JP3301310B2 - 弾性体ロール及びその製造方法 - Google Patents

弾性体ロール及びその製造方法

Info

Publication number
JP3301310B2
JP3301310B2 JP11702196A JP11702196A JP3301310B2 JP 3301310 B2 JP3301310 B2 JP 3301310B2 JP 11702196 A JP11702196 A JP 11702196A JP 11702196 A JP11702196 A JP 11702196A JP 3301310 B2 JP3301310 B2 JP 3301310B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicone rubber
roll
layer
group
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP11702196A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09279033A (ja
Inventor
滋 森
政晴 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority to JP11702196A priority Critical patent/JP3301310B2/ja
Publication of JPH09279033A publication Critical patent/JPH09279033A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3301310B2 publication Critical patent/JP3301310B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Handling Of Cut Paper (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性体ロール及び
その製造方法に関し、更に詳述すると、離型耐久性、耐
久電気抵抗安定性、耐表面汚染性、表面潤滑性、紙送り
安定性に優れており、複写機、ファクシミリやプリンタ
ー等の電子写真装置の分野において好適に使用される弾
性体ロール及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】複写機
に代表される電子写真装置においては、その感光体の周
辺に搬送ロール、定着ロール、転写ロール等の各種の弾
性体ロールが配置されている。このような弾性体ロール
としては、従来からウレタン系やエチレン−プロピレン
−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)系のゴム材料が
使用されていた。
【0003】しかしながら、これらのゴム材料は、温度
変化や湿度変化などの環境変化に対して特性が変化し易
いという問題があった。
【0004】これに対して、シリコーンゴム製の弾性体
ロールは、シリコーンゴム本来の特性である優れた離型
性、耐熱性、耐候性、耐寒性などから、環境変化に対し
て安定であり、この種の用途に広く用いられるようにな
ってきている。
【0005】しかしながら、上記シリコーンゴム製の弾
性体ロールにおいても、いくつかの問題点がある。例え
ば、(I)一般的に、シリコーンゴムは離型性に優れて
いるが、継続して使用した場合には離型性が低下する。
即ち、離型耐久性が低い。(II)シリコーンゴム層の
ロール内部からシロキサンオリゴマーが滲み出し、表面
汚染を生じることがある。(III)使用耐久経時によ
り、電気抵抗値が変化する。(IV)シリコーンゴム製
の弾性体ロールは、一般に表面潤滑性に劣るため、ファ
クシミリ等に読取りロールとして使用すると、音泣き現
象が発生する場合がある。
【0006】これらの問題を解決するため、シリコーン
ゴムロール表面に各種のコーティング層、例えばナイロ
ン系の樹脂コーティング層やフッ素系ラテックスのコー
ティング層を設けることが提案されている。しかし、こ
の場合には、製造されたロールが高価となったり、コー
ティング層とシリコーンゴム層との接着性に問題を生じ
る等、多くの課題を残していた。
【0007】従って、シリコーンゴムの優れた特性を維
持しつつ、優れた離型耐久性、耐久電気抵抗安定性、耐
表面汚染性、表面潤滑性を有する弾性体ロールの開発が
望まれていた。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みなされたもので
あり、優れた離型耐久性、耐久電気抵抗安定性、耐表面
汚染性、表面潤滑性を有し、複写機、ファクシミリやプ
リンター等の電子写真装置の分野において好適に使用さ
れる弾性体ロール及びその製造方法を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた
結果、ロール基体の外周面に、オルガノポリシロキサン
を主成分とするシリコーンゴム組成物を硬化してなるシ
リコーンゴム層と、塩化第2銅を含有するシリコーンゴ
ム及び/又はエチレンプロピレンゴムからなる硬化物層
とをこの順に形成し、ピロール化合物からなる蒸気に曝
すことにより、優れた離型耐久性、耐久電気抵抗安定
性、耐表面汚染性、表面潤滑性を有する弾性体ロールが
得られることを知見した。
【0010】即ち、ロール基体の外周面に、オルガノポ
リシロキサンを主成分とするシリコーンゴム組成物を硬
化したシリコーンゴム層を形成し、このシリコーンゴム
層の外周面に塩化第2銅を含有するシリコーンゴム及び
/又はエチレンプロピレンゴムの硬化物層を形成した
後、ピロール化合物の蒸気に曝すことにより、このピロ
ール化合物は上記硬化物層の塩化第2銅が触媒になって
ポリピロールに重合し、上記硬化物層表面にポリピロー
ル薄層が形成され、これによって表面電気抵抗を1×1
5〜1×1012Ω/□、特に1×105〜1×1010Ω
/□の半導電レベルに制御できること、この場合、更に
ヨウ素や塩化第2鉄蒸気に触れさせることにより、表面
抵抗を更に低下することができ、またこのようにして得
られた弾性体ロールは、硬化物層が表面層としてシリコ
ーンゴム層を被覆していることから、シリコーンゴム層
内部からシリコーンオリゴマーの滲み出し等の生じるこ
とがなく、表面汚染の問題を有効に解消することがで
き、しかも優れた離型耐久性、耐久電気抵抗安定性、耐
表面汚染性、表面潤滑性を有しているので、複写機、フ
ァクシミリやプリンター等の電子写真装置の分野におけ
る最適の弾性体ロールを得ることができ、上記従来の問
題点を効果的に解決し得ることを見い出し、本発明をな
すに至ったものである。
【0011】従って、本発明は、ロール基体と該ロール
基体の外周面にシリコーンゴム層及び硬化物層を順次積
層してなる弾性体ロールであって、上記シリコーンゴム
層が、 (a)下記平均組成式(1) RaSiO(4-a)/2 (1) (但し、式中Rは同一又は異種の非置換又は置換の1価
炭化水素基を示し、aは1.90〜2.05の正数であ
る。) で示されるオルガノポリシロキサン:100重量部と、 (b)補強性充填剤:5〜300重量部と、 (c)硬化剤:下記(i)又は(ii) (i)有機過酸化物:0.1〜10重量部 (ii)オルガノハイドロジェンポリシロキサン:オル
ガノハイドロジェンポリシロキサン中のSiH基と
(a)成分中のアルケニル基とのモル比が1:3〜3:
1となる量、 白金族金属系触媒:(a)成分に対して白金族金属換算
で2〜500ppm とを含有してなるシリコーンゴム組成物を硬化してなる
層であり、上記硬化物層が、塩化第2銅の配合量がシリ
コーンゴム又はエチレンプロピレンゴムを形成するゴム
組成物100重量部に対して0.1〜10重量部であ
る、塩化第2銅を含有するシリコーンゴム及び/又はエ
チレンプロピレンゴムからなる層であり、上記硬化物層
表面にポリピロール薄層が形成されてなることを特徴と
する弾性体ロール、及びロール基体と該ロール基体の外
周面にシリコーンゴム層及び硬化物層を順次積層してな
る弾性体ロールの製造方法であって、上記ロール基体の
外周面に、下記平均組成式(1) RaSiO(4-a)/2 (1) (但し、式中Rは同一又は異種の非置換又は置換の1価
炭化水素基を示し、aは1.90〜2.05の正数であ
る。) で示されるオルガノポリシロキサンを主成分とするシリ
コーンゴム組成物を硬化してなるシリコーンゴム層を形
成し、このシリコーンゴム層の外周面に塩化第2銅を含
有するシリコーンゴム及び/又はエチレンプロピレンゴ
ムからなる硬化物層を形成し、得られたロールをピロー
ル化合物からなる蒸気に曝すことを特徴とする弾性体ロ
ールの製造方法を提供する。
【0012】以下、本発明につき更に詳しく説明する
と、本発明の弾性体ロールは、ロール基体の外周面にシ
リコーンゴム層を積層し、このシリコーンゴム層上に、
更に硬化物層を積層したものである。
【0013】ここで、用いるロール基体は、特に制限さ
れず、公知の剛性材料から形成することができ、例えば
アルミニウム、ステンレススチール、鉄等の金属で形成
したものが好適に用いられる。
【0014】次に、シリコーンゴム層は、離型性、耐候
性、高弾性を有し、耐クリープ性等に優れているので弾
性体ロールのゴム材料として好適なものであり、(a)
オルガノポリシロキサン、(b)補強性充填剤、(c)
硬化剤を含有するシリコーンゴム組成物を硬化して得ら
れるものである。
【0015】ここで、(a)成分であるオルガノポリシ
ロキサンは、下記平均組成式(1)で示されるものであ
る。
【0016】 RaSiO(4-a)/2 (1) 上記式中Rは、同一又は異種の非置換又は置換の好まし
くは炭素数1〜10、特に1〜6の1価炭化水素基を示
し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基
等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル
基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル
基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル
基、フェニルエチル基等のアラルキル基、及びこれらの
基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基
等で置換した基、例えばクロロメチル基、クロロプロピ
ル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−シア
ノエチル基等を例示することができる。また、aは1.
90〜2.05の正数である。
【0017】上記式(1)のオルガノポリシロキサン
は、基本的には直鎖状であることが好ましいが、分子中
に一部分岐鎖を有しているものを含有していてもよい。
また一般に、その分子鎖末端はトリオルガノシリル基又
は水酸基にて封鎖されるが、このトリオルガノシリル基
としては、トリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル
基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリ
ル基、メチルジビニルシリル基、トリビニルシリル基等
が例示される。
【0018】なお、上記式(1)のオルガノポリシロキ
サンの重合度に特に制限はないが、一般的には25℃に
おける粘度が300cSt以上、特に1000〜2千万
cStの範囲であることが好ましい。
【0019】この種のオルガノポリシロキサンは、通常
選択されたオルガノハロゲノシランの1種又は2種以上
を共加水分解縮合することによって、或いは環状ポリシ
ロキサン(シロキサンの3量体或いは4量体等)をアル
カリ性又は酸性の触媒を用いて開環重合することによっ
て得ることができる。
【0020】(b)成分の補強性充填剤は、シリコーン
ゴムの補強、増粘、加工性向上、増量、導電性付与等の
目的で添加するものであり、比表面積が1m2/g以
上、特に50〜500m2/gのものが好適である。
【0021】このような補強性充填剤としては、例え
ば、カーボンブラック、ヒュームドシリカ、湿式シリ
カ、表面を疎水化処理したヒュームドシリカ、石英微粉
末、珪藻土、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸
化アルミニウム、マイカ、クレー、導電性亜鉛華等が挙
げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わ
せて用いることができる。
【0022】この補強性充填剤の添加量は、(a)成分
のオルガノポリシロキサン100重量部に対して5〜3
00重量部、特に20〜250重量部とすることが好ま
しい。補強性充填剤が5重量部より少ないと目的とする
補強性が得られず、加工性も不十分となり、300重量
部よりも多いと加工性が低下したり、得られるシリコー
ンゴムの耐熱性が低下する傾向となる。
【0023】この場合、表面抵抗が1×105〜1×1
12Ω/□、特に1×105〜1×1010Ω/□の範囲
の半導電性ロール(帯電ロール、転写ロール、現像ロー
ル、トナー搬送ロール等)を形成する場合には、導電性
カーボンブラック、導電性亜鉛華、導電性酸化チタン、
導電性カーボン繊維、導電性ウィスカー等の導電性の補
強性充填剤を用いることが好ましい。
【0024】(c)成分の硬化剤は、有機過酸化物、又
はケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオル
ガノハイドロジェンポリシロキサンと白金族金属系触媒
とを組み合わせたものが好適に用いられる。
【0025】有機過酸化物は、上記オルガノポリシロキ
サンを加熱硬化させてシリコーンゴムを形成するもので
あれば、特に制限されず、従来から公知のものを使用で
きる。具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、2,4
−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチル
パーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチル
パーベンゾエート、t−ブチルパーアセテート、2,5
−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘ
キサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト、オルガノシリルパーオキサイド等が挙げられ、これ
らの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用する
ことができる。
【0026】この有機過酸化物の配合量は、(a)成分
のオルガノポリシロキサン100重量部に対して0.1
〜10重量部、特に0.3〜3重量部の範囲とすること
が好ましい。0.1重量部より少ないと硬化が不十分と
なり、10重量部より多くなると硬化性組成物の作業性
や硬化特性が悪くなり、また得られるシリコーンゴムの
物性も低下する傾向がある。
【0027】次に、オルガノハイドロジェンポリシロキ
サンと白金族金属系触媒とを組み合わせた硬化剤は、上
記(a)成分のオルガノポリシロキサンがビニル基等の
アルケニル基を含有する場合に適用されるもので、オル
ガノハイドロジェンポリシロキサン中のSiH基と上記
(a)成分のオルガノポリシロキサン中のアルケニル基
とを付加反応させることにより、ゴム弾性体の硬化物を
形成するものである。
【0028】このオルガノハイドロジェンポリシロキサ
ンは、架橋剤として作用するものであり、1分子中に少
なくとも2個のSiH基を有するものであれば、特に制
限されず、例えば、直鎖状、分岐状、環状等のいずれの
分子構造を有していてもよく、その分子量等にも特に制
限はない。
【0029】このようなオルガノハイドロジェンポリシ
ロキサンのケイ素原子に結合している有機基としては、
具体的には炭素数1〜10、特に1〜6の非置換又は置
換の1価炭化水素基、例えばメチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等
のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリー
ル基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル
基、及びこれらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲ
ン原子、シアノ基等で置換した基、例えばクロロメチル
基、クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロ
ピル基、2−シアノエチル基等が挙げられる。なお、S
iH基は、分子の末端或いは分子鎖の途中のいずれに存
在してもよい。
【0030】かかるオルガノハイドロジェンポリシロキ
サンは、一般にそのSiH基と(a)成分のオルガノポ
リシロキサン中のアルケニル基とのモル比が1:3〜
3:1の範囲となる量で使用することが好ましい。
【0031】上記オルガノハイドロジェンポリシロキサ
ンと併用される白金族金属系触媒は、SiH基とアルケ
ニル基との付加反応を促進するための触媒として従来か
ら公知のものを使用することができ、例えば白金系、ロ
ジウム系、パラジウム系のものが挙げられるが、特に、
白金系のもの、例えば白金単体、塩化白金酸、塩化白金
酸とオレフィン又はビニルシロキサンとの錯体、アルコ
ール変性塩化白金酸等が好適に用いられる。この白金族
金属系触媒の配合量は、通常、アルケニル基含有のオル
ガノポリシロキサンに対して白金族金属換算で2〜50
0ppm、特に5〜200ppmの範囲とすることが好
ましい。
【0032】なお、上記シリコーンゴム組成物には、上
述した(a)〜(c)成分以外にも、その目的に応じて
それ自体公知の添加剤、例えば分子鎖末端にシラノール
基を有する低分子シロキサン等の分散剤、耐熱性向上
剤、難燃剤、離型剤、顔料などを適宜添加することがで
きる。
【0033】次に、本発明の弾性体ロールは、上記シリ
コーンゴム組成物をその硬化剤の種類に応じた常法によ
って硬化して得られるシリコーンゴム層上に、更に硬化
物層を形成する。この硬化物層は、シリコーンゴム及び
/又はエチレンプロピレンゴムにて形成されるが、本発
明においては、これらのゴム中に塩化第2銅が配合され
たものを使用する。
【0034】この場合、シリコーンゴムを形成するシリ
コーンゴム組成物としては、上記シリコーンゴム層で説
明したシリコーンゴム組成物と同様のものが好適に用い
られるが、硬化剤としては、シリコーンゴム組成物の硬
化性の安定性の点から上述したオルガノハイドロジェン
ポリシロキサンと白金族金属系触媒との組み合わせを用
いることが好ましい。一方、エチレンプロピレンゴム
は、エチレンとプロピレンをランダム共重合させたもの
であり、飽和ゴムであるため、過酸化物による硬化が好
ましい。
【0035】本発明においては、上記硬化物層を形成す
るゴム組成物に塩化第2銅を配合する。ここで、塩化第
2銅は、成形後の弾性体ロールに対してピロール化合物
の蒸気に曝し、ピロール化合物を上記硬化物層に含浸さ
せた後、このピロール化合物を導電性を有するポリピロ
ールに重合させるための触媒として用いられるものであ
る。
【0036】塩化第2銅の配合量は、特に制限されない
が、ゴム組成物100重量部に対し0.1〜10重量
部、特に0.1〜5重量部とすることが好適である。塩
化第2銅の配合量が0.1重量部より少ないと硬化速度
が遅くなって実用上の損失が生じ、10重量部を超える
と得られるシリコーンゴムの特性に悪影響が生ずるおそ
れがある。
【0037】本発明の弾性体ロールは、上記硬化物層が
表面層としてシリコーンゴム層を被覆していることか
ら、シリコーンゴム層内部からのシリコーンオリゴマー
の滲み出し等の不都合もなく、表面汚染の問題が有効に
解消される。また、本質的に半導体であるため表面抵抗
を所望の半導電レベルに制御することができる。
【0038】次に、本発明の弾性体ロールの製造方法
は、ロール基体の外周面に、オルガノポリシロキサンを
主成分とするシリコーンゴム組成物を硬化してなるシリ
コーンゴム層を形成し、このシリコーンゴム層の外周面
に塩化第2銅を含有するシリコーンゴム及び/又はエチ
レンプロピレンゴムからなる硬化物層を形成し、得られ
たロールをピロール化合物からなる蒸気に曝すことを特
徴とするものである。
【0039】まず、シリコーンゴム層の形成方法は、上
記シリコーンゴム組成物を調製し、ロール基体に塗布乃
至は巻き付け、必要によりプレス成形した後に加熱硬化
することにより行われる。この加熱硬化は、特に限定さ
れないが、一般的には100〜200℃の温度で5分〜
1時間プレキュアした後、150〜250℃の温度で1
〜8時間ポストキュアすることにより行われる。
【0040】この場合、シリコーンゴム組成物を上記ロ
ール基体に塗布乃至は巻き付けるに当たっては、両者の
接着性を高めるために、必要に応じてロール基体表面を
プライマー処理することが好ましい。かかる処理に用い
るプライマーとしてはそれ自体公知のものを例示するこ
とができ、例えばプライマーNo.4、プライマーN
o.16(いずれも信越化学工業(株)製)等が好適に
用いられる。なお、得られたゴムロールの表面を砥石な
どで研磨することができる。
【0041】このようにして形成されたシリコーンゴム
層は、一般にその厚みが0.3〜10mm、特に0.5
〜5mmとなるように設定することが好ましい。厚みが
0.3mmより薄くなるとロール本体の弾性が失われ、
硬いロールとなるおそれがあり、10mmを超えると成
形しにくく、またゴムの使用量が増加してしまい、それ
以外のメリットがない。
【0042】次に、硬化物層の形成方法は、シリコーン
ゴムを用いた場合には、上記シリコーンゴム層に用いた
シリコーンゴム組成物と同様の組成物を有機溶剤に溶解
乃至は微細分散した溶液を調製し、硬化剤として好まし
くはオルガノハイドロジェンポリシロキサン及び白金族
金属系触媒を使用して塗布液とし、この塗布液をディッ
ピングにより上記シリコーンゴム層の上に塗布・乾燥
し、20〜250℃で1分〜24時間加熱硬化させるこ
とが好適である。
【0043】また、エチレンプロピレンゴムを用いた場
合には、ゴム組成物を有機溶剤に分散した溶液を調製
し、硬化剤としては過酸化物、例えばジクミルパーオキ
サイドを配合し、塗布液とすることが有効である。更
に、シリコーンゴムとエチレンプロピレンゴムとの混合
物の場合には、混合比により硬化剤は適宜変更して用い
られる。
【0044】この場合、溶液を調製するための溶剤は、
特に制限されず、例えばベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族溶剤や、テトラヒドロフラン(THF)等の
エーテル類、塩化メチレン等が好適に用いられる。ま
た、溶剤の使用量は、ゴム組成物の粘度、目標とする硬
化物層の厚み等によって適宜増減することができる。
【0045】得られた硬化物層の厚みは1〜1000μ
m、特に10〜500μmの範囲とすることが好まし
い。厚みが1μmより薄いと表面抵抗の安定性に欠ける
ものとなり、1000μmを超えると硬化特性が安定な
ものとなりにくくなる。
【0046】このようにして作製された弾性体ロール
は、表面抵抗率を低下させるためにピロール化合物の蒸
気に曝す。具体的には、弾性体ロールをピロール化合物
を存在させた密閉容器中に保持し、ロールの硬化物層に
ピロール化合物を吸収させ、ピロール化合物をポリピロ
ールに重合させる。この場合、保持時間は特に制限され
ないが、好ましくは1〜24時間である。
【0047】ここで、ピロール化合物としては、ピロー
ル、N−アルキルピロール(アルキル基としてはメチル
基、エチル基等が挙げられる)等が用いられる。
【0048】更に必要によっては、弾性体ロールの表面
電気抵抗を更に低下させるために、ヨウ素或いは塩化第
2鉄蒸気に接触させる。具体的には、上記と同様の密閉
容器にヨウ素或いは塩化第2鉄蒸気を入れ、一定時間接
触させる。この場合、接触時間は10分〜24時間であ
ることが好ましい。
【0049】これにより、表面電気抵抗が1×105
1×1012Ω/□、好ましくは1×105〜1×1012
Ω/□、特に1×106〜1×1010Ω/□の範囲の半
導電性ロールを形成することができる。
【0050】
【発明の効果】本発明の弾性体ロールは、シリコーンゴ
ム本来の離型性、耐熱性、耐候性、耐寒性、ゴム弾性な
どの性質を有すると共に、離型耐久性、耐久電気抵抗安
定性、耐表面汚染性、表面潤滑性に優れ、複写機、ファ
クシミリやプリンター等の電子写真装置で使用される定
着ロール、読取りロール、帯電ロール、現像ロール、転
写ロール、搬送ロール、プラテンロール等として好適に
用いられるものである。
【0051】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるもの
ではない。なお、以下の例においては、部は重量部、粘
度は25℃での測定値を示す。
【0052】[実施例1]シリコーンゴム層の形成 粘度が5,000,000cStのメチルビニルポリシロキサン(分子鎖両末 端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、ジメチルシロキサン単位99.6モル% 、ビニルメチルシロキサン単位0.4モル%からなる。) 100部 比表面積が200m2/gのヒュームドシリカ 30部 ジフェニルシランジオール(分散剤) 3部 を二本ロールで十分に分散・混合した後、ニーダーミキ
サーで混練し、170℃で3時間熱処理後、冷却した
(この処理物をベースコンパウンドAと呼ぶ)。
【0053】この混合物100部に、ジクミルパーオキ
サイド3部を添加して二本ロールで均一化し、シリコー
ンゴム組成物(A1)を調製した。
【0054】次いで、このシリコーンゴム組成物(A
1)を50mmφ、長さ300mmのステンレススチー
ル製芯金上にプライマー(プライマーNo.4;信越化
学工業(株)製)を介して、厚さ0.8mmで芯金上に
巻き付けて170℃で10分間プレス成型し、次いで2
00℃で4時間ポストキュアしてシリコーンゴムロール
を作製し、このゴムロールの表面を砥石で研磨した。
【0055】硬化物層の形成 次に、上記ベースコンパウンドA100部に塩化第2銅
の微粉末5部を二本ロールにて分散・混合し、更に三本
ロールで分散・混合した。得られた混合物にメチルハイ
ドロジェンシロキサン(SiH基における水素含有量:
1.5モル/100g)を0.5部配合した(B1)。
この組成物(B1)1部をトルエン100部に添加し、
ホモミキサーを用いて分散・混合し、分散液を調製した
(C1)。この調製液(C1)100部に対し、塩化白
金酸0.0001部とテトラメチルテトラビニルテトラ
シクロシロキサン0.05部を添加し、塗布液(D1)
とした。この塗布液(D1)を(A1)より作製したシ
リコーンゴムロールの上にディッピングによりコーティ
ングし、室温にて30分間放置後、150℃の加熱オー
ブンにて30分間処理して硬化させた。得られた(B
1)よりなるゴム層の厚みは、約100μmであった。
【0056】処理 作製した弾性体ロールは、ピロールを10g入れたガラ
スフラスコ(開口したまま)を含む内径100mmφ、
長さ50cmの密閉型円筒中に吊し、密閉して16時間
放置した。その後、弾性体ロールを取り出して表面電気
抵抗を測定したところ1010Ω/□であった。
【0057】更に、同様の密閉型円筒中にヨウ素
(I2)10gを入れ、弾性体ロールを1時間処理した
ところ、108Ω/□に表面抵抗が低下した。
【0058】[比較例]シリコーンゴム組成物(A1)
のみからなるゴムロールに対して上記と同様の処理を行
ったが、表面抵抗は1015Ω/□のままであった。
【0059】次に、上記実施例、比較例で得られたゴム
ロールについて、離型耐久性、耐久電気抵抗安定性、紙
送り安定性を下記のようにして測定した。結果を表1に
示す。離型耐久性 得られたゴムロールをPPC用圧力ロールとして用いて
トナーの離型耐久性を調べた。耐久電気抵抗安定性 上記と同様にしてロールの耐久電気抵抗安定性を調べ
た。紙送り安定性 上記と同様にしてロールへの紙の巻き付き防止性を調べ
た。
【0060】
【表1】
【0061】[実施例2]実施例1で用いたシリコーン
ゴムロールの表面に下記のようにしてEPDM系硬化物
層を形成した。硬化物層の形成 エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(ポリオレフィ
ン系合成ゴムEP22〔日本合成ゴム(株)製、ヨウ素
価22〕)をトルエンに溶かして20%ゴムトルエン溶
液とした。この溶液100部にC65Si〔OSi(C
32H〕3で示されるオルガノハイドロジェンポリシ
ロキサン5部、塩化白金酸の5%イソプロピルアルコー
ル溶液0.1部、1−エチニルシクロヘキサン−1−オ
ール0.2部、塩化第2銅の微粉末1部を添加混合し、
ゴム組成物塗布液(D2)とした。この塗布液(D2)
を(A1)より作製したシリコーンゴムロールの上にデ
ィッピングによりコーティングし、室温にて30分間放
置後、150℃の加熱オーブンにて30分間処理して硬
化させた。得られた硬化物層の厚みは約110μmであ
った。
【0062】処理 作製した弾性体ロールは、ピロールを10g入れたガラ
スフラスコ(開口したまま)を含む内径100mmφ、
長さ50cmの密閉型円筒中に吊し、密閉して16時間
放置した。その後、弾性体ロールを取り出して表面電気
抵抗を測定したところ1010Ω/□であった。
【0063】更に、実施例1と同様にヨウ素処理したと
ころ、表面電気抵抗が7.0×107Ω/□に低下し
た。
【0064】得られたゴムロールについて、離型耐久
性、耐久電気抵抗安定性、紙送り安定性を実施例1と同
様にして測定した。結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 5/541 C08K 5/54 (56)参考文献 特開 平6−262707(JP,A) 特開 昭63−37512(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 83/04 C08G 77/04 C08K 3/16 C08K 3/36 C08K 5/541 C08G 61/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロール基体と該ロール基体の外周面にシ
    リコーンゴム層及び硬化物層を順次積層してなる弾性体
    ロールであって、 上記シリコーンゴム層が、 (a)下記平均組成式(1) RaSiO(4-a)/2 (1) (但し、式中Rは同一又は異種の非置換又は置換の1価
    炭化水素基を示し、aは1.90〜2.05の正数であ
    る。) で示されるオルガノポリシロキサン:100重量部と、 (b)補強性充填剤:5〜300重量部と、 (c)硬化剤:下記(i)又は(ii) (i)有機過酸化物:0.1〜10重量部 (ii)オルガノハイドロジェンポリシロキサン:オル
    ガノハイドロジェンポリシロキサン中のSiH基と
    (a)成分中のアルケニル基とのモル比が1:3〜3:
    1となる量、 白金族金属系触媒:(a)成分に対して白金族金属換算
    で2〜500ppm とを含有してなるシリコーンゴム組成物を硬化してなる
    層であり、 上記硬化物層が、塩化第2銅の配合量がシリコーンゴム
    又はエチレンプロピレンゴムを形成するゴム組成物10
    0重量部に対して0.1〜10重量部である、塩化第2
    銅を含有するシリコーンゴム及び/又はエチレンプロピ
    レンゴムからなる層であり、上記硬化物層表面にポリピ
    ロール薄層が形成されてなることを特徴とする弾性体ロ
    ール。
  2. 【請求項2】 表面電気抵抗が1×105〜1×1012
    Ω/□である請求項1記載の弾性体ロール。
  3. 【請求項3】 ロール基体と該ロール基体の外周面にシ
    リコーンゴム層及び硬化物層を順次積層してなる弾性体
    ロールの製造方法であって、 上記ロール基体の外周面に、下記平均組成式(1) RaSiO(4-a)/2 (1) (但し、式中Rは同一又は異種の非置換又は置換の1価
    炭化水素基を示し、aは1.90〜2.05の正数であ
    る。) で示されるオルガノポリシロキサンを主成分とするシリ
    コーンゴム組成物を硬化してなるシリコーンゴム層を形
    成し、このシリコーンゴム層の外周面に塩化第2銅を含
    有するシリコーンゴム及び/又はエチレンプロピレンゴ
    ムからなる硬化物層を形成し、得られたロールをピロー
    ル化合物からなる蒸気に曝すことを特徴とする弾性体ロ
    ールの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の方法で得られたロールを
    更にヨウ素又は塩化第2鉄蒸気に接触させることを特徴
    とする弾性体ロールの製造方法。
JP11702196A 1996-04-15 1996-04-15 弾性体ロール及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3301310B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11702196A JP3301310B2 (ja) 1996-04-15 1996-04-15 弾性体ロール及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11702196A JP3301310B2 (ja) 1996-04-15 1996-04-15 弾性体ロール及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09279033A JPH09279033A (ja) 1997-10-28
JP3301310B2 true JP3301310B2 (ja) 2002-07-15

Family

ID=14701488

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11702196A Expired - Fee Related JP3301310B2 (ja) 1996-04-15 1996-04-15 弾性体ロール及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3301310B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4973845B2 (ja) * 2006-09-20 2012-07-11 信越化学工業株式会社 ローラ用付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物及び現像ローラ
JP2014224193A (ja) * 2013-05-16 2014-12-04 信越化学工業株式会社 シリコーンゴム組成物の接着方法及び複合成型品

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09279033A (ja) 1997-10-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4360566A (en) Curable organopolysiloxane composition for heat fixing rolls
US4810564A (en) Elastomer roll having a first layer of an organopolysiloxane composition and a second thin layer of a fluorine resin
US4269753A (en) Siloxane compositions which can be ceramified at high temperatures
JP3292409B2 (ja) 定着ロール用シリコーンゴム組成物
JP3544092B2 (ja) 高電圧電気絶縁部品用液状シリコーンゴム組成物およびその製造方法
US5582885A (en) Silicone rubber roll
JPH1112470A (ja) 高電圧電気絶縁部品用液状シリコーンゴム組成物
JP3301310B2 (ja) 弾性体ロール及びその製造方法
TWI679245B (zh) 硬化性聚矽氧烷橡膠組成物及聚矽氧烷橡膠構件
JPH08120176A (ja) 半導電性シリコーンゴム組成物
JPH04100861A (ja) 硬化性シリコーンゴム組成物及び硬化物
KR101432306B1 (ko) 정착 롤 또는 정착 벨트용 실리콘 고무 조성물, 및 정착 롤및 정착 벨트
JPH04311764A (ja) 硬化性オルガノポリシロキサン組成物
JP2643747B2 (ja) 導電性シリコーンゴム組成物の製造方法
JP2835529B2 (ja) シリコーンゴム組成物
JP3727450B2 (ja) 定着ロール
JP3010982B2 (ja) 絶縁放熱シート
JP2522722B2 (ja) 圧縮抵抗性シリコ―ンゴム組成物
JP3664811B2 (ja) 導電性シリコーンゴム組成物および導電性シリコーンゴム
JP3319282B2 (ja) 事務機用導電性シリコーンゴムロール
JPH0566589B2 (ja)
JP2547164B2 (ja) 弾性体ロール
JP4425507B2 (ja) 高温圧縮抵抗性シリコーンゴム組成物
JP3246854B2 (ja) 定着ローラー用付加硬化型シリコーンゴム組成物及びそれを用いた熱定着用ローラー
JP2640480B2 (ja) シリコーンゴム組成物

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080426

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110426

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees