるデューティー値でデューティー比制
    御するパージ量制御手段と、 前記エンジンの運転状態に応じてエンジンに供給すべき
    燃料の基本噴射量を設定する基本噴射量設定手段と、 前記エンジンの排気系に設けられた空燃比センサからの
    空燃比検出信号に基づいて前記エンジンに供給される混
    合気の空燃比をフィードバック制御するための空燃比フ
    ィードバック補正係数を算出する空燃比フィードバック
    制御手段と、 前記エバポパージシステムの稼働中に前記吸入空気量及
    び吸気管圧力に基づいて、前記パージ量制御手段による
    パージ量の制御ではパージ量の確保ができないと判断し
    たときに補完燃料噴射量を算出設定するエバポ補正手段
    と、 前記基本噴射量と空燃比フィードバック補正係数と補完
    燃料噴射量とに基づいて前記エンジンに供給される燃料
    噴射量を決定する燃料噴射量制御手段と、を備えたこと
    を特徴とする請求項1に記載のエンジンの空燃比制御装
    置。
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