JP3308524B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

硬化性組成物

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JP3308524B2 JP16228490A JP16228490A JP3308524B2 JP 3308524 B2 JP3308524 B2 JP 3308524B2 JP 16228490 A JP16228490 A JP 16228490A JP 16228490 A JP16228490 A JP 16228490A JP 3308524 B2 JP3308524 B2 JP 3308524B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は硬化性組成物に関し、更に詳しくは、 (A)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含有
する、分子量が500〜50000の有機重合体、 (B)分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有す
る、重合体でない有機化合物、 (C)マイクロカプセル化されたヒドロシリル化触媒 を必須成分とする硬化性組成物に関する。
〔従来技術と問題点〕 従来、硬化してゴム状物質を生成する硬化性液状組成
物としては、各種のものが開発されている。中でも、深
部硬化性に優れた硬化系として、末端もしくは分子鎖中
に、1分子中に平均2個又はそれ以上のビニル基をもつ
ポリオルガノシロキサンを、珪素原子に結合する水素原
子を1分子中に2個以上有するポリオルガノハイドロジ
ェンシロキサンで架橋するものが開発され、その優れた
耐候性、耐水性、耐熱性を利用して、シーリング剤、ポ
ッティング剤として使用されている。しかし、この系は
コストが高い、接着性が悪い、カビが発生しやすい等の
点からその用途に制限を受けている。更に、上記のポリ
オルガノシロキサンは、一般に有機系重合体に対する相
溶性が悪く、ポリオルガノビニルシロキサンとヒドロシ
リル基を含有する有機重合体とを硬化させようとして
も、相分離によりヒドロシリル基を含有する有機重合体
の加水分解及び脱水素縮合反応が助長され、ボイドの為
に充分な機械特性が得られないという問題があった。
また、ヒドロシリル基を含有する有機重合体において
も、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの系と同様
に室温における貯蔵安定性が悪いという問題点もあっ
た。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明はかかる実情に鑑み鋭意研究の結果、これらの
問題を解決して、速硬化性であり、且つ深部硬化性に優
れるとともに十分な機械的特性を有する硬化性組成物を
提供するものである。即ち、従来、ヒドロシリル化によ
る硬化反応に用いられていたポリオルガノビニルシロキ
サンの代わりに、分子中に少なくとも1個のアルケニル
基を含有する有機化合物を用いれば、一般にポリオルガ
ノビニルシロキサンよりも、ヒドロシリル基を含有する
有機重合体に対する相溶性が良好である。更に、ヒドロ
シリル化触媒をマイクロカプセル化することにより、周
囲温度下では長期間貯蔵安定性を示すが、約70〜80℃以
上の温度で急速に硬化するワンパート型あるいはツーパ
ート型組成物を提供することが可能である。そこでマイ
クロカプセル化されたヒドロシリル化触媒を用いて上記
両成分を硬化させれば均一で、且つ速硬化、深部硬化性
に優れ、硬化物が十分な引張特性等の機械特性を有する
硬化性組成物が得られることを見出し本発明に到達し
た。
即ち、本発明は、下記の成分(A)、(B)及び
(C)を必須成分としてなる硬化性組成物; (A)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含有
する、分子量が500〜50000の有機重合体、 (B)分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有す
る、重合体でない有機化合物、 (C)マイクロカプセル化されたヒドロシリル化触媒、 を内容とするものである。
本発明の(A)成分である分子中に少なくとも2個の
ヒドロシリル基を有する分子量が500〜50000である有機
重合体としては、各種の主鎖骨格を有する重合体を用い
ることができる。
例えば、ポリエーテル系重合体、ポリエステル系重合
体、炭化水素系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系
重合体、ポリカーボネート系重合体が挙げられる。
まず、ポリエーテル系重合体としては、例えば−CH2O
−,−CH2CH2O−,−CH2CH2CH2O−, 等がその主鎖骨格の構造単位として具体的に挙げられ
る。
ポリエーテル系重合体としてはこれら構造単位が1種
類結合されるだけでなく、2種以上の構造単位が混合さ
れた形で結合されていてもよい。具体的な重合体を例示
すれば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、
ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリ
オキシプロピレン共重合体等が挙げられる。また、ポリ
エーテル系重合体は、線状でも、枝分かれ状でも良い。
ポリエステル系重合体としては、該重合体を構成する
主鎖骨格は例えば、多塩基酸及び多価アルコールを、直
接エステル化法、エステル交換法等の方法により重縮合
することによって製造されるものが挙げられる。具体的
には以下に挙げるような成分を重縮合すればよいが、こ
れらのものに制限されるものではない。
〔2価のアルコール〕 エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン
ジオール、ヘキサメチレングリコール、水素化ビスフェ
ノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジ
オール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール 〔3価以上の多価アルコール〕 グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロール
プロパン、ペンタエリスリトール 〔2価カルボン酸〕 フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒド
ロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラクロルフタ
ル酸、ポリブタジエンジカルボン酸、蓚酸、マロン酸、
コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマ
ル酸、シクロペンタンジカルボン酸 〔3価以上の多価カルボン酸〕 トリメリット酸、ブタントリカルボン酸、ピロメリッ
ト酸 更に上記カルボン酸の無水物、アシルハライド等も多
価カルボン酸と同様に用いることができる。
またポリエステル系重合体の主鎖骨格は、ラクトンの
開環重合によっても製造することができる。ラクトンと
しては、例えばβ−プロピオラクトン、ビバロラクト
ン、α−メチル−β−プロピオラクトン、δ−バレロラ
クトン、メチル−δ−バレロラクトン、ジメチル−δ−
バレロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−メチル−ε
−カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン等が
挙げられる。
ポリエステル系重合体は、線状でも、枝分かれ状でも
よい。
炭化水素系重合体を構成する単量体成分としては、炭
素数2〜12のオレフィン及びアセチレン類、共役ジエン
類、ビニルエーテル類、芳香族ビニル化合物類等が挙げ
られる。単量体成分の具体例としては、エチレン、アセ
チレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブ
チレン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブ
テン、ペンテン、ペンチン、4−メチル−1−ペンテ
ン、ヘキセン、ヘキシン、ビニルシクロヘキサン、ブタ
ジエン、イソプレン、クロロプレン、シクロペンタジエ
ン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イ
ソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレ
ン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロ
スチレン、β−ピネン、インデン、シクロペンタジエン
等が挙げられる。これらの中でプロピレン、1−ブテ
ン、2−ブテン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレ
ン等が好適である。上に挙げた単量体成分を1種又は2
種以上併用して、ラジカル重合法、イオン重合法、配位
イオン重合法、ケネディー(Kennedy)らによって提案
されているリビングカチオン重合法(いわゆるイニファ
ー法)等により種々の炭化水素系重合体を得ることがで
きる。またジエン類及びアセチレン類を用いて重合を行
った場合には2重結合が主鎖又は側鎖に残存することに
なるが、これを利用して後でヒドロシリル基を導入する
こともできる。また、該重合体を耐候性の要求される用
途に用いる場合には、水素添加したものを用いてもかま
わない。
炭化水素系重合体を例示するならば、ポリイソブチレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体、1,2−ポリブタジ
エン、1,4−ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポ
リイソプレン、水添ポリイソプレン等が挙げられるが、
これらに限定されるものではない。また炭化水素系重合
体は、線状でも、枝分かれ状でも良い。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体を構成する単量
体成分としては、メチルアクリレート、エチルアクリレ
ート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリ
レート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレ
ート、sec.−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアク
リレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリ
レート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリ
レート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル
アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−
エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアク
リレート、2−フェノキシエチルアクリレート、エチル
カルビトールアクリレート、アリルアクリレート、グリ
シジルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレー
ト、アクリル酸、アクリル酸ソーダ、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート、1,4−ブタンジオールジアク
リレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネ
オペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート等のアクリル酸及びアクリル酸
エステルモノマー、メチルメタクリレート、エチルメタ
クリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタク
リレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキ
シルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデ
シルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シク
ロヘキシルメタクリレート、プロピルメタクリレート、
ベンジルメタクリレート、イソプロピルメタクリレー
ト、sec.−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレ
ート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチル
アミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、アリルメ
タクリレート、エチレングリコールメタクリレート、ト
リエチレングリコールメタクリレート、テトラエチレン
グリコールメタクリレート、1,3−ブチレングリコール
メタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリレー
ト、2−エトキシエチルメタクリレート、2−メトキシ
エチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメチルク
ロライド塩メタクリレート、メタクリル酸、メタクリル
酸ソーダ等のメタクリル酸及びメタクリル酸エステルモ
ノマーを挙げることができる。更に該(メタ)アクリル
酸及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーに加え
て、アクリルアミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル、
スチレン、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタ
ジエン、イソプレン、クロロプレン等のビニルモノマー
を共重合体成分として用いることができる。
上記単量体成分を1種又は2種以上併用してラジカル
重合法、イオン重合法、デュポン(Du Pont)社より提
案されているGTP法(Group Transfer Polymerization)
等の方法により、種々の(メタ)アクリル酸エステル系
重合体を得ることができる。
該重合体は線状でも枝分かれ状でもよい。
ポリカーボネート系重合体も各種のものを用いること
ができる。本発明でいうポリカーボネート系重合体と
は、1個以上のカーボネート結合を介してジヒドロキシ
化合物の分子量を増大させた構造をもつ重合体を意味す
る。
該ポリカーボネート系重合体は通常行われている重合
反応、即ち(1)ジヒドロキシ化合物とホスゲンを反応
させる方法、(2)アルキレンカーボネートとジヒドロ
キシ化合物とのエステル交換反応により合成する方法、
(3)ジアルキルカーボネートとジヒドロキシ化合物と
のエステル交換により合成する方法などを用いて製造す
ることができる。この際に用いられるジヒドロキシ化合
物としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオ
ール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、
2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3
−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−
シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオー
ル、2,2′−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)
−プロパン、p−キシレンジオール、p−テトラクロロ
キシレンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサ
ン、3(4),8(9)−ビス−(ヒドロキシメチル)−
トリシクロデカンジメチロール、ビス−ヒドロキシメチ
ルテトラヒドロフラン、ジ(2−ヒドロキシエチル)ジ
メチルヒダントイン、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール、 などが挙げることができる。これらのジヒドロキシ化合
物を用いて製造されたポリカーボネート系重合体は線状
でもよく、また多官能性ヒドロキシ化合物を重合時に併
用するなどにより枝分かれ状になっていてもかまわな
い。
本発明の重合体に含有されるヒドロシリル基は、分子
中にあっても分子末端にあってもよい。本発明のヒドロ
シリル基含有有機重合体を用いてゴム状硬化物を作製す
る場合に、ヒドロシリル基が分子末端にある方が硬化物
の有効網目鎖長が長くなるので好ましい。
本発明の(A)成分に含有されるヒドロシリル基とし
ては、特に制限はないが、式(II) X−CH2CH2−R2 (II) 〔Xは、 (式中、Rは、H,OSi(CH3及び炭素数が1〜10の炭
化水素基より選ばれる基であり、それぞれのRは同じで
も異なっていてもよい。mは正の整数、n,p,qは0又は
正の整数で、且つ1≦m+n+p+q≦50) あるいは、 (式中、Rは上記に同じ。mは正の整数、nは0又は正
の整数で、且つ2≦m+n≦50) で表される少なくとも1個のヒドロシリル基を含有する
基。R2は、式 −R3−、−R4−O −R5−、 (式中、R3、R4、R5は炭素数1〜20の2価の炭化水素
基)で示される2価の有機基から選ばれる基。aは0又
は1の整数。〕 で示される基が好ましい。
具体的に例示するならば、−Si(H)(CH33-n,
−Si(H)(C2H53-n,−Si(H)(C6H5
3-n(n=1〜3),−SiH2(C6H13)などのケイ素原子
1個だけ含有するヒドロシリル基、−Si(CH32Si(CH
32H,−Si(CH32CH2CH2Si(CH32H,−Si(CH32Si
CH3H2−Si(CH32NHSi(CH32H,−Si(CH32N[Si(CH3
2H]2, などのケイ素原子を2個以上含むヒドロシリル基、 (式中、Rは水素、炭素数10以下のアルキル基、アリー
ル基、−OSi(CH3より選ばれる基で、それぞれのR
は同じでも異なっていてもよい。m,nは正の整数で且つ
2≦m+n≦20) (式中、Rは上記に同じ。pは正の整数、qは0又は正
の整数であり、且つ2≦p+q≦4) (式中、Rは上記に同じ。mは正の整数、n,p,qは0又
は正の整数で、且つ1≦m+n+p+q≦50) (式中、m、nは正の整数で、且つ2≦m+n≦20)、
Rは水素、炭素数10以下のアルキル基、アリール基、−
OSi(CH3より選ばれる基) などで示される鎖状、枝分かれ状、環状の各種の多価ハ
イドロジェンシロキサンより誘導されたヒドロシリル基
などが挙げられる。
上記の各種のヒドロシリル基のうち、本発明のヒドロ
シリル基含有の有機化合物の各種有機重合体に対する相
溶性を損なう可能性が少ないという点から、ヒドロシリ
ル基を構成する部分の分子量は500以下が望ましく、さ
らにヒドロシリル基の反応性も考慮すれば、下記のもの
が好ましい。
(式中、pは正の整数、qは0又は正の整数であり、且
つ2≦p+q≦4) また重合体の反応性(ヒドロシリル基の反応性)が大
きく他の重合体との相溶性がよいという点から、環状ポ
リシロキサンに基づき、珪素原子に水素が結合している
基が特に好ましい。
該ヒドロシリル基の個数については少なくとも1分子
中に2個あればよいが、2〜15個が好ましく、3〜12個
が特に好ましい。本発明のヒドロシリル基含有有機重合
体をヒドロシリル化触媒存在下に、アルケニル基を含有
する有機重合体と混合してヒドロシリル化反応により硬
化させる場合には、該ヒドロシリル基の個数が2より少
ないと、硬化が遅く硬化不良を起こす場合が多い。また
該ヒドロシリル基の個数が15より多くなると、該重合体
の安定性が悪くなり、その上硬化後も多量のヒドロシリ
ル基が硬化物中に残存し、ボイドやクラックの原因とな
る。
該ヒドロシリル基と有機重合体との結合様式には、特
に制限はない。炭素−酸素結合あるいは炭素−ケイ素結
合の炭素が、更にウレタン、エステル、エーテル、カー
ボネート結合を介して、有機重合体の主鎖骨格に結合し
ているものなどが例示される。
本発明のヒドロシリル基含有の有機重合体の分子量
は、取扱やすさ、合成のしやすさ、他ポリマーとの相溶
性などを考慮して500〜50000が好ましく、500〜20000が
特に好ましい。
本発明のヒドロシリル基含有の有機重合体の製造方法
については特に制限はなく、任意の方法を用いればよ
い。例えば、(i)分子内にSi−Cl基をもつ有機重合体
をLiAlH4,NaBH4などの還元剤で処理して該重合体中のSi
−Cl基をSi−H基に還元する方法、(ii)分子内にある
官能基Xをもつ有機重合体と分子内に上記官能基Xと反
応する官能基Y及びヒドロシリル基を同時にもつ化合物
とを反応させる方法、(iii)アルケニル基を含有する
有機重合体に対して少なくとも2個のヒドロシリル基を
もつポリヒドロシラン化合物を選択ヒドロシリル化する
ことにより、反応後もヒドロシリル基を重合体の分子中
あるいは分子末端に残存させる方法などが考えられる。
本発明に用いられる(B)成分である、分子中に少な
くとも2個のアルケニル基を含有する有機化合物として
は各種有機化合物を使用することができる。
アルケニル基としては、式(I) (式中、R1は水素又はメチル基) で示されるものが好適であり、例として以下の化合物が
挙げられる。
まず、エステル系化合物としては、式(III) (R6は炭素数1〜20の2価の炭化水素基、R7は炭素数1
〜30の1〜4価の有機基、aは1〜4から選ばれる整
数、bは0又は1。)で示されるアルケニル基を含有す
る化合物である。式(III)中、R6の中には1個以上の
エーテル結合が含有されていてもかまわない。具体的に
は、 −CH2−,−CH2CH2−,−O−CH2CH2−,−O−CH2CH2C
H2− 等が挙げられる。合成上の容易さから−CH2−が好まし
い。
式(III)中、R7は炭素数1〜30の芳香族系又は脂肪
族系の1〜4価の有機基である。具体的に示すならば、
CH3−,CH3CH2−,CH3CH2CH2−, −(CH2−,−(CH2−,−(CH2−,−(C
H2−,−(CH2−,−(CH2−, などが挙げられる。これらのうちで下記のものが好まし
い。
−(CH2−,−(CH2−,−(CH2−, 次に、炭化水素系化合物としては、式(IV) (CH2=CH−RR b aR9 (IV) (R8は炭素数1〜20の2価の炭化水素基、R9は炭素数2
〜50の1〜4価の炭化水素基、aは1〜4から選ばれる
整数、bは0又は1。)で示されるアルケニル基を含有
する化合物である。式(IV)中R8は式(III)中のR6
同一である。
式(IV)中、R9は炭素数2〜50の1〜4価の炭化水素
基を表すが、具体的には これらのうちで、−(CH2−(n=2〜50), が好ましい。
またエーテル系化合物としては、式(V) (CH2=CH−R10 b−OaR11 (V) (R10は炭素数1〜20の炭化水素基、R11は炭素数1〜30
の1〜4価の有機基、aは1〜4から選ばれる整数、b
は0又は1。)で示されるアルケニル基を含有する化合
物である。式(V)中R10は式(III)中のR6と同一であ
る。
式(V)中、R11は炭素数1〜30の芳香族系又は脂肪
族系の1〜4価の有機基である。具体的に示すならば、
CH3−,CH3CH2−,CH3CH2CH2−, などが挙げられる。これらのうちで、下記のものが好ま
しい。
更に、カーボネート系化合物としては、式(VI) (R12は炭素数1〜20の炭化水素基、R13は炭素数1〜30
の1〜4価の炭化水素基、aは1〜4から選ばれる整
数、bは0又は1。)で示されるアルケニル基を含有す
る化合物である。式(VI)中R12は式(III)中のR6と同
一、R13は式(V)中のR11と同一である。
本発明中の(C)成分であるマイクロカプセル化され
たヒドロシリル化触媒としては、公知の各種ヒドロシリ
ル化触媒をマイクロカプセル化したものが用いられる。
ヒドロシリル化触媒の具体例としては、白金の単体、
アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白
金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコ
ール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィ
ン錯体{例えば、Pt(CH2=CH2(PPh32Pt(CH2
CH22Cl2};白金−ビニルシロキサン錯体{例えば、P
tn(ViMe2SiOSiMe2Vi)、Pt〔(MeViSiO)};
白金−ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh3、Pt(PB
u3};白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P
(OPh3、Pt〔P(OBu)}(式中、Meはメチ
ル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を
表し、n、mは整数を表す)、ジカルボニルジクロロ白
金、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601及
び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合
体、並びにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972
号明細書中に記載された白金アルコラート触媒も挙げら
れる。更にモディック(Modic)の米国特許第3516946号
明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本
発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PP
h33,RhCl3,Rh/Al2O3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3,PdCl2
・2H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げられる。これらの触媒は単
独で使用してもよく、2種以上併用してもかまわない。
触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、
白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。
ヒドロシリル化触媒が封入されるマイクロカプセルと
して有用なポリマーは触媒に不溶で且つ該触媒を透過さ
せない熱可塑性有機ポリマーが好適で、具体的には、少
なくとも1個のエチレン性不飽和有機化合物に由来する
もの、1分子当り複数の縮合基を含有する少なくとも2
個の有機化合物間の縮合反応に由来するもの等が挙げら
れる。前者の例としては、例えばエチレン、スチレン、
塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アク
リル酸もしくはメタクリル酸のエステル等のポリマー又
はコポリマーが挙げられ、後者の例としては、ポリアミ
ド及びポリエステル等が挙げられ、更に酢酸セルロース
エステル及びセルロースアセテートブチラート等の混合
エステルも用いることができるが、これらに限定される
ものではない。これらの熱可塑性有機ポリマーはカプセ
ル化された触媒の全重量の少なくとも50%、より好まし
くは70%を占めることが好ましい。熱可塑性有機ポリマ
ーが50%未満では、カプセル内の触媒がカプセルを形成
するポリマー層を通して拡散する場合がある。
ヒドロシリル化触媒をマイクロカプセル化するための
好ましい方法の1つとしては、可溶化状態の封入用の前
記ポリマーを分離相の一部分として触媒組成物も含有す
るエマルジョンから析出させる方法が挙げられる。この
方法の第1工程で、微細固体粒子状又は微細液滴状触媒
を封入剤ポリマー溶液中に分散させる。触媒が液体の場
合は、必要に応じて固体粒子の表面に吸着させてもよ
い。封入用ポリマーの溶媒は、エマルジョンの連続相と
不混和でなければならず、水、有機溶媒又は液状オルガ
ノシロキサン等が用いられる。更に封入剤溶媒又は該溶
媒とエマルジョンの連続相の共沸混合物の沸点は封入用
ポリマーの沸点よりも低くなければならない。
第2の工程として、封入すべき触媒の周囲に封入剤相
を析出させる。この析出が起こるためには、封入すべき
触媒の表面で封入剤の吸着を推進する力が必要である。
第3の工程で、封入剤を凝固する。凝固手段として
は、第2の工程で封入剤の分離をさせるのに用いた手段
を継続させてもよいし、封入剤の化学的結合生成に伴う
凝固によるものでもよい。このようにして、生成したマ
イクロカプセル化触媒は従来の濾過及び乾燥技術で単離
される。
前述の方法で製造した、触媒を封入したマイクロカプ
セルの外表面に触媒が存在すると、組成物の貯蔵安定性
が著しく劣化する恐れがあるため、封入用ポリマーを溶
解せず且つ触媒を溶解する溶媒で、マイクロカプセルを
洗浄することが好ましい。封入用ポリマーを沈澱させる
エマルジョンの連続相に水を用いる場合、エマルジョン
形成を容易にするため、界面活性剤又は乳化剤を水にあ
らかじめ加えておいてもよい。該界面活性剤は、触媒と
反応したり活性を阻害するものであってはならない。
上記の如くして得られたマイクロカプセル化触媒は、
触媒を包む熱可塑性ポリマーの融点又は軟化点まで組成
物が加熱されるまでは、組成物の他の成分から遮断され
ているため、室温下では長期間安定であるが、熱可塑性
ポリマーの融点又は軟化点を超える温度では比較的急速
に硬化することを特徴とする。また、シリコーン付加型
の系に比べこの有機系の組成物においては、マイクロカ
プセル化触媒の分散性が良く均一な硬化物を与えるとい
う点でも優れている。
本発明の上記(A)、(B)及び(C)成分を混合
し、硬化させれば発泡等の現象を伴うことなく深部硬化
性に優れた均一な硬化物が得られる。
(A)成分中のヒドロシリル基と(B)成分中のアルケ
ニル基との比率はモル比で0.2〜5.0が好ましく、更に0.
4〜2.5が特に好ましい。モル比が0.2より小さくなる
と、硬化が不充分でベトツキのある強度の小さい硬化物
しか得られず、またモル比が5.0より大きくなると硬化
後も硬化物中に活性なヒドロシリル基が多量に残存する
ので、クラック、ボイドが発生し、均一で強度のある硬
化物が得られない。
また、触媒量としては特に制限はないが、マイクロカ
プセル化した触媒のモル数が(B)成分中のアルケニル
基1molに対して10-1〜10-8molの範囲で用いるのがよ
い。好ましくは10-3〜10-6molの範囲で用いるのがよ
い。10-8molより少ないと硬化が十分に進行しない。ま
たヒドロシリル化触媒は一般に高価で腐食性であるの
で、10-1mol以上用いないほうが望ましい。
硬化条件については特に制限はないが、一般に0℃〜
200℃、好ましくは30〜150℃で10秒〜4時間硬化するの
がよい。特に80〜150℃での高温では10秒〜1時間程度
の短時間で硬化するものも得られる。硬化物の性状は用
いる(A)及び(B)成分の主鎖骨格や分子量等に依存
するが、ゴム状のものから樹脂状のものまで作製するこ
とができる。
硬化物を作製する際には、(A)、(B)及び(C)
の必須3成分の他に、その使用目的に応じて溶剤、接着
性改良剤、物性調整剤、保存安定性改良剤、可塑剤、充
填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、オ
ゾン劣化防止剤、光安定剤、アミン系ラジカル連鎖禁止
剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤等の各
種添加剤を適宜添加できる。
〔実施例〕
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する
が、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではな
い。
合成例1 特開昭53−134095に開示された方法に従って、末端に
アリル型オレフィン基を有するポリオキシプロピレンを
合成した。
平均分子量3000であるポリオキシプロピレングリコー
ルと粉末苛性ソーダを60℃で撹拌し、ブロモクロロメタ
ンを加えて、反応を行い、分子量を増大させた。次に、
アリルクロライドを加えて、110℃で末端をアリルエー
テル化した。これをケイ酸アルミニウムにより処理し
て、精製末端アリルエーテル化ポリオキシプロピレンを
合成した。
このポリエーテルの平均分子量は7960であり、ヨウ素
価から末端の92%がオレフィン基であった。E型粘度計
による粘度は130ポイズ(40℃)であった。
合成例2 撹拌棒、滴下ロート、温度計、3方コック、冷却管を
備え付けた14つ口フラスコを準備した。次に窒素雰
囲気下で環状ポリシロキサン (信越化学(株)製、LS8600)41.7g(0.173mol)をフ
ラスコ内に仕込んだ。合成例1で合成した分子末端の92
%がアリル基であるポリプロピレンオキシド300g(アリ
ル基のモル数0.069mol)、トルエン230m、及び塩化白
金酸触媒溶媒(H2PtCl6・6H2O 1gをエタノール1m、1,
2−ジメトキシエタン9mに溶解させた溶液)83μか
らなるトルエン溶液を滴下ロートへ仕込んだ。フラスコ
を70℃に加熱し、該トルエン溶液を1分間に約2mの割
合で5時間かけて滴下した。その後反応温度を80℃に上
げ約6時間撹拌した時点で、反応溶液中の残存アリル基
をIRスペクトル分析法により定量したところ、1645cm-1
の炭素−炭素二重結合が消失していることが確認され
た。更に、反応系中のトルエン及び未反応の過剰の環状
ポリシロキサンを除去するために減圧脱気を80℃で3時
間行い、ヒドロシリル基を有するポリプロピレンオキシ
ド約315gが、淡黄色、粘稠な液体として得られた。E型
粘度計による粘度は310ポイズ(40℃)であった。該ポ
リプロピレンオキシド中のヒドロシリル基はIRスペクト
ルで2150cm-1の強い吸収として確認された。300MHzのNM
Rスペクトルを分析し、Si−CH3とSi−CH2−とを合わせ
たピークの強度とSi−Hのピークの強度を比較すること
により、該環状ポリシロキサン1分子当たり平均1.31個
のヒドロシリル基が反応したことがわかった。即ち、該
重合体は環状ハイドロジェンポリシロキサンにより一部
分子量が増大した、次式の分子末端を有するポリプロピ
レンオキシドである。
合成例3 300g(0.1モル)の末端水酸基ポリカプロラクトン
(数平均分子量3000、水酸基当量1500)、24.0gのピリ
ジン、300mのTHFを攪拌棒、温度計、滴下ロート、窒
素吹き込み管、冷却管を付設した丸底フラスコに仕込
み、室温下、滴下ロートより32gのクロルギ酸アリルを
徐々に滴下した。その後50℃に加熱し3時間攪拌した。
生成した塩を濾過で除いた後150mのトルエンを添加
し、200mの塩酸水溶液で洗浄、中和、濃縮することに
よりアリル末端ポリカプロラクトンを得た。得られたオ
リゴマーのVPO測定から数平均分子量は3200であった。3
00MHzのNMRのオレフィン部分のスペクトルよりアリル基
の導入が確認できた。またヨウ素価滴定によるオレフィ
ンの定量から1分子中に平均2.0個のアリル型不飽和基
が導入されていることを確認した。
合成例4 撹拌棒、滴下ロート、温度計、3方コック、冷却管を
備え付けた300mの4つ口フラスコを準備した。次に窒
素雰囲気下で環状ポリシロキサン (信越化学(株)製、LS8600)34.55g(0.1435mol)を
フラスコ内に仕込んだ。合成例3で合成した1分子中に
平均2.0個のアリル基を有するポリカプロラクトン100g
(オレフィンのモル数0.0575mol)、トルエン100m、
及び塩化白金酸触媒溶媒(H2PtCl6・6H2O 1gをエタノー
ル1m、1,2−ジメトキシエタン9mに溶解させた溶
液)60μからなるトルエン溶液を滴下ロート内へ仕込
んだ。フラスコを70℃に加熱し、該トルエン溶液を約2
時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で約5時間攪拌
した時点で、反応溶液中の残存アリル基をIRスペクトル
分析法により定量したところ、1645cm-1の炭素−炭素二
重結合が消失していることが確認された。次に反応系中
に残存している触媒を除去するために、シリカゲル(和
光純薬(株)製、ワコーゲルC−200)10gを室温で加
え、2時間攪拌してフラッシュ・カラムを用いて濾過し
た。トルエン及び過剰の環状ポリシロキサンを除去する
ために、濾液をエバポレートし、更に減圧脱揮を80℃で
3時間行い、無色透明の粘稠な液体を得た。該ポリカプ
ロラクトン中のヒドロシリル基はIRスペクトルで2150cm
-1の強い吸収として確認された。300MHzのNMRスプクト
ルでSi−HのピークととSi−CH3及びSi−CH2−とを合わ
せたピークの強度を比較することにより、該環状ポリシ
ロキサン1分子当たり平均1.05個のヒドロシリル基が反
応したことがわかった。即ち、該重合体は環状ハイドロ
ジェンポリシロキサンにより一部分子量が増大した、次
式の分子末端を有するポリカプロラクトンである。
合成例5 両末端水酸基を有する水素添加ポリイソプレン(出光
石油化学(株)製、商品名エポール)300gにトルエン50
mを加え共沸脱気により脱水した。t−BuOK48gをTHF2
00mに溶解したものを注入した。50℃で1時間反応さ
せた後、アリルクロライド47mを約30分間かけて滴下
した。滴下終了後50℃で1時間反応させた。反応終了
後、生成した塩を吸着させるために反応溶液にケイ酸ア
ルミ30gを加え、30分間室温で攪拌した。濾過精製によ
り約250gのアリル末端水添ポリイソプレンを粘稠な液体
として得た。300MHz1H NMR分析により末端の92%にアリ
ル基が導入されていることが確認された。ヨウ素価より
求めたオレフィンのモル数は0.1072mol/100gであった。
またE型粘度計による粘度は302ポイズ(32℃)であっ
た。
*エポールの代表的な物性値(技術資料より) 水酸基含有量(meq/g) 0.90 粘度(poise/30℃) 700 平均分子量〔VPO測定〕 2500 合成例6 撹拌棒、滴下ロート、温度計、3方コック、冷却管を
備え付けた300mの4つ口フラスコを準備した。次に窒
素雰囲気下で環状ポリシロキサン (信越化学(株)製、LS8600)31.5g(0.131mol)をフ
ラスコ内に仕込んだ。合成例5で合成した、分子末端の
92%がアリル基である水添ポリイソプレン50g(オレフ
ィンのモル数0.0536mol)、トルエン50m、及び塩化白
金酸触媒溶媒(H2PtCl6・6H2O 1gをエタノール1m、1,
2−ジメトキシエタン9mに溶解させた溶液)60μか
らなるトルエン溶液を滴下ロートへ仕込んだ。フラスコ
を70℃に加熱し、該トルエン溶液を約2時間かけて滴下
した。滴下終了後、80℃で約5時間攪拌した時点で、反
応溶液中の残存アリル基をIRスペクトル分析法により定
量したところ、1645cm-1の炭素−炭素二重結合が消失し
ていることが確認された。次に反応系中に残存している
触媒を除去するために、シリカゲル(和光純薬(株)
製、ワコーゲルC−200)5gを室温で加え、2時間攪拌
してフラッシュ・カラムを用いて濾過した。トルエン及
び過剰の環状ポリシロキサンを除去するために、濾液を
エバポレートし、更に減圧脱揮を80℃で3時間行い、無
色透明の粘稠な液体を得た。E型粘度計による粘度は51
4ポイズ(23℃)であった。該水添ポリイソプレン中の
ヒドロシリル基はIRスペクトルで2150cm-1の強い吸収と
して確認された。また300MHzのNMRスプクトルでSi−H
のピークとSi−CH3及びSi−CH2−とを合わせたピークの
強度を比較することにより、該環状ポリシロキサン1分
子当たり平均1.2個のヒドロシリル基が反応したことが
わかった。即ち、該重合体は環状ハイドロジェンポリシ
ロキサンにより一部分子量が増大した、次式の分子末端
を有する水添ポリイソプレンである。
合成例7 撹拌棒、滴下ロート、温度計、3方コック、冷却管を
備えつけた1の4つ口フラスコを準備した。次に窒素
雰囲気下でトルエン20mを仕込んだ。n−ブチルアク
リレート25.6g、アリルメタクリレート2.52g、n−ドデ
シルメルカプタン0.81g、アゾビスイソブチロニトリル
1.0g、トルエン100mよりなるモノマーのトルエン溶液
を、トルエン還流下に、滴下ロートより約1時間かけて
滴下した。滴下終了後、さらに2時間反応させた。該ト
ルエン溶液をケイ酸アルミと処理した後、濾過助剤(珪
藻土)を用いて吸引濾過することにより、ほぼ透明な溶
液を得た。この溶液をエバポレートし、更に80℃で3時
間減圧乾燥することにより、淡黄色の粘稠な液状オリゴ
マー約26gを得た。ヨウ素価滴定による重合体中のアリ
ル基のモル数は0.154mol/100g、VPOによる分子量は3900
であった。分子量及びヨウ素価滴定によるアリル基のモ
ル数より、重合体1分子中に平均して約6.0個のアリル
基が導入されたことがわかった。
合成例8 撹拌棒、滴下ロート、温度計、3方コック、冷却管を
備え付けた200mの4つ口フラスコを準備した。次に窒
素雰囲気下で環状ポリシロキサン (信越化学(株)製、LS8600)9.26g(38.5mmol)及び
トルエン20mをフラスコ内に仕込んだ。合成例7で合
成したアリル基含有アクリル酸エステル重合体10g、塩
化白金酸触媒溶媒(H2PtCl6・6H2O 1gをエタノール1m
、1,2−ジメトキシエタン9mに溶解させた溶液)16
μをトルエン30mに溶解したトルエン溶液を滴下ロ
ート内へ仕込んだ。フラスコを70℃に加熱し、該トルエ
ン溶液を1分間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了
後、80℃で更に2時間反応させた。この時点で、反応溶
液中の残存アリル基をIRスペクトル分析法により定量し
たところ、1645cm-1の炭素−炭素二重結合が消失してい
ることが確認された。次に、反応系中に残存している触
媒を除去するためにシリカゲル(和光純薬(株)製ワコ
ーゲルC−200)2gを加え室温で約30分攪拌した後、フ
ラッシュカラムを用いて濾過した。トルエン及び過剰の
環状ポリシロキサンを除去するために、濾液をエバポレ
ートし、更に減圧脱気を80℃で3時間行い、無色透明の
粘稠な液体を得た。該アクリル酸エステル系重合体中の
ヒドロシリル基はIRスペクトルで2150cm-1の強い吸収と
して確認された。また300MHzのNMRスペクトルでSi−H
のピークとSi−CH3及びSi−CH2とを合わせたピークとの
強度を比較することにより、該環状ポリシロキサン1分
子当たり平均約1.1個のヒドロシリル基が反応したこと
がわかった。即ち、該重合体は環状ハイドロジェンポリ
シロキサンにより一部分子量が増大した次式のような構
造をもつヒドロシリル基含有のアクリル酸エステル系重
合体である。
合成例9 ビスフェノールA114g(0.5mol)、5N水酸化ナトリウ
ム水溶液250m(1.25mol)及びイオン交換水575mを
よく混合した。次に相間移動触媒としてベンジルトリエ
チルアンモニウムクロライド を加えた。該水溶液にアリルブロマイド242g(2.0mol)
をトルエン300mに溶解した溶液を、滴下ロートより徐
々に滴下した。80℃で2時間攪拌しながら反応させた。
この時点で水層のpHを測定すると酸性になっていたので
加熱攪拌を止めた。重曹水で有機層を洗浄した後、更に
イオン交換水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。エバポレー
ションにより揮発分を除去後、80℃で2時間減圧乾燥す
ることにより淡黄色の粘稠な液体146g(収率95%)を得
た。この粘稠な液体は元素分析、300MHz1HNMR、IRスペ
クトルなどの同定により、ビスフェノールAのジアリル
エーテル であることが確認された。
合成例10 撹拌棒、滴下ロート、温度計、3方コック、冷却管を
備えつけた2のセパラブルフラスコを準備した。ま
ず、反応器に窒素気流中ポリビニルアルコール(日本合
成化学工業(株)製、商品名ゴーセノールGH20M)7.5g
を300mの水に溶かしたものを仕込み、次に塩化白金酸
とテトラメチルジビニルシロキサンの反応混合物である
白金化合物1.33g、ポリスチレン(旭化成工業(株)
製、商品名スタイロン)14.0gを塩化メチレン150mに
溶解させたものを約15分かけて滴下した。その後、水10
00mを添加し室温で2時間、45℃にて12時間攪拌し
た。反応終了後、混合物を遠心分離・濾過により濃縮し
マイクロカプセル粗製物を得た。これをメタノールで洗
浄した後、減圧乾燥機で室温5時間乾燥させマイクロカ
プセル精製物5.0gを得た。得られたマイクロカプセル
は、微粉末状無色の固体であり、CHNレコーダーによる
元素分析及び原子吸光による白金分析の結果、ポリスチ
レン90%、白金320ppmに相当する白金化合物10%を含有
することがわかった。
実施例1 合成例9で製造したアリル基含有エーテル系化合物と
合成例2、4、6及び8で製造した各種の主鎖骨格をも
つSi−H基含有の有機重合体との相溶性を調べるために
第1表に示すような組合せで、該硬化剤所定量と該有機
重合体1.0gをよく混合し、遠心脱泡後、混合状態を観察
した。わずかに白濁するものもあるが、概ね透明で均一
であった。該アリル基含有エーテル系化合物は各種の有
機重合体に対して良好な相溶性を有していることがわか
った。
次に硬化性を調べるために上記の各混合物に合成例10
で合成したマイクロカプセル化触媒を所定量加えよく混
合した。該混合物の一部をゲル化試験器(日新科学
(株)製)の上に採り、所定温度でスナップアップタイ
ム(ゴム弾性になるまでの時間)を測定した。結果を第
1表に示したが、該組成物は高温速硬化性であることが
わかった。
実施例2 合成例2で製造したSi−H基含有エーテル系重合体の
所定量、合成例9で製造したエーテル系化合物、及び第
2表に示したエステル系化合物、炭化水素系化合物、ポ
リカーボネート系化合物及び合成例10で合成したマイク
ロカプセル化触媒を第2表に示す割合でよく攪拌混合し
た。該混合物を遠心分離により脱泡してポリエチレン製
の型粋に流し込んだ。室温減圧下で再度脱泡を行った後
100℃で1時間硬化させることにより、厚さ約3mmの均一
なゴム状硬化物が得られた。該硬化物のシートからJIS
K 6301に準拠した3号ダンベルを打抜き、引張速度20mm
/minで引張試験を行った。結果を第3表に示す。
第3表から、本発明の硬化性組成物を用いれば、短時
間で硬化して均一なゴム状硬化物を製造できることがわ
かった。
実施例3 合成例2で製造したSi−H基含有ポリプロピレンオキ
シド12.0g、合成例9で得られたアリル基含有のエーテ
ル系化合物1.3g(アリル基とSi−H基のモル比が1)及
び合成例10で合成したマイクロカプセル化触媒0.57gを
よく攪拌混合した。該混合物を遠心分離により脱泡後、
縦6cm、横0.8cm、深さ1.8cmの型枠に流し込んだ。室温
減圧下で再度脱泡を行った後、100℃で30分硬化させる
ことにより、厚さ13mmのゴム状硬化物を得た。JIS K 63
01 5−2項スプリング式硬さ試験(A形)に定める硬化
測定方法により硬度を測定したところ、硬化物の表面は
21、裏面も20で、深部硬化性の良好なサンプルが得られ
た。
実施例4 合成例2、4及び6のSi−H基含有有機重合体と合成
例9のアリル基含有化合物、合成例10で得られたマイク
ロカプセル化触媒の各所定量を第4表に示す割合で良く
攪拌混合した。これらの組成物を室温で保存し、その貯
蔵安定性をE型粘度計を用いた粘度の経時変化として評
価した結果を第4表に示す。組成物の粘度上昇が1カ月
にわたってほとんど見られなかったことにより、マイク
ロカプセル化触媒を用いた組成物は高い貯蔵安定性を示
すことが確認された。
比較例1 実施例4で用いたマイクロカプセル化触媒の代わりに
塩化白金酸触媒(H2PtCl6・6H2O 1gをCH3OH 1mとジメ
トキシエタン99mに溶解させたもの)3μ加えたも
のを室温で放置したところすべての組成物が1週間以内
にゲル化を起こした。
〔発明の効果〕
本発明の組成物は貯蔵安定性に優れ、さらにこの組成
物を用いることにより、機械的特性が良好で、速硬化性
であり、且つ深部硬化性にも優れた均一な硬化物を得る
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩原 孝尚 兵庫県神戸市須磨区北落合1丁目1― 324―403 (72)発明者 高原 智子 兵庫県神戸市西区秋葉台1―6―11 (72)発明者 米沢 和弥 兵庫県神戸市垂水区つつじが丘5―12― 11 (56)参考文献 特開 昭64−51140(JP,A)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の成分(A)、(B)及び(C)を必
    須成分としてなる硬化性組成物; (A)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含有
    する、分子量が500〜50000の有機重合体、 (B)分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有す
    る、重合体でない有機化合物、 (C)マイクロカプセル化されたヒドロシリル化触媒。
  2. 【請求項2】(A)成分の有機重合体が次の群より選ば
    れる基を有する重合体である請求項1記載の組成物; 【化1】 (式中、Rは、H,OSi(CH3及び炭素数が1〜10の炭
    化水素基より選ばれる基であり、それぞれのRは同じで
    も異なっていてもよい。mは正の整数、n,p,qは0又は
    正の整数で、且つ1≦m+n+p+q≦50) あるいは、 【化2】 (式中、Rは上記に同じ。mは正の整数、nは0又は正
    の整数で、且つ2≦m+n≦50)
  3. 【請求項3】(A)成分のヒドロシリル基が次の群より
    選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の組成物。 【化3】 (式中、pは正の整数、qは0又は正の整数であり、且
    つ2≦p+q≦4)
  4. 【請求項4】(B)成分が、式(I) 【化4】 (式中、R1は水素又はメチル基) で示されるアルケニル基を少なくとも1個有する化合物
    である請求項1記載の組成物。
  5. 【請求項5】(C)成分が熱可塑性有機ポリマーからな
    るマイクロカプセル内に微細固体粒子状又は微細液滴状
    の触媒を封入して得たマイクロカプセル化されたヒドロ
    シリル化触媒である請求項1記載の組成物。
  6. 【請求項6】熱可塑性有機ポリマーが少なくとも1個の
    エチレン性不飽和有機化合物に由来するか又は1分子当
    り複数の縮合性基を含有する少なくとも2個の有機化合
    物間の縮合反応に由来するものである請求項5に記載の
    組成物。
  7. 【請求項7】エチレン性不飽和有機化合物がエチレン性
    不飽和炭化水素、アクリロニトリル、及びアクリル酸も
    しくはメタクリル酸のエステルからなる群より選ばれる
    請求項6に記載の組成物。
  8. 【請求項8】(C)成分が、微細液滴状又は微細固体粒
    子状の触媒を熱可塑性有機ポリマーの溶液中に分散させ
    た後、沈澱させて得たマイクロカプセル化されたヒドロ
    シリル化触媒である請求項1、5又は6記載の組成物。
  9. 【請求項9】(A)成分中のヒドロシリル基と(B)成
    分中のアルケニル基との比率がモル比で0.2〜5.0である
    請求項1記載の組成物。
  10. 【請求項10】(C)成分のマイクロカプセル化された
    ヒドロシリル化触媒の量が、(B)成分中のアルケニル
    基1モルに対して10-1〜10-8モルの範囲である請求項1
    記載の組成物。
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