JP3312204B2 - 血小板減少症の診断用キット - Google Patents
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Description
発する抗血小板抗体を産生するB細胞を検出する血小板
減少症の判定方法や、抗血小板抗体を産生するB細胞を
スポットとして検出する血小板減少症の診断薬や、特発
性血小板減少性紫斑病等の血小板減少症の診断に有用な
診断用キットに関する。
その数の減少は出血傾向をきたし、重篤な場合は頭蓋内
や消化管の出血をきたす。血小板減少症をきたす病態に
は、骨髄での血小板の産生低下、血栓形成による血小板
の消費、免疫学的機序(抗血小板抗体)による血小板の
破壊などが知られている。それぞれの病態に対する治療
法が異なるため、血小板減少症を呈する患者では迅速に
病態を解明し、適切な治療を開始することが臨床の場で
重要である。血小板減少症をきたす病態の中で免疫学的
機序による血小板の破壊を証明するための臨床検査法は
いまだ報告されていない。
(およそ3万人)特発性血小板減少性紫斑病(idiopath
ic thrombocytopenic purpura;ITP)は明らかな原
因や基礎疾患がないにもかかわらず血小板に対する自己
抗体により血小板の破壊が亢進して、血小板減少症をき
たす後天性疾患である(Lancet 349, 1531-1536, 199
7)。ITPにおける抗血小板自己抗体の標的は血小板
膜表面の血小板凝集に関連するGPIIb−IIIaやGP
Ib−IXなどの糖蛋白分子であるとされ、これら血小板
膜糖蛋白分子に対するIgG型自己抗体が血小板膜表面
に結合し、オプソニン化された血小板がFcレセプター
を介して網内系マクロファージに貪食、破壊されるプロ
セスがITPにおける主要な血小板破壊の機序である。
ITPは自己抗体を介した比較的単純な自己免疫疾患で
あるが、病因的な抗血小板抗体産生のメカニズムは未だ
明らかではない。また、臨床におけるITPの診断は未
だ除外診断であり、血小板特異的自己抗体を検出する特
異的な検査法も広く普及していない。
をきたすITPの診断は、他の原因による血小板減少症
を否定することで行われている(厚生省特定疾患特発性
造血障害調査研究班による診断基準、平成2年度研究業
績報告書)。日常診療では血小板減少症患者は少なくな
く、この点が血小板減少症患者の診断の大きな問題にな
っている。これまで、免疫学的機序による血小板減少症
の診断のため、抗血小板抗体を検出する多くの技術が提
案されており、例えば、血小板結合抗体(PAIgG)
を用いた検査法(Dixon R, Rosse W, Ebbert L. Quanti
tative determination of antibody in idiopathic thr
ombocytopenic purpura. N Engl J Med1975; 292: 936-
9)は、唯一厚生省に保険適応検査として認定されてい
るが、血小板表面に結合している抗体量(IgGなど)
を混合受身血球凝集反応、フローサイトメトリーなどを
用いて検出する検査法であり、血小板に対する特異抗体
を測定するものではない。そのため、この検査法の感度
は90%と高いが、他の機序による血小板減少症や血小
板減少症を有さない自己免疫性甲状腺疾患や慢性肝炎患
者においても陽性となることから疾患特異性は低いとい
う問題点があった(倉田義之、特発性血小板減少性紫斑
病の診断・鑑別疾患. 日常診療と血液 1998;8: 1504-1
1)。
Ia、GPIb−IXなどが抗血小板抗体の標的となって
いることから、これら精製抗原に対する特異抗体を酵素
免疫測定法(enzyme-liked immunosorbent assay;EL
ISA)を用いて測定する手法が提案された。特に、I
TP患者の多くでGPIIb−IIIaが抗血小板抗体の標
的となっていることから、抗GPIIb−IIIa抗体の測
定がITPの診断に有用と考えられたが、従来の抗体検
査とは異なり、血清または血漿を検体として用いると感
度が非常に低いことが明らかとなった。この理由とし
て、流血中の抗血小板抗体の多くはすでに血小板に結合
した形で存在することが考えられた。そこで、血小板を
検体として用い、その表面に結合している抗体を溶出し
て用いることが発案された。これまで、固相化したモノ
クローナル抗体によりヒト血小板膜可溶分画から精製し
た血小板膜蛋白を抗原として用いたELISA(microt
itre-well assay; Woods VL, Oh EH, Mason D, McMilla
n. Autoantibodies againstthe platelet glycoprotein
s IIb/IIIa complex in patients with chronic IT
P. Blood 1984; 63: 368-75)や、固相化したモノクロ
ーナル抗体により被検血小板より精製した血小板膜蛋白
−抗血小板抗体複合体を検出するELISA(monoclon
al antibody specific immobilization of platelet an
tigens; MAIPA;Kiefel V, Santoso S, Weisheit M, Mue
ller-Eckhardt C. Monoclonal antibody-specific immo
bolization of platelet antigens (MAIPA); a new too
l for the identification of platelet-reactive anti
bodies. Blood 1987; 70: 1722-6)や、モノクローナル
抗体結合免疫ビーズを用いた検出法(immunobead assa
y;IBA; McMillan R, Tani P, Millard F, Berchtold P,
Renshaw L, Woods VL. Platelet-associated and plas
ma anti-glycoprotein autoantibodies in chronic I
TP. Blood 1987; 70: 1040-50)や、精製血小板膜表
面糖蛋白を抗原として用いたELISA(Hurlimann-Fo
rster M, Steiner B, von Felten A. Quantitation of
platelet-specific autoantibodies in platelet eluat
es of ITPpatients measured by a novel ELISA usi
ng the purified glycoprotein complexes GPIIb/IIIa
and GPIb/IX as antigens. Br J Haematol 1997; 98: 3
28-35)や、蛍光共鳴エネルギーによる検出法(Fluores
cence resonance energy transfer transfer; FRET; Ko
ksch M, Rothe G, Kiefel V, Schmitz G. Fluorescence
resonance energy transfer as a new method for the
epitope-specific characterization of anti-platele
t antibodies. J. Immunol Methods 1995; 187;53-67)
などが報告されている。
た抗体中の抗GPIIb−IIIa抗体の陽性頻度はITP
患者において23〜93%で、特異性もきわめて高いこ
とが示された。しかし、これらの検査方法では、大量の
血液サンプル(通常20ml以上)を必要とし、操作が
煩雑で、施設間で用いる血小板膜可溶分画やモノクロー
ナル抗体が異なるために標準化が困難で、用いたモノク
ローナル抗体の種類によって結果が異なるなどの問題点
がある。そのため、これら検出法のキット化は困難で、
一般検査室までは普及していないのが現状である。
ELISA spot assay(ELISPOT:enzyme-linked im
munospot)を含む色々な試験、例えば、特異的抗体産生
細胞数の測定のための固相免疫酵素法(J. Immunol. Me
thods 57, 301-309, 1983)や、ヒト免疫グロブリン産
生細胞の量を測るためのELISA spot assay(J. Allergy
Clin. Immunol. 88, 235-243, 1991)などを用いて、
インビトロで達成しうることが知られている。また、上
記B細胞のELISA spot assayは、普通、抗原又は動物の
抗体により一晩コートしたフラットボトムプレートの各
ウエルにB細胞を導入して十分な時間培養し、培養後洗
浄することによってウエル中の細胞を取り除き、抗ヒト
IgGヤギ抗体などを反応させ、抗体−酵素複合体の酵
素に対する基質を用いて染色し、マイクロスコープを用
いてカウントする方法であることも報告されている(J.
Allergy Clin. Immunol. 93, 658-668, 1994)。
抗GPIIb−IIIa抗体検出法と同等もしくはそれ以上
で、これら従来手法のもつ問題点を解決し、一般検査室
に広く普及する血小板減少症の診断のための新しい検査
法が求められている。本発明の課題は、従来の検査法に
比べて感度・特異性がより高く、少量の検体で簡便に、
血小板減少症の診断を精確に行うことができる診断用キ
ットや、抗血小板抗体産生B細胞を検出する血小板減少
症の判定方法や抗血小板抗体産生B細胞の検出試薬を提
供することにある。
解決するために鋭意研究し、従来の血小板減少症に伴う
抗血小板抗体の検査法の問題点の多くは、抗血小板抗体
のほとんどが流血中で血小板に結合した形で存在するた
めに直接解析できないことに起因する点に着目し、従来
の検出法とは異なり、抗血小板抗体ではなく抗血小板抗
体を産生しているリンパ球(B細胞)を検出すればよい
のではないかとの考え方に辿り着き、enzyme-linked im
munospot assay(ELISPOT;Zubler RH, Perrin
LH, Doucet A, Zhang X, Huang YP, Miescher PA. Freq
uencies of HIV-reactive B cells in seropositive an
d seronegative individuals. Clin Exp Immunol 1991;
87: 31-6)という原理を応用して、ITP患者におけ
る抗GPIIb−IIIa抗体を測定したところ、抗血小板
抗体を産生しているB細胞のみを特異的に感度よく、さ
らに短時間で検出できることを見い出した。また、必要
な検体はわずか106個の末梢血単核球(標準的には2
〜5mlの末梢血)で充分であり、従来の血小板を用い
る検査法において問題となった血小板数による影響も受
けないことを確認し、本発明を完成するに至った。
な抗原とB細胞とをインビトロで接触させ、抗血小板抗
体産生B細胞をスポットとして検出することを特徴とす
る血小板減少症の判定方法(請求項1)や、抗血小板抗
体に特異的な抗原が、血小板膜表面蛋白であることを特
徴とする請求項1記載の血小板減少症の判定方法(請求
項2)や、血小板膜表面蛋白が、GPIIb−IIIa又は
GPIb−IX抗原であること特徴とする請求項2記載の
血小板減少症の判定方法(請求項3)や、抗血小板抗体
に特異的な抗原として、組換え蛋白質を用いることを特
徴とする請求項1〜3のいずれか記載の血小板減少症の
判定方法(請求項4)や、抗血小板抗体に特異的な抗原
が、担体に担持されていることを特徴とする請求項1〜
4のいずれか記載の血小板減少症の判定方法(請求項
5)に関する。
原と細胞培養液とが含まれており、抗血小板抗体産生B
細胞をスポットとして検出することを特徴とする血小板
減少症の診断薬(請求項6)や、さらに、標識された二
次抗体が含まれていることを特徴とする請求項6記載の
血小板減少症の診断薬(請求項7)や、標識された二次
抗体が、酵素標識抗ヒトIgG抗体であることを特徴と
する請求項7記載の血小板減少症の診断薬(請求項8)
や、抗血小板抗体に特異的な抗原が、血小板膜表面蛋白
であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか記載の
血小板減少症の診断薬(請求項9)や、血小板膜表面蛋
白が、GPIIb−IIIa又はGPIb−IX抗原であるこ
と特徴とする請求項9記載の血小板減少症の診断薬(請
求項10)や、抗血小板抗体に特異的な抗原として、組
換え蛋白質を用いることを特徴とする請求項6〜10の
いずれか記載の血小板減少症の診断薬(請求項11)
や、抗血小板抗体に特異的な抗原が、担体に担持されて
いることを特徴とする請求項6〜11のいずれか記載の
血小板減少症の診断薬(請求項12)に関する。
か記載の血小板減少症の診断薬を含むことを特徴とする
血小板減少症の診断用キット(請求項13)や、血小板
減少症が、特発性血小板減少性紫斑病であることを特徴
とする請求項13記載の血小板減少症の診断用キット
(請求項14)に関する。
定方法としては、抗血小板抗体に特異的な抗原とB細胞
とをインビトロで接触させ、抗血小板抗体産生B細胞を
スポットとして検出する方法であれば特に制限されるも
のではなく、例えば、抗血小板抗体に特異的な抗原を担
体に担持せしめ、かかる担体に担持された抗血小板抗体
特異的な抗原に被検末梢血を接触させて、抗血小板抗体
を介して前記抗原と抗血小板抗体産生B細胞とを結合さ
せ、次いで洗浄することによりB細胞等を洗い流し、標
識化二次抗体などを用いて、抗原に結合した抗血小板抗
体を検出することにより、抗血小板抗体産生B細胞を直
接検出する方法を例示することができる。
な抗原を固相表面に担持しうるものであればどのような
ものでもよく、メンブレン、プレート、ビーズ等の固相
担体を例示することができ、抗原をかかる担体に担持さ
せる方法としては、物理的及び/又は化学的吸着、コー
ティング等を例示することができる。上記標識化二次抗
体としては、標識化抗ヒトIgG抗体、標識化F(a
b′)2フラグメントや標識化Fabフラグメントなどを
挙げることができ、標識化二次抗体における標識物質と
してはアルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ等
の酵素やラジオアイソトープ、金コロイド、蛍光物質等
を挙げることができる。これらRIA、EIA、免疫金
法、蛍光抗体法等の固相化した抗原に標識化二次抗体を
用いる方法以外の方法としては、ラテックス表面に抗血
小板抗体特異的抗原を吸着させ、次いで該ラテックスを
被検末梢血と接触させた後、洗浄することによりB細胞
等を洗い流し、ラテックスの凝集で抗血小板抗体産生B
細胞を検出するラテックス凝集法等を例示することがで
きる。
ては、上記抗血小板抗体に特異的な抗原であればどのよ
うなものでもよく、例えば、GPIIb−IIIa、GPI
b−IX、GPIa−IIa、GPIV、GPV等の血小板膜
表面蛋白やそれらのエピトープを具体的に挙げることが
できるが、上記本発明の血小板減少症の判定方法におい
て感度、特異性の面で優れているGPIIb−IIIa、G
PIb−IX等がより好ましい。血小板膜表面蛋白等の上
記抗血小板抗体に特異的な抗原の調製方法としては特に
制限されず、例えば、プールしたヒト血小板からアフィ
ニティーカラムで精製することにより製造することもで
きるが、血小板輸血を受けた患者間でのアミノ酸配列の
個人差(polymorphism)の問題や収量の問題を考慮する
と、単一の遺伝子より作製したリコンビナント抗原(組
換え蛋白質)を使用することが好ましく、かかるリコン
ビナント抗原を使用することにより、実用化(キット
化)及び標準化が一層容易になる。
ては、前記抗血小板抗体に特異的な抗原と細胞培養液と
が含まれており、抗血小板抗体産生B細胞をスポットと
して検出するものであれば特に制限されるものではない
が、標識された二次抗体が含まれているものが好まし
く、特に担体に担持されている抗原が含まれている診断
薬が好ましい。上記担体としては、前記のように、抗血
小板抗体に特異的な抗原を固相表面に担持しうるもので
あればどのようなものでもよく、メンブレン、プレー
ト、ビーズ、ラテックス等の固相担体を例示することが
でき、抗原をかかる担体に担持させる方法としては、物
理的及び/又は化学的吸着、コーティング等を例示する
ことができる。上記標識化二次抗体としては、標識化抗
ヒトIgG抗体、標識化F(ab′)2フラグメントや標
識化Fabフラグメントなどを挙げることができ、標識
化二次抗体における標識物質としてはβ−ガラクトシダ
ーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、
ウレアーゼ、カタラーゼ、β−グルクロニダーゼ等の酵
素や、125I、32P、35S、3H等のラジオアイソトープ
や、FITC(フルオレセインイソシアネート)、テト
ラメチルローダミンイソシアネート等の蛍光物質や、G
FP(グリーン蛍光タンパク質)等の蛍光発光タンパク
質などを融合させた融合タンパク質や、金コロイドなど
を挙げることができる。上記前記抗血小板抗体に特異的
な抗原としては、GPIIb−IIIa又はGPIb−IX等
の血小板膜表面蛋白を好適に例示することができる。
ては、上記血小板減少症の診断薬を含むものであれば特
に制限されるものではないが、通常の診断用キットに含
まれる緩衝剤等を含んでいてもよい。かかる診断用キッ
トを用いることにより特発性血小板減少性紫斑病(IT
P)を直接的に診断することができる他、ITP以外の
血小板減少症である白血病、骨髄異形性症候群、肝硬
変、再生不良性貧血、血栓性血小板減少性紫斑病等を間
接的・消極的に診断することができる。かかる診断用キ
ットに用いられる検体としては、被検者の末梢血、骨
髄、脾臓等から得ることができる単核球を具体的に挙げ
ることができるがこれらに限定されるものではない。
的に説明するが、この発明の技術的範囲はこれらの実施
例に限定されるものではない。 実施例1[ITP患者と健常人における各組織中の抗G
PIIb−IIIa抗体産生B細胞頻度の比較] (血小板減少症の診断に用いられる単核球の調整) 厚生省による診断基準を満たし、血小板数5万/μl以
下が6ヶ月以上持続し、骨髄検査で骨髄巨核球数が正常
又は増加していたITP患者及び健常人の末消血(22
例,6例)、骨髄(5例,3例)、脾臓(8例,4例)
から公知の方法により単核球をそれぞれ分離した。分離
した各単核球をPBSで1回、RPMI培養液(10%
のウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、50U/m
lのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン
添加RPMI1640)で1回洗浄した後、RPMI培
養液中で最終的に5×105/mlの細胞濃度に調整し
た。
フィニティーカラムを用いて、健常人由来の血小板から
ヒトGPIIb−IIIa抗原を精製し、この精製したヒト
GPIIb−IIIa抗原をPBS−Ca(0.5mMのC
aCl2含有PBS)に30μg/mlの濃度になるよ
うに溶解し調整した。96ウェルメンブレンプレート
(Millipore社、Bedford、MA、USA)の各ウェルにエタ
ノールを50μlずつ分注し、各ウェルをPBS−Ca
200μlで2回洗浄した後、上記調整したヒトGPII
b−IIIa溶液を50μlずつ加え、4℃で12時間放
置し、ヒトGPIIb−IIIaをメンブレンに吸着させ
た。吸着後、各ウェルをPBS−Ca200μlで3回
洗浄し、さらに1%のウシ血清アルブミン含有PBS−
Caを100μl加えて室温で30分放置し、メンブレ
ン上の非結合部位をブロックした。
Ca200μlで1回洗浄し、前記調整した5×105
/mlの単核球縣濁液200μl(1×105細胞)
を、ヒトGPIIb−IIIaをコートした各ウェルに加
え、CO2インキュベーター中で37℃、5%CO2、加
湿条件下で4時間培養した。なお、同一検体につき計1
0ウェルの培養を行った。
検出) 上記培養後、各ウェル中の溶液を取り除き、0.05%
のTween20添加PBS−Ca200μlで各ウェ
ルを3回洗浄した後、0.1%のウシ血清アルブミン含
有PBS−Caで1,000倍に希釈したアルカリフォ
スファターゼ標識ヤギ抗ヒトIgG抗体(ICN/Capp
el社、Aurora、OH、USA)を、各ウエルに100μlず
つ添加し、室温で2時間反応させた。反応後、各ウェル
中の溶液を取り除き、0.05%のTween20添加
PBS−Ca200μlで4回、PBS−Caで1回洗
浄した。酵素基質を含む発色液[300μg/mlのni
troblue tetrazolium(シグマ社、St. Louis、MO、US
A)、60μg/mlの5-bromo-4-chloro-3-inddolyl p
hosphate(Sigma社)、100mMのトリス、50mM
のMgCl2、100mMのNaCl;pH9.5]
を、各ウェルに100μlずつ添加し、室温で20分間
発色させた。発色後、各ウェルを滅菌精製水200μl
で10回洗浄し、メンブレンを乾燥させ、各ウェルの発
色スポット数[抗血小板抗体を産生しているリンパ球
(B細胞)数]を実体顕微鏡下で数えた。10ウェルの
スポット数の平均を求め、単核球105個あたりの抗G
PIIb−IIIa抗体産生B細胞数を算出した。
IIb−IIIa抗体産生B細胞はITP患者のみに検出さ
れ、末梢血、骨髄、脾臓のいずれの部位にも存在するこ
とがわかった。特に脾臓では単核球の約20%を占める
B細胞200〜2,000個中に1個とかなり高頻度に
認められた。これらのことから、本発明の抗GPIIb−
IIIa抗体産生B細胞の検出は血小板数に左右されるこ
となく、簡便に短時間で行えることから、ITPの診断
に極めて有用であることが確認できた。また、同一患者
では、抗GPIIb−IIIa抗体産生B細胞頻度と血小板
数は負の相関を示すことから、疾患活動性のモニタリン
グとしても用いることができると考えられる。さらに、
ITP患者B細胞は単球に比べて低濃度(約1/10)
のGPIIb−IIIa濃度でもGPIIb−IIIa反応性T細
胞株の増殖を誘導することから、ITPにおけるGPII
b−IIIa反応性T細胞のプライミングや活性化の維持
に重要な役割を果たしている可能性が高いと考えられ
る。
本発明の検査法による感度と特異性の検討] 厚生省による診断基準を満たし、血小板数5万/μl以
下が6ヶ月以上持続し、骨髄検査で骨髄巨核球数が正常
又は増加していたITP患者67例、コントロールとし
て、免疫学的な機序の関与が否定的な血小板減少症患者
42例及び健常人36例から、それぞれヘパリン入り容
器で採血した末梢血約10mlに同量のリン酸緩衝液生
理食塩水(phosphate-buffered saline;PBS)を添
加し、Lymphoprep(Nycomed Pharma AS、Oslo、Norwa
y)を用いた密度勾配遠心分離(2,000rpm×3
0分間)により末梢血単核球を得た。これらの末梢血単
核球を前記のようにRPMI培養液中で5×105/m
lの細胞濃度に調整し、実施例1と同様の方法により単
核球105個あたりの抗GPIIb−IIIa抗体産生B細胞
数を算出した(表1)。
出された抗GPIIb−IIIa抗体産生B細胞数は免疫学
的機序で血小板が破壊されるITP患者では平均12.
1(0.2〜36.4)、他の血小板減少症患者では
0.34(0〜1.2)、健常人では0.26(0〜
0.7)であり、ITP患者では他の2群(血小板減少
症や健常人)に比べて有意に高値を示していた(p<
0.00001、Student'st-test)。末梢血単核球1
05中に1個をカットオフとした際の陽性頻度はITP
患者では64/67(96%)、他の血小板減少症患者
では2/42(5%)、健常人では0/36(0%)で
あった。したがって、本発明の抗GPIIb−IIIa抗体
産生B細胞を検出する方法(ELISPOT)のITP
における感度は96%で、特異性は97%となり、IT
Pの診断に極めて有用な検査法と考えられる。
斑病(ITP)を直接的に診断することができる上に、
従来の技術に比べて、少量の検体で、感度よく、ITP
特異的に診断することができる。加えて、多くの一般検
査室にある低速遠心機、CO2インキュベーター以外に
特殊な装置を必要とすることがなく、検査にかかる時間
も約8時間と短く、迅速に結果が得られるという利点も
ある。したがって、本発明の診断用キットを用いると、
多くの一般検査室でITPの診断・検査を簡便に行うこ
とができる。
臓中のIgG抗GPIIb−IIIa抗体産生B細胞頻度の
比較を示す図である。
Claims (14)
- 【請求項1】 抗血小板抗体に特異的な抗原とB細胞と
をインビトロで接触させ、抗血小板抗体産生B細胞をス
ポットとして検出することを特徴とする血小板減少症の
判定方法。 - 【請求項2】 抗血小板抗体に特異的な抗原が、血小板
膜表面蛋白であることを特徴とする請求項1記載の血小
板減少症の判定方法。 - 【請求項3】 血小板膜表面蛋白が、GPIIb−IIIa
又はGPIb−IX抗原であること特徴とする請求項2記
載の血小板減少症の判定方法。 - 【請求項4】 抗血小板抗体に特異的な抗原として、組
換え蛋白質を用いることを特徴とする請求項1〜3のい
ずれか記載の血小板減少症の判定方法。 - 【請求項5】 抗血小板抗体に特異的な抗原が、担体に
担持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
か記載の血小板減少症の判定方法。 - 【請求項6】 抗血小板抗体に特異的な抗原と細胞培養
液とが含まれており、抗血小板抗体産生B細胞をスポッ
トとして検出することを特徴とする血小板減少症の診断
薬。 - 【請求項7】 さらに、標識された二次抗体が含まれて
いることを特徴とする請求項6記載の血小板減少症の診
断薬。 - 【請求項8】 標識された二次抗体が、酵素標識抗ヒト
IgG抗体であることを特徴とする請求項7記載の血小
板減少症の診断薬。 - 【請求項9】 抗血小板抗体に特異的な抗原が、血小板
膜表面蛋白であることを特徴とする請求項6〜8のいず
れか記載の血小板減少症の診断薬。 - 【請求項10】 血小板膜表面蛋白が、GPIIb−III
a又はGPIb−IX抗原であること特徴とする請求項9
記載の血小板減少症の診断薬。 - 【請求項11】 抗血小板抗体に特異的な抗原として、
組換え蛋白質を用いることを特徴とする請求項6〜10
のいずれか記載の血小板減少症の診断薬。 - 【請求項12】 抗血小板抗体に特異的な抗原が、担体
に担持されていることを特徴とする請求項6〜11のい
ずれか記載の血小板減少症の診断薬。 - 【請求項13】 請求項6〜12のいずれか記載の血小
板減少症の診断薬を含むことを特徴とする血小板減少症
の診断用キット。 - 【請求項14】 血小板減少症が、特発性血小板減少性
紫斑病であることを特徴とする請求項13記載の血小板
減少症の診断用キット。
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JP2000316269A JP3312204B2 (ja) | 2000-10-17 | 2000-10-17 | 血小板減少症の診断用キット |
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JP2000316269A JP3312204B2 (ja) | 2000-10-17 | 2000-10-17 | 血小板減少症の診断用キット |
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JP6170865B2 (ja) | 2014-03-31 | 2017-07-26 | シスメックス株式会社 | 血液分析装置 |
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-
2000
- 2000-10-17 JP JP2000316269A patent/JP3312204B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (2)
Title |
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桑名正隆,日本内科学会雑誌,日本,社団法人 日本内科学会,VOL.89 NO.6,35−40 |
桑名正隆,臨床病理,日本,日本臨床病理学会,2000年 9月30日,VOL.48,106 |
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