JP3294220B2 - 電力ケーブルの絶縁劣化診断方法 - Google Patents

電力ケーブルの絶縁劣化診断方法

Info

Publication number
JP3294220B2
JP3294220B2 JP18998499A JP18998499A JP3294220B2 JP 3294220 B2 JP3294220 B2 JP 3294220B2 JP 18998499 A JP18998499 A JP 18998499A JP 18998499 A JP18998499 A JP 18998499A JP 3294220 B2 JP3294220 B2 JP 3294220B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cable
leakage current
insulation
insulating layer
power cable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP18998499A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001021608A (ja
Inventor
覚 小泉
雅史 上野
中 坂本
巖 大高
伸彦 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Tokyo Electric Power Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Tokyo Electric Power Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Cable Industries Ltd, Tokyo Electric Power Co Inc filed Critical Mitsubishi Cable Industries Ltd
Priority to JP18998499A priority Critical patent/JP3294220B2/ja
Publication of JP2001021608A publication Critical patent/JP2001021608A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3294220B2 publication Critical patent/JP3294220B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Testing Relating To Insulation (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係る電力ケーブル
の絶縁劣化診断方法は、ゴム・プラスチック絶縁電力ケ
ーブル、代表的には架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル
(以下「CVケーブル」とする。)の絶縁劣化状態を診
断する為に利用する。特に、本発明の電力ケーブルの絶
縁劣化診断方法は、22kVCVケーブルの様な、長尺な
ケーブル線路を有する(継ぎ目のない1本のCVケーブ
ルが長い)CVケーブルの絶縁劣化状態を診断する為に
有効である。
【0002】
【従来の技術】電力ケーブルのゴム・プラスチック絶縁
層は種々の要因によって劣化するが、例えば長期間に亙
って使用されたCVケーブルには、トリー(tree)
と呼ばれる破壊痕による劣化が生じる場合がある。この
様なトリーのうち、CVケーブルが浸水状態或は多湿状
態で使用される場合に発生する水トリーは、電気トリー
に結び付いて絶縁破壊を起こし、送電事故の原因にな
る。従って、水トリー等によるCVケーブルの絶縁の劣
化状態を予め知っておく事は、送電線の事故発生を防止
する為に重要である。この様な目的でCVケーブルの絶
縁劣化を診断する方法として従来から、例えば電気学会
技術報告第502号第11頁等に記載された方法が知ら
れている。この従来方法は、絶縁が劣化した場合にCV
ケーブルの内部からの、直流漏れ電流値が増大し、且
つ、キックと呼ばれる電流の急激な変動が現れる事を利
用するものである。特にこのキックは、上記水トリーに
よる絶縁劣化の診断に有効であると考えられている。
【0003】即ち、絶縁層中に水トリーが存在するCV
ケーブルの導線と絶縁層の外周との間に直流電圧を印加
した場合に、この導線からCVケーブルの絶縁層を通じ
て流れ出る直流漏れ電流Id は、図6に示す様に短時間
(例えば1秒以内)の間に急激に変化する。この様に直
流漏れ電流Id 中に表われる、キックと呼ばれる急激な
変化を観察すれば、上記水トリーによる上記CVケーブ
ルの絶縁層の劣化を診断できる。この様な診断方法は、
例えば6.6kVCVケーブルの絶縁劣化を診断するには
有用であると考えれ、一部で利用されている。
【0004】キックにより絶縁状態を診断する従来方法
は、6.6kVCVケーブルの様に、比較的ケーブル線路
長が短いCVケーブルの場合には有用な診断方法である
が、ケーブル線路長が長い22kVCVケーブルの場合に
は、絶縁状態の診断を行なえない事が、本発明者等の研
究により分った。即ち、22kVCVケーブルの導線に直
流電圧を印加し、このCVケーブルの絶縁層を通じて流
れ出る直流漏れ電流I d を経時的に観察しても、22kV
CVケーブルの直流漏れ電流Id にはキックは表われな
い。
【0005】従って、従来の様にキックを利用する診断
方法では、22kVCVケーブルの絶縁状態を診断できな
い。実際上も、絶縁破壊事故の直前に実施した22kVC
Vケーブルの直流漏れ電流測定結果に、上述の様なキッ
クが観測された例は、殆ど見受けられない。この様に、
6.6kVCVケーブルに比較して線路が長い、22kVC
Vケーブルの場合に上記キックが表われない理由に就い
て、本発明者等は、次の様な仮説を立てた。
【0006】即ち、22kVCVケーブルの様に、ケーブ
ル線路長が長く、これに伴って絶縁層の静電容量Cx
大きくなると、直流漏れ電流Id を測定する回路の応答
時定数τ{=Cx ・Ro (Ro :直流電源の内部抵
抗)}が増大する。この結果、上記直流漏れ電流Id
平滑化されて、上記キックが減少若しくは消滅する。上
述の様な仮説を立証する為に本発明者等は、図6に示す
様なキックが観測された、水トリーが発生した6.6kV
CVケーブルを試料とし、この試料に長尺な22kVCV
ケーブルの静電容量を模擬して、0.5μFのコンデン
サを絶縁層に対し並列に接続した状態で、直流漏れ電流
d を測定した。図7は、この測定結果を示している。
この図7と上述した図6とは、縦軸及び横軸とも、単位
及び尺度は同じである。この図7を図6と比較すれば明
らかな通り、絶縁層の静電容量が大きくなると直流漏れ
電流Id 中にキックは表われなくなる。
【0007】
【先発明の説明】上述の様な事情に鑑みて、本発明者等
は先に、直流漏れ電流Id の大きさが時間の経過と共に
徐々に不規則に変化する揺らぎ成分を観察する事によ
り、上記絶縁層の劣化を診断する方法を発明した(特願
平10−73668号)。即ち、絶縁層が劣化したCV
ケーブルに直流電圧を印加した場合に、このCVケーブ
ルの絶縁層を通じて流れる直流漏れ電流Id は、図8〜
9に示す様になる。この直流漏れ電流Id には、図8に
示す様に、前述した従来方法が絶縁劣化の診断に利用し
ていたキックは表われていないが、図9の拡大図に示す
様に、1分前後の周期で緩やかに且つ不規則に変動す
る、0.1μA程度の微小な電流の変動成分、即ち揺ら
ぎ成分が存在する。
【0008】尚、水トリーにより絶縁が劣化したCVケ
ーブルに直流電圧を印加した場合に観察される直流漏れ
電流Id 中にキックや揺らぎ成分が発生する理由は、上
記水トリー部の絶縁抵抗が時間と共に不安定に変化する
為と考えられる。即ち、水トリーの電極接触部には電気
トリーの発生が認められる場合があり、この様な場合に
電気トリー部で放電が生じると、その放電の前後で放電
部位の抵抗が変化して、上記直流漏れ電流Id の電流値
が変動する。この変動成分の、比較的周波数の高い成分
がキックとなり、周波数が著しく低い周波数成分が上記
揺らぎ成分となる。
【0009】これらキックと揺らぎ成分とのうちのキッ
クは、前述した様に、22kVCVケーブルの如く、絶縁
層の静電容量が大きなCVケーブルの場合には直流漏れ
電流Id 中に表われず、CVケーブルの絶縁劣化診断に
利用できないが、揺らぎ成分は表われる。従来は、この
様な揺らぎ成分の存在には全く着目されておらず、CV
ケーブルの絶縁劣化診断に利用する事もなかった。即
ち、絶縁が劣化したCVケーブルの特性調査は、主とし
て実験室内で短尺なケーブルで行なう為、ケーブル長が
1km程度の長尺なCVケーブルの絶縁が劣化した場合に
表われる直流漏れ電流Id の特徴が十分に把握されてい
なかった。この為、22kVCVケーブルの如く、長尺で
絶縁層の静電容量が大きなCVケーブルの場合に直流漏
れ電流Id中にキックが表われない事が把握されておら
ず、キックが表われない場合の対応に就いても対策がな
されていなかった。
【0010】これに対して先発明の場合には、上記キッ
クが表われない様な場合でも、上述の様な揺らぎ成分を
利用して、CVケーブルの絶縁劣化診断を行なう。この
為、キックによる診断を行なえない、22kVCVケーブ
ルの如く、絶縁層の静電容量が大きなCVケーブルの絶
縁劣化診断も行なえる。
【0011】更に、先発明の電力ケーブルの絶縁劣化診
断方法を効果的に実施すべく、CVケーブルに直流電圧
を印加した場合にこの電力ケーブルの導線から漏れ出て
絶縁層を通じて流れる直流漏れ電流Id 中に含まれる、
揺らぎ成分の検出を効率的に行なう方法に就いても、先
に発明した。即ち、先発明の電力ケーブルの絶縁劣化診
断方法を実施するCVケーブルは、実際に長期間に亙っ
て送電に利用している、所謂実線路である場合が多い。
この様な実線路には、例えば、終端部、中間接続部、更
に劣化とは無関係な健全ケーブル部に流れる直流漏れ電
流が優勢に含まれている場合がある。従って、多くの場
合には、実線路に使用しているCVケーブルの絶縁層の
劣化に伴う直流漏れ電流Id の揺らぎ成分は、他の漏れ
電流中に埋没し、一般的な方法では明確に検出する事は
難しい場合が多い。
【0012】例えば、22kVCVケーブルのケーブル線
路の直流漏れ電流Id を測定する場合に、測定値が数μ
A以上に達する場合が多い。これに対して、絶縁劣化の
為に検出しようとする直流漏れ電流の大きさは、前述し
た様に0.1μA程度である。数μA以上に達する上記
直流漏れ電流Id の測定値から、0.1μA程度の揺ら
ぎ成分を明確に見分ける事は、この直流漏れ電流Id
何らの加工も施さない場合には難しく、信頼性の高いC
Vケーブルの絶縁劣化診断を行なう事は難しい。そこ
で、先発明の絶縁劣化診断方法を実施する場合には、上
記直流漏れ電流I d 中から揺らぎ成分を効果的に抽出し
て、信頼性の高いCVケーブルの絶縁劣化診断を行なえ
る様に工夫する。
【0013】先ず、図10〜12に示した第1例の場合
には、図10に示す様な回路により、直流漏れ電流Id
の一部を打ち消し、揺らぎ成分を際立たせる。絶縁劣化
診断を行なう際に、試料であるCVケーブル1には、直
流印加電源2により、導線と絶縁層の外周面との間に、
直流電圧を印加する。この結果、上記絶縁層と抵抗3と
を通じて、上記直流漏れ電流Id が流れる。一方、電流
検出部であるこの抵抗3と並列に、打ち消し電源4を設
け、この打ち消し電源4からこの抵抗3部分に、上記直
流漏れ電流Id と逆方向(極性が逆)の打ち消し電流I
c を流す。尚、上記打ち消し電源4と直列に、上記抵抗
3よりも十分に大きな抵抗値を有する抵抗5を設けて、
上記打ち消し電源4を設けた回路側に上記直流漏れ電流
d が流入する事を抑制する。
【0014】この様な回路を使用して絶縁劣化診断を行
なう際には、上記直流印加電源2により導線と絶縁層の
外周面との間に直流電圧を印加し、この絶縁層を通じて
流れる直流漏れ電流Id を測定する。そして、上記打ち
消し電源4により上記抵抗3部分に、図11に示す様
に、測定された直流漏れ電流Id とほぼ同じ大きさの打
ち消し電流Ic を、電流検出部である上記抵抗3部分に
流す。この結果、上記直流漏れ電流Id の一部が打ち消
され、この抵抗3部分で測定される電流が、「I d −I
c 」なる微小電流になる。そこで、図12に示す様に、
この「Id −Ic」なる微小電流を増幅して、揺らぎ成
分△Id の有無を確認する。この様な揺らぎ成分△Id
の有無及び大きさにより、上記絶縁層の劣化状態を判定
できる。即ち、この揺らぎ成分△Id の存在に基づき、
絶縁層の劣化に結び付く水トリー等の劣化の存在を知る
事ができ、揺らぎ成分△Id の大きさにより、劣化状態
を知る事ができる。尚、この揺らぎ成分△Id の大きさ
と絶縁層の劣化程度との関係は、実験により予め求めて
おく。
【0015】次に、図13に示した第2例の場合には、
絶縁劣化診断を行なう際に、直流印加電源2により、試
料であるCVケーブル1の導線と絶縁層の外周面との間
に直流電圧を印加し、抵抗3に直流漏れ電流Id を流
す。本例の場合には、この抵抗3を挟む部位の電圧を検
出して、A/D変換器6によりこの検出値をディジタル
値に変換する。次いで、このディジタル値中の低位桁の
みを、D/A変換器7によりアナログ値に変換して、ペ
ンレコーダ等の表示部8に出力する。そして、この出力
を観察する事により、揺らぎ成分の有無及び大きさを観
察する。
【0016】この様にして、上記直流漏れ電流Id を処
理すると、この直流漏れ電流Id 中の直流レベル、即ち
揺らぎ成分に関係なく変化しない部分を自動的に除去し
て、この揺らぎ成分の測定を高感度で行なえる。例え
ば、検出用の抵抗3の抵抗値を1kΩとし、分解能が1
μV、5桁出力のディジタル直流電圧計を用いた場合を
例に説明する。この様な場合に、最低位(1〜9μV)
の桁から第3桁目(0.1〜0.9mV)までのディジ
タル出力を選択して(上位2桁を捨てて)アナログ値に
変換すれ(例えば、ディジタル直流電圧計の測定値から
求められる電流値が15.234μA〜15.876μ
Aの場合に、15μAを捨てて、0.234μA〜0.
876μAのみをアナログ値に変換すれ)ば、検出感度
が1nAから0.999μAまでの直流漏れ電流のみを
検出できる。言い換えれば、1μA以上の直流電流を自
動的に除去して、揺らぎ成分を高感度で検出できる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上述の様な、先発明に
係る電力ケーブルの絶縁劣化診断方法の場合、前述した
キックにより絶縁状態を診断する従来方法の場合とは異
なり、22kVCVケーブルの様に、ケーブル線路長が長
く、これに伴って絶縁層の静電容量Cx が大きい電力ケ
ーブルの絶縁劣化診断も行なえる。但し、より信頼性の
高い絶縁劣化診断を行なう為には、次の様な点を改良す
る事が望まれる。
【0018】即ち、絶縁層が劣化したCVケーブルに直
流電圧を印加した場合に、このCVケーブルの絶縁層を
通じて流れる直流漏れ電流Id は、前述した図8に示す
様に、時間の経過と共に大幅に減衰し(吸収項)、やが
て定常状態に落ち着く(定常項)。先発明の電力ケーブ
ルの絶縁劣化診断方法の様に、打ち消し電流Ic を流し
たり(図10〜12に示した第1例の場合)、或はディ
ジタル値の低位桁のみを観察する(図13に示した第2
例の場合)方法では、上記直流漏れ電流Id の値が落ち
着いた、定常項部分でしか、絶縁劣化診断を行なえな
い。逆に言えば、上記直流漏れ電流Id の値が時間の経
過と共に大幅に減衰する吸収項部分を絶縁劣化診断に利
用できない。
【0019】これに対して、上記直流漏れ電流Id の値
は、上記吸収項部分でも、図14に示す様に不規則に変
化して(揺らいで)いる場合が多い。そして、この吸収
項部分には、上記定常項部分に比べて、絶縁劣化に関す
る情報を表す信号をより多く含んでいる可能性がある。
従って、より信頼性の高い電力ケーブルの絶縁劣化診断
を行なう為には、上記直流漏れ電流Id 中の揺らぎ成分
を、上記定常項部分だけでなく、上記吸収項部分でも観
察する事が好ましい。本発明の電力ケーブルの絶縁劣化
診断方法は、この様な事情に鑑みて発明したものであ
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の電力ケーブルの
絶縁劣化診断方法は、従来から知られている、或は前述
した先発明に係る電力ケーブルの絶縁劣化診断方法と同
様に、絶縁層が劣化した電力ケーブルに直流電圧を印加
した場合にこの電力ケーブルの絶縁層を通じて流れる直
流漏れ電流Id を観察し、この絶縁層の劣化程度を診断
する。特に、本発明の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法
に於いては、上記直流電圧を印加後の経過時間tと上記
直流漏れ電流Id の大きさとの関係を連続的に測定し
て、直流漏れ電流の変化曲線を求める。又、この直流漏
れ電流Id の変化曲線上に存在する複数の測定点での上
記経過時間tと直流漏れ電流Id の大きさとから、上記
経過時間tと直流漏れ電流Idの大きさとの関係を近似
する、滑らかな単調減衰関数f(t)を作成する。そし
て、上記変化曲線とこの単調減衰関数f(t)との差と
して表われる、上記直流漏れ電流Id が時間の経過と共
に徐々に不規則に変化する揺らぎ成分を観察する事によ
り、上記絶縁層の劣化を診断する。
【0021】
【作用】上述の様な本発明の電力ケーブルの絶縁劣化診
断方法によれば、前述した先発明の絶縁劣化診断方法の
場合と同様に、22kVCVケーブルの如く、絶縁層の静
電容量が大きく、直流漏れ電流Id 中にキックが表われ
ない、長尺なケーブル線路を有するCVケーブル等の絶
縁劣化の診断を行なえる。絶縁が劣化した電力ケーブル
の上記直流漏れ電流Id 中に揺らぎ成分が存在する理
由、並びにこの揺らぎ成分によりCVケーブル等の絶縁
劣化の診断を行なえる理由は、前述した先発明の場合と
同様である。
【0022】特に、本発明の電力ケーブルの絶縁劣化診
断方法の場合には、上記直流漏れ電流Id の定常項部分
での揺らぎ成分だけでなく、吸収項部分での揺らぎ成分
も観察できる。この為、電力ケーブルの絶縁劣化に関す
る情報を表す信号を、広い範囲に亙り収集して、より信
頼性の高い絶縁劣化診断を行なえる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1〜5は、本発明の実施の形態
の1例を示している。尚、本発明の電力ケーブルの絶縁
劣化診断方法が、前述した先発明に係る電力ケーブルの
絶縁劣化診断方法と異なる点は、先発明に係る方法が直
流漏れ電流Id 中の揺らぎ成分を定常項部分でしか観察
しない(できない)のに対して、本発明の方法は、定常
項部分だけでなく吸収項部分でも直流漏れ電流Id 中の
揺らぎ成分を観察する点にある。本発明の方法も、揺ら
ぎ成分を観察する事により絶縁劣化診断を行なうが、揺
らぎ成分を観察する事により絶縁劣化診断を行なえる理
由は、前述した先発明の場合と同様であるから、重複す
る説明を省略し、以下、本発明の特徴部分を中心に説明
する。
【0024】絶縁劣化診断を行なう際には、試料である
CVケーブル1に、直流印加電源2により、導線と絶縁
層の外周面との間に、直流電圧を印加する。この結果、
上記絶縁層を通じて、上記直流漏れ電流Id が流れるの
で、上記直流印加電源2と直列に接続した電流計9によ
り、この直流漏れ電流Id を測定する。この電流計9に
よる直流漏れ電流Id の測定値は、A/D変換器6によ
りディジタル値に変換してから信号処理装置10に送
り、この信号処理装置10によって、図2及び図4に実
線で示す様な変化曲線αの作成と、図3に実線で、図4
に破線で、それぞれ示す様な、単調減衰関数f(t)の
算出とを行なう。
【0025】このうちの変化曲線αは、上記直流印加電
源2により、上記CVケーブル1に直流電圧を印加した
後の経過時間tと、上記電流計9が測定する直流漏れ電
流I d の大きさとの関係を連続的に表したものである。
上記CVケーブルの絶縁が劣化している場合には、上記
変化曲線α中に揺らぎ成分が含まれるが、そのままでは
この揺らぎ成分のみを他の変化成分から抽出して観察す
る事は非常に難しい。そこで、この揺らぎ成分のみを抽
出する為、上記単調減衰関数f(t)を作成する。
【0026】この単調減衰関数f(t)は、上記直流漏
れ電流Id の変化曲線α上に存在する複数の測定点に於
ける、上記経過時間tと直流漏れ電流Id の大きさとか
ら、上記経過時間tと直流漏れ電流Id の大きさとの関
係を表す、滑らかな関数として作成する。即ち、上記変
化曲線α上の複数の点(少なくとも2点。一般的には3
点以上。)の座標{Id(t1) ,t1 }、{Id(t2) ,t
2 }−−−{Id(tn),tn }を求め、これら複数点の
座標に基づいて、滑らかな減衰曲線を表す、上記単調減
衰関数f(t)を算出する{例えば、f(t)=Aexp
(Btn)}。
【0027】前記信号処理装置10は、上記変化曲線α
とこの単調減衰関数f(t)とを求めた後、これら変化
曲線αと単調減衰関数f(t)との差である、補正電流
値I err {=Id −f(t)}を求める。即ち、これら
変化曲線αと単調減衰関数f(t)とを重ね合わせた図
4から明らかな通り、絶縁劣化に基づいて上記直流漏れ
電流Id 中に含まれ、時間の経過と共に徐々に不規則に
変化する揺らぎ成分が、上記変化曲線αと単調減衰関数
f(t)との差として表われる。そこで、上記信号処理
装置10は、上記変化曲線αと単調減衰関数f(t)と
の差であり、図5に示す様に時間の経過と共に不規則に
変化する補正電流値Ierr を、表示部8に出力する。C
Vケーブル1の絶縁劣化診断を行なう場合に作業者は、
この表示部8により上記直流漏れ電流Id 中の揺らぎ成
分を観察する事により、上記CVケーブル1の絶縁層の
劣化を診断する。
【0028】上述の様な本発明の電力ケーブルの絶縁劣
化診断方法によれば、上記直流漏れ電流Id の定常項部
分での揺らぎ成分だけでなく、吸収項部分での揺らぎ成
分も観察できる。この為、電力ケーブルの絶縁劣化に関
する情報を表す信号を、広い範囲に亙り収集して、より
信頼性の高い絶縁劣化診断を行なえる。
【0029】
【発明の効果】本発明の電力ケーブルの絶縁劣化診断方
法は、以上に述べた通り構成され作用するので、従来方
法では困難であった、22kVCVケーブルの様な、長い
ケーブル線路を有するCVケーブルの絶縁劣化の診断を
行なえる。更に、本発明の電力ケーブルの絶縁劣化診断
方法の場合には、絶縁劣化に関する情報を表す信号を広
い範囲に亙り収集するので、絶縁劣化を早期に発見でき
る等、絶縁劣化診断の信頼性を向上させて、送電事故の
防止に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例に使用する診断回路
を示す回路図。
【図2】本発明の絶縁劣化診断方法を実施する際に流れ
る直流漏れ電流Id の変化曲線を示す線図。
【図3】直流漏れ電流に基づいて算出した単調減衰関数
f(t)を表す線図。
【図4】直流漏れ電流Id を示す変化曲線と単調減衰関
数f(t)を表す曲線とを重ね合わせた状態で示す線
図。
【図5】直流漏れ電流Id と単調減衰関数f(t)との
差である補正電流値Ierr を示す線図。
【図6】比較的短いケーブル線路を有するCVケーブル
の絶縁劣化の診断を行なう為に直流電圧を印加した場合
に発生する直流漏れ電流を示す線図。
【図7】長いケーブル線路を有するCVケーブルの絶縁
劣化の診断を行なう為に直流電圧を印加した場合に発生
する直流漏れ電流を示す線図。
【図8】先発明に係る絶縁劣化診断方法を実施する為に
直流電圧を印加した場合に発生する直流漏れ電流を示す
線図。
【図9】図8のA部を取り出し、電流値を増幅した状態
で示す線図。
【図10】先発明の実施の形態の第1例に使用する診断
回路を示す回路図。
【図11】第1例を実施する際に流れる直流漏れ電流と
打ち消し電流とを示す線図。
【図12】直流漏れ電流と打ち消し電流とを合成してか
ら増幅した状態で示す線図。
【図13】先発明の実施の形態の第2例に使用する診断
回路を示す回路図。
【図14】図8のB部を取り出し、電流値を増幅した状
態で示す線図。
【符号の説明】
1 CVケ−ブル 2 直流印加電源 3 抵抗 4 打ち消し電源 5 抵抗 6 A/D変換器 7 D/A変換器 8 表示部 9 電流計 10 信号処理装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 中 埼玉県熊谷市新堀1008番地 三菱電線工 業株式会社 熊谷製作所内 (72)発明者 大高 巖 埼玉県熊谷市新堀1008番地 三菱電線工 業株式会社 熊谷製作所内 (72)発明者 佐藤 伸彦 埼玉県熊谷市新堀1008番地 三菱電線工 業株式会社 熊谷製作所内 (56)参考文献 特開 平11−271386(JP,A) 特開 昭61−61069(JP,A) 特開 平4−198771(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 31/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁層が劣化した電力ケーブルに直流電
    圧を印加した場合にこの電力ケーブルの絶縁層を通じて
    流れる直流漏れ電流Id を観察し、この絶縁層の劣化程
    度を診断する電力ケーブルの絶縁劣化診断方法に於い
    て、上記直流電圧を印加後の経過時間tと上記直流漏れ
    電流Id の大きさとの関係を連続的に測定して直流漏れ
    電流の変化曲線を求めると共に、この直流漏れ電流Id
    の変化曲線上に存在する複数の測定点での上記経過時間
    tと直流漏れ電流Id の大きさとから、上記経過時間t
    と直流漏れ電流Id の大きさとの関係を近似する、滑ら
    かな単調減衰関数f(t)を作成し、上記変化曲線とこ
    の単調減衰関数f(t)との差として表われる、上記直
    流漏れ電流Id が時間の経過と共に徐々に不規則に変化
    する揺らぎ成分を観察する事により、上記絶縁層の劣化
    を診断する事を特徴とする電力ケーブルの絶縁劣化診断
    方法。
JP18998499A 1999-07-05 1999-07-05 電力ケーブルの絶縁劣化診断方法 Expired - Fee Related JP3294220B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18998499A JP3294220B2 (ja) 1999-07-05 1999-07-05 電力ケーブルの絶縁劣化診断方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18998499A JP3294220B2 (ja) 1999-07-05 1999-07-05 電力ケーブルの絶縁劣化診断方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001021608A JP2001021608A (ja) 2001-01-26
JP3294220B2 true JP3294220B2 (ja) 2002-06-24

Family

ID=16250461

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18998499A Expired - Fee Related JP3294220B2 (ja) 1999-07-05 1999-07-05 電力ケーブルの絶縁劣化診断方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3294220B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4681391B2 (ja) * 2005-08-10 2011-05-11 新日本製鐵株式会社 低圧ケーブルの劣化診断方法
CN105425009A (zh) * 2015-10-30 2016-03-23 国家电网公司 直流系统高精度测量直流漏电流及交流窜直流检测电路

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001021608A (ja) 2001-01-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR940019179A (ko) 용기 관통구조물의 전기화학적 추적 장치 및 방법(electrochemical monitoring of vessel penetrations)
US5760590A (en) Cable integrity tester
JP3294220B2 (ja) 電力ケーブルの絶縁劣化診断方法
JPH09184866A (ja) ケーブルの活線下劣化診断方法
Xu et al. Loss current studies of partial discharge activity
KR102028287B1 (ko) 공간전하 측정장치, 이를 포함하는 시스템 및 이의 이용방법
JP3306370B2 (ja) 電力ケーブルの絶縁劣化診断方法
WO2004001430A1 (en) Electric power line on-line diagnostic method
JP5559638B2 (ja) 電力ケーブルの劣化判定方法
JP2002207059A (ja) 電力ケーブルの絶縁劣化診断方法
JP4057182B2 (ja) 部分放電判定方法
JP3246679B2 (ja) 絶縁体の絶縁特性測定装置
JPH0545405A (ja) ケーブルの部分放電測定方法
JPH05264642A (ja) ケーブルの劣化診断方法
JP3177313B2 (ja) 電力機器の絶縁劣化診断方法
JP2929047B2 (ja) 電力ケーブルの絶縁劣化診断法
JP3092772B2 (ja) 電力ケーブルの絶縁劣化診断方法
JP2003084028A (ja) 電力ケーブルの活線診断方法
JP2002207060A (ja) 電力ケーブルの絶縁劣化診断方法
JP3835076B2 (ja) 電力ケーブルの診断方法
JP3431390B2 (ja) ケーブルの絶縁診断方法
JP4681391B2 (ja) 低圧ケーブルの劣化診断方法
JPH04105075A (ja) ケーブルの絶縁劣化診断方法
JP3176490B2 (ja) Cvケーブルの絶縁診断方法
JP3389052B2 (ja) 部分放電測定方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees