JP3292067B2 - 表面強化化粧紙とその製造方法 - Google Patents

表面強化化粧紙とその製造方法

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JP3292067B2 JP28464396A JP28464396A JP3292067B2 JP 3292067 B2 JP3292067 B2 JP 3292067B2 JP 28464396 A JP28464396 A JP 28464396A JP 28464396 A JP28464396 A JP 28464396A JP 3292067 B2 JP3292067 B2 JP 3292067B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家具、住宅機器等
に使用される化粧板用の表面強化化粧紙とその製造方法
に係り、特に、表面保護層の透明性が良好で、かつ、耐
摩耗性、耐衝撃性等の機械的強度、耐溶剤性、耐薬品
性、耐熱性等の諸特性に優れ、しかも、生産コストの低
減と環境衛生上の問題が回避できる高級化粧板用の表面
強化化粧紙とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェノールコア紙やパーティクルボード
等化粧基板の平面上に積層され、家具や住宅機器等に使
用される化粧板用の化粧紙としては、従来、チタン紙等
の浸透性の良い原紙(化粧紙基材)に印刷又は着色を施
した後、この化粧紙基材にメラミン樹脂、ジアリルフタ
レート樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて作った樹脂含
浸紙が知られており、この樹脂含浸紙を上記フェノール
コア紙やパーティクルボード等化粧基板の平面上に乗
せ、かつ、鏡面板を介し加熱圧縮して化粧板を製造して
いる。そして、この様な方法にて得られた化粧板は、必
要な表面硬度や耐摩耗性を備えているが、反面、生産効
率が悪いため高価なものにならざるを得なかった。
【0003】そこで、生産コスト面を改善するため、近
年、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂の代わりに無溶剤系
として処方された電子線硬化型樹脂を利用する方法が種
々検討がなされているが、以下に示すような理由により
満足なものが得られていないのが実情である。
【0004】まず、上記化粧紙基材に印刷又は着色を施
すためのインキとしては、従来、油性インキが利用され
ているが、溶剤の使用や地球環境に対する影響等の問題
が近年重視されてきているため、この様な問題のない水
性インキが主流となりつつある。
【0005】そして、油性インキに代えて水性インキを
使用した場合、印刷又は着色が施された化粧紙基材の表
面から無溶剤系の電子線硬化型樹脂を塗布し、電子線照
射を同一工程内で短時間で行おうとすると、水性インキ
の極性が高いために電子線硬化型樹脂の浸透が阻害され
易く、化粧紙基材の内部まで電子線硬化型樹脂が十分に
浸透する以前に電子線硬化型樹脂が硬化してしまう欠点
があった。
【0006】このため、電子線硬化型樹脂層と水性イン
キ層との密着力が小さく、更に電子線硬化型樹脂層の硬
化収縮も作用して電子線硬化型樹脂がインキ層表面から
剥離し易いという問題があった。
【0007】また、上述したような電子線や紫外線等の
活性エネルギー線を樹脂の硬化に利用する活性エネルギ
ー線硬化性無溶剤型塗料やインキは、一般的に上記熱硬
化型のものと比較して、省エネルギー、高生産性、低温
硬化が可能等の利点が強調されている。しかし、ここで
用いられる活性エネルギー線硬化性無溶剤型樹脂組成物
には、一般にオリゴマー(又はプレポリマー)、モノマ
ーを主成分とし、光硬化では更に光重合開始剤、増感剤
を加えて構成される100%液状型あるいは有機溶剤溶
液型の樹脂組成物が適用されているが、この塗装作業性
を容易にするために加えられる粘度調節用の低分子量ビ
ニルモノマーや溶剤の使用に起因した臭気による作業環
境の悪化、モノマー、溶剤への引火による火災の危険
性、毒性等の安全衛生上の問題点が多かった。また、1
00%液状型とする場合には、モノマーの添加によっ
て、本来目的とするオリゴマーの物性が損なわれるとい
う欠点があった。このため、モノマーや溶剤を必要とせ
ず、これ等問題のない水系の紫外線又は電子線硬化型樹
脂組成物を適用した表面強化化粧紙の開発が望まれてい
る。
【0008】また、化粧紙基材表面に施される表面保護
コーティング剤には、硬化塗膜の耐摩耗性、耐衝撃性、
耐熱性等の向上を図るためにシリカ、炭酸カルシウム等
の無機粒子が添加されているが、この無機粒子は1μm
程度の粒径を有しかつ塗膜の樹脂成分との屈折率の差が
大きい材料なため、無機粒子の添加により硬化塗膜の透
明性が損なわれる問題点を有していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な問題
点に着目してなされたもので、その課題とするところ
は、表面保護層の透明性が良好で、かつ、耐摩耗性、耐
衝撃性等の機械的強度、耐溶剤性、耐薬品性、耐熱性等
の諸特性に優れ、しかも、生産コストの低減と環境衛生
上の問題が回避できる高級化粧板用の表面強化化粧紙と
その製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に係
る発明は、化粧基板上に積層される化粧板用の表面強化
化粧紙を前提とし、水性インキにより印刷又は着色が施
された化粧紙基材と、この化粧紙基材の乾燥後の水性イ
ンキ層上に塗布されかつ熱乾燥後活性エネルギー線を照
射して硬化された活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成
物と粒子内既架橋エマルジョン樹脂を主成分とする水性
塗工剤から成る表面保護層とを具備すると共に、上記活
性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物の一成分が紫外線
又は電子線硬化型ポリマー、オリゴマー若しくはモノマ
ーより成る樹脂にて構成され、かつ、その少なくとも一
成分に下記一般式(I)にて示される2官能以上のウレ
タンアクリレート若しくはウレタンメタクリレートを含
有していることを特徴とするものである。
【化3】 R:水素原子またはメチル基 X:イソシアネート残基 Y:二価アルコール残基
【0011】そして、請求項1記載の発明に係る表面強
化化粧紙によれば、上記表面保護層が、水性インキとの
親和性に優れた活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物
を含有する水性塗工剤により構成されているため、表面
保護層と水性インキ層との密着力が向上し、かつ、活性
エネルギー線硬化前の熱乾燥プロセスで化粧紙基材内部
へ上記活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物が浸透す
ることから、家具や住宅機器類等に適用可能な耐摩耗
性、耐衝撃性等の機械的強度、耐溶剤性、耐薬品性、耐
熱性等の諸特性を具備させることができる。
【0012】また、上記表面保護層を構成する水性塗工
剤には粒子内既架橋エマルジョン樹脂が配合されてお
り、この粒子内既架橋エマルジョン樹脂は、上述したシ
リカや炭酸カルシウム等の無機粒子に較べてその粒径は
1/100あるいはこれ以下でありかつ塗膜の樹脂成分
(すなわち活性エネルギー線硬化型水性樹脂)との屈折
率の差が小さな材料であるため、硬化塗膜の透明性を損
なうことなく耐摩耗性、耐衝撃性等の機械的強度、耐溶
剤性、耐薬品性、耐熱性等の諸特性を具備させることが
可能となる。特に、硬化塗膜の透明性については水性塗
工剤塗膜の硬化手段として紫外線等の光が用いられた場
合、その透過率の観点から有効である。
【0013】
【0014】
【0015】更に、請求項記載の発明に係る表面強化
化粧紙によれば、活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成
物内に両末端にアクリロイル基若しくはメタクリロイル
基を有する上記一般式(I)にて示される2官能以上の
ウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレート
が含まれているため、表面保護層用水性塗工剤の塗膜が
形成された後、紫外線、電子線等の活性エネルギー線を
照射することにより、乳化剤としての作用を有する2官
能以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタク
リレートが他の重合性樹脂組成成分と反応して架橋剤の
一成分として作用し、耐溶剤性、耐水性、耐酸、耐アル
カリ性、膜強度等の物性バランスに優れた表面保護層を
形成することが可能となり、かつ、最終的な表面保護層
塗膜中には未反応成分が残留することもない。
【0016】また、上記一般式(I)にて示される2官
能以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタク
リレートの二価アルコール残基が、酸化エチレン(E
O)と酸化プロピレン(PO)の構造を有するエーテル
系ポリオールから選ばれた化合物を原料として構成さ
れ、更に、上記二価アルコール残基を構成する酸化エチ
レンと酸化プロピレンの各繰り返し単位構造当たりの組
成比(モル比)を適正な範囲に設定することにより、ウ
レタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレートの
親水性/疎水性のバランスがとれるため他の樹脂組成物
成分に対する乳化能力が付与され、本来、油溶性の化合
物の種類が圧倒的に多い他の活性エネルギー線硬化型オ
リゴマー、モノマー等を効果的に水分散化することがで
きる。これにより乳化剤として作用する上記ウレタンア
クリレート若しくはウレタンメタクリレート自体も架橋
剤として作用するため、耐溶剤性、耐水性、耐酸、耐ア
ルカリ性、膜強度等の物性バランスにより優れた表面保
護層を形成することが可能となる。請求項に係る
発明はこの様な技術的理由によりなされている。
【0017】すなわち、請求項に係る発明は、請求項
記載の発明に係る表面強化化粧紙を前提とし、上記一
般式(I)にて示される2官能以上のウレタンアクリレ
ート若しくはウレタンメタクリレートの二価アルコール
残基が、酸化エチレンと酸化プロピレンの構造を有する
エーテル系ポリオールから選ばれた化合物を原料として
構成されていることを特徴とし、請求項に係る発明
は、請求項記載の発明に係る表面強化化粧紙を前提と
し、上記一般式(I)にて示される2官能以上のウレタ
ンアクリレート若しくはウレタンメタクリレートの二価
アルコール残基を構成する酸化エチレンと酸化プロピレ
ンの各繰り返し単位構造当たりの組成比(モル比)が、
9:1〜4:6の範囲に設定されていることを特徴とす
るものである。
【0018】次に、請求項に係る発明は請求項1
記載の発明に係る表面強化化粧紙の製造方法を特定した
発明に関する。
【0019】すなわち、請求項に係る発明は、請求項
1記載の表面強化化粧紙の製造方法を前提とし、化粧紙
基材に対し水性インキにより印刷又は着色を施し、乾燥
後の水性インキ層上に活性エネルギー線硬化型水性樹脂
組成物と粒子内既架橋エマルジョン樹脂を主成分とする
水性塗工剤を塗布し、かつ、この水性塗工剤を熱乾燥さ
せた後、活性エネルギー線を照射し上記水性塗工剤を硬
化させて表面保護層を形成すると共に、上記活性エネル
ギー線硬化型水性樹脂組成物の一成分が紫外線又は電子
線硬化型ポリマー、オリゴマー若しくはモノマーより成
る樹脂にて構成され、その少なくとも一成分に下記一般
式(I)にて示される2官能以上のウレタンアクリレー
ト若しくはウレタンメタクリレートを含有していること
を特徴とし、
【0020】
【0021】
【化4】 R:水素原子またはメチル基 X:イソシアネート残基 Y:二価アルコール残基 請求項に係る発明は、請求項記載の表面強化化粧紙
の製造方法を前提とし、上記一般式(I)にて示される
2官能以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメ
タクリレートの二価アルコール残基が、酸化エチレンと
酸化プロピレンの構造を有するエーテル系ポリオールか
ら選ばれた化合物を原料として構成されていることを特
徴とし、また、請求項に係る発明は、請求項記載の
表面強化化粧紙の製造方法を前提とし、上記一般式
(I)にて示される2官能以上のウレタンアクリレート
若しくはウレタンメタクリレートの二価アルコール残基
を構成する酸化エチレンと酸化プロピレンの各繰り返し
単位構造当たりの組成比(モル比)が、9:1〜4:6
の範囲に設定されていることを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0023】尚、表面強化化粧紙の構成材料についてま
ず説明し、その後、化粧紙の表面保護層として適用する
水性塗工剤の製造方法について詳細に説明する。
【0024】まず、本発明に係る表面強化化粧紙の一部
を構成する化粧紙基材としては、坪量30〜120g/
2 の化粧紙用原紙が好適である。予めウレタン系樹脂
やビニル系樹脂等でシーラー処理等を施した化粧紙用原
紙を適用してもよい。これに水性インキにより印刷を施
すか全面を着色する。印刷方法はグラビア印刷法等の公
知の方法でよい。また、表面保護層用水性塗工剤の塗工
方法は任意であるが、生産段階ではロールコーター、リ
バースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコー
ター等によるのが一般的である。
【0025】次に、表面保護層用水性塗工剤の一部を構
成する活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物の構成成
分について説明する。
【0026】まず、上記一般式(I)にて示される2官
能以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタク
リレートにおけるポリウレタンジオール成分を導入する
ためのジイソシアネート化合物としては、トリレンジイ
ソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート
(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MD
I)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)等に代表
される芳香族ジイソシアネート、リジンジイソシアネー
トメチルエステル(LDIM)、トリメチルヘキサメチ
レンジイソシアネート(TMDI)、ダイマー酸ジイソ
シアネート(DDI)、ヘキサメチレンジイシシアネー
ト、メチルシクロヘキシレン−2、4(2、6)−ジイ
ソシアネート、1、3(4)−(ジイソシアナトメト
ル)シクロヘキサン、4、4−ビス(イソシアナトシク
ロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等の
脂肪族系ジイソシアネートが使用できる。
【0027】また、上記ポリウレタンジオール成分を導
入するためのポリオール物質としては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、
ジプロピレングリコール等の低分子量ポリオール、ポリ
オキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリ
コール等のオリゴマーポリオール、さらに必要な場合に
は、酸化エチレンおよび酸化プロピレンのランダム、ま
たはブロックポリエーテル等も利用することができる。
【0028】次に、ジイソシアネート化合物とポリオー
ル物質とにより得られたポリウレタンジオールの両末端
にアクリレート若しくはメタクリレートを導入して上記
一般式(I)にて示される2官能以上のウレタンアクリ
レート若しくはウレタンメタクリレートを合成するため
の材料としては、一分子内にメタクリロイル基とイソシ
アネート基を有する2官能性モノマーであるm−イソプ
ロペニル−α、αジメチルベンジルイソシアネート(m
−TMI)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシア
ネート(MOI)等が利用できる。また、例示した種々
の上記ジイソシアネート化合物に加え、任意の2官能以
上の多官能ポリイソシアネート化合物のイソシアネート
基と分子内にアクリロイル若しくはメタクリロイル基と
水酸基、カルボキシル基、アミン、アミド等の活性水素
基をそれぞれ1個以上有する化合物の活性水素基を反応
させることによって得られる一分子内に少なくとも1個
以上のイソシアネート基と1個以上のアクリロイル若し
くはメタクリロイル基を有する化合物を利用することが
できる。この化合物を合成するに当って必要な分子内に
アクリロイル若しくはメタクリロイル基と水酸基、カル
ボキシル基、アミン、アミド等の活性水素基をそれぞれ
1個以上有する化合物としては、多品種で種々のグレー
ドのものが市販品として入手可能である。代表的には、
例えばアニオン系モノマーとして、アクリル酸2−ヒド
ロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタク
リル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシ
プロピル、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸、
イタコン酸、クロトン酸、及びこれらの化合物を共重合
成分とする任意のオリゴマー類等が挙げられる。カチオ
ン系モノマーとして、例えばアクリル酸アミノアルキル
及びメタクリル酸アミノアルキルエステル類、アクリル
アミド、N−メチロールアクリルアミド、ジメチルアミ
ノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル
アクリルアミド等のアミド系モノマー類が挙げられる。
【0029】また、上記一般式(I)にて示される2官
能以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタク
リレートが配合された活性エネルギー線硬化型水性樹脂
組成物の他の構成成分としては、一般的なポリエステル
系、ポリエポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル
系、ポリアクリル系等のアクリレートに代表される重合
性プレポリマーが使用できる。また必要に応じて、臭気
や皮膚刺激性の低い単官能及び多官能アクリレート若し
くはメタクリレート類を加えてもよい。
【0030】また、上記活性エネルギー線硬化型水性樹
脂組成物における活性エネルギー線が紫外線である場
合、上記組成物内に光増感剤(ラジカル重合開始剤)を
添加する必要がある。このような添加剤としては、例え
ば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイ
ンエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、
ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキ
ルエーテル類;アセトフェノン、2、2−ジメトキシ−
2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘ
キシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類;メチル
アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミ
ルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサン
トン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイ
ソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;ア
セトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタ
ールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4、4−ビス
メチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類及
びアゾ化合物などが挙げられる。これらは単独または2
種以上の混合物として使用でき、さらにはトリエタノー
ルアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミ
ン;2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチル
アミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光開始
助剤などと組み合わせて使用することもできる。有機過
酸化物や光重合開始剤の使用量は、上記活性エネルギー
線硬化型水性樹脂組成物の重合性成分100重量部に対
し0.5〜20重量部、好ましくは1〜15重量部であ
る。
【0031】次に、表面保護層用水性塗工剤の他方の成
分である粒子内既架橋エマルジョン樹脂として、例え
ば、市販品として入手可能なものとしては、スチレン・
(メタ)アクリル系樹脂を主成分とするニッペマイクロ
ジェルシリーズ(日本ペイント社製商品名)、ミューテ
ィクルシリーズ(三井東圧社製商品名)、ウレタン系樹
脂を主成分とするNeoRezシリーズ(Zeneca社製商品名)
等が挙げられる。また、上記スチレン・(メタ)アクリ
ル系樹脂を使用する場合には、耐候性の他にUV/EB
硬化樹脂との屈折率差を最小にし、硬化塗膜の透明性を
損なわないものとしてアクリル樹脂分の共重合比率が高
いものを使用することが好ましい。また、ウレタン系樹
脂を使用する場合には、無黄変タイプのものを使用する
ことが好ましい。
【0032】以上、本発明に係る表面強化化粧紙の主な
構成材料を説明したが、以下、表面保護層用水性塗工剤
の一部を構成する活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成
物の製造方法を具体的に説明し、併せて表面保護層用水
性塗工剤の製造方法を具体的に説明する。
【0033】まず、上記一般式(I)にて示される2官
能以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタク
リレートの合成には、任意のそれぞれ2官能のポリイソ
シアネートと酸化エチレン(EO)及び酸化プロピレン
(PO)の構造を有するポリエーテルジオールを選び、
これらを常法に従って、適当な溶媒中でイソシアネート
基と水酸基の割合がほぼ等モルとなるように処方し、こ
れらを反応させる。この場合、EOとPOの組成比(モ
ル比)が9:1〜4:6の範囲となるように処方するこ
とが好ましい。
【0034】ここで得られるポリウレタンジオールの両
末端水酸基をアクリロイル基若しくはメタクリロイル基
とするために、(1)一分子内にメタクリロイル基とイ
ソシアネート基を有する2官能性モノマーであるm−イ
ソプロペニル−α、αジメチルベンジルイソシアネート
(m−TMI)、2−メタクリロイルオキシエチルイソ
シアネート(MOI)等の化合物、若しくは、(2)任
意の2官能以上の多官能ポリイソシアネート化合物のイ
ソシアネート基と分子内にアクリロイル若しくはメタク
リロイル基と水酸基、カルボキシル基、アミン、アミド
等の活性水素基をそれぞれ1個以上有する化合物の活性
水素基を反応させることによって得られる一分子内に少
なくとも1個以上のイソシアネート基と1個以上のアク
リロイル若しくはメタクリロイル基を有する化合物を、
前記ポリウレタンジオール1モルに対して2モル反応さ
せることによって、2官能以上のウレタンアクリレート
若しくはウレタンメタクリレートが得られる。
【0035】次いで、上述の方法によって得られたウレ
タンアクリレート若しくはウレタンメタクリレートを必
須成分とし、これに一般的な重合性プレポリマーや、必
要に応じて、臭気や皮膚刺激性の低い単官能及び多官能
アクリレート若しくはメタクリレートモノマー類を配合
し、この組成物を水中に強制的に乳化分散させることに
よって、活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物を得
る。この場合、上記一般式(I)にて示される2官能以
上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレ
ートプレポリマーは乳化剤として作用する。活性エネル
ギー線として紫外線を利用する場合、油溶性の光重合開
始剤は乳化前の樹脂組成物中若しくは乳化後、水溶性の
光重合開始剤は乳化後に添加することが好ましい。
【0036】乳化方法は一般的な強制乳化法に準ずる。
例えば(1)全ての樹脂成分を混合した後水を加え、必
要ならば加温操作や樹脂の溶剤を添加することにより、
ホモミキサー等で強力に分散する。分散後は冷却、溶剤
の除去等を行う。(2)最初に乳化剤として作用する上
記一般式(I)にて示されるウレタンアクリレート若し
くはウレタンメタクリレートを水中に溶解若しくは分散
させた後、強力な撹拌を行いながら残りの樹脂組成物を
除々に添加する。(3)一般的な転相乳化法等により製
造することができる。
【0037】更に、上述の工程に従って得られた活性エ
ネルギー線硬化型水性樹脂組成物の分散液に上記粒子内
既架橋エマルジョン樹脂を任意の割合で配合することに
より本発明に係る表面保護層用水性塗工剤の基本組成が
完成する。
【0038】この様にして得られた本発明に係る表面保
護層用水性塗工剤は、必要ならば汎用の他の水系樹脂、
例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセル
ロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ポリアクリル酸、カゼイン、ゼラチン、デンプン、
ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びこれら
の誘導体等の水溶性樹脂;スチレン−ブタジエン共重合
体、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル等の水分
散型樹脂を添加することも可能である。また、市販品と
して入手可能な活性エネルギー線硬化型水性樹脂も混合
して使用することができる。
【0039】更に、上記表面保護層用水性塗工剤には、
表面保護層に各種の機能を付与させるため、必要に応じ
て、着色剤、体質顔料、滑剤、可塑剤、安定剤、難燃
剤、消泡剤、酸化防止剤、殺菌剤、導電材料、磁性材料
等の添加物を含有させることも可能である。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的に説明
する。
【0041】尚、部および%は特に断わりのない限りす
べて重量基準であるものとする。
【0042】[実施例1] 『活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物の合成』 工程1 塩化カルシウム管を備えたガラス製反応容器に2−ブタ
ノン250部とトルエン100部を入れ、ジフェニルメ
タンジイソシアネート254部を前記混合溶媒中に仕込
んだ後、ジエチレングリコール75部とジプロピレング
リコール40部の混合液を約2時間かけて滴下し、20
時間反応を行なった。
【0043】反応の最終段階でジプロピルアルコールを
5部滴下して反応を終了させ、さらにハイドロキノン
0.2部を加えて酸化エチレンと酸化プロピレンの構造
が約7/3の割合でランダムに組み込まれたポリウレタ
ンジオールを得た。
【0044】工程2 次に、工程1で得られたポリウレタンジオール溶液に2
−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート60部を
加えて60℃で反応させ、次いで溶媒を除去することに
より2官能のウレタンメタクリレートプレポリマーを得
た。IRスペクトル測定によりイシシアネート基に基づ
く吸収の消失を確認した。
【0045】工程3 工程2で得られた2官能のウレタンメタクリレートプレ
ポリマー50部をイオン交換処理を経た蒸留水465部
中に分散し、温度を50℃に保った。この水分散液に下
記処方の光又は電子線硬化型オリゴマーとモノマーから
成るプレポリマー組成物をホモミキサーによる十分な分
散を加えながら少しずつ投入した。
【0046】尚、下記処方のプレポリマー組成物は50
℃に加熱し、粘度を下げた状態で投入した。投入完了
後、ホモミキサーによる撹拌を6000rpmの回転数
にて10分間継続し、乳白色で均一な紫外線硬化型水性
樹脂組成物を得た。
【0047】 6官能ウレタンアクリレートオリゴマー (アートレジンUN−3320HC 根上工業社製商品名) 150部 PO,ECH変性ビスフェノールAジアクリレート (エポキシエステル3002A 共栄社化学社製商品名) 50部 ダロキュア1173(チバガイギー社製商品名) 7.5部
【0048】工程4 工程3で得られた紫外線硬化型水性樹脂組成物(以下、
水性UVエマルジョンと略称する)を用い、以下の処方
にて水性UVエマルジョンと粒子内既架橋エマルジョン
樹脂との混和性が良好で乳白色の安定な懸濁液より成る
実施例1に係る表面保護層用紫外線硬化型水性塗工剤を
調製した。
【0049】 (表面保護層用紫外線硬化型水性塗工剤) 水性UVエマルジョン 370部 粒子内既架橋エマルジョン樹脂 (E−5002 日本ペイント社製商品名) 200部 ポリエーテル変成シリコーン (Kp−341 信越化学社製商品名) 3.5部 光重合開始剤 (イルガキュア2959 チバガイギー社製商品名) 4.5部
【0050】『表面強化化粧紙及び化粧板の作製』坪量
60g/m2 の化粧紙基材に水性インキ(東洋インキ製
造社製)を用いてオーク調木目絵柄を印刷しかつ乾燥さ
せた後、この化粧紙基材の水性インキ層上に上記表面保
護層用紫外線硬化型水性塗工剤を膜厚約14μmとなる
ようにワイヤーバーにて塗工し、かつ、オーブンにて7
5℃、2min 乾燥を行なった。
【0051】次に、80W高圧水銀灯によって塗膜表面
側から積算光量400mJ/cm2の紫外線を照射する
ことにより上記表面保護層用紫外線硬化型水性塗工剤塗
膜を硬化させたところ、表面の光沢が良好で硬く、強靱
な膜が得られた。
【0052】ここで得られた化粧紙を尿素・酢酸ビニル
系の接着剤にてパーチクルボードと貼り合わせて化粧板
を作製し、これを観察したところ、外観上透明感に優
れ、高光沢の塗装感が有り、表面のスクラッチ耐性も良
好であった。
【0053】<化粧板の評価>上記方法によって得られ
た化粧板の性能を以下の方法によって評価した。
【0054】1)耐溶剤性:化粧板試料表面に2−ブタ
ノンを滴下しながら、500g/cm2 荷重の条件でラ
ビングを行い、溶剤による塗膜表面の損傷を観察した。
【0055】そして、塗膜表面の損傷が確認されるまで
のラビング回数を測定した。
【0056】2)耐セロハンテープ性:プリント合板・
カラー合板の標準規格(日本プリント合板・カラー合板
工業組合)の基準を基に、ニチバン社製のセロテープ
(商標)による剥離(40℃±3℃、2時間後)を行
い、表面状態を観察した。
【0057】3)耐摩耗性:JAS摩耗B試験の基準に
従い、ゴム製摩耗輪にサンドペーパーを巻つけて荷重5
00gの条件下で摩耗試験を行い、印刷された絵柄が5
0%以上消失した場合を不合格、50%以下の場合を合
格とした。
【0058】4)耐汚染性:JAS汚染A試験の基準に
従い、油性インキ、水性インキならびにクレヨンを用い
て化粧板の塗膜表面に10mm幅の線を形成し、4時間
放置後、メタノールで拭き取り、汚染状態を観察した。
【0059】5)耐水性:塗膜試験片を室温下、水中に
3日間浸漬した後、膜の白化度合を目視観察にて評価し
た。
【0060】6)耐酸性:酢酸(5%水溶液)を塗膜上
に滴下した後、時計皿でカバーし、6時間後表面状態を
目視観察にて評価した。
【0061】7)耐アルカリ性:炭酸ソーダ(1%水溶
液)を塗膜上に滴下した後、時計皿でカバーし、6時間
後表面状態を目視観察にて評価した。
【0062】各特性試験の結果を以下の表1に示す。
【0063】[実施例2]実施例1の配合処方で使用し
た粒子内既架橋エマルジョン樹脂(E−5002日本ペ
イント社製商品名)に代えて、無黄変タイプのウレタン
系粒子内既架橋エマルジョン樹脂であるNeoRez R-9679
(Zeneca社製商品名)を適用した他は実施例1と同様の
配合量、方法、条件にて水性塗工剤を調製し、化粧紙基
材の水性インキ層上に塗膜を形成した後、UV硬化し
た。
【0064】その結果、実施例1と同様に表面光沢、透
明性に優れた強靭な架橋塗膜(表面保護層)が形成され
た。評価結果を表1に示す。
【0065】[実施例3]実施例1で得られた活性エネ
ルギー線硬化型水性樹脂組成物に光重合開始剤(ダロキ
ュア1173、イルガキュア2959)を添加せず、実
施例1と同様の方法、条件にて化粧紙基材の水性インキ
層上に塗膜を形成し、熱乾燥を経た後、塗膜側より加速
電圧200keVの電子線を吸収線量4Mradの条件
で照射することにより塗膜を硬化させた。
【0066】そして、実施例1と同様、表面の光沢及び
透明感に優れ、硬い架橋塗膜(表面保護層)が形成され
た。評価結果を表1に示す。
【0067】[比較例1]実施例1の配合処方に組み入
れた粒子内既架橋エマルジョン樹脂を除いた以下の処方
で水性塗工剤を調製した他は、実施例1と同様の方法、
条件にて塗料を調製し、化粧紙基材の水性インキ層上に
塗膜を形成した後、UV硬化した。
【0068】その結果、実施例1と同様に表面光沢、透
明性に優れた強靭な架橋塗膜(表面保護層)が形成され
たが、実施例1の塗膜に較べて若干耐摩耗性に劣る傾向
が見られた。評価結果を表1に示す。
【0069】 水性UVエマルジョン 570部 ポリエーテル変成シリコーン (Kp−341 信越化学社製商品名) 3.5部 光重合開始剤 (イルガキュア2959 チバガイギー社製商品名) 4.5部
【0070】[比較例2]下記組成の無溶剤系の電子線
硬化型塗料組成物を用いた他は実施例1と同様の方法で
化粧紙を作製し、塗膜の硬化を実施例2と同様の電子線
によって行うことによって、化粧板を作製した。その評
価結果を表1に示す。
【0071】 6官能ウレタンアクリレートオリゴマー (アートレジンUN−3320HC 根上工業社製商品名) 150部 PO,ECH変性ビスフェノールAジアクリレート (エポキシエステル3002A 共栄社化学社製商品名) 50部 トリプロピレングリコールジアクリレート 120部 ポリエーテル変成シリコーン (Kp−341 信越化学社製商品名) 3.5部
【0072】
【表1】 『評価結果』表1に示されているように、各実施例に係
る化粧紙を適用した場合、比較例2に係る化粧紙を適用
した場合に較べて耐セロハンテープと耐摩耗性(比較例
2においては印刷された絵柄が70%も消失し紙間強度
が不良であった)が改善されていることが確認される。
また、比較例1に係る化粧紙を適用した場合に較べて耐
摩耗性が改善されていることが確認される。
【0073】
【発明の効果】請求項1記載の発明に係る表面強化化粧
紙によれば、表面保護層が、水性インキとの親和性に優
れた活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物を含有する
水性塗工剤により構成されているため、表面保護層と水
性インキ層との密着力が向上し、かつ、活性エネルギー
線硬化前の熱乾燥プロセスで化粧紙基材内部へ上記活性
エネルギー線硬化型水性樹脂組成物が浸透することか
ら、家具や住宅機器類等に適用可能な耐摩耗性、耐衝撃
性等の機械的強度、耐溶剤性、耐薬品性、耐熱性等の諸
特性を具備させることができる効果を有する。
【0074】また、上記表面保護層を構成する水性塗工
剤には粒子内既架橋エマルジョン樹脂が配合されてお
り、この粒子内既架橋エマルジョン樹脂は、シリカや炭
酸カルシウム等の無機粒子に較べてその粒径は1/10
0あるいはこれ以下でありかつ塗膜の樹脂成分(すなわ
ち活性エネルギー線硬化型水性樹脂)との屈折率の差が
小さな材料であるため、硬化塗膜の透明性を損なうこと
なく耐摩耗性、耐衝撃性等の機械的強度、耐溶剤性、耐
薬品性、耐熱性等の諸特性を具備させることが可能とな
る効果を有する。
【0075】特に、硬化塗膜の透明性については水性塗
工剤塗膜の硬化手段として紫外線等の光が用いられた場
合、その透過率の観点から優れた効果を有する。
【0076】更に、請求項記載の発明に係る表面強化
化粧紙によれば、活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成
物内に両末端にアクリロイル基若しくはメタクリロイル
基を有する上記一般式(I)にて示される2官能以上の
ウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレート
が含まれているため、表面保護層用水性塗工剤の塗膜が
形成された後、紫外線、電子線等の活性エネルギー線を
照射することにより、乳化剤としての作用を有する2官
能以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタク
リレートが他の重合性樹脂組成成分と反応して架橋剤の
一成分として作用し、耐溶剤性、耐水性、耐酸、耐アル
カリ性、膜強度等の物性バランスに優れた表面保護層を
形成することが可能となり、かつ、最終的な表面保護層
塗膜中には未反応成分が残留し難い効果を有している。
【0077】また、請求項記載の発明に係る表面強化
化粧紙によれば、上記一般式(I)にて示される2官能
以上のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリ
レートの二価アルコール残基が、酸化エチレンと酸化プ
ロピレンの構造を有するエーテル系ポリオールから選ば
れた化合物を原料として構成されており、また、請求項
記載の発明に係る表面強化化粧紙によれば、上記一般
式(I)にて示される2官能以上のウレタンアクリレー
ト若しくはウレタンメタクリレートの二価アルコール残
基を構成する酸化エチレンと酸化プロピレンの各繰り返
し単位構造当たりの組成比(モル比)が、9:1〜4:
6の範囲に設定されているため、上記ウレタンアクリレ
ート若しくはウレタンメタクリレートの親水性/疎水性
のバランスがとれることから他の樹脂組成物成分に対す
る乳化能力が付与され、これにより耐溶剤性、耐水性、
耐酸、耐アルカリ性、膜強度等の物性バランスにより優
れた表面保護層を形成できる効果を有する。
【0078】次に、請求項記載の発明に係る表面
強化化粧紙の製造方法によれば、請求項1〜に係る表
面強化化粧紙を確実に製造できると共に、表面保護層を
形成させる水性塗工剤の活性エネルギー線硬化型水性樹
脂組成物は、その希釈成分として揮発性のビニルモノマ
ーや有機溶剤ではなく水を使用するもので、また乾燥時
にアンモニア、アミン等が発生することもないため環境
衛生上の問題がなく、かつ、活性エネルギー線照射によ
り高速硬化が可能な効果を有する。更に、粒子内既架橋
エマルジョン樹脂の配合は水性塗工剤のコスト低減を図
り、かつ、本発明に係る水性塗工剤は基本的に1液タイ
プであるため、使用後、余った塗液の再利用が可能で経
済性に優れ、また、大気汚染防止のための設備投資等が
大幅に削減できる効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−90744(JP,A) 特開 平8−207500(JP,A) 特開 平8−183147(JP,A) 特開 平1−299036(JP,A) 特開 平5−86220(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 D21H 27/00 - 27/42

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化粧基板上に積層される化粧板用の表面強
    化化粧紙において、 水性インキにより印刷又は着色が施された化粧紙基材
    と、この化粧紙基材の乾燥後の水性インキ層上に塗布さ
    れかつ熱乾燥後活性エネルギー線を照射して硬化された
    活性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物と粒子内既架橋
    エマルジョン樹脂を主成分とする水性塗工剤から成る表
    面保護層とを具備すると共に、上記活性エネルギー線硬
    化型水性樹脂組成物の一成分が紫外線又は電子線硬化型
    ポリマー、オリゴマー若しくはモノマーより成る樹脂に
    て構成され、かつ、その少なくとも一成分に下記一般式
    (I)にて示される2官能以上のウレタンアクリレート
    若しくはウレタンメタクリレートを含有していることを
    特徴とする表面強化化粧紙。 【化1】 R:水素原子またはメチル基 X:イソシアネート残基 Y:二価アルコール残基
  2. 【請求項2】上記一般式(I)にて示される2官能以上
    のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレー
    トの二価アルコール残基が、酸化エチレンと酸化プロピ
    レンの構造を有するエーテル系ポリオールから選ばれた
    化合物を原料として構成されていることを特徴とする請
    求項記載の表面強化化粧紙。
  3. 【請求項3】上記一般式(I)にて示される2官能以上
    のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレー
    トの二価アルコール残基を構成する酸化エチレンと酸化
    プロピレンの各繰り返し単位構造当たりの組成比(モル
    比)が、9:1〜4:6の範囲に設定されていることを
    特徴とする請求項記載の表面強化化粧紙。
  4. 【請求項4】請求項1記載の表面強化化粧紙の製造方法
    において、 化粧紙基材に対し水性インキにより印刷又は着色を施
    し、乾燥後の水性インキ層上に活性エネルギー線硬化型
    水性樹脂組成物と粒子内既架橋エマルジョン樹脂を主成
    分とする水性塗工剤を塗布し、かつ、この水性塗工剤を
    熱乾燥させた後、活性エネルギー線を照射し上記水性塗
    工剤を硬化させて表面保護層を形成すると共に、上記活
    性エネルギー線硬化型水性樹脂組成物の一成分が紫外線
    又は電子線硬化型ポリマー、オリゴマー若しくはモノマ
    ーより成る樹脂にて構成され、その少なくとも一成分に
    下記一般式(I)にて示される2官能以上のウレタンア
    クリレート若しくはウレタンメタクリレートを含有して
    いることを特徴とする表面強化化粧紙の製造方法。 【化2】 R:水素原子またはメチル基 X:イソシアネート残基 Y:二価アルコール残基
  5. 【請求項5】上記一般式(I)にて示される2官能以上
    のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレー
    トの二価アルコール残基が、酸化エチレンと酸化プロピ
    レンの構造を有するエーテル系ポリオールから選ばれた
    化合物を原料として構成されていることを特徴とする請
    求項記載の表面強化化粧紙の製造方法。
  6. 【請求項6】上記一般式(I)にて示される2官能以上
    のウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレー
    トの二価アルコール残基を構成する酸化エチレンと酸化
    プロピレンの各繰り返し単位構造当たりの組成比(モル
    比)が、9:1〜4:6の範囲に設定されていることを
    特徴とする請求項記載の表面強化化粧紙の製造方法。
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