JP3295309B2 - 射出成形方法及び射出成形装置 - Google Patents

射出成形方法及び射出成形装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な射出成形方法
及び射出成形装置に関する。詳しくは、材料樹脂の射出
に際してキャビティ内を真空引きする射出成形方法及び
射出成形装置において、真空引きの経路中に残留するガ
スのゲル化したヤニと称する物質の発生を防止する技術
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の射出成形装置の一例を図7に示
す。
【0003】aは金型であり、固定金型と可動金型とか
ら成り、型締めにより図示しないキャビティが形成され
る。
【0004】bは真空吸引ラインであり、一端がキャビ
ティに連結され他端が真空ポンプcに連結され、途中に
電磁弁dが介挿されている。
【0005】しかして、先ず、電磁弁dを開いて真空ポ
ンプcを駆動してキャビティ内を真空引きし、そして、
該真空引きを継続しながら、材料樹脂をキャビティ内に
射出する。
【0006】それから、キャビティ内に射出された材料
樹脂が硬化し、成形が完了する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来の射出成形装置及び射出成形方法によると、真空引き
の経路中に余分なガスがゲル化したヤニと称する物質が
残留するという問題がある。
【0008】例えば、不飽和ポリエステルを主原料とす
るFRP材料を用いて成形を行う場合、真空引きを開始
すると、キャビティ内及び真空吸引ラインb内の気体が
動き出し、これらの真空度が上がったところで材料樹脂
を射出すると、該材料樹脂はスチレンガスを発しながら
キャビティ内に広がっていく。そして、材料樹脂の充填
が終わると、該材料樹脂は硬化を始め、真空吸引ライン
bの気体の入口を遮断するため、その後真空吸引ライン
b中の気体は動かなくなる。このようにして、スチレン
ガスが混ざった気体が真空吸引ラインb中に残留し、ス
チレンガスが冷却されていわゆるヤニ(ゲル化したスチ
レンガス)が真空吸引ラインbの内面に付着してしまう
ことになる。
【0009】そして、このようなことが繰り返される
と、真空吸引ラインbがヤニで詰まってしまい、成形が
不能となったり、或いは、成形後型開きをしたときにヤ
ニが真空吸引ラインbから糸状に引き出されて成形品に
付着してしまうなどの不具合が生じるという問題があ
る。
【0010】そこで、本発明は、真空引きの経路中に残
留するガスのゲル化したヤニと称する物質の発生を防止
することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、その射出成形方法は、型締めをしてキャ
ビティと該キャビティに連続した真空吸引ラインと該真
空吸引ラインに上記キャビティの近傍で連結した大気開
放ラインとを形成し、上記大気開放ラインを閉じた状態
で上記真空吸引ラインを介してキャビティ内の真空引き
を開始し、次いで、上記キャビティ内に材料樹脂を射出
し、更に、射出された材料樹脂の硬化を開始させ、材料
樹脂の硬化の途中で上記大気開放ラインを開放して、真
空吸引ラインを介して大気を吸引するものであり、ま
た、その射出成形装置は、型締めによりキャビティを形
成する金型と、上記キャビティと連結された真空吸引ラ
インと、上記真空吸引ラインを介してキャビティ内を真
空引きする真空発生装置と、上記真空吸引ライン中に介
挿された第1の弁と、一端が上記キャビティの近傍で上
記真空吸引ラインに連結し、他端が大気中に開放された
大気開放ラインと、大気開放ライン中に介挿された第2
の弁とを備え、上記金型の型締め後、第1の弁を開き第
2の弁を閉じた状態で真空発生装置を起動させて上記キ
ャビティの真空引きを開始し、キャビティ内に材料樹脂
を射出してから、該材料樹脂の硬化中に第2の弁を開い
て上記真空吸引ラインを大気開放ラインを介して大気中
に連通させ、大気を大気開放ライン及び真空吸引ライン
を介して吸引するようにしたものである。
【0012】従って、本発明射出成形方法及び射出成形
装置によれば、射出された材料樹脂の硬化開始後も真空
吸引ライン中の気体の流れが維持されるので、材料樹脂
の射出に伴って発生するガスを真空吸引ライン中から排
出することが出来、従って、上記ガスがゲル化したヤニ
の真空吸引ライン中への残留を防止することが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明射出成形方法及び
射出成形装置の実施の形態を添付した図面に従って説明
する。
【0014】先ず、射出成形装置の概要を説明する。
【0015】1は金型であり、固定側金型1aと可動側
金型1bを備える。固定側金型1aにはキャビティ形成
用突部2aが形成され、可動側金型1bにはキャビティ
形成用凹部2bが形成され、固定側金型1aと可動側金
型1bとがそれらの突き合わせ面が突き合わされた状態
で型締めされることによって材料樹脂が充填されるキャ
ビティ2が形成される。
【0016】また、固定側金型1aのキャビティ形成用
突部2aの近傍には材料樹脂射出孔3が形成され、可動
側金型1bの上記材料樹脂射出孔3に対向した部分とキ
ャビティ形成用凹部2bとを結ぶ位置にはゲート用凹部
4′が形成され、固定側金型1aと可動側金型1bとが
型締めされることによってゲート4が形成され、該ゲー
ト4を介して材料樹脂射出孔3とキャビティ2とが連通
されることになる。
【0017】固定側金型1aにはその上記キャビティ形
成用突部2aに近接した位置に一端が開口した真空孔5
が形成され、また、該真空孔5に近接した位置に一端が
開口した大気リーク孔6が形成されている。
【0018】7は真空ホースであり、該真空ホース7に
よって上記真空孔5の他端と真空ポンプ8との間が接続
されている。
【0019】上記真空ホース7の途中には第1の電磁弁
9が介挿されており、また、真空ホース7の第1の電磁
弁9と上記真空孔5の他端との間にはモノマータンク1
0が介挿されている。
【0020】11は大気リークホースであり、該大気リ
ークホース11によって上記大気リーク孔6の他端と大
気との間が連通され、また、大気リークホース11の途
中には第2の電磁弁12が介挿されている。
【0021】可動側金型1bのキャビティ形成用凹部2
bに近接した位置にはエアープール用凹部13′が形成
され、該エアープール用凹部13′とキャビティ形成用
凹部2bとを結ぶように接続路用凹溝14′が形成され
ている。また、可動側金型1bのうち固定側金型1aの
真空孔5に対向した位置と大気リーク孔6に対向した位
置とを結ぶように真空溝用凹部15′が形成され、該真
空溝用凹部15′とエアープール用凹部13′とを結ぶ
ように接続路用凹溝16′が形成されている。
【0022】しかして、固定側金型1aと可動側金型1
bとが型締めされると、エアープール13及び真空溝1
5並びに接続路14、16が形成され、エアープール1
3とキャビティ2との間が接続路14で連通され、エア
ープール13と真空溝15との間が接続路16により連
通され、また、真空孔5と大気リーク孔6との間が真空
溝15により連通される。
【0023】そして、接続路14、エアープール13、
接続路16、真空溝15の一部、真空孔5及び真空ホー
ス7により真空吸引ラインが形成され、また、真空溝1
5の一部、大気リーク孔6及び大気リークホース11に
よって大気開放ラインが形成される。
【0024】次に、上記射出成形装置による、例えば、
不飽和ポリエステルを主原料とするFRP材料による成
形について図6のタイムチャート及び図3乃至図5を参
照しながら説明する。
【0025】金型1の型締めを行う。この時第1及び第
2の電磁弁9、12は何れも閉じられている。
【0026】次いで、第1の電磁弁9を開くと共に真空
ポンプ8を作動させてキャビティ2内の真空引きを行う
(図3参照)。これにより、金型1内の空間、即ち、キ
ャビティ2、エアープール13、真空溝15、真空孔5
等の気体が真空ポンプ8によって吸引され始める(気体
の流れを矢印で示す。)。
【0027】上記、真空引きの開始から所定時間、例え
ば、1秒間遅延して、材料樹脂17(梨地模様で示
す。)の射出を材料樹脂射出孔3を介して行う(図4参
照)。これによって、材料樹脂17はスチレンガスを発
生させながらキャビティ2内に広がっていく。
【0028】そして、材料樹脂17の射出が終了する
と、加熱されている金型1により材料樹脂17の硬化が
開始する。尚、この間に、第2の電磁弁12を開き、上
記真空溝15を大気と連通させる(図5参照)。これに
よって、真空吸引ラインには大気開放ラインを介して大
気が流入し、且つ、それが真空ポンプ8によって吸引さ
れるため、真空吸引ライン内に気体の流れ(矢印で示
す。)が継続し、上記スチレンガスが真空吸引ライン内
に滞留することがない。
【0029】尚、モノマータンク10は真空ホース7内
を流れてくる有機物質を吸収し、有機物質により真空ポ
ンプ8が損傷を受けるのを防止する。
【0030】そこで、第1及び第2の電磁弁9、12を
閉じ、射出された材料樹脂17が完全に硬化してから、
金型1の型開きをして、成形品を取り出す。
【0031】このような、本発明射出成形方法及び射出
成形装置によると、材料樹脂17が硬化し始めてから
も、真空吸引ライン中に気体の流れが継続し、そのた
め、真空吸引ライン中にいわゆるヤニが残留することが
無く、真空吸引ラインがヤニで詰まってしまうことが無
く、また、成形後型開きをしたときにヤニが真空吸引ラ
インから糸状に引き出されて成形品に付着してしまうな
どの不具合が生じることもない。
【0032】
【発明の効果】以上に記載したところから明らかなよう
に、本発明射出成形方法は、型締めをしてキャビティと
該キャビティに連続した真空吸引ラインと該真空吸引ラ
インに上記キャビティの近傍で連結した大気開放ライン
とを形成し、上記大気開放ラインを閉じた状態で上記真
空吸引ラインを介してキャビティ内の真空引きを開始
し、次いで、上記キャビティ内に材料樹脂を射出し、更
に、射出された材料樹脂の硬化を開始させ、材料樹脂の
硬化の途中で上記大気開放ラインを開放して、真空吸引
ラインを介して大気を吸引することを特徴とする。
【0033】また、本発明射出成形装置は、型締めによ
りキャビティを形成する金型と、上記キャビティと連結
された真空吸引ラインと、上記真空吸引ラインを介して
キャビティ内を真空引きする真空発生装置と、上記真空
吸引ライン中に介挿された第1の弁と、一端が上記キャ
ビティの近傍で上記真空吸引ラインに連結し、他端が大
気中に開放された大気開放ラインと、大気開放ライン中
に介挿された第2の弁とを備え、上記金型の型締め後、
第1の弁を開き第2の弁を閉じた状態で真空発生装置を
起動させて上記キャビティの真空引きを開始し、キャビ
ティ内に材料樹脂を射出してから、該材料樹脂の硬化中
に第2の弁を開いて上記真空吸引ラインを大気開放ライ
ンを介して大気中に連通させ、大気を大気開放ライン及
び真空吸引ラインを介して吸引するようにしたことを特
徴とする。
【0034】従って、本発明射出成形方法及び射出成形
装置によれば、射出された材料樹脂の硬化開始後も真空
吸引ライン中の気体の流れが維持されるので、材料樹脂
の射出に伴って発生するガスを真空吸引ライン中から排
出することが出来、従って、上記ガスがゲル化したヤニ
の真空吸引ライン中への残留を防止することが出来る。
【0035】尚、上記実施の形態に示した各部の具体的
形状ないしは構造は、何れも本発明を実施するに際して
の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらに
よって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることが
あってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明射出成形装置の実施の一例を概略的に示
す図であり、固定側金型と可動側金型を並べた状態で、
且つ、突き合わせ面を紙面側にして示すものである。
【図2】金型を型締めした状態を図1のII−II線で
示す位置で切断して示す拡大断面図である。
【図3】図4及び図5と共に成形工程を順を追って示す
概略図であり、本図は真空引きを開始した状態を示すも
のである。
【図4】材料樹脂の射出を開始した状態を示すものであ
る。
【図5】材料樹脂の射出が完了した状態を示すものであ
る。
【図6】成形工程のタイムチャート図である。
【図7】従来の射出成形装置を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1…金型、2…キャビティ、(5、7、13、14、1
5、16)…真空吸引ライン、5…真空孔、(6、1
1、15)…大気開放ライン、6…大気リーク孔、7…
真空ホース、8…真空ポンプ(真空発生装置)、9…第
1の電磁弁(第1の弁)、11…大気リークホース、1
2…第2の電磁弁(第2の弁)、13エアープール、1
4…接続路、15…真空溝、16…接続路、17…材料
樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−47259(JP,A) 特開 昭58−3767(JP,A) 特開 平4−129716(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/26 - 45/37 B29C 45/63

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 型締めをしてキャビティと該キャビティ
    に連続した真空吸引ラインと該真空吸引ラインに上記キ
    ャビティの近傍で連結した大気開放ラインとを形成し、 上記大気開放ラインを閉じた状態で上記真空吸引ライン
    を介してキャビティ内の真空引きを開始し、 次いで、上記キャビティ内に材料樹脂を射出し、 更に、射出された材料樹脂の硬化を開始させ、 材料樹脂の硬化の途中で上記大気開放ラインを開放し
    て、真空吸引ラインを介して大気を吸引することを特徴
    とする射出成形方法。
  2. 【請求項2】 型締めによりキャビティを形成する金型
    と、 上記キャビティと連結された真空吸引ラインと、 上記真空吸引ラインを介してキャビティ内を真空引きす
    る真空発生装置と、 上記真空吸引ライン中に介挿された第1の弁と、 一端が上記キャビティの近傍で上記真空吸引ラインに連
    結し、他端が大気中に開放された大気開放ラインと、 大気開放ライン中に介挿された第2の弁とを備え、 上記金型の型締め後、第1の弁を開き第2の弁を閉じた
    状態で真空発生装置を起動させて上記キャビティの真空
    引きを開始し、キャビティ内に材料樹脂を射出してか
    ら、該材料樹脂の硬化中に第2の弁を開いて上記真空吸
    引ラインを大気開放ラインを介して大気中に連通させ、
    大気を大気開放ライン及び真空吸引ラインを介して吸引
    するようにしたことを特徴とする射出成形装置。
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