JP3314603B2 - 遠心力載荷試験装置 - Google Patents

遠心力載荷試験装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は遠心力載荷試験装置
にかかわり、さらに詳しくは地盤上に建築物を建てた縮
尺モデルにおける地盤の強度を試験するための遠心力載
荷試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】地盤上に建築物を建てた縮尺モデルにお
ける地盤の強度を試験する際、通常の重力場で試験を行
うと自重による応力を再現することは実際上困難であ
る。遠心力載荷試験装置は、回転腕の先端に供試体であ
る地盤等の縮尺モデルを入れた材料容器を吊り下げ、回
転腕を高速で回転させることにより、供試体に遠心加速
度を与えて縮尺モデルに大きな加速度を加え、1/Nの
縮尺モデルに対してN倍の重力加速度を与えて試験を行
うためのものである。
【0003】なお、この種の遠心力載荷試験装置として
関連するものには、実公昭61−46439号、特公平
4−54170号および特開平4−13946号公報等
があげられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の遠心力載荷試験
装置は、回転腕のピン支点に支持され吊り下げられた揺
動架台に試料容器が載せられ、駆動機によりベベル変速
機および回転軸を介して回転腕を回転させると、ピン支
点を支点として試料容器を搭載した揺動架台が振り上が
り、試料容器に遠心か速度が加わる構造になっている。
【0005】図3は、試料容器9に作用する遠心加速度
の分布を示すもので、等しい遠心加速度が加わる点は回
転軸を中心とする円弧で表される。従って、試料容器9
の中の試料に試料容器9の底面に限り無く平行に近い状
態で遠心加速度を加えることが理想的であり、そのため
には、回転半径rを大きくする必要がある。
【0006】その結果、回転腕の回転半径を大きく長大
化する必要があるが、回転腕の回転半径を大きく長大化
すると空気との摩擦抵抗力も増加して動力損も大きくこ
とに関して配慮されていなかった。
【0007】本発明の目的は、回転腕の回転につれてつ
れ回る空気と遠心力載荷試験装置を設置するためのピッ
トの壁面との摩擦抵抗力を小さくすることによって動力
損を少なくし、駆動機の必要動力の増大を抑えて回転腕
の長大化を容易にすることができる遠心力載荷試験装置
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、垂直な回転
軸に水平方向に固定された回転腕と、この回転腕の先端
に回転腕の方向に回動自在に吊り支持され供試体を載荷
するための揺動架台と、前記回転軸を回転駆動する駆動
機とを備える遠心力載荷試験装置において、前記回転腕
の回転数が上昇して揺動架台がせり上がるにともない、
前記回転腕が所定の回転数に到達するまで、前記下部円
板と下部円板とで形成する空間をせり上がり前より狭く
することによって、達成される。
【0009】更に上記目的は、回転腕の回転数が上昇し
て揺動架台がせり上がるにともない、前記回転腕が所定
の回転数に到達するまで前記回転腕と上部円板及び回転
腕と下部円板とが形成する空間をせり上がり前より狭く
するために、前記回転腕を上方から覆う上部円板を回転
腕の上方に設け、前記回転腕を下方から覆う下部円板を
回転腕の下方に設け、この下部円板の下方に床板を設置
して下部円板と床板との間に流体を入れる袋を介在さ
せ、この袋に流体供給源を接続して袋に流体を供給し、
膨張させて下部円板を上昇させる、ことによって達成さ
れる。
【0010】上記構成において、試料容器に加わる遠心
加速度が同じ場合、回転腕の長さが大きくなると回転腕
の角回転速度は小さくできるが、他方ピットの半径が大
きくなるためピットと壁面との摩擦抵抗力が増大する
が、回転腕のピットの側面における摩擦抵抗力Dfは、 Df=Cf1・ρ/2・V2・F ここで、V :速度 F :表面積 ρ :流体の密度 Cf1:摩擦抵抗係数 F=L・B ここで、L:流れ方向の長さ(=2πR,R:ピットの
半径) B:ピットの深さ V=ra・ω で表され、Dfはピット側面の表面積に比例する。した
がって、このピットの深さ(垂直方向の長さを)小さく
することにより、摩擦抵抗力を小さくできる。
【0011】すなわち、回転腕が回転して揺動架台が振
り上った状態において回転腕下方向に形成される広い空
間を狭くすることにより摩擦抵抗力を小さくすることに
よって、駆動機の必要動力の増大を抑える。
【0012】
【発明の実施の形態】図1および図2は遠心力載荷試験
装置の実施例の側面図であって、図1は回転腕が停止の
試験前の状態、図2は回転腕が所定の回転数に到達して
所望の遠心加速度を地盤に付加している状態を示す。
【0013】図において、駆動機1は後述するピットの
床面に設置されベベル変速機2に軸3を介して連結され
ている。同様にベベル変速機2はピットの床面に設置さ
れており、回転軸4の一端がこのベベル変速機2にベベ
ル変速機2とともに回転するように強固に連結され、回
転軸4の他端はピットの上部構造物に取り付けられた軸
受5に固定支持されて所定の回転が可能になっている。
6は型材、板材などを溶接加工して造られた回転腕であ
って、前記回転軸4の回転にともなって回転するように
回転軸4に強固に取り付けられ、回転軸4から回転駆動
力が伝達されるようになっている。揺動架台7はピン支
点8を介して前記回転腕6の回転にともなって回転腕6
に対し矢印方向にせり上がりもしくは下降ができるよう
に揺動自在に取り付けられている。バランスウエイト
B.Wは図示左方の揺動架台7に対し前記回転軸4とほ
ぼ当距離の右方の対称な位置に取り付けられ、回転腕6
の回転時に揺動架台7および後述する試料容器の荷重と
等価の荷重を有し、揺動架台7及び試料容器の荷重とバ
ランスをとるためのものである。
【0014】9は試料容器であって、試験される供試体
たとえば地盤上に建築物を建てた縮尺モデルを入れる容
器であって、試験中に図示しない水供給装置から水の供
給を受けて地盤の軟弱度を調整できるようになってい
る。10は遠心力載荷試験装置を設置するための地下に
構築されたピットであり、その側面10aは前記回転腕
6の端部に回転時に接触しないように前記回転腕6の端
部と間隙を形成して造られている。10bはピット10
上に取り付けた蓋であり、試験中には危険防止上、蓋を
しておくためのものである。なお、蓋10bはピット1
0と一体構造にし、ピット10への試験者の出入り口は
ピット10の上面もしくは側面に設ける構造であっても
よい。
【0015】ピット10には前記回転腕6の上方には回
転腕6の回転中に接触しない程度の間隙を形成して上部
円板11aが設けられている。また回転腕6の下方には
下部円板11bが設けられ、この下部円板11bはサ−
ボジャッキ12の伸縮によって上下移動することができ
るようになっており、回転腕6の回転数が上昇して揺動
架台7が水平にせり上がるにともなって、回転腕6との
間にできる空間を広くもしくは狭く調整するためのもの
である。
【0016】次に、上記構成の試験装置の作用について
説明する。
【0017】駆動機1を回転駆動(概ね160回/分程
度)するとこの回転駆動力はベベル軸3及び変速機2を
介して回転軸4に伝達され、回転軸4の回転にともなっ
て回転腕6が回転する。揺動架台7上に強固に固定され
た試料容器9は、回転腕6が回転して揺動架台7に遠心
力が加わると、ピン支点8を中心として回転腕6の回転
数の上昇に比例して上昇し(水平に振れ上る)、試料容
器9の地盤に円周方向の遠心加速度が加えられる。この
とき、遠心力載荷試験装置を設置してあるピット10の
中の空気は、図4に示すように回転腕6の回転につれて
つれ回り、ピット10の側面10aと上部円板11aお
よび下部円板11bとによって回転腕6に対して摩擦抵
抗(=風損抵抗)力として作用する。
【0018】下部円板11bは、上述するように下方か
ら複数のサーボジャッキ12で支えられており、回転腕
6が所定の回転数に到達するまで回転腕6の回転数の上
昇にともない、図示しない制御装置によって回転腕6の
下方空間が狭くなるように、サーボジャッキ12によっ
て徐徐に上昇(せり上がる)するようになっている。こ
の下部円板11bは試験時に試料容器9を取り付ける際
の試験者の重量に耐えるように造られている。また、所
要の試験が終了し回転腕6がその回転数を下げると、こ
れにともなって揺動架台7も下方に徐徐に矢印で示すよ
うに下がり、下部円板11bも揺動架台7と接触しない
ようにサーボジャッキ12によって下方へ下げられる。
【0019】次に、摩擦抵抗力を小さくし、駆動機1の
必要動力の増大を抑えることができる理由を詳細に説明
する。
【0020】試料容器9に加わる遠心加速度αは、回転
腕の長さraと回転数Nとから次のように表わされる。
【0021】 α=ra・ω2 ……………………(1) ここで、 ω=N×2π/60 ……………………(2) 回転腕6を回転数Nで回転させるには、駆動機1が風損
抵抗以上の動力を有する必要がある。一般に、回転腕6
は円筒状のピット内に設置されるので、ピット10は回
転腕6に比べてそれ程大きくない。このため、風損抵抗
は、図4に示すように回転腕6の回転につれてつれ回る
空気とピット10の壁面10aとの摩擦抵抗力としてモ
デル化することができる。
【0022】この場合、摩擦抵抗力は、ピット10の側
面10aと上部円板11a部および下部円板11b部と
で発生し、次のように表される。
【0023】(1)側面10aでの摩擦抵抗力:Dff=Cf1・ρ/2・V2・F ……………………(3) ここで、V :速度 F :表面積 ρ :流体の密度 Cf1:摩擦抵抗係数 F=L・B ……………………(4) ここで、L:流れ方向の長さ(=2πR,R:ピット1
0の半径) B:ピット10の深さ V=ra・ω ……………………(5) (2)上部または下部円板11a、11bの片面のうけ
る抵抗トルク:M22=1/2ρω25(0.6Cf2) ……………(6) 従って、駆動機1の必要動力:Pmは、 Pm≫P1+P2 ……………(7) ここで、 P1=R・Df・N・1/974 P2=2・M2・N・1/974 上述するように、試料容器9が長大化すると中の試料に
加わる遠心加速度を試料容器9の底面に平行に近づけ、
限り無く均一化するためには、回転腕6の長さraを大
きくする必要がある。このため、遠心力載荷試験装置を
設置するピット10の半径Rが大きくなり、(3),
(4),(6)および(7)式から、駆動機1の必要動力
mが増大するが、(3)式で示されるピットの側面1
0aでの摩擦抵抗力Dfは、表面積Fに比例しており、
従って、(4)式からピット10の深さBを小さくする
ことにより、摩擦抵抗力Dfを小さくでき、(7)式で
示される駆動機1の必要動力Pmの増大を抑えることが
できる。
【0024】なお、遠心加速度αの最大値を200G
(重力加速度)で試験する遠心力載荷試験装置において
は、回転腕6の直径を2〜7mの範囲にすることが装置
製作上の経済性から好ましい。すなわち、直径を2m以
下にすると通常の重力場に非近似の状況での試験となっ
て好ましくなく(図3参照)、7m以上にすると通常の
重力場により近似する状況での試験となるのが、回転腕
6が長大化するので動力損失が増大し、また回転腕6の
構造強度を強固にする必要があるためコストアップにつ
ながり、経済性からみて好ましくない。
【0025】本実施例によれば、回転腕6の回転にとも
ない、回転腕6下方の空間を狭くすることによってピッ
ト側面10aでの空気による摩擦抵抗力Dfを小さくす
ることができ、このため駆動機の必要動力の増大を抑え
ることができるので、回転腕6の長大化を容易にするこ
とができる。
【0026】図5は遠心力載荷試験装置の他の実施例
で、回転腕6が所定の回転数に到達した時の状態を示
す。
【0027】図において、15は床板であって、ピット
10に設置されている駆動機1の上部にあって複数個の
台16に固定して設置されている。17はたとえばゴム
などの弾性体で造られ流体を圧入することによって膨張
する袋であって、前記床板15と上板18との間にあ
り、図示しないポンプ、コンプレッサ−などの流体源
8)に接続され、この袋17には図示しない排出口も設
けられている。前記床板15は試験時に試験者が揺動架
台7に試料容器9を取り付ける際の足場となるので、、
試験者の重量に耐えるように強固に造られている 次に、上記構成の遠心力載荷試験装置の作用について説
明する。
【0028】駆動機1を回転駆動するとこの回転駆動力
はベベル変速機2を介して回転軸4に伝達され、回転腕
6が回転する。揺動架台7上に搭載された試料容器9
は、回転腕6が回転して揺動架台7に遠心力が加わる
と、ピン支点8を中心として回転腕6の回転数の上昇に
比例して上昇し、円周方向に加速度が加えられる。この
とき、遠心力載荷試験装置を設置してあるピット10の
中の空気は、図4に示すように回転腕6の回転につれて
つれ回り、ピット10の側面10aと上部円板11a及
び床板15とで摩擦抵抗力として作用することは、図1
及び図2に示す実施例と同様である。
【0029】回転腕6の回転数の上昇に比例して揺動架
台7が上昇すると回転腕6の下方空間も大きくなるの
で、これにともない袋17に流体供給源から流体を供給
して空袋17を膨張させ、床板15を上昇させる。した
がって、回転腕6の下方空間が狭くなり、摩擦抵抗力が
減少する。試験終了後には排出口はから流体を排出す
る。
【0030】本実施例によれば、袋17に取り付ける下
部円板11bを上昇及び下降させるための機械的制御機
構が簡単になり、制御の信頼性が向上する。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、回転腕の回転につれ
て、回転腕が回転している回転腕を囲む空間が狭くな
り、ピット側面と回転腕の回転につれてつれ回る空気と
の間で生ずる摩擦抵抗力を低減することができるので、
駆動機の必要動力の増大を抑え、回転腕を長大化できる
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遠心力載荷試験装置の実施例で、回転
腕の静止状態の側面図。
【図2】本発明の遠心力載荷試験装置の実施例で、回転
腕の所定回転数到達時の側面図。
【図3】試料容器に加わる遠心加速度の分布を説明する
図2のII−II断面図。
【図4】図1及び図2の実施例の回転腕につれ回る空気
の流れの説明図。
【図5】本発明の遠心力載荷試験装置の他の実施例で、
回転腕の所定回転数到達時の側面図。
【符号の説明】
1…駆動機 2…ベベル変速機 4…回転軸 5…軸受 6…回転腕 7…揺動架台 8…ピン支点 9…試料容器 10…ピット,10a…ピット側面 11a…上部円板,11b…下部円板 12…サーボジャッキ 15…床板 16…台 17…流体を入れる袋 B.W…バランスウエイト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−3533(JP,A) 特開 平4−13946(JP,A) 特開 平7−128198(JP,A) 実開 昭57−12849(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 19/00 G01N 3/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】垂直な回転軸に水平方向に固定された回転
    腕と、この回転腕の先端に回転腕の方向に回動自在に吊
    り支持され供試体を載荷する揺動架台と、前記回転軸を
    回転駆動する駆動機と、供試体をいれる試料容器と、こ
    の試料容器の底部に取り付けられ試料容器に振動を与え
    る振動発生装置と、前記回転腕の上方に位置した上部円
    板と、回転腕の下方に位置した下部円板とを備え、ピッ
    ト内に配置される遠心力載荷試験装置において、前記回
    転腕の回転数が上昇して揺動架台がせり上がるにともな
    い回転腕が所定の回転数に到達するまで、前記回転腕と
    下部円板との間の空間をせり上がり前より狭くする手段
    をピット内であって下部円板の下部に設けたことを特徴
    とする遠心力載荷試験装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の遠心力載荷試験装置におい
    て、前記下部円板は前記回転腕を下方から覆うように形
    成されており、回転腕と下部円板とが形成する空間を狭
    くする手段は下部円板を上昇させるものであることを特
    徴とする遠心力載荷試験装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載の遠心力載荷試験装置におい
    て、前記空間を狭くする手段はサ−ボジャッキであるこ
    とを特徴とする遠心力載荷試験装置。
  4. 【請求項4】請求項3記載の遠心力載荷試験装置におい
    て、揺動架台を回転腕にそって移動自在にする機構を設
    けることを特徴とする遠心力載荷試験装置。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の遠心力載荷試験装置にお
    いて、前記下部円板の下方に床板を設置し、下部円板と
    床板との間にこの流体を入れる袋を介在させ、この袋に
    流体供給源を接続して袋に流体を供給し、膨張させて下
    部円板を上昇させることを特徴とする遠心力載荷試験装
    置。
  6. 【請求項6】請求項1記載の遠心力載荷装置において、
    供試体に付加する遠心加速度の最大 値を200Gとする
    とき、前記回転腕の直径を2mから7mの範囲にするこ
    とを特徴とする遠心力載荷試験装置。
JP01499696A 1996-01-31 1996-01-31 遠心力載荷試験装置 Expired - Fee Related JP3314603B2 (ja)

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