JP3302867B2 - 鉄心およびその製造方法 - Google Patents

鉄心およびその製造方法

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JP3302867B2 JP31279995A JP31279995A JP3302867B2 JP 3302867 B2 JP3302867 B2 JP 3302867B2 JP 31279995 A JP31279995 A JP 31279995A JP 31279995 A JP31279995 A JP 31279995A JP 3302867 B2 JP3302867 B2 JP 3302867B2
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iron core
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裕治 中原
展明 三宅
健一 東
晃裕 大穀
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば電動機、
発電機等の回転電機の回転子の効率向上に係り、特に回
転子の鉄心の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に回転電機の回転子は、例えば図1
0に示すような外形を有する板状磁性部材を、多数軸方
向に積層することにより渦電流の発生を抑制し、効率の
向上が図られている。又、図11に示すように弧状の板
状磁性部材を半径方向に積層させて突極比を上げること
により、さらに効率の向上が図れることも考えられてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図11
に示すような半径方向の積層構造を、図10に示すよう
な軸方向の積層構造と同時に達成することは構造上不可
能に近く、実用化が非常に困難であるという問題点があ
った。
【0004】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、積層される各磁性部材に半径方
向に積層したと同等の機能を持たせて突極比を上げるこ
とにより、高効率の回転子を容易に得ることが可能な鉄
心を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
る鉄心は、半抜き戻し加工により厚さ方向に形成した複
数のき裂または塑性変形を与えた部位を、所望の磁気回
路に沿って連ねて有する磁性部材で構成したものであ
る。
【0006】又、この発明の請求項2に係る鉄心は、
抜き戻し加工により厚さ方向に形成した複数のき裂また
は塑性変形を与えた部位とプレス加工により打ち抜きさ
れたスリット部とを交互に、所望の磁気回路に沿って連
ねて有する磁性部材で構成したものである。
【0007】又、この発明の請求項3に係る鉄心は、請
求項1または2において、磁性部材を複数積層したもの
である。
【0008】又、この発明の請求項4に係る鉄心は、請
求項3において、積層された各磁性部材毎に磁気回路を
順次周方向にずらして形成するようにしたものである。
【0009】又、この発明の請求項5に係る鉄心は、請
求項3において、各磁性部材を積層固定するために抜き
かしめる部位をき裂または塑性変形を与えた部位の間に
配置したものである。
【0010】又、この発明の請求項6に係る鉄心の製造
方法は、プレス金型によって半抜き状態の部位を所望の
磁気回路に沿って連ねて形成する工程と、半抜き状態の
部位を両面からの半抜き戻し加工により厚さ方向に形成
した複数のき裂または塑性変形を与える部位を形成する
工程とを含有するものである。
【0011】又、この発明の請求項7に係る鉄心の製造
方法は、請求項6において、半抜き状態の部位を形成す
る際のプレス金型の半抜き量を調節するようにしたもの
である。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.以下、この発明の実施の形態を図に基づ
いて説明する。図1はこの発明の実施の形態1における
リラクタンスモータの回転子の鉄心の構成を示す斜視
図、図2は図1におけるA部の構成を拡大して示す正面
図である。図において、1は回転子軸、2はこの回転子
軸1にそれぞれ積層して固定され鉄心3を構成する複数
の磁性部材で、図中破線で示すように所望の磁気回路に
沿って、半抜き戻し加工が施されき裂または塑性変形を
与えた部位2aが所定の間隔で多数配列されている。
【0013】次に、上記のように構成された実施の形態
1における鉄心3を構成する磁性部材2に、部位2aを
形成する方法を図3に基づいて説明する。まず、下面の
所定の位置に寸法hだけ突出した多数の突起4aを有す
る上型4と、この上型4の下方に配設され上型4の各突
起4aと対応する位置に、それぞれ各突起4aと嵌合可
能な窪み部5aとを有する下型5とでなる第1のプレス
金型6間に磁性部材2を挿入する。
【0014】そして、上型4を下降させ下面を下型5の
上面に当接させた後、上型4を上昇させて元に戻すと、
図に示すように半抜き部7が形成される。次いで、下面
が平坦な上型8と上面が平坦な下型9とでなる第2のプ
レス金型10間に、磁性部材2を挿入するとともに上型
8を下降させ、下面を下型9の上面に当接させた後上型
8を上昇させて元に戻すと、図に示すように第1のプレ
ス金型6によって形成された半抜き部7は元に戻され、
図4にその詳細を示すようにき裂または塑性変形を与え
る部位2aが形成される。
【0015】このようにして形成された部位2a内は、
き裂または塑性変形を与えているため歪みが発生してお
り、導磁率がかなり低下している。したがって、上記の
ように部位2aを所望の磁気回路に沿って形成しておけ
ば、これらの部位2aの群は磁気的バリアとなり、あた
かも磁性部材を半径方向に積層したと同等の機能を発揮
して、突極比を向上させることができるため、高効率の
回転子を容易に得ることが可能になる。
【0016】実施の形態2.又、図5は上記実施の形態
1において、第1のプレス金型6によって半抜き部7を
形成する際に、上型4の突起4aの突出寸法hによって
決まる半抜き戻し量dと、磁性部材2の強度Kとの関係
を示す特性図である。図から明らかなように半抜き戻し
量dが多くなるにしたがって強度Kは低下する。一方、
磁気的に考えると半抜き戻し量dが多くなるにしたがっ
て、磁気的バリア効果は大きくなる。したがって、この
半抜き戻し量dを第1のプレス金型6の上型4の突起4
aの突出寸法hを変化させることにより管理するように
すれば、所望の磁気的バリア効果を得ることができ突極
比の調整が可能になる。
【0017】実施の形態3.図6はこの発明の実施の形
態3における回転子の鉄心の構成を示す斜視図である。
図において、11は回転子軸(図示せず)にそれぞれ積
層して固定され鉄心12を構成する複数の磁性部材で、
図中破線で示すように所望の磁気回路に沿って、半抜き
戻し加工が施されき裂または塑性変形を与えた部位11
aと、この部位11aと交互にプレス加工により打抜き
されたスリット部11bとが所定の間隔で多数配列され
ている。
【0018】このように上記実施の形態3によれば、部
位11aと交互にこの部位11aよりも導磁率の低いス
リット部11bを磁気回路に沿って配設しているので、
上記実施の形態1におけるよりもさらに磁気的なバリア
効果を期待することができ突極比をさらに上げることが
可能になる。
【0019】実施の形態4.図7はこの発明の実施の形
態4における回転子の鉄心の構成を一部を破断して示す
斜視図である。図において、13は回転子軸(図示せ
ず)にそれぞれ積層して固定され鉄心14を構成する複
数の磁性部材で、図中破線で示すように所望の磁気回路
に沿って、半抜き戻し加工が施されき裂または塑性変形
を与えた部位13aが所定の間隔で多数配列され、且つ
この部位13aの位置は各磁性部材毎に順次周方向にず
れて形成されている。
【0020】このように上記実施の形態4によれば、磁
性部材13毎に部位13aの配列位置を周方向に少しず
つずらして形成しているので、磁気回路が積層方向に少
しずつずれることになり、モータのコギングトルクを減
少させ回転むらを少なくするという特性改善を図ること
が可能になる。
【0021】実施の形態5.尚、上記実施の形態4で
は、磁気回路をずらすために部位13aを形成する位置
を、磁性部材13毎に少しずつずらす場合について説明
したが、部位13aが同じ位置に形成された複数の磁性
部材13を少しずつ周方向にずらして積層するようにし
ても良く、上記実施の形態4の場合と同様の効果を発揮
し得ることは言うまでもない。
【0022】実施の形態6.図8はこの発明の実施の形
態6における回転子の鉄心の構成を示す斜視図、図9は
図8における線IX−IXに沿う断面を示す断面図であ
る。図において、15は回転子軸(図示せず)にそれぞ
れ積層して固定され鉄心16を構成する複数の磁性部材
で、図中破線で示すように所望の磁気回路に沿って、半
抜き戻し加工が施されき裂または塑性変形を与えた部位
15aが所定の間隔で多数配列され、且つこれら積層さ
れた各磁性部材15は抜きかしめにより金型(図示せ
ず)内で固定されるが、この抜きかしめされた部位15
bは各部位15a間に位置するように配置されている。
【0023】このように上記実施の形態6によれば、各
磁性部材15を積層固定するために形成される抜きかし
めされた部位15bを、各部位15a間に配置するよう
にしているので、この部位15bは初期の目的とする各
磁性部材15の強固な固定を達成することができること
は勿論のこと、長手方向には磁気回路の妨げにはなら
ず、短手方向には妨げとなるため、所望の磁気回路の形
成に寄与するとともに磁気的バリア効果を期待すること
ができる。
【0024】実施の形態7.尚、上記各実施の形態で
は、実施の形態1におけるリラクタンスモータの回転子
の鉄心の場合を例に説明したが、勿論これに限定される
ものではなく、他のモータ、さらには発電機等の回転電
機の鉄心に適用することも可能であり、上記各実施の形
態と同様の効果を発揮し得ることは言うまでもない。
【0025】実施の形態8.又、上記各実施の形態で
は、磁性部材を積層して鉄心を構成する場合を例に説明
したが、所望の磁気回路に沿ってき裂または塑性変形を
与えた部位を形成して、突極比を上げることのみを目的
とするならば、勿論これに限定されるものではない。
【0026】
【発明の効果】以上のように、この発明の請求項1によ
れば、半抜き戻し加工により厚さ方向に形成した複数の
き裂または塑性変形を与えた部位を、所望の磁気回路に
沿って連ねて有する磁性部材で構成したので、き裂また
は塑性変形を与えた部位の群が磁気的バリアとなり、
極比を向上させることができるため、高効率の回転子を
容易に得ることが可能な鉄心を提供することができる。
【0027】又、この発明の請求項2によれば、半抜き
戻し加工により厚さ方向に形成した複数のき裂または塑
性変形を与えた部位とプレス加工により打ち抜きされた
スリット部とを交互に、所望の磁気回路に沿って連ねて
有する磁性部材で構成したので、き裂または塑性変形を
与えた部位と交互に該部位よりも導磁率の低いスリット
部の群がさらに磁気的バリア効果を期待することがで
き、さらに突極比を向上させることができるため、高効
率の回転子を容易に得ることが可能な鉄心を提供するこ
とができる。
【0028】又、この発明の請求項3によれば、請求項
1または2において、磁性部材を複数積層したので、突
極比を上げるとともに渦電流を抑制することにより高効
率な回転子を容易に得ることが可能な鉄心を提供するこ
とができる。
【0029】又、この発明の請求項4によれば、請求項
3において、積層された各磁性部材毎に磁気回路を順次
周方向にずらして形成するようにしたので、突極比を上
げるとともに渦電流を抑制することにより高効率な回転
子を容易に得ることが可能であることは勿論のこと、回
転電機の性能を向上させることが可能な鉄心を提供する
ことができる。
【0030】又、この発明の請求項5によれば、請求項
3において、各磁性部材を積層固定するために抜きかし
める部位をき裂または塑性変形を与えた部位の間に配置
したので、さらに突極比を上げることにより高効率の回
転子を容易に得ることが可能な鉄心を提供することがで
きる。
【0031】又、この発明の請求項6によれば、プレス
金型によって半抜き状態の部位を所望の磁気回路に沿っ
て連ねて形成する工程と、上記半抜き状態の部位を両面
からの半抜き戻し加工により厚さ方向に形成した複数の
き裂または塑性変形を与える部位を形成する工程とを含
有するようにしたので、き裂または塑性変形を与えた部
位の群が磁気的バリアとなり、突極比を向上させること
ができるため、高効率な回転子を容易に得ることが可能
な鉄心の製造方法を提供することができる。
【0032】又、この発明の請求項7によれば、請求項
6において、半抜き状態の部位を形成する際のプレス金
型の半抜き量を調節するようにしたので、突極比を所望
の値に上げて高効率な回転子を容易に得ることが可能な
鉄心の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1におけるリラクタン
スモータの回転子の鉄心の構成を示す正面図である。
【図2】 図1におけるA部の構成を拡大して示す正面
図である。
【図3】 図1における鉄心を構成する磁性部材の製造
方法を示す断面図である。
【図4】 図3に示す製造方法で得られる磁性部材の部
位の状態を模式して示す図である。
【図5】 図3に示す製造方法の工程途中に形成される
半抜き部の半抜き戻し量dと、磁性部材の強度Kとの関
係を示す特性図である。
【図6】 この発明の実施の形態3における回転子の鉄
心の構成を示す斜視図である。
【図7】 この発明の実施の形態4における回転子の鉄
心の構成を一部を破断して示す斜視図である。
【図8】 この発明の実施の形態6における回転子の鉄
心の構成を示す斜視図である。
【図9】 図8における線IX−IXに沿う断面を示す
断面図である。
【図10】 一般的な回転電機の回転子の外形を示す図
である。
【図11】 図10とは異なる回転電機の回転子の外形
を示す図である。
【符号の説明】
1 回転子軸、2,11,13,15 磁性部材、2
a,11a,13a,15a,15b 部位、11b
スリット部、3,12,14,16 鉄心、4,8 上
型、5,9 下型、4a 突起、5a 窪み部、6 第
1のプレス金型、7 半抜き部、10 第2のプレス金
型。
フロントページの続き (72)発明者 大穀 晃裕 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−194072(JP,A) 特開 平4−17541(JP,A) 特開 平7−177710(JP,A) 特開 平7−308089(JP,A) 特開 平6−165447(JP,A) 実開 平5−55771(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 1/22 H02K 15/02 H02K 19/10

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半抜き戻し加工により厚さ方向に形成し
    た複数のき裂または塑性変形を与えた部位を、所望の磁
    気回路に沿って連ねて有する磁性部材でなることを特徴
    とする鉄心。
  2. 【請求項2】 半抜き戻し加工により厚さ方向に形成し
    た複数のき裂または塑性変形を与えた部位とプレス加工
    により打ち抜きされたスリット部とを交互に、所望の磁
    気回路に沿って連ねて有する磁性部材でなることを特徴
    とする鉄心。
  3. 【請求項3】 磁性部材は複数積層されていることを特
    徴とする請求項1または2記載の鉄心。
  4. 【請求項4】 磁気回路は積層された各磁性部材毎に順
    次周方向にずれて形成されていることを特徴とする請求
    項3記載の鉄心。
  5. 【請求項5】 各磁性部材を積層固定するために抜きか
    しめる部位をき裂または塑性変形を与えた部位の間に配
    置したことを特徴とする請求項3記載の鉄心。
  6. 【請求項6】 プレス金型によって半抜き状態の部位を
    所望の磁気回路に沿って連ねて形成する工程と、上記半
    抜き状態の部位を両面からの半抜き戻し加工により厚さ
    方向に形成した複数のき裂または塑性変形を与える部位
    を形成する工程とを含有することを特徴とする鉄心の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 半抜き状態の部位を形成する際のプレス
    金型の半抜き量を調節するようにしたことを特徴とする
    請求項6記載の鉄心の製造方法。
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JP5843692B2 (ja) * 2012-05-15 2016-01-13 三菱電機株式会社 回転電機の回転子の積層鉄心の製造方法
US10523099B2 (en) * 2013-02-01 2019-12-31 Ksb Aktiengesellschaft Rotor, reluctance machine and production method for a rotor

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