JP3295229B2 - 発光性成形品およびその製造方法 - Google Patents

発光性成形品およびその製造方法

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JP3295229B2
JP3295229B2 JP15514494A JP15514494A JP3295229B2 JP 3295229 B2 JP3295229 B2 JP 3295229B2 JP 15514494 A JP15514494 A JP 15514494A JP 15514494 A JP15514494 A JP 15514494A JP 3295229 B2 JP3295229 B2 JP 3295229B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、励起光の照射により発
光する発光性成形品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】暗所での視認性、識別性を高めるため、
道路標識、時計の文字盤や針などには、発光塗料や夜光
塗料が使用されている。このような塗料には、通常、刺
激光によりリン光を発射する蓄光顔料が使用されてい
る。また、演色範囲を拡げるため、蓄光顔料と螢光着色
剤との併用も提案されている。例えば、特開平3−16
6269号公報には、耐候性を高めるため、蓄光顔料に
対して少量の有機着色顔料を添加したカラー蓄光顔料が
提案されている。
【0003】特開平4−51405号公報には、壁装素
材に蓄光顔料を塗布又は含有させシート状に形成し、刺
激光の消灯10分後のリン光輝度が0.3mcd/m2
以上の壁装材が開示されている。このような壁装材は、
紙などの素材に、蓄光顔料を含む塗料を塗布する方法、
蓄光顔料を含む合成樹脂を成形する方法により得られ、
避難誘導するための避難通路照明用として有用である。
【0004】しかし、前記壁装材において、蓄光顔料は
塗膜又は成形品中に均一に分散しているため、蓄光顔料
を発光に有効に利用できず、発光効率が低下する。ま
た、刺激光の消灯後においてリン光輝度を高めるために
は、高価な蓄光顔料を比較的多く使用する必要があるの
で、成形品が高価となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高価な発光剤を有効に利用でき、発光効率の高い発
光性成形品およびその製造方法を提供することにある。
【0006】本発明の他の目的は、発光剤の含有量が少
量であっても、高い効率で発光できる発光性成形品およ
びその製造方法を提供することにある。
【0007】本発明のさらに他の目的は、前記の如き成
形品を簡単な操作で効率よく製造できる方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、蓄光顔料などの発光剤
を含む樹脂組成物に遠心力を作用させながら成形する
と、少量であっても遠心力の作用方向に発光剤が偏析又
は濃縮され、濃縮された発光剤により発光効率を高める
ことができることを見いだし、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明の発光性成形品は、熱硬
化性樹脂及び蓄光顔料などの発光剤を含む熱硬化性樹脂
組成物を加熱しつつ回転成形することにより得られ、
形品の一方の表層部での発光剤の濃度が、他方の表層部
よりも高い。発光剤の含有量は、例えば、熱硬化性樹脂
100重量部に対して0.1〜50重量部程度であって
もよい。また、成形品の一方の表層側における蓄光顔料
の濃度は、他方の表層部の濃度よりも1.2〜50倍程
度高い場合が多い。成形品は、種々の形状、例えば、シ
ート状であってもよい。シート状発光性成形品は、例え
ば、熱硬化性樹脂100重量部に対して、蓄光顔料1〜
30重量部を含み、かつ成形品の一方の表層側における
蓄光顔料の濃度が、他方の表層部の濃度よりも1.5〜
10倍高くてもよい。
【0010】前記発光性成形品は、例えば、熱硬化性樹
脂及び発光剤を含む熱硬化性樹脂組成物を加熱しつつ
転成形(又は遠心成形)することにより製造できる。な
お、以下、遠心成形及び回転成形を、単に回転成形と総
称する。成形に際しては、蓄光顔料を含む熱硬化性樹脂
組成物を加熱しつつ回転成形し、シート状成形品を得
もよく、回転速度は、蓄光顔料などの発光剤の偏析度や
濃縮度および発光剤と他の成分との比重差や粘度差など
に応じて選択できる。例えば、熱硬化性樹脂及び発光剤
を含む熱硬化性樹脂組成物を、加熱しつつドラムの回転
数50〜3000rpmで回転成形することにより、シ
ート状発光性成形品を製造したり、熱硬化性樹脂100
重量部に対して、蓄光顔料5〜25重量部を含む熱硬化
性樹脂組成物を、加熱しつつドラムの回転数100〜2
000rpmで回転成形し、成形品の一方の表層部での
発光剤の濃度が、他方の表層部よりも高い発光性成形品
を製造してもよい。熱硬化性樹脂は、ウレタンプレポリ
マーと硬化剤とで構成してもよい。
【0011】以下、本発明をより詳細に説明する。
【0012】前記成形品を構成する樹脂には、室温又は
加熱下で流動性を有する成形可能な種々の熱可塑性樹脂
および熱硬化性樹脂が含まれる。なお、前記流動性は、
少なくとも成形時の流動性を意味し、液状、ペースト状
などが示す流動性であってもよく、溶融流動性であって
もよい。
【0013】熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体
などのオレフィン系ポリマー、ポリメタクリル酸メチル
などのアクリル系ポリマー、ポリ塩化ビニルなどの塩素
含有ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド
6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド1
1、ポリアミド12などのポリアミド、ポリカーボネー
ト、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合
体、ABS樹脂などのスチレン系ポリマー、合成ゴム、
セルロース誘導体などの繊維素系ポリマーなどが挙げら
れる。これらの熱可塑性樹脂は一種又は二種以上混合し
て使用できる。
【0014】回転成形法では、粉粒状の熱可塑性樹脂
(例えば、オレフィン系ポリマー、ポリスーボネート、
スチレン系樹脂、繊維素系ポリマーなど)も使用できる
ので、種々の熱可塑性樹脂を回転形成できる。これらの
熱可塑性樹脂のうち、発光剤を効率よく偏析させるため
には、例えば、回転成形性が高く、溶融粘度の小さなポ
リマー(例えば、オレフィン系ポリマー、アクリル系ポ
リマー、スチレン系ポリマーなど)、ペースト化可能な
ポリマー(例えばポリ塩化ビニルなど)などが好まし
い。
【0015】熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノー
ル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ビニ
ルエステル樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、
ポリイミド、ケイ素樹脂などが挙げられる。これらの熱
硬化性樹脂も必要に応じて二種以上使用することができ
る。
【0016】熱硬化性樹脂は、通常、プレポリマーの状
態で使用されるため、成形時の粘度が低く、回転成形に
より発光剤を偏析又は濃縮させるのに好都合である。好
ましい熱硬化性樹脂には、成形時の粘度を反応性希釈剤
や重合性ビニルモノマーにより低減し、かつ容易に調整
できる熱可塑性樹脂が含まれる。例えば、ジアリルフタ
レート樹脂は、ジアリフタレートプレポリマーをジアリ
ルフタレートモノマーで低粘度化でき、エポキシ樹脂
は、ビスフェノールA型などのエポキシ樹脂を反応性希
釈剤などで低粘度化でき、ビニルエステル樹脂および不
飽和ポリエステルはスチレン、(メタ)アクリル酸エス
テルなどの重合性ビニルモノマーで低粘度化でき、ケイ
素樹脂やシリコーンゴムは、液状又はペースト状の硬化
性シリコーンゴム(例えば、RTV(Room Temperature
Valcanizable )シリコーンゴムやLTV(Low Temper
ature Valcanizable)シリコーンゴムなど)で構成でき
る。また、熱硬化性ポリウレタンは、末端にイソシアネ
ート基を有するウレタンプレポリマーと、アミノ基又は
ヒドロキシル基を有する硬化剤とで構成できる。
【0017】前記熱硬化性樹脂のうち、強靭性、耐熱耐
摩耗性および耐久性などの高い成形品を得る上で有用な
樹脂には、熱硬化性ポリウレタンが含まれる。以下、熱
硬化性ポリウレタンについて説明する。
【0018】前記ウレタンプレポリマーは、ヒドロキシ
ル基に対してイソシアネート基が過剰量となるように、
ポリオール成分とポリイソシアネート化合物とを反応さ
せることにより得られる。ポリイソシアネート化合物と
しては、例えば、フェニレンジイソシアネート、2,4
−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソ
シアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシア
ネートなどの芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレ
ン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチ
ルヘキサメチレン−1,4−ジイソシアネート、リジン
ジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート;
1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートな
どの脂環族ポリイソシアネート;これらのイソシアネー
ト化合物の二量体、三量体などの多量体などが例示され
る。これらのポリイソシアネート化合物は、単独又は二
種以上混合して使用できる。これらのポリイソシアネー
ト化合物のうち、芳香族ポリイソシアネートを使用する
場合が多い。
【0019】ポリオール成分としては、例えば、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタン
ジオール、テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビス
フェノールA、水添ビスフェノールAやこれらにアルキ
レンオキサイドが付加した多価アルコール;ジエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール、アキレンオキサイド共重合ポリオール
などのポリエーテルポリオール;前記多価アルコールと
多価カルボン酸との反応により得られる縮合系ポリエス
テルポリオール、ε−カプロラクトンなどのラクトンの
開環重合により得られるラクトン系ポリエステルポリオ
ールなどのポリエステルポリオール;ポリブタジエンポ
リオールなどの他のポリオールが挙げられる。これらの
ポリオール成分は一種又は二種以上混合して使用でき
る。これらのポリオール成分のうち、ポリエーテルポリ
オールやポリエステルポリオールを使用する場合が多
い。
【0020】アミノ基を有する硬化剤としては、例え
ば、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトル
エン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、p−キシリレンジアミンなどの単環式芳香族ポリア
ミン;4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′
−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタン、
2,2′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメ
タンなどのジフェニルメタン系ポリアミンなどのポリア
ミンが例示される。ヒドロキシル基を有する硬化剤とし
ては、例えば、1,4−ブタンジオールなどの前記多価
アルコール;ハイドロキノンジエチロールエーテル、
1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、
2,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシフェニル)プロ
パンなどが挙げられる。これらの硬化剤は、一種又は二
種以上の混合物として使用できる。また、アミノ基を有
する硬化剤とヒドロキシル基を有する硬化剤とを併用し
てもよい。
【0021】前記硬化剤のうち、アミノ基を有する硬化
剤、特に芳香族ポリアミン、なかでも3,3′−ジクロ
ロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタンなどのジフェ
ニルメタン系芳香族ジアミンが好ましい。
【0022】ウレタンプレポリマーと硬化剤との割合
は、アミノ基又はヒドロキシル基/イソシアネート基=
0.8〜1.2/1(当量比)程度の割合で使用でき
る。
【0023】前記樹脂組成物に含まれる発光剤として
は、光の照射により励起され螢光又はリン光を発する種
々の有機又は無機物質が使用でき、発光剤を除く樹脂組
成物のよりも比重の大きい限りその種類は特に制限され
ない。好ましい発光剤には、リン光を発する物質が含ま
れる。リン光を発する物質は、縮合多環式芳香族化合物
などであってもよいが、リン光輝度が高く、発光剤を除
く樹脂組成物との比重差(密度差)が大きな無機発光
剤、特に蓄光顔料で構成するのが好ましい。
【0024】蓄光顔料としては、慣用の物質、例えば、
ビスマスを付活剤とした硫化カルシウム(CaS:B
i)、ビスマスを付活剤とした硫化カルシウム・ストロ
ンチウム((Ca,Sr)S:Bi)、銅を付活剤とし
た硫化亜鉛(ZnS:Cu)、銅を付活剤とした硫化亜
鉛カドミウム((Zn,Cd)S:Cu)などの付活剤
で付活された金属硫化物、セラミックス系蓄光顔料(例
えば、希土類元素を含むアルミナなどで構成されたセラ
ミックス系酸化物)などが挙げられる。これらの蓄光顔
料は一種又は二種以上使用できる。蓄光顔料としては、
銅を付活剤とした硫化亜鉛、セラミックス系蓄光顔料を
用いる場合が多い。
【0025】樹脂に対する発光剤の比重差(密度差)
は、例えば、1.5〜10程度、好ましくは2〜7(例
えば、2.5〜5)程度である場合が多い。
【0026】なお、発光剤、特に蓄光顔料に、プロメシ
ウムなどの放射性物質を添加することにより夜光顔料と
してもよい。さらに、演色性を高めるため、有機又は無
機の着色顔料、例えは、アゾ系顔料、キナクリドン系顔
料、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料などの有機
顔料、クロムイエロー、酸化鉄、ジンクイエロー、紺
青、群青などの無機顔料などを併用してもよい。
【0027】発光剤の使用量は、発光効率を損わない範
囲で選択でき、例えば、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂
100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは
1〜40重量部、さらに好ましくは1〜30重量部程度
であり、5〜25重量部程度である場合が多い。なお、
本発明では、発光剤の使用量が少量であっても発光効率
を高めることができる。例えば、従来の蓄光顔料の使用
量の20〜70重量%程度であっても、同等以上の残光
輝度が得られる。
【0028】なお、熱可塑性樹脂が粉末状である場合に
は、発光剤は粉粒状熱可塑性樹脂に含有させることがで
きる。樹脂組成物は、発光性を損わない範囲で、慣用の
添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定
剤、可塑剤、難燃剤、離型剤、ブロッキング防止剤、充
填剤、補強剤などを含んでいてもよい。また、樹脂組成
物の粘度を調整したり、発光剤の偏析(濃縮)を促進す
るため、樹脂組成物は、成形性などの作業性を損わない
範囲で、必要に応じて、水、有機溶媒(例えば、炭化水
素類、ハロゲン化炭化水素類、エステル類、ケトン類、
エーテル類など)を含んでいてもよい。
【0029】このような樹脂組成物により形成された成
形品の形態は特に制限されず、発光性を必要とされる部
材の形状、用途や適用方法などに応じて選択できる。好
ましい成形品の形状には、回転成形により効率よく得る
ことができる形状、例えば、中空筒状、シート状などが
含まれる。
【0030】本発明の特色は、前記成形品の一方の表層
部での発光剤(蓄光顔料など)の濃度を、前記表層部と
対向する他方の表層部での濃度よりも高め、発光効率を
改善する点にある。すなわち、回転成形により成形する
と、発光剤に遠心力が作用して、成形品のうち遠心力が
作用する外方向の表層部に発光剤が偏析又は濃縮し、一
方の表層部における発光剤の濃度を、内部や他方の表層
部(すなわち前記表層部と対向する回転軸側の表層部)
の濃度よりも高めることができる。また、成形品がシー
ト状である場合には、シート状成形品の一方の側の表層
部における発光剤の濃度を、他方の側の表層部よりも大
きくできる。そのため、発光剤の使用量が少量であって
も、濃度の高い表層部の発光剤により発光効率を高める
ことができる。
【0031】成形品の一方の表層部と、対向する他方の
表層部とにおける発光剤の割合は、回転成形における回
転速度、樹脂組成物の粘度や発光剤の比重などにより容
易に調整でき、例えば、一方の表層部の発光剤の濃度
は、他方の表層部の濃度よりも1.2〜50倍、好まし
くは1.3〜25倍、さらに好ましくは1.5〜10倍
程度高く、一方の表層部の発光剤の濃度は、他方の表層
部の濃度に対して、通常、1.5〜5倍程度である場合
が多い。なお、成形品の表層部における発光剤の濃度
は、慣用の方法、例えば、組成割合を分析する通常の化
学的分析手段、ESCA(Electron spectroscopy for
chemical analysis )などの表面分析手段や、発光剤の
濃度と発光輝度(強度)が比例関係にあることを利用し
た光学的分析手段により測定できる。
【0032】このような発光性成形品は、発光剤を含む
成形可能な樹脂組成物に、遠心力を作用させつつ成形す
る回転成形法により製造できる。回転成形に際して、前
記樹脂組成物は、粉粒状、ペースト状、溶融状などの種
々の形態で、回転ドラムなどの回転可能な密閉金型内に
供給できる。回転成形に伴なって密閉金型内の内壁には
前記樹脂組成物が付着し、遠心力の作用により、発光剤
は外方側、すなわち密閉金型の内壁側で濃縮される。
【0033】回転成形に際して発光剤を効率よく偏析
(濃縮)させるためには、空気加熱方式、直火方式など
の種々の加熱方法により加熱しつつ成形樹脂組成物の粘
度(溶融粘度など)を低下させるのが好ましい。加熱
は、密閉容器が回転可能に配設された加熱炉により行な
ってもよい。加熱温度は、樹脂の種類、熱可塑性樹脂で
は溶融粘度、熱硬化性樹脂では硬化温度などに応じて選
択でき、例えば、50〜350℃、好ましくは70〜3
00℃程度であり、熱硬化性樹脂の場合には70〜20
0℃程度である場合が多い。
【0034】遠心力は、密閉金型(ドラム)の回転数、
ドラムの内径、樹脂組成物の粘度や発光剤との密度差な
どに応じて調整でき、例えば、密閉金型(ドラム)の回
転数は、50〜3000rpm、好ましくは100〜2
000rpm、さらに好ましくは150〜1000rp
m程度であり、100〜700rpm程度である場合が
多い。このような遠心力の作用により、ドラムの内壁側
の表層部に発光剤を効率よく移動させて濃縮できる。
【0035】このような方法によると、回転金型の内壁
と接触する表層部に発光剤が濃縮するので、成形品のう
ち発光剤の濃度が高い側の表面の表面平滑性を高めるこ
とができる。
【0036】前記密閉金型を冷却し、成形品を取出すこ
とにより、成形品を得ることができる。この成形品は、
密閉容器内に前記樹脂組成物を充填することにより形成
された中実成形品(例えば、棒状など)であってもよい
が、通常、密閉容器(ドラム)の内壁に沿って形成され
た中空成形品(例えば、中空筒状など)である場合が多
い。シート状発光性成形品は、中空成形品を適当に切断
することにより得ることができる。なお、シート状成形
品の厚みは特に制限されないが、例えば、0.1〜10
mm、好ましくは0.5〜5mm程度である場合が多
い。
【0037】このような成形品は、そのまま発光部材と
して利用できるだけでなく、二次加工などにより適当な
形状に加工してもよい。前記発光性成形品、特にシート
状成形品は、積層体としても利用できる。シート状積層
体は、(1)発光性シートとフィルムやシートなどの基
材との積層シート、(2)発光性シートと粘着剤層との
積層シート、(3)前記(1)のシートのうち基材側に
粘着剤層が積層された積層シート、前記(2)及び
(3)の粘着剤層上に剥離可能な剥離シートが積層され
た積層シートなどが含まれる。
【0038】また、成形品のうち発光剤の濃度が高い一
方の表面は、発光剤による光の吸収および発光を損わな
い範囲で、コーティング層(例えば、着色されていても
よいクリアコーティング層)などで被覆し、耐候性、耐
薬品性などを高めてもよい。
【0039】前記発光性成形品のうち一方の面へ、太陽
光線、蛍光灯や紫外線などの励起光を照射すると、発光
剤が励起され、発光する。また、蓄光顔料を用いると、
励起光を吸収・蓄積し、暗所で発光する。そのため、発
光性成形品は、そのまま利用できるとともに、接着剤や
前記粘着剤などの取付手段を利用して、所定の被取付部
材に取付けることができる。このような発光性部材は、
避難、消防、防災、船舶、消火器などのための標識部材
や報知部材、誘導、案内表示などのための表示部材、釣
具、漁具などへ取付けられる識別部材、玩具などとして
利用できる。
【0040】
【発明の効果】本発明の発光性成形品は、一方の表層部
で発光剤の濃度を高めることができるので、高価な発光
剤を有効に利用でき、発光効率を高めることができる。
また、発光剤の含有量が少量であっても、一方の表層部
では発光剤の濃度を高めることができるので、高い効率
で発光させることができる。
【0041】本発明の方法では、前記の如き成形品を、
回転成形という簡単な操作で効率よく製造できる。
【0042】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0043】実施例1〜4 ポリプロピレングリコールをジオール成分として用いた
ウレタンプレポリマー(三洋化成(株)製、サンプレン
P894X1)を温度80℃でタンクAに貯溜し、硬化
剤(4,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニ
ルメタン)を温度120℃でタンクBに貯溜し、蓄光顔
料(根本特殊化学(株)製、GSS)と可塑剤(ジオク
チルフタレート)とを含む分散体を室温でタンクCに貯
溜し、流量制御装置を備えた注型機により、各タンクの
各成分の割合を調整して混合し、遠心成形機の回転ドラ
ム(密閉金型)へ混合物を吐出して注入した。
【0044】なお、ウレタンプレポリマー100重量部
に対する蓄光顔料の割合は、2重量部(実施例1)、6
重量部(実施例2)、10重量部(実施例3)および2
0重量部(実施例4)である。また、ウレタンプレポリ
マー100重量部に対する硬化剤の割合は、各実施例に
おいて、いずれも12重量部(NH2 基/NCO基=
1.0(当量比))である。
【0045】そして、ドラム(内径650mmφ)の回
転数400rpm、温度110℃で回転成形し、冷却し
た得られた中空成形品を切断することにより、厚み2m
mのポリウレタンゴムシートを作製した。
【0046】比較例 実施例1のウレタンプレポリマー100重量部に対し
て、実施例1の硬化剤12重量部を添加するとともに、
蓄光顔料換算で20重量部の分散体を混合し、得られた
樹脂組成物を所定の成形型に注入し、100℃で2時間
一次硬化させた後、100℃で16時間二次硬化させ、
厚み2mmのシートを作製した。
【0047】実施例5〜8 回転ドラムへの混合物の注入量を増加する以外、実施例
1〜4と同様にして、厚み3mmのシートを作製した。
なお、ウレタンプレポリマー100重量部に対する蓄光
顔料の割合は、前記実施例と同じく、2重量部(実施例
5)、6重量部(実施例6)、10重量部(実施例7)
および20重量部(実施例8)である。
【0048】そして、前記実施例及び比較例で得られた
各シートを暗所に4時間以上放置して残光を完全に消去
した後、JIS Z−9100の規定に準拠して、D65
標準光源を用い、200ルックスで4分間に亘り、シー
トの一方の面側を刺激し、所定時間経過後の残光輝度を
測定した。なお、実施例で得られたシートは、いずれも
回転ドラムと接触していた面側に励起光を照射し刺激し
た。得られた結果を表、図1及び図2に示す。
【0049】
【表1】 表および図、特に、実施例3および4と比較例との対比
から明らかなように、実施例のシートは、比較例のシー
トに比べて残光輝度が大きく、発光剤の使用量が比較例
の1/2程度であっても、同等の残光輝度を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1〜4及び比較例における結果を
示すグラフである。
【図2】図2は実施例5〜8における結果を示すグラフ
である。

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂及び発光剤を含む熱硬化性
    樹脂組成物を加熱しつつ回転成形することにより得られ
    成形品であって、この成形品の一方の表層部での発光
    剤の濃度が、他方の表層部よりも高い発光性成形品。
  2. 【請求項2】 発光剤が少なくとも蓄光顔料で構成され
    ている請求項1記載の発光性成形品。
  3. 【請求項3】 熱硬化性樹脂100重量部に対して、蓄
    光顔料0.1〜50重量部を含む請求項2記載の発光性
    成形品。
  4. 【請求項4】 成形品の一方の表層側における蓄光顔料
    の濃度が、他方の表層部の濃度よりも1.2〜50倍高
    い請求項2記載の発光性成形品。
  5. 【請求項5】 成形品がシート状である請求項1記載の
    発光性成形品。
  6. 【請求項6】 熱硬化性樹脂100重量部に対して、蓄
    光顔料1〜30重量部を含み、かつ成形品の一方の表層
    側における蓄光顔料の濃度が、他方の表層部の濃度より
    も1.5〜10倍高い請求項1記載のシート状発光性成
    形品。
  7. 【請求項7】 熱硬化性樹脂及び発光剤を含む熱硬化性
    樹脂組成物を加熱しつつ回転成形する発光性成形品の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 蓄光顔料を含む熱硬化性樹脂組成物を加
    熱しつつ回転成形し、シート状成形品を得る請求項7記
    載の発光性成形品の製造方法。
  9. 【請求項9】 熱硬化性樹脂が、ウレタンプレポリマー
    と硬化剤とで構成されている請求項7記載の発光性成形
    品の製造方法。
  10. 【請求項10】 熱硬化性樹脂及び発光剤を含む熱硬化
    性樹脂組成物を、加熱しつつドラムの回転数50〜30
    00rpmで回転成形するシート状発光性成形品の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 熱硬化性樹脂100重量部に対して、
    蓄光顔料5〜25重量部を含む熱硬化性樹脂組成物を、
    加熱しつつドラムの回転数100〜2000rpmで回
    転成形し、成形品の一方の表層部での発光剤の濃度が、
    他方の表層部よりも高い発光性成形品を製造する方法。
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