JP3289155B2 - 低温空気発生方法及び装置 - Google Patents

低温空気発生方法及び装置

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低温空気発生方法及び
装置に関し、詳しくは、昇圧した空気を膨張タービンで
断熱膨張させて低温空気を発生させる方法及び装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】図3は、従来の低温空気発生装置の一例
を示すもので、フィルター1からモーター2aにより駆
動される圧縮機2に吸入された空気(原料空気)は、ア
フタークーラー3で常温に冷却された後、膨張タービン
4と同軸に設けられた制動ブロワー5に導入されて更に
圧縮される。制動ブロワー5から導出された圧縮原料空
気は、アフタークーラー6で再び常温に冷却された後、
フロン冷凍機7で0℃付近まで冷却されて含有する水分
を凝縮し、次の水分離器8で生成した水が分離される。
続いて吸着器9に導入され、該空気中に微量残存する水
分が吸着剤に吸着される。このフロン冷凍機7,水分離
器8,吸着器9からなる除湿設備で除湿された圧縮原料
空気は、膨張タービン4に導入されて断熱膨張し、例え
ば−70℃の低温空気となる。なお、両アフタークーラ
ー3,6は、水あるいは大気により圧縮空気を冷却して
圧縮熱を除去し、常温に冷却するためのものである。
【0003】このように、所望の圧力に昇圧した圧縮原
料空気を膨張タービン4で断熱膨張させて低温空気を発
生させる装置では、膨張タービン4での膨張過程で含有
する水分が凝縮あるいは凝結してタービン翼に損傷を与
えたり、水分による腐食が発生したりするのを防止する
ため、膨張タービン4の前段に水分を除去するための除
湿設備を設けている。
【0004】また、上記構成の装置では、モーター2a
が停電等により異常停止して制動ブロワー5に導入する
空気量が減少し、膨張タービン4が危険な高速回転に入
ることを防止するため、制動ブロワー5の吐出側と吸入
側とを接続するバイパス弁10が設けられている。この
バイパス弁10は、例えば、モーター2aに接続された
制御回路により、圧縮機2が急停止したときに開くよう
に形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、膨張タ
ービンを利用した低温空気発生装置では、原料空気中の
水分を除去するための除湿設備が不可欠であるが、従来
の装置では、一般に、上記のようにフロン冷凍機7を用
いて圧縮原料空気を冷却し、水分を凝縮させて分離する
ようにしている。ところが、周知のように、フロン冷凍
機7で用いるフロンガスは、大気圏のオゾン層を破壊す
るために使用が禁止されつつあり、フロン冷凍機7に代
わる他の冷却手段が求められている。
【0006】なお、フロンガス以外の冷媒、例えばアン
モニア等を用いることも可能であるが、このような用途
には一般的ではなく、また、水分の全量を吸着器9で吸
着除去することも可能ではあるが、吸着剤を多量に必要
とし、吸着剤の再生にも多大な設備コストやランニング
コストがかかる。
【0007】そこで本発明は、フロン冷凍機を用いずに
圧縮原料空気を0℃付近まで冷却して飽和水分を凝縮分
離することができるとともに、設備コストやランニング
コストも安価な除湿設備を備えた低温空気発生方法及び
装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、本発明の低温空気発生方法は、昇圧した原料空気
を除湿後に膨張タービンに導入し、断熱膨張させて低温
空気を発生させる方法において、前記膨張タービンとは
別に設けた副膨張タービンに圧縮空気、特に前記除湿後
の原料空気の一部を導入し、断熱膨張させて冷却し、該
副膨張タービンで発生した冷却空気と前記原料空気とを
熱交換させて原料空気を冷却し、該原料空気中の過飽和
水分を凝縮させて除去することを特徴としている。
【0009】また、本発明の低温空気発生装置は、原料
空気を昇圧する圧縮機と、昇圧した原料空気の除湿を行
う除湿設備と、除湿後の原料空気を断熱膨張させて低温
空気を発生させる膨張タービンとを備えた低温空気発生
装置において、前記除湿設備に、前記膨張タービンとは
別に配設した副膨張タービンと、該副膨張タービンに圧
縮空気を導入する圧縮機、特に該副膨張タービン及び/
又は前記膨張タービンに直結した制動ブロワーと、前記
副膨張タービンで断熱膨張して低温となった空気と前記
原料空気とを熱交換させて原料空気を冷却する熱交換器
とを備えたことを特徴としている。
【0010】
【作 用】上記構成によれば、副膨張タービンでの断熱
膨張により、例えば0℃付近になった低温空気を圧縮原
料空気の冷却源とすることができ、フロン冷凍機等を用
いずに圧縮原料空気を冷却して含有水分を凝縮分離する
ことができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明を、図面に示す実施例に基づい
てさらに詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施例
を示すもので、フィルター11から吸入した原料空気を
昇圧する圧縮機12と、該圧縮機12で昇圧した圧縮原
料空気を冷却して除湿する除湿設備13と、除湿後の圧
縮原料空気を断熱膨張させて低温空気を発生させる膨張
タービン14と、前記除湿設備13で圧縮原料空気を冷
却するための冷却回路15とを備えている。
【0012】上記冷却回路15は、前記膨張タービン1
4とは別に設けられた副膨張タービン16と、該副膨張
タービン16に圧縮空気を導入する圧縮機17,18
と、該圧縮機17,18で圧縮された圧縮空気の圧縮熱
を除去するアフタークーラー17a,18aと、副膨張
タービン16で発生した低温空気を冷却源として前記圧
縮原料空気を冷却する熱交換器19とから構成されてお
り、該熱交換器19で原料圧縮空気と熱交換して昇温し
た冷却用の空気は、1段目の圧縮機17の吸入側に循環
させるように構成されている。
【0013】すなわち、この冷却回路15は、フィルタ
ー20から吸入した空気を、圧縮機17,18で昇圧し
て副膨張タービン16に導入し、前記圧縮原料空気を冷
却するための0℃付近の低温空気を断熱膨張により発生
させるもので、定常運転時には、アフタークーラー17
a,18aでの冷却によりある程度除湿された空気が循
環するように形成されている。
【0014】また、圧縮機18の吐出側と副膨張タービ
ン16の吸入側との間には、副膨張タービン16で発生
する低温空気の温度を調節するための調節弁21が設け
られており、該調節弁21の開度を調節して圧縮機18
から吐出された高温空気の副膨張タービン16への導入
量を調節することにより、副膨張タービン16で発生す
る低温空気の温度、即ち熱交換器19に導入する低温空
気を最適な温度に制御することができる。
【0015】さらに、本実施例の冷却回路15における
上記圧縮機17,18には、前記膨張タービン14及び
副膨張タービン16に直結した制動ブロワーを利用して
おり、該圧縮機17,18を駆動するための別途の動力
は不要になる。
【0016】モーター12aにより駆動される圧縮機
で、例えば4.0kg/cm2 Gに昇圧された原料空気
は、アフタークーラー22で常温に冷却された後、熱交
換器19に導入され、前記冷却回路15の低温空気と熱
交換を行い、0℃近くまで冷却される。この冷却により
凝縮した水分は、次の水分離器23で分離され、圧縮原
料空気中に微量残存する水分は、吸着器24内に充填さ
れた吸着剤(乾燥剤)により除去される。
【0017】上記熱交換器19,水分離器23,吸着器
24からなる除湿設備13で除湿された圧縮原料空気
は、膨張タービン14で略常圧まで断熱膨張して、例え
ば−70℃の低温空気になる。
【0018】このように、圧縮原料空気の除湿を行う除
湿設備13に、副膨張タービン16で発生した低温空気
を冷却源とする熱交換器19を設けることにより、従来
のフロン冷凍機を用いることなく圧縮原料空気を冷却し
て除湿することができる。また、本実施例に示すよう
に、副膨張タービン16に導入する圧縮空気の昇圧を、
膨張タービン14,16に接続した制動ブロワーで行う
ことにより、設備費やランニングコストの低減が図れ
る。さらに、原料空気を昇圧する圧縮機12のモーター
12aが停止した場合でも、膨張タービン14の制動用
流体が原料空気とは別系統の空気であるため、膨張ター
ビン14が高速回転域に入ることがなく、従来のような
バイパス弁及び制御回路を設ける必要がない。
【0019】図2は、本発明の第2実施例を示すもの
で、冷却回路15を流れる冷却用の空気に、除湿後の原
料空気の一部を用いた例を示している。すなわち、副膨
張タービン16,熱交換器19,圧縮機17,アフター
クーラー17a,圧縮機18,アフタークーラー18
a,調節弁21により構成された循環系統からなる冷却
回路15の副膨張タービン16の吸入側と吸着器24出
口側とを管31で連通し、吸着器24を導出した除湿後
の圧縮原料空気の一部を冷却回路15内に導入するよう
に形成したものである。
【0020】このように除湿後の空気を冷却回路15で
使用することにより、副膨張タービン16で発生する低
温空気の温度を0℃以下にすることが可能になり、熱交
換器19で圧縮原料空気を十分に冷却できるとともに、
熱交換器19の小型化も図れる。なお、熱交換器19に
導入する低温空気の温度は、原料圧縮空気中の水分が熱
交換器19内で氷結しない範囲で、できるだけ低温にす
ることが好ましいが、熱交換器19の能力や原料圧縮空
気の流入温度や流速等により、適宜最適な温度に設定す
ればよい。
【0021】さらに、本実施例においては、副膨張ター
ビン16の吸入側の空気の圧力が圧縮原料空気と同じ圧
力になるから、冷却回路15内の圧力が第1実施例に比
べて高くできるから、回路全体の比容積を小さくでき、
副膨張タービン16だけでなく、圧縮機17,18、ア
フタークーラー17a,18aや配管のサイズの小型化
も図れる。また、冷却回路15内を循環する空気が水分
を含んでいないため、副膨張タービン16や圧縮機1
7,18の効率が向上するとともに、該冷却回路15内
の各機器の水分による腐食の心配がなくなり、耐久性の
向上も図れる。
【0022】しかも、冷却回路15を閉回路で形成した
ので、該回路内に十分な量の空気が導入された後、すな
わち、装置の定常運転時には、原料空気が冷却回路15
内にほとんど流入しないため、圧縮機12で昇圧した原
料空気の略全量を膨張タービン14に導入して断熱膨張
させ、低温空気として供給することができるので、動力
費が無駄になることがない。
【0023】なお、上記両実施例においては、冷却回路
における圧縮機として膨張タービンの制動ブロワーを利
用したが、通常のモーター等で駆動する圧縮機を用いて
もよく、例えば、膨張タービンで発電機を回し、該発電
機で発生した電力で空気圧縮用の圧縮機を駆動するよう
にしてもよい。さらに、実施例1における冷却回路に導
入する空気は、原料空気用のフィルター部から得るよう
にしてもよい。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
膨張タービンを利用した低温空気発生装置において、フ
ロン冷凍機を用いずに昇圧後の原料圧縮空気を冷却して
除湿することができ、環境的に問題のあるフロンガスを
必要とせずに、しかも低コストで低温空気を発生させる
ことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例を示す低温空気発生装置
の系統図である。
【図2】 同じく第2実施例を示す系統図である。
【図3】 従来の低温空気発生装置の一例を示す系統図
である。
【符号の説明】 12,17,18…圧縮機、13…除湿設備、14…膨
張タービン、15…冷却回路、16…副膨張タービン、
19…熱交換器、21…調節弁、23…水分離器、24
…吸着器

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 昇圧した原料空気を除湿後に膨張タービ
    ンに導入し、断熱膨張させて低温空気を発生させる方法
    において、前記膨張タービンとは別に設けた副膨張ター
    ビンに圧縮空気を導入し、断熱膨張させて冷却し、該副
    膨張タービンで発生した冷却空気と前記原料空気とを熱
    交換させて原料空気を冷却し、該原料空気中の過飽和水
    分を凝縮させて除去することを特徴とする低温空気発生
    方法。
  2. 【請求項2】 前記副膨張タービンに導入する圧縮空気
    が、除湿後の原料空気の一部であることを特徴とする請
    求項1記載の低温空気発生方法。
  3. 【請求項3】 原料空気を昇圧する圧縮機と、昇圧した
    原料空気の除湿を行う除湿設備と、除湿後の原料空気を
    断熱膨張させて低温空気を発生させる膨張タービンとを
    備えた低温空気発生装置において、前記除湿設備に、前
    記膨張タービンとは別に配設した副膨張タービンと、該
    副膨張タービンに圧縮空気を導入する圧縮機と、前記副
    膨張タービンで断熱膨張して低温となった空気と前記原
    料空気とを熱交換させて原料空気を冷却する熱交換器と
    を備えたことを特徴とする低温空気発生装置。
  4. 【請求項4】 前記副膨張タービンに圧縮空気を導入す
    る圧縮機が、該副膨張タービン及び/又は前記膨張ター
    ビンに直結した制動ブロワーであることを特徴とする請
    求項3記載の低温空気発生装置。
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