JP3289035B2 - 半導体ウエハの洗浄方法 - Google Patents

半導体ウエハの洗浄方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハの洗
浄に関するものであり、特に、超臨界流体を使用した半
導体ウエハの洗浄方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】分子量が低い安定した物質は、図2の相
図に示すような固有の臨界温度(Tc)、臨界圧力(P
c)で特徴つけられている臨界点をもち、臨界点以上の
温度と圧力の状態では、液体と気体との区別ができない
状態が形成される。このような状態の流体は、超臨界流
体と呼ばれ、圧力をいくら増加しても、液体や気体への
凝縮が生じない。
【0003】例えば、超臨界流体としては、二酸化炭素
(CO2)が工業的に広く使用されている。これは、二
酸化炭素(CO2)が適当な臨界点(Tc=31℃、P
c=73atm)を有しており、毒性、腐食性、引火性
がなく安全であること、及び経済的であることによる。
この超臨界流体中では、有機物の溶解度が気体状態に比
べ著しく大きくなる。
【0004】また、液体状態に比べて粘性が低いため、
細い穴などの微細構造内部に浸透しやすく、また、液体
状態に比べて拡散係数が大きいので、短時間で溶解した
有機物を拡散できるという特徴がある。このため、微細
化、構造の複雑化が進んでいる、高集積半導体回路製造
工程における、半導体ウエハの洗浄に有効な技術であ
る。
【0005】図3は、特開昭63−179530号公報
に開示されている、従来技術における超臨界流体を使用
した半導体ウエハ洗浄装置の典型的な装置構成を示す。
【0006】ウエハ100を入れた高圧洗浄容器101
に液体ポンプ106と加熱器108によって臨界点以上
に加圧、昇温した洗浄物質が注入口109より注入さ
れ、ウエハ表面の汚染物が超臨界流体中に抽出される。
【0007】汚染を含んだ超臨界流体は排出口115よ
り高圧容器から排出され、臨界圧力以下に減圧した回収
容器117に通される。回収容器117内では、超臨界
状態の洗浄物質が気体状態になり、汚染物質の溶解度が
低下するため、ウエハ表面から抽出された汚染物質が容
器内に析出する。
【0008】汚染物質が除去された気体状態の洗浄物質
をフィルタ104に通し、冷却器105で液化させた
後、再び圧送ポンプと加熱器で超臨界状態にして高圧容
器に注入して洗浄物質を循環させる。
【0009】上述の洗浄が完了後、バルブ119を開
き、排出口120より高圧洗浄容器の洗浄物質を排気し
て、高圧洗浄容器内を大気圧に減圧して、ウエハを乾燥
させる。回収容器内にたまった汚染物質はバルブ121
を開いて外部に取り出される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】超臨界流体を使用した
従来の半導体ウエハ洗浄技術における装置上、プロセス
上の問題点として以下の事項が挙げられる。
【0011】まず、超臨界流体状態の洗浄物質は、半導
体ウエハ表面に付着している有機物等の無極性分子を溶
解して抽出することが可能であるが、超臨界流体には、
パーティクルのエッチング作用がない。そのため、ウエ
ハ表面のパーティクルを薬液を使用する洗浄の場合のよ
うに効率よく除去できない。
【0012】従来の洗浄装置では、高圧容器内で減圧さ
れて、洗浄物質が超臨界状態から気体状態に変化する
と、洗浄物質中に溶出している汚染物質の溶解度が低下
して、ウエハ表面や高圧容器の内壁に汚染物質が付着す
る逆汚染が生じる。また、減圧の際に、乱流が生じてウ
エハ表面にパーティクルが付着しやすくなる。
【0013】本発明は、超臨界流体を使用する半導体ウ
エハの洗浄において、パーティクルの除去能力を向上さ
せること、及び減圧時の逆汚染を抑制することを目的と
する。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明の
半導体ウエハの洗浄方法は、洗浄容器内で、被洗浄半導
体ウエハ表面に、超臨界状態の洗浄物質をさらしつつ、
上記洗浄容器内よりもより高圧で形成した洗浄物質の固
体微粒子を噴射して洗浄することを特徴とするものであ
る。
【0015】また、請求項2記載の本発明の半導体ウエ
ハの洗浄方法は、洗浄容器内で、超臨界状態の洗浄物質
による洗浄が完了した後、被洗浄半導体ウエハを急速に
冷却することにより、半導体ウエハ表面に洗浄物質の固
体層を形成する工程と、高圧洗浄容器内を大気圧まで減
圧し、該減圧後、上記半導体ウエハを加熱して、表面の
上記固体層を昇華させて除去する工程とを有することを
特徴とする、半導体ウエハの洗浄方法である。
【0016】また、請求項3記載の本発明の半導体ウエ
ハの洗浄方法は、洗浄容器内で、被洗浄半導体ウエハ表
面に、超臨界状態の洗浄物質をさらしつつ、上記洗浄容
器内よりもより高圧で冷却することにより形成した洗浄
物質の固体微粒子を噴射して洗浄する工程と、洗浄容器
内で、超臨界状態の洗浄物質による洗浄が完了した後、
被洗浄半導体ウエハを急速に冷却することにより、半導
体ウエハ表面に洗浄物質の固体層を形成する工程と、高
圧洗浄容器内を大気圧まで減圧し、該減圧後、上記半導
体ウエハを加熱して、表面の上記固体層を昇華させて除
去する工程とを有することを特徴とする、半導体ウエハ
の洗浄方法である。
【0017】更に、請求項4記載の本発明の半導体ウエ
ハの洗浄方法は、上記超臨界状態の洗浄物質と固体微粒
子の洗浄物質とは同一の物質を用いたことを特徴とす
る、請求項1又は請求項3記載の半導体ウエハの洗浄方
法である。
【0018】上記構成を用い、被洗浄半導体ウエハがさ
らされる超臨界雰囲気よりも高い圧力中で形成した洗浄
物質の固体微粒子をウエハに噴射すると、半導体ウエハ
表面に静電気力等によって強固に付着しているパーティ
クルは、主に洗浄物質の固体微粒子との衝突により除去
される。
【0019】また、超臨界雰囲気よりも高い圧力で形成
した洗浄物質の固体微粒子がウエハ表面で融解して超臨
界流体に相変化する際に、ウエハ表面に局所的な圧力パ
ルスが発生し、パーティクルの除去効果が向上する。こ
れらの物理的な力は、被洗浄ウエハを覆っている汚染有
機物膜の破壊にも有効であるので、有機物汚染に対する
洗浄効果も向上する。
【0020】また、高圧洗浄容器内を超臨界状態から大
気圧に減圧する前に、ウエハを急冷することによって、
高圧洗浄容器内の雰囲気を超臨界状態に保持したまま、
洗浄物質の固体薄膜層を被洗浄半導体ウエハ表面に形成
する。この固体薄膜層は、電気的に活性でパーティクル
を引き付けやすいシリコン面やアルミニウム、チタン等
のウエハ表面膜を不活性化するために、減圧時の乱流に
よって発生するパーティクルの付着が抑制される。
【0021】更に、この固体薄膜層の表面に付着したパ
ーティクルや汚染有機物は、この固体薄膜層を高圧洗浄
容器を大気圧に減圧後、気体に昇華させることによっ
て、リフトオフされるので、半導体ウエハ表面への逆付
着が抑制される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、一実施の形態に基づいて、
本発明を詳細に説明します。
【0023】図1は本発明の実施の形態の超臨界流体を
使用した半導体ウエハ洗浄装置の概略図を示す。尚、本
実施の形態で使用する洗浄物質は二酸化炭素(CO2
である。
【0024】以下、図1を用いて、本発明の一実施の形
態の半導体ウエハの洗浄工程を説明する。
【0025】まず、被洗浄ウエハ100は高圧洗浄容器
101内の冷却、加熱機構を備えたウエハステージ10
2に置かれる。バルブ103から、温度が20〜30
℃、圧力が40〜50atmの気体CO2が注入され
る。そして、ガスフィルタ104によってパーティクル
を除去された気体CO2は冷却器105で10〜20℃
に冷却されて液化した後、液体ポンプ106で75〜8
5atmの超臨界圧力以上に加圧される。
【0026】この液化CO2の一部は、流量調節バルブ
107で分岐して、加熱器108で35〜40℃に加熱
され、超臨界流体になり、注入口109から高圧洗浄容
器101内に送られる。
【0027】また、液体ポンプ106で加圧された液化
CO2の一部は液体ポンプ110によって更に100〜
120atmに加圧される。この加圧された液化CO2
の一部は流量調節バルブ111で分岐して、固体微粒子
形成器112に送られ、CO2固体微粒子となる。
【0028】このCO2固体微粒子は、液化CO2を口径
が数μm〜数10μm程度の微細孔から噴出させて−6
0℃以下に急速冷却することによって形成することがで
きる。固体微粒子形成器112で形成されたCO2固体
微粒子は、液体ポンプ110で加圧された液化CO2
一部を加熱器113で35〜40℃に加熱した超臨界流
体をキャリアとして、注入口114より高圧洗浄容器内
に送られて、被洗浄ウエハ表面に噴出される。
【0029】被洗浄ウエハ表面に噴出されたCO2固体
微粒子はウエハ表面に衝突後、融解して超臨界状態にな
り、排出口115より注入口109から注入された超臨
界状態のCO2とともに高圧洗浄容器から排出される。
【0030】排出された超臨界状態のCO2は調圧弁1
16で50〜60atmに減圧されて気体状態になり、
回収容器117内でCO2内に溶解している汚染物質を
析出する。回収容器117内のCO2は調圧弁118で
40atmに減圧され、再び上記循環系に送られる。
【0031】上記洗浄が完了後、高圧洗浄容器内のウエ
ハステージを−80℃以下に急速に冷却し、被洗浄ウエ
ハ表面にCO2の薄い固体層を形成した後、バルブ11
9を開き排気口120より高圧洗浄容器内に超臨界状態
CO2を排出して高圧洗浄容器内を大気圧に減圧する。
【0032】高圧洗浄容器内が大気圧に戻った後、ウエ
ハステージを20〜30℃に加熱して、ウエハ表面の固
体CO2層を昇華し、乾燥する。これにより、固体薄膜
層に汚染物質やパーティクルが付着しても、この昇華し
て除去する際に、リフトオフされ除去できる。また、回
収容器内にたまった汚染物質はバルブ121を開いて外
部に取り出される。
【0033】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明を
用いることにより、半導体ウエハ表面に付着している有
機物の除去能力を向上させ、ウエハ表面のパーティクル
を液体を使用する洗浄の場合のように効率よく除去する
ことが可能となる。
【0034】また、高圧容器内を減圧して、ウエハを乾
燥させる際に、ウエハ表面に洗浄物質の固体薄膜層を形
成しておくことによって、汚染物質の溶解度低下による
汚染物質の再付着や、乱流の発生によるパーティクルの
付着を抑制することが可能となる。この固体薄膜層に汚
染物質やパーティクルが付着しても、表面の固体薄膜層
を昇華して除去する際に、リフトオフされ除去できる。
【0035】また、超臨界状態の洗浄物質と固体微粒子
の洗浄物質を同じ洗浄物質とすることで、洗浄装置の簡
略化が図れる。
【0036】上記洗浄効果の改善と逆汚染の抑制効果に
よって、微細構造を有する半導体集積回路製造工程にお
ける歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超臨界流体を用いた洗浄装置の構成を
示す図である。
【図2】超臨界状態の説明に供する図である。
【図3】従来技術の超臨界流体を用いた洗浄装置の構成
を示す図である。
【符号の説明】
100 被洗浄ウエハ 101 高圧洗浄容器 102 ウエハステージ 103、119、121 バルブ 104 ガスフィルタ 105 冷却器 106、110 液体ポンプ 107、111 流量調節バルブ 108、113 加熱器 109、114 注入口 112 固体微粒子形成器 115、120 排出口 116、118 調圧弁 117 回収容器

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 洗浄容器内で、被洗浄半導体ウエハ表面
    に、超臨界状態の洗浄物質をさらしつつ、上記洗浄容器
    内よりもより高圧で形成した洗浄物質の固体微粒子を噴
    射して洗浄することを特徴とする、半導体ウエハの洗浄
    方法。
  2. 【請求項2】 洗浄容器内で、超臨界状態の洗浄物質に
    よる洗浄が完了した後、被洗浄半導体ウエハを急速に冷
    却することにより、半導体ウエハ表面に洗浄物質の固体
    層を形成する工程と、 高圧洗浄容器内を大気圧まで減圧し、該減圧後、上記半
    導体ウエハを加熱して、表面の上記固体層を昇華させて
    除去する工程とを有することを特徴とする、半導体ウエ
    ハの洗浄方法。
  3. 【請求項3】 洗浄容器内で、被洗浄半導体ウエハ表面
    に、超臨界状態の洗浄物質をさらしつつ、上記洗浄容器
    内よりもより高圧で冷却することにより形成した洗浄物
    質の固体微粒子を噴射して洗浄する工程と、 洗浄容器内で、超臨界状態の洗浄物質による洗浄が完了
    した後、被洗浄半導体ウエハを急速に冷却することによ
    り、半導体ウエハ表面に洗浄物質の固体層を形成する工
    程と、 高圧洗浄容器内を大気圧まで減圧し、該減圧後、上記半
    導体ウエハを加熱して、表面の上記固体層を昇華させて
    除去する工程とを有することを特徴とする、半導体ウエ
    ハの洗浄方法。
  4. 【請求項4】 上記超臨界状態の洗浄物質と固体微粒子
    の洗浄物質とは同一の物質を用いたことを特徴とする、
    請求項1又は請求項3記載の半導体ウエハの洗浄方法。
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