JP3297069B2 - 紙葉類取出し装置 - Google Patents

紙葉類取出し装置

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JP3297069B2
JP3297069B2 JP03339292A JP3339292A JP3297069B2 JP 3297069 B2 JP3297069 B2 JP 3297069B2 JP 03339292 A JP03339292 A JP 03339292A JP 3339292 A JP3339292 A JP 3339292A JP 3297069 B2 JP3297069 B2 JP 3297069B2
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rotation
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光一 小林
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、集積状態の紙葉類を一
枚ずつ高速に取出すための紙葉類取出し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、銀行券、データカード、あるい
は印刷物のような紙葉類は、紙葉類それぞれに求められ
る様々な処理形態に応じた機械化処理がなされている。
近年、これらの紙葉類の扱い量は増加の一途を辿ってい
るため、これらを処理する機械も高速化することが望ま
れている。
【0003】このような要求の中で、例えば銀行券のよ
うなものでは、一定枚数ずつ束の状態で保管する作業を
行う必要がある。このような作業において紙葉類を一定
枚数ずつに区分する作業を人手によって行うことは極め
て非効率的である。このため、通常は自動化された処理
機械を用いて、銀行券を一定枚数の集積層に区分した後
に各集積層を帯体で結束して調整するようにしている。
【0004】ここで、集積状態の紙葉類を一枚ずつ分離
する方法として、紙葉類の一端をつかみ面外方向に引き
離す、いわゆる、めくり方式と、紙葉類をその面内方向
に移動させる、いわゆる、ずらし方式とが知られてい
る。これら両方式のうちで高速取出しに適しているのは
ずらし方式であることが、中村他により報告されている
(東芝レビュー37巻5号439頁〜442頁)。
【0005】以降において、図16から図21を参照し
て、紙葉類を一枚ずつ高速かつ正確に取出すために提案
された従来技術に係る2種類のずらし方式を利用した紙
葉類取出し装置について説明する。
【0006】図16は紙葉類取出し装置の第1の従来技
術を示す斜視図である。図16に示すように、紙葉類取
出し装置100を構成する主たる要素は、前述したずら
し方式により紙葉類の取出しを行う取出しロータ101
と、モータ(駆動手段)102と、モータ(駆動手段)
102と取出しロータ101との間に介在された遊星歯
車機構103とである。ここに、遊星歯車機構103
は、モータ102の回転運動を取出し、該回転運動を間
欠回転運動(非等速回転運動)に変換してロータ101
に伝達するものである。
【0007】モータ102のモータ軸102aには、プ
ーリ104が固定されている。プーリ104とフライホ
イール105との間には、無端ベルト106が巻き掛け
られている。
【0008】フライホイール105は中心軸107によ
り回転自在に軸支され、また、中心軸107はその両端
がシャーシフレーム(図示せず)に固定されている。中
心軸107の一端部近傍には太陽歯車108が固定され
ている。従って、太陽歯車108は回転しない。太陽歯
車108には、その歯面に噛合する位置に2個の遊星歯
車109a,109bが外接して配置され、当該2個の
遊星歯車109a,109bは、太陽歯車108の周囲
を公転するとともに自ら自転することが可能である。な
お、遊星歯車109a,109bの歯数は、太陽歯車1
08の歯数の丁度半分となっている。さらに2つの遊星
歯車109a,109bは、中心軸107を中心として
対称な位置に配置されている。
【0009】遊星歯車109a,109bには、回転軸
110a,110bの一端が固着されている。回転軸1
10a,110bは、中心軸107と平行に配置されて
いる。回転軸110a,110bの他端側は、フライホ
イール105を貫通している。回転軸110a,110
bの他端側には、アーム111a,111bが形成され
ている。アーム111a,111bの他端側は、略L字
形状に直角に折れ曲がっている。当該折曲端部には、回
転軸110a,110bの長手方向に沿うようにピンピ
ン112a,112bが立設している。これらピン11
2a,112bは、クランプアーム113に形成された
スロット113a,113b内に挿通されている。
【0010】クランクアーム113は、長手方向両端部
にスロット113a,113bがそれぞれ形成されると
共に中心部に円筒部材114の一端部を固定している。
スロット113a,113bの長手方向とクランクアー
ム113の長手方向とは一致している。
【0011】また円筒部材114の長手方向は中心軸1
07と一致し、且つ、この円筒部材114内には、中心
軸107の他端部が挿通されている。またクランクアー
ム113は中心軸107と同心的に配置されている。円
筒部材114の他端部はロータ101の中心に固定され
ている。従って、クランクアーム113は円筒部材11
4を介して取出しロータ101と結合している。
【0012】一方、図17は紙葉類取出し装置の第2の
従来技術を示す斜視図である。この紙葉類取出し装置1
50も、前述したずらし方式により紙葉類の取出しを行
うためのロータ101と、取出しロータ101を駆動す
るモータ102と、モータ102の等速回転運動を取出
し当該運動をロータ101の間欠回転運動に変換するた
めの遊星歯車機構103とから構成されている。かかる
構成は、図16に示す第1例の紙葉類取出し装置100
と同一である。
【0013】紙葉類取出し装置150の特徴は、アーム
111a,111bとクランクアーム113との接続部
分の構造にある。すなわち、紙葉類取出し装置150で
はアーム111a,111bとクランクアーム113の
両端部との間にコンロッド115a,115bが介入し
ている。そして、アーム111aとクランクアーム11
3の一端部との間と、アーム111bとクランクアーム
113の他端部との間とは、ピン112a,112bと
ピン116a,116bとで結合している。その他の構
成は紙葉類取出し装置100と同じであるので、同一構
成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0014】このような従来の紙葉類取出し装置10
0,150の動作について、紙葉類取出し装置150を
例にとって説明する。すなわち、フライホイール105
は、モータ102により回転駆動される。フライホイー
ル105には、アーム111a,111bが形成された
回転軸110a,110bが挿通されているので、フラ
イホイール105が回転することにより、回転軸110
a,110bは当該回転方向に引かれるようにして公転
する。回転軸110a,110bの一端部には、遊星歯
車109a,109bが太陽歯車108の外周上の歯囲
を公転可能にして固定されているから、結局、フライホ
イール105の回転により、回転軸110a,110b
は、フライホイール105の回転方向に公転すると共に
自転する。公転し且つ自転する回転軸110a,110
bの他端部には、クランクアーム113を公転付勢する
ためのアーム111a,111b及びピン112a,1
12bが形成されると共に、クランクアーム113は中
心軸107により回転自在であるから、クランクアーム
113及び円筒部材114は回転し、円筒部材114を
固着しているロータ101も回転する。しかし、モータ
102及びフライホイール105は等速回転運動して
も、ロータ101は非等速回転運動となる。このロータ
101の非等速回転運動は、アーム111a,111
b、クランクアーム113等によるメカニズムと、遊星
歯車機構103とにより達成されている。
【0015】図18は、紙葉類取出し装置150の遊星
歯車機構103の動作を示す図であって、図17中のX
方向から遊星歯車機構103を見た側面図である。な
お、図中一点鎖線は、太陽歯車108および遊星歯車1
09a,109bを示している。
【0016】また、図18(a)における太陽歯車10
8と遊星歯車109aとの噛み合い点を基準とし、遊星
歯車109aの回転に伴ってこの噛み合い点がどのよう
に変化するかが鎖線で表されている。まず図18(a)
の状態からフライホイール105が矢印Yの方向に回転
駆動される。
【0017】一方、太陽歯車108の周囲に配置された
遊星歯車109a,109bは、フライホイール105
の回転により自転と公転とを同時に行われる回転軸11
0a,110bにより付勢され、やはり自転と公転とが
同時に行われる。そのため、遊星歯車109a,109
bはフライホイール105との相対位置を変化させる。
図18(b)〜図18(d)に示すように、噛み合い点
の移動軌跡はサイクロイド曲線(破線)を描くことにな
る。
【0018】このように、遊星歯車109a,109b
の噛み合い点がサイクロイド曲線を描くため、コンロッ
ド115a,115bとクランクアーム113とのなす
角度が逐次変化する。そして、この角度変化により、ク
ランクアーム113の回転量はフライホイール105の
等速回転量に対して不等速回転となり、図18(a)及
び図18(b)で瞬時停止する間欠回転となり、取出し
ロータ101には間欠回転運動が伝達されることにな
る。図19は、取出しロータ101による紙葉類の取出
し動作を示す図であり、図17中のX方向から取出しロ
ータ101を見た断面図である。
【0019】取出しロータ101の底部は、積層された
紙葉類群130に対して接近または接触した状態にあ
る。この状態から、取出しロータ101が矢印Zの方向
に回転駆動させるようになっている。
【0020】取出しロータ101の内部には、固定ブロ
ック117と、この固定ブロック117内に配置される
真空室118とが設けられている。真空室118は、図
示しない真空ポンプなどによって内部が真空状態に保持
されている。これら固定ブロック117と真空室118
は、前記中心軸107に固定されており、取出しロータ
101が回転駆動されてもこの状態で位置決めされてい
る。なお、真空室118には、取出しロータの外壁に通
じる吸着部118aが形成されている。
【0021】取出しロータ101の側面には、複数の吸
着用孔119a,119b,…が穿孔されている。これ
ら吸着用孔119a,119b,…と紙葉類群120と
は十分近接した位置関係にある。ここでは吸着用孔11
9a,119b,…は一組のみ示されているが、中心軸
107に対して対称な位置にもう一組の吸着用孔119
a,119b,…が穿孔されている。取出しロータ10
1の外部には、取出しロータ101の底部における接線
を境界として2個のローラ120a,120bが配置さ
れている。
【0022】ローラ120a,120bは、図示しない
モータによって矢印の方向に回転駆動される。また、ロ
ーラ120a,120bのそれぞれには、互いに接触す
るように搬送ベルト121a,121bが巻装されてい
る。搬送ベルト121a,121bの他端は、図示しな
い2個のローラに無端状に巻装されている。また搬送ベ
ルト121a,121bは、途中に配置されたローラ1
22によって重ね合わせられ、紙葉類が確実に保持され
る。続いて、紙葉類130を順次取出す方法について説
明する。
【0023】まず、真空室118が真空状態に保持され
るとともに、取出しロータ101が回転駆動される。取
出しロータ101の回転によって、吸着用孔119a
と、真空室118の吸着部118aとが接触する状態
(図19(a))となる。すると取出しロータ101底
部付近に位置する紙葉類群130は、その一枚目130
aが吸引され、取出しロータ101の回転方向に搬送さ
れる。(なお部材123は、紙葉類を2枚以上同時に取
出すことを防止するために配置されている。)
【0024】取出しロータ101がさらに回転すると、
続く吸着用孔119a,119b,…が順次吸着部11
8aの位置を通過し、紙葉類130aの吸引・搬送効果
が高まる。(図19(b))
【0025】取出しロータ101がさらに回転し、真空
室118の吸着部118aを吸着用孔が全て通過すると
きには、紙葉類130aの左端が搬送ベルト121a,
121bによって挟時され、搬送ベルト121a,12
1bの移動方向に運ばれる。このようにして紙葉類が一
枚ずつ搬送されてゆく。
【0026】なお、取出しロータ101の間欠回転運動
について、図19(a)の状態で最も回転速度が遅い。
そして、図19(b),図19(c)の順に回転速度が
上昇し、再び図19(a)の状態に戻る際に減速するよ
うになっている。
【0027】図20は、フライホイール105の回転量
θに対する取り出しロータ101の回転量φの関係を線
図として表現したものである。ここで、横軸はθ/π
(=H)であり、フライホイール105の回転角を無次
元化してなる入力角である。一方、縦軸はφ(rad)
であり、紙葉類の取出しに係る取出しロータ101の出
力角である。曲線(a)は、Hに対する取出しロータ1
01の位置変化の状態を示したものである。この曲線か
らも、取出しロータ101が間欠回転運動することがわ
かる。
【0028】また、曲線(b),(c)は、Hに対する
取出しロータ101の速度変化、および加速度変化の状
態を示したものである。(なお、これらはθの時間微分
値によって大きさが変わるが、それぞれθの時間微分値
およびθの時間微分値の二乗で割って無次元化して示し
た。)
【0029】これら曲線(b),(c)を見れば明らか
なように、曲線(b),(c)はH=0.5を境として
対称な曲線となっていない。そして、特に曲線(c)に
関しては、H=0付近とH=1付近の2か所の加速度の
極値点(最大加速時と最大減速時)において、その絶対
値が大きく異なったものとなっている。
【0030】このように加速度の絶対値が異なってしま
うので、紙葉類取出し装置150がコンロッド115
a,115bを介したピン結合機構を採用していること
に起因している。つまり図17に示した紙葉類取出し装
置150のごとくピン結合機構を採用すると、遊星歯車
機構103により発生するサイクロイド曲線はH=0.
5を境に対称形であるが、間欠回転の速度や加速度は図
20のように対称形にならない。このように、最大加速
時と最大減速時とでその加速度の絶対値が大きく異なる
従来の紙葉類取出し装置150であると、取出しローダ
101の回転駆動時に減速のときのピークが特に大きく
なり、大きな騒音・振動が発生してしまい、実用上好ま
しくない。
【0031】これに対して図16に示した紙葉類取出し
装置100であれば、上記の問題は解決され、遊星歯車
機構103により発生する間欠回転の速度、加速度の曲
線はH=0.5の前後で対称形となり、加速と減速のピ
ークは同じになる。しかしながら、図16に示した紙葉
類取出し装置100にあっては、次のような欠点があ
る。
【0032】すなわち、紙葉類取出し装置100ではア
ーム111a,111bを中心とした遊星歯車109
a,109bの回転運動は、クランクアーム113の回
転運動を発生させるものの、遊星歯車109a,109
bの回転運動の大半はスリット113a,113bに沿
ったピン112a,112bの直線摺動運動に変換され
ることになる。そのため、ピン112a,112bの摺
動時にスリット113a,113b内面には負荷トルク
による大きな摩擦力が生じてしまい、結果として力の伝
達効率が非常に悪くなってしまう。そして同時に、摺動
摩擦によって大きな騒音・振動が発生してしまう。
【0033】これに対し図21に示すように、ピン11
2a,112bとスリット113a,113bとの摺動
摩擦を極力防止する方法もある。図21(a)は回転自
在なローラ123a,123bをピン112a,112
bに取り付けた例であり、図21(b)はスリット11
3a,113bの内面形状に対応した外形を持った摺動
子124a,124bを取り付けた例である。しかしな
がら、いずれの方法によっても精密な部品製作技術が要
求され、製作コストの面で問題がある。また、これら各
例によっても根本的に摺動摩擦の問題を解決することは
難しい。したがって、摺動摩擦がほとんど発生しないピ
ン結合機構を用いた図17の方式を採用しなければ、力
の伝達効率を改善することができない。
【0034】さらに、上記のいずれの従来技術も間欠回
転運動を取出すための運動変換手段として遊星歯車機構
103を用いているが、歯車を用いた機構の場合は歯面
の摩耗により装置の寿命をそれ程長く設計することがで
きない。
【0035】また紙葉類取出し装置の設計においては、
取出しロータが一回転する時間を一定とした場合の取出
しロータの停止時間ができるだけ長くなるようにして紙
葉類を確実に取出すことが要求されつつある。しかし、
上述のように遊星歯車機構を用いた方法によれば、サイ
クロイド曲線に対応した間欠回転曲線しか設計すること
ができず、取出しロータの回転加速度を自由に設定して
取出しロータの停止時間を長くすることが不可能であっ
た。
【0036】
【発明が解決しようとする課題】以上のように従来の紙
葉類取出し装置においては、ピン結合機構を用いた場合
は回転加速度の絶対値に差が生じてしまい、騒音・振動
が発生してしまう。一方、直線摺動運動を利用した場合
は力の伝達効率が悪くなってしまい、摺動摩擦によって
やはり騒音・振動が発生してしまう。
【0037】また従来の紙葉類取出し装置はいずれも遊
星歯車機構を採用しているので、得られる間欠回転運動
が皆同じになってしまう。そのため、取出しロータの停
止時間をできるだけ長くして紙葉類を確実に取出すとい
った要求に応じることができなかった。
【0038】本発明は上述した従来の問題を解決し、騒
音・振動の発生を最小限に食い止めるとともに紙葉類を
より確実に取出すことができる紙葉類取出し装置を提供
することを目的としている。
【0039】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明においては、駆動手段と、この駆動手段によ
り中心軸まわりに等速回転運動を行うフライホイール
と、紙葉類を取出すロータと、前記フライホイールの等
速回転運動を非等速回転運動に変換し該非等速回転運動
を前記ロータに伝達するものであって、固定されたカム
部材と、このカム部材に形成された軌道形成体と、前記
フライホイールの等速回転運動により付勢されて前記軌
道形成体に沿って移動するローラと、このローラが前記
軌道形成体に沿って移動することにより得られる非等速
回転運動を前記ロータに伝達する伝達機構とから構成さ
れたカム機構とを具備することを特徴とする紙葉類取出
し装置、である。
【0040】
【作用】上記のように構成した本発明によれば、前記ロ
ーラは、前記カム部材に形成された前記軌道形成体に沿
って移動することにより、前記フライホイールの等速回
転運動は運動変換され、前記ロータを非等速回転運動す
るので、紙葉類を確実に取出すことが可能となる。ま
た、前記紙葉類の取出しに寄与する前記ロータの非等速
回転運動に対応する間欠回転曲線は、前記カム部材に形
成された前記軌道形成体で定まるが、該軌道形成体は、
前記カム部材を切削加工することにより容易に形成する
ことができる。さらに、前記カム部材に形成する間欠回
転曲線の決め方によって、装置の騒音や振動の抑制が可
能となり、紙葉類の取出しを一層確実に行うことも可能
となる。
【0041】
【0042】
【0043】
【実施例】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明す
る。
【0044】図1は本発明の第1の実施例に係る紙葉類
取出し装置を示す斜視図である。紙葉類取出し装置1を
構成する主たる要素は、前述したずらし方式により紙葉
類の取出しを行う取出しロータ2と、モータ3と、モー
タ3と取出しロータ2との間に介在されたカム機構4と
である。ここに、カム機構4は、モータ3の回転運動を
取出し、該回転運動を間欠回転運動(非等速回転運動)
に変換してロータ2に伝達するものである。モータ3の
モータ軸3aにはプーリ6が固定されており、フライホ
イール7との間に無端ベルト8が巻装されることによっ
て両者が結合されている。
【0045】フライホイール7は中心軸9により回転自
在に軸支され、また、中心軸9はその両端がシャーシフ
レーム(図示せず)に固定されている。中心軸9の一端
付近はカム機構5の中心部10に固定されている。
【0046】図2(a)(b)に示すように、カム機構
4は中心部10を中心とした円盤状に一体形成されたカ
ム部材5を有している。図2(a)はカム機構4の正面
図、図2(b)は図2(a)におけるII−II方向に沿う
断面図である。また、カム部材5の一方の面には軌道形
成体として非円形状の周期溝11が形成されている。こ
の周期溝11は、ローラ12a,12bが紙面に対向し
て時計方向に公転運動する場合を想定して作られてい
る。また、カム部材5は図示しないシャーシフレームに
固着されている。周期溝11内には、中心部10を境に
180°離間した位置にローラ12a,12bが配置さ
れ、周期溝11に沿って移動可能となっている。
【0047】アーム13a,13bは、中心軸9に平行
にしてその中間部がフライホイール7の外周付近を貫通
し、且つその長尺方向両端側は図1に示すように中心軸
9に直交する方向に90°に折り曲げられた折曲部が形
成されている。
【0048】アーム13a,13bの一端側の折曲部端
部にはピンが中心軸9に平行にして立設され、これらピ
ンはローラ12a,12bを転動自在に支持している。
また、アーム13a,13bの他端側の折曲部端部にも
ピン14a,14bが中心軸9に平行にして立設されて
いる。
【0049】クランクアーム15は、長手方向両端部に
浅いスリット15a,15bが形成され、その中間部に
は、中心軸9に平行にして中空部を有する円筒部材16
の一端部を固定している。アーム13a,13bに立設
されたピン14a,14bはクランクアーム15のスリ
ット15a,15bに係合されている。円筒部材16の
他端部は、取出しロータ2の中心部に固定されている。
そして、円筒部材16内の一端側から中心軸9が挿通さ
れており、これによりクランクアーム15は中心軸9と
同心的に配置され且つ中心軸9に対して円筒部材16及
び取出しロータ2は回転自在である。従って、クランク
アーム15は円筒部材16を介して前記取出しロータ2
と結合していることになる。
【0050】このように構成された本実施例の紙葉類取
出し装置1の動作について説明する。すなわち、フライ
ホイール7は、モータ3により回転駆動される。フライ
ホイール7には、アーム13a,13bが挿通されてい
るので、フライホイール7が回転することにより、アー
ム13a,13bは当該回転方向に引かれるようにして
公転する。アーム13a,13bの一端部には、カム機
構4のローラ12a,12bがカム機構4の周期溝11
内を公転可能にして固定されているから、結局、フライ
ホイール7の回転により、アーム13a,13bは、フ
ライホイール7の回転方向に公転すると共に自転する。
【0051】公転し且つ自転するアーム13a,13b
の他端部には、クランクアーム15を公転付勢するため
のピン14a,14bが設けられると共に、クランクア
ーム15は中心軸9により回転自在であるから、クラン
クアーム15及び円筒部材16は回転し、円筒部材16
を固着しているロータ2も回転する。しかし、モータ3
及びフライホイール7は等速回転運動しても、ロータ2
は非等速回転運動となる。このロータ2の非等速回転運
動は、カム機構4と、アーム13a,13b、クランク
アーム15等によるメカニズムとにより達成されてい
る。
【0052】次に、ロータ2の非等速回転運動を司るカ
ム機構4、アーム13a,13b、クランクアーム15
等の動作を図4(a)(b)(c)(d)(e)(f)
(g)を参照して説明する。図4(a)(b)(c)
(d)(e)(f)(g)は、カム部材5に形成された
周期溝11と、この周期溝11に沿って移動可能なロー
ラ12a,12bとの関係を示したものである。ここで
は、中心軸9に対してアーム13a,13bを回転して
いった状態を表している。
【0053】図4(a)ではフライホイール7及びアー
ム13a,13bの回転角は零であり、クランクアーム
15の回転角ももちろん零である。図4(b)ではフラ
イホイール7及びアーム13a,13bの回転角は20
°近傍であり、クランクアーム15の回転角は5°近傍
である。図4(c)ではフライホイール7及びアーム1
3a,13bの回転角は45°であり、クランクアーム
15の回転角は20°近傍である。図4(d)ではフラ
イホイール7及びアーム13a,13bの回転角は90
°であり、クランクアーム15の回転角も90°であ
る。図4(e)ではフライホイール7及びアーム13
a,13bの回転角は135°であり、クランクアーム
15の回転角は160°近傍である。図4(f)ではフ
ライホイール7及びアーム13a,13bの回転角は1
60°近傍であり、クランクアーム15の回転角は17
5°近傍である。図4(g)ではフライホイール7及び
アーム13a,13bの回転角は180°であり、クラ
ンクアーム15の回転角ももちろん180°である。
【0054】すなわち、図4(a)の状態からフライホ
イール7が矢印Aの方向の回転駆動される。図4(a)
の状態から図4(c)に至ってアーム13a,13bの
回転角は45°であるのに対し、クランクアーム15は
20°近傍の回転である。特に、アーム13a,13b
及びクランクアーム15の回転始まりである図4(b)の
状態で、アーム13a,13bの回転角がθa(20°
近傍)のとき、クランクアームの回転角はφa)5°近
傍)であって、θa>>φaの関係となる。図4(c)
から図4(e)の状態では、逆にアーム13a,13b
の回転角よりもクランクアーム15の回転角の方が大き
くなっている。
【0055】そして図4(e)から図4(g)の状態で
はアーム13a,13bが45°回転しているのに対
し、クランクアーム15は図4(a)から図4(c)と
同様にわずかしか回転せず、元の状態(図4(a)の状
態)に復帰する。特に、アーム13a,13b及びクラ
ンクアーム15の元の状態に復帰する直前である図4
(f)の状態で、アーム13a,13bの回転角がθb
(160°近傍)のとき、クランクアームの回転角はφ
b175°近傍)であって、(180°−θb)>>
(180°−φb)の関係となる。
【0056】このようなアーム13a,13bとクラン
クアーム15との回転角の関係、つまりフライホイール
7と取出しロータ2との回転角の関係が、ロータ2の非
等速回転運動を実現していることになる。そして、フラ
イホイール7と取出しロータ2との回転角の関係は、カ
ム部材5に形成する周期溝11の設計手法によって任意
に決定することができる。
【0057】ここで、図2(a)に示したごとく周期溝
11を形成したカム部材5であると、フライホイール7
と取出しロータ2との回転角の関係は図5のようにな
る。ここで、横軸θはフライホイール7又はアーム13
a,13bの回転角を無次元化してなる入力角であり、
θ/π=Hである。一方、縦軸φは紙葉類の取出しに係
る取出しロータ2又はクランクアーム15の回転角であ
る。
【0058】周期溝11の設計手順としては、まず初め
に、要求される間欠回転運動に係る取出しロータ2の回
転加速度曲線を仮定する。次にこの回転加速度曲線を実
現するための回転角度曲線を積分により求める。さらに
求まった回転角度曲線を順次微分してゆくことにより、
最終的な回転加速度曲線を求め、周期溝11の形状を決
定する。ここで、周期溝11の設計手法の一例として図
5の曲線の設計について紹介する。初めに、出力角φの
回転角加速度Φを次の式のように仮定する。
【0059】
【数1】
【0060】(なお、この(1)式はあくまでも仮定的
に用いるものである。必要に応じて任意の方程式を仮定
すれば、取出しロータ2の間欠回転運動を種々に変化さ
せることができる。)次に、上記(1)式のp,qを適
当に選び、(1)式を二重積分する。もちろん、p,q
の選び方も任意に行うことでできる。
【0061】
【数2】 (なお、図5の曲線ではp=1.2,q=3としてい
る。)ここで、(2)式においてH=0.5のときφ=
π/2であるとすれば、(1)式のAの値を求めること
ができる。
【0062】このようにしてH=0〜0.5の範囲の曲
線を求め、点(1/2,π/2)に関して180°回転
対称な曲線をもって延長し、これらの曲線H=0〜1の
範囲の取出しロータ2の回転角度曲線とする。
【0063】ここで求められたφによる曲線は、取出し
ロータ2の回転に必要な特性としてH=0およびH=1
の位置で曲線の傾斜が0になっている。(図5の曲線
(a)参照。)したがって、紙葉類の取出しの瞬間は取
出しロータ2の回転が一時停止する間欠回転動作とな
る。次にφの回転角速度について考える。回転加速度は
φの微分であるから、次式のように表現される。
【0064】
【数3】 (3)式はさらに次式のように表現される。
【0065】
【数4】 したがって、(2)式をHで微分することにより(4)
式になり、図5の曲線(b)となる。さらに回転角加速
度についても同様にして、次式のように表現される。
【0066】
【数5】 (5)式はさらに次式のように表現される。
【0067】
【数6】
【0068】したがって、(2)式をHで二階微分する
ことにより(6)式となり、図5の曲線(c)となる。
このような手順によって順次曲線(a),(b),
(c)を求めることができる。
【0069】もちろん、仮定する(1)式や、或いは
(1)式のp,qの値の選定によって間欠回転運動に起
因するこれらの曲線形状を種々変化させることが可能と
なる。こういった曲線の設計においては、以下に示す3
つの項目を配慮することが好ましい。
【0070】(イ)取出しロータ2の回転角φの曲線の
H=0およびH=1(θ=0およびθ=180°)付近
の拡大図を図7に示す。フライホイール7が角速度Θ
(Θはθの時間微分)で回転し、それに従って取出しロ
ータ2が回転角φで回転しているとき、回転角φが微小
値sの範囲にあるとき、実質的に取出しロータ2の回転
が停止していると考えることができる。つまり、取出し
ロータ2が微小値sだけ回転するのに要する時間Tが停
止時間であり、このTの値が大きくなるようにすれば、
より確実な取出し動作が実現される。(図7の例では曲
線(a)が従来例であり、曲線(b)が本実施例であ
る。)
【0071】(ロ)曲線(c)に示す回転角加速度Φに
ついては、加速度の絶対値が小さくなるようにし、間欠
回転運動の慣性力による負荷トルクIΦ(Iは間欠回転
する部分の極慣性モーメント)を小さくすることが望ま
しい。これによりモータ3の負荷トルクや騒音・振動の
低減を図ることができる。また、角加速度曲線を変化率
が小さい滑らかなものとすれば、騒音・振動がより低減
される。
【0072】(ハ)曲線(b)の回転角速度(φの時間
微分)については、図14の紙葉類群120を搬送ベル
ト121a,121bに送り渡すときの周速度が搬送ベ
ルト121a,121bの速度に合致させるようにする
か、またはそれに近い値にすることが望ましい。つま
り、両者の速度をほぼ等しくすることにより紙葉類のジ
ャムが防止され、取出し動作が確実に行われる。
【0073】そして、このように設計されたθ−φ曲線
を用いて取出しロータ2に間欠回転運動を実現させるた
めには、カム部材5の周期溝11の形状を次のようにし
て求めればよい。
【0074】まず、上述の方法により必要な特性を満た
すθ−φ曲線が決定したら、フライホイール7の回転角
度θ1,θ2,θ3,…θnに対応するクランクアーム
15の回転角度θ1,θ2,θ3,…θn,を求める。
そしてクランクアーム15の回転角度をもとに、アーム
13a,13bのローラ12a,12bの位置をプロッ
トしてゆき、滑らかな線で結ぶ。このようにして周期溝
11の形状を決定することができる。
【0075】なお、周期溝11を形成する方法として
は、フライス盤を用いたカム部材5の切削加工が挙げら
れる。特にNC制御フライス盤を用いた切削加工を採用
すれば、計算機で求められた工具の切削パスのデータを
読取り、周期溝11を容易に形成することができる。
【0076】以上説明したように本発明の紙葉類取出し
装置1によれば、従来と異なり運動変換手段としてカム
機構4を用いて、当該カム機構4によりフライホイール
7の等速回転運動をして取出しロータ2を非等速回転運
動させることができると共に、このようなカム機構4
は、紙葉類の取出しに必要な間欠回転曲線を自由に設計
することができるという多大な効果を奏する。例えば取
出しローラ2の最大および最小加速度の絶対値が等しく
なるような曲線を設計すれば、装置の騒音・振動の発生
を最小限に食い止めることができる。
【0077】また例えば取出しロータ2が一回転する時
間を一定とした場合の取出しロータ2の停止時間ができ
るだけ長くなるような曲線を設計すれば、紙葉類をより
確実に取出すことができるようになる。
【0078】さらに、カム機構4を用いることによって
運動変換手段側にピン結合を採用することが可能とな
る。(具体的にはローラ12a,12bとアーム13
a,13bとのピン結合。)これによってクランクアー
ム15で発生する摺動運動を極力回避することができ
る。
【0079】なお、カム部材に形成する周期溝の変形例
としては、例えば図3のようなものを挙げることができ
る。図3において周期溝20は、図2のものと異なり線
対称に形成されている。
【0080】図6は、図3のごとく周期溝20を形成し
た場合のフライホイール7と取出しロータ2との回転角
の関係を示したものである。(なお、縦軸、横軸につい
ては図4と同じである。)
【0081】図6からも明らかなように、図3の周期溝
20は、取出しロータ2の加速度のピークがほぼH=1
/4,H=3/4の位置にくるように設計した場合のも
のである。このような周期溝20を製作する場合にも、
上記の設計手順に従って行うことが可能である。なおこ
こではやはり上記(1)式を仮定し、(2)式において
p=3,q=3として曲線式を定めている。
【0082】また、図7の曲線(c)は図3のごとく周
期溝20を形成した場合を示している。つまり図3のカ
ム部材5を採用すれば取出しロータ2の停止時間がさら
に長くなり、紙葉類をより確実に取出すことが可能とな
る。
【0083】続いて、本発明の第2の実施例について図
8を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施例
において第1の実施例と同一構成要素については同一符
号を付し、詳細な説明を省略する。
【0084】図8の示す紙葉類取出し装置21には、十
字状に形成されたカップリング22(図8(b)として
図示)が設けられている点が第1実施例と異なる。カッ
プリング22は中心軸9に挿通されており、またカップ
リング22には90°間隔でそれぞれスリット22a,
22b,22c,22dが設けられている。
【0085】そして、アーム13a,13bに立設され
ているピン14a,14bはカップリング22のスリッ
ト22a,22bに係合されている。一方、クランクア
ーム15に立設されたピン23a,23bは、前記スリ
ット22a,22cと90°の関係にあるスリット22
b,22dに係合されている。
【0086】このような構成を有する本実施例によれ
ば、ピン14a,14bの回転中心が中心軸9に対して
多少ずれていてもカップリング22がこのずれを吸収し
て取出しロータ2に駆動力を伝達する。したがって、ア
ーム13a,13bに対して負荷が等分に配分されるの
で、無理な負荷がかかることなく取出しローラ2を常に
滑らかに回転させることができる。続いて、本発明の第
3の実施例について図9を参照して説明する。
【0087】図9に示す紙葉類取出し装置31は基本的
には第2の実施例の紙葉類取出し装置21と同一の構成
である。しかし、アーム13a,13bの代わりに十分
強固なアーム32a,32bを用いている点が第2の実
施例と異なる。
【0088】ここで使用されるアーム32には、図9
(b)に示されるように補強部33が設けられ、アーム
32の剛性が力の作用方向に大きくなるように製作され
ている。また、補強部33の両端にはこの凸部34a,
34bが形成され、この凸部34a,34bを利用して
フライホイール7に回動自在に接続されている。フライ
ホイール7には大きな孔35a,35bが設けられ、ア
ーム32a,32bがこの孔35a,35b内に配置さ
れる。
【0089】つまり前実施例で示したアーム13a,1
3bを用いたものであると、フライホイール7が高速回
転する場合、90°に屈曲したアーム13a,13b両
端部に取出しロール2の間欠回転による慣性トルクによ
り大きな負荷荷重がかかってしまい、これを支えている
アーム13a,13b中心部に過剰な捩りトルクが作用
してしまう可能性がある。本実施例のように補強部33
を設けたアーム32を用いれば、過剰な捩りトルクによ
ってアームが破損するのを防止することができる。続い
て、本発明の第4の実施例について図10を参照して説
明する。
【0090】図10に示す紙葉類取出し装置41は基本
的には第3の実施例の紙葉類取出し装置31と同一の構
成である。しかし、カム部材に形成される周期溝が二段
構造になっている点が第3の実施例と異なる。
【0091】ここで用いられるカム部材42には、図1
0(b)に示されるようにカム部材42の厚み方向に第
1の溝43と第2の溝44が段違いに設けられ、これら
2つの溝43,44をもって周期溝45が構成される。
つまり、第1の溝43の内周側および第2の溝44の外
周側が正式な周期形状となるように製作され、第1の溝
43の外周期および第2の溝44の内周側は周期形状と
関係なく製作されている。(ここでは第1の溝43の外
周は空隙となっている。)また、2つの溝43,44の
それぞれに対応するように2個のローラ46,47(全
体としては4個)が用いられる。
【0092】このように製作されたカム部材42を用い
た場合、ローラ46は第1の溝43の内周側を転動し、
一方ローラ47は第2の溝44の外周側を転動する。そ
してローラ46,47はそれぞれ別個に回転しながら無
理なく周期溝45に沿って移動することができる。した
がって、ローラ46,47が周期溝45内を確実に転が
りながら移動するので、摺動による摩耗が防止され、ロ
ーラの摩耗が極力低減される。
【0093】続いて、本発明の第5の実施例について図
11〜図15を参照して説明する。これまでの第1〜第
4の実施例では、例えば、第4の実施例においては図9
のアーム32の先端のピン14は、図11(a)に示す
ようにアーム13(32)の回動軸34の位置から見て
中心軸9の向こう側に位置している。しかし、第5の実
施例では、図11(b)のようにピン14を、中心軸9
の手前側に配置する構成としている。
【0094】このピン14の位置変更は、力学的モーメ
ントの変更を意味する。そして、モーメントの変更は、
ローラ12が、第5実施例に係るカム部材61の周囲溝
62を押付ける力を低減することになる(これの詳細は
後述する)。
【0095】そして、カム部材61における周囲溝62
の曲線形状も図11(b)のように変更することによ
り、ピン14の位置変更があったとしても、やはり図5
と同じ速度パターンを得ることができる。本第5実施例
の組立て外観図は図12のようになり、アーム60と、
カム部材61における周囲溝62とを除く他の部材は、
図10と同様である。
【0096】次に第5実施例に係る動作について図13
(a)(b)(c)(d)(e)を参照して説明する。
すなわち、フライホイール(図示せず)が回転してアー
ム60がフライホイールと一諸に矢印Aの方向に45度
移動して図13(b)の状態になり、このときクランク
15は角度mだけ遅れた位置にきている。さらにアーム
60が矢印A方向に45度移動して図13(c)の状態
になると、アーム60の角度mが0になる。このときク
ランプ15はアーム60に追付いているが、つぎに図1
3(d)ではクランク15は角度mだけ進んでさらに図
13(e)で角度mが0になっている。
【0097】このようにフライホイールの等速度回転に
対してクランク15は速度の遅速変化を伴いなから回転
し、図13(a)と図13(e)では回転速度が零にな
るようになっている。このような第5実施例によれば、
次の作用を得ることができる。
【0098】(1)フライホイールを回転する駆動トル
クを大幅に軽減することができ、これによりモータ3の
消費電力の節約やモータ3の小形化ができる。また運転
時のモータ3の温度上昇も少なくすることができる。
【0099】(2)ローラ12がカム部材61における
周囲溝62を押付ける力を軽減することができ、これに
より構造部(例えばアーム60やその支持部やローラ1
2)などに過大な負荷がかからず、構造強度的に有利に
なり、動作耐久寿命が改善され、また動作騒音も改善さ
れる。
【0100】この駆動トルクの軽減と、ローラ12がカ
ム部材61における周囲溝62を押す力の軽減は、紙葉
類取出し装置の基本性能である動作速度を高める上でも
有利である。この場合、動作速度の二乗に比例して、構
造物に作用する負荷力は増大するので、強度の許容範囲
以内で作用力の低減した分だけ動作速度を高め、より高
速処理を果たすことも可能になる。この駆動トルクの軽
減と、ローラ12がカム部材61における周囲溝62を
押す力の軽減ができる理由について説明する。
【0101】まず駆動トルクが軽減される理由を説明す
る。すなわち、フライホイールを回転するのに必要な駆
動トルクは取出しロータの間欠回転で生じる慣性力とカ
ム機構61により図14(a)のようになる。つまり、
フライホイールの回転角θが0〜90度の範囲で+に、
90〜180度の範囲では−になる。
【0102】しかるに、実際にはアーム13は揺動運動
しているのでアーム13自体の慣性力の影響が加算され
る。これまでの実施例ではアーム13の慣性力はフライ
ホイールの回転角が0〜90度の範囲で図4(c)の矢
印uに示すように左回りに作用し、90〜180度の範
囲では図4(e)の矢印vに示すように右回りに作用す
る。これによりアーム13の回動支点位置にFa,Fb
の力が作用するから、フライホイールを回転するのに必
要な駆動トルクには、図14(a)における力Fa,F
bの影響が加算されてしまう。従って、フライホイール
を回転するのに必要な駆動トルクは大きくなってしま
う。
【0103】ところが、本発明の第5の実施例の構成に
よると、揺動運動しているアーム60の慣性力はフライ
ホイールの回転角θが0〜90度の範囲で図13(b)
の矢印vに示すように右回りの回転トルクとなって作用
し、90〜180度の範囲では図13(d)の矢印uに
示すように左回りに作用する。そして、アーム13(6
0)の可動支点位置にはFa,Fbの力が作用する。こ
の力Fa,Fbはフライホイールの必要駆動トルクを小
さくする方向に作用する。その結果、フライホイールを
回転するのに必要な駆動トルクは、図14(a)ではな
く実際には図14(b)に示すように、第1〜第4の実
施例の場合は曲線1となり、また第5の実施例の場合は
曲線2のようになり、T1>T3となって曲線1より駆
動トルクの大きさが大幅に軽減されている。
【0104】次にローラ12がカム部材61における周
囲溝62を押す力の軽減ができる理由は次のように説明
される。すなわち、図11(a)に示すように、第1〜
第4の実施例ではアーム13の回動支点とアームの先端
のピンの長さL1がアームの回動支点とローラ間の長さ
L2に比べて大きく、負荷力Wが大きく拡大されてカム
面に作用している。これに対して図11(b)に示す第
5の実施例ではL1とL2の長さにあまり差が無いので
負荷力Wは拡大されずにカム面に作用しているからであ
る。
【0105】その結果、図15に示すように第1〜第4
の実施例の曲線1のP11,P12よりも第5の実施例
の場合の曲線2のP21,P22の他が小さい値になっ
ている。
【0106】ここで図15において縦軸のカム面圧はロ
ーラ12がカム部材61の中央方向から離れる方向に力
が作用している場合を+、中央方向に向う力が作用して
いる場合を−としている。以上、本発明をいくつかの実
施例により説明したが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。例えば、カム機構から取出しロー
タへ回転運動を伝達するアームは、2本に限らず、1本
であってもよい。
【0107】また、軌道形成体として周期溝を形成した
が、例えば外周が所定形状をなすカム部材を用いてその
外周に沿ってローラが転動するような構成を採用しても
よい。この場合、ローラがカム部材の外周から外れない
ように、カム部材もしくはローラを磁石で形成すること
もできる。また、周期構内にグリースなどの潤滑剤を充
填したり、あるいはローラを固体潤滑剤で形成したりす
ることもできる。
【0108】
【発明の効果】以上のようにカム機構を用いた本発明の
紙葉類取出し装置とすれば、紙葉類の取出しに必要な間
欠回転曲線を自由に設計することができ、装置の騒音・
振動の発生を最小限に食い止めたり、あるいは紙葉類を
より確実に取出すことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る紙葉類取出し装置
を示す斜視図である。
【図2】カム部材と周期溝の一例を示す図である。
【図3】カム部材と周期溝の一例を示す図である。
【図4】カム部材に形成された周期溝に沿ってローラが
移動する様子を示した動作説明図である。
【図5】本発明の紙葉類取出し装置におけるフライホイ
ールの回転角θに対する取出しロータの回転角φの関係
の一例を示す線図である。
【図6】本発明の紙葉類取出し装置におけるフライホイ
ールの回転角θに対する取出しロータの回転角φの関係
の一例を示す線図である。
【図7】取出しロータの停止状態を、取出しロータ回転
角φをもって比較考察した図である。
【図8】本発明の第2の実施例に係る紙葉類取出し装置
を示す斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施例に係る紙葉類取出し装置
を示す斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施例に係る紙葉類取出し装
置を示す斜視図である。
【図11】本発明のこれまでと第5の実施例のアーム、
カムの形状の相違比較を示す図である。
【図12】本発明の第5の実施例のアーム部材の斜視図
とそれを組込んだ紙葉類取出し装置を示す斜視図であ
る。
【図13】本発明の第5の実施例のカム部材に形成され
た周期溝に沿ってローラが移動する様子を示した動作説
明図である。
【図14】本発明のフライホイールを回転するのに必要
な駆動トルクを示す線図である。
【図15】本発明のカムに作用する力を示す線図であ
る。
【図16】紙葉類取出し装置の第1の従来技術を示す斜
視図である。
【図17】紙葉類取出し装置の第2の従来技術を示す斜
視図である。
【図18】従来の紙葉類取出し装置に設けられた遊星歯
車機構の動作を示す図である。
【図19】取出しロータによる紙葉類の取出し動作を示
す図である。
【図20】従来の紙葉類取出し装置におけるフライホイ
ールの回転角θに対する取出しロータの回転角φの関係
を示す図である。
【図21】図11に示す紙葉類取出し装置の要部を拡大
して示した斜視図である。
【符号の説明】 1,21,31,41…紙葉類取出し装置 2…取出しロータ 3…モータ 4…カム機構 5,42,61…カム部材 7…フライホイール 9…中心軸 11,20,45,62…周期溝(軌道形成体) 12,46,47…ローラ 13,32,60…アーム 14…ピン 15…クランクアーム 16…円筒部材 22…カップリング

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動手段と、 この駆動手段により中心軸まわりに等速回転運動を行う
    フライホイールと、 紙葉類を取出すロータと、前記フライホイールの等速回転運動を非等速回転運動に
    変換し該非等速回転運動を前記ロータに伝達するもので
    あって、固定されたカム部材と、このカム部材に形成さ
    れた軌道形成体と、前記フライホイールの等速回転運動
    により付勢されて前記軌道形成体に沿って移動するロー
    ラと、このローラが前記軌道形成体に沿って移動するこ
    とにより得られる非等速回転運動を前記ロータに伝達す
    る伝達機構とから構成されたカム機構と を具備する ことを特徴とする紙葉類取出し装置。
  2. 【請求項2】 前記軌道形成体は、前記カム部材に形成
    された非円形状の溝であることを特徴とする請求項1に
    記載の紙葉類取出し装置。
  3. 【請求項3】 前記伝達機構は、 前記フライホイールを貫通すると共に当該フライホイー
    ルの中心軸に平行に伸長し且つ一端部は前記ローラを回
    転可能に支持してなるアーム部材と、 前記ローラに対して回転力を付勢するものであって、そ
    の一端部が前記アーム部材の他端部に係合され、その他
    端部が前記ローラの中心部に固定されてなるクランク部
    材と、 から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の
    紙葉類取出し装置。
  4. 【請求項4】 前記クランク部材は、 当該クランク部材の一端部と前記アーム部材の他端部と
    の間の係合部に、前記負荷不均衡を抑制するためのカッ
    プリング部材を設けてなることを特徴とする請求項3に
    記載の紙葉類取出し装置。
  5. 【請求項5】 前記伝達機構における前記アーム部材
    と、前記クランク部材とは、前記アーム部材の回転中心
    と前記ローラの回転中心との間の距離と、前記アーム部
    材の回転中心と前記クランク部材の前記係合部との間の
    距離とが略同じであることを特徴とする請求項1に記載
    の紙葉類取出し装置。
  6. 【請求項6】 前記非円形状の溝は、前記ロ一夕の最大
    加速度の絶対値と最 小加速度の絶対値とが等しくなる曲
    線を含むことを特徴とする請求項2に記載の紙葉類取出
    し装置。
  7. 【請求項7】 前記アーム部材は、前記フライホイール
    を貫通する部分に補強部が形成されてなることを特徴と
    する請求項3に記載の紙葉類取出し装置。
  8. 【請求項8】 前記軌道形成体は、異なる非等速回転運
    動を形成する異なる非円形状の複数の溝であることを特
    徴とする請求項1に記載の紙葉類取出し装置。
  9. 【請求項9】 前記複数の溝に対して前記伝達機構と前
    記カム部材とを相対的に移動させることにより、前記伝
    達機構に伝達すべき前記軌道形成体に対応する非等速回
    転運動を切替える切替え機構を更に備えることを特徴と
    する請求項1に記載の紙葉類取出し装置。
  10. 【請求項10】 前記切替え機構は、手動により前記カ
    ム部材を、前記ローラに対して相対的に移動させる機構
    を備えることを特徴とする請求項10に記載の紙葉類取
    出し装置。
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