JP3312043B2 - 石灰系るつぼ及びその製造方法 - Google Patents

石灰系るつぼ及びその製造方法

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JP3312043B2 JP23531592A JP23531592A JP3312043B2 JP 3312043 B2 JP3312043 B2 JP 3312043B2 JP 23531592 A JP23531592 A JP 23531592A JP 23531592 A JP23531592 A JP 23531592A JP 3312043 B2 JP3312043 B2 JP 3312043B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石灰系るつぼ、特に、
酸素含有率の小さい金属材料を製造するために適した金
属溶解用石灰系るつぼ、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】石灰(カルシア、CaO)系るつぼは、
高融点を有し、脱燐、脱硫作用を有し、高温度での解離
酸素圧が低い等るつぼとして優れた性質を有している。
従って、鋼の高品質化が要求される製鋼用るつぼとし
て、また、チタン(Ti)やTi合金などの酸化力が強
く融点の高い金属を溶融するためのるつぼとして利用さ
れている。
【0003】チタン−アルミニウム(TiAl)系金属
間化合物は、密度が小さく(3.8)また高温強度が優
れているので、Ni基合金に代わる軽量耐熱材料として
注目されている。TiやTiAl系合金は熔融状態では
著しく活性であるため、TiやTiAl系合金をるつぼ
を使用して熔融すると、TiやTiAl系合金がるつぼ
と反応したりガスを吸収したりして、TiやTiAl系
合金が汚染され、硬さが増し延性や加工性を悪化させ
る。そのために、高品質のTiやTiAl系合金の溶解
には、消耗電極アーク溶解、プラズマアーク溶解、プラ
ズマビーム溶解、誘導スカル溶解等の溶解方法が用いら
れている。
【0004】しかしながら、工業的にTiやTiAl系
合金を製造するためには、るつぼを使用して高周波誘導
加熱や抵抗加熱による溶解方法を採用することが望まし
い。そのためにTiやTiAl系合金を熔融するための
石灰系るつぼについて研究され、幾つかの石灰系るつぼ
が提案されている。
【0005】例えば、特開昭61−72678号公報に
は、電融カルシア粉末に2〜8重量%の植物性油と2〜
8重量%の弗化カルシウムとを添加、混練し、これをプ
レス成形した後、1000〜1800℃の温度域で焼成
する金属溶解用石灰質坩堝の製造方法が開示されてい
る。上記特許公開公報には、このるつぼの製造方法に於
ては、弗化カルシウムは焼結助剤として添加されるもの
で、弗化カルシウムは1000℃以上の加熱により熱分
解を起こすので、弗素は系外に飛散してしまい、残るカ
ルシウムイオンは大気中の酸素と反応して主原料と同じ
CaOになること(上記公報第2頁右下欄第7〜11行
参照)、及び8重量%を越えて弗化カルシウムを添加す
ると、未分解のCaF2 が多量に残留し、るつぼの使用
中に分解ガスが発生して溶解が不安定になること(上記
公報第4頁左上欄7〜9行参照)が記載されている。こ
れらのことから、特開昭61−72678号公報に記載
された方法により製造されたるつぼには、仮に残ってい
たとしても、原料として添加した弗化カルシウムの量よ
りも非常に小さい量の弗化カルシウムしか含有されてい
ないものと考えられる。
【0006】更に、特開昭61−72678号公報に
は、製造されたるつぼの見掛け気孔率は12.5%及び
13.0%であると記載され(上記公報第5頁第1表参
照)、このるつぼを使用してチタン合金を真空高周波誘
導炉で熔融して得られた再凝固合金の酸素含有量は0.
10重量%及び0.12重量%であると記載されている
(上記公報第5頁第2表参照)。一般に、TiAl系合
金中の酸素含有量が大きいとTiAl系合金は硬くなり
好ましくなく、TiAl系合金中の酸素含有量は0.0
8重量%以下にすることが望ましい。従って、特開昭6
1−72678号公報に記載の方法で製造されたるつぼ
は、十分満足できるものとは言えない。
【0007】また、「鉄と鋼」第78年(1992)第
4号第172〜179頁には、CaOにバインダーとし
てCaF2 を5〜20重量%添加したるつぼが開示さ
れ、このるつぼの気孔率は13〜16%であったことが
記載されている(上記文献第173頁Table 1 参照)。
そして、CaO−CaF2 るつぼを用いてTiAl系合
金を熔融したときの、得られたTiAl系合金中の酸素
含有量は0.13〜0.11重量%であったことが記載
されている(上記文献第175頁参照)。従って、この
文献に記載されたCaO−CaF2 るつぼも十分満足で
きるものは言えない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、石灰
系るつぼの優れた耐熱性、耐食性等を犠牲にすることな
く、酸素含有量の少ない金属又は合金、特にTi又はT
iAl系合金を製造することができる石灰系るつぼ及び
その製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐熱性及
び耐食性が極めて優れているという石灰系るつぼ固有の
特長を活かし、且つ酸素含有量の少ない優れた特性を有
する金属又は合金、特にTi又はTiAl系合金を製造
するために使用することのできるるつぼを製造すること
について鋭意研究した。その結果、特定の範囲でフッ化
カルシウムを含有し、気孔率の小さい石灰系るつぼによ
り本発明の目的が達成できることを見出した。
【0010】本発明は、酸化カルシウム100重量部と
フッ化カルシウム8〜25重量部とからなり、12%以
下の見掛け気孔率を有することを特徴とする石灰系るつ
ぼである。
【0011】他の本発明は、酸化カルシウム粉末100
重量部とフッ化カルシウム粉末8〜30重量部との混合
物をるつぼ状にプレス成形し、得られた成形体を130
0〜1550℃の温度で、その見掛け気孔率が12%以
下になるまで焼成することを特徴とする石灰系るつぼの
製造方法である。
【0012】本発明の好適な実施態様は下記の通りであ
る。
【0013】(1)8%以下の見掛け気孔率を有するこ
とを特徴とする上記の石灰系るつぼ。
【0014】(2)上記酸化カルシウム粉末が、3mm
以下の粒子径を有し、1.0〜0.5mmの粒子径を有
する粒子を10〜40重量%含有し且つ0.15mm以
下の粒子径を有する粒子を20〜50重量%含有する粉
末であることを特徴とする上記の石灰系るつぼの製造方
法。
【0015】(3)上記フッ化カルシウムが、150μ
m以下の粒子径を有する粉末であることを特徴とする上
記の石灰系るつぼの製造方法。
【0016】(4)上記成形体を、見掛け気孔率が8%
以下になるまで焼成することを特徴とする上記の石灰系
るつぼの製造方法。
【0017】本発明の石灰系るつぼは、酸化カルシウム
100重量部とフッ化カルシウム8〜25重量部とから
なる組成を有し、且つ、12%以下の見掛け気孔率を有
することに特徴を有するものである。
【0018】本明細書に於て、見掛け気孔率は、JIS
Z8807−1976に準じて測定した値である。
【0019】本発明の石灰系るつぼは、特開昭61−7
2678号公報に開示された方法により製造された石灰
質るつぼに比べて、フッ化カルシウムの含有量が大き
く、見掛け気孔率が小さいという点に於いて異なってい
る。更に、後記の実施例から明らかなように、本発明の
石灰系るつぼを使用してTiAl系合金を溶解したと
き、製造されるTiAl系合金中の酸素含有量が、特開
昭61−72678号公報に開示されたるつぼを使用し
た場合に比較して著しく小さいという顕著に優れた効果
を奏する点に於いても、両者のるつぼは異なっている。
【0020】特開昭61−72678号公報には、弗化
カルシウムは1000℃以上の加熱により熱分解を起こ
すので、弗素は系外に飛散してしまい、残るカルシウム
イオンは大気中の酸素と反応して主原料と同じCaOに
なること(上記公報第2頁右下欄第7〜11行参照)、
及び8重量%を越えて弗化カルシウムを添加すると、未
分解のCaF2 が多量に残留し、るつぼの使用中に分解
ガスが発生して溶解が不安定になること(上記公報第4
頁左上欄7〜9行参照)が記載されている。
【0021】しかしながら、本発明者らの研究によれ
ば、酸化カルシウム粉末と酸化カルシウム粉末の8重量
%以上のフッ化カルシウム粉末との混合物から製造した
成形体を1300〜1550℃で焼成しても、フッ化カ
ルシウムの分解、飛散等は殆ど起きず、製造された石灰
系るつぼ(焼成成形体)中に、原料の粉末混合物中のフ
ッ化カルシウムは大部分(ほぼ80%以上)残留してい
て、石灰系るつぼの見掛け気孔率の低下に寄与すること
が分かった。更に、フッ化カルシウムはTiと反応しな
いものであり(前記文献:「鉄と鋼」第78年(199
2)第4号第172頁参照)、石灰系るつぼにフッ化カ
ルシウムが残留していても、熔融する金属、特にTi及
びTiAl系合金に悪影響を与えることはなく、酸素含
有量の小さいTi及びTiAl系合金を製造できるとい
う効果を奏することが分かった。
【0022】また、「鉄と鋼」第78年(1992)第
4号第172〜179頁には、CaOにバインダーとし
てCaF2 を5〜20重量%添加して製造したるつぼを
用いてTiAl系合金を熔融したときの、得られたTi
Al系合金中の酸素含有量は0.13〜0.11重量%
であり、TiAl系合金の酸素量の抑制効果は認められ
なかったと記載されている。しかしながら、この文献に
記載されたるつぼは13〜16%の気孔率を有するもの
であって、本発明の石灰系るつぼよりも見掛け気孔率の
大きいものであり、そのことがTiAl系合金中の酸素
含有量を低下させない一因であろうと推察される。
【0023】何れにしても、本発明の石灰系るつぼは、
上記の特許公開公報や文献に開示された石灰系るつぼと
は全く異なる新規なものであり、優れた効果を奏するも
のである。
【0024】本発明の石灰系るつぼは、酸化カルシウム
100重量部と、フッ化カルシウム8〜25重量部、好
ましくは10〜20重量部とからなる組成を有する。フ
ッ化カルシウムの量が上記範囲よりも小さいと、石灰系
るつぼの見掛け気孔率が大きくなり、フッ化カルシウム
の量が上記範囲よりも大きいと石灰系るつぼの高温での
機械的強度が低下する。
【0025】本発明の石灰系るつぼに於ては、粒状の酸
化カルシウムの表面をフッ化カルシウムが被覆し、粒状
の酸化カルシウムがフッ化カルシウムにより接着された
構造を有している。
【0026】本発明の石灰系るつぼに於いて、酸化カル
シウムの粒子を小さくすると石灰系るつぼの見掛け気孔
率は小さくなるが、石灰系るつぼの物理的性質、特に熱
衝撃抵抗が低下する傾向にある。石灰系るつぼの物理的
性質を高く維持しながら同時に見掛け気孔率を小さくす
るために、酸化カルシウムはある程度広い粒度分布を有
する粒状物の形態を有することが必要である。一般的
に、酸化カルシウムの粒子は、3mm以下の粒子径を有
し、そして1.0〜0.5mmの粒子径を有する粒子を
10〜40重量%含有し且つ0.15mm以下の粒子径
を有する粒子を20〜50重量%含有するような粒度分
布を有するものであることが好ましい。
【0027】本発明の石灰系るつぼの見掛け気孔率は、
8%以下であることが好ましい。石灰系るつぼの見掛け
気孔率が小さいほど、そのるつぼを使用して製造された
金属材料、特にTiAl系合金中の酸素含有量を減少さ
せることができる。
【0028】本発明の石灰系るつぼは、金属材料、特に
Ti又はTiAl系合金を溶解するために繰り返し使用
しても、熔融金属がるつぼに侵潤することが無く殆ど全
く損傷を受けることが無いので、金属材料を溶解するた
めに繰り返し使用することができる。そのために、本発
明の石灰系るつぼは肉厚を薄くすることができ、軽量で
取り扱いの容易な石灰系るつぼである。更に、本発明の
石灰系るつぼは、熔融後の金属材料中の酸素含有率を減
少させることができ、繰り返し使用により熔融後の金属
材料中の酸素含有率をより一層減少させることができ
る。
【0029】本発明の石灰系るつぼの製造方法は、酸化
カルシウム粉末100重量部とフッ化カルシウム粉末8
〜30重量部との混合物をるつぼ状にプレス成形し、得
られた成形体を1300〜1550℃の温度で、その見
掛け気孔率が12%以下になるまで焼成することを特徴
とする。
【0030】原料の酸化カルシウム粉末としては、従来
石灰系るつぼの製造用原料として使用されている酸化カ
ルシウム、例えば、焼結カルシアクリンカー、電融カル
シアクリンカー等の粉砕物を特に限定することなく使用
できる。原料の酸化カルシウムは、前記の理由から、3
mm以下の粒子径を有し、1.0〜0.5mmの粒子径
を有する粒子を10〜40重量%含有し且つ0.15m
m以下の粒子径を有する粒子を20〜50重量%含有す
る粉末であることが好ましい。
【0031】原料のフッ化カルシウム粉末としては、通
常使用されるホタル石の粉末を使用することができる。
フッ化カルシウムは、150μm以下の粒子径を有する
粉末であることが好ましい。
【0032】本発明の製造方法に於ては、先ず、原料の
酸化カルシウム粉末とフッ化カルシウム粉末との混合物
をプレス成形してるつぼ状の成形体を製造する。酸化カ
ルシウム粉末に対するフッ化カルシウム粉末の混合割合
は、酸化カルシウム粉末100重量部に対してフッ化カ
ルシウム粉末8〜30重量部である。成形体の焼成条件
により変わり得るが、一般に成形体の焼成工程の間に、
若干ではあるがフッ化カルシウムが分解、飛散などする
傾向があるので、目的とする石灰系るつぼ中のフッ化カ
ルシウムの含有量よりも、やや多い量でフッ化カルシウ
ムを使用することが好ましい。
【0033】上記のプレス成形方法としては、静水圧プ
レス成形方法(ラバープレス成形方法)を便利に使用す
ることができる。成形圧は800〜1500kg/cm
2 の静水圧で十分である。
【0034】本発明の製造方法に於ては、次にこのるつ
ぼ状の成形体を、1300〜1550℃の温度で、最終
的に得られる石灰系るつぼの見掛け気孔率が12%以
下、好ましくは8%以下になるまで焼成する。焼成時間
は、成形体の組成、成形体の大きさ(特に厚さ)、焼成
温度、目的とする石灰系るつぼの見掛け気孔率などの要
件の組み合わせにより変わるので一律に定めることはで
きないが、一般に15分〜4時間である。目的とする見
掛け気孔率を有する石灰系るつぼを製造するために、上
記のようにして製造された成形体の組成、成形体の大き
さ(特に厚さ)等に応じて、最適な焼成温度及び焼成時
間を選定することは、当業者が容易にできるであろう。
【0035】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。
【0036】[実施例1]酸化カルシウム粉末として、
炭酸カルシウムを1800℃の温度で焼成した後、粉砕
して製造した粉末状のカルシアクリンカー(化学組成、
CaO:99.9重量%以上、MgO:0.02重量%
以下、SiO2 :0.01重量%以下、粒度:粒径3m
m〜1mmのもの10重量%、粒径1mm未満〜0.5
mmのもの20重量%、粒径0.5mm未満〜0.15
mmのもの30重量%、粒径0.15mm未満のもの4
0重量%)100重量部と、フッ化カルシウム粉末(粒
径0.15mm以下)15重量部とを、ボールミルを使
用して十分に混合して、均一な混合物を製造した。この
混合物から、ラバープレスを使用して1000kg/c
2 の静水圧でプレス成形して、るつぼ状成形品(高
さ:約170mm、上端外径:約87mm、肉厚:約1
1mm)を製造した。
【0037】このるつぼ成形品を、焼成炉中で1450
℃で50分間焼成して、石灰系るつぼ(高さ:約150
mm、上端外径:約75mm、肉厚:約10mm)を製
造した。この石灰系るつぼの見掛け気孔率は8.4%で
あった。
【0038】得られた石灰系るつぼに、粒状スポンジチ
タン(酸素:0.04重量%、塩素:0.06重量%、
マグネシウム:0.04重量%)と高純度アルミニウム
粒(4N)とを交互に充填し(Ti:Al=100:5
2重量比)、高周波誘導炉内で1600℃で10分間加
熱して溶解した後、金型に鋳込み冷却した。得られたT
iAl系合金の酸素含有量(不活性ガス融解赤外線吸収
法により測定した)は0.11重量%であった。
【0039】上記のTiAl系合金の溶解に使用したる
つぼを使用して、上記と同じ操作を繰り返して得られた
TiAl系合金の酸素含有量は0.10重量%であっ
た。同じるつぼについて、上記と同じ操作を繰り返して
(3回目)得られたTiAl系合金の酸素含有量は0.
097重量%であり、更に上記と同じ操作を繰り返して
(4回目)得られたTiAl系合金の酸素含有量は0.
066重量%であった。
【0040】TiAl系合金の製造を4回繰り返した後
のるつぼは、内面に黄色変化及び損傷が全く認められな
かった。
【0041】[実施例2]酸化カルシウムとして、実施
例1に於けると同様の方法で製造した粉末状のカルシア
クリンカー(化学組成、CaO:99.9重量%以上、
MgO:0.02重量%以下、SiO2 :0.01重量
%以下、粒度:粒径1mm〜0.5mmのもの30重量
%、粒径0.5mm未満〜0.15mmのもの30重量
%、粒径0.15mm未満のもの40重量%)100重
量部と、実施例1で使用したフッ化カルシウム粉末15
重量部とから、実施例1に於けると同様にして混合物を
製造し、この混合物から、ラバープレスを使用して10
00kg/cm2 の静水圧でプレス成形して、るつぼ状
成形品(高さ:約170mm、上端外径:約87mm、
肉厚:約5mm)を製造した。
【0042】このるつぼ成形品を、焼成炉中で1480
℃で30分間焼成して、石灰系るつぼ(高さ:約150
mm、上端外径:約76mm、肉厚:約5mm)を製造
した。この石灰系るつぼの見掛け気孔率は4.2%であ
った。
【0043】得られた石灰系るつぼを使用して、実施例
1に於けると同様にしてTiAl系合金を製造した。得
られたTiAl系合金の酸素含有量は、0.079重量
%であった。
【0044】上記のTiAl系合金の溶解に使用したる
つぼを使用して、上記と同じ操作を繰り返して(2回
目)得られたTiAl系合金の酸素含有量は0.075
重量%であり、更に、上記と同じ操作を繰り返して(3
回目)得られたTiAl系合金の酸素含有量は0.05
8重量%であり、更に上記と同じ操作を繰り返して(4
回目)得られたTiAl系合金の酸素含有量は0.06
6重量%であった。
【0045】TiAl系合金の製造を4回繰り返した後
のるつぼは、内面に黄色変化及び損傷が全く認められな
かった。
【0046】[実施例3]フッ化カルシウム粉末の使用
量を20重量部に変え、成形体の焼成条件を1480
℃、30分間に変えた他は、実施例1に於けると同様に
して石灰系るつぼを製造した。この石灰系るつぼの見掛
け気孔率は9.5%であった。
【0047】[実施例4]フッ化カルシウム粉末の使用
量を10重量部に変え、成形体の焼成条件を1350
℃、90分間に変えた他は、実施例2に於けると同様に
して石灰系るつぼを製造した。この石灰系るつぼの見掛
け気孔率は11.3%であった。
【0048】[実施例5]酸化カルシウム粉末として、
粒度が粒径1mm〜0.5mmのもの30重量%、粒径
0.5mm未満〜0.15mmのもの40重量%、粒径
0.15mm未満のもの30重量%である他は、実施例
1で使用した酸化カルシウムと同様のものを使用し、成
形体の焼成条件を1500℃、30分間に変えた他は、
実施例1に於けると同様にして石灰系るつぼを製造し
た。この石灰系るつぼの見掛け気孔率は5.1%であっ
た。
【0049】[比較例1]高純度炭酸カルシウムを15
00℃で5時間焼成して得た酸化カルシウムをボールミ
ル粉砕して得られた粉砕物のうち、100メッシュのタ
イラー標準篩を通過した酸化カルシウム粉末を、ラバー
プレスを使用して1200kg/cm2 の静水圧でプレ
ス成形して、実施例1に於けると同様のるつぼ状成形品
を製造した。このるつぼ状成形品を、焼成炉中で180
0℃で2時間焼成して、石灰系るつぼを製造した。この
石灰系るつぼの見掛け気孔率は5.8%であった。
【0050】得られた石灰系るつぼを使用して、実施例
1に於けると同様にしてTiAl系合金を製造した。得
られたTiAl系合金の酸素含有量は、0.12重量%
であった。また、このるつぼは、TiAl系合金の熔融
操作を一回行っただけでクラックが発生し、二回目のT
iAl系合金の熔融操作に使用することはできなかっ
た。
【0051】比較例1の結果から、フッ化カルシウムを
含有しない石灰系るつぼは、その見掛け気孔率が小さく
ても熔融後の金属又は合金中の酸素含有量を減少させる
ことができず、熱衝撃抵抗も低いことが明らかである。
【0052】
【発明の効果】本発明の石灰系るつぼは、石灰系るつぼ
の優れた耐熱性、耐食性等を犠牲にすることなく、酸素
含有量の少ない金属又は合金、特にTi又はTiAl系
合金を製造することができるという顕著に優れた効果を
奏する石灰系るつぼである。
【0053】本発明の石灰系るつぼは、金属材料、特に
Ti又はTiAl系合金を溶解するために繰り返し使用
しても、熔融金属がるつぼに侵潤することが無く殆ど全
く損傷を受けることが無いので、金属材料を溶解するた
めに繰り返し使用することができるので、本発明の石灰
系るつぼは肉厚を薄くすることができ、軽量で取り扱い
が容易であるという効果も奏する。
【0054】更に、本発明の石灰系るつぼは、熔融後の
金属材料中の酸素含有率を減少させることができ、繰り
返し使用により熔融後の金属材料中の酸素含有率をより
一層減少させることができるという効果も奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F27B 14/10 C04B 35/057 F27D 1/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化カルシウム100重量部とフッ化カ
    ルシウム8〜25重量部とからなり、12%以下の見掛
    け気孔率を有することを特徴とする石灰系るつぼ。
  2. 【請求項2】 酸化カルシウム粉末100重量部とフッ
    化カルシウム粉末8〜30重量部との均一混合物をるつ
    ぼ状にプレス成形し、得られた成形体を1300〜15
    50℃の温度で、その見掛け気孔率が12%以下になる
    まで焼成することを特徴とする石灰系るつぼの製造方
    法。
JP23531592A 1992-08-11 1992-08-11 石灰系るつぼ及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3312043B2 (ja)

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